以下、本発明に係わるオフセット作業機の好ましい実施の形態を図1から図9に基づいて説明する。なお、本実施の形態は、オフセット作業機の一例である畦塗り機及び溝掘り機について説明する。
[第1の実施の形態]
先ず、畦塗り機について説明する。なお、説明の都合上、図1(平面図)に示す矢印の方向を前後方向及び左右方向として以下説明する。畦塗り機1は、図1に示すように、走行機体90の後部に設けられた三点リンク連結機構(図示せず)に連結されて、走行機体90の前進動及び後進動に応じて畦塗り作業を行なうものである。畦塗り機1は、走行機体90に装着されて走行機体90からの動力が入力される図示しない入力軸を備えた装着部10と、装着部10から左右方向に揺動可能なオフセット機構20と、オフセット機構20の移動端側(後端側)に設けられた回動支点Oを回動中心として水平方向に回動可能に配設されて走行機体90の前進動、後進動及び走行機体90から伝達される動力によってオフセット作業を行なう作業部40とを有してなる。
装着部10は、走行機体90の三点リンク連結機構に連結可能な連結フレーム11と連結フレーム11の後側に取り付けられた主フレーム13とを有してなる。連結フレーム11の左右方向の中央下部には前述した入力軸が設けられている。入力軸は、走行機体90のPTO軸(図示せず)からの動力を図示しない伝動軸を介して伝達されるようになっている。連結フレーム11の後端側には左右方向に所定の間隔を有して後方側へ突出する一対の支持アーム12、12'が上下方向に回動可能に取り付けられ、一対の支持アーム12、12'の後端部に主フレーム13が固着されている。主フレーム13は左側に配設された支持アーム12よりもさらに左側に延出している。
オフセット機構20は、支持アーム12から延出する主フレーム13の上部に左右方向に所定間隔を有して上方へ突設された一対の支持軸14、15のうちの右側の支持軸15の上部に一端側が枢結されて他端側がオフセット機構20の移動端側に配設された後フレーム21に枢結された第1リンク部材23と、第1リンク部材23に沿って並設されて一端側が左側の支持軸14の上部に枢結されて他端側が後フレーム21に回動自在に連結された第2リンク部材25と、一端部が主フレーム13の先端下部に突設されて下方へ延びて支持軸14と略同軸上に配置された図示しない支持軸の下部に枢結されて他端部が作業部40から延びる後述する伝動フレーム41の先端側下部に枢結された図示しない第3リンク部材とを有して平行リンク機構を構成している。つまり、オフセット機構20は、主フレーム13、第1リンク部材23、第2リンク部材25、第3リンク部材及び後フレーム21によって平行リンク機構を形成している。オフセット機構20は、図4(2)(平面図)に示す揺動シリンダ3の伸縮動によって左右方向に揺動可能である。揺動シリンダ3は、電動式の油圧シリンダであり、ロッド側端部がオフセット機構20の第3リンク部材に枢結され、ボトム側端部が装着部10に枢結されている。
作業部40から延びる伝動フレーム41の先端側の上面及び下面には垂直方向に延びる一対の作業部回動支軸(図示せず)が設けられている。これらの作業部回動支軸は同軸上に配設され、上側の作業部回動支軸は後フレーム21の下部に回動自在に取り付けられ、下側の作業部回動支軸は前述した第3リンク部材の後端部に回動自在に連結されている。これらの作業部回動支軸の回動中心は後フレーム21に枢結された第2リンク部材25の枢結軸と同軸上に配置されている。つまり、作業部40は一対の作業部回動支軸の中心軸上の点を前述した回動支点Oとして水平方向に回動可能である。作業部40は、後フレーム21と伝動フレーム41との間に設けられた回動機構50により回動可能である。回動機構50については後述する。
伝動フレーム41は箱状であって左右方向に延び、その基端側には畦塗り作業を行なう作業本体部44が固着状態で取り付けられている。伝動フレーム41の前側の側面には前方向に延びる前進作業用の前側受動クラッチ6が設けられ、伝動フレーム41の後側の側面には後方向に延びる後進作業用の後側受動クラッチ7が設けられている。これら前側受動クラッチ6及び後側受動クラッチ7(以下、「受動クラッチ6、7」と記す)は、主フレーム13に取り付けられて入力軸からの動力により回転駆動する駆動側クラッチ8と係合して動力が伝達される。前側受動クラッチ6は、オフセット機構20が走行機体90の前後方向に対して右側に揺動角度θ1を有した位置に揺動すると駆動側クラッチ8と連結される。一方、後側受動クラッチ7は、図5(5)(平面図)に示すように、オフセット機構20が走行機体90の前後方向に対して右側に揺動角度θ1よりも小さな揺動角度θ2を有して揺動すると、駆動側クラッチ8と連結する。なお、受動クラッチ6、7と駆動側クラッチ8との連結解除動作については後述する。
再び図1に示すように、伝動フレーム41には図示しない動力伝達機構が内臓され、この動力伝達機構は前側受動クラッチ6又は後側受動クラッチ7に伝達された動力を作業本体部44に伝達可能に構成されている。作業本体部44は、圃場の周辺に沿って形成された旧畦を切り崩して土盛りを行なう前処理部45と、盛られた土を切り崩された旧畦上に塗り付ける整畦部47とを有してなる。
前処理部45は、回転動可能に支持された耕耘ロータ(図示せず)を備える。耕耘ロータは、伝動フレーム41に連結されて支持され、伝動フレーム41内の動力伝達機構を介して動力が伝達される。整畦部47は、回転動可能に支持された多面体ドラム48を備える。多面体ドラム48は伝動フレーム41に連結されて支持され、伝動フレーム41内の動力伝達機構を介して動力が伝達される。
