JP2005157052A - マスクおよびその製造方法、露光方法、並びにプログラム - Google Patents

マスクおよびその製造方法、露光方法、並びにプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】相補露光技術を用いない場合の重ね合わせ誤差と同等の重ね合わせ誤差を実現することができる相補露光用のマスクおよびその製造方法、並びに露光方法を提供する。
【解決手段】デバイスパターンが相補的に複数の分割パターンに分割され、当該分割パターンが振り分けられて形成された複数の相補マスクを一組とするマスクであって、下地層21と電気的に接続される部位を第1の分割パターン11として略全て形成した第1の相補マスク1と、上層22と電気的に接続される部位を第2の分割パターン12として略全て形成した第2の相補マスク2とを有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、特に、リソグラフィ技術に使用されるマスクおよびその製造方法、露光方法、並びにプログラムに関する。
近年、半導体集積回路の高集積化、チップサイズの縮小化に伴い、より微細化が重要になってきている。露光方式に関しても現在、KrF、ArFなどの光リソグラフィが中心であるが、100nm以下の線幅に対しては、光リソグラフィであればF2 リソグラフィ、またその他にも電子線露光技術、X線露光技術、EUVなど様々な露光方式が提案されている。
本来であれば光技術の延長であるF2 リソグラフィが本命になりそうではあるが、装置の硝材の問題、157nmという短波長のため空気中での吸収により今までの光学系を構成することが難しいという問題等から、次世代の技術の1候補としての位置付けで開発が進められている。
電子線露光技術としては直描技術に加えて、低エネルギー電子ビームを用いたリソグラフィ技術の開発が始まっている(特許文献1〜4参照)。本方式は、2kV程度の加速電圧を用いて、等倍のステンシルマスクで近接露光するという方式で100nm以降の世代の露光技術の有力な方式として開発されている。また、4倍に縮小される電子光学系を利用し100kVの加速電圧を用いて露光するEPL技術なども開発されている。
EUVは13nmの極紫外光を用いて露光する方法で日本ではASETが中心となり開発が進められている。
LEEPL、EPLのような次世代電子線リソグラフィでは、フォトリソグラフィに用いられていた石英マスクに代わり、描画エリアであるメンブレン(薄膜)領域をSiやSiC、ダイアモンドなどで構成し、メンブレン領域に貫通孔からなるパターンを形成したステンシルマスクを用いる。電子線は、ステンシルマスクの貫通孔の部分を通り、ウエハ上に予め塗られたレジスト上に到達し、ポジ型レジストであれば電子線の描画された部分が現像液に溶解しパターンが形成される。
ステンシルマスクでは、メンブレン領域に溝を作製するためドーナツ状のパターンを作製することはできず、これを回避するため、デバイスパターンを複数の分割パターンに分割し、当該分割パターンが振り分けられた複数の相補マスクを用い、実際にウエハ上で重ね合わせ露光することにより、一つのデバイスパターンを転写する相補露光技術が必須となる。相補露光技術に用いるマスクとしては、相補マスクを同一基板の異なるブロックに形成したものを用いる場合と、分離した複数の相補マスクを一組として用いる場合がある。
ステンシルマスクを用いた露光以外にも、例えば光露光において相補露光技術を用いる場合がある。例えば、パターンサイズの微細化、要求される寸法精度の厳格化に伴い、一つの層のデバイスパターンを露光する場合でも、パターン密度の疎密が大きい場合には、2つ以上の相補マスクにデバイスパターンを分割した分割パターンを振り分けて形成し、相補露光によりデバイスパターンを露光することが行われる。
特許第2951947号 特開2003−59819号公報 特開2003−31479号公報 特開2002−367885号公報
しかしながら、相補露光技術では、通常行われている下地層との重ね合わせ誤差に加えて、同層同士の重ね合わせ誤差が発生する。例えば、相補露光技術を用いない通常の露光では、1回のマスクの位置合わせおよび露光によりデバイスパターンを露光することから、下地層との重ね合わせ誤差は、1回分のマスクの位置合わせ誤差のみである。
これに対し、例えばデバイスパターンを分割した分割パターンを4つの相補マスクに振り分けて形成し、4つの相補マスクを用いて4回相補露光によりデバイスパターンを露光する場合には、下地層との1回分の相補マスクの位置合わせ誤差に加えて、3回分の相補マスク同士の位置合わせ誤差が発生する。
この結果、下地層や上層とデバイスパターンとの重ね合わせ誤差が相補露光技術を用いない場合に比べて大きくなってしまうという問題がある。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、相補露光技術を用いてデバイスパターンを露光するマスクであって、相補露光技術を用いない場合の重ね合わせ誤差と同等の重ね合わせ誤差を実現することができるマスクおよびその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、相補露光技術を用いる露光方法であって、相補露光技術を用いない場合の重ね合わせ誤差と同等の重ね合わせ誤差を実現することができる露光方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、デバイスパターンを相補的に複数の分割パターンに分割し、分割後のデバイスパターンを各相補マスクに振り分ける相補分割処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、相補露光技術を用いない場合の重ね合わせ誤差と同等の重ね合わせ誤差を実現することができる相補分割処理を実行させるプログラムを提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明のマスクは、デバイスパターンが相補的に複数の分割パターンに分割され、当該分割パターンが振り分けられて形成された複数の相補マスクを一組とするマスクであって、下地層と電気的に接続される部位を第1の分割パターンとして略全て形成した第1の相補マスクと、上層と電気的に接続される部位を第2の分割パターンとして略全て形成した第2の相補マスクとを有する。
上記の本発明のマスクでは、第1の相補マスクに下地層と電気的に接続される部位を第1の分割パターンとして略全て形成していることから、最終的に形成されるデバイスパターンと下地層との重ね合わせ誤差は、第1の相補マスクと下地層との重ね合わせ誤差のみに起因し、第1の相補マスクと第2の相補マスクとの重ね合わせ誤差には影響されない。
上記の目的を達成するため、本発明のマスクは、デバイスパターンが相補的に複数の分割パターンに分割され、当該分割パターンが振り分けられて形成された複数の相補マスクを一組とするマスクであって、第1の下地パターンと電気的に接続される部位を第1の分割パターンとして略全て形成した第1の相補マスクと、前記第1の下地パターンとは異なる第2の下地パターンと電気的に接続される部位を第2の分割パターンとして略全て形成した第2の相補マスクとを有する。
