JP2005154661A - 樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、透明な熱可塑性樹脂に無機層状化合物や無機超微粒子を均一分散させた樹脂組成物を得る方法であって、該樹脂組成物中に残存する欠陥粒子を低減させ、透明性に優れる樹脂組成物を効率よく得る方法を提供すること。
【解決手段】透明な熱可塑性樹脂中に、数平均厚みが10nm以下、面内方向における数平均径が300nm以下でかつ平均アスペクト比が5以上である無機層状化合物(a)、または、数平均粒子径が50nm以下である無機超微粒子(b)を0.1〜30重量%配合してなる熱可塑性樹脂組成物を製造するにあたり、
前記無機層状化合物(a)又は前記無機超微粒子(b)、前記透明な熱可塑性樹脂、及び有機溶剤を少なくとも含む分散液(1)を得る工程(I)、
分散液(1)を濾過する工程(II)、
並びに前記分散液(1)から溶剤を除去する工程(III)を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法。

Description

本発明は、透明な熱可塑性樹脂と、無機層状化合物または無機超微粒子とを含有してなる樹脂組成物の製造方法に関し、更に詳しくは前記無機層状化合物または無機超微粒子が均一分散し、かつ光学特性に優れた樹脂組成物を製造する方法に関する。
樹脂材料の耐熱性、機械的強度などの改善を目的として、層状珪酸塩などの無機層状化合物や、粒径が数nm〜数百nmの無機超微粒子を樹脂中に均一分散させる試みが近年盛んに行われている。
このように配合する無機化合物の粒子サイズをナノレベルのものにすることで、粒子サイズの大きなフィラーを配合する場合と比較して少量の配合量で所望の物性が得られるようになるとともに、粒子による光散乱が生じにくくなり、得られる組成物の透明性が高くなることも知られている。
従って、粒子径が光散乱を生じさせない程度に十分小さなものを透明な樹脂材料中に均一に分散させることができれば、光学レンズや光学フィルムなどのような、高度の透明性を必要とする用途への適用も可能な樹脂材料が得られる可能性がある。
樹脂と、無機層状化合物または無機超微粒子(以下、無機ナノ粒子という場合がある)を均一分散させる方法としては、溶融混練法や、無機ナノ粒子を溶剤に分散させ、一方で樹脂を溶剤に溶解させ、両者を溶液混合した上、溶剤を除去する方法(例えば、特許文献1や特許文献2)などが知られている。
溶融混練法では工程が簡易で生産性が高い点が有利であるが、微粒子の凝集が起こりやすく、樹脂中への均一な分散は困難であった。
また、特許文献3では、予め溶剤で膨潤・劈開させた無機層状化合物を樹脂と溶融混練する方法が開示されているが、この場合はさらに混練によるせん断力が加わるため、さらに均一な分散を行わせることが可能である。
しかしながら、何れの方法を用いても光散乱を全く生じないような組成物を得ることは困難である。
特開平6−41346号公報 特開平6−93133号公報 特開平9−124836号公報
本発明の目的は、透明な熱可塑性樹脂に無機層状化合物や無機超微粒子を均一分散させた樹脂組成物を得る方法であって、該樹脂組成物中に残存する欠陥粒子を低減させ、透明性に優れる樹脂組成物を効率よく得る方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、配合する無機層状化合物や無機超微粒子には一定の割合で粒子径の大きなものや、粒子の凝集体などの所謂欠陥粒子が含まれ、このために光散乱が生じて透明性を悪くするためであることがわかった。そこで、透明な熱可塑性樹脂に無機ナノ粒子を配合してなる樹脂組成物を得るにあたり、無機ナノ粒子、透明な熱可塑性樹脂及び有機溶剤を含有してなる分散液を濾過することにより欠陥粒子を除去した後、前記分散液から有機溶剤を除去することにより、上記目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、
(1)透明な熱可塑性樹脂中に、数平均厚みが10nm以下、面内方向における数平均径が300nm以下でかつ平均アスペクト比が5以上である無機層状化合物(a)、または、数平均粒子径が50nm以下である無機超微粒子(b)を0.1〜30重量%配合してなる熱可塑性樹脂組成物を製造するにあたり、
前記無機層状化合物(a)又は前記無機超微粒子(b)、前記透明な熱可塑性樹脂、及び有機溶剤を少なくとも含む分散液(1)を得る工程(I)、
分散液(1)を濾過する工程(II)、
並びに前記分散液(1)から溶剤を除去する工程(III)を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法、
(2)濾過する工程において、平均孔径が0.1〜50μmの機械的フィルターを使用する前記(1)記載の製造方法、
(3)濾過する工程において、濾過助剤を用いる前記(1)又は(2)記載の製造方法、
(4)透明な熱可塑性樹脂が脂環式構造を有する重合体樹脂である前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の製造方法、及び
(5)脂環式構造を有する重合体樹脂がノルボルネン系重合体である前記(6)記載の製造方法、
がそれぞれ提供される。
本発明の方法によれば、透明な熱可塑性樹脂に無機層状化合物や無機超微粒子を均一分散させた樹脂組成物中に残存する欠陥粒子を低減させ、透明性に優れる樹脂組成物を効率よく得ることができる。
