JP2005158494A - 薄膜の形成方法、電気光学装置の製造方法及び電気光学装置並びに電子機器 - Google Patents

薄膜の形成方法、電気光学装置の製造方法及び電気光学装置並びに電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】膜表面の平坦性の良好な薄膜を形成可能な薄膜の形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】隔壁で囲われた薄膜形成面に薄膜材料液を充填して薄膜を形成する薄膜の製造方法であって、前記薄膜形成面に、表面が前記薄膜材料に対して親液性を有し、前記薄膜形成面と略平行な平坦面を有する第1隔壁を形成する第1隔壁形成工程と、前記第1隔壁の平坦面が露出するように第2隔壁を前記第1隔壁上に形成する第2隔壁形成工程と、 前記第2隔壁の表面に、前記薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層を形成する撥液層形成工程と、前記第1隔壁及び第2隔壁で囲まれた領域に前記薄膜材料液を充填、乾燥して前記第1隔壁の厚みよりも膜厚の厚い薄膜を形成する薄膜形成工程と、前記撥液層及び前記薄膜の前記撥液層との当接部近傍を除去する除去工程と、を含む。
【選択図】 図2

Description

本発明は、隔壁で囲われた領域内に薄膜を形成する薄膜の形成方法に関する。また、この薄膜の形成方法を用いた電気光学装置の製造方法及び電気光学装置並びに電子機器に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELという)薄膜などの有機半導体素子やカラーフィルタなどの有機薄膜を、インクジェットプロセスなどの液滴吐出法を用いたプロセスを用いて同一の基板上に所定のパターンに形成する技術が開発されている。このような技術を利用して、例えば表示装置に用いられる、有機EL薄膜を用いた電気光学装置などが製造される。この電気光学装置は、基板上の表示面となる領域に形成され、所定のパターンで区分される複数の画素に有機EL薄膜を形成し、各画素における発光の有無を制御することによって表示を行うものであう。そして、この画素内に有機EL薄膜を形成する際にインクジェットプロセスが利用される。以下では、インクジェットプロセスでの薄膜の形成について、有機EL薄膜を用いた電気光学装置の場合を例に挙げて説明する。
図13は、従来の電気光学装置の画素部の要部断面図であり、図14は、従来の電気光学装置における薄膜形成時における乾燥工程を模式的に示す図である。上述したように、有機EL薄膜は基板上に所定のパターンで区分された画素ごとに作製される。基板上には、インクジェットプロセスによる有機EL薄膜の形成時に、インクジェットプロセスにおいて吐出された液体材料(薄膜材料液)が隣接する画素に流出しないように、断面形状が凸状の仕切部材(以下、バンクという)242が互いに隣接する画素間に設けられている。このバンクは、基板210上に形成された図示しない画素電極上に液滴充填領域RSを囲むように形成される第1隔壁243と、その上部に形成される第2隔壁244と、から構成される。ここで、第1隔壁243の上面の開口部よりも第2隔壁244の下面の開口部の方が大きくなるように、その断面が段差状に構成されている。また、第1隔壁243と画素電極とは薄膜材料液に対して親液性を有する無機材料によって形成され、または親液性を有するように表面処理がなされ、第2隔壁244は同薄膜材料液に対して撥液性を有する有機材料によって形成され、または撥液性を有するように表面処理がなされている。
このようなバンクによって囲まれた各発光領域には、液滴の表面が図14の線分L1に示されるように第2隔壁244の上面よりも盛り上がるように、薄膜材料液がインクジェットプロセスにより充填される。そして、この薄膜材料液を乾燥させることで、液滴の表面が線分L1〜線分L4に示されるように徐々に下がり、最終的には乾燥によって表面が線分L4で示すような有機EL薄膜245が形成される。図14においては図示しないが、有機EL薄膜245は正孔注入層上に発光層が形成された積層構造とされている。乾燥時において、液滴は、第2隔壁244の表面ではじかれ、第1隔壁243の表面及び画素電極の表面ではなじむので、画素電極上の液滴充填領域RS内にほぼ平坦な有機EL薄膜が形成される(例えば、特許文献1参照)。
特許第3328297号公報(図11F、図12C)
ところで、上述したバンク242の構成は、第1隔壁243の上面の開口部よりも第2隔壁244の下面の開口部の方が大きく、その断面は階段状の形状を呈するように構成されており、第1隔壁243の上面の一部には、第2隔壁244が形成されていない第2隔壁244から露出した平坦部251が存在する。そして、有機EL薄膜245の膜厚(有機EL薄膜245を形成するために液滴充填領域RSに注入する薄膜材料液の量)と第1隔壁の厚さとの関係によっては、有機EL薄膜245の周辺部が盛り上がってしまう場合がある。
すなわち、有機EL薄膜245の膜厚が第1隔壁243の厚さよりも厚い場合(液滴充填領域RSに注入する薄膜材料液の量が多い場合)には、薄膜材料液の液滴は該液滴に対して撥液性を有する第2隔壁244と最後まで接しながら乾燥するが、この際、第2隔壁244の表面の撥液性は完全ではないため、液滴は第2隔壁244の表面の表面に引っ張られた状態で乾燥する。このため、最終的に形成された有機EL薄膜245は、図14及び図15に示すように周縁部において第2隔壁244の表面に沿って盛り上がった状態となり、膜厚が一様にならず、表面の平坦性の悪いものとなる。そして、平坦部251上の有機EL薄膜245の膜厚が薄い場合には、該平坦部251上に正孔注入層がなくても画素電極上の正孔注入層からのわずかに正孔が注入されるため、周縁部の有機EL薄膜245でも発光が起こり、これが画素内における発光輝度の不均一性を引き起こすという問題がある。
したがって、上述したいずれの場合においても画素内に形成された有機EL薄膜245の表面の平坦性が悪くなることにより、画素内において発光輝度の不均一性が生じるという問題が生じる。
また、このような画素の構造においては、対向電極が第2隔壁244の側面上及び有機EL薄膜245上に形成され、この場合、対向電極は第2隔壁244及び有機EL薄膜245のみで支持されている。ここで、対向電極は第2隔壁244の表面、すなわち撥液性の表面に接した状態となっている。このため、対向電極は第2隔壁244の表面に接してはいるものの該第2隔壁244の表面が撥液性を有するため密着はしておらず、第2隔壁244によって確実には支持されず対向電極の機械的強度が不十分となる場合がある。特にインクジェット法を用いて有機EL薄膜245を形成する場合などにこの問題が顕著となる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、膜表面の平坦性の良好な(膜厚の均一な)薄膜を形成可能な薄膜の形成方法を提供することを目的とする。また、これを用いた発光輝度の均一性の良好な電気光学装置の製造方法、該製造方法により作製した電気光学装置及び電子機器を提供することを目的とする。また、電極が確実に支持されるとともに良好な機械強度を有する、高品質な電気光学装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる薄膜の形成方法は、隔壁で囲われた薄膜形成面に薄膜材料液を充填して薄膜を形成する薄膜の製造方法であって、薄膜形成面に、表面が薄膜材料に対して親液性を有し、薄膜形成面と略平行な平坦面を有する第1隔壁を形成する第1隔壁形成工程と、第1隔壁の平坦面が露出するように第2隔壁を第1隔壁上に形成する第2隔壁形成工程と、第2隔壁の表面に、薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層を形成する撥液層形成工程と、第1隔壁及び第2隔壁で囲まれた領域に薄膜材料液を充填、乾燥して第1隔壁の厚みよりも膜厚の厚い薄膜を形成する薄膜形成工程と、撥液層及び薄膜の撥液層との当接部近傍を除去する除去工程と、を含むことを特徴とする。
以上のような本発明に係る薄膜の形成方法においては、表面が薄膜材料に対して親液性を有する第1隔壁の上に第2隔壁を形成し、撥液層形成工程において、薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層を第2隔壁の表面に形成する。そして、薄膜形成工程においては、乾燥後に得られる薄膜の膜厚が第1隔壁の厚みよりも厚くなるように液適量が調整されて薄膜材料液が第1隔壁及び第2隔壁で囲まれた領域に充填され、その後薄膜材料液を乾燥させることにより薄膜が形成される。
このように第1隔壁の表面に親液性をもたせることにより、薄膜材料液と第1隔壁の表面との濡れ性を良好な状態とすることができ、薄膜材料液が充填された際に薄膜材料液が第1隔壁で囲まれた領域に均一且つ確実に濡れ広がるため、薄膜を均一に形成することができる。
また、第2隔壁の表面に薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層を形成することにより、第2隔壁の高さを超える量の薄膜材料液を充填しても薄膜材料液の表面張力により第2隔壁の外部に薄膜材料液が流れ出すことがない。
そして、薄膜材料液が乾燥して得られる薄膜は、薄膜形成面の第1隔壁及び第2隔壁で囲まれた領域上および第1隔壁に設けられた平坦面上に形成される。したがって、薄膜の表面の位置が第1隔壁の平坦面よりも下の位置となり、薄膜材料液の乾燥時に第1隔壁に設けられた平坦面上に液滴が残留してしまうという状況が生じない。したがって、液滴が第1隔壁に設けられた平坦面上に残留することに起因して薄膜の周縁部の膜厚が薄くなり、薄膜表面の平坦性が悪くなることがない。
また、薄膜材料液の液滴は該液滴に対して撥液性を有する撥液層と最後まで接しながら乾燥し、液滴は撥液層の表面の表面に引っ張られた状態で乾燥する。このため、乾燥後に得られる薄膜の周縁部は、撥液層の表面に沿って盛り上がった状態となっている。そこで、本発明においては乾燥終了後に撥液層及び薄膜の撥液層との当接部近傍を除去する。これにより、薄膜の周縁部であり、撥液層の表面に沿って盛り上がった状態に形成された部分が除去され、表面の平坦性の良好な部分のみが残される。なお、最終的に得られる薄膜は、第1隔壁の平坦面上の薄膜と第2隔壁との間には空間が形成されており、第1隔壁の平坦面上の薄膜と第2隔壁とは離間した状態とされている。
したがって、本発明に係る薄膜の形成方法によれば、隔壁に囲まれた領域内に、表面の平坦性の良好な薄膜を簡便且つ確実に形成することができるという効果を奏する。
また、本発明の好ましい態様によれば、薄膜形成面の第1隔壁で囲まれた領域及び第1隔壁の表面の薄膜材料液に対する親液性を高める親液性調整工程を有することを特徴とする。このように第1隔壁の表面および薄膜形成面の第1隔壁で囲まれた領域の薄膜材料液に対する親液性を高めることにより、薄膜材料液と、第1隔壁の表面および薄膜形成面の第1隔壁で囲まれた領域と、の濡れ性を良好な状態とすることができ、薄膜材料液が充填された際に薄膜材料液が第1隔壁で囲まれた領域に均一且つ確実に濡れ広がるため、薄膜をより均一に形成することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、上記の撥液層形成工程において撥液層を光分解性材料により形成し、除去工程において撥液層に光を照射して該撥液層を分解除去することを特徴とする。撥液層を光分解性材料により形成することにより、撥液層に光を照射するだけで撥液層を簡単に分解除去することができ、簡便且つ確実に撥液層を除去することが可能である。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる電気光学装置の製造方法は、隔壁で囲われた薄膜形成面に薄膜材料液を充填して薄膜を形成する工程を含む電気光学装置の製造方法であって、薄膜形成面に、表面が薄膜材料に対して親液性を有し、薄膜形成面と略平行な平坦面を有する第1隔壁を形成する第1隔壁形成工程と、第1隔壁の平坦面が露出するように第2隔壁を第1隔壁上に形成する第2隔壁形成工程と、第2隔壁の表面に、薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層を形成する撥液層形成工程と、第1隔壁及び第2隔壁で囲まれた領域に薄膜材料液を充填、乾燥して第1隔壁の厚みよりも膜厚の厚い薄膜を形成する薄膜形成工程と、撥液層及び薄膜の撥液層との当接部近傍を除去する除去工程と、を含むことを特徴とする。
