JP3941592B2 - 圧電フィルタ、およびそれを有する電子部品 - Google Patents

圧電フィルタ、およびそれを有する電子部品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話等の通信装置の高周波数(RF、特にGHz帯以上)段のフィルタに使用される、挿入損失が低減された圧電フィルタ、およびそれを有するデュプレクサ等の電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話等の通信装置の高周波数(RF、特にGHz帯以上)段に使用されるフィルタが、優れた各特性を有する圧電共振子を用いて開発されてきた。上記の各特性とは、小型かつ軽量であり、耐振性や耐衝撃性に優れ、製品のバラツキが少なく信頼性に富んでおり、回路の無調整化が図れるため実装の自動化、簡略化が図れ、その上、高周波化を図っても、製造が容易なことである。
【0003】
上記圧電共振子としては、圧電基板の両面に電極をそれぞれ有し、上記各電極間での、圧電基板の厚み縦振動または厚みすべり振動を利用したものが挙げられる。圧電基板の厚み縦振動を利用した圧電共振子の共振周波数は、圧電基板の厚さに反比例する。このため、超高周波領域では圧電基板を極めて薄く加工する必要がある。
【0004】
しかし、圧電基板自体の厚さを薄くするのは、その機械的強度や取り扱い上の制限等から、基本モードでは数100MHzが実用上の高周波限界とされてきた。このような限界の問題を解決するために、従来、フィルタや共振器として圧電薄膜共振子を用いることが提案されている(例えば、特開2001−168674号公報、公開日2001年6月22日)。
【0005】
このような圧電薄膜共振子では、薄膜支持部は微細加工技術を用いて薄くすることができ、圧電薄膜もスパッタリング等によって薄く形成することができるので、数100MHz〜数1000MHzまで高周波特性を延ばすことができる可能性がある。
【0006】
さらに、共振周波数の温度特性を改善した構造として、共振周波数温度特性が正であるSiO薄膜と組み合わせた構造が提案されている(特開昭58−121817号公報、特開昭58−137317号公報、公開日1983年8月15日)。
【0007】
また、圧電共振子のQを向上させるため、下部電極、AlNよりなる圧電体膜、上部電極からなる圧電共振子で、電極材料に熱弾性損失が小さいMoを用いた構造が提案されている(特開2000−69594号公報、公開日2000年3月3日)。
【0008】
これらの圧電共振子を用いて、挿入損失を低減できるラダー型フィルタを構成する場合、直列側圧電共振子と並列側圧電共振子との共振周波数は、ほぼ、互いに通過帯域の相当する周波数だけずらす必要がある。一般には、並列側圧電共振子の周波数を低くする必要がある。
【0009】
周波数をずらす方法として、例えば、特開昭58−121815号公報のように、ダイヤフラム裏面に蒸着などを用いて膜を付加し、その質量付加効果を用いて周波数をずらす方法が提案されている。また、共振周波数をずらすために、特定の圧電共振子の上面に膜を付加し、所望の共振周波数まで膜を除去する方法が提案されている(米国特許第5,894,647号公報、発行日1999年4月20日)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ラダーフィルタや多重モードフィルタ等の、互いに異なる周波数特性(通過帯域)を有する複数の圧電共振子で構成されるフィルタでは、下部電極、圧電薄膜、上部電極等から構成される振動部分の全体の厚みを異ならせることで、周波数特性(通過帯域)を変えることができる。
【0011】
ところが、下部電極や圧電薄膜、さらに下部電極の下に形成されることがある絶縁膜の厚さを異ならせることは可能であるが、製造工程数が増え、コストが増加するという問題がある。
【0012】
そこで、下部電極や圧電薄膜、さらに下部電極の下に形成されることがある絶縁膜の厚さをある程度共通化し、同じ材料で上部電極を形成し、その厚みを各圧電共振子間にて変えることで、周波数特性(通過帯域)を異ならせるという方法が考えられた。