このように構成された作業部40は、多面体ドラム48の回転軸48aの延びる方向が走行機体90の進行方向Aに対して直交する方向になると、作業部40の向きを示す作業方向軸O2が走行機体90の進行方向Aと平行になるように構成されている。
作業部40を回動させる回動機構50は、オフセット機構20の後端側に設けられた後フレーム21と伝動フレーム41との間に回動可能に配設された回動部材54と、回動部材54及び作業部40間に連結された伸縮シリンダ51とを備えてなる。伸縮シリンダ51は電動式の油圧シリンダである。回動部材54は、伝動フレーム41に回動自在に設けられて伸縮シリンダ51の伸縮動によって作業部40を回動させるとともに、作業部40に対して回動する。回動部材54は、伸縮シリンダ51が全縮状態になると、伝動フレーム41が左右方向右側に平行に延びて作業方向軸O2が走行機体90の進行方向Aと平行になって走行機体90の前進動によって作業部40が畦塗り作業を行なうことができる前進作業位置Pfに作業部40を移動させる。このとき、前側受動クラッチ6は駆動側クラッチ8に連結された状態になる。また回動部材54は、伸縮シリンダ51が全伸長状態になると、伝動フレーム41が左右方向左側に平行に延びて作業方向軸O2が走行機体90の進行方向Aと平行になって走行機体90の後進動によって作業部40が畦塗り作業を行なうことができる後進作業位置に作業部40を移動させる。
このように、回動機構50は作業部40をオフセット機構20に対して回動させるが、駆動側クラッチ8に前側受動クラッチ6又は後側受動クラッチ7が連結された状態になると、伝動フレーム41は回動が規制され、オフセット機構20はその前後方向長さが短くなる方向の揺動が規制された状態になる。そこで、作業部40を回動させたいときには、図4(2)(平面図)に示すように、平行リンク機構を構成するオフセット機構20を走行機体90の前後方向に対して左側へ揺動角度θ3を有して揺動させる。オフセット機構20が揺動角度θ3を有して左側に揺動すると、左右方向に延びる後フレーム21が左右方向に平行に延びたままで左斜め後方に移動して、伝動フレーム41に設けられた受動クラッチ6、7も左斜め後方に移動して作業部40が回動可能な位置に移動する。このため、駆動側クラッチ8に連結された前側受動クラッチ6は駆動側クラッチ8との連結状態が解除されて駆動側クラッチ8から離反する。
なお、オフセット機構20が走行機体90の前後方向に対して左側へ揺動角度θ3を有して揺動したときの作業部40の位置を作業部回動位置Phと記す。
次に、作業部40を、前進作業位置Pf、作業部回動位置Ph及び後進作業位置に設置するため、揺動シリンダ3及び伸縮シリンダ51の作動を制御するアクチュエータ駆動装置について説明する。
アクチュエータ駆動装置60は、図2に示すように、操作スイッチ61と、図1に示す作業部40の作業方向が走行機体90の右側の前進方向にあるか否かを検出する前進作業方向検出スイッチ62(SW1)と、図1に示す作業部40の作業方向が走行機体90の左側の後進方向にあるか否かを検出する第1後進作業方向検出スイッチ63(SW2)及び第2後進作業方向検出スイッチ64(SW4)と、図1に示す作業部40がその向きを反転させる反転位置にあるか否かを検出する反転位置検出スイッチ65(SW3)と、前進作業方向検出スイッチ62、第1後進作業方向検出スイッチ63、第2後進作業方向検出スイッチ64及び反転位置検出スイッチ65の検出信号に応じて揺動シリンダ3及び伸縮シリンダ51への電力供給を制御して作業部40を前進作業位置及び後進作業位置のいずれか一方の位置から他方の位置に移動させる電力供給制御回路67とを有してなる。
操作スイッチ61は、図1に示す走行機体90の運転キャビン内に配設され、運転キャビン内に搭乗した作業者が運転席に座ったままで操作が可能である。操作スイッチ61は、スイッチ本体部61aとこの上部に配設されて押圧操作が可能な後進作業用ボタン61b及び前進作業用ボタン61cを有してなる。後進作業用ボタン61bは図1に示す作業部40を前進作業位置から後進作業位置に移動させるときに用い、前進作業用ボタン61cは図1に示す作業部40を後進作業位置から前進作業位置に移動させるときに用いる。後進作業用ボタン61bは、押圧操作がされると、スイッチ本体部61a内の図示しないスイッチ部が接続状態(以下、「ON作動」と記す。)になって、電源Bと電力供給制御回路67に設けられた前進側端子68との間を電気的に接続するとともに、電力供給制御回路67に設けられた後進側端子69を接地する。また、後進作業用ボタン61bは押圧操作が解除されると、スイッチ本体部61a内の図示しないスイッチ部が遮断状態(以下、「OFF作動」と記す。)になって、電源Bと前進側端子68との電気的接続を遮断する。一方、前進作業用ボタン61cは、押圧操作がされると、ON作動して、電源Bと後進側端子69との間を電気的に接続するとともに、前進側端子68を接地する。また、前進作業用ボタン61cは、押圧操作が解除されると、OFF作動して、電源Bと後進側端子69との電気的接続を遮断する。つまり、後進作業用ボタン61b及び前進作業用ボタン61cは、押圧操作がされるとON作動し、押圧操作が解除されるとOFF作動するように構成されている。
