JP2005160057A - 圧電共振器、その製造方法、それを用いたフィルタ、共用器、および通信機器 - Google Patents

圧電共振器、その製造方法、それを用いたフィルタ、共用器、および通信機器 Download PDF

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宏 中塚
Keiji Onishi
慶治 大西
Hiroyuki Nakamura
弘幸 中村
Takehiko Yamakawa
岳彦 山川
Hiroshi Yamaguchi
博司 山口
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Abstract

【課題】 所定の帯域内においてスプリアスを抑制するように改良された圧電共振器、その製造方法、それを用いたフィルタ、共用器、および通信機器を提供すること。
【解決手段】 圧電共振器1は、基板105と、基板の上方に形成された下部電極と、下部電極の上方に形成された圧電体101と、圧電体の上方に形成された上部電極102と、下部電極、圧電体、および上部電極によって構成される振動部110の下に形成されたキャビティ104とを備える。振動部の厚さを半波長とする振動における共振周波数をfrとし、キャビティを構成する材料内での平均音速をVcとし、共振周波数frと平均音速Vcとに基づいて決定される値をλc(=Vc/fr)とすると、キャビティの深さは、nを任意の自然数とした場合、n×λc/2−λc/8以上、n×λc/2+λc/8以下となるように設定されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧電共振器、その製造方法、それを用いたフィルタ、共用器、および通信機器に関し、より特定的には、スプリアス成分を除去することができるように改良された圧電共振器、その製造方法、それを用いたフィルタ、共用器、および通信機器に関する。
携帯機器等の電子機器に内蔵される部品は、より小型化、軽量化されることが要求されている。例えば、携帯機器に使われているフィルタは、小型であり、かつ周波数特性が精密に調整されることが要求される。
これらの要求を満たすフィルタの1つとして、圧電共振器を用いたフィルタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
図14Aは、従来の圧電共振器の基本構造を示す断面図である。図14Aにおいて、圧電共振器710は、基板705の上に設けられている。基板705には、微細加工法を用いて裏面から部分的にエッチングすることによって、キャビティ704が形成されている。圧電共振器710は、共振器の主要構成要素である圧電体701と、その上下に設けられた上部電極702と、下部電極703とを有している。
圧電共振器710の振動を確保するために、基板705中に空洞のキャビティ704が設けられている。
圧電共振器710には、圧電体701の上下に設けられた上部電極702および下部電極703を介して、厚さ方向に電界が印加される。これによって、圧電共振器710は、厚さ方向の振動を生じる。
以下、圧電共振器710の動作説明を、無限平板の厚み縦振動を用いて行う。図14Bは、圧電共振器710の動作説明を行うための、概略的な斜視図である。図14Bに示すように、上部電極702と下部電極703との間に電界が加えられると、圧電体701において、電気エネルギーが機械エネルギーに変換される。誘起された機械振動は厚さ方向の伸び振動であるので、圧電体701は、電界と同じ方向に伸び縮みする。
圧電共振器710の厚さをtとしたとき、圧電共振器710は、圧電体701の厚さ方向の共振振動を利用し、t=λ/2となる波長λに対応する共振周波数fr1(=v/λ)で共振する。ここで、vは、圧電共振器710を構成する材料内での平均音速である。
図14Aに示す圧電共振器710の構造において、キャビティ704を形成することによって、圧電体701の厚み方向の縦振動が確保される。
図14Cは、圧電共振器710の等価回路図である。図14Cに示すように、圧電共振器710の等価回路は、直列共振回路と並列共振回路とを含む回路となる。すなわち、等価回路は、コンデンサ(C1)と、インダクタ(L1)と、抵抗(R1)と構成された直列共振回路と、当該直列共振回路に並列に接続されたコンデンサ(C0)から構成される並列共振回路とを備える。したがって、圧電共振器710は、共振周波数と反共振周波数とを持つこととなる。図14Dは、図14Cに示す等価回路におけるアドミッタンスの周波数特性を示すグラフである。図14Dに示すように、共振周波数fr1でアドミッタンスは極大となる。反共振周波数fa1でアドミッタンスは極小となる。ここで、fr1およびfa1は、以下のような関係となる。
Figure 2005160057
圧電共振器710におけるアドミッタンスの周波数特性を利用して、フィルタに応用すれば、圧電体の共振振動を利用した小型で低損失のフィルタが実現されることとなる。
特開昭60−68711号公報(第2〜4頁、図3、図4)
圧電共振器において、実際には、一部が基板に固定されているので、圧電共振器全体が厚み方向に縦振動の自由振動を行うわけではない。振動部は、図14Aに示すように、キャビティ704の周辺部において固定されて振動する領域と、キャビティ上部のように両端が自由端として振動する領域とに分かれる。
振動部において、振動部の厚さにより決定される振動が主共振振動として励振される。振動部は、キャビティ周辺において固定されているが、固定されている部分(固定部)は、完全な固定端とはなっていない。そのため、周波数がf1である主共振振動は、固定部を介して、基板側に伝搬していく。結果、振動部の支持・固定の影響によって、所望される厚さ方向の縦振動の基本モード(以下、1/2波長モードという。周波数は、f1)以外に、主共振振動の周波数f1の近くの周波数にスプリアス振動が生じることとなる。
このように、スプリアス振動が生じるのは、固定部において基板側に振動が漏れることによって、スプリアス振動の励振が起こるためである。スプリアス振動の共振周波数が主共振振動の主共振周波数付近である場合を考える。主共振振動が基板側に漏れたことによって、スプリアス振動が生じる。当該スプリアス振動の共振周波数は、主共振周波数付近であるとしているので、当該スプリアス振動は、スプリアス共振周波数となって、主共振周波数付近に発生することとなる。図15Aは、スプリアス振動がある場合のアドミッタンスの周波数特性を示すグラフである。図15Aに示すように、スプリアス振動、すなわち、スプリアス共振周波数713が共振周波数fr1と反共振周波数fa1との間に現れる。
図15Bは、圧電共振器を用いたフィルタの構成を示す回路図である。図15Cは、スプリアス713を有する圧電共振器を図15Bに示すようなフィルタに用いた場合の周波数通過特性を示す図である。
スプリアス共振周波数713を有する圧電共振器を、図15Bに示すように並列に接続し、他の共振器を直列に接続することによってフィルタを構成すると、図15Cに示すように、2つの急峻な減衰極を有する周波数通過特性(スカート特性)を得ることができる。しかし、スプリアス共振周波数713が原因で、凹凸部分714が通過帯域内に生じてしまう。通過帯域内にこのような凹凸部分714を有するフィルタを用いると、凹凸部分14を通過する信号は、設計値よりも大きな信号レベルとなったり、小さな信号レベルとなったりする。結果、通信の品質低下を招いてしまい問題となる。
