JP2005155714A - ボールねじ - Google Patents

ボールねじ Download PDF

Info

Publication number
JP2005155714A
JP2005155714A JP2003392591A JP2003392591A JP2005155714A JP 2005155714 A JP2005155714 A JP 2005155714A JP 2003392591 A JP2003392591 A JP 2003392591A JP 2003392591 A JP2003392591 A JP 2003392591A JP 2005155714 A JP2005155714 A JP 2005155714A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ball
screw
mass
nut
balls
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003392591A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeru Okita
滋 沖田
Yasumi Watanabe
靖巳 渡辺
Daiki Takahashi
大樹 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2003392591A priority Critical patent/JP2005155714A/ja
Publication of JP2005155714A publication Critical patent/JP2005155714A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H25/00Gearings comprising primarily only cams, cam-followers and screw-and-nut mechanisms
    • F16H25/18Gearings comprising primarily only cams, cam-followers and screw-and-nut mechanisms for conveying or interconverting oscillating or reciprocating motions
    • F16H25/20Screw mechanisms
    • F16H25/22Screw mechanisms with balls, rollers, or similar members between the co-operating parts; Elements essential to the use of such members
    • F16H25/2204Screw mechanisms with balls, rollers, or similar members between the co-operating parts; Elements essential to the use of such members with balls
    • F16H25/2233Screw mechanisms with balls, rollers, or similar members between the co-operating parts; Elements essential to the use of such members with balls with cages or means to hold the balls in position
    • F16H25/2238Screw mechanisms with balls, rollers, or similar members between the co-operating parts; Elements essential to the use of such members with balls with cages or means to hold the balls in position using ball spacers, i.e. spacers separating the balls, e.g. by forming a chain supporting the balls

Landscapes

  • Transmission Devices (AREA)
  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Abstract