以上のような本発明に係る電気光学装置の製造方法においては、隔壁で囲われた薄膜形成面に薄膜材料液を充填して薄膜を形成する際に、表面が薄膜材料に対して親液性を有する第1隔壁の上に第2隔壁を形成し、撥液層形成工程において、薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層を第2隔壁の表面に形成する。そして、薄膜形成工程においては、乾燥後に得られる薄膜の膜厚が第1隔壁の厚みよりも厚くなるように液適量が調整されて薄膜材料液が第1隔壁及び第2隔壁で囲まれた領域に充填され、その後薄膜材料液を乾燥させることにより薄膜が形成される。
このように第1隔壁の表面に親液性をもたせることにより、薄膜材料液と第1隔壁の表面との濡れ性を良好な状態とすることができ、薄膜材料液が充填された際に薄膜材料液が第1隔壁で囲まれた領域に均一且つ確実に濡れ広がるため、薄膜を均一に形成することができる。
また、第2隔壁の表面に薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層を形成することにより、第2隔壁の高さを超える量の薄膜材料液を充填しても薄膜材料液の表面張力により第2隔壁の外部に薄膜材料液が流れ出すことがない。
そして、薄膜材料液が乾燥して得られる薄膜は、薄膜形成面の第1隔壁及び第2隔壁で囲まれた領域上および第1隔壁に設けられた平坦面上に形成される。したがって、薄膜の表面の位置が第1隔壁の平坦面よりも下の位置となり、薄膜材料液の乾燥時に第1隔壁に設けられた平坦面上に液滴が残留してしまうという状況が生じない。したがって、液滴が第1隔壁に設けられた平坦面上に残留することにより薄膜の周縁部の膜厚が薄くなり、薄膜表面の平坦性が悪くなることを防止することができる。
また、薄膜材料液の液滴は該液滴に対して撥液性を有する撥液層と最後まで接しながら乾燥し、液滴は撥液層の表面の表面に引っ張られた状態で乾燥する。このため、乾燥後に得られる薄膜の周縁部は、撥液層の表面に沿って盛り上がった状態となっている。そこで、本発明においては乾燥終了後に撥液層及び薄膜の撥液層との当接部近傍を除去する。これにより、薄膜の周縁部であり、撥液層の表面に沿って盛り上がった状態に形成された部分が除去され、表面の平坦性の良好な部分のみが残される。なお、最終的に得られる薄膜は、第1隔壁の平坦面上の薄膜と第2隔壁との間には空間が形成されており、第1隔壁の平坦面上の薄膜と第2隔壁とは離間した状態とされている。
したがって、本発明に係る電気光学装置の製造方法によれば、隔壁に囲まれた領域内に、表面の平坦性の良好な薄膜を簡便且つ確実に形成することができ、薄膜表面の平坦性に起因した品質低下のない、高品質な電気光学装置を作製できるという効果を奏する。
また、本発明の好ましい態様によれば、薄膜形成面の第1隔壁で囲まれた領域及び第1隔壁の表面の薄膜材料液に対する親液性を高める親液性調整工程を有することを特徴とする。このように第1隔壁の表面および薄膜形成面の第1隔壁で囲まれた領域の薄膜材料液に対する親液性を高めることにより、薄膜材料液と、第1隔壁の表面および薄膜形成面の第1隔壁で囲まれた領域と、の濡れ性を良好な状態とすることができ、薄膜材料液が充填された際に薄膜材料液が第1隔壁で囲まれた領域に均一且つ確実に濡れ広がるため、薄膜をより均一に形成することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、薄膜形成工程において有機エレクトロルミネッセンス膜を形成することを特徴とする。これにより隔壁に囲まれた領域内に表面の平坦性の良好な有機エレクトロルミネッセンス薄膜を簡便且つ確実に形成することができ、高品質の有機エレクトロルミネッセンス表示装置を作製することができる。すなわち、有機エレクトロルミネッセンス膜を備えた電気光学装置であって、該有機エレクトロルミネッセンス膜の薄膜表面の平坦性に起因した品質低下のない、高品質な電気光学装置を作製できるという効果を奏する。
また、本発明の好ましい態様によれば、上記の有機エレクトロルミネッセンス膜が、発光層と該発光層における発光を高めるための機能を有する補助層とを有し、薄膜形成工程において、乾燥後の補助層の膜厚が第1隔壁の厚み以下となるように補助層を形成する薄膜材料液を充填、乾燥後に、発光層を形成する薄膜材料液を充填、乾燥することを特徴とする。これにより、隔壁に囲まれた領域内に、表面の平坦性の良好な発光層を簡便且つ確実に形成することができる。その結果、発光層と補助層とを有した有機エレクトロルミネッセンス膜を備えた電気光学装置であって、該有機エレクトロルミネッセンス膜の平坦性に起因した品質低下のない、高品質な電気光学装置を作製できるという効果を奏する。
また、本発明の好ましい態様によれば、上記の撥液層形成工程において撥液層を光分解性材料により形成し、除去工程において撥液層に光を照射して該撥液層を分解除去することを特徴とする。撥液層を光分解性材料により形成することにより、撥液層に光を照射するだけで撥液層を簡単に分解除去することができ、簡便且つ確実に撥液層を除去することが可能である。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる薄膜の形成方法は、隔壁で囲われた薄膜形成面に薄膜材料液を充填して薄膜を形成する薄膜の製造方法であって、薄膜形成面に、表面が薄膜材料に対して親液性を有し、薄膜形成面と略平行な平坦面を有する第1隔壁を形成する第1隔壁形成工程と、第1隔壁の平坦面が露出するように、表面が薄膜材料に対して親液性を有し、薄膜形成面と略平行な平坦面を有する第2隔壁を第1隔壁上に形成する第2隔壁形成工程と、第2隔壁の平坦面が露出するように第2隔壁上に第3隔壁を形成する第3隔壁形成工程と、第3隔壁の表面に、薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層を形成する撥液層形成工程と、第1隔壁、第2隔壁及び第3隔壁で囲まれた領域に薄膜材料液を充填、乾燥して、第1隔壁の厚みと第2隔壁の厚みとを合わせた厚みよりも膜厚が厚い薄膜を形成する薄膜形成工程と、撥液層及び薄膜の撥液層との当接部近傍を除去する除去工程と、を含むことを特徴とする。
以上のような本発明に係る薄膜の形成方法においては、表面が薄膜材料に対して親液性を有する第1隔壁、第2隔壁の上に第3隔壁を形成し、撥液層形成工程において、薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層を第3隔壁の表面に形成する。そして、薄膜形成工程においては、乾燥後に得られる薄膜の膜厚が第1隔壁の厚みと第2隔壁の厚みとを合わせた厚みよりも厚くなるように液適量が調整されて薄膜材料液が第1隔壁、第2隔壁及び第3隔壁で囲まれた領域に充填され、その後薄膜材料液を乾燥させることにより薄膜が形成される。
このように第1隔壁及び第2隔壁の表面に親液性をもたせることにより、薄膜材料液と第1隔壁及び第2隔壁の表面との濡れ性を良好な状態とすることができ、薄膜材料液が充填された際に薄膜材料液が第1隔壁及び第2隔壁で囲まれた領域に均一且つ確実に濡れ広がるため、薄膜を均一に形成することができる。
また、第3隔壁の表面に薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層を形成することにより、第3隔壁の高さを超える量の薄膜材料液を充填しても薄膜材料液の表面張力により第3隔壁の外部に薄膜材料液が流れ出すことがない。
そして、薄膜材料液が乾燥して得られる薄膜は、薄膜形成面の第1隔壁、第2隔壁及び第3隔壁で囲まれた領域上および第2隔壁に設けられた平坦面上に形成される。したがって、薄膜の表面の位置が第2隔壁の平坦面よりも下の位置となり、薄膜材料液の乾燥時に第2隔壁に設けられた平坦面上に液滴が残留してしまうという状況が生じない。したがって、液滴が第2隔壁に設けられた平坦面上に残留することに起因して薄膜の周縁部の膜厚が薄くなり、薄膜表面の平坦性が悪くなることを防止することができる。
また、薄膜材料液の液滴は該液滴に対して撥液性を有する撥液層と最後まで接しながら乾燥し、液滴は撥液層の表面の表面に引っ張られた状態で乾燥する。このため、乾燥後に得られる薄膜の周縁部は、撥液層の表面に沿って盛り上がった状態となっている。そこで、本発明においては乾燥終了後に撥液層及び薄膜の撥液層との当接部近傍を除去する。これにより、薄膜の周縁部であり、撥液層の表面に沿って盛り上がった状態に形成された部分が除去され、表面の平坦性の良好な部分のみが残される。なお、最終的に得られる薄膜は、第2隔壁の平坦面上の薄膜と第3隔壁との間には空間が形成されており、第2隔壁の平坦面上の薄膜と第3隔壁とは離間した状態とされている。
したがって、本発明に係る薄膜の形成方法によれば、隔壁に囲まれた領域内に、表面の平坦性の良好な薄膜を簡便且つ確実に形成することができるという効果を奏する。
また、本発明の好ましい態様によれば、薄膜形成面の第1隔壁で囲まれた領域と第1隔壁の表面と第2隔壁の表面との薄膜材料液に対する親液性を高める親液性調整工程を有することを特徴とする。このように薄膜形成面の第1隔壁で囲まれた領域、第1隔壁の表面及び第2隔壁の表面の薄膜材料液に対する親液性を高めることにより、薄膜材料液と、薄膜形成面の第1隔壁で囲まれた領域、第1隔壁の表面及び第2隔壁の表面と、の濡れ性を良好な状態とすることができ、薄膜材料液が充填された際に薄膜材料液が第1隔壁及び第2隔壁で囲まれた領域に均一且つ確実に濡れ広がるため、薄膜をより均一に形成することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、上記の撥液層形成工程において撥液層を光分解性材料により形成し、除去工程において撥液層に光を照射して該撥液層を分解除去することを特徴とする。撥液層を光分解性材料により形成することにより、撥液層に光を照射するだけで撥液層を簡単に分解除去することができ、簡便且つ確実に撥液層を除去することが可能である。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる電気光学装置の製造方法は、隔壁で囲われた薄膜形成面に薄膜材料液を充填して薄膜を形成する工程を含む電気光学装置の製造方法であって、薄膜形成面に、表面が薄膜材料に対して親液性を有し、薄膜形成面と略平行な平坦面を有する第1隔壁を形成する第1隔壁形成工程と、第1隔壁の平坦面が露出するように、表面が薄膜材料に対して親液性を有し、薄膜形成面と略平行な平坦面を有する第2隔壁を第1隔壁上に形成する第2隔壁形成工程と、第2隔壁の平坦面が露出するように第2隔壁上に第3隔壁を形成する第3隔壁形成工程と、第3隔壁の表面に、薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層を形成する撥液層形成工程と、第1隔壁、第2隔壁及び第3隔壁で囲まれた領域に薄膜材料液を充填、乾燥して、第1隔壁の厚みと第2隔壁の厚みとを合わせた厚みよりも膜厚が厚い薄膜を形成する薄膜形成工程と、撥液層及び薄膜の撥液層との当接部近傍を除去する除去工程と、を含むことを特徴とする。
以上のような本発明に係る電気光学装置の製造方法においては、隔壁で囲われた薄膜形成面に薄膜材料液を充填して薄膜を形成する際に、表面が薄膜材料に対して親液性を有する第1隔壁、第2隔壁の上に第3隔壁を形成し、撥液層形成工程において、薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層を第3隔壁の表面に形成する。そして、薄膜形成工程においては、乾燥後に得られる薄膜の膜厚が第1隔壁の厚みと第2隔壁の厚みとを合わせた厚みよりも厚くなるように液適量が調整されて薄膜材料液が第1隔壁、第2隔壁及び第3隔壁で囲まれた領域に充填され、その後薄膜材料液を乾燥させることにより薄膜が形成される。
このように第1隔壁及び第2隔壁の表面に親液性をもたせることにより、薄膜材料液と第1隔壁及び第2隔壁の表面との濡れ性を良好な状態とすることができ、薄膜材料液が充填された際に薄膜材料液が第1隔壁及び第2隔壁で囲まれた領域に均一且つ確実に濡れ広がるため、薄膜を均一に形成することができる。