本発明は、無機層状化合物(a)又は前記無機超微粒子(b)、前記透明な熱可塑性樹脂、及び有機溶剤を少なくとも含む分散液(1)(以下、「分散液(1)」と略す。)を得る工程(I)を有する。
本発明に使用する無機層状化合物(a)とは、層状結晶構造をもつ無機物質のことをいう。例えばモンモリロナイト、サポナイト、ハイデライト、ノントロナイト、ヘクトライト、スティブンサイトなどのスメクタイト系粘土鉱物;バーミキュライト、ハロサイト、その他天然物または合成の粘土鉱物;雲母;ハイドロタルサイト;グラファイト;などが挙げられるが、中でもスメクタイト系粘土鉱物が好ましい。これらの無機層状化合物は2種以上を組み合わせて用いても良い。
無機層状化合物(a)は、樹脂組成物中に分散した状態で、数平均厚みが10nm以下、面内方向における数平均径が300nm以下でかつ平均アスペクト比が5以上のもの、好ましくは数平均厚みが5nm以下、面内方向における数平均径が200nm以下で、かつ平均アスペクト比が10以上である。なお、前記平均アスペクト比は100以下であることが好ましく、50以下がより好ましい。数平均厚みが10nmより大きいと、得られた樹脂組成物の透明性が劣る場合がある。また、平均アスペクト比が5より小さいと、耐熱性や機械的強度の改善効果が小さくなる場合があり、平均アスペクト比が50より大きいと組成物の透明性が劣ったり、脱溶剤性が悪くなったりする場合がある。樹脂組成物中に分散した無機層状化合物の数平均厚み、面内方向の数平均径及び平均アスペクト比は、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察像からコンピュータ処理を行うことにより算出することができる。
ここで、面内方向における数平均径は、面内方向における長径と短径の算術平均値である。面内方向における長径は面内方向における最長の差し渡し径で、面内方向における短径は面内方向における最短の差し渡し径である。平均アスペクト比は、面内方向における平均径と、厚みとの比である。
本発明において、無機層状化合物(a)は有機溶剤中で膨潤可能なものを用いることが好ましい。ここで膨潤とは無機層状化合物(a)が有機溶剤を吸収してその体積を増大させる現象をいい、その際、無機層状化合物(a)を構成する無機層状結晶の単位層(以下ナノシートという場合がある)の層間が拡大する。膨潤させた無機層状化合物(a)の層間距離は3nm以上であることが好ましく、より好ましくは5nm以上、さらに好ましくは7nm以上である。層間距離が過度に小さいと、脂環式構造を有する重合体樹脂中での均一分散が不十分になる。層間距離はX線回折法(XRD)を用いて測定することができる。無機層状化合物(a)を樹脂中に分散させるという場合、理想的には前記ナノシートの状態で均一分散していることが好ましいが、数枚のナノシートが重なった状態であってもよく、いずれにしても数平均厚みが10nm以下であればよい。
無機層状化合物(a)を有機溶剤中で膨潤させ、また樹脂中への均一分散を可能にするために、無機層状化合物(a)は、予め親有機化処理をしたものを用いることが好ましい。親有機化処理とは、樹脂に対する分散性を向上させるために、有機化剤を用いて無機層状化合物(a)を有機化処理することをいう。親有機化処理は、無機層状化合物(a)の層間に極性を持つ化学種、例えば有機物カチオン、金属カチオン、有機物アニオン、アミン類などをインターカレーション(層間挿入)することによって行うことができる。親有機化処理は公知の方法に従って行えばよい。
また、親有機化処理を行うために用いる前記極性をもつ化学種以外に、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、色素、帯電防止剤などの機能性有機化合物をインターカレーションさせたものを用いることもできる。インターカレーションさせる方法は特に制限されない。
本発明に用いる数平均粒子径が50nm以下で、かつ平均アスペクト比が4以下である無機超微粒子(b)は、樹脂組成物中に分散した状態で、数平均粒子径及び平均アスペクト比がこの範囲内にあれば、その材質、形状は特に限定されない。材質としては酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物や複合金属酸化物、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、亜鉛、などの遷移金属単体、半導体、金属の塩などを挙げることができる。
数平均粒子径は好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下である。数平均粒子径が50nmを超えると、得られた組成物の透明性が劣る場合がある。
また、無機超微粒子(b)の粒径分布は狭いほど好ましい。粒径分布が大きい場合、光散乱を生じる大粒径の粒子が含まれるようになるため、組成物の透明性が劣る場合がある。粒径分布はその標準偏差で好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下である。
樹脂中に分散した無機超微粒子(b)の数平均粒径、平均アスペクト比及び粒径分布は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察像から測定することができる。
無機超微粒子(b)の形状は球状、棒状、針状、不定形など、いずれでもよく、目的に応じて適宜選択すればよい。
