JP2005148474A - 静電潜像現像剤用トナーおよびその製造法 - Google Patents

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康博 芝井
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Abstract

【課題】 高い耐久性、保存安定性および耐水性を有し、帯電安定性に優れるとともに、環境への負荷が少ない静電荷像現像用トナーおよびその製造法を提供する
【解決手段】 得ようとするトナーの形態を、着色剤および芯材用樹脂成分を含む芯材の表面に、カプセル壁用樹脂成分を含むカプセル壁が形成されたマイクロカプセルトナーとし、芯材用樹脂成分として少なくともポリエステル樹脂、好ましくはビスフェノールA型ポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂を用い、カプセル壁用樹脂成分の溶解度パラメーター値(SP1)と、芯材用樹脂成分の溶解度パラメーター値(SP2)とが0.5<SP1/SP2<2.0を満たすような樹脂成分を使用する。また、このマイクロカプセルトナーの製造に際しては、超臨界流体または亜臨界流体を利用する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、静電潜像現像剤用トナーおよびその製造法に関する。
レーザープリンタ、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)プリンタ、複写機などの電子写真方式を用いた画像形成装置は、一様に帯電させた感光体表面に、レーザービーム、LEDなどにより光を照射して画像情報に対応する静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーにより現像して可視画像を形成し、この可視画像を記録材に転写して定着させることによって、記録材上に画像を形成するものである。
電子写真方式において、静電潜像を現像するために用いられるトナーは、主成分として熱可塑性樹脂(結着樹脂)、顔料(着色剤)、離型剤などを含み、また任意成分として磁性粉、帯電荷制御剤、流動性向上剤などを含む。電子写真用トナーには、衝撃、湿度などの外的要因に対して、機械的および電気的に変質せず、耐久性、保存安定性、耐水性などに優れることが要求される。機械的な変質とは、たとえば、衝撃などによってその粒子形状などが変化することである。粒子形状の変化は、トナーの帯電性能に悪影響を及ぼし、たとえば、画像濃度を低下させ、色むら、白地かぶりなどを発生させる。電気的な変質とは、たとえば、帯電性能の変化である。トナーの帯電性能は、粒子形状の変化以外にも、トナーの耐水性が不充分な場合に、保存環境の湿度の変化などに影響を受け易い。さらに、着色剤として有彩色顔料を含み、カラー画像の形成に用いられるカラートナーには、適正な色彩の発現(着色度)、オーバーヘッドプロジェクター用シートに光透過性(透明性)の良好な画像を形成することなどの、一層厳しい要求が課せられる。従来技術では、耐久性などを向上させるために、着色剤と結着樹脂とを含む芯材の表面を、合成樹脂製のカプセル壁で被覆したカプセルトナーが提案されている。また、トナーの耐久性およびトナーによって形成される画像の光透過性を向上させるために、結着樹脂として、ビスフェノールAなどのビスフェノール型芳香族化合物を含有するポリエステル樹脂(以後「ビスフェノールA型ポリエステル樹脂」と称す)が汎用される。
また、電子写真方式のプリンタ、複写機などの飛躍的な普及に伴い、トナー画像を形成した印刷物および使用済トナーの量は年々増加の一途を辿り、極めて大量の廃棄物が発生する。このようなトナーを含む大量の廃棄物は、環境保護を踏まえて処理されなければならない。したがって、電子写真用トナーには、前述のような画像形成のための性能面での要求だけでなく、燃焼時に有毒ガスを発生せず、自然環境に埋め立てられるかまたは散逸しても、動植物の生態系を破壊するなどの環境汚染を引起さず、人体に対しても安全であることが強く希求される。
従来のトナーにおいて、耐久性および光透過性の向上のために用いられるビスフェノールA型ポリエステル樹脂に含まれるビスフェノール型芳香族化合物が、いわゆる環境ホルモンと呼ばれる環境汚染物質であることは周知である。ビスフェノールA型ポリエステル樹脂を自然環境に放置すると、ビスフェノール型芳香族化合物が滲み出して、動植物の生態系に悪影響を及ぼし、環境汚染を引起すおそれがある。その反面、ビスフェノールA型ポリエステル樹脂は、トナーの耐久性などを向上させる上で非常に有用である。したがって、カプセルトナーにおいて、使用量が極めて少ないカプセル壁用樹脂成分としてビスフェノールA型ポリエステル樹脂を用い、使用量の多い芯材用樹脂成分としてのそれ以外の合成樹脂を用いることによって、ビスフェノールA型ポリエステル樹脂の使用量を減少させる試みが行なわれる。しかしながら、芯材とカプセル壁材とを異なる合成樹脂で構成すると、芯材とカプセル壁との相溶性が不充分になり、耐久性の低下を招き、帯電性能の安定が得られない。
