JP2005154533A - 軟質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 メカニカルフロス法による、防カビ性・抗菌性に優れた軟質ポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【解決手段】 有機ポリイソシアネート(a)からなるイソシアネート液(A)、ポリオール(b1)、触媒(b2)、整泡剤(b3)、及びコレマナイト(b4)をあらかじめ混合したポリオール液(B)、並びに不活性ガス(C)を、機械的攪拌によって混合分散させた後、該混合液を発泡硬化させてなることを特徴とする、軟質ポリウレタンフォームの製造方法により解決する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関し、特にメカニカルフロス法による、防カビ性・抗菌性に優れた軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関する。
従来、軟質ポリウレタンフォームは、台所クリーナー、ボディースポンジ、化粧用塗布具(化粧パフ)、フィルターエレメント、マットレス、枕、シートクッション等、比較的直接人体に接触する箇所に使用される場合が多い。そして、このような用途においては、防カビ性・抗菌性が要求されることが多い。例えば化粧用の化粧用塗布具(化粧パフ)用の軟質ポリウレタンフォームとしては、(1)連続気泡型乾式ポリウレタンフォーム(特許文献1等)、(2)連続気泡型湿式ポリウレタンフォーム(特許文献2等)、(3)これらの発泡弾性体と布又は植毛等を組み合わせた複合素材(特許文献3等)等が知られている。
特開平9−188777号公報 特開昭58−189242号公報 特開2002−262929号公報
しかしながら、従来の軟質ポリウレタンフォームを用いた化粧用塗布具に液状化粧料、特に低粘度の化粧料を付着させた場合、化粧料のほとんどが連続気泡を通過してパフ内部に吸収されてしまう。その結果、化粧料がほとんど肌に付着せず、化粧料の無駄が多くなるだけで、満足な化粧が出来なかった。しかも、パフ内部に吸収された化粧料が裏面に染み出て手に付き衣服を汚したり、又パフ内の化粧料が腐敗するといった衛生面の問題もあった。
このような問題を解決するため、ポリウレタンフォームの連続気泡の気泡径を小さくするか、発泡倍率を小さくするという方法がある。これによりパフ内部への化粧料の吸収がある程度防止されるが、反面化粧用パフの重要特性である柔軟性が阻害されてしまい、商品価値が大きく低下するという問題が生じる。
防カビ剤を配合した軟質ポリウレタンフォームは公知であり、例えば防カビ剤に第4級アンモニウム塩を用いたものや銀系の防カビ剤を用いたもの(特許文献5等)が知られている。
特開平11−56741号公報
しかしながら、第四級アンモニウム塩は、耐熱性が悪いという問題がある。また、銀系の耐カビ剤は、銀の酸化により黒く着色して外観が悪くなるという問題がある。
本発明によって、容易かつ簡便な製造方法であって、肌当たりがソフトで、防カビ性・抗菌性に優れた軟質ポリウレタンフォームを提供することが可能となった。
本発明は、メカニカルフロス法による化粧パフ用軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関するものであり、容易かつ簡便な製造方法であって、肌当たりがソフトで、防カビ性・抗菌性に優れた軟質ポリウレタンフォームを提供することを目的とする。
本発明は前述の課題を解決するために鋭意検討の結果見出されたものであり、すなわち、有機ポリイソシアネート(a)からなるイソシアネート液(A)、ポリオール(b1)、触媒(b2)、整泡剤(b3)、及びコレマナイト(b4)をあらかじめ混合したポリオール液(B)、並びに不活性ガス(C)を、機械的攪拌によって混合分散させた後、該混合液を発泡硬化させてなることを特徴とする、軟質ポリウレタンフォームの製造方法である。
本発明に使用される有機ポリイソシアネート(a)は、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」と略記する。)、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(以下「MDI系多核縮合体」と略記する。)、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート等、また、これらのイソシアネート基を有する化合物のイソシアネート基の一部をウレタン、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトンイミン、オキサゾリドン、アミド、イミド、イソシアヌレート、ウレトジオン等に変性したものが挙げられる。これらは必要に応じて、単独又は2種以上を併用することができる。
MDI、ポリメリックMDIについて、もう少し詳述する。
MDIは、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、4,4′−MDIと略称する)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、2,4′−MDIと略称する)、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、2,2′−MDIと略称する)の3種類の異性体の任意割合の混合物(場合によってはいずれかの単品)の形で存在する。
MDI系多核体混合物は、1分子中にイソシアネート基が結合したベンゼン環を3個以上有し、縮合度の異なる化合物の混合物の形で存在する。通常、MDI系多核体混合物単独の形では供給されず、MDIとの混合物(MDIとMDI系多核体混合物との混合物を「ポリメリックMDI」と略記する。)の形で供給される。
そもそもポリメリックMDIは、アニリンとホルマリンとの縮合反応によって得られる縮合混合物(ポリアミン)をホスゲン化等によりアミノ基をイソシアネート基に転化することによって得られるものであり、生成物はMDIと縮合度の異なるMDI系多核体混合物である。MDIやポリメリックMDIの組成は、縮合時の原料組成比や反応条件を変えることによって、また、蒸留によりMDIを一部除去することで、変えることができる。なお、ポリメリックMDIのMDI含有量やMDIの異性体構成比はゲルパーミエーションクロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーによって得られる各ピークの面積百分率を基に検量線から求めることができる。