【課題】 異物混入潤滑下のような高荷重条件下で使用されても長寿命なボールねじを提供する。
【解決手段】 ボールねじ1は、ねじ溝3aを有するねじ軸3と、ねじ溝5aを有するナット5と、両ねじ溝3a,5aにより形成されるボール転動路に装填された多数のボール9と、隣接するボール9の間に介在されボール9の転動面に対面する2つの凹面23を有するリテーニングピース21と、を備えている。ねじ軸3及びナット5のうち少なくとも一方は、0.15質量%以上0.5質量%以下の炭素と1質量%以上3質量%以下のクロムとを含有する合金鋼で構成されている。ねじ軸3及びナット5のうちこの合金鋼で構成されている部材は、ねじ溝3a,5aの表面層の残留オーステナイト量γR が15体積%以上45体積%以下となっているとともに、ねじ溝3a,5aの表面層のビッカース硬さHvが780−4.7×γR ≦Hv≦920−4.7×γR なる式を満たしている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、長寿命なボールねじに関する。
ボールねじは、外周面にねじ溝が形成されたねじ軸と、該ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝が内周面に形成されたナットと、両ねじ溝により形成されるボール転動路内に転動自在に装填された多数のボールと、で構成されている。そして、ねじ軸とナットとを相対回転させると、ボールはボール転動路内を転動しながら移動し、ねじ軸とナットとがボールの転動を介して軸方向に相対直線運動するようになっている。
ところが、ボール転動路内で転動するボールは同一方向に回転しているので、隣接するボール同士が接触すると、接触部であるボールの表面においては、相対的に反対方向に運動していることになる。そのため、接触部において競り合いやすべりが生じ、ボールの自由な転動が妨げられてボールの作動性が悪化する。また、ボールの表面に摩耗や損傷が生じ、トルクが変動する、騒音が大きくなる等の種々の問題が生じる場合があった。さらに、ボールの損傷により生じた摩耗片や破損片を噛み込んで、ねじ軸やナットに二次的に損傷が生じて、ボールねじの寿命が低下するという問題が生じる場合もあった。
このような問題を解決するため、例えば特許文献1に記載のボールねじにおいては、隣接するボールの間にリテーニングピースを介装している。これにより、特に高荷重条件下における上記問題を解決している。また、例えば特許文献2に記載のボールねじにおいては、転走面に凹凸を備えたリテーニングピースを隣接するボールの間に介装することにより、トルク変動を抑制している。
特開2001−21018号公報 特開2000−199556号公報
ボールねじは、ねじ軸やナットの軌道面(ねじ溝)がゴシックアーチ形状であるものが多く、その場合は、ボールは2点又は条件によっては3,4点のアンギュラ接触となっている。さらに、軌道面が螺旋状に連続していることや、ボールの循環機構においてボールの状態が無負荷状態から負荷状態へ変動することにより、ボールの挙動は複雑となっている。負荷状態では理想的な転動状態ではなく、ボールがスピンしやすいので、ボールにすべりが生じやすい。よって、ボールねじは、使用条件によって差はあるものの、ボールがスピンして軌道面に摩耗が生じやすい性質を有している。
このようなスピンによる摩耗は、特許文献1,2に記載のようにリテーニングピースを配するだけでは防ぐことはできないので、特に高荷重条件下では摩耗が進行しやすく、ねじ軸やナットの軌道面に剥離が生じる場合があった。
例えば射出成形機やプレス機等に組み込まれるボールねじは、高荷重が負荷されるので、弾性変形によりボールと軌道面との接触楕円が大きくなって、スピンによる摩耗が生じやすい。また、このようなボールねじは、高荷重が断続的に負荷されるので、摩耗が促進され破損寿命が低下する傾向がある。
そこで、本発明は、上記のような従来のボールねじが有する問題点を解決するものであり、高荷重条件下で使用されても摩耗が生じにくく長寿命なボールねじを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1のボールねじは、螺旋状のねじ溝を外周面に有するねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有するナットと、前記両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転動路に転動自在に装填された多数のボールと、隣接する前記ボールの間に介在され前記ボールの転動面に対面する2つの凹面を有するリテーニングピースと、を備えるボールねじにおいて、前記ねじ軸及び前記ナットのうち少なくとも一方は、0.15質量%以上0.5質量%以下の炭素と1質量%以上3質量%以下のクロムとを含有する合金鋼で構成され、前記ねじ軸及び前記ナットのうち前記合金鋼で構成された部材は、そのねじ溝の表面層が浸炭処理又は浸炭窒化処理により硬化され、前記硬化された表面層の残留オーステナイト量γR が15体積%以上45体積%以下であるとともに、前記硬化された表面層のビッカース硬さHvが下記式を満足することを特徴とする。
780−4.7×γR ≦Hv≦920−4.7×γR
ボールねじの寿命を低下させる要因としては、前述のような競り合いやすべりによるボールの摩耗,損傷があげられるが、潤滑油中の異物混入も寿命低下の要因の一つである。潤滑油中に異物が混入すると、ねじ軸及びナットの軌道面(ねじ溝)に高荷重が負荷されることとなるので、寿命の低下が促進されるのである。