上記の本発明のマスクでは、第1の相補マスクに第1の下地パターンと電気的に接続される部位を第1の分割パターンとして略全て形成していることから、最終的に形成されるデバイスパターンと第1の下地パターンとの重ね合わせ誤差は、第1の相補マスクと第1の下地パターンとの重ね合わせ誤差のみに起因し、第1の相補マスクと第2の相補マスクとの重ね合わせ誤差に影響されない。
上記の目的を達成するため、本発明のマスクの製造方法は、デバイスパターンが相補的に複数の分割パターンに分割され、当該分割パターンが振り分けられて形成された複数の相補マスクを一組とするマスクの製造方法であって、前記デバイスパターンを、下地層と電気的に接続される部位をもつ複数の第1の分割パターンと、上層と電気的に接続される部位をもつ複数の第2の分割パターンとに分割する工程と、前記第1の分割パターンを略全てもつ第1の相補マスクを形成し、前記第2の分割パターンを略全てもつ第2の相補マスクを形成する工程とを有する。
上記の本発明のマスクの製造方法では、下地層と電気的に接続される部位をもつ複数の第1の分割パターンの略全てを一つの第1の相補マスクに集めて形成し、上層と電気的に接続される部位をもつ複数の第2の分割パターンの略全てを一つの第2の相補マスクに集めて形成することにより、下地層あるいは上層との重ね合わせ精度が、相補マスク同士の重ね合わせ精度に影響されないマスクが製造される。
上記の目的を達成するため、本発明のマスクの製造方法は、デバイスパターンが相補的に複数の分割パターンに分割され、当該分割パターンが振り分けられて形成された複数の相補マスクを一組とするマスクの製造方法であって、前記デバイスパターンを、第1の下地パターンと電気的に接続される部位をもつ複数の第1の分割パターンと、前記第1の下地パターンとは異なる第2の下地パターンと電気的に接続される部位をもつ複数の第2の分割パターンとに分割する工程と、前記第1の分割パターンを略全てもつ第1の相補マスクを形成し、前記第2の分割パターンを略全てもつ第2の相補マスクを形成する工程とを有する。
上記の本発明のマスクの製造方法では、第1の下地パターンと電気的に接続される部位をもつ複数の第1の分割パターンの略全てを一つの第1の相補マスクに集めて形成し、第2の下地パターンと電気的に接続される部位をもつ複数の第2の分割パターンの略全てを一つの第2の相補マスクに集めて形成することにより、少なくとも第1の下地パターンあるいは第2の下地パターンとの重ね合わせ精度が、相補マスク同士の重ね合わせ精度に影響されないマスクが製造される。
上記の目的を達成するため、本発明の露光方法は、デバイスパターンが相補的に複数の分割パターンに分割され、当該分割パターンが振り分けられて形成された複数の相補マスクを一組として用いた露光方法であって、下地層と電気的に接続される部位を第1の分割パターンとして略全て形成した第1の相補マスクに露光光を照射して、前記第1の分割パターンの略全てを被露光体に露光する工程と、上層と電気的に接続される部位を第2の分割パターンとして略全て形成した第2の相補マスクに露光光を照射して、前記第2の分割パターンの略全てを前記被露光体に露光する工程とを有する。
上記の本発明の露光方法では、下地層と電気的に接続される部位をもつ第1の分割パターンは、1回の露光工程により露光されることから、最終的に得られるデバイスパターンと下層との重ね合わせ精度が、相補マスク同士の重ね合わせ精度に影響されない。
上記の目的を達成するため、本発明の露光方法は、デバイスパターンが相補的に複数の分割パターンに分割され、当該分割パターンが振り分けられて形成された複数の相補マスクが、異なるブロックに形成されたマスクを用いて被露光体に露光する露光方法であって、下地層と電気的に接続される部位を第1の分割パターンとして略全て形成した第1の相補マスクと、上層と電気的に接続される部位を第2の分割パターンとして略全て形成した第2の相補マスクとが異なるブロックに形成されたマスクを用い、前記下地層に対し前記第1の相補マスクを基準として前記マスクを位置合わせする位置合わせ工程と、前記マスクの前記第1の相補マスクおよび前記第2の相補マスクに露光光を照射する露光工程と、前記被露光体と前記マスクとの相対位置を移動させ、前記被露光体の他の領域の前記下地層に対し前記位置合わせ工程および前記露光工程を繰り返す工程とを有する。
上記の本発明の露光方法では、第1の相補マスクおよび第2の相補マスクを異なるブロックに備えたマスクを用いた露光において、1回の露光工程により、第1の相補マスクおよび第2の相補マスクの双方のパターンを露光する方法を採用している。この場合においても、下地層とデバイスパターンとの重ね合わせ精度は、第1の相補マスクの位置合わせ精度のみに影響され、相補マスク同士の重ね合わせ精度に影響されない。
上記の目的を達成するため、本発明の露光方法は、デバイスパターンが相補的に複数の分割パターンに分割され、当該分割パターンが振り分けられて形成された複数の相補マスクを一組とするマスクを用いた露光方法であって、第1の下地パターンと電気的に接続される部位を第1の分割パターンとして略全て形成した第1の相補マスクに露光光を照射して、前記第1の分割パターンの略全てを被露光体に露光する工程と、前記第1の下地パターンとは異なる第2の下地パターンと電気的に接続される部位を第2の分割パターンとして略全て形成した第2の相補マスクに露光光を照射して、前記第2の分割パターンの略全てを前記被露光体に露光する工程とを有する。
上記の本発明の露光方法では、第1の下地パターンと電気的に接続される部位をもつ第1の分割パターンは、1回の露光工程により露光されることから、第1の下地パターンとの重ね合わせ精度が、相補マスク同士の重ね合わせ精度に影響されない。
同様に、第2の下地パターンと電気的に接続される部位をもつ第2の分割パターンは、1回の露光工程により露光されることから、第2の下地パターンとの重ね合わせ精度が、相補マスク同士の重ね合わせ精度に影響されない。
上記の目的を達成するため、本発明の露光方法は、デバイスパターンが相補的に複数の分割パターンに分割され、当該分割パターンが振り分けられて形成された複数の相補マスクが、異なるブロックに形成されたマスクを用いて被露光体に露光する露光方法であって、第1の下地パターンと電気的に接続される部位を第1の分割パターンとして略全て形成した第1の相補マスクと、第2の下地パターンと電気的に接続される部位を第2の分割パターンとして略全て形成した第2の相補マスクとが異なるブロックに形成されたマスクを用い、前記第1の下地パターンに対し前記第1の相補マスクを基準として前記マスクを位置合わせする位置合わせ工程と、前記マスクの前記第1の相補マスクに露光光を照射し、前記マスクの前記第2の相補マスクに露光光を照射する露光工程と、を有し、前記被露光体と前記マスクとの相対位置を移動させ、被露光体の他の領域の前記下地層に対し前記位置合わせ工程および前記露光工程を繰り返すものである。
上記の本発明の露光方法では、第1の相補マスクおよび第2の相補マスクを異なるブロックに備えたマスクを用いた露光方法において、1回の露光工程により、第1の相補マスクおよび第2の相補マスクの双方の分割パターンを露光する方法を採用している。この場合においても、第1の下地パターンとデバイスパターンとの重ね合わせ精度は、第1の相補マスクの重ね合わせ精度のみに影響され、相補マスク同士の重ね合わせ精度に影響されない。