一般に、フィルタにとって、所望の帯域内においてスプリアス共振周波数が存在しないことが最も重要である。そのため、フィルタを構成する直列共振器および並列共振器は、所定の帯域内においてスプリアスを発生させない必要がある。
それゆえ、本発明の目的は、所定の帯域内においてスプリアス共振周波数を抑制するように改良された圧電共振器、その製造方法、それを用いたフィルタ、共用器、および通信機器を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。本発明は、圧電共振器であって、基板と、基板の上方に形成された下部電極と、下部電極の上方に形成された圧電体と、圧電体の上方に形成された上部電極と、下部電極、圧電体、および上部電極によって構成される振動部の下に形成されたキャビティとを備え、振動部の厚さを半波長とする振動における共振周波数をfrとし、キャビティを構成する材料内での平均音速をVcとし、共振周波数frと平均音速Vcとに基づいて決定される値をλc(=Vc/fr)とすると、キャビティの深さは、nを任意の自然数とした場合、n×λc/2−λc/8以上、n×λc/2+λc/8以下となるように設定されていることを特徴とする。
好ましくは、キャビティの深さは、n×λc/2となるように設定されているとよい。
たとえば、圧電共振器を用いて帯域通過フィルタを構成する場合、キャビティの深さは、帯域通過フィルタにおける所望の通過帯域の半分の周波数範囲内にスプリアス周波数が存在しないように決定されているとよい。
たとえば、帯域通過フィルタが、PCS(Personal Communications Services)に用いられる場合、キャビティの深さは、n×λc/2−λc/10以上、n×λc/2+λc/10以下となるように設定されているとよい。
好ましくは、キャビティの断面形状は、矩形形状であるとよい。
また、本発明は、圧電共振器の製造方法であって、基板の上方に下部電極を形成する工程と、下部電極の上方に圧電体を形成するする工程と、圧電体の上方に上部電極を形成する工程と、下部電極、圧電体、および上部電極から構成される振動部の下にキャビティを形成する工程と、キャビティの深さを決定するための予備工程とを備え、予備工程では、振動部の厚さを半波長とする振動における共振周波数をfrとし、キャビティを構成する材料内での平均音速をVcとし、共振周波数frと平均音速Vcとに基づいて決定される値をλc(=Vc/fr)として、キャビティの深さを、nを任意の自然数とした場合、n×λc/2−λc/8以上、n×λc/2+λc/8以下となるように決定することを特徴とする。
たとえば、キャビティを形成する工程では、基板の表面をエッチングし、基板の表面に支持部を積み上げて、予備工程で決定された深さのキャビティが形成されるようにするとよい。
たとえば、キャビティを形成する工程では、基板の表面を予備工程で決定された深さ以上にエッチングし、エッチングされた底部分に調整層を形成することによって、予備工程で決定された深さのキャビティが形成されるようにするとよい。
また、本発明は、複数の圧電共振器を備えるフィルタであって、少なくとも一つの圧電共振器が上記特徴を有している。
また、本発明は、複数の圧電共振器を備えるフィルタで構成される共用器であって、少なくとも一つの圧電共振器が上記特徴を有している。
また、本発明は、圧電共振器を備える通信機器であって、当該圧電共振器が上記特徴を有している。
本発明によれば、共振周波数と反共振周波数との間からスプリアス共振周波数を除去することができ、かつ、スプリアス共振周波数を共振周波数から離すことができるので、所定の帯域内においてスプリアス共振周波数が抑制される。したがって、当該圧電共振器をフィルタに使用する場合、通過帯域外にスプリアス共振周波数を移動させることができ、平坦な通過帯域特性が得られることとなる。
特に、キャビティの深さをn×λc/2とすることによって、スプリアス共振周波数と共振周波数とを最も離すことができる。
また、圧電共振器を用いて帯域通過フィルタを構成する場合、帯域通過フィルタにおける所望の通過帯域の半分の周波数範囲内にスプリアス共振周波数が存在しないようにキャビティの深さを決定することによって、平坦な通過特性を有する帯域通過フィルタが構成される。
特に、帯域通過フィルタが、PCS(Personal Communications Services)に用いられる場合、キャビティの深さを、n×λc/2−λc/10以上、n×λc/2+λc/10以下となるように設定することによって、PCSの通過帯域において、平坦な通過特性をえることができる。
また、本発明によれば、キャビティの深さを決定するという簡単な工程を用いるだけで、スプリアス共振抑制効果が得られる圧電共振器を製造することができる。すなわち、スプリアス共振抑制のための付加的な工程が必要ないので、製造プロセスが容易となる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る圧電共振器1の断面図である。図1において、圧電共振器1は、圧電体101と、上部電極102と、下部電極103と、キャビティ104と、基板105とを備える。
下部電極103は、基板105の上に、例えば、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)、白金(Pt)、または金(Au)等で形成されている。
圧電体101は、下部電極の上に、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、または窒化アルミニウム(AlN)等の適当な圧電材料で形成されている。
上部電極102は、圧電体101の上に、例えば、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)、白金(Pt)、または金(Au)等で形成されている。
キャビティ104は、下部電極103の下方に位置する基板105の上部に形成されている。キャビティ104の断面形状は、例えば、矩形、台形等である。
ここで、上部電極102、圧電体101、および下部電極103によって構成される振動部110の厚さt1によって決定される共振周波数をfrとする。また、キャビティ104の深さt2によって決定される共振周波数をfrcとする。第1の実施形態では、共振周波数frと共振周波数frcとが異なるように設定されている。なお、振動部110内の平均音速をVsとすると、振動部110の上下端は固定端となるので、共振周波数frは、fr=Vs/(2×t1)となる。また、キャビティ104を構成する材料内の平均音速をVcとすると、キャビティ104の下端は自由端となるので、共振周波数frcは、frc=(2n−1)×Vc/(4×t2)となる。ここで、nは、1以上の任意の整数である。
振動部110の振動は、振動部110と基板105との接触部分を介して、基板105側に漏れる。基板105側に漏れた振動(以下、漏れ振動という)は、様々な周波数を有している。したがって、当該漏れ振動によって、基板105および/またはキャビティ104は、様々な周波数で共振する可能性がある。基板105および/またはキャビティ104において、共振現象が発現するのは、キャビティ104が共鳴管となるからである。したがって、基板105および/またはキャビティ104における共振は、主として、キャビティ104の形状に依存する。よって、基板105および/またはキャビティ104における共振の共振周波数は、キャビティ104の深さによって決定される共振周波数付近となる。キャビティ104の深さによって決定される共振周波数付近の共振が、振動部110の共振周波数付近で励振されると、スプリアス共振周波数となる。したがって、本実施形態のように、振動部110の厚さt1によって決定される共振周波数と、キャビティ104の厚さt2によって決定される共振周波数とを異なるものとすることによって、漏れ振動が原因で発生する共振が、振動部110の共振周波数付近で励振されないようにすることができる。これにより、スプリアス共振周波数が共振周波数fr付近に発生しないこととなる。