例えば、転がり軸受においては、異物により軌道輪や転動体が損傷を受けて、潤滑油中に異物が混入していない清浄潤滑下と比較して1/10程度まで寿命が低下する場合があった。
このような問題を解決するため、転がり軸受においては種々の技術が提案されている。例えば、特公平7−88851号公報には、軌道面の表面層の炭素量,残留オーステナイト量,及び炭窒化物の量を適正値とすることにより、異物により生じる圧痕のエッジ部における応力集中を緩和するとともにクラックの発生を抑えて、転がり軸受を長寿命とする技術が提案されている。
また、特公平8−26446号公報には、軌道面の表面層の残留オーステナイト量と表面硬さとの関係を適正にするとともに、軌道面の表面層に存在する炭化物,炭窒化物の平均粒径を最適値とすることにより、異物混入潤滑下及び清浄潤滑下において転がり軸受を長寿命とする技術が提案されている。
そこで、これらの公報の技術をボールねじに適用して、異物混入潤滑下におけるボールねじの寿命の向上を試みた。その結果、ボールねじがリテーニングピースを備えていない場合には、ねじ軸及びナットの軌道面(ねじ溝)の表面層を前述のような構成としても、ボールの損傷が生じるため、寿命の向上はほとんど見られなかった。これに対して、ボールねじがリテーニングピースを備えている場合には、転がり軸受の場合と同様に、長寿命となった。
これは、ボールねじの場合は転がり軸受と比べてボールにすべりが生じやすく、摩耗が生じやすい傾向があることに起因している。摩耗により生じた摩耗粉は、すべりの加速,発熱の促進,トルク上昇等の現象に繋がり、荷重条件等の条件が厳しくなると、軌道面に表面疲労が生じて剥離に進展するおそれがある。このような現象は、ボールねじにリテーニングピースを配するだけでは抑制することはできず、リテーニングピースを配することと、ねじ溝の表面層の残留オーステナイト量及び硬さの適正化とを組み合わせることにより抑制することができる。
すなわち、前者により、ボールは、例えばリテーニングピースのゴシックアーチ形状の凹面に極めて低摩擦で接触しながらリテーニングピースとともにボール転動路内を転動するので、ボール同士の競り合いが防止される。その結果、競り合いによる作動不良、騒音及び異常音の発生、ボールの摩擦による損傷が防止される。また、スペーサボールを用いたボールねじと比較して、遥かに多くのボールを配置することができるので、許容負荷容量を低減させることなく長寿命化を図ることができる。
また、後者により、高荷重条件下においてもねじ溝に摩耗が生じにくいので、ボールねじを長寿命とすることができる。
以下に、本発明のボールねじにおける前述の各数値(合金鋼中の合金元素の含有量、残留オーステナイト量等)の臨界的意義について説明する。
〔炭素の含有量について〕
炭素(C)は、焼入れ,焼戻し後の硬さを向上させるために必要な元素であり、合金鋼中のCの含有量を0.15質量%以上0.5質量%以下とする必要がある。
浸炭処理や浸炭窒化処理を施すことにより表面の硬さを向上させることができるが、Cの含有量が0.15質量%未満であると、浸炭処理や浸炭窒化処理に長時間を要し生産性が低下する。一方、Cの含有量が0.5質量%を超えると、心部の靱性が低下する。特に、ボールねじのような直動装置においては、加工や熱処理によりねじ軸が湾曲すると、湾曲直し工程が必要となるが、心部の靱性が低いと該湾曲直し工程でねじ軸が破損するおそれがある。
なお、浸炭処理又は浸炭窒化処理により表面の炭素濃度は上昇するので、これらの数値は心部のCの含有量であり、同時に素材の段階におけるCの含有量でもある。
〔クロムの含有量について〕
クロム(Cr)は、焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗性の向上に有効な元素である。また、微細な炭化物を析出して合金鋼の硬さを向上させる炭化物形成元素である。ただし、Crの含有量が1質量%未満であると、浸炭処理等によりC濃度を高めて表面硬さを高めることは可能であるものの、炭化物の核発生が少なくなるため炭化物が成長して巨大炭化物が発生しやすい。
一方、Crの含有量が3質量%を超えると、素材の段階で巨大炭化物が生じてしまい、この炭化物の周囲で応力集中が生じるため、寿命が低下するおそれがある。また、必要以上のCr含有量の増加はコスト的にも不利であるし、巨大炭化物を微細化しようとすると高温での焼入れ(炭化物をマトリックス中に固溶して再度析出させるための熱処理)が必要となるため熱処理生産性が低下する。
〔その他の炭化物形成元素について〕
炭化物形成元素としては、モリブデン(Mo),バナジウム(V),タングステン(W)等がある。Moは、Crよりも炭化物をさらに微細化する性質を有している。また、Vを添加すると、安定した硬い炭化物が生成して耐摩耗性が向上し、Wを添加すると、硬い炭化物が生成し、結晶構造によっては摩擦係数が低下する。
これらの元素は高価であるが、ボールねじの用途や要求性能によっては、単独又は2種以上を添加してもよい。例えば、Moの含有量は3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。また、Vの含有量は3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。さらに、Wの含有量は15質量%以下が好ましい。