上記の目的を達成するため、本発明のプログラムは、デバイスパターンを相補的に複数の分割パターンに分割し、当該分割パターンを相補マスクに振り分けるパターン分割処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記デバイスパターンを、下地層と電気的に接続される部位をもつ複数の第1の分割パターンと、上層と電気的に接続される部位をもつ複数の第2の分割パターンとに分割するステップと、前記第1の分割パターンの略全てを第1の相補マスクに形成すべきパターンとして振り分け、前記第2の分割パターンの略全てを第2の相補マスクに形成すべきパターンとして振り分けるステップと、をコンピュータに実行させるものである。
上記の本発明のプログラムでは、デバイスパターンを、下地層と電気的に接続される部位をもつ複数の第1の分割パターンの略全てを一つの相補マスクに形成すべきパターンとして振り分け、上層と電気的に接続される部位をもつ複数の第2の分割パターンの略全てを他の1つの相補マスクに形成すべきパターンとして振り分ける処理を行うことにより、下層あるいは上層との重ね合わせ精度が、相補マスク同士の重ね合わせ精度に影響されないマスクの製造のためのパターン分割処理が行われる。
上記の目的を達成するため、本発明のプログラムは、デバイスパターンを相補的に複数の分割パターンに分割し、当該分割パターンを相補マスクに振り分けるパターン分割処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記デバイスパターンを、第1の下地パターンと電気的に接続される部位をもつ複数の第1の分割パターンと、前記第1の下地パターンと異なる第2の下地パターンと電気的に接続される部位をもつ複数の第2の分割パターンとに分割するステップと、前記第1の分割パターンの略全てを第1の相補マスクに形成すべきパターンとして振り分け、前記第2の分割パターンの略全てを第2の相補マスクに形成すべきパターンとして振り分けるステップと、をコンピュータに実行させるものである。
上記の本発明のプログラムでは、デバイスパターンを、第1の下地パターンと電気的に接続される部位をもつ複数の第1の分割パターンの略全てを一つの相補マスクに形成すべきパターンとして振り分け、第2の下地パターンと電気的に接続される部位をもつ複数の第2の分割パターンの略全てを他の1つの相補マスクに形成すべきパターンとして振り分ける処理を行うことにより、少なくとも第1の下地パターンあるいは第2の下地パターンのいずれかとの重ね合わせ精度が、相補マスク同士の重ね合わせ精度に影響されないマスクの製造のためのパターン分割処理が行われる。
本発明のマスクおよびその製造方法、並びにプログラムによれば、相補露光技術を用いない場合の重ね合わせ誤差と同等の重ね合わせ誤差を実現することができるマスクを提供できる。また、本発明の露光方法によれば、相補露光技術を用いない場合の重ね合わせ誤差と同等の重ね合わせ誤差に抑えた相補露光を実現することができる。
以下に、本発明のマスクおよびその製造方法、露光方法、並びにプログラムの実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係るマスクの概略構成を示す図である。
図1に示すマスクは、同一基板の異なるブロックに、例えば、第1の相補マスク1と、第2の相補マスク2と、第3の相補マスク3と、第4の相補マスク4とが形成されており、4回相補露光に使用される。各相補マスク1,2,3,4の4隅には、それぞれアライメントマーク1a,2a,3a,4aが形成されている。各相補マスク1〜4には、デバイスパターンが相補分割された複数の分割パターンが振り分けられて形成される。
なお、本実施形態では、同一基板の異なるブロックに相補マスク1〜4が形成されている例について説明するが、各相補マスク1〜4を異なる基板に形成し、相補マスク1〜4を一組として使用するマスクの形態をとることも可能である。
図2は、各相補マスクの要部を示す斜視図である。
図2に示すように、例えば相補マスク1〜4がステンシルマスクである場合には、膜厚が500nm〜2μm程度の薄膜5に、分割パターンの形状の開口6が形成される。なお、相補マスク1〜4は、相補露光に使用されるものであれば、ステンシルマスク以外のものでもよい。
本実施形態では、例えば、同一層に形成された複数の配線パターンからなるデバイスパターンを露光する例について説明する。図3は、マスクを用いた露光工程を経て製造される半導体装置の一例を示す断面図である。
図3に示すように、1つの配線パターン10aに着目すると、配線パターン10aは、下地層21と上層22に接続されている。下地層21は、層間絶縁膜26に埋め込まれて形成され、基板23に形成されたトランジスタのソース・ドレイン領域25に接続されている。トランジスタは、ゲート電極24とソース・ドレイン領域25とにより構成されている。上層22は、配線パターン10aを被覆する層間絶縁膜27を貫通して配線パターン10aに接続されている。
図4は、同一の層に形成された複数の配線パターン10aからなるデバイスパターン10の一例を示す図である。
図4に示すように、デバイスパターン10を構成する各配線パターン10aは、下地層21および上層22との電気的な導通を可能にするため、その一方端部に下地層21との接続部分Ar1を有し、他方端部に上層22との接続部分Ar2を有する。本例では、下地層21および上層22はコンタクトホールパターンである。
図4に示すデバイスパターン10を露光方法により形成する本実施形態では、図5(a)に示すように、デバイスパターン10を構成する各配線パターン10aを、少なくとも下地層21との接続部分Ar1が略全て含まれるように分割し、これを第1の分割パターン11として1つの相補マスク、例えば、第1の相補マスク1に形成する。
また、図5(b)に示すように、デバイスパターン10を構成する各配線パターン10aを、少なくとも上層22との接続部分Ar2が略全て含まれるように分割し、これを第2の分割パターン12として1つの相補マスク、例えば、第2の相補マスク2に形成する。
図示はしないが、例えば第3の相補マスク3および第4の相補マスク4には、第1の分割パターン11および第2の分割パターン12以外の分割パターン、すなわち、下地層21あるいは上層22との接続部分を含まない第3、第4の分割パターンを配置する。
ただし、開口形成に伴う歪みを解消するため、各相補マスク1〜4のパターン密度は同じにすることが好ましい。従って、例えば下地層21との接続部分Ar1を含む第1の分割パターン11を第1の相補マスク1に形成できない場合には、少なくとも接続部分Ar1を例えば1.2倍〜2.0倍に拡大した第1の分割パターンを、第3の相補マスク3あるいは第4の相補マスク4に形成する。同様に、上層22との接続部分Ar2を含む第2の分割パターン12を第2の相補マスク2に形成できない場合には、少なくとも接続部分Ar2を例えば1.2倍〜2.0倍に拡大した第2の分割パターン12を、第3の相補マスク3あるいは第4の相補マスク4に形成する。
上記のようなパターン配置は、デバイスパターン10を分割する相補分割処理をコンピュータに実行させる本実施形態に係るプログラムにより実現される。