また、第3隔壁の表面に薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層を形成することにより、第3隔壁の高さを超える量の薄膜材料液を充填しても薄膜材料液の表面張力により第3隔壁の外部に薄膜材料液が流れ出すことがない。
そして、薄膜材料液が乾燥して得られる薄膜は、薄膜形成面の第1隔壁及び第2隔壁で囲まれた領域上および第1隔壁に設けられた平坦面上に形成される。したがって、薄膜の表面の位置が第1隔壁の平坦面よりも下の位置となり、薄膜材料液の乾燥時に第1隔壁に設けられた平坦面上に液滴が残留してしまうという状況が生じない。したがって、液滴が第1隔壁に設けられた平坦面上に残留することにより薄膜の周縁部の膜厚が薄くなり、薄膜表面の平坦性が悪くなることを防止することができる。
また、薄膜材料液の液滴は該液滴に対して撥液性を有する撥液層と最後まで接しながら乾燥し、液滴は撥液層の表面の表面に引っ張られた状態で乾燥する。このため、乾燥後に得られる薄膜の周縁部は、撥液層の表面に沿って盛り上がった状態となっている。そこで、本発明においては乾燥終了後に撥液層及び薄膜の撥液層との当接部近傍を除去する。これにより、薄膜の周縁部であり、撥液層の表面に沿って盛り上がった状態に形成された部分が除去され、表面の平坦性の良好な部分のみが残される。なお、最終的に得られる薄膜は、第2隔壁の平坦面上の薄膜と第3隔壁との間には空間が形成されており、第2隔壁の平坦面上の薄膜と第3隔壁とは離間した状態とされている。
したがって、本発明に係る電気光学装置の製造方法によれば、隔壁に囲まれた領域内に、表面の平坦性の良好な薄膜を簡便且つ確実に形成することができ、薄膜表面の平坦性に起因した品質低下のない、高品質な電気光学装置を作製できるという効果を奏する。
また、本発明の好ましい態様によれば、薄膜形成面の第1隔壁で囲まれた領域と第1隔壁の表面と第2隔壁の表面との薄膜材料液に対する親液性を高める親液性調整工程を有することを特徴とする。このように薄膜形成面の第1隔壁で囲まれた領域、第1隔壁の表面及び第2隔壁の表面の薄膜材料液に対する親液性を高めることにより、薄膜材料液と、薄膜形成面の第1隔壁で囲まれた領域、第1隔壁の表面及び第2隔壁の表面と、の濡れ性を良好な状態とすることができ、薄膜材料液が充填された際に薄膜材料液が第1隔壁及び第2隔壁で囲まれた領域に均一且つ確実に濡れ広がるため、薄膜をより均一に形成することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、薄膜形成面を形成する第1の電極を形成する第1の電極形成工程と、有機エレクトロルミネッセンス膜を形成する薄膜形成工程と、有機エレクトロルミネッセンス膜、第1隔壁及び第2隔壁を覆うように第1の電極と対向する第2の電極を形成する第2の電極形成工程と、を含むことを特徴とする。これにより隔壁に囲まれた領域内に表面の平坦性の良好な有機エレクトロルミネッセンス薄膜を簡便且つ確実に形成することができ、高品質の有機エレクトロルミネッセンス表示装置を作製することができる。すなわち、有機エレクトロルミネッセンス膜を備えた電気光学装置であって、該有機エレクトロルミネッセンス膜の薄膜表面の平坦性に起因した品質低下のない、高品質な電気光学装置を作製できるという効果を奏する。
また、本発明の好ましい態様によれば、上記の有機エレクトロルミネッセンス膜が、発光層と該発光層における発光を高めるための機能を有する補助層とを有し、薄膜形成工程において、乾燥後の補助層の膜厚が第1隔壁の厚み以下となるように補助層を形成する薄膜材料液を充填、乾燥後に、発光層を形成する薄膜材料液を充填、乾燥することを特徴とする。これにより、隔壁に囲まれた領域内に、表面の平坦性の良好な発光層を簡便且つ確実に形成することができる。その結果、発光層と補助層とを有した有機エレクトロルミネッセンス膜を備えた電気光学装置であって、該有機エレクトロルミネッセンス膜の平坦性に起因した品質低下のない、高品質な電気光学装置を作製できるという効果を奏する。
また、本発明の好ましい態様によれば、上記の撥液層形成工程において撥液層を光分解性材料により形成し、除去工程において撥液層に光を照射して該撥液層を分解除去することを特徴とする。撥液層を光分解性材料により形成することにより、撥液層に光を照射するだけで撥液層を簡単に分解除去することができ、簡便且つ確実に撥液層を除去することが可能である。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる電気光学装置は、基板上に二次元的に配列された複数の薄膜形成領域に各々形成された第1の電極と、複数の薄膜形成領域を形成するために各領域間を分離し、表面が薄膜材料に対して親液性を有し、薄膜形成面と略平行な平坦面を有する第1隔壁と、第1隔壁の平坦面が露出するように第1隔壁上に形成した第2隔壁と、薄膜形成領域内に機能層材料を含む液滴を配することにより形成される少なくとも発光層を含む機能層と、少なくとも第1隔壁の略平行な平坦面の少なくとも一部と接するように、機能層及び第2隔壁の上に形成され、第1の電極と対向する第2の電極と、を備えることを特徴とする。
以上のように構成された本発明にかかる電気光学装置は、第1隔壁の表面に親液性を有することにより、薄膜材料液と第1隔壁の表面との濡れ性が良好な状態とされ、薄膜材料液が充填された際に薄膜材料液が第1隔壁で囲まれた領域に均一且つ確実に濡れ広がるため、機能層の薄膜が均一に形成されている。また、機能層の外周端部近傍が除去されているため、平坦性の良好な機能層が形成されている。これにより機能層の薄膜表面の平坦性に起因した品質低下のない、高品質な電気光学装置が実現されている。
また、第2の電極が少なくとも第1隔壁の略平な平坦面の少なくとも一部と接する構造とされているため、第2の電極は第1隔壁の平坦面、第2隔壁および機能層により支持される。そして、第2の電極はこれらにより確実に支持されるため、十分な機械的強度を得ることが可能となり、機械的強度に優れた電極を備えた、信頼性の高い電気光学装置が実現されている。
また、本発明の好ましい態様によれば、第2隔壁及び第2の電極はともに無機材料からなることを特徴とする。これにより、第2の電極は第1隔壁によってより確実に支持されるとともに良好な機械的強度を得ることができる。
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる電気光学装置は、基板上に二次元的に配列された複数の薄膜形成領域に各々形成された第1の電極と、複数の薄膜形成領域を形成するために各領域間を分離し、表面が薄膜材料に対して親液性を有し、薄膜形成面と略平行な平坦面を有する第1隔壁と、第1隔壁の平坦面が露出するように第1隔壁上に形成した、表面が薄膜材料に対して親液性を有し、薄膜形成面と略平行な平坦面を有する第2隔壁と、第2隔壁の平坦面が露出するように第2隔壁上に形成した第3隔壁と、薄膜形成領域内に機能層材料を含む液滴を配することにより形成される少なくとも発光層を含む機能層と、少なくとも第2隔壁の略平行な平坦面の少なくとも一部と接するように、機能層及び第3隔壁の上に形成され、第1の電極と対向する第2の電極と、を備えることを特徴とする。
以上のように構成された本発明にかかる電気光学装置は、第1隔壁及び第2隔壁の表面に親液性を有することにより、薄膜材料液と第1隔壁及び第2隔壁の表面との濡れ性が良好な状態とされ、薄膜材料液が充填された際に薄膜材料液が第1隔壁及び第2隔壁で囲まれた領域に均一且つ確実に濡れ広がるため、機能層の薄膜が均一に形成されている。また、機能層の外周端部近傍が除去されているため、平坦性の良好な機能層が形成されている。これにより機能層の薄膜表面の平坦性に起因した品質低下のない、高品質な電気光学装置が実現されている。
また、第2の電極が少なくとも第2隔壁の略平な平坦面の少なくとも一部と接する構造とされているため、第2の電極は第2隔壁の平坦面、第3隔壁および機能層により支持される。そして、第2の電極はこれらにより確実に支持されるため、十分な機械的強度を得ることが可能となり、機械的強度に優れた電極を備えた、信頼性の高い電気光学装置が実現されている。
また、本発明の好ましい態様によれば、第2隔壁及び第2の電極はともに無機材料からなることを特徴とする。これにより、第2の電極は第1隔壁によってより確実に支持されるとともに良好な機械的強度を得ることができる。
また、本発明によれば、上述の電気光学装置を有する電子機器を提供する。これにより、より高品質な電子機器を実現することができる。
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる薄膜の製造方法及び電気光学装置の製造方法の好適な実施例を詳細に説明する。以下においては、電気光学装置の一例として発光層に有機EL薄膜を使用した有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置を例に挙げて説明するが、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、適宜変更可能である。また、以下の実施例で用いられる電気光学装置の断面図は模式的なものであり、層の厚みと幅との関係や各層の厚みの比率などは現実のものとは異なる。
図1は、本実施例にかかる電気光学装置の配線構造の平面模式図である。この図1に示されるように、電気光学装置1は、複数の走査線101と、走査線101に対して空間を隔てて略直角に交差する方向に延びる複数の信号線102と、信号線102に並列に延びる複数の電源線103とが、それぞれ配線された構成を有する。そして、走査線101と信号線102の各交点付近に、すなわちマトリックス状に、画素領域Aが設けられている。
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオラインおよびアナログスイッチを備えるデータ駆動回路104が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタおよびレベルシフタを備える走査側駆動回路105が接続されている。
画素領域Aのそれぞれには、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用TFT112と、このスイッチング用TFT112を介して信号線102から供給される画素信号を保持する保持容量capと、この保持容量capによって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用TFT113と、この駆動用TFT113を介して電源線103に電気的に接続した時に電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極(陽極)41と、この画素電極41と対向電極(陰極)46との間に挟み込まれた機能層45とが設けられる。これらの画素電極41と対向電極46と機能層45とによって、発光素子部が構成されている。なお、機能層45は、後述する発光層を含む有機EL薄膜に対応する。
このような電気光学装置1の配線構造によれば、走査線101が駆動されてスイッチング用TFT112がオンになると、そのときの信号線102の電位が保持容量capに保持され、この保持容量capの状態に応じて、駆動用TFT113のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用TFT113のチャネルを介して、電源線103から画素電極(陽極)41に電流が流れ、さらに機能層45を介して対向電極(陰極)46に電流が流れる。機能層45は、この流れる電流量に応じて発光する。このような画素領域Aでの発光を制御することで所望の状態を表示することができる。
図2及び図3は、本実施の形態にかかる電気光学装置の画素領域Aの構造を模式的に示す断面図であり、図2は、図1における機能層45および駆動用TFT113の部分のより詳細な構造を示す断面図である。また、図3は、図2における機能層45の周縁部近傍を拡大して示す断面図である。この電気光学装置1は、基板10と、この基板10上にTFTなどの能動素子や配線が形成された駆動素子部20と、有機EL薄膜が形成される機能素子部40とからなる。
基板10は、各種のガラス材料、樹脂材料、単結晶を含むセラミックス材料または金属材料などを用いることができ、用途に応じた基板を選択することができるが、図2では基板10としてガラス基板を使用する場合を例に挙げている。