〔その他の合金元素及び不可避的不純物について〕
合金鋼には、上記以外の合金元素、例えばケイ素(Si),マンガン(Mn),ニッケル(Ni),銅(Cu)を、所望により含有させてもよい。
また、微量であれば、上記合金元素及び鉄(Fe)以外の元素として、酸素(O),リン(P),イオウ(S),チタン(Ti),ニオブ(Nb)等の不可的避不純物を含有していてもよい。
〔ねじ溝の表面層の残留オーステナイト量γR について〕
残留オーステナイトは通常は軟らかくて粘性を有する金属組織であるので、残留オーステナイトを表面層に存在させることにより、圧痕のエッジ部分における応力集中を緩和することができ、クラックの発生を抑制することができる。また、表面層に存在する残留オーステナイトは、転動時に圧痕を通過する部材(例えばボール)の相対通過回数が所定数を超えると、表面に加わる変形エネルギーによってマルテンサイトに変態し硬化するので、ボールねじ内に摩耗粉等が混入するような異物混入潤滑下においてボールねじの寿命が向上する。また、残留オーステナイトは摩耗や表面疲労の抑制にも有効であるため、ボールねじの寿命が向上する。
このような効果を十分に得るためには、ねじ溝の表面層の残留オーステナイト量γR を15体積%以上45体積%以下とする必要がある。15体積%未満であると、摩耗や表面疲労の抑制が十分に行われず、寿命が向上が不十分となるおそれがある。一方、45体積%超過としても、寿命の向上効果が飽和するばかりか、かえって表面硬さを低下させることとなり、耐疲労性が低下してしまう。このような残留オーステナイトの効果をより十分に得るためには、ねじ溝の表面層の残留オーステナイト量γR を25体積%以上40体積%以下とすることがより好ましい。
なお、本発明においては、表面層とは、表面から剪断応力が最大となる深さ位置までの部分を意味する。剪断応力が最大となる深さ位置は、例えば、ボールの直径の2%に相当する長さだけ表面から内部に入った位置である。
〔ねじ溝の表面層のビッカース硬さHvについて〕
硬化されたねじ溝の表面層のビッカース硬さHvと残留オーステナイト量γR とは、前述の式に示すような関係を有している。ビッカース硬さHvが式の下限値(780−4.7×γR )よりも小さいと耐疲労性が不十分となり、異物混入潤滑下及びクリーン潤滑下において寿命が不十分となる。一方、ビッカース硬さHvを式の上限値(920−4.7×γR )よりも大きくすることは、現実的には困難である。
本発明のボールねじは長寿命である。
本発明に係るボールねじの実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態であるボールねじの平面図、図2は図1のボールねじのA−A断面図、図3は図1のボールねじのねじ溝に沿う面で破断した部分断面図、図4は図3のリテーニングピースの拡大断面図である。
図1〜4に示すように、ボールねじ1は、螺旋状のねじ溝3aを外周面に有するねじ軸3と、ねじ軸3のねじ溝3aに対向するねじ溝5aを内周面に有するナット5と、両ねじ溝3a,5aにより形成される螺旋状のボール転動路に転動自在に装填された多数のボール9と、隣接するボール9の間に介在されボール9の転動面に対面する2つの凹面23,23を有するリテーニングピース21と、を備えている。
ねじ軸3及びナット5のうち少なくとも一方は、0.15質量%以上0.5質量%以下の炭素と1質量%以上3質量%以下のクロムとを含有する合金鋼で構成されている。
ねじ軸3及びナット5のうちこの合金鋼で構成されている部材は、合金鋼を所定形状に加工した後に、浸炭処理又は浸炭窒化処理と焼入れ,焼戻し処理とを施すことにより製造されたものである。そして、ねじ軸3及びナット5のうち前記合金鋼で構成されている部材は、ねじ溝3a,5aの表面層の残留オーステナイト量γR が15体積%以上45体積%以下となっているとともに、ねじ溝3a,5aの表面層のビッカース硬さHvが780−4.7×γR ≦Hv≦920−4.7×γR なる式を満たしている。
このようなボールねじ1は、ボール9のすべりや競り合いが防止されるためボール9に摩耗が生じにくく、且つ、ねじ溝3a,5aに摩耗が生じにくいので、長寿命である。
ねじ軸3は、ナット5をねじ軸3の軸線方向に沿って案内するためのものであって、外周面の全長にわたって、ボール9の半径rと略同じ曲率半径を持つ断面半円形のねじ溝3a、又は、ボール9の半径rよりも僅かに大きい曲率半径を有する円弧同士を中間部で交差させた、所謂ゴシックアーチ形状のねじ溝3aが形成されている。ねじ溝3aのピッチは、ボールねじ1が組み込まれる装置(図示せず)の仕様にしたがって任意に設定することができる。
ナット5は、ねじ軸3の軸線方向に沿って直線移動する部材であって、その内周面にはねじ溝3aと同一形状,同一ピッチのねじ溝5aが形成されている。また、ナット5の一端には、装置のテーブル(図示せず)等に固定するためのフランジ11が形成され、外周面の一部は切り欠かれて平面部13が形成されている。そして、ねじ溝5aの一端側と他端側とを連通させて循環経路を形成するチューブ15が、チューブ押え17によって平面部13に固定されている。このようなチューブ15内を通ってボール9が移送され、ねじ溝5aの一端側から他端側へボール9が循環されるようになっている。
また、ナット5の両端には、プラスチック製のダストシール19が配設され、異物が外部からナット5内部に侵入することを防止するようになっている。
