JP2005158405A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】セル内での水分均一化を適切に行うことができる燃料電池を提供する。
【解決手段】MEA15に隣接して、ポーラスプレートにより構成した酸化剤ガスセパレータ1を備える。酸化剤ガスセパレータのMEA15に隣接する面には酸化剤ガス流路2を構成し、その裏面には、毛細管圧力により水の移動が可能な複数の細溝3を設ける。さらに、この細溝3にガスを供給するガス供給手段12を備える。例えば、ガス供給手段12によって細溝3に空気を流通させることにより、細溝3内における水の移動を促進させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。特に、固体高分子型燃料電池内における水マネージメントを適切に行うための構成に関する。
燃料電池の性能を向上するためには、セル内の水分状態を均一に保つ必要がある。流路内で過剰に水が存在する領域がある場合には、液相の水が存在し、フラッディング(水詰まり)が生じる。その結果、反応ガスの供給が妨げられ、セルの性能が低下する。また逆に、外部に加湿手段がない場合には、セルの反応ガス入口付近でドライアウト(乾燥状態)が生じ、セルの性能が低下する。このような不具合を防ぐために、ポーラス材により構成したバイポーラプレートを用いることで、セル内の水分の均一化を図った燃料電池が提案されている。
イオン交換膜の一方面に正の触媒電極を有すると共に、他方面に負の触媒電極を有する電池セルを備える。また、触媒電極に接触させてポーラス部材で形成したポーラスガイド体を配置し、さらに触媒電極とポーラスガイド体との間に反応ガス通路を設ける。また、電池セルの正の触媒電極側に、正の触媒電極への酸素の入口側へ生成水を移動させる水分均一化構造体を備える(例えば、特許文献1、参照。)。
燃料電池稼動状態においては、反応によって水が生成されるので、燃料電池の中を上流から下流に向かって流れるにつれて反応ガスに含まれる水分量が増大する。この下流側で増大した水分を、水分均一化構造体により乾燥状態のセルの入口側(上流側)に移動させて、水分の均一化を図っている。水分均一化構造体には縦方向に切欠きが設けられており、水の毛細管現象を利用して、自動的に、湿っているガスの存在する下流側から、乾いたガスが存在する上流側へ水を戻す方向に移動させている。
特開平8−138691号公報
しかしながら、上記背景技術においては、水の移動が毛細管現象のみによって行われており、途中に気泡が生じると、そこで水の移動が止まってしまう現象、いわゆるベイパーロックが発生する可能性があった。また、燃料電池を自動車等の移動体に搭載した場合には、横・縦Gや傾斜によって水の移動が止まり、実施にはうまく上流側が加湿されないという問題があった。
そこで本発明は、上記問題を鑑みて、セル内での水分均一化を適切に行うことができる燃料電池を提供することを目的とする。
本発明は、固体高分子電解質膜の両主面に一対の電極である燃料極および酸化剤極を有する発電層と、前記発電層に隣接すると共に前記発電層との間に反応ガス流路を有し、かつ、その裏面に毛細管圧力により水の移動が可能な複数の細溝を設けたポーラスセパレータと、を有する燃料電池と、前記細溝にガスを供給するガス供給手段と、を備える。
細溝を毛細管圧力により移動する水に、ベイパーロックや横・縦Gや傾斜などによる水の停滞が生じた場合でも、細溝にガスを流すことにより、そのガスの流速がドライビングフォースとなり、毛細管現象だけでは不十分な水の移動を効率的に行うことができる。その結果、セル内の水分均一化を適切に行うことができる。
第1の実施形態について説明する。燃料電池に用いる単位セル100の構成を図2に示す。ここでは、燃料電池を、複数の単位セル100を積層することにより形成したスタックにより構成する。なお、燃料電池を、一つの単位セル100から構成してもよい。
電解質膜の両主面に触媒電極とガス拡散層から成る電極を配置することにより構成した膜電極接合体(MEA)15を、酸化剤ガスセパレータ1、燃料ガスセパレータ14で狭持することにより単位セル100を構成する。ここでは、酸化剤ガスセパレータ1をポーラスタイプのプレートにより構成する。一方、燃料ガスセパレータ14を、ソリッドタイプのプレートにより構成する。