本発明者は、振動部110の厚さt1によって決定される共振周波数とキャビティ104の深さt2によって決定される共振周波数とを異ならせることによって、漏れ振動が原因で発現する共振が、振動部110の共振周波数付近で励振されなくなることを、シミュレーションを行って実際に確かめた。
図2は、キャビティ104の深さt2と図1に示す圧電共振器1において励振される振動の共振周波数との関係のシミュレーション結果を示すグラフである。図2において、横軸は、キャビティ104の深さを示す。縦軸は、周波数[GHz]を示す。図2では、キャビティ104の深さt2に対して、圧電共振器1で励振された振動の共振周波数がプロットされている。
図2に示すように、約2.6GHzから約2.7GHz付近に、キャビティ104の深さに関係なくほぼ一定に保たれている共振周波数がある。これらの共振周波数は、振動部110の厚さt1で決まる共振(以下、主共振という)の共振周波数(以下、主共振周波数という)である。
図2では、キャビティ104に深さの変化に伴って変化する共振周波数も示されている。たとえば、キャビティ104の深さを0.5[μm]から2.3[μm」に変化させた場合、約3.0GHzから約1.5GHzに渡って、変化する共振周波数がプロットされている。また、キャビティ104の深さを1[μm]から3[μm]に変化させた場合、約3.5GHzから約1.7GHzに渡って、変化する共振周波数がプロットされている。さらに、キャビティ104の深さを2[μm]から3[μm]に変化させた場合、約3.5GHzから約2.3GHzに渡って、変換する共振周波数がプロットされている。キャビティ104の深さが同じ場合、これらの共振は、同時に発現する。そのため、図2では、あるキャビティ104の深さに対して、複数の共振周波数がプロットされている。
このように、圧電共振器1内では、主共振とは別の共振(スプリアス共振)が複数発現する。図2に示すように、スプリアス共振は、キャビティ104の深さに依存して、変化していく。したがって、スプリアス共振の共振周波数(スプリアス共振周波数)は、キャビティ104の深さによって決定される共振周波数(以下、キャビティ共振周波数という)付近に存在することとなる。
キャビティ104の深さによって決定されるキャビティ共振周波数と振動部110の厚さによって決定される主共振周波数とが略一致する場合、スプリアス共振周波数も、主共振周波数付近に存在することとなるので、主共振付近に多くのスプリアス共振が発現されることとなる。
一方、主共振周波数とキャビティ共振周波数とを異ならせることによって、スプリアス共振周波数が主共振周波数付近に存在しなくなるので、主共振付近にスプリアス共振が発現されないこととなる。結果、少なくとも、共振周波数frと反共振周波数faとの間にスプリアス共振周波数を有していないアドミッタンス曲線を有する圧電共振器が提供されることとなる。このような共振器を用いてフィルタを構成すれば、通過特性曲線は滑らかなものとなる。
このように、第1の実施形態によれば、振動部110の厚さによって決定される共振周波数とキャビティ104の深さによって決定される共振周波数とが異なるように設定されているので、振動部110の振動が基板105に漏れ、当該漏れ振動が主共振周波数帯におけるスプリアス共振周波数となるのを防止することができる。
なお、第1の実施形態では、振動部110の厚さによって決定される共振周波数と、キャビティ104の深さによって決定される共振周波数とを異ならせるように、キャビティの深さを設定することとしたが、フィルタの所望周波数帯域(通過帯域)をfとした場合、振動部110の厚さによって決定される共振周波数とキャビティ104の深さによって決定される共振周波数との差Δfが、fよりも大きくなるように、キャビティの深さを設定することによっても、通過特性曲線が滑らかとなるフィルタを提供することができる。
例えば、アメリカ、カナダなどで提供されているデジタル携帯電話サービス(PCS:Personal Communications Services)における周波数帯域は、1850〜1990MHzである。そのうち、送信及び受信の通過帯域幅は、60MHzである。圧電共振器をラダー構成としてフィルタとした場合、振動部110の厚さにより決定される共振周波数と、キャビティ104の深さにより決定される共振周波数の差を30MHz以上とすることで、送信、及び受信フィルタの通過特性曲線は滑らかなものとなる。
(第1の実施形態に係る圧電共振器の製造方法)
図3A,図3B,図3C,図3D,図3E,図3F,図3Gは、第1の実施形態に係る圧電共振器1の製造方法を説明するための図である。以下、図3A,図3B,図3C,図3D,図3E,図3F,図3Gを参照しながら、第1の実施形態に係る圧電共振器1の製造方法について説明する。
まず、図3Aに示すように、基板105aが準備される。
次に、予備工程として、振動部110の厚さにより決定される共振周波数と振動部110の厚さとキャビティ104の深さにより決定される共振周波数とが異なるように、キャビティ104の深さが決定される。そして、図3Bに示すように、基板105aの表面に上記のようにして決定された深さのキャビティ104が設けられ、基板105が製造される。
次に、図3Cに示すように、キャビティ104の中に、後に除去される犠牲層106が埋め込まれる。犠牲層106は、例えば、リン酸シリケートガラス(PSG)など、易溶性材料で形成される。
次に、図3Dに示すように、基板105上に、キャビティ104を跨ぐように、下部電極103が設けられる。
次に、図3Eに示すように、基板105上に、下部電極103を覆うように圧電体101が堆積される。堆積は、例えばスパッタリング法又はCVD法で行われる。
次に、図3Fに示すように、圧電体101上に振動部110を構成するための上部電極102が設けられる。
最後に、図3Gに示すように、キャビティ104の中の犠牲層106が除去され、キャビティ104が形成される。犠牲層106の除去は、フッ化水素水溶液による溶解または他の方法で行われる。
上記製造方法によれば、振動部110の厚さによって決定される共振周波数とキャビティ104の深さによって決定される共振周波数とが異なるようにキャビティの深さを決定し、決定した深さに応じてキャビティ104を形成するという簡単な工程を用いるだけで、スプリアス共振抑制効果が得られる圧電共振器を製造することができる。すなわち、スプリアス共振抑制のための付加的な工程が必要ないので、製造プロセスが容易となる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る圧電共振器の構造は、第1の実施形態と同様であるので、図1を援用する。第2の実施形態では、振動部110の厚さを半波長(λp/2)とする振動(1/2振動)における共振周波数をfrとする。キャビティ104を構成する材料内(基板105内)での平均音速をVcとする。そして、共振周波数frと平均音速Vcとに基づいて決定される値をλc(=Vc/fr)とする。第2の実施形態において、キャビティ104の深さt2は、(2n−1)×λc/4とならないように設定されている。ここで、nは、整数である。なお、キャビティを構成する部材(たとえば、基板)が複数の材料で構成されている場合、λcは、キャビティを構成する複数の材料の平均音速Vcに基づいて導出される(以下同様)。