なお、操作スイッチ61は、1本の操作レバーを有して構成されてもよい。この場合、操作レバーは一方側又は他方側に傾動操作されると、操作された側に対応する前進側端子68及び後進側端子69のいずれか一方に電圧を印加するとともに、前進側端子68及び後進側端子69の他方を接地する。また操作レバーの傾動操作が解除されると、操作レバーは中立位置に自動復帰して端子への電力供給を遮断する。
前進作業方向検出スイッチ62は、図1に示すように、伝動フレーム41が左右方向右側に平行に延びた状態にあるときに伝動フレーム41に当接して信号を出力するいわゆるリミットスイッチであり、後フレーム21に支持されている。第1後進作業方向検出スイッチ63及び第2後進作業方向検出スイッチ64は伝動フレーム41が左右方向左側に平行に延びた状態にあるときに伝動フレーム41に当接して信号を出力するいわゆるリミットスイッチであり、後フレーム21に支持されている。詳細については後述するが、第1後進作業方向検出スイッチ63及び第2後進作業方向検出スイッチ64は同一に動作する。反転位置検出スイッチ65は、作業部40が作業部回動位置に移動しているときに第2リンク部材25に当接して信号を出力するいわゆるリミットスイッチであり、主フレーム13に取り付けられている。
電力供給制御回路67は、図2に示すように、前進作業方向検出スイッチ62、第1後進作業方向検出スイッチ63、第2後進作業方向検出スイッチ64及び反転位置検出スイッチ65と、第1リレー71(RL1)、第2リレー72(RL2)、第3リレー73(RL3)、第4リレー74(RL4)及び第5リレー75(RL5)を有する。前進作業方向検出スイッチ62、第1後進作業方向検出スイッチ63、第2後進作業方向検出スイッチ64及び反転位置検出スイッチ65は後進側端子69に対して並列に接続されている。
前進作業方向検出スイッチ62は、第2リレー72のスイッチ部72a及び第1リレー71のコイル71bを介して前進側端子68に接続されている。前進作業方向検出スイッチ62及び後進側端子69間を繋ぐ電気路77から分岐する第1分岐路78には、第1リレー71のスイッチ部71aが設けられ、このスイッチ部71aは第4リレー74のスイッチ部74aを介して揺動シリンダ3の第1電力端子3aに接続されている。
揺動シリンダ3と前進側端子68との間には第4リレー74及び第5リレー75が接続されている。第4リレー74のコイル74bと第5リレー75のコイル75bは、前進側端子68と第2後進作業方向検出スイッチ64(SW4)との間において並列に接続され、第4リレー74の接点Aは揺動シリンダ3の第1電力端子3aに接続され、第4リレー74の接点Bは揺動シリンダ3の第2電力端子3bに接続されている。一方、第5リレー75の接点Aは揺動シリンダ3の第2電力端子3bに接続され、第5リレー75の接点Bは揺動シリンダ3の第1力端子3aに接続されている。
第1後進作業方向検出スイッチ63は、第3リレー73のスイッチ部73a及び第1リレー71のコイル71bを介して前進側端子68に接続されている。なお、揺動シリンダ3及び伸縮シリンダ51はそれぞれの第1電力端子3a、51aに電圧が印加されて電流が流れると縮小動し、揺動シリンダ3及び伸縮シリンダ51の各第2電力端子3b、51bに電圧が印加されて電流が流れると伸長動するように構成されている。
反転位置検出スイッチ65は、第2リレー72のコイル72bを介して前進側端子68に接続され、また第3リレー73のコイル73bを介して前進側端子68に接続されている。第2後進作業方向検出スイッチ64は第1分岐路78からさらに分岐する第2分岐路79に設けられ、第4リレー74及び第5リレー75のコイル部74b、75bに接続されている。伸縮シリンダ51の第1電力端子51aは第1リレー71の接点Aに接続され、伸縮シリンダ51の第2電力端子51bは前進側端子68に接続されている。
第1リレー71、第2リレー72、第3リレー73、第4リレー74及び第5リレー75は、2つの接点A、Bのいずれかを選択的に接続可能な前述したスイッチ部71a、72a、73a、74a、75aを備える。これらのリレー71、72、73、74、75は、リレー内のコイル71b、72b、73b、74b、75bに電流が流れるとコイル71b、72b、73b、74b、75bが励磁されてスイッチ部71a、72a、73a、74a、75aが揺動して接点Bと電気的に接続され、コイル71b、72b、73b、74b、75bが非励磁状態になるとスイッチ部71a、72a、73a、74a、75aが接点Aと電気的に接続されるように作動する。なお、第2リレー72の接点Bに繋がる電気路には第1リレー71側への電流の流れを許容し、接点B側への電流の流れを規制するダイオード80が設けられている。また第3リレー73の接点Bに繋がる電気路には第1リレー71側への電流の流れを規制し、接点B側への電流の流れを許容するダイオード81が設けられている。
このように、揺動シリンダ3及び伸縮シリンダ51の作動を制御する電力供給制御回路67は、4つの検出スイッチ62、63、64、65と、5つのリレー71、72、73、74、75を有して構成されているので、構造が極めて簡素である。このため、電力供給制御回路67を備えたアクチュエータ駆動装置60を安価にすることができる。