ボール9は、転動することによって摩擦損失なく滑らかにナット5を直線移動させるためのものであって、ねじ溝3a,5aで構成されたボール転動路内に転動自在に複数個が配設されている。
図3及び図4に示すように、リテーニングピース21は、ボール9同士の直接接触を防止するためのものであって、夫々のボール9間に介装されている。リテーニングピース21は、例えば、それ自体に潤滑作用を有するポリアミドやフッ素樹脂、あるいは潤滑油を含浸させたポリエチレン等からなり、両端にボール9の半径rよりも大きい曲率半径Rの凹球面23が形成された円盤状である。
このような形状によって、全長Lに対して中央部の厚みtを小さくして多数個のボール9を使用することができるとともに、ボール9とリテーニングピース21との接触面積を小さくして、摺動抵抗を最小とすることができる。
凹球面23の形状は、球面形状に限定されるものではなく、2個の円弧を中間部で交差させて形成される、所謂ゴシックアーチ形の凹面でもよいし、円錐形状の凹面であってもよい。また、凹面に貫通穴を設けたり、該貫通穴内に潤滑剤を保持させてボール9との接触抵抗を低減させるようにしてもよい。
リテーニングピース21の外径寸法dsは、ボール9の直径、及び、最大負荷が作用して弾性変形した時のボール9の直径よりも小さく設定されており、リテーニングピース21がねじ溝3a,5aで構成されたボール転動路及び循環経路たるチューブ15内を通過する際に、該ボール転動路,チューブ15,及びそれらの接続部に干渉せず、滑らかに循環できるようになっている。具体的には、ボール9の直径寸法の0.5〜0.9倍の外径寸法とすることが好ましい。
また、ボール転動路内に配されたボール9及びリテーニングピース21の隙間は、該隙間が大き過ぎるとリテーニングピース21が倒れて機能を発揮することができず、また小さ過ぎるとリテーニングピース21とボール9との摩擦力が大きくなって作動不良の一因となるので、適正な隙間となるように設定されている。具体的には、ボール転動路内に配した全てのボール9及びリテーニングピース21を一方に寄せ集めたと仮定したとき、先頭に当たるボール9と最後尾に当たるリテーニングピース21との間にできる隙間(総隙間S1とする)が0より大きく(S1>0)、且つ、最後尾に当たる1個のリテーニングピース21を除去したと仮定したとき、先頭のボール9と最後尾のボール9との隙間(S2)が、リテーニングピース21の外形寸法(ds)の0.8倍よりも小さくなるように(S2<0.8×ds)、ボール9及びリテーニングピース21の個数が設定されている。これによって、リテーニングピース21がボール転動路内で約60°以上倒れることがなくなり、良好に機能を発揮することができる。
次に、図1〜3を参照しながら、ボールねじ1の作用を説明する。モータ(図示せず)によってねじ軸3を回転させると、複数個のボール9を介して螺合したナット5は、ねじ軸3の軸線方向に直線移動する。このとき、ねじ溝3a,5aは相対的に逆方向に回転するので、ボール9はねじ溝3a,5aに対して転動してねじ溝5a内を前進し、ねじ溝5aの一端側に達したボール9は、チューブ15内を転動してねじ溝5aの他端側に供給され、再び循環する。
ボールねじ1は、ねじ溝3a,5aからなるボール転動路が螺旋状に連続していることに加えて、該ボール転動路と循環経路たるチューブ15との接続部において運動方向が変化するようになっている。さらに、該接続部ではボール9に作用する負荷が、負荷状態から無負荷状態へ、又は、逆に無負荷状態から負荷状態へ急激に変動するため、ボール9の挙動は複雑となる。特に、射出成形機やプレス機等の高荷重が断続的に作用する条件で使用されるボールねじでは、ボールねじ特有のボールの競り合いが発生してボールの摩耗が促進される傾向がある。
しかし、各ボール9間にはリテーニングピース21が介装されているので、ボール9同士の直接接触は防止されている。また、リテーニングピース21とボール9との相対滑り速度は、ボール9同士が直接接触する場合の1/2の速度となっている。したがって、リテーニングピース21及びボール9の摩擦は少なくなり、さらにリテーニングピース21の素材自身が持つ潤滑性及びリテーニングピース21とボール9との隙間に保持されている潤滑剤(グリース等)の潤滑性によって、リテーニングピース21及びボール9の摩耗は防止される。これにより、ボール9同士の競り合いによる作動不良、騒音の発生、音質の悪化等が抑制され、ボール9はボール転動路内を滑らかに循環することができ、長期間にわたって滑らかで且つ静粛な運転を行うことができる。
また、図4に示すように、リテーニングピース21は、凹球面23が形成された中央部の厚みtが小さいので、スペーサボールを用いたボールねじと比較して、多数個のボール9を使用することができる。これにより、大きな負荷容量に耐え、より大きな剛性を持つボールねじを製作することができる。さらに、凹球面23の曲率半径Rはボール9の半径rよりも大きく設定されているので、ボール9とリテーニングピース21との接触面積が小さくなって摺動抵抗が比較的小さくなるとともに、ボール9と凹球面23との隙間に潤滑剤が侵入し易くなって駆動抵抗が減少する。
さらに、リテーニングピース21の外径寸法dsは、ボール9の直径の0.5倍〜0.9倍となっているので、リテーニングピース21がボール9とともにボール転動路及びチューブ15を通過する際に、該ボール転動路,チューブ15,及びそれらの接続部に干渉することはなく、滑らかに循環し、トルク変動やリテーニングピース21の摩耗も抑えられる。