【0013】
しかしながら、圧電共振子では、周波数特性(通過帯域)によって、適正な各膜の比の構成があり、異なる周波数特性(通過帯域)の各圧電共振子の一方に最適な膜構成で上部電極を形成すると、他方(もしくは他の)の圧電共振子は適正な膜の構成にすることができないという課題を従来は有している。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の圧電フィルタは、上記目的を達成するために、基板上に形成されている少なくとも1層の圧電薄膜と、圧電薄膜を挟んで対向する上部電極および下部電極を備えた圧電共振子が、複数、フィルタ機能を有するように設けられ、少なくとも一つの圧電共振子の電極材料が、他の圧電共振子の電極材料と相違していることを特徴としている。
【0015】
上記圧電フィルタにおいては、前記少なくとも一つの圧電共振子における上部電極の電極材料が、他の圧電共振子の電極材料と相違していることが望ましい。
【0016】
上記圧電フィルタでは、少なくとも一つの圧電共振子の電極材料における、振動波の振動方向に沿った方向のスティフネスが、他の圧電共振子の電極材料における、振動波の振動方向に沿った方向のスティフネスと相違していることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、少なくとも一つの圧電共振子(特に上部電極)の電極材料を、他の圧電共振子の電極材料と相違させたことにより、複数の圧電共振子の共振周波数を、好ましい膜構成にて、それぞれ調整できる。
【0018】
また、上記構成では、電極材料が相違することにより、例えばスティフネスを互いに異なるように設定でき、そのような相違によって、付加膜や新たな工程が無くとも、各圧電共振子のQをそれぞれ調整することが可能となる。
【0019】
これらにより、上記構成においては、Qの劣化や新たな工程の追加を回避しながら、フィルタ機能を発揮できて、フィルタの挿入損失の劣化、通過帯域低周波側における肩の切れ(減衰特性)の劣化を防止できる。
【0020】
上記圧電フィルタにおいては、基板は、開口部もしくは凹部を有し、圧電薄膜の振動する部位は、開口部もしくは凹部上に形成されていることが望ましい。
【0021】
上記構成によれば、圧電薄膜の振動する部位を、開口部もしくは凹部上に形成したことにより、圧電薄膜の振動阻害を軽減できて、高周波化が可能となると共にQを高くできる。よって、上記構成では、フィルタの挿入損失の劣化、通過帯域低周波側における肩の切れ(減衰特性)を向上できる。
【0022】
上記圧電フィルタでは、複数の各圧電共振子は、ラダー型に設けられていてもよい。
【0023】
上記圧電フィルタにおいては、並列側の圧電共振子の電極材料における、振動波の振動方向に沿った方向のスティフネスが、直列側の圧電共振子の電極材料における、振動波の振動方向に沿った方向のスティフネスと相違していることが望ましい。
【0024】
上記圧電フィルタでは、圧電薄膜の一方の面上に絶縁膜が、複数、互いの温度係数を異なるように設けられていることが好ましい。上記構成によれば、圧電薄膜や各絶縁膜の各温度特性により、全体としての温度特性をゼロに近づけることが可能となり、温度特性を改善できて、フィルタ特性を向上できる。
【0025】
本発明の電子部品は、前記目的を達成するために、上記各圧電フィルタの何れかを備えたことを特徴としている。
【0026】
上記構成によれば、上記圧電フィルタを備えたことによって、フィルタ特性を改善できて、例えば、優れた分離能を有する分波器(デュプレクサ、DPX)とすることが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明に係る実施の形態の圧電フィルタとしてのラダー型フィルタおよびそれを備えた電子部品としてのDPXに係る実施の形態を図1ないし図6に基づいて以下に説明する。
【0028】
上記ラダー型フィルタには、図1および図2に示すように、ZnOを主成分とする圧電薄膜1を挟んで、Al等からなる下部電極2と、下部電極2と対面する位置に、各上部電極3、4とが形成されている。下部電極2、各上部電極3、4は、それぞれ帯状であり、下部電極2の長手方向が、各上部電極3、4の長手方向とほぼ直交するように配置されている。また、各上部電極3、4は互いに平行となるように並設されている。