無機超微粒子(b)には、予め有機溶剤への均一分散を良好に行わせるために又は、樹脂中への均一分散を良好に行わせるために、表面修飾を行ったものを用いることが好ましい。表面修飾は、例えばアルコキシシラン類、変性ポリシロキサン類、有機アニオン、有機カチオン、有機配位子などを用いる方法が挙げられるが、特に限定されない。
本発明に使用する透明な熱可塑性樹脂としては、透明性、成形性に優れた熱可塑性樹脂であれば、特に限定されない。例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、非晶性ポリエステル、脂環式構造を有する重合体樹脂等を用いることができる。中でも透明性、耐熱性、低吸湿性などの特性に優れる点から、脂環式構造を有する重合体樹脂が好ましい。
本発明に好適に使用する脂環式構造を有する重合体樹脂は、主鎖及び/又は側鎖に脂環式構造を有するものであり、機械強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有するものが好ましい。
脂環式構造としては、飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が最も好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械強度、耐熱性などの特性が高度にバランスされ、好適である。本発明に使用する脂環式構造を有する重合体樹脂中の脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、もっとも好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合がこの範囲にあると樹脂組成物の透明性および耐熱性の観点から好ましい。
脂環式構造を有する重合体樹脂は、具体的には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体がより好ましい。
ノルボルネン系重合体としては、具体的にはノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体水素添加物が最も好ましい。
上記の脂環式構造を有する重合体樹脂は、例えば特開2002−321302号公報などに開示されている公知の重合体から選ばれる。
また、本発明に使用する透明な熱可塑性樹脂として、極性基を含有するものであることが、無機層状化合物や無機超微粒子との親和性を高め、その均一分散性を良好なものとできる点で好ましい。
極性基の種類としては、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、珪素原子、ハロゲン原子などが挙げられるが、層状結晶化合物との分散性や他の樹脂との相溶性の観点から、酸素原子や窒素原子が好ましい。
極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられる。
極性基を有する透明な熱可塑性樹脂を得る方法としては特に制限はないが、透明な熱可塑性樹脂が、ノルボルネン系重合体である場合、例えば、(i)各種のノルボルネン系モノマーの中から選択されたところの、極性基を有しないノルボルネン系モノマーを重合して得られる未変性重合体に、極性基を有する化合物を反応(変性反応)させる方法、(ii)各種のノルボルネン系モノマーの中から選択されたところの、極性基を有しないノルボルネン系モノマーと極性基を有するノルボルネン系モノマーとを共重合させる方法、(iii)各種のノルボルネン系モノマーの中から選択されたところの、極性基を有しないノルボルネン系モノマーを重合して得られる重合体と、前記(i)の方法または(ii)の方法により得られた極性基を有するノルボルネン系重合体とを混合する方法等を挙げることができる。ノルボルネン系重合体以外の熱可塑性樹脂について極性基を有するようにする場合も、ノルボルネン系重合体に行う方法と同様の方法を採用することができる。
変性反応による極性基の導入方法としては、格別な制限はなく常法の変性反応を行ったものが挙げられる。具体的には、脂環式構造を有する重合体樹脂の塩素化物やクロロスルフォン化物など、又は極性基を有する不飽和化合物によるグラフト変性物などが挙げられ、好ましくは極性基を有する不飽和化合物によるグラフト変性物である。
前記極性基を有する不飽和化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、p−スチリルカルボン酸グリシジル等の不飽和エポキシ化合物;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸化合物;無水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸化合物;マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレート等の不飽和エステル化合物;アリルアルコール、2−アリル−6−メトキシフェノール、4−アリロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン等の不飽和アルコール酸化合物;クロロジメチルビニルシラン、トリメチルシリルアセチレン、5−トリメチルシリル−1,3−シクロペンタジエン等の不飽和シラン化合物等を挙げることができる。
これら極性基含有不飽和化合物の中でも、前記無機層状化合物(a)又は無機超微粒子(b)の分散性の観点からすると、不飽和エポキシ化合物および不飽和カルボン酸化合物が特に好ましい。なお、これら極性基含有不飽和化合物を効率よくグラフト共重合させるためには、汎用のラジカル開始剤の存在下に重合反応を実施することが好ましく、この好適なラジカル開始剤としては、有機ペルオキシド、有機ペルエステル等を挙げることができる。