図6は、本実施形態に係るプログラムが読み込まれることにより、相補分割処理を行うデータ処理装置(コンピュータ)の一実施形態のハードウェア的なブロック図である。
データ処理装置は、例えば、図6に示すように、入力部31、出力部32、インターフェイス(I/F:Interface )33、RAM34、記憶部35、およびCPU(CPU:Central Processing Unit)36を有する。例えば、入力部31、出力部32、I/F33、RAM34、記憶部35、およびCPU36は、バスBSにより接続されている。
入力部31は、所望の入力データをCPU36に出力する。例えば入力部31は、キーボードやマウスや、CDROM(R,RW)ドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ(FD)等のデータ入力装置である。
出力部32は、CPU36から出力された所定の出力データに応じた出力を行う。例えば出力部32は、ディスプレイ等であり、CPU36から出力された出力データに応じた表示を行う。
インターフェイス(I/F)33は、CPU36の制御に応じて、他の情報処理装置と所望のデータを送受信する。
RAM34は、例えばCPU36が所定の処理を行う際のワークスペースとして用いられる。記憶部35は、CPU36により所望のデータの書き込み、および読み出しが行われる。
記憶部35は、例えば、本実施形態に係るプログラム35aが格納されている。プログラム35aは、例えば本実施形態に係る相補分割処理に関する処理手順を含み、CPU36によりRAM34をワークスペースとして実行される。
図7は、上記のプログラムにより実行される相補分割処理のフローチャートである。
図4に示すようなパターンデータ中のデバイスパターン10から一つの配線パターン10aを抜き出し、下地層との接続部分Ar1を含む第1の分割パターン11と、上層との接続部分Ar2を含む第2の分割パターン12と、必要に応じて第1の分割パターン11と第2の分割パターン12とを繋ぐ残りの第3の分割パターンとに分割する(ステップST1)。なお、分割は各相補マスクのパターン密度が略同じになるようになされる。このため、第3の分割パターンをさらに複数に分割することがある。
第1の分割パターン11については振り分け先を第1の相補マスク1とし、第2の分割パターン12については振り分け先を第2の相補マスク2とし、残りの第3の分割パターンについては、第3の相補マスク3あるいは第4の相補マスク4とする(ステップST2)。
ステップST2において、相補マスク間でのパターン密度の相違が大きくなってしまい、例えば下地層21との接続部分Ar1を含む第1の分割パターン11の振り分け先を第1の相補マスク1にできない場合には、少なくとも接続部分Ar1を拡大する処理を行い、振り分け先を第3の相補マスク3あるいは第4の相補マスク4とする。同様に、上層22との接続部分Ar2を含む第2の分割パターン12の振り分け先を第2の相補マスク2にできない場合には、少なくとも接続部分Ar2を拡大する処理を行い、振り分け先を第3の相補マスク3あるいは第4の相補マスク4とする。
上記の分割処理(ステップST1)と振り分け先の決定処理(ステップST2)を、パターンデータ中のデバイスパターン10に含まれる全ての配線パターン10aに対して行う(ステップST3)。
全てのデバイスパターン10の相補分割処理が終了した後、相補分割後のデータを用いて、電子線直接描画装置により、未だ開口6が形成されていない薄膜を備えたマスクブランクスに、レジストを塗布し、当該レジストに分割パターンを描画する。その後、レジストを現像して、レジストパターンをエッチングマスクとして薄膜5をエッチングすることにより、分割パターンの開口6が形成される。
以上のようにして、本実施形態に係るマスクが作製される。
次に、上記のマスクを用いた露光方法について説明する。図8は、露光方法を説明するためのフローチャートである。図9および図10は、一例として、一回の露光工程により、全ての相補マスク1〜4に対して露光する方法を説明するための図である。
まず、図9(a)に示すように、マスクMのアライメントマークとウエハWの下地層のアライメントマークを用いて、例えば4つの相補マスク1〜4を備えたマスクMを、ウエハWの左下の4つのチップに対応して位置合わせする。このとき、ウエハWに形成された下地層のアライメントマークと、第1の相補マスク1のアライメントマーク1aとを用いてアライメントを行うようにするとより正確にアライメントを行うことができる(ステップST11)。
次に、相補マスク1〜4の全てに対し、例えば荷電粒子線等からなる露光光を照射して、全ての相補マスク1〜4の分割パターンを、対応する各4つのチップChのレジストに露光する(ステップST12)。
次に、図9(b)に示すように、チップ一個分だけチップChとマスクMとの相対位置を移動させる(ステップST13)。上記のステップST11〜ステップST13を繰り返すことにより、図9(b)に示すように、チップ1個分だけ上の4つのチップChに対しマスクMのパターンを露光し、さらに、図9(c)に示すように、さらにチップ1個分だけ上の4つのチップに対しマスクMのパターンを露光する。
一列分のチップの露光が終了すると、マスクMを右上に移動させ、図10(d)に示すように、4つのチップChに対しマスクMのパターンを露光する。その後の工程については、図10(e)の矢印で示すようにマスクを移動させて、ウエハWにマスクMのパターンを露光することにより、ウエハWの全てのチップにマスクMの全ての相補マスク1〜4の分割パターンが転写され、最終的にウエハWの全てのチップにデバイスパターンが転写される。
露光が終了した後(ステップST14)、レジストを現像し、レジストをエッチングマスクとしてターゲットとなる層をエッチング加工することにより、複数の配線パターン10aからなるデバイスパターン10が形成される(ステップST15)。
なお、上層22の形成のための露光工程においては、第2の相補マスク2のアライメントマーク2aが露光されてウエハWに形成されたウエハアライメントマークと、上層用マスクのアライメントマークを用いてアライメントし(ステップST16)、上層用マスクのパターンを露光し(ステップST17)、上層を加工する(ステップST18)。
以上説明したように、本実施形態に係るマスクは、下地層21と電気的に接続される接続部分Ar1を含む第1の分割パターン11の略全てが形成された第1の相補マスク1と、上層22と電気的に接続される接続部分Ar2を含む第2の分割パターン12の略全てが形成された第2の相補マスクとを有している。
そして、上記のマスクを用いた露光方法によれば、下地層21との位置合わせにおいて、第1の分割パターン11が略全て形成された第1の相補マスク1のアライメントマーク1aを使用することにより、最終的に得られるデバイスパターン10と下地層21との重ね合わせ誤差は、第1の相補マスクとの重ね合わせ誤差のみに起因し、第1の相補マスク1と他の相補マスク2〜4との重ね合わせ誤差に影響されない。これは、デバイスパターン10と下地層21との実質的な重ね合わせ誤差、すなわち電気的な接続誤差はデバイスパターンのうち下地層21との接続部分の誤差のみに寄与するからである。従って、相補露光技術を用いない場合の重ね合わせ誤差と実質的に同等の重ね合わせ誤差を実現することができる。