一方、トナーを製造するに際しては、やはり自然保護の観点から、トナー消費量を減らすために、トナー中の着色剤の含有量を高めること、環境汚染を引起す物質を用いないことなどが要求される。また、画像形成装置の小型化の観点から、トナー粒子のさらなる微小化などが要求される。トナーの製造法としては、前記のような主成分および任意成分を混合し、引き続き混練機などにより加熱、溶融および分散して均一な溶融混練物とし、その冷却固化物を微粉砕および分級することによって、体積平均粒径10μm程度の微粒子状のトナーを得る溶融混練法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。溶融混練法は、トナー粒子を工業的に大量生産する上で非常に効率的であるため、従来から多用されてきた。しかしながら、着色剤の含有量を高めると、トナー中での着色剤の分散性が低下し、得られるトナー粒子の形状および大きさが不均一になる。しかも、画像濃度の低下、色むらの発生などが起こる。
また、最近では、有機溶媒中にて、懸濁、乳化、分散などによって樹脂粒子が形成されるのを利用した湿式法も開発されている。この方法においても、着色剤の含有量を増加させるために、有機溶媒中に常時よりも多量の着色剤を添加すると、着色剤の凝集が顕著になり、着色剤が均一に分散したトナーを得ることが困難になる。さらに、環境汚染を引起し易い有機溶媒を多量に使用するので、作業者の健康が損なわれる可能性があるとともに、これらを処理する設備が必要になり、トナーの製造コストを増大させる。
ところで、超臨界流体または亜臨界流体を、物質の分離、抽出、精製などに用いることは公知である。たとえば、コーヒーにおけるカフェイン抽出、廃棄物の分離、抽出などが挙げられる。
また、超臨界流体中に、所望の物質を溶解し、急速膨張〔RESS法(Rapid
Expansion of Supercritical Solution)〕、貧溶媒、界面活性剤の添加などによって、超臨界流体中における溶質分の溶解度を大幅に低下させることで、溶解していた溶質分が析出するのを利用した微粒子の作成も行われている。
さらに、超臨界流体を用いて、予め微粒化された金属酸化物の表面にシランカップリング剤などの表面処理剤を被覆することも行なわれている(たとえば、特許文献2参照)。しかしながら、特許文献2の方法は、無機微粒子の表面に単に表面処理剤を被覆するための技術である。特許文献2には、マイクロカプセルトナーを製造するにあたり、微粒化されていないトナーの芯材用樹脂成分およびトナー表面のカプセル壁用樹脂成分を、超臨界流体または亜臨界流体中に同時に添加した場合に、各々の樹脂成分が各々の目的とする部分に選択的に用いられるようにするための技術について、一切開示されていない。
特開平1−304467号公報 特開平10−133417号公報
本発明の目的は、高い耐久性、保存安定性および耐水性を有し、外的要因による帯電性能の変化がほとんどなく、すなわち帯電安定性に優れるとともに、環境汚染物質になる可能性があるビスフェノール型芳香族化合物などの含有量が従来のトナーよりも少ない静電荷像現像用トナーおよびその製造法を提供することである。
本発明は、着色剤および芯材用樹脂成分を含む芯材と、カプセル壁用樹脂成分を含みかつ芯材の表面を被覆するように形成されるカプセル壁とからなるトナーにおいて、芯材用樹脂成分がポリエステル樹脂を含み、かつカプセル壁用樹脂成分の溶解度パラメーター値(SP1)と、芯材用樹脂成分の溶解度パラメーター値(SP2)とが、0.5<SP1/SP2<2.0を満たすことを特徴とする静電潜像現像剤用トナーである。
また本発明の静電潜像現像剤用トナーは、芯材用樹脂成分がビスフェノールA型ポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂であることを特徴とする。
さらに本発明の静電潜像現像剤用トナーは、カプセル壁用樹脂成分がポリエステル樹脂であることを特徴とする。
さらに本発明の静電潜像現像剤用トナー、カプセル壁用樹脂成分がビスフェノールA型のポリエステル樹脂であることを特徴とする。
また本発明は、着色剤、芯材用樹脂成分およびカプセル壁用樹脂成分を用いる静電潜像現像剤用トナーの製造法において、
芯材用樹脂成分がポリエステル樹脂を含み、
カプセル壁用樹脂成分の溶解度パラメーター値(SP1)と、芯材用樹脂成分の溶解度パラメーター値(SP2)とが、0.5<SP1/SP2<2.0を満し、
カプセル壁用樹脂成分と乳化剤との混合物の存在下に、着色剤および芯材用樹脂成分を超臨界流体または亜臨界流体中に乳化分散させた後、この乳化分散系の圧力を減圧することを特徴とする静電潜像現像剤用トナーの製造法である。