MEA15の酸化剤極側と酸化剤ガスセパレータ1との間には、酸化剤ガス流路2を構成する。酸化剤ガスセパレータ1のMEA15に対峙する面に、複数の並列した溝を設けることにより、酸化剤ガス流路2を構成する。また、MEA15の燃料極側と燃料ガスセパレータ14との間には、燃料ガス流路18を構成する。燃料ガスセパレータ14のMEA15に対峙する面に複数の並列した溝を設けることにより、燃料ガス流路18を構成する。ここでは、酸化剤ガス流路2と燃料ガス流路18とが略直交するように構成するが、この限りではない。
ポーラスタイプのプレートを用いて構成する酸化剤ガスセパレータ1の詳細を、図1を用いて説明する。
酸化剤ガスセパレータ1のMEA15に対峙する面には、複数の並列に構成された酸化剤ガス流路2と、酸化剤ガスを複数の酸化剤ガス流路2に分配する入口マニホールド21と、酸化剤ガス流路2から酸化剤ガスを回収する出口マニホールド22を備える。ここでは、酸化剤ガス流路2を折り返し形状に構成し、折り返し部分に中間マニホールド23を備える。なお、酸化剤ガス流路2は、折り返し形状に限らず、ストレート形状、蛇行形状、インターディジデント(櫛型)形状等、いずれの形状に構成してもよい。
後述するように外部から燃料電池システムに酸化剤ガスとしての空気を導入する酸化剤ガス供給手段12を備え、外部より入口マニホールド21に空気が供給される。空気は、入口マニホールド21を通って燃料電池を積層方向に流通し、各単位セル100に構成した酸化剤ガス流路2に分配される。酸化剤ガス流路2を流れる際に空気の一部がMEA15内に拡散し、空気中の酸素を用いて発電が行われる。このとき、発電反応に伴って酸化剤極側では生成水が生じるが、酸化剤ガス流路2の上流側(領域A)では流通する酸化剤ガスが乾燥しているため、生成された水は酸化剤ガスによって持ち去られる。酸化剤ガスの含水率は酸化剤ガス流路2を流れるにつれて徐々に増加し、ある時点で飽和状態となる。その後、出口付近の下流側(領域B)では、生成された水は蒸発することなく、液水として存在する。
このような水分布の不均一を抑制するために、酸化剤ガスセパレータ1のMEA15に対峙する面の裏面に、細溝3を構成する。細溝3を、上流側の少なくともドライアウトが生じる可能性がある領域を含む領域Aと、下流側の少なくとも液水によりフラッディングを生じる可能性がある領域を含む領域Bを連通する複数の溝により構成する。ここでは、酸化剤ガス流路2を折り返し形状に構成しているので、細溝3を、入口マニホールド21および出口マニホールド22近傍に、各酸化剤ガス流路2に略直交するように設けた溝により構成する。なお、細溝3の形状はこれに限らない。
下流領域Bで、MEA15における反応に伴って生じた液水は、酸化剤ガスセパレータ1のMEA15に対峙する面とその裏面の圧力差を制御することにより、裏面側に浸透する(図2.矢印16)。なお、この圧力制御は、後述するように出口マニホールド22の下流に設けた反応面ガス圧力制御弁11(図1)を調整することにより行う。裏面側に浸透した液水は、少なくともその一部が細溝3に回収される。このとき、細溝3の表面に親水処理を施す等、細溝3に水が集中し易い構成としても良い。
細溝3内では、毛細管圧力により、水が下流領域Bから水濃度の低い上流領域Aに移動する(図2.矢印20)。上流領域Aに移動した液水は、プレート内の水濃度差により、再びポーラスプレート内を浸透して、酸化剤ガス流路2を構成する溝表面に達する(図2.矢印17)。酸化剤ガス流路2を構成する溝表面の水分は、酸化剤ガス流路2内を流通する乾燥した空気中に蒸発するので、MEA15に湿潤した酸化剤ガスが供給される。その結果、電解質膜が加湿され、ドライアウトによる効率低下を抑制することができる。
このように、ポーラスタイプのプレートにより構成した酸化剤ガスセパレータ1の裏面側に細溝3を構成することで、セル内の水分布を均一化できる。しかしながら、細溝3内を移動する水のドライビングフォースは、毛細管圧力のみであるので、図3に示すように細溝3の途中に気泡24が存在すると、そこで水の移動が停止してしまういわゆるベイパーロックが生じてしまう。また、例えば燃料電池を自動車のような移動体に搭載した場合、傾斜や、運転中の縦・横Gに大きく影響され、定常的に水を下流領域Bから上流領域Aは移動させることは困難となる。