駆動素子部20は、スイッチング用TFT112、駆動用TFT113、その他の素子や配線を含んで構成される。駆動用TFT113は、基板10上に形成されたSiO2などからなる下地層21上の所定の位置に形成される島状のポリシリコンによって形成される。図2においては、駆動用TFT113を縦方向に切断した縦断面図が描かれている。駆動用TFT113のゲート電極24は、図1に示したスイッチング用TFT112のドレイン電極と電気的に接続されている。また、駆動用TFT113のソース領域とドレイン領域とには、第1の層間絶縁膜23と第2の層間絶縁膜25とに形成されたコンタクトホール26を介してそれぞれソース電極/ドレイン電極27が形成される。これらのソース電極/ドレイン電極27のうち一方は、図1に示した電源線103と電気的に接続され、他方は第3の層間絶縁膜28に形成されたコンタクトホール29を介して機能素子部40の画素電極41と電気的に接続される。なお、駆動素子部20の第1〜第3の層間絶縁膜23,25,28は、SiO2などの絶縁性材料によって構成される。
機能素子部40は、発光層と正孔注入層とを含む有機化合物層として有機EL薄膜からなる機能層45と、機能層45を動作させるための一対の電極41(陽極),46(陰極)と、機能層45を所定の領域に形成するためのバンク42と、機能層45を周囲の雰囲気から遮断するためのシール層47とを備えて構成されている。
バンク42は、機能層45を形成する際に薄膜材料液が充填される液滴充填領域RSを取り囲むように駆動素子部20上に形成され、表面の親液性が高められた第1隔壁43と、第1隔壁43上に形成された第2隔壁44とから構成されている。この第1隔壁43及び第2隔壁44は基板10上において二次元的に配列された複数の薄膜形成領域を形成するために各領域間を分離するものである。第1隔壁43の上部開口部は下部開口部よりも広く形成されている。すなわち、第1隔壁43の側面は、基板表面に垂直な方向に対して傾斜を有するように形成されている。同様に、第2隔壁44の上部開口部は下部開口部よりも広く形成されている。すなわち、第2隔壁44の側面も、基板表面に垂直な方向に対して傾斜を有するように形成されている。
また、第1隔壁43の上部開口部は、第2隔壁44の下部開口部よりも機能層45の中心部側に位置している。換言すると、第2隔壁44は上部から見て第1隔壁の平坦面43aが露出するように第1隔壁43上に形成されている。すなわち、図3に示されるように、バンク42を構成する第1隔壁43と第2隔壁44の断面形状は階段状となっている。
この第1隔壁43は、後述する薄膜材料液と親液性を有し、下地の陽極41との密着性が良く、フォトリソグラフィによるパターニングが容易な絶縁材料から構成されている。このような材料としては、SiO2やTiO2などの無機材料を用いることができる。また、第2隔壁44は、下地の第1隔壁43との密着性が良く、フォトリソグラフィによるパターニングが容易な絶縁材料から構成されている。このような材料としては、例えばポリイミドやアクリルなどの有機材料を用いることができる。
機能層45は、発光を行う発光層45bと、発光層45bでの発光を効率よく行うために設けられる補助層として陽極から発光層への正孔注入効率を高める正孔注入層45aと、を備えて構成されている。ここで補助層としては、正孔注入層45aの他に、陰極から発光層への電子注入効率を高める電子注入層、電子を発光層に移行させるとともに発光層からの正孔の移行をブロックする電子輸送層、正孔を発光層に移行させるとともに発光層からの電子の移行をブロックする正孔輸送層などの、発光層における発光を高めるための機能を有する層を設けることもできる。ここでは、機能層45は、陽極41上に形成された正孔注入層45a上に発光層45bが形成されて構成されている。
機能層45全体の膜厚は第1隔壁43の厚みよりも厚く形成されている。また正孔注入層45aの膜厚は第1隔壁の厚み以下とされ、本実施例においては正孔注入層45aは膜厚が第1隔壁43の厚みよりも薄く形成されている。発光層45bは、正孔注入層45a上および第1隔壁の平坦面43a上に良好な平坦性を有した状態で形成されている。また、発光層45bはその周縁部が除去され、第1隔壁の平坦面上の発光層45bと第2隔壁44との間には空間が形成されており、第1隔壁の平坦面上の発光層45bと第2隔壁44とは離間した状態とされている。
電極41,46は、機能層45を上下から挟むような形で対向して形成されている。なお以下では、基板10側に形成される電極41を画素電極(陽極)と呼び、この画素電極に対向して配置される電極46を対向電極(陰極)と呼ぶ場合もある。
電気光学装置1が、機能素子部40が形成される側から発光を行うトップエミッション型の電気光学装置である場合には、対向電極46はインジウムスズ酸化物(以下、ITOという)などの透明な導電性材料で形成され、画素電極41は電極として通常使用されるような導電性を有する材料で形成される。
また、電気光学装置1が基板10側から発光を行うボトムエミッション型の電気光学装置である場合には、画素電極41が透明な導電性材料で形成され、対向電極46は電極として通常使用されるような導電性を有する材料で形成される。さらに、電気光学装置1が、機能素子部40が形成される側、基板10側の両側から発光する電気光学装置である場合には、画素電極41と対向電極46ともに透明な導電性材料で形成される。図2の例では、駆動素子部20上に画素電極(陽極)41、機能層45、及び対向電極(陰極)46がこの順番で積層されている。また、シール層47は、大気中の水蒸気や酸素などが機能層45と接触しないように陰極46上に形成される層であり、各種の樹脂材料を用いることができる。
以上のように構成された電気光学装置1においては、発光層45bの表面が良好な平坦性を有した状態で形成されており、機能層45全体としても表面が良好な平坦性を有した状態で形成されている。これにより第1隔壁の平坦面43a上に形成された発光層45bの膜厚が薄い場合においても、発光層45b表面の平坦性の不均一に起因して画素内において発光輝度の不均一が生じることがない。したがって、この電気光学装置1においては、発光層45b表面の平坦性の不均一に起因して画素内における発光輝度のばらつきが生じることが画防止されており、高品質な電気光学装置が実現されている。
また、上記の電気光学装置1においては、第2の電極である対向電極(陰極)46が第2隔壁44の側面に沿って第1隔壁の平坦面43aまで延在するため、対向電極(陰極)46は第1隔壁43、第2隔壁44および機能層45により支持される。これにより、対向電極(陰極)46はこれらにより確実に支持されるため、十分な機械的強度を得ることが可能となり、機械的強度に優れた対向電極(陰極)46を備えた、信頼性の高い電気光学装置が実現されている。そして、この場合、第1隔壁43及び対向電極(陰極)46はともに無機材料からなることが好ましい。これにより、対向電極(陰極)46は第1隔壁の平坦面43aによってより確実に支持されるとともにより良好な機械的強度を得ることができる。
次に、本発明にかかる電気光学装置の製造方法の一例について説明する。図4は、本実施例にかかる電気光学装置1の製造工程を示すフローチャートであり、図5−1〜図5−13は、本実施例かかる電気光学装置1の製造工程を模式的に示す断面図である。この電気光学装置の製造方法は、図4に示すように、駆動素子部形成工程(S1)と、画素電極(陽極)形成工程(S2)と、第1隔壁形成工程(S3)と、第2隔壁形成工程(S4)と、親液性調整工程(S5)と、撥液層形成工程(S6)と、機能層形成工程(S7)と、除去工程(S8)と、陰極形成工程(S9)と、シール層形成工程(S10)と、を含んでいる。
まず、駆動素子部形成工程(S1)では、図5−1〜図5−2に示すように基板10上に走査線101と信号線102などの配線や、スイッチング用TFT112と駆動用TFT113などの能動素子などが形成される。例えば、図5−2に示されるように駆動用TFT113が形成される場合には、まず、基板10上にSiO2からなる下地層21が形成され、その上にアモルファスシリコン膜がプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)などの成膜手段によって堆積される。次に、アモルファスシリコン膜をレーザアニールによって、溶融、冷却、固化させることでポリシリコン膜とする。そして、基板10上の駆動用TFT113を形成する所定の位置に、所定の大きさのポリシリコン膜22のみを残すようにエッチングする。
さらに、ポリシリコン膜22と基板10表面を覆うように第1の層間絶縁膜23を形成した後に、ポリシリコン膜22の中央部付近にN+イオンを注入してnチャネル22aを形成し、nチャネル22aを形成した第1の層間絶縁膜23の上部付近にゲート電極24を形成する。その後、ゲート電極24と第1の層間絶縁膜23の表面を覆うように第2の層間絶縁膜25を形成し、第1の層間絶縁膜23と第2の層間絶縁膜25を貫通してポリシリコン膜22に到達するように2つのコンタクトホール26がゲート電極24を挟む位置に形成される。そして、コンタクトホール26とその周辺にソース電極/ドレイン電極27を形成した後に、これらのソース電極/ドレイン電極27と第2の層間絶縁膜25の表面を覆うように第3の層間絶縁膜28が形成される。このようにして、駆動素子部20が形成される。
次に、画素電極(陽極)形成工程(S2)では、基板10上において二次元的に配列された複数の薄膜形成領域の各々に画素電極(陽極)を形成する。すなわち、図5−3に示すようにソース電極またはドレイン電極27のいずれかに到達するように駆動素子部20の第3の層間絶縁膜28を貫通するコンタクトホール29を形成し、駆動素子部20上に画素電極(陽極)41となる導電性材料の薄膜をスパッタや蒸着、またはその他の成膜手段によって形成する。この薄膜は、後述する薄膜材料液に対して親液性を有する材料により形成することが好ましい。これにより後述するインクジェットプロセスで充填される組成物と、これらの表面とのなじみがよくなる。そして、薄膜材料液が充填された際に薄膜材料液が画素電極(陽極)41の表面に均一且つ確実に濡れ広がるため、良質な薄膜を形成することができる。
その後、フォト・エッチングプロセスを用いて、図5−3に示すように形成した導電性材料の薄膜を所定の位置において画素電極形状にパターニングして第1の電極である画素電極41を形成する。このとき、第3の層間絶縁膜28に形成されたコンタクトホール29内にも画素電極(陽極)41が形成されるので、機能素子部40の画素電極(陽極)41と駆動用TFT113のソース電極またはドレイン電極27のいずれかの端子とが、コンタクトホール29を介して電気的に接続されるようになる。
次に、第1隔壁形成工程(S3)では、パターニングした画素電極(陽極)41上および第3の層間絶縁膜28上に第1隔壁43となる薄膜として例えばSiO2膜を形成する。そして、図5−4に示すようにこのSiO2膜を、機能層45を形成する開口部が画素電極(陽極)41上の所定の位置に形成されるようにパターニングする。この結果、第1隔壁43は、機能層45の形成領域を囲うように画素電極(陽極)41の周縁部上に乗り上げた状態で形成される。また、第1隔壁43の上部開口部は、下部開口部よりも広く形成される。すなわち、第1隔壁43の側面は、基板表面に垂直な方向に対して傾斜を有するように形成される。
次に、第2隔壁形成工程(S4)では、例えば感光性を有する絶縁有機材料を第1隔壁43と画素電極(陽極)41上に塗布し、フォトマスクを通して紫外線を照射した後に現像を行うことによって、図5−5に示すように機能層45の形成領域を囲うように第2隔壁44を形成する。第2隔壁44の上部開口部は、下部開口部よりも広く形成する。すなわち、第2隔壁44の側面は、基板表面に垂直な方向に対して傾斜を有するように形成する。ここで、第2隔壁44は、上部から見て第1隔壁43の上面部が露出するように、第1隔壁の平坦面43aを露出させて第1隔壁43上に形成される。ここで、第1隔壁の平坦面43aを形成しないと、後述する撥液層44aを除去した後に対向電極(陰極)46を形成した際に画素電極(陽極)と対向電極(陰極)46とがショートしてしまう。したがって、図5−5に示すように、第1隔壁43と第2隔壁44とにより構成されるバンク42の断面形状は階段状となっている。そして、第1隔壁43及び第2隔壁44により構成されるバンク42により取り囲まれた領域が液滴充填領域RSとなる。第2隔壁44の厚さは特に限定されるものではないが、後述する機能層形成工程でのインクジェットプロセスで液滴充填領域RS内に充填される組成物の量、回路基板との間に生じる電気的寄生容量などを考慮して決定される。