本発明においては、フォーム製造時の作業環境、フォームの成形性、得られるポリウレタンフォームの物性等を考慮すると、4,4′−MDI含有量が50〜100質量%であるMDI、4,4′−MDI含有量が50〜100質量%であるMDIを含有するポリメリックMDI、及びこれらのイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーが好ましい。
本発明に用いられるポリオール(b1)は、高分子ポリオールと鎖延長剤からなる。高分子ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、疎水性ポリオール等を挙げることができる。ここでポリエーテルポリオールとしては、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等を出発物質としてアルキレンオキシドを付加重合してなるものが好ましく、特にグリセリンにエチレンオキシド又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドを付加重合させたものが好適である。ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸とジオールやトリオール等との縮合により得られる縮合系ポリエステルポリオール、ジオールやトリオールをベースとしてラクトンの開環重合により得られるラクトン系ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールの末端をラクトンでエステル変性したエステル変性ポリオール等のポリオールが好ましく用いられる。ポリカーボネートポリオールとしては、ブタンジオールやヘキサンジオール等の低分子ポリオールと、プロピレンカーボネートやジエチルカーボネート等の低分子カーボネートとのエステル交換反応よって得られるもの等が挙げられる。また、疎水性ポリオールとしては、ポリイソプレンポリオール、ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリオール等が用いられる。これらの高分子ポリオール成分は、一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
前述した高分子ポリオールは、得られる軟質ポリウレタンフォームの肌触り等を考慮すると、実質的平均官能基数は2〜4、数平均分子量は1,000〜10,000(特に好ましくは2,000〜8,000)のオキシエチレン基含有量が50質量%以下のポリ(オキシプロピレン)ポリオール又はポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ポリオールである。なお、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ポリオールは、例えばブロック共重合タイプやランダム共重合タイプ、又はポリ(オキシプロピレン)ポリオールの末端にエチレンオキサイドを付加させたものを含む。実質的平均官能基数が小さすぎる場合や数平均分子量が大きすぎる場合は、フォームの物性が小さすぎるものとなりやすい。実質的平均官能基数が大きすぎる場合や数平均分子量が小さすぎる場合は、フォームが硬くなり、肌触りがよくないものとなりやすい。
鎖延長剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、テトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの鎖延長剤は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明では、1,4−ブタンジオールが好ましい。これは、1,4−ブタンジオールは、1級の水酸基を有するため反応性が良好であり、また常温液状であるため作業性に優れて、適度な分子量を有するため機械的強度に優れたフォームが得られるためである。
本発明に用いられる触媒(b2)としては、例えばトリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロパンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン等のジアミン類、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、テトラメチルグアニジン等のトリアミン類、トリエチレンジアミン、ジメチルピペラジン、メチルエチルピペラジン、メチルモルホリン、ジメチルアミノエチルモルホリン、ジメチルイミダゾール等の環状アミン類、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、メチルヒドロキシエチルピペラジン、ヒドロキシエチルモルホリン等のアルコールアミン類、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マーカプチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレエート、ジオクチル錫マーカプチド、ジオクチル錫チオカルボキシレート、フェニル水銀プロピオン酸塩、オクテン酸塩等の有機金属化合物等の公知の触媒を単独、又は二種以上組み合わせて用いることができる。
本発明に使用される整泡剤(b3)は、当業界で公知の有機珪素系界面活性剤であり、例えば日本ユニカー社製のL−520、L−540、L−5309、L−5366、SZ−1306、東レダウコーニング社製のSH−193、SRX−274C、ゴールドシュミット社製のB−4113等が挙げられる。