透明な熱可塑性樹脂中の極性基の含有量は、好ましくは0.01mmol/g以上、さらに好ましくは0.01mmol/g〜0.8mmol/g、特に好ましくは0.01mmol/g〜0.5mmol/gの範囲である。
極性基の含有量を前記範囲とすることにより、前記無機層状化合物(a)又は無機超微粒子(b)との親和性を向上させることができる。なお、極性基の含有量が多すぎると得られる樹脂組成物の吸水性が高くなるので好ましくない。
上記極性基の含有量は、前述(i)の変性反応の場合には、極性基を有する不飽和化合物の変性による導入率により、(ii)の場合には共重合する極性基を有するモノマーの共重合の割合により、(iii)の場合には極性基を有しない重合体と極性基を含有する重合体との混合割合により、適宜コントロールすることができる。
本発明に使用する透明な熱可塑性樹脂の分子量に特に制限はないが、ポリスチレン換算の重量平均分子量が、通常は、5,000〜500,000、好ましくは、8,000〜200,000、より好ましくは、10,000〜100,000である。重量平均分子量がこの範囲にあることにより、得られる樹脂組成物の成形加工性が良好となり、機械的強度を向上させることもできる。この重量平均分子量は、シクロヘキサン溶液またはトルエン溶液のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法により測定することができる。
本発明に使用する透明な熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に制限はないが、通常は、80℃以上、好ましくは130〜250℃である。ガラス転移温度がこの範囲にあることにより、得られる樹脂組成物において、高温下の使用に耐え、熱変形、応力集中等を生じることがなく、優れた耐久性を与えることができる。
透明な熱可塑性樹脂が脂環式構造を有する重合体樹脂である場合は、その分子量2,000以下の樹脂成分(すなわち、オリゴマー成分)の含有量が5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下である。
オリゴマー成分の量を低減するためには、重合触媒や水素化触媒の選択、重合反応、水素化反応などの反応条件、樹脂を成形用材料としてペレット化する工程における温度条件、などを最適化すればよい。オリゴマーの成分量は、シクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによって測定することができる。
工程(I)において分散液(1)を得る方法としては、(イ)無機層状化合物(a)又は無機超微粒子(b)を有機溶剤に分散させた分散液(この分散液を分散液(x)とする)と、熱可塑性樹脂を有機溶剤に溶解させた熱可塑性樹脂溶液(この溶液を溶液(y)とする)とを混合して得る方法;(ロ)前記分散液(x)に透明な熱可塑性樹脂を添加して溶解させて得る方法;が挙げられる。本発明においては、前記無機層状化合物(a)又は無機超微粒子(b)の分散に用いる有機溶剤への熱可塑性樹脂の溶解性が劣る場合など、有機溶剤の選択の自由度の観点からは(イ)の方法が好ましい。
工程(I)において、前記(イ)又は(ロ)のいずれの方法を採る場合でも、分散液(x)と溶液(y)とを混合する方法、又は分散液(x)に透明な熱可塑性樹脂を添加して溶解させる方法は特に制限されない。
工程(I)において(イ)又は(ロ)の方法を用いる場合、前記無機層状化合物(a)又は無機超微粒子(b)を分散させる有機溶剤は特に限定されず、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド類;酢酸エチルなどのエステル類;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;などが挙げられる。これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの有機溶剤の中でも、本発明で用いる透明な熱可塑性樹脂が溶解可能なものを用いることが好ましい。また、常温で無機層状化合物(a)又は無機超微粒子(b)が均一に分散しない場合、分散液(x)を溶剤の沸点以下の温度まで加温する方法を用いることもできる。
工程(I)において(イ)又は(ロ)の方法を用いる場合、分散液(x)を得るための無機層状化合物(a)又は無機超微粒子(b)と有機溶剤との混合割合は、無機層状化合物(a)又は無機超微粒子(b)が分散液(x)中に通常1〜70重量%、好ましくは5〜50重量%の範囲になるようにする。
工程(I)において(イ)又は(ロ)の方法を用いる場合、前記無機層状化合物(a)又は無機超微粒子(b)を有機溶剤中に均一に分散させる方法としては、特に限定されず、種々の方法を用いることができる。具体的には、攪拌槽を用いて両者を混合する方法;ブレンダーを用いて両者を混合する方法;ヘンシェルミキサーなどの高速ミキサーを用いて両者を混合する方法;などが挙げられる。その際、超音波を加えたり、溶剤の沸点以下の温度に加温したりしてもよい。