次に、親液性調整処理工程(S5)では、画素電極(陽極)41の表面、第1隔壁43の表面に、薄膜材料液に対する親液性を高めるための処理を行う。例えば、画素電極(陽極)41と第1隔壁43の表面に対して、酸素プラズマ処理やUV照射処理、オゾン含有ガスへの暴露処理などを行う。このように薄膜材料液に対する親液性を高めることにより、画素電極(陽極)41の表面及び第1隔壁43の表面での薄膜材料液の濡れ性をより良好な状態とすることができ、後述するインクジェットプロセスで充填される組成物と、画素電極(陽極)41の表面及び第1隔壁43の表面とのなじみがよくなる。そして、薄膜材料液が充填された際に薄膜材料液が画素電極(陽極)41の表面に均一且つ確実に濡れ広がるため、良質な薄膜を形成することができる。なお、画素電極(陽極)41および第1隔壁43が薄膜材料液に対して十分に良好な親液性を有する材料により構成されている場合は、この親液性調整処理工程は特に行わなくても良い。
次に撥液層形成工程(S6)において、図5−6に示すように薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層44aを第2隔壁44の表面に形成する。第2隔壁44の表面に薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層44aを形成することにより、液滴充填領域RSに第2隔壁44の高さを超える量の薄膜材料液を充填しても薄膜材料液の表面張力により第2隔壁44の外部に薄膜材料液が流れ出すことを防止することができる。
撥液層44aは、例えば光分解性の材料により形成する。光分解性の材料を用いて撥液層44aを形成することにより、光を照射するだけで簡単に撥液層を分解除去することができる。このような材料としては例えばフッ素系の材料を用いることができる。撥液層44aを形成するには、まず画素電極(陽極)41上、第1隔壁43上および第2隔壁44上に光分解性のフッ素系材料の薄膜を形成する。そして、第2隔壁44上の薄膜のみを残すようにパターニングして他の部分を除去する。この場合、光分解性の材料を使うことによりレジストを使うことなくパターンニングすることができる。
次に、機能層形成工程(S7)では、液滴吐出法、例えばインクジェットプロセスによって、発光層45bを構成する材料の組成物や補助層である正孔注入層45aを構成する材料の組成物を、それぞれ液滴充填領域RS内に充填して乾燥させ、図5−7に示すように機能層45を形成する。
機能層45として発光層45bと正孔注入層45aとを形成する場合には、まず正孔注入層45aを構成する材料の組成物が含まれた薄膜材料液を液滴充填領域RS内に充填して乾燥させ、図5−8に示すように正孔注入層45aを形成する。このとき、乾燥後の正孔注入層45aの膜厚が第1隔壁43の厚み以下となるように、液滴充填領域RS内に充填する薄膜材料液の量を調整して正孔注入層45aを形成する。
次に発光層45bを構成する材料の組成物が含まれた薄膜材料液を例えばインクジェットプロセスにより液滴充填領域RS内に充填して乾燥させ、図5−9に示すように正孔注入層45aを形成する。このとき、乾燥後の機能層45の膜厚が第1隔壁43の厚みよりも厚くなるように、換言すると乾燥後の発光層45bの表面の位置が第1隔壁の平坦面43aよりも高い位置となるように液滴充填領域RS内に充填する薄膜材料液の量を調整して発光層45bを形成する。すなわち発光層45bを正孔注入層45a上および第1隔壁の平坦面43a上に形成する。これにより、発光層45bの表面の位置が第1隔壁の平坦面43aよりも下の位置となって薄膜材料液の乾燥時に第1隔壁の平坦面43a上に薄膜材料液が残留することを防止することができる。その結果、薄膜材料液が第1隔壁の平坦面43a上に残留することに起因して発光層45bの周縁部の膜厚が薄くなり、発光層45b表面の平坦性が悪くなることを防止することができる。
ここで、発光層45bの薄膜材料液の液滴は撥液層44aの表面と最後まで接しながら乾燥し、該液滴の周縁部は撥液層の表面の表面に引っ張られた状態で乾燥する。このため、乾燥後に得られる発光層45bの周縁部は、撥液層44aの表面に沿って盛り上がった状態となっている。
以上により、画素電極(陽極)41上に正孔注入層45aと発光層45bとが積層され、機能層45全体としての膜厚が第1隔壁43の厚みよりも厚い機能層45が形成される。なお、補助層を複数形成する場合も同様であり、所望の補助層を構成する材料の組成物が含まれた薄膜材料液を液滴充填領域RS内に充填して乾燥させることにより、複数の補助層を有する機能層45を形成することができる。
次に、除去工程(S8)では、撥液層44a及び発光層45bにおける該撥液層44aの表面との当接部近傍を除去する。上述したように機能層形成工程(S7)で得られる発光層45bの周縁部は、撥液層44aの表面に沿って盛り上がった状態となっており、膜厚が一様にならず、表面の平坦性の悪い状態となっている。そして、第1隔壁の平坦面43a上の発光層45bの膜厚が薄い場合には、該第1隔壁の平坦面43a上に正孔注入層45aがなくても画素電極(陽極)41上の正孔注入層45aからのわずかに正孔が注入されるため、周縁部の発光層45bでも発光が起こり、これが画素内における発光輝度の不均一性を引き起こしてしまう。
そこで、本発明においては発光層45bの形成後に撥液層44a及び発光層45bにおける撥液層44aとの当接部近傍を除去する。これにより、発光層45bの周縁部であり、撥液層44aの表面に沿って盛り上がった状態に形成された部分が除去され、図5−10、図5−11に示すように発光層45bは表面の平坦性の良好な部分のみが残される。これにより最終的に得られる発光層45bは、第1隔壁の平坦面43a上の発光層45bと第2隔壁44との間には空間が形成されており、第1隔壁の平坦面43a上の発光層45bと第2隔壁44とは離間した状態とされる。その結果、第1隔壁43および第2隔壁44に囲まれた領域内に、表面の平坦性の良好な発光層45b(機能層45)を簡便且つ確実に形成することができる。
本実施例においては、撥液層44aに光を照射することにより、撥液層44a及び発光層45bにおける該撥液層44aの表面との当接部近傍を除去する。撥液層44aは光分解性の材料により構成されているため、該撥液層44aに光を照射することにより、撥液層44aを簡単に分解除去することができる。そして、撥液層44aが分解除去される際に、撥液層44aの表面との当接部近傍の発光層45bも一緒に除去される。これにより、撥液層44a及び発光層45bの該撥液層44aの表面との当接部近傍を簡便且つ確実に除去することができる。
次に、対向電極(陰極)形成工程(S9)では、第1隔壁の平坦面43a上、第2隔壁44の側面上及び機能層45の上に蒸着やスパッタまたはその他の成膜手段によって対向電極(陰極)となる薄膜を形成し、この薄膜を所定の形状(対向電極形状)にパターニングして図5−12に示すように第2の電極である対向電極(陰極)46を形成する。対向電極(陰極)46は、例えばアルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)などの単体材料などにより形成することができる。また、対向電極(陰極)25は一層の金属層として構成しても良く、また、上記の材料などからなる二層の金属層または三層の金属層として構成しても良い。
そして、シール層形成工程(S10)では、図5−13に示すように上述した工程によって機能層45が形成された基板10の表面にシール層47を形成する。このシール層47を形成することにより、大気中の水分や酸素が機能層45や電極材料に接触してこれらが劣化することを防止できる。シール層47としては、例えば熱硬化型エポキシ系樹脂、紫外線硬化型エポキシ系樹脂などの各種樹脂材料を用いることができる。
上述した電気光学装置の製造方法によれば、以上のようなS1〜S10の工程を実施することにより図2に示した電気光学装置1を作製することができ、隔壁に囲まれた領域内に、表面の平坦性の良好な薄膜を簡便且つ確実に形成することができ、薄膜表面の平坦性に起因した品質低下のない、高品質な電気光学装置を作製することができる。
図1に、本発明にかかる他の実施例である電気光学装置50の配線構造の平面模式図を示す。電気光学装置50は、図1に示されるように複数の走査線101と、走査線101に対して空間を隔てて略直角に交差する方向に延びる複数の信号線102と、信号線102に並列に延びる複数の電源線103とが、それぞれ配線された構成を有する。そして、走査線101と信号線102の各交点付近に、すなわちマトリックス状に、画素領域Bが設けられている。この電気光学装置50は、画素領域Bの構造以外は実施例1で説明した電気光学装置1と同じであるため、電気光学装置1と同じ部材については理解の容易のため上記と同一符号を付す。
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオラインおよびアナログスイッチを備えるデータ駆動回路104が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタおよびレベルシフタを備える走査側駆動回路105が接続されている。
画素領域Bそれぞれには、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用TFT112と、このスイッチング用TFT112を介して信号線102から供給される画素信号を保持する保持容量capと、この保持容量capによって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用TFT113と、この駆動用TFT113を介して電源線103に電気的に接続した時に電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極(陽極)41と、この画素電極41と対向電極(陰極)46との間に挟み込まれた機能層45とが設けられる。これらの画素電極41と対向電極46と機能層45とによって、発光素子部が構成されている。なお、機能層45は、後述する発光層を含む有機EL薄膜に対応する。
このような電気光学装置50の配線構造によれば、走査線101が駆動されてスイッチング用TFT112がオンになると、そのときの信号線102の電位が保持容量capに保持され、この保持容量capの状態に応じて、駆動用TFT113のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用TFT113のチャネルを介して、電源線103から画素電極(陽極)41に電流が流れ、さらに機能層45を介して対向電極(陰極)46に電流が流れる。機能層45は、この流れる電流量に応じて発光する。このような画素領域Bでの発光を制御することで所望の状態を表示することができる。
図6及び図7は、本実施例にかかる電気光学装置50の画素領域Bの構造を模式的に示す断面図であり、図6は、図1における機能層45および駆動用TFT113の部分のより詳細な構造を示す断面図である。また、図7は、図6における機能層45の周縁部近傍を拡大して示す断面図である。この電気光学装置50は、基板10と、この基板10上にTFTなどの能動素子や配線が形成された駆動素子部20と、有機EL薄膜が形成される機能素子部40とからなる。
基板10は、各種のガラス材料、樹脂材料、単結晶を含むセラミックス材料または金属材料などを用いることができ、用途に応じた基板を選択することができるが、図6では基板10としてガラス基板を使用する場合を例に挙げている。