【0029】
これにより、圧電薄膜1と下部電極2と上部電極3とで一つの圧電薄膜共振子を、圧電薄膜1と下部電極2と上部電極4とで他の圧電薄膜共振子をそれぞれ形成することが可能となる。
【0030】
また、例えば上部電極4を接地し(GNDに接続し)、下部電極2を入力側、上部電極3を出力側とすることで、図3に示すように、上部電極3を有する直列側圧電共振子11および上部電極4を有する並列側圧電共振子12を備えたL型のラダー型フィルタを構成することができる。
【0031】
上記ラダー型フィルタでは、直列側圧電共振子11の反共振周波数と、並列側圧電共振子12の共振周波数とが略一致すると共に、並列側圧電共振子12の共振周波数が、直列側圧電共振子11の共振周波数より低くなるように設定されている。
【0032】
これらの設定により、上記ラダー型フィルタにおいては、それぞれ減衰極となる並列側圧電共振子12の反共振周波数と直列側圧電共振子11の共振周波数と間に形成される通過域を高選択度なものにできる。これによって、上記ラダー型フィルタは、上記通過域の両側に、上記各減衰極を含む阻止域をそれぞれ備えることになる。
【0033】
そして、上記ラダー型フィルタでは、上部電極3、4の一方と他方で、電極材料が相違しており、例えば、少なくとも一つの圧電共振子の電極材料における、圧電薄膜1の振動波の振動方向に沿った方向のスティフネスが、他の圧電共振子の電極材料における、圧電薄膜1の振動波の振動方向に沿った方向のスティフネスと相違している。より具体例としては、上部電極3がAl、上部電極4がNiの各電極材料からなっており、上部電極4のスティフネスが上部電極3のそれより大きくなっている。
【0034】
上部電極4には、他に、Ta、Nb、Mo、Pt、W、ステンレス系の合金、Al合金、Alに添加物(例えば、Cu、Mg、Si、Zn)、エリンバ等の恒弾性材料でもよい。上記エリンバとは、Fe−Ni−Cr系の合金で、磁気相転移点付近で熱処理することにより膨張係数をコントロールできるものである。また、上部電極4は、その電極材料の振動波の励振方向に平行な方向のスティフネスが2.0×1011Pa以上であるものが好ましい。
【0035】
また、並列側圧電共振子12の下部電極にも上記電極材料を用いても同等の効果が得られるが、好ましくは、圧電薄膜1(この場合はZnO)の振動波が伝わる方向に垂直な方向の格子定数と電極材料の振動波が伝わる方向に垂直な方向の格子定数のミスフィットが5%程度以下であることが望ましい。ラダー型フィルタは、上記L型以外に、図4に示すように、T型,パイ型のいずれでもよく、それらの変形でもかまわない。
【0036】
また、上記ラダー型フィルタでは、図2に示すように、下部電極2や圧電薄膜1を支持するアルミナ(第一絶縁体)膜5、二酸化シリコン(第二絶縁体)膜6、およびシリコン基板7が設けられていることが好ましい。さらに、シリコン基板7においては、圧電薄膜1と、下部電極2と、各上部電極3、4とにより形成される各振動部に対応した位置に空洞部7aが形成されて、上記各振動部の振動の阻害を抑制できるダイヤフラム構造となっていることが望ましい。
【0037】
上記ラダー型フィルタの製造方法について図2を参照しながら説明する。まず、熱酸化、スパッタリング法等の成膜法で形成した二酸化シリコン膜6を有するシリコン基板7上に、電子ビーム蒸着、スパッタリング法等の成膜法によりアルミナ(酸化アルミニウム)膜5を形成し、下部電極(Al)2、ZnOを主成分とする圧電薄膜1、各上部電極(Al、Ni)3、4を順番に形成する。
【0038】
振動部(電極対向部)の下部においては、異方性エッチング、RIE(Reactive Ion Etching)などの手段でシリコン基板7を除去し、二酸化シリコン膜6に達する貫通孔である空洞部7aが、各振動部をダイヤフラム構造となるように形成されている。
【0039】