図4(a)は、キャビティ104の深さt2と図1に示す圧電共振器1において励振される振動の共振周波数との関係のシミュレーション結果を示すグラフである。図4(b)は、主共振周波数と主共振周波数に一番近いスプリアス共振周波数との周波数差を、キャビティの深さに関連付けて示したグラフである。図4(a)と図4(b)とを結ぶ点線によって、図4(a)におけるキャビティの深さと図4(b)におけるキャビティの深さとは、対応付けられている。
前述の図2を参照しながら説明したように、キャビティ深さの影響を受けず、ほぼ一定の値を示している主共振周波数は、振動部110の厚さt1で決まる共振周波数である。キャビティ104の深さに伴って変化する共振周波数は、スプリアス共振周波数であり、キャビティ104の深さt2に依存している。
図4(b)に示すように、キャビティ104の深さt2が、実質的にλc/4の奇数倍になる場合、主共振周波数とスプリアス共振周波数との周波数差は、最小となる。たとえば、図4(b)に示す点Mi1,Mi2,Mi3では、キャビティ104の深さがそれぞれλc/4,3×λc/4,5×λc/4となり、周波数差が最小となっている。
逆に、キャビティ104の深さt2が、λc/2の偶数倍になる場合、周波数差は、最大となる。たとえば、図4(b)に示す点Ma1,Ma2では、キャビティ104の深さがそれぞれλc/2,λcとなり、周波数差が最大となっている。
したがって、周波数差が最小となるキャビティ104の深さと周波数差が最大となるキャビティ104の深さとの中間の深さを臨界点として、スプリアス共振が主共振近傍に発生するか否かを規定することができる。すなわち、キャビティの深さが、λc/2−λc/8以上λc/2+λc/8以下の場合(図4(b)に示す範囲W1)や、λc−λ/8以上λc+λc/8以下の場合(図4(b)に示す範囲W2)のように、n×λc/2−λc/8以上n×λc/2+λc/8以下(nは整数)の場合には、スプリアス共振は、主共振の近傍に発生しないといえる。
つまり、キャビティ104の深さが、実質的にn×λc/4とならないように、より特定的には、n×λc/2−λc/8以上n×λc/2+λc/8以下(nは整数)となるように、設定することによって、振動部110の共振周波数付近におけるスプリアスの発生を抑圧することができる。
このように、第2の実施形態では、n×λc/2−λc/8以上n×λc/2+λc/8以下(nは整数)となるように、キャビティ104の深さを決定している。上記のような条件を満たすと、キャビティ104は、λp/4の振動モードで共振しないこととなる。従って、振動部110の振動が支持部から基板105に漏れた場合であっても、主共振の近傍にスプリアス振動が励振されることはない。結果、共振周波数frと反共振周波数faとの間にはスプリアス共振周波数が無いアドミッタンス曲線が得られる。このような共振器を用いてフィルタを構成すると通過特性曲線は滑らかなものとなる。また、キャビティ104の深さによっては、主共振周波数とスプリアス共振周波数とが、フィルタに適用した場合の通過帯域以上離れることとなり、通過帯域内にスプリアス共振周波数が発生していないフィルタが提供されることとなる。
(第2の実施形態に係る圧電共振器の製造方法)
以下、図3A,図3B,図3C,図3D,図3E,図3F,図3Gを参照しながら、第2の実施形態に係る圧電共振器の製造方法について説明する。
まず、図3Aに示すように、基板105aが準備される。
次に、予備工程として、n×λc/2−λc/8以上、n×λc/2+λc/8以下となるように、キャビティ114の深さが決定される。
その後は、第1の実施形態に係る圧電共振器と同様にして、製造する。
上記製造方法によれば、キャビティ104の深さを、実質的にn×λc/4とならないように、より特定的には、n×λc/2−λc/8以上n×λc/2+λc/8以下(nは整数)となるように、設定するという工程を設けるだけで、スプリアス共振抑制効果が得られる圧電共振器を製造することができる。このように、スプリアス共振抑制のための付加的な工程が必要ないので、製造プロセスが容易となる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る圧電共振器の構造は、第1の実施形態と同様であるので、図1を援用する。第3の実施形態では、キャビティ104の深さt2は、n×λc/2(nは整数)となるように設定されている。
図4(b)に示すように、キャビティ104の深さt2をn×λc/2となるように設定した場合、主共振周波数と主共振周波数に一番近いスプリアス共振周波数との差が最大となる。その結果、主共振周波数近傍にスプリアス共振周波数が存在しないこととなる。
図5Aは、キャビティ104の深さをλc/2と設定した場合のアドミタンス特性を示すグラフである。すなわち、図5Aは、図4(b)における点Ma1でのアドミッタンス特性を示すグラフである。
図5Bは、キャビティ104の深さを3λc/4付近に設定した場合のアドミタンス特性を示すグラフである。すなわち、図5Bは、図4(b)における点Mi2でのアドミッタンス特性を示すグラフである。
図5Aに示すように、キャビティ104の深さをλc/2とすれば、2.66GHz付近の主共振周波数(点P1)と2.58GHz付近のスプリアス共振周波数(点P2)との差は、84MHzとなる。この圧電共振器を使用して、通過帯域幅が40MHz程度の帯域通過フィルタを構成した場合、通過帯域内にスプリアス共振が存在しない通過特性曲線となる。
一方、図5Bに示すように、キャビティ104の深さを3λc/4とすれば、2.67GHz付近の主共振周波数(点P3)と2.61GHz付近のスプリアス共振周波数(点P4)との差は、60MHzとなる。この程度の周波数差の場合、主共振周波数(2.67GHz)付近にスプリアス共振周波数が発生しているといえる。この圧電共振器を使用して、通過帯域幅が40MHz程度の帯域通過フィルタを構成した場合、通過帯域内にスプリアス共振が存在することとなってしまう。
このように、第3の実施形態では、キャビティ104の深さt2を、n×λc/2となるように設定することによって、共振周波数frと反共振周波数faとの間にはスプリアス共振周波数が無いアドミッタンス曲線が得られ、かつスプリアス共振周波数と主共振周波数とが最大限離れることとなる。このような共振器を用いてフィルタを構成すると、広帯域に渡って通過特性曲線が滑らかなフィルタが提供される。
なお、第3の実施形態では、キャビティの深さをn×λc/2と設定することとしたが、n×λc/2近傍に設定するとしても、同様の効果を得ることができる。すなわち、キャビティの深さがn×λc/2と完全に一致していないような場合であっても、同様の効果を得ることができ、キャビティの深さがn×λc/2と完全に一致していないような場合であっても、本発明における設計上の均等の範囲に属することとなる。
(第4の実施形態)