また、ボール転動路,チューブ15内でのボール9及びリテーニングピース21の隙間は、総隙間S1より大きく(S1>0)、且つ、最後尾に当たる1個のリテーニングピース21を除去したと仮定したときの先頭のボール9と最後尾のボール9との隙間S2が、リテーニングピース21の外径寸法dsの0.8倍よりも小さく(S2<0.8×ds)なるように設定されている。よって、ボール転動路内でリテーニングピース21が倒れることはなく、良好な作動を維持することができる。
〔実施例〕
以下に、さらに具体的な実施例を示して、本発明を説明する。前述したボールねじ1とほぼ同様の構成を有するJIS1192の呼び番号25×10×500−C5(ボールの直径は4.762mm)のボールねじを、日本精工株式会社製のボールねじ耐久寿命試験機に装着して耐久試験を行った。
耐久試験に供した実施例1〜26及び比較例1〜6のボールねじは、ねじ軸及びナットが表1に示すような組成の合金鋼で構成されている。このねじ軸及びナットは、合金鋼を機械加工することにより所定の形状に成形した後、下記に示すような条件A又は条件Bの硬化熱処理を施し、さらに研削仕上げを行なって製造したものである。この熱処理によって、ねじ溝の表面層のビッカース硬さHvは、表2,3に示すように、ねじ溝が受ける転がり荷重に十分耐えられるものとなっている(ねじ溝の表面層の残留オーステナイト量とビッカース硬さとの相関を、図5のグラフに示す。このグラフにおいては、実施例のボールねじの結果を○印で示し、比較例のボールねじの結果を●印で示してある。)。また、ねじ溝の表面層の残留オーステナイト量は、表2,3に示すような値となっている。
・条件A:930〜960℃で8〜15時間浸炭処理を施し、冷却した後、830〜900℃で2時間焼入れを行う。そして、160〜200℃で1.5〜2.5時間焼戻しを行う。
・条件B:900〜940℃で8〜15時間浸炭窒化処理を施し、冷却した後、830〜900℃で2時間焼入れを行う。そして、160〜200℃で1.5〜2.5時間焼戻しを行う。
Figure 2005155714
Figure 2005155714
Figure 2005155714
耐久試験は、下記のような試験条件で行った。そして、摩耗や剥離等の損傷によってトルクが2倍以上に上昇するまでの試験時間を測定した。なお、この耐久試験においては、残留オーステナイトの長寿命化効果を引き出す目的と、試験に要する時間を短縮する目的から、潤滑剤に異物を混入し、異物混入潤滑下で試験を行った。混入した異物はステンレス系鉄粉であり、その粒径は65〜120μmで、硬さはHRC50である。
・試験荷重 :アキシアル負荷5800N(P(動等価荷重)/C(基本動定格荷重)=0.5)
・最高回転速度:100〜200rpm
・ストローク :60mm
・雰囲気湿度 :60〜70%RH
・雰囲気温度 :60〜80℃
・潤滑剤の種類:アルバニアNo.2(昭和シェル石油株式会社製のグリース)
・異物混入量 :30ppm
この耐久試験においては、1種のボールねじにつき10個ずつ試験を行って、ワイブル分布関数からL10寿命を求めた。すなわち、10個のボールねじの試験結果のうち、短寿命側から10%のボールねじの寿命を、そのボールねじの寿命とした。試験結果を表2,3及び図6のグラフに示す。表2,3及び図6のグラフに示したL10寿命の数値は、前記試験条件における各ボールねじの計算寿命を1とした場合の相対値で示してある。なお、計算寿命の10倍の時間に至ってもトルクが2倍以上に上昇しない場合には、そこで試験を打ち切った。また、図6のグラフにおいては、実施例のボールねじの結果を○印で示し、比較例のボールねじの結果を●印で示してある。
表2,3及び図6のグラフから分かるように、実施例1〜26のボールねじは、比較例1〜6のボールねじと比べて、L10寿命が優れていた。特に、残留オーステナイト量が25体積%以上40体積%以下の場合は、L10寿命がより優れていた。また、合金鋼がMoやVを含有する場合は、L10寿命がさらに優れている傾向があった。
これに対して、比較例1,2は、残留オーステナイト量が15体積%未満と少ないので、残留オーステナイトの長寿命化効果が十分に発揮されず短寿命であった。また、比較例3は、残留オーステナイト量が45体積%超過と多く、比較例4は、前述の式を満たしていないので、ねじ溝の表面層のビッカース硬さHvが不十分となり短寿命であった。さらに、比較例5は、合金鋼中のCrの含有量が少なすぎるので、摩耗が発生しトルクが上昇して短寿命となった。さらに、比較例6は、合金鋼中のCrの含有量が多すぎるので、巨大炭化物が生成して短寿命となった。
本発明のボールねじは、断続的に高負荷荷重が作用し、短ストロークの往復運動を行う頻度の高い揺動部に好適である。例えば、射出成形機やプレス機に使用可能である。
本発明に係るボールねじの一実施形態の平面図である。 図1のボールねじのA−A断面図である。 図1のボールねじのねじ溝に沿う面で破断した断面図である。 図3のリテーニングピースの拡大断面図である。 ねじ溝の表面層の残留オーステナイト量とビッカース硬さとの相関を示すグラフである。 ねじ溝の表面層の残留オーステナイト量とボールねじのL10寿命との相関を示すグラフである。
符号の説明
1 ボールねじ
3 ねじ軸
3a ねじ溝
5 ナット
5a ねじ溝
9 ボール
21 リテーニングピース
23 凹面