上記ダイヤフラム構造では、二酸化シリコン膜6が、正の共振周波数温度特性を有し、かつ、圧縮応力を発生するものである一方、アルミナ膜5が、負の共振周波数温度特性を備え、かつ、引っ張り応力を発生するものである。ZnOを主成分とする圧電薄膜1は、負の共振周波数温度特性を備え、かつ、圧縮応力を発生するものである。
【0040】
このような直列側および並列側圧電共振子11、12では、二酸化シリコン膜6、アルミナ膜5、下部電極2、圧電薄膜1、および各上部電極3、4の合計厚さを3μm程度に設定でき、ダイヤフラム構造(振動部)の面積を600μm×600μm程度に設定できる。
【0041】
上記直列側および並列側圧電共振子11、12においては、振動モードは2次モードとなるように、二酸化シリコン膜6の厚さ、アルミナ膜5の厚さ、下部電極2の面積および厚さ、圧電薄膜1の厚さ、および各上部電極3、4の面積および厚さが設定されていることが好ましい。
【0042】
さらに、上記ラダー型フィルタでは、所望する共振周波数の半波長にて共振するように、二酸化シリコン膜6と、アルミナ膜5との合計厚さや、圧電薄膜1と下部電極2と各上部電極3、4との合計厚さをそれぞれ設定されている。つまり、下部電極2と各上部電極3、4の少なくとも一方の厚さは、共振周波数に合わせて設定されていることになる。これにより、上記ラダー型フィルタの振動モードを2次モードとすることをより確実化できる。
【0043】
その上、上記ラダー型フィルタにおいては、下部電極2、圧電薄膜1、および各上部電極3、4は、圧電共振子がエネルギー閉じ込め型となるように設定されていることが好ましい。これにより、振動エネルギーがシリコン基板7中にダイヤフラム構造に沿って漏れることを防止して、Qの高い共振を生じさせることが可能となる。
【0044】
このように上記ラダー型フィルタでは、絶縁膜(支持膜)である二酸化シリコン膜6およびアルミナ膜5の厚さを非常に薄くできることから、100MHz以上の高周波で基本あるいは低次(例えば2次)のオーバトーンで動作する圧電薄膜共振子を実現できる。
【0045】
さらに、上記ラダー型フィルタにおいては、各膜の温度特性や内部応力を互いに相殺するように設定できるから、温度変化や内部応力による悪影響を回避できる。つまり、上記ラダー型フィルタにおいては、共振周波数の温度係数(ppm/℃)をほぼゼロに設定することを容易化できる。
【0046】
また、圧電共振子のダイヤフラム寸法を数百μm以下と非常に小さく、その制作プロセスが半導体集積回路のそれとコンパチブルであることから、集積回路内に組み込むことが可能である。さらに、上記圧電共振子は、数GHzでも弾性表面波装置(SAWデバイス)のようなサブミクロンのパターニングが不要であり、製造を容易化、簡便化できる。
【0047】
このようにラダー型フィルタでは、並列側圧電共振子12の上部電極4のスティフネスを直列側圧電共振子11より大きく設定することで、並列側圧電共振子12のQ、k2 を向上させることが可能となる。
【0048】
表1に、上部電極4の電極材料を変えることによる圧電共振子の特性を調べた結果を示す。表1の結果から、スティフネスの小さいAlを使うよりも、スティフネスの大きいMo,Ni,Nb,Taを上部電極4に使ったほうがQ、kが大きくなっていることがわかる。これは、スティフネスが大きい材料を用いると、振動し易くなるため、共振子の振動エネルギーのロスが低下することによる。
【0049】
【表1】
Figure 0003941592
【0050】
上記表1では、スティフネスCll の単位を×1011Paとし、また、共振周波数を1800MHz〜2000MHzに設定した。
【0051】
このときの各膜の膜厚は、上部電極4:表1に記載、圧電薄膜1:1.25μm、下部電極2:0.18μm、アルミナ膜5:0.45μm、二酸化シリコン膜6:1.2μmである。
【0052】
また、上記ラダー型フィルタでは、上部電極3、4の電極材料を互いに異なるように変えたので、直列側圧電共振子11の上部電極3を形成した後、直列側圧電共振子11の特性に合わせて、並列側圧電共振子12の上部電極4の材料、厚さを調整することが可能となり、フィルタ特性を設定できるパラメータの数を多くすることができ、設計自由度を大きくできる。
【0053】