第1〜第3の実施形態では、図1に示すように、基板105の上部にキャビティ104を形成した構造の圧電共振器を示したが、圧電共振器の構造は、これに限られるものではない。第4の実施形態では、種々の変形例について説明する。
図6Aは、支持部によってキャビティを形成した圧電共振器の構造を示す断面図である。図6Aに示すように、基板105aの上に支持部207を設けて、キャビティ204を形成するようにしてもよい。このように、下部電極103は、支持部207を介して、基板105aの上方に形成されてもよい。本構造の場合においても、第1〜第3の実施形態で示したような条件に従ってキャビティ204の深さを決定することによって、主共振周波数付近でのスプリアス共振周波数を低減することができる。また、キャビティ204は、支持部207を成膜して形成されるので、キャビティ204の深さを精度よく制御することができ、製造上の効果も大きい。また、支持部207を音響インピーダンスの高い材料とすることによって、基板105の材料選択の自由度が増すと共に、スプリアス共振低減効果が得られることとなる。なお、図6Aに示すような場合、λcは、キャビティ204を構成する支持部207および基板105a内の平均音速Vc1と振動部110の厚さによって決まる共振周波数frとに基づいて、決まる。すなわち、λc=Vc1/frとなる。
図6Bは、基板表面をエッチングすると共に、支持部を設けることによって、キャビティを形成した圧電共振器の構造を示す断面図である。図6Bに示すように、基板105bの表面をエッチングして、凹部214bを形成し、加えて、支持部217を形成して、空洞部214aを形成する。凹部214bと空洞部214aとによって、キャビティ214が形成される。本構造の場合においても、第1〜第3の実施形態で示したような条件に従ってキャビティ214の深さを決定することによって、主共振周波数付近でのスプリアス共振周波数を低減することができる。また、基板105の表面がエッチングされ、加えて支持部217が成膜されることによって、キャビティ214が形成されるので、キャビティ214の深さを精度よく制御することでき、製造上の効果も大きい。また、支持部217を音響インピーダンスの高い材料とすることによって、さらにスプリアス共振低減効果が得られることとなる。なお、図6Bに示すような場合、λcは、キャビティ214を構成する支持部217および基板105b内の平均音速Vc2と振動部110の厚さによって決まる共振周波数frとに基づいて、決まる。すなわち、λc=Vc2/frとなる。
図6Cは、図1に示す圧電共振器において、圧電体231の上面の大きさと上部電極232の下面の大きさとを異なるようにしたときの圧電共振器の構造を示す断面図である。図6Dは、図6Aに示す圧電共振器において、圧電体231の上面の大きさと上部電極232の下面の大きさとを異なるようにしたときの圧電共振器の構造を示す断面図である。図6Eは、図6Bに示す圧電共振器において、圧電体231の上面の大きさと上部電極232の下面の大きさとを異なるようにしたときの圧電共振器の構造を示す断面図である。
図6C,図6D,図6Eに示すように、圧電体231の上面の大きさと上部電極232の下面の大きさとを異なるようにし、圧電体231の下面の大きさと下部電極233の上面の大きさとを同じにして、振動部210を形成することとしても、キャビティ234,204,214の深さを第1〜第3の実施形態で示したような条件に従うようにすることによって、第1〜第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。この場合も、λcは、上記と同様、キャビティを構成する材料の平均音速と振動部の共振周波数とに基づいて決まる。
なお、圧電体231の下面の大きさと下部電極233の上面の大きさとが異なっていても、第1〜第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第5の実施形態)
図7A,図7B,図7C,図7D,図7E,図7F,図7Gは、図6Aに示す圧電共振器の製造方法を説明するための図である。以下、図7A,図7B,図7C,図7D,図7E,図7F,図7Gを参照しながら、図6Aに示す圧電共振器の製造方法について説明する。
まず、図7Aに示すように、基板105aが準備される。
次に、キャビティの深さを第1〜第3の実施形態に従って決定する。すなわち、キャビティの深さを、振動部の厚さによって決定される共振周波数とキャビティの深さによって決定される共振周波数とが異なるようにするか、n×λc/2−λc/8以上n×λc/2+λc/8以下(nは整数)とするか、それとも、n×λc/2(nは整数)とする。そして、決定したキャビティの深さを、支持部207の高さとして決定する。
図7Bに示すように、支持部207が、基板105aの表面に決定した高さで形成される。
次に、図7Cに示すように、支持部207の中に、後に除去される犠牲層306が埋め込まれる。犠牲層306は、例えば、リン酸シリケートガラス(PSG)など、易溶性材料で形成される。
次に、図7Dに示すように、基板105a上に、支持部207を跨ぐように、下部電極103が形成される。
次に、図7Eに示すように、支持部207、犠牲層306の上方に、下部電極103を覆うように、圧電体301が堆積される。堆積は、例えばスパッタリング法又はCVD法で行われる。
次に、図7Fに示すように、圧電体101上に、上部電極102を形成される。
最後に、図7Gに示すように、犠牲層306が除去され、キャビティ204が形成される。犠牲層306の除去は、フッ化水素水溶液による溶解または他の方法で行われる。
このように、第5の実施形態によれば、第1〜第3の実施形態に従ってキャビティの深さを決定して、決定した深さ分の高さを有する支持部を形成するという簡単な工程だけで、スプリアス共振抑制効果が得られる圧電共振器を製造することができる。スプリアス共振抑制のための付加的な工程が必要ないため、製造プロセスが容易となる。
(第6の実施形態)
図8A,図8B,図8C,図8D,図8E,図8F,図8Gは、図6Bに示す圧電共振器の製造方法を説明するための図である。以下、図8A,図8B,図8C,図8D,図8E,図8F,図8Gを参照しながら、図6Bに示す圧電共振器の製造方法について説明する。
まず、図8Aに示すように、基板115が準備される。
次に、キャビティの深さを第1〜第3の実施形態に従って決定する。すなわち、キャビティの深さを、振動部の厚さによって決定される共振周波数とキャビティの深さによって決定される共振周波数とが異なるようにするか、n×λc/2−λc/8以上n×λc/2+λc/8以下(nは整数)とするか、それとも、n×λc/2(nは整数)とする。以下、第6の実施形態において、決定したキャビティの深さを、設定値ということにする。
次に、図8Bに示すように、基板115の表面がエッチングされ、基板105bおよび凹部214bが形成される。
次に、図8Cに示すように、エッチングされた領域の周りに支持部217が形成される。このとき、凹部214bと空洞部214aとからなるキャビティ214の深さが上記設定値となるように、支持部217の高さが調整される。
次に、図8Bに示すように、キャビティ214の中に、後に除去される犠牲層406aが埋め込まれる。犠牲層406aは、例えば、リン酸シリケートガラス(PSG)など、易溶性材料で形成される。
次に、図8Eに示すように、支持部217およびキャビティ214内の犠牲層406aを跨ぐように、下部電極103が設けられる。