そこで本実施形態では、細溝3にガスを流通させることにより、停滞またはそれに近い状態の水の移動を促進する。ここでは、細溝3に流通させるガスとして空気を用いる。細溝3にガスを流通する構成を有する燃料電池システムの概略を、図1を用いて説明する。
先ず、単位セル100内の細溝3に空気を流通するための構成について説明する。
図1に示すように、酸化剤ガスセパレータ1内に、細溝3に流通させる空気を燃料電池内に導入し、各単位セル100に分配するガス供給口6を備える。また、単位セル100に分配された空気を、さらに各細溝3に分配する分配マニホールド4を備える。分配マニホールド4は、下流領域Bまたはその近傍で、全ての細溝3に並列に連通するように構成される。また、燃料電池設置時に、分配マニホールド4の最上端に、ガス供給口6が設置されるように構成する。
また、上流領域Aまたはその近傍で、全ての細溝3に並列に連通するように構成され、各細溝3を流通した空気を回収する回収マニホールド5を備える。さらに、各単位セル100から細溝3を流通後の空気を回収して燃料電池の外部に排出するガス排出口7を備える。燃料電池設置時に、回収マニホールド5の最上端に、ガス排出口7が設置されるように構成する。また、回収マニホールド5の最下端には、細溝3に保持された液水を、燃料電池から排出可能とする排水口8を備える。燃料電池設置時に、回収マニホールド5の最下端に、排水口8が設置されるように構成する。
なお、ガス供給口6、ガス排出口7、排水口8は、それぞれ燃料電池を積層方向に貫通する孔により構成する。分配マニホールド4、回収マニホールド5は、それぞれ酸化剤ガスセパレータ1の表面に形成された溝により構成する。
次に、このような燃料電池に空気を供給するシステムの構成について説明する。
図1に示すように、システム内に外気を取り入れる、例えばブロア、コンプレッサ等のガス供給手段12と、ガス供給手段12へ取り込む外気中の塵埃を除去するフィルタ13を備える。ガス供給手段12の下流側を分岐し、一方は入口マニホールド21に接続して、発電反応に用いる酸化剤ガスを燃料電池に導入可能な構成とする。もう一方を、ガス供給口6に接続し、細溝3に空気を導入可能な構成とする。ここでは、配管25により、分岐した空気をガス供給口6に導入し、配管25には、空気をガス供給口6を介して細溝3に供給するか否かを選択するガス圧力調整弁10を備える。供給される空気の圧力は、このガス圧力調整弁10の開度で調整可能とする。
また、燃料電池の出口マニホールド22の下流側には、酸化剤ガス流路2内の圧力を制御する反応面ガス圧力制御弁11を備える。前述したように、この反応面ガス圧力制御弁11によって、酸化剤ガスセパレータ1を構成するポーラスプレートの両面の差圧を調整する。さらに、燃料電池の排水口8の下流側には、細溝3内の水を排水するか否かを選択する排水バルブ9を備える。なお、燃料電池設置時には、排水バルブ9が排水口8より垂直下方に位置するように構成する。
このような燃料電池システムにおいて、ガス圧力調整弁10を開くことにより、ガス供給手段12によってシステム内に導入された空気の一部が供給口6に分配される。ここでは、ガス圧力調整弁10の開閉により、細溝3内に空気を供給するか否か、また供給する空気の圧力を選択できるので、必要な時のみに、必要な量の空気を供給する。これにより、必要以上にガス供給手段12の負荷を増大する必要がないので、システムの効率を向上することができる。例えば、ガス圧力調整弁10を開き、このガス圧力調整弁10の開くタイミングに併せて、ガス供給手段12の負荷を一瞬増大することで、細溝3に一瞬正圧を負荷し、ガス圧力調整弁10をすぐに閉じることで圧力を開放する、というサイクルを定期的に繰り返す。