また、上層22の露光時には、第2の分割パターン12が略全て形成された第2の相補マスク2のアライメントマーク2aが露光されてウエハWに形成されたウエハアライメントマークと、上層用マスクのアライメントマークを用いてアライメントする。これにより、最終的に得られるデバイスパターン10と上層22との重ね合わせ誤差は、このときの上層用マスクの重ね合わせ誤差のみに起因し、相補露光技術を用いない場合の重ね合わせ誤差と実質的に同等の重ね合わせ誤差を実現することができる。
さらに、例えば下地層との接続部分Ar1あるいは上層との接続部分Ar2を含む第1の分割パターン11あるいは第2の分割パターン12を第1の相補マスク1あるいは第2の相補マスク2に形成できない場合には、少なくとも接続部分Ar1,Ar2を拡大した処理を行って、第3の相補マスク3あるいは第4の相補マスク4に形成する。これにより、相補マスク同士の重ね合わせ誤差が加わったとしても、デバイスパターン10と下地層21あるいは上層22との接続不良を防止することができる。
なお、本実施形態では、露光のスループットを上げるため、マスクMの異なるブロックに形成された相補マスク1〜4の全てを一度に露光する例について説明したが、まず、各相補マスク1〜4を別々に露光してもよい。この場合にも、上記した効果を奏することができる。
また、本実施形態では、露光のスループットを挙げるため、相補マスク1〜4を一つの基板に一体的に備えたマスクMの例について説明したが、相補マスク1〜4を異なる基板に形成して、一組として相補露光に使用するマスクとすることもできる。この場合にも、上記した効果を奏することができる。
本実施形態に係るマスクの製造方法では、デバイスパターン10を分割する工程において、下地層21に電気的に接続される複数の第1の分割パターン11と、上層22と電気的に接続される複数の第2の分割パターン12とに分割し、第1の分割パターン11の略全てを第1の相補マスク1に形成し、第2の分割パターン12の略全てを第2の相補マスク2に形成することにより、露光後に最終的に得られるデバイスパターン10と下地層21あるいは上層22との実質的な重ね合わせ精度が、相補マスク同士の重ね合わせ精度に影響されないマスクを製造することができる。
本実施形態に係るプログラムでは、デバイスパターン10の分割処理において、下地層21に電気的に接続される複数の第1の分割パターン11と、上層22と電気的に接続される複数の第2の分割パターン12とに分割し、第1の分割パターン11の略全てを第1の相補マスク1に形成すべきパターンとして振り分け、第2の分割パターン12の略全てを第2の相補マスク2に形成すべきパターンとして振り分けることにより、下地層21あるいは上層22との実質的な重ね合わせ精度が、相補マスク同士の重ね合わせ精度に影響されないマスクの製造のためのパターン分割処理を行うことができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、例えば、同一の層における複数のコンタクトホールパターンからなるデバイスパターンを露光する例について説明する。図11は、マスクを用いた露光工程を経て製造される半導体装置の一例を示す断面図である。
図11に示すように、コンタクトホールパターンに着目すると、コンタクトホールパターンは、第1の下地パターン44に接続されるコンタクトホールパターン40aと、第2の下地パターン45に接続されるコンタクトホールパターン40bとを有する。第1の下地パターン44は、例えば、基板43に形成されたトランジスタのゲート電極であり、第2の下地パターン45は、例えば、基板43に形成されたトランジスタのソース・ドレイン領域である。コンタクトホールパターン40a,40bは、層間絶縁膜46に埋め込まれて形成される。コンタクトホールパターン40a,40bは配線パターンからなる上層47に接続されている。
図12(a)は、同一の層における複数のコンタクトホールパターン40a,40bからなるデバイスパターンの一例を示す図である。
図12(a)に示すように、デバイスパターン40には、第1の下地パターン44と電気的に接続される複数のコンタクトホールパターン40aと、第2の下地パターン45と電気的に接続される複数のコンタクトホールパターン40bとを有する。
図12(b)に示すように、本実施形態に係るマスクでは、デバイスパターン40のうち、第1の下地パターン44と接続されるコンタクトホールパターン40aに対応する第1の分割パターン41が全て1つの相補マスクに、例えば、第1の相補マスク1に形成される。
また、図12(b)に示すように、デバイスパターン10のうち、第2の下地パターン45と接続される第2のコンタクトホールパターン40bに対応する第2の分割パターン42が全て1つの相補マスクに、例えば、第2の相補マスク2に形成される。
図示はしないが、例えば第3の相補マスク3および第4の相補マスク4には、さらに他の下地パターンと接続されるコンタクトホールパターンからなる第3の分割パターンが配置される。
ただし、開口形成に伴う歪みを解消するため、各相補マスク1〜4のパターン密度は同じにすることが好ましい。従って、例えば第1の下地パターン44と電気的に接続される第1の分割パターン41を第1の相補マスク1に形成できない場合には、コンタクトホール径を小さくする処理を行い、第3の相補マスク3あるいは第4の相補マスク4に形成する。同様に、第2の下地パターン45と電気的に接続される第2の分割パターン42を第2の相補マスク2に形成できない場合には、コンタクトホール径を小さくする処理を行い、第3の相補マスク3あるいは第4の相補マスク4に形成する。コンタクトホールパターンの場合には、第1実施形態とは反対に小さくしておくのは、合わせずれにより第1の分割パターン41が第1の下地パターン44と第2の下地パターン45の双方に接続してしまう等の接続不良を防止するためである。
上記のようなパターン配置は、デバイスパターン40を分割する相補分割処理をコンピュータに実行させる本実施形態に係るプログラムにより実現される。本実施形態に係るプログラムが読み込まれることにより、相補分割処理を行うデータ処理装置(コンピュータ)の一実施形態のハードウェア的なブロックについては、第1実施形態と同様である(図6参照)。
本実施形態に係るプログラムにより実行される相補分割処理について、図7を参照して説明する。
図12に示すようなパターンデータ中のデバイスパターン40から、第1の下地パターン44に接続されるコンタクトホールパターン40a群を第1の分割パターン41として抜き出し、第2の下地パターン45に接続されるコンタクトホールパターン40b群を第2の分割パターン42として抜き出し、必要に応じて他の下地パターンに接続される残りのコンタクトホールパターンを第3の分割パターン、第4の分割パターンとして分割する(ステップST1)。
第1の分割パターン41については振り分け先を第1の相補マスク1とし、第2の分割パターン42については振り分け先を第2の相補マスク2とし、残りの第3の分割パターンについては、振り分け先を第3の相補マスク3あるいは第4の相補マスク4とする(ステップST2)。