次に、図8Fに示すように、下部電極103を覆うように、圧電体101が堆積され、圧電体101の上に上部電極102が堆積される。堆積は、例えばスパッタリング法又はCVD法で行われる。
最後に、図8Gに示すように、犠牲層406aが除去され、キャビティ214が形成される。犠牲層406aの除去は、フッ化水素水溶液による溶解または他の方法で行われる。
このように、第6の実施形態によれば、第1〜第3の実施形態に従ってキャビティの深さを決定して、決定した深さ分の高さを有する支持部を形成するという簡単な工程だけで、スプリアス抑制効果が得られる圧電共振器を製造することができる。スプリアス抑制のための付加的な工程が必要ないため、製造プロセスが容易となる。
なお、図6C,図6D,図6Eに示す圧電共振器についても、下部電極および圧電体の形成範囲を変えれば、図3,図7,図8に示す製造方法によって製造できる。
(第7の実施形態)
第7の実施形態に係る圧電共振器において第1の実施形態と異なる点は、基板をエッチングすることによって形成されたキャビティの底の部分に、キャビティの深さを調整するための調整層を設けた点である。
図9A,図9B,図9C,図9D,図9E,図9Fは、第7の実施形態に係る圧電共振器の製造方法を説明するための図である。以下、図9A,図9B,図9C,図9D,図9E,図9Fを参照しながら、第7の実施形態に係る圧電共振器の製造方法について説明する。
まず、図9Aに示すように、基板115が準備される。
次に、キャビティの深さを第1〜第3の実施形態に従って決定する。すなわち、キャビティの深さを、振動部の厚さによって決定される共振周波数とキャビティの深さによって決定される共振周波数とが異なるようにするか、n×λc/2−λc/8以上n×λc/2+λc/8以下(nは整数)とするか、それとも、n×λc/2(nは整数)とする。以下、第7の実施形態において、決定したキャビティの深さを、設定値ということにする。
次に、図9Bに示すように、基板115をエッチングして、一部が除去される。このとき、除去された凹部504の深さは、上記設定値よりも深い。
次に、図9Cに示すように、凹部504の底部分にキャビティ深さ調整層504aが形成される。このとき、キャビティ506aの深さが上記設定値となるように、キャビティ深さ調整層504aの厚さが調整される。
次に、図9Dに示すように、キャビティ504bの中に、後に除去される犠牲層506が埋め込まれる。犠牲層506は、例えば、リン酸シリケートガラス(PSG)など、易溶性材料で形成される。
次に、図9Eに示すように、キャビティ504bの犠牲層506を跨ぐように、下部電極103が堆積され、下部電極103を覆うように圧電体101が堆積され、圧電体101の上に上部電極102が堆積される。堆積は、例えばスパッタリング法又はCVD法で行われる。
最後に、図9Fに示すように、犠牲層506が除去され、キャビティ504bが形成される。犠牲層506の除去は、フッ化水素水溶液による溶解または他の方法で行われる。
このように、第7の実施形態によれば、第1〜第3の実施形態に従ってキャビティの深さを決定して、調整層を形成することによって、決定した深さを有するキャビティを形成するという簡単な工程だけで、スプリアス共振抑制効果が得られる圧電共振器を製造することができる。スプリアス共振抑制のための付加的な工程が必要ないため、製造プロセスが容易となる。
なお、第1〜第7の実施形態において、下部電極の上に圧電体が密着していることとしたが、下部電極と圧電体との間に誘電体が挿入されていてもよい。すなわち、圧電体は、下部電極の上方に形成されていればよい。また、圧電体と上部電極との間に誘電体が挿入されていてもよい。すなわち、上部電極は、圧電体の上方に形成されていればよい。このように、誘電体が挿入される場合、誘電体も含めた振動部の厚さによって、共振周波数frが決められることとなる。
(第8の実施形態)
次に、本発明の圧電共振器をラダー型フィルタに適用した構成について、図10を用いて説明を行う。
図10は、本発明の第8の実施形態に係るラダー型フィルタ600の構成を示す図である。図10において、ラダー型フィルタ600は、第1の圧電共振器610と、第2の圧電共振器620と、入出力端子630,640とを備える。第1および第2の圧電共振器610,620は、第1〜第3の実施形態に示す条件のキャビティを有する圧電共振器である。
第1の圧電共振器610は、入出力端子630と入出力端子640との間に直列に接続される。したがって、第1の圧電共振器610は、直列共振器として動作する。
第2の圧電共振器620は、入出力端子630と入出力端子640との間に並列に接続され、接地されている。したがって、第2の圧電共振器620は、並列共振器として動作する。
このように圧電共振器を接続することにより、フィルタ構成は、L型構成のラダー型フィルタとなる。
第1の圧電共振器610の共振周波数と第2の圧電共振器620の共振周波数とは、異なるように設定されている。第1の圧電共振器610の共振周波数は、第2の圧電共振器の共振周波数よりも高く設定されている。これによって、帯域通過特性を有するラダー型フィルタが実現される。好ましくは、第1の圧電共振器610の共振周波数と第2の圧電共振器620の反響振周波数とを一致させるか、または近傍に設定することによって、より通過帯域の平坦性に優れたラダー型フィルタが実現されることとなる。
なお、第8の実施形態では、1段のラダー型フィルタであるとしたが、多段のラダー型フィルタに、本発明の圧電共振器を用いてもよい。
なお、第8の実施形態では、L型ラダー構成のフィルタであるとしたが、その他の構成、例えばT型、あるいはπ型のラダー構成のフィルタであっても、同様の効果を得ることができる。T型、或いはπ型の多段構成であっても同様の効果を得ることができるのはいうまでもない。
さらに、ラダー型だけでなく、格子型フィルタ構成においても同様の効果を得ることができる。すなわち、本発明の圧電共振器が少なくとも一つ用いられるフィルタであれば、構成は、上述のものには限られない。
(第9の実施形態)
第9の実施形態に係る圧電共振器の構造は、第1の実施形態と同様であるので、図1を援用する。第9の実施形態では、PCS帯に主共振周波数を持つ圧電共振器について説明する。図11は、PCS帯の主共振周波数を持つ圧電共振器について、主共振周波数と主共振周波数に最も近いスプリアス共振周波数との差を、キャビティの深さに応じて求めたグラフである。図11において、横軸は、キャビティ104の深さを波長λcで規格化した値を示す。縦軸は、主共振周波数と主共振周波数に最も近いスプリアス共振周波数との差(以下、周波数差という)を示す。
PCSの周波数帯域は、1850〜1990MHzである。そのうち、送信および受信の通過帯域幅は、60MHzである。したがって、図10に示すようなラダー型フィルタを構成する場合、圧電共振器は、通過帯域幅の1/2周波数範囲(すなわち、30MHz)内でスプリアス共振が存在していない必要がある。図11に示すように、通過帯域幅の半分の周波数範囲においてスプリアス共振が存在しないのは、キャビティ104の深さが0.4λcから0.6λcの範囲であることが分かる。さらに、キャビティ104の深さが0.5λcの場合、共振周波数とスプリアス共振周波数との差が最大となり、フィルタの通過帯域へのスプリアス共振の影響が最も小さいと考えられる。