工程(I)において(イ)の方法を用いる場合、前記溶液(y)を得るために用いる有機溶剤としては、使用する透明な熱可塑性樹脂に溶解可能なものであれば特に限定されず、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド類;酢酸エチルなどのエステル類;ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;などが挙げられる。前記分散液(x)で使用した有機溶剤と同じものを用いることが好ましいが、異なるものであっても良い。これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂溶液中の透明な熱可塑性樹脂の濃度は特に制限されないが、通常5〜70重量%、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは15〜30重量%の範囲である。樹脂の濃度が過度に小さいと多量の有機溶剤を用いることになり、溶剤を除去する工程での生産効率が悪くなったり、過度に大きいと溶液粘度が大きくなったりして、取り扱いが困難になるおそれがある。
また、前記(ロ)の方法を用いる場合も、溶液中の透明な熱可塑性樹脂の濃度は特に制限されないが、通常5〜70重量%、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは15〜30重量%の範囲である。
前記(イ)及び(ロ)の何れの方法を採る場合も、無機層状化合物(a)又は無機超微粒子(b)と、透明な熱可塑性樹脂との割合は、無機層状化合物(a)又は無機超微粒子(b)/透明な熱可塑性樹脂の重量比で0.1/99.9〜30/70、好ましくは1/99〜20/80、より好ましくは2/98〜15/85の範囲となるようにする。無機層状化合物(a)又は無機超微粒子(b)の割合が少なすぎるとこれらを配合する効果が発現せず、多すぎると得られる樹脂組成物の成形性が悪くなる場合がある。なおここでいう無機層状化合物(a)又は無機超微粒子(b)の重量は、無機分(灰分)のみの重量を指し、前記のように有機化合物をインターカレートしたものについては、該有機化合物を差し引いた重量である。
本発明は、分散液(1)を濾過する工程(II)を有する。
工程(II)において、濾過する方法は特に制限されないが、適当なフィルターを用い、加圧または減圧により、濾過する分散液(1)のイン側とアウト側との間に差圧をつけることにより行うのが好ましい。
差圧をつける方法としては、イン側を加圧する方法とアウト側を減圧する方法、またはこれらの組み合わせが考えられるが、構造上簡単であることからイン側を加圧する方法が好ましい。
加圧する方法としては、液自体をポンプ等で加圧して送液してフィルターを通す方法、液を加圧容器に入れて、圧縮空気または圧縮窒素等の加圧用の気体により加圧する方法などがある。
濾過するときの差圧は、特に限定されないが、濾過の効率と装置の簡易さから、ゲージ圧で通常0.01〜2MPa、好ましくは0.02〜1.5MPa、特に好ましくは0.05〜1MPaである。
濾過に用いるフィルターとしては、紙製フィルター、合成樹脂製フィルター、繊維(布)製フィルター、金属製フィルターなど、目開きの大きさによって通過する粒子の大小を篩い分ける機械的フィルターや、フィルター自体に静電荷を付与し、電荷的補足機能を有するフィルターなどが挙げられる。
本発明の場合、電荷的補足機能を有するフィルターを用いると、分散液(1)中の無機層状化合物(a)又は無機超微粒子(b)がフィルターに吸着補足されてしまい、目詰まりを起こして濾過効率が悪くなるおそれがあるため、機械的フィルターを用いることが好ましい。機械的フィルターとしては、その材質は特に限定されないが、濾過する分散液(1)に含まれる有機溶剤による、溶解、膨潤、劣化等の影響を受けないものを用いることが好ましい。
フィルターの平均孔径は、使用する無機層状化合物(a)又は無機超微粒子(b)の種類や配合量、溶液の粘度などによって適宜選択すればよいが、通常0.1〜50μm、好ましくは0.1〜20μmの範囲である。平均孔径が小さすぎると目詰まりを生じ易く、濾過効率が悪くなるおそれがあり、平均孔径が大きすぎると欠陥粒子や凝集体を除去できない。
工程(II)において、濾過助剤を使用することが好ましい。濾過助剤は濾過される物質が濾材に目詰まりしにくくするために用いる、化学的に不活性な多孔質の粒子である。濾過助剤としては、けいそう土、シリカ、合成ゼオライト、パーライトなどの不活性で溶剤に溶けない粉状物が適している。濾過助剤の平均粒径は、濾過速度を高めつつ、欠陥粒子および凝集体を効率よく除去できるようにする観点から、1〜100μm、好ましくは5〜50μmである。平均粒径はレーザー回折/散乱粒度分布測定機((株)堀場製作所製)などによって測定することができる。
濾過助剤の使い方としては、濾過する分散液に予め添加するボディフィード法、フィルターに濾過助剤を堆積させておいてから濾過するプリコート法などがあげられるが、濾液に濾過助剤の微粉末を混入させない観点から、プリコート法が好ましい。
濾過助剤のプリコートを行う場合に用いられる濾材としては、金網を有するリーフフィルター、布製フィルター(濾布)、合成樹脂製フィルター、紙製フィルターなどが挙げられるが、強度と繰り返し使用が可能な点で金網を有するリーフフィルター、布製フィルター(濾布)などが好ましい。
濾過助剤を推積する厚みは、好ましくは1〜20mm、特に好ましくは3〜10mmである。濾過助剤を体積させる際には、濾過助剤を溶剤に懸濁させた懸濁液をフィルターのイン側に供給し、フィルターのアウト側から吐出される溶剤をイン側に循環させながら、溶剤が清澄になるのを待ち、しかる後に濾過を行う。