Claims (1)

  1. 螺旋状のねじ溝を外周面に有するねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有するナットと、前記両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転動路に転動自在に装填された多数のボールと、隣接する前記ボールの間に介在され前記ボールの転動面に対面する2つの凹面を有するリテーニングピースと、を備えるボールねじにおいて、
    前記ねじ軸及び前記ナットのうち少なくとも一方は、0.15質量%以上0.5質量%以下の炭素と1質量%以上3質量%以下のクロムとを含有する合金鋼で構成され、
    前記ねじ軸及び前記ナットのうち前記合金鋼で構成された部材は、そのねじ溝の表面層が浸炭処理又は浸炭窒化処理により硬化され、前記硬化された表面層の残留オーステナイト量γR が15体積%以上45体積%以下であるとともに、前記硬化された表面層のビッカース硬さHvが下記式を満足することを特徴とするボールねじ。
    780−4.7×γR ≦Hv≦920−4.7×γR
JP2003392591A 2003-11-21 2003-11-21 ボールねじ Pending JP2005155714A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003392591A JP2005155714A (ja) 2003-11-21 2003-11-21 ボールねじ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003392591A JP2005155714A (ja) 2003-11-21 2003-11-21 ボールねじ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005155714A true JP2005155714A (ja) 2005-06-16