図11では、0.5λc付近における主共振周波数とスプリアス共振周波数との差について記載したが、1.0λc、1.5λc、2.4λc、・・・についても、同様のことがいえる。すなわち、nを整数とした場合、キャビティ104の深さがn×λc/2−0.1λc以上、n×λc/2+0.1λc以下となるようにすることによって、通過特性が平坦なフィルタが実現される。
なお、上記実施形態では、PCM帯に主共振周波数を持つ圧電共振器のキャビティの深さについて説明したが、同様のことが、他の周波数帯においても言える。すなわち、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)やUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)、GSM(Global System for Mobile)などの通過帯域に主共振周波数を持つ圧電共振器においても、所望の通過帯域幅の半分の周波数範囲にスプリアスが存在しないように、キャビティの深さを設計することによって、平坦な通過特性を有するフィルタを実現することができる。
このように、本発明の圧電共振器を用いて帯域通過フィルタを構成する場合、キャビティの深さは、当該帯域通過フィルタにおける所望の通過帯域の半分の周波数範囲内にスプリアスが存在しないように決定されることによって、平坦な通過特性を有するフィルタが実現されることとなる。特に、PCMに当該帯域通過フィルタを用いる場合、キャビティの深さを、n×λc/2−0.1λc以上、n×λc/2+0.1λc以下となるように設定すると、30MHzに渡って、スプリアス共振が発生しなくなるので、通過帯域である60MHzに渡って平坦な通過特性が得られることとなる。
通常、平坦な通過帯域特性を得るためには、共振器内のインダクタのインピーダンスを調整したりするために、共振器の構造を大きく変化させたりするなど、複雑な手法を用いることが多かった。しかし、本発明の圧電共振器を用いて帯域通過フィルタを構成する場合、キャビティの深さを変えるといった簡易な方法を用いるだけで、平坦な通過特性を得ることができ、実用上極めて有用である。
(第10の実施形態)
第10の実施形態では、上記実施形態に係る圧電共振器を用いたアンテナ共用器及び通信機器の構成について説明する。
図12は、本発明の第10の実施形態に係るアンテナ共用器400の構成例を示す図である。図12において、アンテナ共用器400は、本発明の圧電共振器が適用されるTxフィルタ(送信フィルタ)401と、Rxフィルタ(受信フィルタ)402と、2つの伝送線路で構成される移相回路403とで構成される。Txフィルタ401は、送信帯域の信号を通過させて、受信帯域の信号を減衰させる。Rxフィルタ402は、受信帯域の信号を通過させて、送信帯域の信号を減衰させる。これにより、低損失等の特性の優れたアンテナ共用器を得ることができる。なお、フィルタの数やフィルタを構成する圧電共振器の段数等は、図12に例示したものに限られず自由に設計することが可能である。なお、Txフィルタ401および/またはRxフィルタ402を構成する圧電共振器として、少なくとも一つ本発明の圧電共振器が使われていればよい。
図13は、本発明の第10の実施形態に係る通信機器411の構成例を示す図である。図13において、通信機器411は、図12に示したアンテナ共用器404と、送信増幅器405と、フィルタ406と、送信回路407と、受信増幅器408と、受信回路409と、アンテナ410とを備える。送信回路407から出力される送信信号は、フィルタ406及び送信増幅器405を介して、アンテナ共用器404に入力される。アンテナ共用器404に入力された送信信号は、アンテナ410を介して送信される。一方、アンテナ410で受信された受信信号は、アンテナ共用器404及び受信増幅器408を介して、受信回路409に入力される。このように、低損失等の特性の優れたアンテナ共用器404を用いれば、小型で高性能な通信機器を実現することができる。なお、本発明の圧電共振器は、フィルタ406に用いてもよい。また、通信機器は、図13に例示したものに限られず自由に設計することが可能である。なお、本発明の圧電共振器が使用される部位は、共用器またはフィルタに限られるものではない。受信側のフィルタに本発明の圧電共振器が使用されてもよい。
このように、本発明の圧電共振器をアンテナ共用器や通信機器に用いることによって、良好な特性を有するアンテナ共用器や通信機器を実現することができる。
本発明に係る圧電共振器、その製造方法、それを用いたフィルタ、共用器、および通信機器は、スプリアス共振が抑制されており、特性が向上しているので、携帯電話、無線通信、ワイヤレスのインタネット接続等に有用である。
本発明の第1の実施形態に係る圧電共振器1の断面図 キャビティ104の深さt2と図1に示す圧電共振器1において励振される振動の共振周波数との関係のシミュレーション結果を示すグラフ 第1の実施形態に係る圧電共振器1の製造方法を説明するための図 第1の実施形態に係る圧電共振器1の製造方法を説明するための図 第1の実施形態に係る圧電共振器1の製造方法を説明するための図 第1の実施形態に係る圧電共振器1の製造方法を説明するための図 第1の実施形態に係る圧電共振器1の製造方法を説明するための図 第1の実施形態に係る圧電共振器1の製造方法を説明するための図 第1の実施形態に係る圧電共振器1の製造方法を説明するための図 (a)は、キャビティ104の深さt2と図1に示す圧電共振器1において励振される振動の共振周波数との関係のシミュレーション結果を示すグラフ、(b)は、主共振周波数と主共振周波数に一番近いスプリアス共振周波数との周波数差を、キャビティの深さに関連付けて示したグラフ キャビティ104の深さをλc/2と設定した場合のアドミタンス特性を示すグラフ キャビティ104の深さを3λc/4付近に設定した場合のアドミタンス特性を示すグラフ 支持部によってキャビティを形成した圧電共振器の構造を示す断面図 基板表面をエッチングすると共に、支持部を設けることによって、キャビティを形成した圧電共振器の構造を示す断面図 図1に示す圧電共振器において、圧電体231の上面の大きさと上部電極232の下面の大きさとを異なるようにしたときの圧電共振器の構造を示す断面図 図6Aに示す圧電共振器において、圧電体231の上面の大きさと上部電極232の下面の大きさとを異なるようにしたときの圧電共振器の構造を示す断面図 図6Bに示す圧電共振器において、圧電体231の上面の大きさと上部電極232の下面の大きさとを異なるようにしたときの圧電共振器の構造を示す断面図 図6Aに示す圧電共振器の製造方法を説明するための図 図6Aに示す圧電共振器の製造方法を説明するための図 図6Aに示す圧電共振器の製造方法を説明するための図 図6Aに示す圧電共振器の製造方法を説明するための図 図6Aに示す圧電共振器の製造方法を説明するための図 図6Aに示す圧電共振器の製造方法を説明するための図 図6Aに示す圧電共振器の製造方法を説明するための図 図6Bに示す圧電共振器の製造方法を説明するための図 図6Bに示す圧電共振器の製造方法を説明するための図 図6Bに示す圧電共振器の製造方法を説明するための図 図6Bに示す圧電共振器の製造方法を説明するための図 図6Bに示す圧電共振器の製造方法を説明するための図 図6Bに示す圧電共振器の製造方法を説明するための図 図6Bに示す圧電共振器の製造方法を説明するための図 第7の実施形態に係る圧電共振器の製造方法を説明するための図 第7の実施形態に係る圧電共振器の製造方法を説明するための図 第7の実施形態に係る圧電共振器の製造方法を説明するための図 第7の実施形態に係る圧電共振器の製造方法を説明するための図 第7の実施形態に係る圧電共振器の製造方法を説明するための図 第7の実施形態に係る圧電共振器の製造方法を説明するための図 本発明の第8の実施形態に係るラダー型フィルタ600の構成を示す図 PCS帯の主共振周波数を持つ圧電共振器について、主共振周波数と主共振周波数に最も近いスプリアス共振周波数との差を、キャビティの深さに応じて求めたグラフ 本発明の第10の実施形態に係るアンテナ共用器400の構成例を示す図 本発明の第10の実施形態に係る通信機器411の構成例を示す図 従来の圧電共振器の基本構造を示す断面図 圧電共振器710の動作説明を行うための、概略的な斜視図 圧電共振器710の等価回路図 図14Cに示す等価回路におけるアドミッタンスの周波数特性を示すグラフ スプリアス振動がある場合のアドミッタンスの周波数特性を示すグラフ 圧電共振器を用いたフィルタの構成を示す回路図 スプリアス共振周波数713を有する圧電共振器を図15Bに示すようなフィルタに用いた場合の周波数通過特性を示す図