次に、このアクチュエータ駆動装置60によって作業部を前進作業位置から後進作業位置に移動させる作動及び作業部を後進作業位置から前進作業位置に移動させる作動について説明する。先ず、作業部を前進作業位置から後進作業位置に移動させる場合について説明する。
図4(1)(平面図)に示すように、作業部40が前進作業位置Pfに設置された状態では、オフセット機構20は右側に揺動角度θ1を有した位置に揺動し、図1に示す駆動側クラッチ8に前側受動クラッチ6が連結され、伝動フレーム41は左右方向右側に平行に延びている。このため、図3中の(1)に示すように、前進作業方向検出スイッチ(SW1)はON状態になり、第1後進作業方向検出スイッチ(SW2)、第2後進作業方向検出スイッチ(SW4)はOFF状態になり、反転位置検出スイッチ(SW3)はOFF状態になる。検出スイッチ(SW1、SW2、SW3、SW4)がこのような状態にあるときに、図2に示す操作スイッチ61の後進作業用ボタン61bが押圧操作されると、図2を用いて説明すると、電源Bから流れる電流は、前進側端子68を介して第1リレー71のコイル71bを流れて、第1リレー71のスイッチ部71aが接点Bに接続される。そして、第1リレー71のコイル71bを流れた電流は、第2リレー72の接点A及び前進作業方向検出スイッチ62を介して後進側端子69に流れる。また、第2後進作業方向検出スイッチ64はOFF状態にあるので、第5リレー75及び第4リレー74のコイル75b、74bには電流が流れず、第5リレー75及び第4リレー74のスイッチ部75a、74aは接点Aと接続される。このため、前進側端子68に印加された電圧は、第5リレー75の接点Aを介して揺動シリンダ3の第2電力端子3bに作用する。一方、揺動シリンダ3の第1電力端子3は、第4リレー74のスイッチ部74aが接点Aに接続され、且つ第1リレー71のスイッチ部71aが接点Bに接続されているので、後進側端子69と電気的に接続されて接地される。このため、揺動シリンダ3に電流が流れて、揺動シリンダ3は伸長動する。
また伸縮シリンダ51の第2電力端子51bには前進側端子68に供給された電圧が印加されるが、第1リレー71のスイッチ部71aは接点Bに接続されているので、伸縮シリンダ51の第1電力端子51aは後進側端子69と電気的に遮断された状態になっている。このため、伸縮シリンダ51には電流が流れず、伸縮シリンダ51は停止状態に維持される。つまり、揺動シリンダ3のみが伸長動する。その結果、再び図4(1)に示すように、揺動シリンダ3の伸長動によりオフセット機構20が矢印R方向に揺動する。このとき伸縮シリンダ51は停止状態にあるので作業部40の伝動フレーム41とオフセット機構20の後フレーム21とは一体化され、オフセット機構20の揺動とともに、作業部40はその向きを示す作業方向軸O2が走行機体90の進行方向Aと同一方向に保持されたままで斜め後方側に移動する。このため、前側受動クラッチ6もオフセット機構20の揺動とともに斜め後方側に移動して、図1に示す駆動側クラッチ8との連結状態が解除されて駆動クラッチ8から離反する。
そして、オフセット機構20が、図4(2)(平面図)に示すように、走行機体90の前後方向に対して左側に揺動角度θ3を有した位置に揺動すると、作業部40は、作業部40の回動が可能な位置である前述した作業部回動位置Phに移動する。作業部40が作業部回動位置Phに移動すると、図3(2)に示すように、反転位置検出スイッチ(SW3)はOFF状態からON状態に切り替わり、前進作業方向検出スイッチ(SW1)はON状態に維持され、第1後進作業方向検出スイッチ(SW2)及び第2後進作業方向検出スイッチ(SW4)はOFF状態に維持される。検出スイッチ(SW1、SW2、SW3、SW4)がこのような状態になったときに、図2を用いて説明すると、後進作業用ボタン61bの押圧操作が継続操作されていると、電源Bから流れる電流は前進側端子68を介して第2リレー72のコイル72bを流れて、スイッチ部72aが接点Bと接続される。また、電源Bから流れる電流は前進側端子68を介して第3リレー73のコイル73bを流れて、スイッチ部73aが接点Bと接続される。また電源Bから流れる電流は第1リレー71のコイル71bには流れず、スイッチ部71aは接点Aと接続された状態に維持される。このため伸縮シリンダ51の第1電力端子51aは後進側端子69に電気的に接続されて接地され、伸縮シリンダ51の第2電力端子51bに電源Bから供給される電圧が印加される。このため、伸縮シリンダ51において電流が流れて、伸縮シリンダ51は伸長動する。一方、揺動シリンダ3の第2電力端子3aには電源Bからの電圧が印加されるが、第1リレー71のスイッチ部71aは接点Aと接続されているので、第1電力端子3aと後進側端子69とは電気的に遮断された状態になり、揺動シリンダ3には電流が流れず、停止状態になる。つまり、伸縮シリンダ51のみが伸長動する。その結果、作業部40は、図4(3)(平面図)に示すように、作業部40の回動支点Oを回転中心として矢印S方向に回動する。
作業部40が矢印S方向に回動すると、図3中の(3)に示すように、前進作業方向検出スイッチ(SW1)はON状態からOFF状態に変わり、第1後進作業方向検出スイッチ(SW2)及び第2後進作業方向検出スイッチ(SW4)はOFF状態に維持され、反転位置検出スイッチ(SW3)はON状態に維持される。その結果、図2を用いて説明すると、第1リレー71、第2リレー72、第3リレー73、第4リレー74及び第5リレー75の各スイッチ部71a、72a、73a、74a、75aの接続状態は図3中の(2)の状態と同じ状態に維持される。このため、後進作業用ボタン61bの押圧操作が継続操作されていると、図4(2)の場合と同様に、伸縮シリンダ51が伸長動する一方、揺動シリンダ3は停止状態に維持される。つまり、伸縮シリンダ51のみが伸長動する。その結果、作業部40の回動作が継続する。