Family

ID=34719242

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003392591A Pending JP2005155714A (ja) 2003-11-21 2003-11-21 ボールねじ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005155714A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6044744B2 (ja) * 2014-05-30 2016-12-14 日本精工株式会社 ボールねじ装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6044744B2 (ja) * 2014-05-30 2016-12-14 日本精工株式会社 ボールねじ装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1353092B1 (en) Linear motion device
JP5163183B2 (ja) 転がり軸受
JP2015042897A (ja) ボールねじのねじ軸の製造方法、ボールねじ
JP2007010114A (ja) トランスミッション用転がり軸受
JP2014122378A (ja) 転がり軸受
JP2002364648A (ja) 転がり軸受
JP5168898B2 (ja) 転動軸
JP5998631B2 (ja) 転がり軸受
JP2008151236A (ja) 転がり軸受
JP2006329265A (ja) 転がり軸受
JPWO2007026702A1 (ja) 運動案内装置、およびこれに用いられる転動体
JP2006083988A (ja) ボールねじ
JP4968106B2 (ja) 転がり軸受
JP2005155714A (ja) ボールねじ
JP2008298237A (ja) ボールねじ
JP2009204036A (ja) ボールねじ装置
JP5233305B2 (ja) ころ軸受及びその製造方法
JP4872371B2 (ja) 遊星歯車機構用ピニオンシャフト
JP5857433B2 (ja) 転がり案内装置の製造方法
JP2005140275A (ja) プラネタリギヤ装置
JP2004076823A (ja) 転動装置
JP2005140274A (ja) 直動装置
JP2003301916A (ja) 直動装置
JP2010209965A (ja) 転がり軸受用保持器
JP2006045591A (ja) 円すいころ軸受

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20060712

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090417

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090707

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091110