このように供給口6に導入された空気は、供給口6から各単位セル100に分配され、さらに分配マニホールド4を流通して各細溝3に分配される。空気は細溝3内を、下流領域Bから上流領域Aに向かって流通する。空気の流速が細溝3内の水の移動速度より大きくなるようにガス圧力を調整することで、空気が細溝3内を流通する際に、空気と液相の水との間で摩擦が生じ、液相の水の下流領域Bから上流領域Aに向かう移動を促進させることができる。また、液相の水の間に気泡23が形成されている場合も、気泡23が空気に接触した際に除去することができるため、気泡23によるベイパーロックを抑制することができる。
このように、細溝3内に空気を流通させることで、水の移動のドライビングフォースとして、毛細管圧力に加えて空気との摩擦を用いることができる。その結果、気泡23や横・縦G、傾斜により停止した水を移動させることができる。
なお、細溝3に空気を流通させることにより、細溝3内の水の一部が回収マニホールド5に排出される可能性があるが、水移動可能な範囲で細溝3の幅を非常に小さく設定することで、これを抑制することができる。また、細溝3を、断面に角部を有する形状、例えば溝をV字形状に構成することで、細溝3内を空気が流通する際に、溝断面に気相と液相を存在させ易くすることができる。その結果、水を、下流領域Bから上流領域Aにかけて均一化させることができ、また、細溝3から排出される水を低減することができる。特に、上流領域Aにおいて、細溝3の表面に親水処理を施す等により親水性を持たせることで、さらに細溝3から水が排出されるのを抑制することができる。
一方、低温環境下で燃料電池を停止する場合には、燃料電池内に水が存在するのは好ましくなく、細溝3内に保持された水を燃料電池外部に排出する制御を行う。ここでは、排水バルブ9を開くことで、細溝3内の液水を全て排出する。これにより、雰囲気温度が氷点下になった場合に、単位セル100内で水が凍るのを防止することができる。ただし、停止時に毎回排水バルブ9を開にして水を排出すると、次回の発電時に生成水が十分溜まるまで、高出力運転ができないという問題がある。そのため、スタック内の温度をモニタし、例えば1℃以下まで下がったら自動的に排水バルブ9を開いて水を排出するという機能を備えても良い。
次に、本実施形態の効果について説明する。
固体高分子電解質膜の両主面に一対の電極である燃料極および酸化剤極を有するMEA15と、MEA15に隣接すると共にMEA15との間に反応ガス流路を有し、かつ、その裏面に毛細管圧力により水の移動が可能な複数の細溝3を設けたポーラスセパレータと、を有する燃料電池を備える。ここでは、MEA15との間に酸化剤ガス流路2を有する酸化剤ガスセパレータ1をポーラス材により構成する。また、細溝3にガスを供給するガス供給手段12を備える。これにより、細溝3を毛細管圧力により移動する水に、ベイパーロックや横・縦Gや傾斜による水の停滞が生じた場合でも、細溝3にガスを流すことにより、そのガスの流れがドライビングフォースとなり、毛細管圧力だけでは不十分な水の移動を効率的に行うことができる。その結果、燃料電池内の水分布を適切に均一化することができる。
ここでは、細溝3を、酸化剤ガス流路2の下流領域Bと上流領域Aを連通するように構成し、ガス供給手段12の吐出側が、酸化剤ガス流路2の下流領域Bにおいて、細溝3に連通するように構成する。これにより、細溝3内の水の、下流領域Bから上流領域Aに向かう移動を促進することができる。
燃料電池に、細溝3を流通したガスを回収する回収マニホールド4を備え、また、その最上端にガス排出口7を設ける。これにより、水を細溝3内に残したまま、供給したガスのみをその浮力(密度差)により排出することができる。
燃料電池に、細溝3を流通したガスを回収する回収マニホールド4を備え、また、その最下端に排水口8を設け、さらに、排水口8、またはその下流側に、細溝3から水を排出するか否かを選択する排水バルブ9を備える。これにより、外気が0℃以下になるときは、細溝3内の水を排出し、燃料電池内での凍結を防止することができる。
また、ガス供給手段12から細溝3に供給するガスの圧力を調整するガス圧力調整弁10を備える。これにより、必要なときに必要な量のガスを細溝3に供給することができ、ガス供給エネルギを節約することができる。
さらに、ガス圧力調整弁10により圧力調整したガスを瞬間的に細溝3に供給することにより、細溝3に一瞬正圧を付加してすぐに開放する、というサイクルを、定期的に繰り返す。これにより、細溝3内をガスが移動している間は、細溝3内で圧力勾配が生じるので、より効果的に気泡23を移動させることができる。