そして、作業部40が、その向きが反転する位置に移動すると、図5(4)に示すように、伝動フレーム41は反転して左右方向左側に延び、前側受動クラッチ6は後方側へ延び、後側受動クラッチ7は前方側へ延びて、作業部40の作業方向軸O2は走行機体90の後進方向Bと平行状態になる。
作業部40がこのような位置に移動すると、図3中の(4)に示すように、第1後進作業方向検出スイッチ(SW2)及び第2後進作業方向検出スイッチ(SW4)がOFF状態からON状態に変わり、前進作業方向検出スイッチ(SW1)はOFF状態に維持され、反転位置検出スイッチ(SW3)はON状態に維持される。この状態で後進作業用ボタン61bの押圧操作が継続操作されていると、図2を用いて説明すると、電源Bから流れる電流は前進側端子68を介して第1リレー71のコイル71bを流れて、スイッチ部71aは接点Bと接続される。その結果、第1リレー71、第2リレー72及び第3リレー73のスイッチ部71a、72a、73aは全てが接点Bと接続された状態になる。また、電源Bから流れる電流は前進側端子68を介して第4リレー74及び第5リレー75のコイル74b、75bを流れて、スイッチ部74a及びスイッチ部75aは接点Bと接続される。その結果、電源Bから供給される電圧は前進側端子68及び第5リレー75の接点Bを介して揺動シリンダ3の第1電力端子3aに印加され、揺動シリンダ3の第2電力端子3bは第4リレー74の接点B及び第1リレー71の接点Bを介して後進側端子69に電気的に接続されて接地され、揺動シリンダ3に電流が流れて揺動シリンダ3が縮小動する。一方、伸縮シリンダ51の第2電力端子51bには電源Bからの電圧が印加されるが、第1リレー71のスイッチ部71aは接点Bに接続された状態にあるので、第1電力端子51aは後進側端子69と電気的に遮断された状態になり、伸縮シリンダ51には電流が流れず、伸縮シリンダ51は停止状態になる。つまり、揺動シリンダ3のみが縮小動する。その結果、図5(4)に示すように、オフセット機構20は矢印T方向に揺動する。このとき、伸縮シリンダ51は停止状態にあるので、作業部40はオフセット機構20の後フレーム21と一体化され、作業部40の作業方向軸O2はその方向が前後方向に保持されたままで作業部40は右側にオフセット移動にする。
作業部40が右側にオフセット移動すると、後フレーム21は左右方向に平行に延びたままで右側斜め前方に移動し、後フレーム21に一体化された状態にある作業部40も作業方向軸O2の向きが一定に保持されたままで右側斜め前方に移動する。このため、後側受動クラッチ7は前方側に延びた状態で右側斜め前方にオフセット移動しながら図1に示す駆動側クラッチ8に接近動する。そして、図5(5)(平面図)に示すように、オフセット機構20が前後方向に対して右側に揺動角度θ2を有した位置まで揺動すると、後側受動クラッチ7が図1に示す駆動側クラッチ8に連結されて、作業部40は前述した後進作業位置Prに移動する。
作業部40が後進作業位置Prに移動すると、図3中の(5)に示すように、反転位置検出スイッチ(SW3)はON状態からOFF状態に変わり、第1後進作業方向検出スイッチ(SW2)及び第2後進作業方向検出スイッチ(SW4)はON状態に維持され、前進作業方向検出スイッチ(SW1)はOFF状態に維持される。その結果、図2を用いて説明すると、電源Bから流れる電流は、前進側端子68、第1リレー71のコイル71b、第3リレー73の接点A及び第1後進作業方向検出スイッチ63(SW2)を通って後進側端子69に流れ、第1リレー71のスイッチ部71aは接点Bと接続される。また、電源Bから流れる電流は、第4リレー74及び第5リレー75のコイル74b、75b及び第2後進作業方向検出スイッチ64(SW4)を通って後進側端子69に流れ、第4リレー74及び第5リレー75の各スイッチ部74a、75aは接点Bと接続される。このため、電源Bから供給される電圧は、第5リレー75の接点Bを介して揺動シリンダ3の第1電力端子3aに印加され、揺動シリンダ3の第2電力端子3bは第4リレー74の接点B及び第1リレー71の接点Bを介して後進側端子69に電気的に接続されて接地される。このため、揺動シリンダ3は縮小動する。一方、伸縮シリンダ51の第2電力端子51bには電源Bからの電圧が印加されるが、第1リレー71のスイッチ部71aは接点Bに接続されているので、第1電力端子51bは後進側端子69と電気的に遮断された状態にある。このため、伸縮シリンダ51は停止状態に維持される。その結果、揺動シリンダ3の縮小動により図5(5)に示すオフセット機構20はさらに右側へ揺動しようとする。なお、作業部40は、前述したように駆動側クラッチ8に後側受動クラッチ7が連結された状態では、オフセット機構20の矢印T方向への揺動は規制されるので、作業部40が後進作業位置Prに移動した状態で、揺動シリンダ3がさらに縮小動しようとしてもその動作は規制されて作業部40は移動しない。