本発明によれば、マイクロカプセルトナーにおいて、芯材用樹脂成分がポリエステル樹脂を含み、カプセル壁用樹脂成分の溶解度パラメーター値(SP1)と芯材用樹脂成分の溶解度パラメーター値(SP2)との比(SP1/SP2)が0.5を超え2.0未満になるように、芯材用およびカプセル壁用樹脂成分を選択することによって、芯材とカプセル壁とが良好な相溶性を示すので、高い耐久性および保存安定性を有し、帯電安定性に優れたマイクロカプセルトナーである静電潜像現像剤用トナーが得られる。また、カプセル壁用樹脂成分として、親水性官能基を有しない合成樹脂を用いることによって、耐水性にも優れたトナーを得ることができる。加えて、カラートナーとして用いる場合にも色彩が適正に発現し、光透過性も高水準である。
さらに本発明によれば、芯材用樹脂成分として、ビスフェノールA型ポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂と用いることによって、カラートナーとして用いた場合の着色性および透明性をさらに向上させることができる。また、環境汚染を起こす可能性も著しく少なくなる。
さらに本発明によれば、カプセル壁用樹脂成分にポリエステル樹脂を用いることによって、良好な耐久性、保存安定性および耐水性を向上させることができる。
さらに本発明によれば、カプセル壁用樹脂成分に、ポリエステル樹脂の中でも、特にビスフェノールA型ポリエステル樹脂を用いることによって、耐久性、保存安定性および耐水性、ひいては帯電安定性を一層向上させることができる。また、ビスフェノールA型ポリエステル樹脂は、カプセル壁の部分のみに使用するだけなので、その使用量は著しく少なく、環境保護の観点からも満足できるトナーとなる。
また本発明によれば、着色剤とともに、溶解度パラメーター値の比が特定の範囲にある芯材用樹脂成分およびカプセル壁用樹脂成分を、乳化剤の存在下に、超臨界流体または亜臨界流体中に分散させるにあたり、カプセル壁用樹脂成分と乳化剤とを混合して用いることによって、芯材用樹脂成分は芯材の形成に選択的に用いられ、またカプセル壁用樹脂成分はカプセル壁の形成に選択的に用いられ、結果的に、非常に容易にかつ高効率で、本発明のマイクロカプセルトナーを得ることができる。
本発明の製造法は、トナー中での着色剤の含有量を増加させるために、従来よりも多い量の着色剤を用いても、着色剤がトナー中に均一に分散し、耐久性、帯電安定性などの良好なマイクロカプセルトナーを得ることができる。
また本発明の製造法は、得られるトナーの粒子径および粒度分布を適宜調整することができ、体積平均粒子径が3〜7μm程度と小さくかつ粒度分布の幅がさらに狭いトナー粒子を製造することができる。
本発明の製造法により得られるトナーは、前述のような優れた特性を有すると共に、凝集し難く、流動性にも優れるので、転写材上での分散性が一層向上したものとなり、高画質品位の画像を形成できる。
本発明の静電潜像現像用トナーは、着色剤および芯材用樹脂成分を含む芯材と、カプセル壁用樹脂成分を含みかつ芯材の表面を被覆するように形成されるカプセル壁とからなるマイクロカプセルトナーであって、芯材用樹脂成分がポリエステル樹脂を含み、かつカプセル壁用樹脂成分の溶解度パラメーター(SP1)と、芯材用樹脂成分の溶解度パラメーター(SP2)との比(SP1/SP2)が、0.5を超え、2.0未満の範囲にある。
本発明において、樹脂成分の溶解度パラメーター値は、原子団の加成性を利用したFedorsの方法(Polym.Eng.Sci.,14(2)147(1974))に基づいて算出された値である。
溶解度パラメーターの比が0.5以下または2.0以上の場合には、芯材とカプセル壁との相溶性が低下し、たとえば、画像形成装置内での撹拌、摩擦などによってカプセル壁の剥離が起こり、帯電性能が変化するような、耐久性および帯電安定性の低いマイクロカプセルトナーが得られる。
本発明の静電潜像現像用トナーにおいて、芯材は着色剤および芯材用樹脂成分を含有する。
着色剤としては、従来からトナー用に用いられる公知の有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。その具体例としては、たとえば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、マグネタイトなどの黒色着色剤、黄鉛、亜鉛黄、クロームイエロー、ウルトラマリンイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ジスアゾイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエロー、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138などの黄色着色剤、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43などの橙色着色剤、ローズベンガル、デュポンオイルレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、キナクリドン系顔料、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などの赤色着色剤、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどの紫色着色剤、紺青、アニリンブルー、カルコオイルブルー、コバルトブルー、メチレンブルー、メチレンブルークロライド、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60などの青色着色剤、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、C.I.ピグメントグリーン7などの緑色着色剤、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などの白色着色剤などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックなどの黒色着色剤、アニリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルーなどの青色着色剤、クロームイエロー、ウルトラマリンイエロー、キノリンイエローなどの黄色着色剤、デュポンオイルレッド、ローズベンガル、ブリリアントカーミン6B、キナクリドン系顔料などの赤色着色剤などが好ましい。着色剤は1種を単独で使用できまたは2種以上の異なる色のものを併用できる。また、同色であっても、2種以上を併用できる。着色剤の粒子径(1次粒子)は特に制限されないけれども、通常は40〜400nm、好ましくは100nm〜200nmである。着色剤の含有量は特に制限されないけれども、通常は芯材用樹脂成分100重量部に対して5〜30重量部、好ましくは10〜20重量部である。
芯材用樹脂成分とは、芯材を構成する樹脂成分である。芯材用樹脂成分としては特に制限されず、カプセル壁用樹脂成分の溶解度パラメーター(SP1)と、芯材用樹脂成分の溶解度パラメーター(SP2)との比(SP1/SP2)が所定の範囲になるように、カプセル壁用樹脂成分の種類に応じ、公知の合成樹脂の中から適宜選択して用いればよい。その中でも、主に、得られるトナーの透明性などを向上させることを考慮すると、ビスフェノールA型ポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂が好ましい。ビスフェノールA型ポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂とは、モノマー成分として、ビスフェノール型芳香族化合物を含まないポリエステル樹脂である。このようなポリエステル樹脂は公知であり、たとえば、多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合反応させることによって製造できる。多塩基酸としては、公知のポリエステル樹脂用多塩基酸を使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、琥珀酸、アルケニル無水琥珀酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類などが挙げられる。多塩基酸は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。多価アルコールとしても、公知のポリエステル樹脂用多価アルコールを使用でき、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式多価アルコール類、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどが挙げられる。多価アルコールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。多塩基酸と多価アルコールとの重縮合反応は、たとえば、不活性雰囲気中にて、有機溶媒の存在下または非存在下および必要に応じてエステル化触媒、重合禁止剤などの存在下に、120〜250℃の温度で反応させることにより実施できる。このとき、多塩基酸の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用い、脱メタノール重縮合反応を行ってもよい。多塩基酸と多価アルコールとの重縮合反応は、生成する樹脂の酸価および軟化点が所定の値となったところで終了させればよい。このとき、多塩基酸と多価アルコールとの配合比、反応率などを適宜変更することによって、たとえば、ポリエステル樹脂の末端のカルボキシル基含有量を調整し、ポリエステル樹脂の酸価を調整することができる。また、多塩基酸として無水トリメリット酸を用いると、ポリエステル樹脂の主鎖中にカルボキシル基が導入され、得られるポリエステル樹脂を変性することができる。