ステップST2において、相補マスク間でのパターン密度の相違が大きくなってしまい、例えば第1の分割パターン41を第1の相補マスク1に振り分けることができない場合には、径を縮小する処理を行い、振り分け先を第3の相補マスク3あるいは第4の相補マスク4とする。同様に、第2の分割パターン42を第2の相補マスク2に振り分けることができない場合には、径を縮小する処理を行い、振り分け先を第3の相補マスク3あるいは第4の相補マスク4とする。
上記の分割処理(ステップST1)と振り分け先の決定処理(ステップST2)を、パターンデータ中のデバイスパターン40に含まれる全てのコンタクトホールパターン40a,40bに対して行う(ステップST3)。
デバイスパターン40の相補分割処理が終了した後、相補分割後のデータを用いて、電子線直接描画装置により、未だ開口6が形成されていない薄膜を備えたマスクブランクスに、レジストを塗布し、当該レジストに分割パターンを描画する。その後、レジストを現像して、レジストパターンをエッチングマスクとして薄膜5をエッチングすることにより、分割パターンの開口6が形成される。
以上のようにして、本実施形態に係るマスクが作製される。
上記のマスクを用いた露光方法について、一例として、第1実施形態で説明したように、露光のスループットを上げるため、マスクMの異なるブロックに形成された相補マスク1〜4の全てを一度に露光する場合の例について説明する。
例えば第1の下地パターン44の形成時にウエハWに形成されたウエハアライメントマークと、第1の相補マスク1のアライメントマーク1aを使用してマスクMの全体をアライメントして露光すると、第2の下地パターン45に対して第2の分割パターン42の合わせずれが発生する。
従って、第1の相補マスク1を基準としてマスクMを位置合わせすることに起因する、第2の下地パターン45に対する第2の分割パターン42の合わせ誤差を補正するように、第2の相補マスクの露光の際に第2の分割パターンの露光位置を調整する。
例えば、荷電粒子線を用いた露光方法の場合には、以下に示すようにして第2の分割パターン42の露光位置を調整する。
図13は、LEEPLに用いられる電子線露光装置の概略構成を示す図である。
図13に示す電子線露光装置100は、電子線EBを出射する電子銃101と、電子線EBを平行化するコンデンサレンズ102と、電子線EBを制限するアパーチャ103と、電子線EBが平行なままでラスターまたはベクトル走査モードのいずれかでかつマスクMに垂直に入射するように偏向させる目的をもつ一対の主偏向器104,105と、電子線EBの照射位置の微調整を行うために電子線を偏向させる副偏向器106,107と、装置全体の動作を制御する制御部108とを有する。
図13に示すように、マスクMの貫通孔により形成された分割パターンを通過した電子線EBにより、ウエハW上の不図示のレジストが露光される。図13に示す電子線露光装置では、等倍露光を採用しており、マスクMとウエハWは近接して配置される。
図14(a)は、主偏向器による電子線EBの走査の様子を示す図であり、図14(b)は副偏向器による電子線EBの入射角の調整の様子を示す図である。
図14(a)に示すように、主偏向器104,105により電子線EBが偏向されて、マスクM上で電子線EBが走査され、マスクMの分割パターンがウエハWの電子線露光層に露光される。図14(b)に示すように、副偏向器106,107を用いてマスクに対して垂直な電子線EBを僅かに傾けた電子線EB’とし、当該電子線EB’をマスクMに入射させることにより、正確な位置からずれた第2の分割パターンが、ウエハW上の正しい位置に照射される。
従って、第1の下地パターン44の形成時にウエハWに形成されたウエハアライメントマークと、第1の相補マスク1のアライメントマーク1aを使用してマスクMの全体をアライメントして露光した場合における、第2の下地パターン45に対する第2の分割パターン42の合わせずれを予め求めておく。そして、第2の相補マスク2に電子線EBを照射するときには、このずれ分を解消するように、電子線EBを傾けて照射する。
以上により、第1の下地パターン44の形成時にウエハWに形成されたウエハアライメントマークと、第1の相補マスク1のアライメントマーク1aを使用してマスクMの全体をアライメントして露光した場合における、第2の下地パターン45に対する第2の分割パターン42の合わせずれを低減することができる。
以上説明したように、本実施形態に係るマスクは、第1の下地パターン44と電気的に接続される部位をもつ第1の分割パターン41が形成された第1の相補マスク1と、第2の下地パターン45と電気的に接続される部位をもつ第2の分割パターン42が形成された第2の相補マスクとを有している。
そして、上記のマスクを用いた露光方法によれば、第1の下地パターン44との位置合わせにおいて、第1の分割パターン41が形成された第1の相補マスク1のアライメントマーク1aを使用することにより、第1の下地パターン44と第1の分割パターン41との重ね合わせ誤差は、第1の相補マスクとの重ね合わせ誤差のみに起因し、第1の相補マスク1と他の相補マスク2〜4との重ね合わせ誤差に影響されない。従って、相補露光技術を用いない場合の重ね合わせ誤差と実質的に同等の重ね合わせ誤差を実現することができる。
このときに、第2の相補マスク2の第2の分割パターン42を露光することに起因する、第2の下地パターン45に対する第2の分割パターン42の重ね合わせ誤差は、第2の相補マスク2の露光の際に第2の分割パターン42の露光位置を調整することにより低減することができる。
さらに、例えば第1の下地パターン44に接続される第1の分割パターン41を第1の相補マスク1に形成できない場合には、第1の分割パターン41の径を縮小して、第3の相補マスク3あるいは第4の相補マスク4に形成する。同様に、第2の下地パターン45に接続される第2の分割パターン42を第2の相補マスク2に形成できない場合には、第2の分割パターン42の径を縮小して、第3の相補マスク3あるいは第4の相補マスク4に形成する。これにより、相補マスク同士の重ね合わせ誤差が加わったとしても、最終的に得られるデバイスパターン40と第1の下地パターン44あるいは第2の下地パターン45との接続不良を防止することができる。
なお、本実施形態では、露光のスループットを上げるため、マスクMの異なるブロックに形成された相補マスク1〜4の全てを一度に露光する例について説明したが、まず、各相補マスク1〜4を別々に露光してもよい。この場合にも、上記した効果を奏することができる。
また、本実施形態では、露光のスループットを挙げるため、相補マスク1〜4を一つの基板に一体的に備えたマスクMの例について説明したが、相補マスク1〜4を異なる基板に形成して、一組として相補露光に使用するマスクとすることもできる。この場合にも、上記した効果を奏することができる。
本実施形態に係るマスクの製造方法では、デバイスパターン40を分割する工程において、第1の下地パターン44あるいは第2の下地パターン45と接続するコンタクトホールパターンを分割し、それぞれ異なる相補マスク1,2に形成することにより、第1の下地パターン44あるいは第2の下地パターン45との実質的な重ね合わせ精度が、相補マスク同士の重ね合わせ精度に影響されないマスクを製造することができる。