工程(II)において、無機層状化合物(a)又は無機超微粒子(b)中の欠陥粒子や凝集体を効率よく除去する観点からは、前記工程(I)において、分散液(1)を得る際に調製する分散液(x)の濾過も行うことが好ましい。さらに、工程(I)において(イ)の方法を採る場合、熱可塑性樹脂を加えることで無機層状化合物(a)又は無機超微粒子(b)の凝集が生じるような場合には、溶液(y)の濾過も行ってもよい。その場合、各々の濾過に用いるフィルター、濾過助剤などは異なるものを用いても構わない。分散液(x)及び溶液(y)を濾過する場合の濾過方法としては、分散液(1)を濾過する方法と同様の方法があげられる。
本発明では、前記分散液(1)から有機溶剤を除去する工程(III)を有する。
有機溶剤を除去する方法は特に限定されないが、加熱及び減圧が可能な溶剤除去装置を用いる方法が好ましい。加熱及び減圧が可能な溶剤除去装置としては、二軸混練押出機や連続薄膜型溶剤除去装置が挙げられる。二軸混練押出機を用いる場合は、押出機のバレル中で溶液を加熱しつつ、ベント口を減圧状態にして溶剤を除去することができる。連続薄膜型溶剤除去装置を用いる場合は、溶液を連続的に薄膜状態にしながら連続的に溶剤を除去することができる。中でも、得られる樹脂組成物中に残留する溶剤量を極力低減する観点から、連続薄膜型溶剤除去装置を用いることが好ましい。
連続薄膜型溶剤除去装置としては、溶液を乾燥器内で薄膜状にして表面積を増大させて溶剤成分を効率的に除去できるものであれば特に限定されず、公知のものが使用可能である。具体的には、遠心薄膜連続蒸発器型、掻取式薄膜連続蒸発器型、などの溶剤除去装置が挙げられ、高粘度リアクタ装置なども用いることができる。
連続薄膜型溶剤除去装置を用いて溶剤除去を行う際の装置の内部圧力は、その最終到達圧力が10kPa以下、好ましくは5kPa以下、さらに好ましくは1kPa以下である。内部圧力が高すぎると、溶液の蒸発効率が悪くなり、樹脂組成物中の溶剤成分含有量が多くなる。溶液の加熱温度は、溶剤除去の対象となる透明な熱可塑性樹脂のガラス転移温度より高い温度、好ましくは前記ガラス転移温度より50〜300℃高い温度、より好ましくは前記ガラス転移温度より80〜250℃高い温度、特に好ましくは前記ガラス転移温度より100〜200℃高い温度である。このガラス転移温度は、使用する透明な熱可塑性樹脂が2種類以上の混合物の場合は、一番高いガラス転移温度を基準とする。
加熱温度が低すぎると、有機溶剤の除去効率が悪くなり、樹脂組成物中に残留する溶剤成分含有量が多くなる。また、溶液が高粘度化もしくは固化することで機器に損傷を与えるため好ましくない。加熱温度が高すぎると、樹脂が熱劣化する原因となるので好ましくない。
有機溶剤を除去する工程においては、溶剤除去装置を2基以上用いてもよい。この場合、それぞれの溶剤除去装置ごとに異なる減圧度及び加熱温度にしてもよいが、少なくとも最終段の連続薄膜乾燥装置の内部圧力は10kPa以下、好ましくは5kPa以下、さらに好ましくは1kPa以下とする。
本発明の溶剤を蒸発除去する工程により、得られる樹脂組成物中に残留する溶剤含有量を5000ppm以下、好ましくは3000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下にまで除去することができる。残留する溶剤含有量が多すぎると、成形体にシルバーストリークやボイド、及び発泡などの成形不良や着色が生じる。残留する溶剤含有量は、ガスクロマトグラフィーを用い、分子量200以下の成分の合計量として求める。
本発明においては、前記溶剤を蒸発除去する工程を経た樹脂組成物は、溶融状態のまま溶剤除去装置から導出し、冷却・固化して樹脂組成物を得る。
本発明においては、得られた溶融状態の樹脂組成物を、さらに溶融混練する工程を有することが好ましい。こうすることにより、樹脂組成物中の無機層状化合物(a)又は無機超微粒子(b)の均一分散性をさらに高めることが可能になる。溶融混練する装置としては、特に制限されず、例えば二軸混練押出機が挙げられる。
本発明の製造方法により得られる樹脂組成物は、耐熱性、機械強度に優れ、また透明性に優れるので、成形体として光学用途、電子部品用途、自動車用途、電子部品処理用器材用途などに好適に使用することができ、またガスバリアー性などに優れるので、食品や医薬品などの包装材などに好適に使用することができる。
成形体の成形方法としては、射出成形法、押出成形法、プレス成形法、ブロー成形法、キャスト成形法などの、通常の加熱溶融成形方法を用いることができる。成形体の形状としては、特に制限されず、球状、棒状、板状、シート状、ファイバー状、筒状などの各種の形状が挙げられる。
本発明を、参考例、実施例及び比較例を示しながら、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
なお部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
本実施例における評価は、以下の方法によって行う。
(1)透明な熱可塑性樹脂の分子量
シクロヘキサン(樹脂が溶解しない場合はトルエン)を溶剤にしてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリイソプレン換算の重量平均分子量(Mw)を求める。
(2)樹脂組成物中の無機層状化合物(a)又は無機超微粒子(b)の分散状態
透過型電子顕微鏡(日立製作所社製、倍率20万倍)で観察する。
欠陥粒子(厚さ30nm以上、または最大長径500nm以上の粒子)、凝集体(粒子の集合体で、長径500nm以上のもの)については、別々の5枚の切片での800nm×600nmの視野中の個数の合計を求める。
(3)光線透過率
樹脂組成物から射出成形により厚さ3mmの平板を成形し、得られた平板を分光光度計により、波長430〜700nmでの光線透過率を測定し、その最小値を代表値とする。
(4)ヘイズ
樹脂組成物から射出成形により厚さ3mmの平板を成形し、得られた平板を用い、ASTM−D1003に準拠して測定する。
[製造例1]脂環式構造を有する重合体樹脂の製造
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部に、1−ヘキセン0.82部、ジブチルエーテル0.15部、トリイソブチルアルミニウム0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、8−メチル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン(メチルテトラシクロドデセン、以下、「MTD」と略記する。)200部と、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)80部とを、2時間かけて連続的に添加し重合した。
重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06部とイソプロピルアルコール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。
次いで、得られた開環重合体を含有する反応溶液700部に対して、シクロヘキサン300部を加え、さらに水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)5部を加え、水素により5MPaに加圧し、撹拌しながら温度200℃まで加温し、4時間反応させ、さらに濾過により水素化触媒を除去して、MTDの開環重合体水素化物の溶液を得た。
次いで、得られたMTDの開環重合体水素化物の溶液500部にシクロヘキサン500部を加え、この溶液を強く攪拌した1200部のイソプロピルアルコール中に注いで析出させ、濾別して樹脂を回収した。回収した樹脂を120℃、0.2kPa以下で48時間乾燥させ、MTDの開環重合体水素化物100部を得た。
この開環重合体水素化物の、重量平均分子量(Mw)は35,000、水素化率は99.9%、ガラス転移温度(Tg)は151℃であった。
[製造例2]極性基を有する脂環式構造を有する重合体樹脂の製造
製造例1で得られたMTDの開環重合体水素化物30部をtert−ブチルベンゼン100部に溶解させ、次いで無水マレイン酸3部、ジクミルパーオキシド1部を加え、オートクレーブ中にて135℃、6時間反応を行った後、tert−ブチルベンゼン100部を加え、この溶液を強く攪拌したイソプロピルアルコール500部中に注いで析出させ、濾別して重合体を回収した。
回収した重合体を100℃、0.2kPa以下で48時間乾燥させ、無水マレイン酸変性重合体33部を得た。
得られた変性重合体は、重量平均分子量(Mw)が37,000、ガラス転移温度(Tg)が133℃、変性重合体中の無水マレイン酸変性率がH−NMR測定したところ0.5mmol/gであった。
[製造例3]無機層状化合物の親有機化処理
層状珪酸塩である合成スメクタイト(スメクトンSA:クニミネ工業社製)100部を、60℃の蒸留水1,000部に均一に分散させて層状珪酸塩の分散液を得た。
次いで、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド20部を蒸留水300部に溶解させた溶液を、前記スメクタイト分散液を攪拌しながら、該分散液中にゆっくり添加し、60℃で3時間攪拌を続けた後、濾過により固形分を取り出した。
得られた固形分を60℃の蒸留水500部に加えて再分散させた後、再度濾過により固形分を取り出した。再分散及び濾過の操作を3回繰り返した後、凍結乾燥法により水分を除去して、親有機化処理した層状珪酸塩を得た。
[実施例1]
〔工程(I−1)〕
トルエン90部に製造例3で得られた親有機化処理した層状珪酸塩10部を加え、60℃で3時間攪拌し、透明な分散液(x)を調製した。
〔工程(II−1)〕
珪藻土(昭和化学社製、ラジオライト#500)10部をトルエン90部に懸濁させ、平均孔径10μm相当(1450メッシュ)の金属金網製フィルターを装着した加圧濾過機(フンダフィルター、石川島播磨重工社製)に供給し、フィルター上に珪藻土を10mmの厚さにプリコートした。プリコートは圧力30kPaで前記懸濁液を供給し、フィルターアウト側から吐出されるトルエンをフィルターのイン側に循環させて行った。トルエンが清澄になるまで30分間循環を行い、プリコートを完了した。引き続き工程(I−1)で得られた分散液(x)の濾過を圧力0.35MPaの条件で行い、分散液(x)の濾液を得た。
〔工程(I−2)〕
また、製造例1で得られたMTDの開環重合体水素化物70部と、製造例2で得られた変性重合体20部を、トルエン310部に溶解させて、重合体溶液(y)を得た。この溶液(y)と、工程(II−1)で得られた分散液(x)の濾液とを混合し、さらに酸化防止剤(チバスペシャリティ・ケミカルズ社製;イルガノックス1010)を0.1部添加し溶解させた後、室温で30分間攪拌して、分散液(1)を得た。
〔工程(II−2)〕
分散液(1)を、平均孔経2μm相当(2600メッシュ)の金属不織布製フィルターを装着したカートリッジフィルター(工栄モスフィルター社製)を用いて、圧力0.4MPaの条件で濾過し、分散液(1)の濾液を得た。