駆動素子部20は、スイッチング用TFT112、駆動用TFT113、その他の素子や配線を含んで構成されている。駆動用TFT113は、基板10上に形成されたSiO2などからなる下地層21上の所定の位置に形成される島状のポリシリコンによって形成されている。図6においては、駆動用TFT113を縦方向に切断した縦断面図が描かれている。駆動用TFT113のゲート電極24は、図1に示したスイッチング用TFT112のドレイン電極と電気的に接続されている。また、駆動用TFT113のソース領域とドレイン領域とには、第1の層間絶縁膜23と第2の層間絶縁膜25とに形成されたコンタクトホール26を介してそれぞれソース電極/ドレイン電極27が形成される。これらのソース電極/ドレイン電極27のうち一方は、図1に示した電源線103と電気的に接続され、他方は第3の層間絶縁膜28に形成されたコンタクトホール29を介して機能素子部40の画素電極41と電気的に接続される。なお、駆動素子部20の第1〜第3の層間絶縁膜23,25,28は、SiO2などの絶縁性材料によって構成される。
機能素子部40は、発光層と正孔注入層とを含む有機化合物層として有機EL薄膜からなる機能層45と、機能層45を動作させるための一対の電極41(陽極),46(陰極)と、機能層45を所定の領域に形成するためのバンク51と、機能層45を周囲の雰囲気から遮断するためのシール層47とを備えて構成されている。
バンク51は、機能層45を形成する際に薄膜材料液が充填される液滴充填領域RSを取り囲むように駆動素子部20上に形成され、表面の親液性が高められた第1隔壁52と、第1隔壁52上に形成され表面の親液性が高められた第2隔壁53と、第2隔壁53上に形成された第3隔壁54と、から構成されている。この第1隔壁52、第2隔壁53及び第3隔壁は基板10上において二次元的に配列された複数の薄膜形成領域を形成するために各領域間を分離するものである。第1隔壁52の上部開口部は下部開口部よりも広く形成されている。すなわち、第1隔壁52の側面は、基板表面に垂直な方向に対して傾斜を有するように形成されている。同様に、第2隔壁53、第3隔壁54の上部開口部は下部開口部よりも広く形成されている。すなわち、第2隔壁53および第3隔壁54の側面も、基板表面に垂直な方向に対して傾斜を有するように形成されている。
また、第1隔壁52の上部開口部は、第2隔壁53の下部開口部よりも機能層45の中心部側に位置している。換言すると、第2隔壁53は上部から見て第1隔壁の平坦面43aが露出するように第1隔壁52上に形成されている。同様に第2隔壁53の上部開口部は、第3隔壁54の下部開口部よりも機能層45の中心部側に位置している。換言すると、第3隔壁54は上部から見て第2隔壁の平坦面53aが露出するように第2隔壁53上に形成されている。したがって、バンク51を構成する第1隔壁52と第2隔壁53と第3隔壁54との断面形状は図7に示されるように階段状となっている。
この第1隔壁52は、後述する薄膜材料液と親液性を有し、下地の陽極41との密着性が良く、フォトリソグラフィによるパターニングが容易な絶縁材料から構成されている。このような材料としては、SiO2やTiO2などの無機材料を用いることができる。同様に第2隔壁53は、後述する薄膜材料液と親液性を有し、下地の第1隔壁52との密着性が良く、フォトリソグラフィによるパターニングが容易な絶縁材料から構成されている。このような材料としては、SiO2やTiO2などの無機材料を用いることができる。また、第3隔壁54は、下地の第2隔壁53との密着性が良く、フォトリソグラフィによるパターニングが容易な絶縁材料から構成されている。このような材料としては、例えばポリイミドやアクリルなどの有機材料を用いることができる。
機能層45は、発光を行う発光層45bと、発光層45bでの発光を効率よく行うために設けられる補助層として陽極から発光層への正孔注入効率を高める正孔注入層45aと、を備えて構成されている。ここで補助層としては、正孔注入層45aの他に、陰極から発光層への電子注入効率を高める電子注入層、電子を発光層に移行させるとともに発光層からの正孔の移行をブロックする電子輸送層、正孔を発光層に移行させるとともに発光層からの電子の移行をブロックする正孔輸送層などの、発光層における発光を高めるための機能を有する層を設けることもできる。ここでは、機能層45は、陽極41上に形成された正孔注入層45a上に発光層45bが形成されて構成されている。
機能層45全体の膜厚は、図7に示すように第1隔壁52の厚みと第2隔壁53の厚みとを合わせた厚みよりも厚く形成されている。正孔注入層45aは、その膜厚が第1隔壁の厚み以下とされ、第1隔壁52の厚みと同等または薄く形成される。本実施例においては正孔注入層45aの膜厚は図7に示すように第1隔壁52の厚みと同等としている。発光層45bは、図7に示すように正孔注入層45a上、第1隔壁52の平坦面52a上、および第2隔壁の平坦面53a上に、良好な平坦性を有した状態で形成されている。また、発光層45bはその周縁部が除去され、第2隔壁の平坦面53a上の発光層45bと第3隔壁54との間には空間が形成されており、第2隔壁の平坦面53aの発光層45bと第3隔壁54とは離間した状態とされている。
電極41,46は、機能層45を上下から挟むような形で形成されている。なお以下では、基板10側に形成される電極41を画素電極(陽極)と呼び、この画素電極に対向して配置される電極46を対向電極(陰極)と呼ぶ場合もある。
電気光学装置50が、機能素子部40が形成される側から発光を行うトップエミッション型の電気光学装置である場合には、対向電極46はインジウムスズ酸化物(以下、ITOという)などの透明な導電性材料で形成され、画素電極41は電極として通常使用されるような導電性を有する材料で形成される。
また、電気光学装置50が基板10側から発光を行うボトムエミッション型の電気光学装置である場合には、画素電極41が透明な導電性材料で形成され、対向電極46は電極として通常使用されるような導電性を有する材料で形成される。さらに、電気光学装置50が、機能素子部40が形成される側、基板10側の両側から発光する電気光学装置である場合には、画素電極41と対向電極46ともに透明な導電性材料で形成される。図6の例では、駆動素子部20上に画素電極(陽極)41、機能層45、及び対向電極(陰極)46がこの順番で積層されている。また、シール層47は、大気中の水蒸気や酸素などが機能層45と接触しないように陰極46上に形成される層であり、各種の樹脂材料を用いることができる。
以上のように構成された電気光学装置50においては、発光層45bの表面が良好な平坦性を有した状態で形成されており、機能層45全体としても表面が良好な平坦性を有した状態で形成されている。これにより第2隔壁の平坦面53a上に形成された発光層45bの膜厚が薄い場合においても、発光層45b表面の平坦性の不均一に起因して画素内において発光輝度の不均一が生じることがない。したがって、この電気光学装置50においては、発光層45b表面の平坦性の不均一に起因して画素内の発光輝度のばらつきが生じることが防止されており、高品質な電気光学装置が実現されている。
また、上記の電気光学装置50においては、第2の電極である対向電極(陰極)46が第3隔壁54の側面に沿って第2隔壁の平坦面53aまで延在するため、対向電極(陰極)46は第2隔壁53、第2隔壁54および機能層45により支持される。これにより、対向電極(陰極)46はこれらにより確実に支持されるため、十分な機械的強度を得ることが可能となり、機械的強度に優れた対向電極(陰極)46を備えた、信頼性の高い電気光学装置が実現されている。そして、この場合、第2隔壁53及び対向電極(陰極)46はともに無機材料からなることが好ましい。これにより、対向電極(陰極)46は第2隔壁の平坦面53aによってより確実に支持されるとともにより良好な機械的強度を得ることができる。
次に、この電気光学装置50の製造方法の一例について説明する。図8は、実施例2にかかる電気光学装置50の製造工程を示すフローチャートであり、図9−1〜図9−14は、電気光学装置50の製造方法の工程を模式的に示す断面図である。この電気光学装置50の製造方法は、図8に示すように、駆動素子部形成工程(S21)と、画素電極(陽極)形成工程(S22)と、第1隔壁形成工程(S23)と、第2隔壁形成工程(S24)と、第3隔壁形成工程(S25)と、親液性調整工程(S26)と、撥液層形成工程(S27)と、機能層形成工程(S28)と、除去工程(S29)と、対向電極(陰極)形成工程(S30)と、シール層形成工程(S31)と、を含んでいる。
まず、駆動素子部形成工程(S21)では、図9−1〜図9−2に示すように基板10上に走査線101と信号線102などの配線や、スイッチング用TFT112と駆動用TFT113などの能動素子などが形成される。例えば、図9−2に示されるように駆動用TFT113が形成される場合には、まず、基板10上にSiO2からなる下地層21が形成され、その上にアモルファスシリコン膜がプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)などの成膜手段によって堆積される。次に、アモルファスシリコン膜をレーザアニールによって、溶融、冷却、固化させることでポリシリコン膜とする。そして、基板10上の駆動用TFT113を形成する所定の位置に、所定の大きさのポリシリコン膜22のみを残すようにエッチングする。
さらに、ポリシリコン膜22と基板10表面を覆うように第1の層間絶縁膜23を形成した後に、ポリシリコン膜22の中央部付近にN+イオンを注入してnチャネル22aを形成し、nチャネル22aを形成した第1の層間絶縁膜23の上部付近にゲート電極24を形成する。その後、ゲート電極24と第1の層間絶縁膜23の表面を覆うように第2の層間絶縁膜25を形成し、第1の層間絶縁膜23と第2の層間絶縁膜25を貫通してポリシリコン膜22に到達するように2つのコンタクトホール26がゲート電極24を挟む位置に形成される。そして、コンタクトホール26とその周辺にソース電極/ドレイン電極27を形成した後に、これらのソース電極/ドレイン電極27と第2の層間絶縁膜25の表面を覆うように第3の層間絶縁膜28が形成される。このようにして、駆動素子部20が形成される。
次に、画素電極(陽極)形成工程(S22)では、基板10上において二次元的に配列された複数の薄膜形成領域の各々に画素電極(陽極)を形成する。すなわち、図9−3に示すようにソース電極またはドレイン電極27のいずれかに到達するように駆動素子部20の第3の層間絶縁膜28を貫通するコンタクトホール29を形成し、駆動素子部20上に画素電極(陽極)41となる導電性材料の薄膜をスパッタや蒸着、またはその他の成膜手段によって形成する。この薄膜は、後述する薄膜材料液に対して親液性を有する材料により形成することが好ましい。これにより後述するインクジェットプロセスで充填される組成物と、これらの表面とのなじみがよくなる。そして、薄膜材料液が充填された際に薄膜材料液が画素電極(陽極)41の表面に均一且つ確実に濡れ広がるため、良質な薄膜を形成することができる。
その後、フォト・エッチングプロセスを用いて、図9−3に示すように形成した導電性材料の薄膜を所定の位置において画素電極形状にパターニングして画素電極41を形成する。このとき、第3の層間絶縁膜28に形成されたコンタクトホール29内にも画素電極(陽極)41が形成されるので、機能素子部40の画素電極(陽極)41と駆動用TFT113のソース電極またはドレイン電極27のいずれかの端子とが、コンタクトホール29を介して電気的に接続されるようになる。
次に、第1隔壁形成工程(S23)では、パターニングした画素電極(陽極)41上および第3の層間絶縁膜28上に第1隔壁52となる薄膜として例えばSiO2膜を形成する。そして、図9−4に示すようにこのSiO2膜を、機能層45を形成する開口部が画素電極(陽極)41上の所定の位置に形成されるようにパターニングする。この結果、第1隔壁52は、機能層45の形成領域を囲うように画素電極(陽極)41の周縁部上に乗り上げた状態で形成される。また、第1隔壁52の上部開口部は、下部開口部よりも広く形成される。すなわち、第1隔壁52の側面は、基板表面に垂直な方向に対して傾斜を有するように形成される。
次に、第2隔壁形成工程(S24)では、画素電極(陽極)41上および第1隔壁52上に第2隔壁53となる薄膜として例えばTiO2膜を形成する。そして、図9−5に示すようにこのTiO2膜をパターニングして機能層45の形成領域を囲うように第2隔壁53を形成する。第2隔壁53の上部開口部は、下部開口部よりも広く形成される。すなわち、第2隔壁53の側面は、基板表面に垂直な方向に対して傾斜を有するように形成される。ここで、第2隔壁53は、上部から見て第1隔壁52の上面部が露出するように、第1隔壁の平坦面52aを露出させて第1隔壁52上に形成される。