このようなポリエステル樹脂の具体例としては、たとえば、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレートなどが挙げられる。
芯材は、本発明トナーの好ましい特性を損なわない範囲で、たとえば、オフセット防止剤、帯電制御剤、磁性粉、流動性向上剤などのトナー用添加剤を含むことができる。
オフセット防止剤としては公知のものを使用でき、たとえば、得られるトナーの転写材への定着性を向上させる効果を有する。オフセット防止剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、カルナウバワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュなどの合成ワックス、モンタンワックスなどの石炭系ワックス、アルコール系ワックス、エステル系ワックスなどのワックスが挙げられる。オフセット防止剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
帯電制御剤としては公知のものを使用でき、たとえば、クロム・アゾ錯体染料、鉄アゾ錯体染料、コバルト・アゾ錯体染料、サリチル酸とその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体または塩化合物、ナフトール酸とその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体または塩化合物、ベンジル酸とその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体または塩化合物、長鎖アルキルカルボン酸塩、長鎖アルキルスルフォン酸塩などの負帯電性トナー用帯電制御剤、ニグロシン染料とその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、四級アンモニウム塩、四級ホスフォニウム塩、四級ピリジニウム塩、グアニジン塩、アミジン塩、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類の含窒素官能基を有するモノマーを共重合したラジカル重合性共重合体などの正帯電性トナー用帯電制御剤が挙げられる。帯電制御剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
磁性粉としては公知のものを使用でき、たとえば、フェライト、マグネタイトなどの、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属もしくはその合金またはこれらの強磁性金属を含む化合物、マンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫などのマンガンと銅とを含むホイスラー合金、二酸化クロムなどの、熱処理を施すことによって強磁性を示す金属化合物などが挙げられる。これらの中でも、フェライト、マグネタイトなどが好ましい。磁性粉には、チタンカップリング剤、シランカップリング剤、レシチンなどのカップリング剤を用いて表面処理を施すこともできる。磁性粉は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
流動性向上剤としては公知のものを使用でき、たとえば、疎水性シリカ、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、酸化チタンなどが挙げられる。流動性向上剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
さらに芯材は、本発明トナーの好ましい特性を損なわない範囲で、酸化防止剤、離型剤などを含むことができる。
芯材の表面を被覆するように形成されるカプセル壁は、主に、カプセル壁用樹脂成分から構成される。さらに、カプセル壁は着色剤を含んでいてもよい。
カプセル壁用樹脂成分としては、その溶解度パラメーター(SP1)と芯材用樹脂成分の溶解度パラメーター(SP2)との比(SP1/SP2)が所定の範囲になるように、芯材用樹脂成分の種類に応じ、公知の合成樹脂の中から適宜選択して用いられる。その中でも、本発明トナーの好ましい諸特性をさらに向上させることを考慮すると、ポリエステル樹脂(ビスフェノールA型ポリエステル樹脂をも含む)、アクリル樹脂などが好ましく、ビスフェノールA型ポリエステル樹脂が特に好ましい。
ビスフェノールA型ポリエステル樹脂は、多価アルコールとして、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などのビスフェノール系芳香族化合物から選ばれる1種または2種以上を用いる以外は、前述のポリエステル樹脂の製造法と同様にして製造できる。このとき、ビスフェノール系芳香族化合物と共に他の多価アルコールを併用できる。