その上、上記ラダー型フィルタにおいては、並列側圧電共振子12のQを向上できるため、ラダー型フィルタ特性をいっそう改善できる(挿入損失低減、通過帯域低周波側の肩の切れが良くできる)。
【0054】
なお、上記では、本発明をラダー型フィルタに適用した例を挙げたが、複数の電極を有する圧電フィルタであれば適用可能である。そのような圧電フィルタとしては、例えば多重モード型フィルタが挙げられる。多重モード型フィルタでは、その各電極の大きさや質量や、相互間の間隔を調整することで、不平衡信号を平衡信号に変換して外部に出力したり、逆に、平衡信号を、不平衡信号に変換して出力したりできる。
【0055】
このような、平衡−不平衡変換機能を有する多重モード型フィルタと、挿入損失が低い、上述した本発明に係るラダー型フィルタとを組み合わせて、優れたフィルタ特性と平衡−不平衡変換機能とを同時に実現できる。
【0056】
また、上記においては、1つの圧電薄膜1を用いた例を挙げたが、別々の各圧電薄膜にそれぞれ設けられた各電極に対して本発明を適用することもできる。さらに、各上部電極3、4の好ましい組み合わせとしては、上部電極3にアルミニウム(Al)を用いたとき、上部電極4はニッケル(Ni)または白金(Pt)、上部電極3にニッケルを用いたとき、上部電極4は白金である。
【0057】
白金のヤング率は168GPa、ニッケルのヤング率は219.2GPa、アルミニウムのヤング率は70.3GPaである。一般に、振動方向に沿ったスティフネスは、ヤング率と正の相関を有している。よって、振動方向に沿った、白金のスティフネスは、アルミニウムのスティフネスより大きいことが分かる。
【0058】
次に、本発明の電子部品としてのデュプレクサ(分波器、DPX)は、図5に示すように、ANT(アンテナ)に接続された整合回路52と、整合回路52と送信側端子(Tx)との間に設けられた送信側フィルタ53と、整合回路52と受信側端子(Rx)との間に設けられた受信側フィルタ54とを有している。
【0059】
送信側フィルタ53および受信側フィルタ54は、通過帯域が互いに相違するように設定されている。
【0060】
そして、送信側フィルタ53および受信側フィルタ54の少なくとも一方は、本発明に係るラダー型フィルタにより形成されていることが好ましい。送信側フィルタ53および受信側フィルタ54の少なくとも一方に、本発明のラダー型フィルタを用いることで、肩の切れがよい、良好なフィルタ特性を有するDPXとすることが可能となる。肩の切れがよいとは、通過帯域の上下端から、所定の減衰量まで落とすのに必要な周波数間隔が小さいことである。
【0061】
本発明の圧電フィルタは、前述したように、平衡−不平衡変換機能を有するように設定できるので、DPXへの応用が容易である。ラダー型フィルタの端子をアンテナ側、不平衡出力を平衡出力に変換する多重モード型フィルタの端子をICなど、内部回路に接続するだけでよく、付加部品なしで、DPXを構成することができる。
【0062】
その上、上記DPXでは、フィルタの挿入損失が低減されるので、DPXの挿入損失も軽減できる。さらに、特に、フィルタの通過帯域低周波側における肩の切れが良くなるので、DPXの送信側および受信側フィルタ53、54の通過帯域低周波側における肩の切れを良くできる。
【0063】
なお、上記ラダー型フィルタにおいては、ダイヤフラム構造が空洞部7aに面する例を挙げたが、上記ダイヤフラム構造は、振動のQを劣化させる固体ではなく、空気等の気体に面していればよく、上記空洞部7aに代えて、図6に示すようにシリコン基板7に設けた凹部7bを設けたものでもよい。さらに、上記空洞部7aに代えて、シリコン基板7との間に形成した空隙部に面するように設定してもよく、また圧電共振子を片持ばり構造や、オーバハング構造に設定してもよい。
【0064】
また、直列側および並列側圧電共振子11、12は、電極(Ni、Alなど)、圧電薄膜(ZnOなど)、ダイヤフラム構成膜(アルミナ、二酸化シリコンなど)から構成され、好ましくは厚み縦振動モードで振動するが、材料はこれらに限ることなく、圧電薄膜として、AlNやPZTやCdSなど、ダイヤフラム構成膜として、SiNなどでもよい。さらに、振動モードは、厚みすべり振動、広がり振動、屈曲振動でもよい。