本発明は、コレマナイト(b4)を用いることを最大の特徴とする。コレマナイトは、一般式:Ca[B34(OH)3]・H2Oで示されるカルシウム−ホウ素系の天然鉱物である。また、これを焼成させたコレマナイト(CaO・2B23)も、好適に使用できる。本発明では、ホウ素含有量が高い焼成コレマナイトが好ましい。コレマナイト(b4)の使用量は、ポリオール(b1)に対して、0.1〜10質量%が好ましく、特に0.5〜5質量%が好ましい。
本発明は、また必要に応じて従来公知の他の添加剤も使用でき、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、導電剤、絶縁剤、発光剤、抗菌剤、芳香剤等を挙げることができる。
これらの原料を用いて、本発明の軟質ポリウレタンフォームを製造するには、別々の容器に保管又は調製しておいたポリイソシアネート成分、ポリオール成分、触媒、及びその他の添加剤をひとつのミキシングヘッドに不活性ガスを混入しながら投入し、均質になるよう混合し、該混合液を型枠や底紙を敷いたコンベア上に流し、加熱硬化させる、あるいは該混合液を所定のモールド等に注型して加熱硬化させる方法等が挙げられる。このような方法で得られたフォームは、均一な微細セルを有し、適度な硬度を有するポリウレタンフォームとなる。
このときのイソシアネートインデックス(イソシアネート基/活性水素基×100)は60〜120が好ましく、特に好ましくは80〜110の範囲である。インデックスが低すぎる場合は、フォーム表面にべと付き感が生じやすい。また、インデックスが高すぎる場合は、発泡しない場合や、陥没して柔軟なフォームが得られない場合がある。
このようして得られた軟質ポリウレタンフォームは、密度が0.1〜0.9g/cm3 、アスカー硬度Fが30〜90゜であり、微細セルを有する均一なフォームとなる。
本発明によって得られる軟質ポリウレタンフォームは、連続気泡を有し、セルが細かく、防カビ性・抗菌性に優れたものであり、化粧パフ、寝具(枕、マット)、クッション、マイク・イヤホン・ヘッドホン等のカバー、衣料等に最適なものである。
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中において、特に断りのない限り、比率は質量比であり、「%」は「質量%」である。
〔イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの合成〕
合成例
攪拌機、冷却管、窒素導入管、温度計を備えた容量:1,000mlの反応器に、MDI−1を308g、反応性シリコンを11g、及びポリオール−1を581g仕込み、攪拌しながら80℃にて4時間反応させて、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーNCO−1を得た。NCO−1のイソシアネート含量は7.9%であった。
合成例において
MDI−1:
MDI異性体混合物を50%含有するジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
反応性シリコン:
水酸基含有シリコン整泡剤
ポリオール−1:
公称平均官能基数=3、数平均分子量=3,000、オキシエチレン基含有量=11%の末端オキシエチレンキャップのポリ(オキシプロピレン)ポリオール
※MDI異性体混合物:
4,4′−MDI以外の異性体(2,2′−MDI及び2,4′−MDI)の混合物
〔ポリオールプレミックスの調製〕
配合例1〜4
容量:2,000mlの反応器に表1に示す仕込みで、ポリオールプレミックスOH−1〜4を調製した。
Figure 2005154533
配合例1〜4、表1において
ポリオール−2:
公称平均官能基数=3、数平均分子量=6,000、オキシエチレン基含有量=17%の末端オキシエチレンキャップのポリ(オキシプロピレン)ポリオール
ポリオール−3:
公称平均官能基数=4、数平均分子量=4,000、オキシエチレン基含有量=0%のポリ(オキシプロピレン)ポリオール
1,4−BD:
1,4−ブタンジオール
アミン−1:
反応型アミン触媒
〔軟質ポリウレタンフォームの製造〕
実施例1
表2に示すイソシアネートインデックスで配合した液温:25℃のポリオールプレミックスOH−1と、液温:25℃のポリイソシアネートNCO−1を混合して、1分間攪拌して乾燥空気を混入させた混合液を、金型(10cm×10cm×10cm、上部開放)に流し込み、次いで、混合液が注型された金型を80℃に調整した熱風オーブン中に2時間放置し、発泡ポリウレタン原料を硬化させた。硬化したポリウレタンフォームを金型から取り外して、ポリウレタンフォームを製造した。
実施例2〜3、比較例1
表2に示す原料を用いて、実施例1と同手順でポリウレタンフォームを製造した。
Figure 2005154533
〔軟質ポリウレタンフォームの評価〕
フォームの評価項目及び測定方法は以下の通りである。
密度:
JIS K 6401に準じて求めた。
硬度:
アスカー硬度計Fタイプにより測定
防カビ試験:
シャーレに、厚さ5mmのフォームサンプルを入れ、これにカビの胞子を植え付け、25℃×90%RHの雰囲気下に5日間置いて、カビの発育の程度を目視にて評価した。
○:カビの発育が認められない。
△:カビの発育部分の面積が、表面積の1/3以下未満
×:カビの発育部分の面積が、表面積の1/3以下以上
抗菌試験:
シャーレに、厚さ5mmのフォームサンプルを入れ、これに培養大腸菌を1滴滴下した。その後35℃×90%RHの雰囲気下に24時間置いて、生菌数を測定した。
○:生菌数10以下
△:生菌数 〜1.5×105
×:生菌数 1.5×105
表2より、コレマナイトを用いた実施例のフォームは防カビ性、抗菌性を有することが分かったが、コレマナイトを用いなかった比較例のフォームの防カビ性、抗菌性は悪いものであった。

Claims (1)

  1. 有機ポリイソシアネート(a)からなるイソシアネート液(A)、ポリオール(b1)、触媒(b2)、整泡剤(b3)、及びコレマナイト(b4)をあらかじめ混合したポリオール液(B)、並びに不活性ガス(C)を、機械的攪拌によって混合分散させた後、該混合液を発泡硬化させてなることを特徴とする、軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
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