次に、第2の実施形態について説明する。燃料電池システムの構成を図4に示す。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
ガス供給口6を、空気中の塵埃を除去するフィルタ26を介して外気に連通する。また、ガス排出口7に配管19を接続し、ガス供給手段12の上流側に連通させる。
このような燃料電池システムにおいて、ガス供給手段12を稼動することで、反応に用いる主たる空気としてフィルタ13を介して燃料電池システム内に空気が導入される。また、比較的少量の空気がフィルタ26を介して燃料電池システムに導入される。なお、フィルタ13を介して導入する空気と、フィルタ26を介して導入する空気の割合は、フィルタ13、26それぞれが配置される配管の半径等により、予め設定しておく。
フィルタ26を介して導入された空気は、ガス供給口6を介して燃料電池に供給される。さらに分配マニホールド4において各細溝3に分配され、流速の差によって細溝3内の水の移動を促進させる。このとき、細溝3内の水の一部が空気中に蒸発するので、外部から導入された空気は比較的高湿の空気となる。また、燃料電池は発電反応により約80℃程度となっているので、外部から導入された空気は、細溝3内を流通する際に暖められ、比較的高温な空気となる。
細溝3を流通後、空気は回収マニホールド5に回収され、ガス排出口7を介して燃料電池の外部に排出される。排出された比較的高温、高湿の空気は、配管19を通ってガス供給手段12の上流側で、フィルタ13を介して導入される外気に混入される。その後、入口マニホールド21を介して酸化剤ガス流路2に供給され、発電反応に用いられる。
なお、本実施形態では、細溝3に常に空気が流通するように制御される。そのため、常に空気と水の流速の差により水の移動を促進させていることとなるので、細溝3に導入する空気の圧力を、比較的小さく設定することができる。その結果、細溝3から水が排出されるのを抑制または防止することができる。また、細溝3を流通した、比較的高温高湿の空気を、常に酸化剤ガス流路2に供給する酸化剤ガスの一部として使用することができる。これにより、外気のみを供給する場合に比べて湿度および温度が高い空気を、安定して供給することができる。
次に、本実施形態の効果について説明する。ここでは、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
細溝3に供給するガスとして、酸化剤ガス、ここでは空気を用い、細溝3から排出されたガスを、酸化剤極側に形成した酸化剤ガス流路2に供給する。これにより、液水が存在する細溝3や、細溝3を連通する回収マニホールド5を通って十分に加湿されたガスを反応面側に供給して、電解質膜を加湿することができる。
ここでは、細溝3に、常に酸化剤ガスを供給する。これにより、燃料電池に安定して比較的高温・高湿のガスを混入した酸化剤ガスを供給することができる。
次に、第3の実施形態について説明する。燃料電池システムの構成を図5に示す。以下、第2の実施形態と異なる効果のみを説明する。
ここでは、フィルタ26を用いずに、フィルタ13を介してガス供給手段12により導入された空気を、配管25を介してガス供給口6に供給することにより細溝3に空気を供給する。また、第2の実施形態と同様に、ガス排出口7から排出された比較的高温・高湿の空気は、配管19を通ってガス供給手段12の上流側に混入される。つまり、細溝3への空気の供給が閉ループとなるように構成する。
なお、ここでは、第1の実施形態と同様に、配管25にガス圧力調整弁10を備え、圧力調整を行った空気を瞬間的に導入する。これにより、細溝3内に滞留する液水の除去を効率的に行うことができる。ただし、この限りではなく、例えば、第2の実施形態と同様に、細溝3に常に空気を導入してもよい。この場合には、配管25の半径を設定することで、供給する空気の圧力を調整する。
次に、本実施形態の効果について説明する。ここでは、第2の実施形態と異なる効果のみを説明する。
細溝3を通過し、比較的高温・高湿となった酸化剤ガスを反応に用いることにより電解質膜を加湿する効果を維持しつつ、細溝3への酸化剤ガスの供給を閉ループとしたので、ガス供給手段12のエネルギ消費を低減することができる。