【0065】
なお、本発明の圧電フィルタは、基板上に形成されている少なくとも1層の圧電薄膜と 、圧電薄膜を挟んで対向する上部電極および下部電極を備えた圧電共振子が、複数、フィルタ機能を有するように設けられ、少なくとも一つの圧電共振子の電極材料が、他の圧電共振子の電極材料と相違していてもよい。
【0066】
また、本発明の圧電フィルタは、前記少なくとも一つの圧電共振子における上部電極の電極材料が、他の圧電共振子の電極材料と相違していてもよい。
【0067】
さらに、本発明の圧電フィルタは、少なくとも一つの圧電共振子の電極材料における、振動波の振動方向に沿った方向のスティフネスが、他の圧電共振子の電極材料における、振動波の振動方向に沿った方向のスティフネスと相違していてもよい。
【0068】
また、本発明の圧電フィルタは、並列側の圧電共振子の電極材料における、振動波の振動方向に沿った方向のスティフネスが、直列側の圧電共振子の電極材料における、振動波の振動方向に沿った方向のスティフネスと相違していてもよい。
【0069】
【発明の効果】
本発明の圧電フィルタは、以上のように、基板上に形成されている、少なくとも1層の圧電薄膜と、圧電薄膜を挟んで対向する各電極とを備えた圧電共振子が、複数、フィルタ機能を有するように設けられ、少なくとも一つの圧電共振子の電極材料が、他の圧電共振子の電極材料と相違している構成である。
【0070】
それゆえ、上記構成は、圧電共振子の電極材料を、他の圧電共振子の電極材料と相違させることにより、複数の圧電共振子の共振周波数を好ましい膜構成にて、それぞれ調整できると共に、付加膜や新たな工程を省いて、圧電共振子のQを調整、つまり大きくできて、フィルタ特性を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るラダー型フィルタの要部平面図である。
【図2】 上記ラダー型フィルタの断面図である。
【図3】 上部ラダー型フィルタの回路ブロック図である。
【図4】 上記ラダー型フィルタの各変形例であって、(a)はT型、(b)はパイ型を示す。
【図5】 本発明に係るDPXの回路ブロック図である。
【図6】 上記ラダー型フィルタの一変形例の断面図である。
【符号の説明】
1 圧電薄膜
2 下部電極
3 上部電極
4 上部電極
7 シリコン基板
11 直列側圧電共振子
12 並列側圧電共振子

Claims (6)

  1. 基板上に形成されている少なくとも1層の圧電薄膜と、圧電薄膜を挟んで対向する上部電極および下部電極を備えた圧電共振子が、複数、フィルタ機能を有するように設けられ、
    並列側圧電共振子の電極材料での、振動波の振動方向に沿った方向のスティフネスを、直列側圧電共振子の電極材料での、振動波の振動方向に沿った方向のスティフネスよりも大きくしていることを特徴とする圧電フィルタ。
  2. 前記並列側の圧電共振子の上部電極の電極材料での、振動波の振動方向に沿った方向のスティフネスを、前記直列側の圧電共振子の電極材料での、振動波の振動方向に沿った方向のスティフネスよりも大きくしていることを特徴とする請求項1記載の圧電フィルタ。
  3. 基板は、開口部もしくは凹部を有し、
    圧電薄膜の振動する部位は、開口部もしくは凹部上に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の圧電フィルタ。
  4. 複数の各圧電共振子は、ラダー型に設けられていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の圧電フィルタ。
  5. 圧電薄膜の一方の面上に絶縁膜が、複数、互いの温度係数を異なるように設けられていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の圧電フィルタ。
  6. 請求項1ないし5の何れか1項に記載の圧電フィルタを有することを特徴とする電子部品。
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