〔工程(III)〕
工程(II−2)で得られた分散液(1)の濾液から、直列に接続した2基の連続薄膜型溶剤除去装置(コントロ:日立製作所製)を用いて溶剤成分の除去を行い、2基目の溶剤除去装置から溶融状態の樹脂組成物を導出した。溶剤除去装置の運転条件は、1基目:温度260℃、圧力25kPa、2基目:温度285℃、圧力1kPa以下、分散液(1)(および溶剤成分が除去された溶融状態の樹脂組成物)の滞留時間は合計7時間とした。
次いで、連続的に溶剤除去装置(2基目)から導出された溶融状態の樹脂組成物を、孔径5μmのステンレス製焼結フィルターを備えたポリマーフィルター(富士フィルター社製)を連結した二軸混練押出機(東芝機械社製TEM−35、スクリュー径Dは37mm、スクリュー有効長さLとスクリュー径Dとの比L/D=45)のニーディング部分に、前記ポリマーフィルターの吐出口と二軸混練押出機のバレルとを連結する保温配管を通して導入して、スクリュー回転数250rpm、樹脂温度210℃、フィードレート10kg/時間で混練してストランド状に押し出し、ストランドカッターで切断してペレット化した。
得られた樹脂組成物中の層状珪酸塩は数平均厚みが5nm以下、面内方向における数平均径が70nm、平均アスペクト比が25で均一に分散していた。欠陥粒子および凝集体は見られなかった。光線透過率は最小で90.6%、ヘイズは0.3%であった。
[実施例2]
分散液(x)の濾過(工程(II−1))を行わなかった他は実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物中の層状珪酸塩は数平均厚みが5nm以下、面内方向の数平均径が70nm、平均アスペクト比が25で均一に分散していた。2個の欠陥粒子が観察された。光線透過率は最小で90.4%、ヘイズは0.4%であった。
[実施例3]
(工程I−1)において、分散液(x)として、平均粒径15nmの球状シリカ系微粒子(平均アスペクト比1.1)10部とノニオン系界面活性剤0.1部と、トルエン90部とからなる分散液を用いた他は実施例1と同様にして、樹脂組成物のペレットを得た。
得られた樹脂組成物中のシリカ系微粒子は数平均径は15nm、平均アスペクト比は1.1の状態で、均一に分散していた。欠陥粒子および凝集体は観察されなかった。光線透過率は最小で90.3%、ヘイズは0.3%であった。
[比較例1]
分散液(x)の濾過(工程(II−1))および分散液(1)の濾過(工程(II−2))を行わなかった他は実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物中の層状珪酸塩は数平均厚みが5nm以下、面内方向における数平均径が70nm、平均アスペクト比が25で均一に分散していた。21個の欠陥粒子および8個の凝集体が観察された。光線透過率は最小で87.3%、ヘイズは1.8%であった。
[比較例2]
分散液(x)の濾過(工程(II−1))および分散液(1)の濾過(工程(II−2))を行わなかった他は実施例3と同様にして樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物中のシリカ系微粒子は数平均径は15nm、平均アスペクト比は1.1の状態で、均一に分散していた。1個の欠陥粒子および5個の凝集体が観察された。光線透過率は最小で88.1%、ヘイズは1.2%であった。
本実施例及び比較例の結果から以下のことがわかる。
本発明の製造方法によれば、実施例に示すように、脂環式構造を有する重合体樹脂に、無機化合物を均一に分散させた樹脂組成物中に残存する溶剤を効率よく低減させることができる。また、得られた樹脂組成物は、光学特性(光線透過率及びヘイズ)に優れている。
一方、比較例に示された方法によれば、樹脂組成物中に欠陥粒子及び凝集体が観察される。また、この樹脂組成物を成形すると、最小の光線透過率が小さく、ヘイズが大きい。

Claims (5)

  1. 透明な熱可塑性樹脂中に、数平均厚みが10nm以下、面内方向における数平均径が300nm以下でかつ平均アスペクト比が5以上である無機層状化合物(a)、または、数平均粒子径が50nm以下である無機超微粒子(b)を0.1〜30重量%配合してなる熱可塑性樹脂組成物を製造するにあたり、
    前記無機層状化合物(a)又は前記無機超微粒子(b)、前記透明な熱可塑性樹脂、及び有機溶剤を少なくとも含む分散液(1)を得る工程(I)、
    分散液(1)を濾過する工程(II)、
    並びに前記分散液(1)から溶剤を除去する工程(III)を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記濾過する工程(II)において、平均孔径が0.1〜50μmの機械的フィルターを使用する請求項1記載の製造方法。
  3. 前記濾過する工程(II)において、濾過助剤を用いる請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 透明な熱可塑性樹脂が脂環式構造を有する重合体樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 脂環式構造を有する重合体樹脂がノルボルネン系重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
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