ここで、後進作業用ボタン61bの押圧操作が解除されると、第5リレー75のコイル75bに電流が流れなくなって、第5リレー75のスイッチ部75aは接点Aに接続されて、電源Bから揺動シリンダ3の第1電力端子3aへの電圧供給が遮断される。また、伸縮シリンダ51の第1電力端子51aへの電圧供給も無くなるので、伸縮シリンダ51は停止状態に維持される。その結果、図5(5)に示すオフセット機構20の揺動は停止して、作業部40を進作業位置Prに保持することができる。
このように、作業部40が図5(1)に示す前進作業位置Pfに設置された状態にあるときに、後進作業用ボタン61bを継続して押圧操作するだけで、作業部40の向きを反転させた状態で作業部40を図5(5)に示す後進作業位置Prに移動させることができる。
なお、作業部40が前進作業位置Pfから後進作業位置Prに移動しているときに、後進作業用ボタン61bの押圧操作が解除されると、作業部40が後進作業位置Prに移動したときに後進作業用ボタン61bの押圧操作が解除された場合と同様に、駆動している揺動シリンダ3又は伸縮シリンダ51の駆動を停止させて、作業部40を停止状態にすることができる。このため、作業部40の移動を止めたいときに、後進作業用ボタン61bの押圧操作を解除するだけで、作業部40を即座に停止状態にすることができる。
また、作業部40の移動を一旦中断した後に後進作業用ボタン61bを再び押圧操作すると、停止した揺動シリンダ3又は伸縮シリンダ51に電圧が印加されて、中断した作業部40の移動を再開させることができる。つまり、作業部40の移動が中断すると、オフセット機構20と伝動フレーム41の移動も停止するので、作業部40の移動が停止する前後のオフセット機構20と伝動フレーム1との相対位置関係は略同じ状態に維持される。このため、作業部40の移動が停止する前後における検出スイッチ62、63、64、65のON・OFF状態も変化しないので、作業部40の移動が中断した後に後進作業用ボタン61bを再び押圧操作すると、作業部40の移動を再開させることができる。
また、オフセット機構20は、第1リンク部材23と第2リンク部材25とを有して平行リンク機構を構成しているので、駆動側クラッチ8に前側受動クラッチ6が連結された状態にあるときに、オフセット機構20を左側に揺動させると、前側受動クラッチ6は後方側に移動するとともに左側に移動して、前側受動クラッチ6の連結状態を容易に解除することができる。また作業部40が走行機体90の左右両側の前進方向から後進方向に反転した状態にあるときに、オフセット機構20を右側に揺動させると、後側受動クラッチ7は前方側に移動するとともに右側に移動して、後側受動クラッチ7を駆動側クラッチ8に容易に連結することができる。このため、オフセット機構20の揺動だけで、前側受動クラッチ6又は後側受動クラッチ7を駆動側クラッチ8に連結したりこの連結状態を解除したりすることができ、連結解除作業を容易にすることができる。
次に、作業部40を後進作業位置Prから前進作業位置Pfに移動させる場合について説明する。図7(6)(平面図)に示すように、作業部40が後進作業位置Prに設置された状態では、検出スイッチ(SW1、SW2、SW3、SW4)は、図3(5)に示した状態と同様であり、つまり図6(6)に示すように、前進作業方向検出スイッチ(SW1)はOFF状態にあり、第1後進作業方向検出スイッチ(SW2)及び第2後進作業方向検出スイッチ(SW4)はON状態にあり、反転位置検出スイッチ(SW3)はOFF状態にある。このため、リレー(RL1、RL2、RL3、RL4、RL5)も図3(5)に示した状態と同様であり、第1リレー(RL1)のスイッチ部は接点Bに接続され、第2リレー(RL2)及び第3リレー(RL3)の各スイッチ部は接点Aに接続され、第4リレー(R42)及び53リレー(R53)の各スイッチ部は接Bに接続されている。
検出スイッチ(SW1、SW2、SW3、SW4、SW5)がこのような状態にあるときに、図2を用いて説明すると、操作スイッチ61の前進作業用ボタン61cが押圧操作されると、電源Bからの電圧は、第1リレー71の接点B、第4リレー74の接点Bを介して揺動シリンダ3の第2電力端子3bに印加される。揺動シリンダ3の第1電力端子3aは第5リレー75の接点B及び前進側端子68を介して接地される。このため、揺動シリンダ3に電流が流れて揺動シリンダ3は伸長動する。一方、第1リレー71のスイッチ部71aは接点Bに接続されているので、伸縮シリンダ51の第1電力端子51aは後進側端子69と電気的に遮断された状態にあり、伸縮シリンダ51は停止された状態に維持される。このため、揺動シリンダ3のみが伸長動して、図7(6)(平面図)に示すように、オフセット機構20は矢印U方向に揺動する。オフセット機構20が揺動すると、図1に示す駆動側クラッチ8に連結されていた後側受動クラッチ7はオフセット機構20の揺動とともに左斜め後方側に移動して駆動側クラッチ8との連結状態が解除されて駆動側クラッチ8から離反する。