符号の説明
1,610,620 圧電共振器
101 圧電体
102 上部電極
103 下部電極
104 キャビティ
105 基板
110 振動部
600 フィルタ
400 アンテナ共用器
411 通信機器

Claims (11)

  1. 圧電共振器であって、
    基板と、
    前記基板の上方に形成された下部電極と、
    前記下部電極の上方に形成された圧電体と、
    前記圧電体の上方に形成された上部電極と、
    前記下部電極、前記圧電体、および前記上部電極によって構成される振動部の下に形成されたキャビティとを備え、
    前記振動部の厚さを半波長とする振動における共振周波数をfrとし、
    前記キャビティを構成する材料内での平均音速をVcとし、
    前記共振周波数frと前記平均音速Vcとに基づいて決定される値をλc(=Vc/fr)とすると、
    前記キャビティの深さは、nを任意の自然数とした場合、n×λc/2−λc/8以上、n×λc/2+λc/8以下となるように設定されていることを特徴とする、圧電共振器。
  2. 前記キャビティの深さは、n×λc/2となるように設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の圧電共振器。
  3. 前記圧電共振器を用いて帯域通過フィルタを構成する場合、
    前記キャビティの深さは、前記帯域通過フィルタにおける所望の通過帯域の半分の周波数範囲内にスプリアス周波数が存在しないように決定されていることを特徴とする、請求項1に記載の圧電共振器。
  4. 前記帯域通過フィルタが、PCS(Personal Communications Services)に用いられる場合、
    前記キャビティの深さは、n×λc/2−λc/10以上、n×λc/2+λc/10以下となるように設定されていることを特徴とする、請求項3に記載の圧電共振器。
  5. 前記キャビティの断面形状は、矩形形状であることを特徴とする、請求項1に記載の圧電共振器。
  6. 圧電共振器の製造方法であって、
    基板の上方に下部電極を形成する工程と、
    前記下部電極の上方に圧電体を形成するする工程と、
    前記圧電体の上方に上部電極を形成する工程と、
    前記下部電極、前記圧電体、および前記上部電極から構成される振動部の下にキャビティを形成する工程と、
    前記キャビティの深さを決定するための予備工程とを備え、
    前記予備工程では、
    前記振動部の厚さを半波長とする振動における共振周波数をfrとし、
    前記キャビティを構成する材料内での平均音速をVcとし、
    前記共振周波数frと前記平均音速Vcとに基づいて決定される値をλc(=Vc/fr)として、
    前記キャビティの深さを、nを任意の自然数とした場合、n×λc/2−λc/8以上、n×λc/2+λc/8以下となるように決定することを特徴とする、圧電共振器の製造方法。
  7. 前記キャビティを形成する工程では、前記基板の表面をエッチングし、前記基板の表面に支持部を積み上げて、前記予備工程で決定された深さのキャビティが形成されるようにすることを特徴とする、請求項6に記載の圧電共振器の製造方法。
  8. 前記キャビティを形成する工程では、前記基板の表面を前記予備工程で決定された深さ以上にエッチングし、エッチングされた底部分に調整層を形成することによって、前記予備工程で決定された深さのキャビティが形成されるようにすることを特徴とする、請求項6に記載の圧電共振器の製造方法。
  9. 複数の圧電共振器を備えるフィルタであって、
    少なくとも一つの前記圧電共振器は、
    基板と、
    前記基板の上方に形成された下部電極と、
    前記下部電極の上方に形成された圧電体と、
    前記圧電体の上方に形成された上部電極と、
    前記下部電極、前記圧電体、および前記上部電極によって構成される振動部の下に形成されたキャビティとを備え、
    前記振動部の厚さを半波長とする振動における共振周波数をfrとし、
    前記キャビティを構成する材料内での平均音速をVcとし、
    前記共振周波数frと前記平均音速Vcとに基づいて決定される値をλc(=Vc/fr)とすると、
    前記キャビティの深さは、nを任意の自然数とした場合、n×λc/2−λc/8以上、n×λc/2+λc/8以下となるように設定されていることを特徴とする、フィルタ。
  10. 複数の圧電共振器を備えるフィルタで構成される共用器であって、
    少なくとも一つの前記圧電共振器は、
    基板と、
    前記基板の上方に形成された下部電極と、
    前記下部電極の上方に形成された圧電体と、
    前記圧電体の上方に形成された上部電極と、
    前記下部電極、前記圧電体、および前記上部電極によって構成される振動部の下に形成されたキャビティとを備え、
    前記振動部の厚さを半波長とする振動における共振周波数をfrとし、
    前記キャビティを構成する材料内での平均音速をVcとし、
    前記共振周波数frと前記平均音速Vcとに基づいて決定される値をλc(=Vc/fr)とすると、
    前記キャビティの深さは、nを任意の自然数とした場合、n×λc/2−λc/8以上、n×λc/2+λc/8以下となるように設定されていることを特徴とする、共用器。
  11. 圧電共振器を備える通信機器であって、
    前記圧電共振器は、
    基板と、
    前記基板の上方に形成された下部電極と、
    前記下部電極の上方に形成された圧電体と、
    前記圧電体の上方に形成された上部電極と、
    前記下部電極、前記圧電体、および前記上部電極によって構成される振動部の下に形成されたキャビティとを備え、
    前記振動部の厚さを半波長とする振動における共振周波数をfrとし、
    前記キャビティを構成する材料内での平均音速をVcとし、
    前記共振周波数frと前記平均音速Vcとに基づいて決定される値をλc(=Vc/fr)とすると、
    前記キャビティの深さは、nを任意の自然数とした場合、n×λc/2−λc/8以上、n×λc/2+λc/8以下となるように設定されていることを特徴とする、通信機器。

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