本実施形態に係るプログラムでは、第1の下地パターン44あるいは第2の下地パターン45と接続するデバイスパターン40を互いに分割し、それぞれ異なる相補マスク1,2に振り分ける処理を行うことにより、第1の下地パターン44あるいは第2の下地パターン45との実質的な重ね合わせ精度が、相補マスク同士の重ね合わせ精度に影響されないマスクの製造のためのパターン分割処理を行うことができる。
本発明は、上記の実施形態の説明に限定されない。
第2実施形態では、デバイスパターンがコンタクトホールパターンの例について説明したが、配線パターンの場合でも同様に適用可能である。また、コンタクトホールパターンが接続される第1の下地パターンや第2の下地パターンに限定はなく、他の素子層であってもよい。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
本実施形態に係るマスクの概略構成を示す図である。 各相補マスクの要部を示す斜視図である。 本実施形態に係るマスクを用いた露光工程を経て製造される半導体装置の一例を示す断面図である。 デバイスパターンのパターンデータの一例を示す図である。 (a)は第1の相補マスクに形成される分割パターンの例を示し、(b)は第2の相補マスクに形成される分割パターンの例を示す図である。 本実施形態に係るプログラムが読み込まれることにより、相補分割処理を行うデータ処理装置の一実施形態のハードウェア的なブロック図である。 本実施形態に係るプログラムにより実行される相補分割処理のフローチャートである。 本実施形態に係る露光方法を説明するためのフローチャートである。 一回の露光工程により、全ての相補マスクに対して露光する方法を説明するための図である。 一回の露光工程により、全ての相補マスクに対して露光する方法を説明するための図である。 マスクを用いた露光工程を経て製造される半導体装置の一例を示す断面図である。 (a)はパターンデータにおけるデバイスパターンを示し、(b)は第1の相補マスクに形成される第1の分割パターンを示し、(c)は第2の相補マスクに形成される第2の分割パターンを示す図である。 本実施形態に係る露光方法に用いられる電子線露光装置の概略構成を示す図である。 (a)は主偏向器による電子線EBの走査の様子を示す図であり、(b)は副偏向器による電子線EBの入射角の調整の様子を示す図である。
符号の説明
1…第1の相補マスク、2…第2の相補マスク、3…第3の相補マスク、4…第4の相補マスク、5…薄膜、6…開口、10…デバイスパターン、11…第1の分割パターン、12…第2の分割パターン、21…下地層、22…上層、23…基板、24…ゲート電極、25…ソース・ドレイン領域、26…層間絶縁膜、27…層間絶縁膜、31…入力部、32…出力部、33…I/F、34…RAM、35…記憶部、35a…プログラム、36…CPU、40…デバイスパターン、40a…コンクトホールパターン、40b…コンタクトホールパターン、41…第1の分割パターン、42…第2の分割パターン、43…基板、44…第1の下地パターン、45…第2の下地パターン、46…層間絶縁膜、47…上層、48…層間絶縁膜、49…コンタクトホールパターン、100…露光装置、101…電子銃、102…コンデンサレンズ、103…アパーチャ、104,105…主偏向機、106,107…副偏向機、108…制御部、M…マスク、W…ウエハ、Ch…チップ、Ar1…下地層との接続部分、Ar2…上層との接続部分

Claims (26)

  1. デバイスパターンが相補的に複数の分割パターンに分割され、当該分割パターンが振り分けられて形成された複数の相補マスクを一組とするマスクであって、
    下地層と電気的に接続される部位を第1の分割パターンとして略全て形成した第1の相補マスクと、
    上層と電気的に接続される部位を第2の分割パターンとして略全て形成した第2の相補マスクと
    を有するマスク。
  2. 3つ以上の前記相補マスクを有し、
    第1および第2の相補マスクを除く他の相補マスクに、前記デバイスパターンから、前記第1の分割パターンおよび前記第2の分割パターンを除いた部位を第3の分割パターンとして形成した
    請求項1記載のマスク。
  3. 前記他の相補マスクに、前記第1の分割パターンおよび前記第2の分割パターンの残りを、少なくとも前記下地層あるいは前記上層との接続部分の寸法を変更して形成した
    請求項2記載のマスク。
  4. 前記相補マスクは、前記分割パターンの開口部が形成されたステンシルマスクである
    請求項1記載のマスク。
  5. 前記第1の相補マスクおよび前記第2の相補マスクは、同一の基板の異なるブロックに形成された
    請求項1記載のマスク。
  6. 前記第1の相補マスクおよび前記第2の相補マスクは異なる基板に形成され、分離した前記第1の相補マスクおよび前記第2の相補マスクを一組とする
    請求項1記載のマスク。
  7. デバイスパターンが相補的に複数の分割パターンに分割され、当該分割パターンが振り分けられて形成された複数の相補マスクを一組とするマスクであって、
    第1の下地パターンと電気的に接続される部位を第1の分割パターンとして略全て形成した第1の相補マスクと、
    前記第1の下地パターンとは異なる第2の下地パターンと電気的に接続される部位を第2の分割パターンとして略全て形成した第2の相補マスクと
    を有するマスク。
  8. 3つ以上の前記相補マスクを有し、
    第1および第2の相補マスクを除く他の相補マスクに、前記デバイスパターンから、前記第1の分割パターンおよび前記第2の分割パターンを除いた部位を第3の分割パターンとして形成した
    請求項7記載のマスク。
  9. 前記他の相補マスクに、前記第1の分割パターンおよび前記第2の分割パターンの残りを、少なくとも前記下地層あるいは前記上層との接続部分の寸法を変更して形成した
    請求項8記載のマスク。
  10. 前記相補マスクは、前記分割パターンの開口部が形成されたステンシルマスクである
    請求項7記載のマスク。
  11. 前記第1の相補マスクおよび前記第2の相補マスクは、同一の基板の異なるブロックに形成された
    請求項7記載のマスク。
  12. 前記第1の相補マスクおよび前記第2の相補マスクは異なる基板に形成され、分離した前記第1の相補マスクおよび前記第2の相補マスクを一組とする
    請求項7記載のマスク。
  13. デバイスパターンが相補的に複数の分割パターンに分割され、当該分割パターンが振り分けられて形成された複数の相補マスクを一組とするマスクの製造方法であって、
    前記デバイスパターンを、下地層と電気的に接続される部位をもつ複数の第1の分割パターンと、上層と電気的に接続される部位をもつ複数の第2の分割パターンとに分割する工程と、
    前記第1の分割パターンを略全てもつ第1の相補マスクを形成し、前記第2の分割パターンを略全てもつ第2の相補マスクを形成する工程と
    を有するマスクの製造方法。
  14. 前記第1の相補マスクおよび前記第2の相補マスクを形成する工程は、
    基板の一のブロックに前記第1の分割パターンを略全て形成して、前記第1の相補マスクを形成する工程と、
    前記基板の他のブロックに前記第2の分割パターンを略全て形成して、前記第2の相補マスクを形成する工程と
    を有する請求項13記載のマスクの製造方法。
  15. 前記第1の相補マスクおよび前記第2の相補マスクを形成する工程は、