そして、図7(7)(平面図)に示すように、オフセット機構20が走行機体90の前後方向に対して左側へ揺動角度θ3を有した位置、即ち、作業部回動位置Phに移動すると、図6(7)に示すように、反転位置検出スイッチ(SW3)はOFF状態からON状態に変わり、第1後進作業方向検出スイッチ(SW2)及び第4後進作業方向検出スイッチ(SW4)はON状態に維持され、前進作業方向検出スイッチ(SW1)はOFF状態に維持される。従って、図2を用いて説明すると、後進側端子69を流れる電流は反転位置検出スイッチ65(SW3)、第3リレー73のコイル73bを流れて、第3リレー73のスイッチ部73aは接点Bと接続する。また後進側端子69を流れる電流は、反転位置検出スイッチ65(SW3)、第2レー72のコイル72bを流れて、第2レー72のスイッチ部72aは接点Bと接続する。また第1リレー71のコイル71bには電流が流れず、スイッチ部71aは接点Aと接続する。また後進側端子69を流れる電流は、第4後進作業方向検出スイッチ64(SW4)、第4リレー74及び第5リレー75の各コイル74b、75bを流れて、第4リレー74及び第5リレー75のスイッチ部74a、75aは接点Bに接続される。このため、揺動シリンダ3の第1電力端子3aは第5レー75の接点Bを介して接地されるが、第2電力端子3bは、第4リレー74及び第5リレー75のスイッチ部74a、75aが接点Bに接続されているので、後進側端子69と電気的に遮断された状態にある。このため、揺動シリンダ3には電源Bからの電圧が供給されず、停止した状態に維持される。
一方、伸縮シリンダ51の第1電力端子51aには、第1リレー71の接点A及び後進側端子69を介して電源Bからの電圧が印加される。また伸縮シリンダ51の第2電力端子51bは前進側端子68を介して接地される。従って、伸縮シリンダ51は縮小動する。つまり、伸縮シリンダ51のみが縮小動する。このため、作業部40は、図7(8)(平面図)に示すように、矢印V方向に回動する。
作業部40が矢印V方向に回動すると、伝動フレーム41は左右方向左側に平行に延びた状態から後方側へ延びる方向に移動する。このため、図6(8)に示すように、第1後進作業方向検出スイッチ(SW2)及び第2後進作業方向検出スイッチ(SW4)はON状態からOFF状態に切り替わり、他の検出スイッチ(SW1、SW3)とリレー(RL1、RL2、RL3、RL4、RL5)の状態は、前述した図3(3)と同一になる。このため、電力供給制御回路67を流れる電流の向きは図3(3)の場合と逆方向になる。つまり、図2を用いて説明すると、伸縮シリンダ51の第1電力端子51aに第1リレー71の接点A及び後進側端子69を介して電源Bからの電圧が印加され、第2電力端子51bは、進側端子68を介して接地されて、伸縮シリンダ51は縮小動する。その結果、前進作業用ボタン61cが押圧操作されていると、伸縮シリンダ51の縮小動により作業部40の回動は継続されて、図8(9)に示すように、作業部40は伝動フレーム41が左右方向右側に平行に延びた位置に移動する。
伝動フレーム41が左右方向右側に平行に延びた位置に移動すると、伝動フレーム41の向きは前後方向に反転された状態になり、伝動フレーム41に設けられた前側受動クラッチ6が前方側に突出し、後側受動クラッチ7が後方側に突出した位置に移動する。このような状態において、図6(9)に示すように、前進作業方向検出スイッチ(SW1)はOFF状態からON状態に切り替わり、第1後進作業方向検出スイッチ(SW2)及び第2後進作業方向検出スイッチ(SW4)はOFF状態に維持され、反転位置検出スイッチ(SW3)はON状態に維持される。
検出スイッチ(SW1、SW2、SW3、SW4)がこのような状態で、図2に示す前進作業用ボタン61cが押圧操作されていると、図2を用いて説明すると、後進側端子69を流れる電流は、反転位置検出スイッチ65(SW3)、第3リレー73のコイル73bを流れて、第3リレー73のスイッチ部73aは接点Bと接続する。また後進側端子69を流れる電流は反転位置検出スイッチ65(SW3)、第2リレー72のコイル72bを流れて、第2リレー72のスイッチ部72aは接点Bと接続する。さらに、後進側端子69を流れる電流は前進作業方向検出スイッチ62(SW1)、第2リレー72の接点B、第1リレー71のコイル71bを流れて、第1リレー71のスイッチ部71aは接点Bと接続する。また、第2後進作業方向検出スイッチ(SW4)はOFF状態にあるので、第4リレー74及び第5リレー75の各コイル74b、75bには電流が流れず、これらのスイッチ部74a、75aは接点Aと接続される。
このため、揺動シリンダ3の第1電力端子3aは第4リレー74の接点A、第1リレー71の接点B及び後進側端子69を介して電源Bから供給される電圧が印加される。また、揺動シリンダ3の第2電力端子3bは第5リレー75の接点A及び前進側端子68を介して接地される。従って、揺動シリンダ3が縮小動する。一方、伸縮シリンダ51の第1電力端子51aと後進側端子69とは電気的に遮断された状態になるので、第1電力端子51aには電源Bからの電圧が印加されず、伸縮シリンダ51は停止状態になる。つまり、揺動シリンダ3のみが縮小動する。このため、図8(9)に示すように、オフセット機構20は矢印W方向に揺動する。
オフセット機構20が矢印W方向に揺動すると、作業部40はその作業方向軸O2が前後方向に向いたままで左右方向右側にオフセット移動し、前側受動クラッチ6は前側に向いたまま右斜め前方に移動して図1に示す駆動側クラッチ8に接近動する。そして、図8(10)に示すように、オフセット機構20が前後方向に対して右側に揺動角度θ1を有した位置に揺動すると、前側受動クラッチ6は図1に示す駆動側クラッチ8に連結された状態になり、作業部40は前進作業位置Pfに移動する。