アクリル樹脂は、たとえば、アクリル樹脂モノマーまたはアクリル樹脂モノマーとビニル系モノマーとを重合させることによって製造できる。アクリル樹脂モノマーとしては公知のものを使用でき、たとえば、置換基を有することのある(メタ)アクリル酸、置換基を有することのある(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。アクリル樹脂モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。ビニル系モノマーとしても公知のものを使用でき、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、臭化ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。ビニル系モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。重合は、一般的なラジカル開始剤を用い、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などにより行われる。
カプセル壁用樹脂成分の使用量は特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるけれども、通常は芯材用樹脂成分100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは2〜5重量部である。
カプセル壁は、本発明トナーの好ましい特性を損なわない範囲で、たとえば、オフセット防止剤、帯電制御剤、磁性粉、流動性向上剤などのトナー用添加剤などを含むことができる。
本発明のトナーは、たとえば、カプセル壁用樹脂成分と乳化剤との混合物の存在下に、着色剤および芯材用樹脂成分ならびに必要に応じて他の添加剤を超臨界流体または亜臨界流体中に乳化分散させた後、この乳化分散系の圧力を減圧することによって製造できる。
超臨界流体は、物質が臨界点以上の温度および圧力に晒されると生じる流体であり、温度および/または圧力の変化に伴って、気相と液相との間を連続的に移り変わる特性を有する。亜臨界流体は、臨界点以上に加熱加圧しなくても、超臨界流体と同様の特性を示す流体である。超臨界流体および亜臨界流体(以後特に断らない限りこれらを「臨界流体」と総称する)では、気体の性質と液体の性質が共に現れる。たとえば、密度は液体に近く(気体の数百倍程度)、粘度は気体に近く(液体の1/10〜1/100程度)、拡散係数も液体の1/10〜1/100程度、熱伝導度は液体に近い(気体の100倍程度)である。
臨界流体の原料化合物としては公知のものを使用でき、たとえば、二酸化炭素、窒素、メタン、エタン、トリフロロメタン、アンモニア、トリフロロクロロメタン、メタノール、エタノール、水などが挙げられる。
着色剤、芯材用樹脂成分、カプセル壁用樹脂成分、その他の添加剤などのトナー成分としては、前述のものを使用できる。
乳化剤は、カプセル壁用樹脂成分との混合物として反応系に供給される。乳化剤としては、たとえば、疎水性シリカ、疎水性酸化亜鉛、疎水性酸化チタンなどの金属酸化物を使用できる。金属酸化物の粒径は特に制限されないけれども、通常は10〜500nm程度である。金属酸化物は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。金属酸化物の使用量は広い範囲から適宜選択できるけれども、通常は芯材用樹脂成分100重量部に対して1〜20重量部、好ましくは5〜10重量部である。
また、臨界流体とトナー成分との親和性を高め、粒度分布幅が狭くかつ一層微細なマイクロカプセルトナーを得るために、エントレーナーと呼ばれる添加剤を用いることができる。エントレーナーには有機溶媒を使用でき、臨界流体の種類、トナー成分の種類などに応じて適宜選択される。特に、常温常圧下で、芯材用樹脂成分およびカプセル壁用樹脂成分との相溶性を有しないものが好ましい。エントレーナーに用いられる有機溶媒の具体例としては、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどエーテル類、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサンなど炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルアセテート、アルキルカルボン酸エステルなどエステル類、クロロベンゼン、ジクロロメタンなどハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。また、臨界流体が水またはアンモニアの臨界流体でない場合には、水またはアンモニアをエントレーナーとして使用することができる。エントレーナーは、20〜25MPa程度に加圧して供給するのが好ましい。