なお、第1〜3の実施形態では、酸化剤ガスセパレータ1をポーラスタイプのプレートで構成し、細溝3を設けたが、燃料ガスセパレータ14をポーラスタイプのプレートによって構成して細講3を設けてもよい。この場合には、細溝3を流通するガスとしては、水素ガス等の燃料ガスを用いてもよい。または、酸化剤ガスセパレータ1、燃料ガスセパレータ14をともにポーラスタイプのプレートにより構成し、それぞれに細溝3を設けてもよい。
このように、本発明は、上記発明を実施するための最良の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で、様々な変更を為し得ることは言うまでもない。
本発明は、ポーラスセパレータ内に水の移動用の流路を有する固体高分子型燃料電池に適用することができる。特に、車両等の移動体の駆動源として燃料電池を用いた場合に、適切な効果を得ることができる。
第1の実施形態に用いる燃料電池システムの概略構成図である。 第1の実施形態に用いる単位セルの断面図である。 細溝内に気泡が存在する場合の状態を示す図である。 第2の実施形態に用いる燃料電池システムの構成図である。 第3の実施形態に用いる燃料電池システムの構成図である。
符号の説明
1 酸化剤ガスセパレータ(ポーラスセパレータ)
2 酸化剤ガス流路(反応ガス流路、酸化剤極側に形成した反応ガス流路)
3 細溝
4 分配マニホールド
5 回収マニホールド
6 ガス供給口
7 ガス排出口(排出部)
8 排水口(排水部)
9 排水バルブ(排水選択手段)
10 ガス圧力調整弁(圧力調整手段)
12 ガス供給手段
15 膜電極接合体(MEA)(発電層)

Claims (8)

  1. 固体高分子電解質膜の両主面に一対の電極である燃料極および酸化剤極を有する発電層と、
    前記発電層に隣接すると共に前記発電層との間に反応ガス流路を有し、かつ、その裏面に毛細管圧力により水の移動が可能な複数の細溝を設けたポーラスセパレータと、を有する燃料電池と、
    前記細溝にガスを供給するガス供給手段と、を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記細溝を、前記反応ガス流路の下流領域と上流領域を連通するように構成し、
    前記ガス供給手段の吐出側が、前記反応ガス流路の下流領域において、細溝に連通するように構成する請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記燃料電池に、前記細溝を流通したガスを回収する回収マニホールドを備え、また、その最上端にガスの排出部を設ける請求項1に記載の燃料電池システム。
  4. 前記燃料電池に、前記細溝を流通したガスを回収する回収マニホールドを備え、また、その最下端に水の排出部を設け、
    さらに、前記水の排出部、またはその下流側に、前記細溝から水を排出するか否かを選択する排水選択手段を備える請求項1に記載の燃料電池システム。
  5. 前記ガス供給手段から前記細溝に供給するガスの圧力を調整する圧力調整手段を備える請求項1に記載の燃料電池システム。
  6. 前記圧力調整手段により圧力調整したガスを瞬間的に前記細溝に供給することにより、前記細溝に一瞬正圧を付加してすぐに開放する、というサイクルを、定期的に繰り返す請求項5に記載の燃料電池システム。
  7. 前記細溝に供給するガスとして、酸化剤ガスを用い、
    前記細溝から排出されたガスを、前記酸化剤極側に形成した反応ガス流路に供給する請求項1に記載の燃料電池システム。
  8. 前記細溝に、常にガスを供給する請求項7に記載の燃料電池システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008136518A1 (ja) * 2007-04-27 2008-11-13 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha 燃料電池システム
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