作業部40が前進作業位置Pfに移動すると、図6(10)に示すように、反転位置検出スイッチ(SW3)はON状態からOFF状態に切り替わり、前進作業方向検出スイッチ(SW1)はON状態に維持され、第1後進作業方向検出スイッチ(SW2)及び第2後進作業方向検出スイッチ(SW4)はOFF状態に維持される。このため、再び図2を用いて説明すると、後進側端子69を流れる電流は、前進作業方向検出スイッチ62(SW1)、第2リレー72の接点A、第1リレー71のコイル71bを流れ、第1リレー71のスイッチ部71aが接点Bと接続する。また、第2後進作業方向検出スイッチ64(SW4)はOFF状態にあるので、第4リレー74及び第5リレー75の各コイル74b、75bには電流が流れず、第4リレー74及び第5リレー75の各スイッチ部74a、75aは接点Aと接続された状態になる。このため、後進側端子69に作用する電源Bからの電圧は、第1リレー71の接点B及び第4リレー74の接点Aを介して揺動シリンダ3の第1電力端子3aに印加される。また、揺動シリンダ3の第2電力端子3bは第5リレー75の接点Aを介して接地される。このため、揺動シリンダ3は縮小動する。一方、伸縮シリンダ51の第1電力端子51aは後進側端子69と電気的に遮断された状態にあるので、伸縮シリンダ51は停止状態に維持される。このため、揺動シリンダ3のみが縮小動して、図8(10)に示すオフセット機構20は矢印X方向にさらに揺動しようとする。なお、作業部40は、前述したように駆動側クラッチ8に前側受動クラッチ6が連結された状態では、オフセット機構20の矢印X方向への揺動は規制されるので、作業部40が前進作業位置Pfに移動した状態で、揺動シリンダ3がさらに縮小動しようとして作業部40は移動しない。
このとき、前進作業用ボタン61cの押圧操作が解除されると、第1リレー71のコイル71bに電流が流れなくなり、スイッチ部71aは接点Aと接続されて、揺動シリンダ3の第1電力端子3aと後側端子69とが電気的に遮断された状態になり、揺動シリンダ3への電圧供給がなくなって揺動シリンダ3は停止する。一方、伸縮シリンダ51の第1電力端子51aにも電圧が供給されないので、伸縮シリンダ51は停止状態に維持される。その結果、作業部40を前進作業位置Pfに保持することができる。
このように、作業部40が図7(6)に示す後進作業位置Prに設置された状態にあるときに、前進作業用ボタン61cを継続して押圧操作するだけで、作業部40の向きを反転させた状態で作業部40を前進作業位置Pfに移動させることができるとともに、図1に示す駆動側クラッチ8に連結された後側受動クラッチ7の連結状態を解除して、前側受動クラッチ6を駆動側クラッチ8に連結させることができる。
このように、本発明に係わる畦塗り機1は、操作スイッチ61の操作のみで、作業部40を前進作業位置及び後進作業位置のいずれか一方の位置から他方の位置に移動させることができる。また操作スイッチ61のON・OFF操作によって、その移動を停止させたり再開させたりすることができる。このため、作業部40を反転させて作業位置に移動させる反転作業を容易に行なうことができる。
また、本発明に係わる畦塗り機1は、作業部40が移動しているときに操作スイッチ61を誤操作した場合でも、作業部40の移動が停止するだけであり、また作業部40が停止しているときに操作スイッチ61を誤操作した場合でも、作業部40は前進作業位置側又は後進作業位置側に移動するだけであるので、作業部40が突飛な方向に移動することはない。このため、作業部40が突飛な方向に移動して畦塗り機1が損傷する事態を未然に防止することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明に係わるオフセット作業機の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、オフセット作業機の一例である溝掘り機について説明する。なお、第2の実施の形態では第1の実施の形態との相違点のみを説明し、第1の実施の形態と同一態様部分については同一符号を附してその説明を省略する。
溝掘り機100は、図9(平面図)に示すように、伝動フレーム41の先端部に溝掘り作業が可能な作業部101が取り付けられている。作業部101は、伝動フレーム41の先端部に取り付けられて下方へ延びる本体フレーム102と、本体フレーム102に回転動自在に取り付けられた溝掘り体103とを有してなる。溝掘り体103は、上下方向に延びる回転動自在な回転軸(図示せず)と回転軸の外側面に形成された螺旋刃体(図示せず)を有してなる。回転軸は、伝動フレーム41内の巻き掛け伝動機構を介して動力が伝達されるようになっている。また作業部101には、溝掘り体103の螺旋刃体により切削された排土等を溝掘り体103の上部から外側に放出するための図示しない排土放出機構が設けられている。
このような溝掘り作業が可能な作業部101を伝動フレーム41の先端部に設けることで、前述した図1に示す畦塗り作業が可能な作業本体部44を備えた作業部40を伝動フレーム41の先端部に設けた場合と同様の効果、即ち、構造が簡素化されて安価なアクチュエータ駆動装置60を有し、受動クラッチ6、7を駆動側クラッチ8に連結し又は連結解除を行なう連結解除作業が容易であり、簡易なスイッチ操作で作業部101を前進作業位置及び後進作業位置に移動させることができ、操作スイッチ61が誤操作されても作業部101が突飛な方向に移動して溝堀り機100が損傷する事態を未然に防止可能であるという効果を得ることができる。