次に、第3隔壁形成工程(S25)では、例えば感光性を有する絶縁有機材料を第1隔壁の平坦面52a上と第2隔壁53上と画素電極(陽極)41上とに塗布し、フォトマスクを通して紫外線を照射した後に現像を行うことによって、図9−6に示すように機能層45の形成領域を囲うように第3隔壁54を形成する。第3隔壁54の上部開口部は、下部開口部よりも広く形成する。すなわち、第3隔壁54の側面が、基板表面に垂直な方向に対して傾斜を有するように形成する。ここで、第3隔壁54は、上部から見て第2隔壁53の上面部が露出するように、第2隔壁の平坦面53aを露出させて第2隔壁53上に形成される。したがって、図9−6に示すように第1隔壁52と第2隔壁53と第3隔壁54とにより構成されるバンク51の断面形状は階段状となっている。そして、第1隔壁52、第2隔壁53及び第3隔壁54とで構成されるバンク51により取り囲まれた領域が液滴充填領域RSとなる。第3隔壁54の厚さは特に限定されるものではないが、後述する機能層形成工程でのインクジェットプロセスで液滴充填領域RS内に充填される組成物の量、回路基板との間に生じる電気的寄生容量などを考慮して決定される。
次に、親液性調整工程(S26)では、画素電極(陽極)41の表面、第1隔壁52の表面及び第2隔壁53の表面に、薄膜材料液に対する親液性を高めるための処理を行う。例えば、画素電極(陽極)41の表面と第1隔壁52の表面と第2隔壁53の表面とに対して、酸素プラズマ処理やUV照射処理、オゾン含有ガスへの暴露処理などを行う。このように薄膜材料液に対する親液性を高めることにより、画素電極(陽極)41の表面、第1隔壁52の表面及び第2隔壁53の表面での薄膜材料液の濡れ性をより良好な状態とすることができ、後述するインクジェットプロセスで充填される組成物と、これらの表面とのなじみがよくなる。そして、薄膜材料液が充填された際に薄膜材料液が画素電極(陽極)41の表面に均一且つ確実に濡れ広がるため、良質な薄膜を形成することができる。なお、画素電極(陽極)41、第1隔壁52及び第2隔壁53が薄膜材料液に対して十分に良好な親液性を有する材料により構成されている場合は、この親液性調整処理工程は特に行わなくても良い。
次に撥液層形成工程(S27)において、図9−7に示すように薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層54aを第3隔壁54の表面に形成する。第3隔壁54の表面に薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層54aを形成することにより、液滴充填領域RSに第3隔壁54の高さを超える量の薄膜材料液を充填しても薄膜材料液の表面張力により第3隔壁54の外部に薄膜材料液が流れ出すことを防止することができる。
撥液層54aは、実施例1の場合と同様に例えば光分解性の材料により形成することができる。光分解性の材料を用いて撥液層54aを形成することにより、光を照射するだけで簡単に撥液層を分解除去することができる。このような材料としては例えばフッ素系の材料を用いることができる。撥液層54aを形成するには、まず画素電極(陽極)41上、第1隔壁の平坦面52a上、第2隔壁の平坦面53a上及び第3隔壁54上に光分解性のフッ素系材料の薄膜を形成する。そして、第3隔壁54上の薄膜のみを残すようにパターニングして他の部分を除去する。この場合、光分解性の材料を使うことによりレジストを使うことなくパターンニングすることができる。
次に、機能層形成工程(S28)では、液滴吐出法、例えばインクジェットプロセスによって、発光層45bを構成する材料の組成物や補助層である正孔注入層45aを構成する材料の組成物を、それぞれ液滴充填領域RS内に充填して乾燥させ、図9−8に示すように機能層45を形成する。
機能層45として発光層45bと正孔注入層45aとを形成する場合には、まず正孔注入層45aを構成する材料の組成物が含まれた薄膜材料液を液滴充填領域RS内に充填して乾燥させ、図9−9に示すように正孔注入層45aを形成する。このとき、乾燥後の正孔注入層45aは膜厚が第1隔壁の厚み以下とされ、第1隔壁52の厚みと同等または薄くなるように、液滴充填領域RS内に充填する薄膜材料液の量を調整して正孔注入層45aを形成する。本実施例においては第1隔壁52の厚みと同等の膜厚の正孔注入層45aを形成している。
次に発光層45bを構成する材料の組成物が含まれた薄膜材料液を例えばインクジェットプロセスにより液滴充填領域RS内に充填して乾燥させ、図9−10に示すように正孔注入層45aを形成する。このとき、乾燥後の機能層45の膜厚が第1隔壁52の厚みと第2隔壁53の厚みとを合わせた厚みよりも厚くなるように、換言すると乾燥後の発光層45bの表面の位置が第2隔壁の平坦面53aよりも高い位置となるように液滴充填領域RS内に充填する薄膜材料液の量を調整して発光層45bを形成する。すなわち発光層45bを正孔注入層45a上、第1隔壁の平坦面52a上及び第2隔壁の平坦面53a上に形成する。
これにより、発光層45bの表面の位置が第2隔壁の平坦面53aよりも下の位置となって、薄膜材料液の乾燥時に第2隔壁の平坦面53a上に薄膜材料液が残留することを防止することができる。その結果、薄膜材料液が第2隔壁の平坦面53a上に残留することに起因して発光層45bの周縁部の膜厚が薄くなり、発光層45b表面の平坦性が悪くなることを防止することができる。
ここで、発光層45bの薄膜材料液の液滴は撥液層54aの表面と最後まで接しながら乾燥し、該液滴の周縁部は撥液層の表面の表面に引っ張られた状態で乾燥する。このため、乾燥後に得られる発光層45bの周縁部は、撥液層54aの表面に沿って盛り上がった状態となっている。
以上により、画素電極(陽極)41上に正孔注入層45aと発光層45bとが積層され、機能層45全体としての膜厚が第1隔壁52の厚みと第2隔壁53の厚みとを合わせた厚みよりも厚い機能層45が形成される。なお、補助層を複数形成する場合も同様であり、所望の補助層を構成する材料の組成物が含まれた薄膜材料液を液滴充填領域RS内に充填して乾燥させることにより、複数の補助層を有する機能層45を形成することができる。
次に、除去工程(S29)では、撥液層54a及び発光層45bにおける該撥液層54aの表面との当接部近傍を除去する。上述したように機能層形成工程(S28)で得られる発光層45bの周縁部は、撥液層54aの表面に沿って盛り上がった状態となっており、膜厚が一様にならず、表面の平坦性の悪い状態となっている。そして、第2隔壁の平坦面53a上の発光層45bの膜厚が薄い場合には、該第2隔壁の平坦面53a上に正孔注入層45aがなくても画素電極(陽極)41上の正孔注入層45aからのわずかに正孔が注入されるため、周縁部の発光層45bでも発光が起こり、これが画素内における発光輝度の不均一性を引き起こしてしまう。
そこで、本実施例においては発光層45bの形成後に撥液層54a及び発光層45bの撥液層54aとの当接部近傍を除去する。これにより、発光層45bの周縁部であり、撥液層54aの表面に沿って盛り上がった状態に形成された部分が除去され、図9−11、図9−12に示すように発光層45bは表面の平坦性の良好な部分のみが残される。これにより最終的に得られる発光層45bは、第2隔壁の平坦面53a上の発光層45bと第3隔壁54との間には空間が形成されており、第2隔壁の平坦面53a上の発光層45bと第3隔壁54とは離間した状態とされる。その結果、第1隔壁52、第2隔壁53お及び第3隔壁に囲まれた領域内に、表面の平坦性の良好な発光層45b(機能層45)を簡便且つ確実に形成することができる。
本実施例においては、撥液層54aに光を照射することにより、撥液層54a及び発光層45bにおける該撥液層54aの表面との当接部近傍を除去する。上述したように撥液層54aは光分解性の材料により構成されているため、該撥液層54aに光を照射することにより撥液層54aを簡単に分解除去することができる。そして、撥液層54aが分解除去される際に、撥液層54aの表面との当接部近傍の発光層45bも一緒に除去される。これにより、撥液層54a及び発光層45bの該撥液層54aの表面との当接部近傍を簡便且つ確実に除去することができる。
次に、対向電極(陰極)形成工程(S30)では、第2隔壁の平坦面53a上、第3隔壁54の側面上及び機能層45の上に蒸着やスパッタまたはその他の成膜手段によって対向電極(陰極)となる薄膜を形成し、この薄膜を所定の形状(対向電極形状)にパターニングして図9−13に示すように対向電極(陰極)46を形成する。対向電極(陰極)46は、実施例1の場合と同様に例えばアルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)などの単体材料などにより形成することができる。また、対向電極(陰極)25は一層の金属層として構成しても良く、また、上記の材料などからなる二層の金属層または三層の金属層として構成しても良い。
そして、シール層形成工程(S31)では、図9−14に示すように上述した工程によって機能層45が形成された基板10の表面にシール層47を形成する。このシール層47を形成することにより、大気中の水分や酸素が機能層45や電極材料に接触してこれらが劣化することを防止できる。シール層47としては、例えば熱硬化型エポキシ系樹脂、紫外線硬化型エポキシ系樹脂などの各種樹脂材料を用いることができる。
上述した電気光学装置の製造方法によれば、以上のようなS21〜S31の工程を実施することにより図6に示した電気光学装置50を作製することができ、隔壁に囲まれた領域内に、表面の平坦性の良好な薄膜を簡便且つ確実に形成することができ、薄膜表面の平坦性に起因した品質低下のない、高品質な電気光学装置を作製することができる。
上述した実施例1及び実施例2においては、陽極を画素電極41とし、陰極を対向電極46として機能素子部40を形成した場合を例示しているが、これに限られる趣旨ではなく、陰極を画素電極41とし、陽極を対向電極46として機能素子部40を形成してもよい。また、上記の実施例及び実施例2では、アクティブマトリックス型の電気光学装置としてTFTを駆動素子やスイッチング素子として用いた場合を説明したが、駆動素子やスイッチング素子としてTFD(薄膜ダイオード)を用いることもできる。そして、電気光学装置としてはアクティブマトリックス型の電気光学装置ではなく、パッシブマトリックス型の電気光学装置を製造する場合にも同様に適用することができる。
さらに、上述した実施例1及び実施例2では、有機EL薄膜を有する電気光学装置を製造する場合を例に挙げて説明したが、電気光学装置の製造に際してカラーフィルタなどの薄膜を液滴吐出法を用いて形成する場合にも広く適用することが可能である。また、電気光学装置だけでなく、インクジェットプロセスなどの液滴吐出法によって所定の位置に薄膜層の形成が行われる半導体装置や表示デバイスなどの製造にも広く適用することが可能である。
実施例3では、実施例1及び実施例2において説明した電気光学装置を備える電子機器の具体例について説明する。図10〜図12は、それぞれ、上述した電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置を搭載した電子機器の例である。図10は、携帯電話の一例を示す斜視図である。100は携帯電話本体を示し、そのうち101はこの発明の電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置からなる表示部である。図11は、腕時計型の電子機器の一例を示す斜視図である。110は時計機能を内蔵した時計本体を示し、111はこの発明の電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置からなる表示部である。そして、図12は、ワードプロセッサ機やパーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置の一例を示す斜視図である。この図12において、120は携帯型情報処理装置を示し、122はキーボードなどの入力部、124は演算手段や記憶手段などが格納されている情報処理装置本体部、126はこの発明の電気光学装置の製造方法により製造した電気光学装置からなる表示部である。