    一の基板に前記第1の分割パターンを略全て形成して、前記第1の相補マスクを形成する工程と、
    前記基板とは異なる他の基板に前記第2の分割パターンを略全て形成して、前記第2の相補マスクを形成する工程と
    を有する請求項13記載のマスクの製造方法。
  16. デバイスパターンが相補的に複数の分割パターンに分割され、当該分割パターンが振り分けられて形成された複数の相補マスクを一組とするマスクの製造方法であって、
    前記デバイスパターンを、第1の下地パターンと電気的に接続される部位をもつ複数の第1の分割パターンと、前記第1の下地パターンとは異なる第2の下地パターンと電気的に接続される部位をもつ複数の第2の分割パターンとに分割する工程と、
    前記第1の分割パターンを略全てもつ第1の相補マスクを形成し、前記第2の分割パターンを略全てもつ第2の相補マスクを形成する工程と
    を有するマスクの製造方法。
  17. 前記第1の相補マスクおよび前記第2の相補マスクを形成する工程は、
    基板の一のブロックに前記第1の分割パターンを略全て形成して、前記第1の相補マスクを形成する工程と、
    前記基板の他のブロックに前記第2の分割パターンを略全て形成して、前記第2の相補マスクを形成する工程と
    を有する請求項16記載のマスクの製造方法。
  18. 前記第1の相補マスクおよび前記第2の相補マスクを形成する工程は、
    一の基板に前記第1の分割パターンを略全て形成して、前記第1の相補マスクを形成する工程と、
    前記基板とは異なる他の基板に前記第2の分割パターンを略全て形成して、前記第2の相補マスクを形成する工程と
    を有する請求項16記載のマスクの製造方法。
  19. デバイスパターンが相補的に複数の分割パターンに分割され、当該分割パターンが振り分けられて形成された複数の相補マスクを一組として用いた露光方法であって、
    下地層と電気的に接続される部位を第1の分割パターンとして略全て形成した第1の相補マスクに露光光を照射して、前記第1の分割パターンの略全てを被露光体に露光する工程と、
    上層と電気的に接続される部位を第2の分割パターンとして略全て形成した第2の相補マスクに露光光を照射して、前記第2の分割パターンの略全てを前記被露光体に露光する工程と
    を有する露光方法。
  20. デバイスパターンが相補的に複数の分割パターンに分割され、当該分割パターンが振り分けられて形成された複数の相補マスクが、異なるブロックに形成されたマスクを用いて被露光体に露光する露光方法であって、
    下地層と電気的に接続される部位を第1の分割パターンとして略全て形成した第1の相補マスクと、上層と電気的に接続される部位を第2の分割パターンとして略全て形成した第2の相補マスクとが異なるブロックに形成されたマスクを用い、
    前記下地層に対し前記第1の相補マスクを基準として前記マスクを位置合わせする位置合わせ工程と、
    前記マスクの前記第1の相補マスクおよび前記第2の相補マスクに露光光を照射する露光工程と、
    前記被露光体と前記マスクとの相対位置を移動させ、前記被露光体の他の領域の前記下地層に対し前記位置合わせ工程および前記露光工程を繰り返す工程と
    を有する露光方法。
  21. デバイスパターンが相補的に複数の分割パターンに分割され、当該分割パターンが振り分けられて形成された複数の相補マスクを一組とするマスクを用いた露光方法であって、
    第1の下地パターンと電気的に接続される部位を第1の分割パターンとして略全て形成した第1の相補マスクに露光光を照射して、前記第1の分割パターンの略全てを被露光体に露光する工程と、
    前記第1の下地パターンとは異なる第2の下地パターンと電気的に接続される部位を第2の分割パターンとして略全て形成した第2の相補マスクに露光光を照射して、前記第2の分割パターンの略全てを前記被露光体に露光する工程と
    を有する露光方法。
  22. デバイスパターンが相補的に複数の分割パターンに分割され、当該分割パターンが振り分けられて形成された複数の相補マスクが、異なるブロックに形成されたマスクを用いて被露光体に露光する露光方法であって、
    第1の下地パターンと電気的に接続される部位を第1の分割パターンとして略全て形成した第1の相補マスクと、第2の下地パターンと電気的に接続される部位を第2の分割パターンとして略全て形成した第2の相補マスクとが異なるブロックに形成されたマスクを用い、
    前記第1の下地パターンに対し前記第1の相補マスクを基準として前記マスクを位置合わせする位置合わせ工程と、
    前記マスクの前記第1の相補マスクに露光光を照射し、前記マスクの前記第2の相補マスクに露光光を照射する露光工程と、
    を有し、
    前記被露光体と前記マスクとの相対位置を移動させ、被露光体の他の領域の前記下地層に対し前記位置合わせ工程および前記露光工程を繰り返す
    露光方法。
  23. 前記露光工程において、前記第1の相補マスクを基準として前記マスクを位置合わせすることに起因する、前記第2の下地パターンに対する前記第2の分割パターンの合わせ誤差を補正するように、前記第2の相補マスクの露光の際に前記第2の分割パターンの露光位置を調整する
    請求項22記載の露光方法。
  24. 前記露光光として荷電粒子線を用い、
    前記露光工程において、前記合わせ誤差を補正するように、前記第2の相補マスクへの荷電粒子線の入射角を調整して、前記第2の分割パターンの露光位置を調整する
    請求項23記載の露光方法。
  25. デバイスパターンを相補的に複数の分割パターンに分割し、当該分割パターンを相補マスクに振り分けるパターン分割処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
    前記デバイスパターンを、下地層と電気的に接続される部位をもつ複数の第1の分割パターンと、上層と電気的に接続される部位をもつ複数の第2の分割パターンとに分割するステップと、
    前記第1の分割パターンの略全てを第1の相補マスクに形成すべきパターンとして振り分け、前記第2の分割パターンの略全てを第2の相補マスクに形成すべきパターンとして振り分けるステップと、をコンピュータに実行させる
    プログラム。
  26. デバイスパターンを相補的に複数の分割パターンに分割し、当該分割パターンを相補マスクに振り分けるパターン分割処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
    前記デバイスパターンを、第1の下地パターンと電気的に接続される部位をもつ複数の第1の分割パターンと、前記第1の下地パターンと異なる第2の下地パターンと電気的に接続される部位をもつ複数の第2の分割パターンとに分割するステップと、
    前記第1の分割パターンの略全てを第1の相補マスクに形成すべきパターンとして振り分け、前記第2の分割パターンの略全てを第2の相補マスクに形成すべきパターンとして振り分けるステップと、をコンピュータに実行させる
    プログラム。

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