これらの電子機器に本発明にかかる電気光学装置の製造方法により製造された電気光学装置を使用すれば、高品質な電子機器を実現することができる。なお、電子機器は、電気光学装置を搭載可能であれば、これらに限らない。したがって、このような電気光学装置を備えた電子機器としては、図10に示される携帯電話、図11に示される腕時計型の電気機器、図12に示される携帯型情報処理装置のほかに、たとえば、デジタルスチルカメラ、車載用モニタ、デジタルビデオカメラ、ビューファインダ型またはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末機などの電気光学装置を備える電子機器を挙げることができる。
以上のように、本発明に係る薄膜の形成方法は、隔壁により仕切られた領域内に薄膜を形成する場合に有用であり、特に、表面の平坦性が要求される薄膜の形成に適している。
実施例1にかかる電気光学装置の配線構造を示す平面図である。 図1に示した電気光学装置の画素領域の構造を示す断面図である。 図2における機能層の周縁部近傍を拡大して示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示すフローチャートである。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 図1に示した電気光学装置の画素領域の構造を示す断面図である。 図6における機能層の周縁部近傍を拡大して示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示すフローチャートである。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電気光学装置の製造工程を示す断面図である。 電子機器の一例を示す図である。 電子機器の一例を示す図である。 電子機器の一例を示す図である。 従来の電気光学装置の画素部の要部断面図である。 従来の電気光学装置における薄膜形成過程を模式的に示す図である。 従来の電気光学装置における薄膜形成過程を模式的に示す図である。
符号の説明
1 電気光学装置、10 基板、20 駆動素子部、40 機能素子部、41 画素電極(陽極)、42 バンク、43 第1隔壁、44a 第1隔壁の平坦面、44 第2隔壁、44a 撥液層、45 機能層、46 対向電極(陰極)、47 シール層

Claims (21)

  1. 隔壁で囲われた薄膜形成面に薄膜材料液を充填して薄膜を形成する薄膜の製造方法であって、
    前記薄膜形成面に、表面が前記薄膜材料に対して親液性を有し、前記薄膜形成面と略平行な平坦面を有する第1隔壁を形成する第1隔壁形成工程と、
    前記第1隔壁の平坦面が露出するように第2隔壁を前記第1隔壁上に形成する第2隔壁形成工程と、
    前記第2隔壁の表面に、前記薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層を形成する撥液層形成工程と、
    前記第1隔壁及び第2隔壁で囲まれた領域に前記薄膜材料液を充填、乾燥して前記第1隔壁の厚みよりも膜厚の厚い薄膜を形成する薄膜形成工程と、
    前記撥液層及び前記薄膜の前記撥液層との当接部近傍を除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とする薄膜の形成方法。
  2. 前記薄膜形成面の前記第1隔壁で囲まれた領域及び前記第1隔壁の表面の前記薄膜材料液に対する親液性を高める親液性調整工程を有すること
    を特徴とする請求項1に記載の薄膜の形成方法。
  3. 前記撥液層形成工程において、前記撥液層を光分解性材料により形成し、
    前記除去工程において、前記撥液層に光を照射して該撥液層を分解除去すること
    を特徴とする請求項1に記載の薄膜の形成方法。
  4. 隔壁で囲われた薄膜形成面に薄膜材料液を充填して薄膜を形成する工程を含む電気光学装置の製造方法であって、
    前記薄膜形成面に、表面が前記薄膜材料に対して親液性を有し、前記薄膜形成面と略平行な平坦面を有する第1隔壁を形成する第1隔壁形成工程と、
    前記第1隔壁の平坦面が露出するように第2隔壁を前記第1隔壁上に形成する第2隔壁形成工程と、
    前記第2隔壁の表面に、前記薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層を形成する撥液層形成工程と、
    前記第1隔壁及び第2隔壁で囲まれた領域に前記薄膜材料液を充填、乾燥して前記第1隔壁の厚みよりも膜厚の厚い薄膜を形成する薄膜形成工程と、
    前記撥液層及び前記薄膜の前記撥液層との当接部近傍を除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  5. 前記薄膜形成面の前記第1隔壁で囲まれた領域及び前記第1隔壁の表面の前記薄膜材料液に対する親液性を高める親液性調整工程を有すること
    を特徴とする請求項4に記載の電気光学装置の製造方法。
  6. 前記薄膜形成面を形成する第1の電極を形成する第1の電極形成工程と、 有機エレクトロルミネッセンス膜を形成する薄膜形成工程と、
    前記有機エレクトロルミネッセンス膜、前記第1隔壁及び前記第2隔壁を覆うように前記第1の電極と対向する第2の電極を形成する第2の電極形成工程と、
    を含むことを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置の製造方法。
  7. 前記有機エレクトロルミネッセンス膜が、発光層と該発光層における発光を高めるための機能を有する補助層とを有し、
    前記薄膜形成工程において、
    乾燥後の前記補助層の膜厚が前記第1隔壁の厚み以下となるように前記補助層を形成する薄膜材料液を充填、乾燥後に、前記発光層を形成する薄膜材料液を充填、乾燥すること
    を特徴とする請求項6に記載の電気光学装置の製造方法。
  8. 前記撥液層形成工程において、前記撥液層を光分解性材料により形成し、
    前記除去工程において、前記撥液層に光を照射して該撥液層を分解除去すること
    を特徴とする請求項4に記載の電気光学装置の製造方法。
  9. 隔壁で囲われた薄膜形成面に薄膜材料液を充填して薄膜を形成する薄膜の製造方法であって、
    前記薄膜形成面に、表面が前記薄膜材料に対して親液性を有し、前記薄膜形成面と略平行な平坦面を有する第1隔壁を形成する第1隔壁形成工程と、
    前記第1隔壁の平坦面が露出するように、表面が前記薄膜材料に対して親液性を有し、前記薄膜形成面と略平行な平坦面を有する第2隔壁を前記第1隔壁上に形成する第2隔壁形成工程と、
    前記第2隔壁の平坦面が露出するように前記第2隔壁上に第3隔壁を形成する第3隔壁形成工程と、
    前記第3隔壁の表面に、前記薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層を形成する撥液層形成工程と、
    前記第1隔壁、第2隔壁及び第3隔壁で囲まれた領域に前記薄膜材料液を充填、乾燥して、前記第1隔壁の厚みと第2隔壁の厚みとを合わせた厚みよりも膜厚が厚い薄膜を形成する薄膜形成工程と、
    前記撥液層及び前記薄膜の前記撥液層との当接部近傍を除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とする薄膜の形成方法。
  10. 前記薄膜形成面の前記第1隔壁で囲まれた領域と前記第1隔壁の表面と前記第2隔壁の表面との前記薄膜材料液に対する親液性を高める親液性調整工程を有すること
    を特徴とする請求項9に記載の薄膜の形成方法。
  11. 前記撥液層形成工程において、前記撥液層を光分解性材料により形成し、
    前記除去工程において、前記撥液層に光を照射して該撥液層を分解除去すること
    を特徴とする請求項9に記載の薄膜の形成方法。
  12. 隔壁で囲われた薄膜形成面に薄膜材料液を充填して薄膜を形成する工程を含む電気光学装置の製造方法であって、
    前記薄膜形成面に、表面が前記薄膜材料に対して親液性を有し、前記薄膜形成面と略平行な平坦面を有する第1隔壁を形成する第1隔壁形成工程と、
    前記第1隔壁の平坦面が露出するように、表面が前記薄膜材料に対して親液性を有し、前記薄膜形成面と略平行な平坦面を有する第2隔壁を前記第1隔壁上に形成する第2隔壁形成工程と、
    前記第2隔壁の平坦面が露出するように前記第2隔壁上に第3隔壁を形成する第3隔壁形成工程と、
    前記第3隔壁の表面に、前記薄膜材料液に対して撥液性を有する撥液層を形成する撥液層形成工程と、
    前記第1隔壁、第2隔壁及び第3隔壁で囲まれた領域に前記薄膜材料液を充填、乾燥して、前記第1隔壁の厚みと第2隔壁の厚みとを合わせた厚みよりも膜厚が厚い薄膜を形成する薄膜形成工程と、
    前記撥液層及び前記薄膜の前記撥液層との当接部近傍を除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  13. 前記薄膜形成面の前記第1隔壁で囲まれた領域と前記第1隔壁の表面と前記第2隔壁の表面との前記薄膜材料液に対する親液性を高める親液性調整工程を有すること
    を特徴とする請求項12に記載の電気光学装置の製造方法。
  14. 前記薄膜形成工程において有機エレクトロルミネッセンス膜を形成すること
    を特徴とする請求項12に記載の電気光学装置の製造方法。
  15. 前記有機エレクトロルミネッセンス膜が、発光層と該発光層における発光を高めるための機能を有する補助層とを有し、
    前記薄膜形成工程において、
    乾燥後の前記補助層の膜厚が前記第1隔壁の厚み以下となるように前記補助層を形成する薄膜材料液を充填、乾燥後に、乾燥後の前記有機エレクトロルミネッセンス膜の膜厚が前記第1隔壁の厚みと第2隔壁の厚みとを合わせた厚みよりも厚くなるように前記発光層を形成する薄膜材料液を充填、乾燥すること
    を特徴とする請求項14に記載の電気光学装置の製造方法。
  16. 前記撥液層形成工程において、前記撥液層を光分解性材料により形成し、
    前記除去工程において、前記撥液層に光を照射して該撥液層を分解除去すること
    を特徴とする請求項12に記載の電気光学装置の製造方法。
  17. 基板上に二次元的に配列された複数の薄膜形成領域に各々形成された第1の電極と、 前記複数の薄膜形成領域を形成するために各領域間を分離し、表面が前記薄膜材料に対して親液性を有し、前記薄膜形成面と略平行な平坦面を有する第1隔壁と、
    前記第1隔壁の平坦面が露出するように前記第1隔壁上に形成した第2隔壁と、
    前記薄膜形成領域内に機能層材料を含む液滴を配することにより形成される少なくとも発光層を含む機能層と、
    少なくとも前記第1隔壁の略平行な平坦面の少なくとも一部と接するように、前記機能層及び第2隔壁の上に形成され、第1の電極と対向する第2の電極と、
    を備えることを特徴とする電気光学装置。
  18. 前記第1隔壁及び前記第2の電極はともに無機材料からなることを特徴とする請求項17に記載の電気光学装置。
  19. 基板上に二次元的に配列された複数の薄膜形成領域に各々形成された第1の電極と、
    前記複数の薄膜形成領域を形成するために各領域間を分離し、表面が前記薄膜材料に対して親液性を有し、前記薄膜形成面と略平行な平坦面を有する第1隔壁と、
    前記第1隔壁の平坦面が露出するように前記第1隔壁上に形成した、表面が前記薄膜材料に対して親液性を有し、前記薄膜形成面と略平行な平坦面を有する第2隔壁と、
    前記第2隔壁の平坦面が露出するように前記第2隔壁上に形成した第3隔壁と、
    前記薄膜形成領域内に機能層材料を含む液滴を配することにより形成される少なくとも発光層を含む機能層と、
    少なくとも前記第2隔壁の略平行な平坦面の少なくとも一部と接するように、前記機能層及び第3隔壁の上に形成され、第1の電極と対向する第2の電極と、
    を備えることを特徴とする電気光学装置。
  20. 前記第2隔壁及び前記第2の電極はともに無機材料からなることを特徴とする請求項19に記載の電気光学装置。
  21. 請求項12から請求項16に記載の電気光学装置の製造方法で製造した電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
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