臨界流体中で、カプセル壁用樹脂成分以外のトナー成分およびカプセル壁用樹脂成分と乳化剤との混合物が均一に分散した乳化分散系を得るのに要する時間は特に制限されず、各成分の種類と使用量、臨界流体の種類と使用量、エントレーナーの有無、エントレーナーを用いる場合の種類と使用量、系内の圧力および温度、反応容器の容量などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、通常は3〜6時間程度、好ましくは4〜5時間程度である。
臨界流体中で、トナー成分を乳化分散させた後の減圧の割合は、圧力、温度、臨界流体の種類、トナー成分の種類、得ようとするマイクロカプセルトナーの粒径などに応じて適宜選択できる。たとえば、臨界流体が二酸化炭素である場合は、トナー成分の乳化分散系(トナー成分が乳化分散した臨界流体)は304.6K以上および7.3MPa以上に加熱加圧されているので、たとえば大気圧程度まで急速に減圧することによって、芯材用樹脂成分およびその他の添加剤からなる芯材中に着色剤が均一に分散し、芯材の表面にカプセル壁が形成された本発明のマイクロカプセルトナーが得られる。
図1は、本発明マイクロカプセルトナーを製造するための装置の第1形態であるトナー製造装置1の構成を模式的に示す系統図である。トナー製造装置1は、温度計2、圧力計3、ヒータ4および減圧バルブ5を備え、臨界流体を生成させかつ臨界流体中にトナー成分を乳化分散させるための反応容器6、臨界流体の原料ガスを充填するガスボンベ7と、ガスボンベ7から供給される臨界流体の原料ガスを加圧するための加圧ポンプ8と、加圧ポンプ8から供給される、加圧された原料ガスの反応容器6への供給を制御するための原料ガス供給バルブ9と、エントレーナーを充填するタンク10と、タンク10から供給されるエントレーナーを加圧するための加圧ポンプ11と、加圧ポンプ11から供給される加圧されたエントレーナーの反応容器6への供給を制御するためのエントレーナー供給バルブ12と、減圧バルブ5の開放により反応容器6から排出される乳化分散物を流過させる乳化物供給管13と、乳化物供給管13の外周に設けられるヒータ14と、乳化物供給管13に接続され、乳化分散物から生成する本発明のトナーを放出するためのノズル15と、ノズル15の外周に設けられるヒータ16と、ノズル15を内包するように設けられ、ノズル15から放出されるトナーを捕集するトナー捕集容器17と、トナー捕集容器17の内部のノズル15と捕集容器17の底面17aとの間に設けられ、トナーの流れを整流し、トナーが捕集容器17内で散乱するのを防止する整流板18とを含んで構成される。
ガスボンベ7に充填される原料ガスは加圧ポンプ8に供給され、加圧ポンプ8によって加圧された後、原料ガス供給バルブ9を介して反応容器6に供給される。
タンク10に充填されるエントレーナーは加圧ポンプ11に供給され、加圧ポンプ11によって加圧された後、エントレーナー供給バルブ12を介して反応容器6に供給される。エントレーナーとしては、常温常圧で、芯材用樹脂成分およびカプセル壁用樹脂成分、特にカプセル壁用樹脂成分と相溶性を有しないものを用いるのが好ましい。
反応容器6は、反応容器6内の温度を測定する温度計2、反応容器6内の圧力を測定する圧力計3、反応容器6の内容物を加熱するヒータ4および反応容器6内の圧力を減圧する減圧バルブ5を備える。反応容器6には、予め着色剤、芯材用樹脂成分、その他の添加剤などのトナー成分およびカプセル壁樹脂成分と乳化剤との混合物のそれぞれ適量が投入される。さらに、原料ガス供給バルブ8およびエントレーナー供給バルブ12を介して、加圧された原料ガスおよびエントレーナーのそれぞれ適量が供給される。このとき、減圧バルブ5は閉じられている。反応容器6内の温度および圧力はそれぞれ温度計2および圧力計3によって管理され、主にヒータ4によって調整される。所望の温度および圧力が得られると、原料ガスから臨界流体が生成し、臨界流体中にはトナー成分が乳化状態で均一に分散する。このようにして、反応容器6内に均一な乳化分散系が形成される。その状態を一定時間維持した後、減圧バルブ5を開放すると、臨界流体が急速に膨張することにより、反応容器6内の圧力を大気圧付近まで一気に減圧する。このとき、反応容器6内には、超臨界流体中に乳化分散していたカプセル壁用樹脂成分以外の各トナー成分が均一に混合した微粒子が析出し、乳化剤の存在によって、該微粒子の表面にカプセル壁用樹脂成分が選択的に析出してカプセル壁が形成され、本発明のトナーが得られる。なお、反応容器6内に残留する原料ガスおよびエントレーナーは、図示しない回収手段によって回収され、再利用される。
減圧バルブ5を介して反応容器6に接続する乳化物供給管13には、減圧バルブ5の開放と同時に、乳化分散物の一部が排出され、減圧によって、本発明のトナーと原料ガスとエントレーナーとの混合物に変換され、ノズル15に供給される。該混合物中のエントレーナーはヒータ14,16による加熱によって大部分が気化される。ノズル15からトナー捕集容器17内に放出される本発明のトナーを含む気流は、整流板18によって整流されるので、トナーは徐々に降下し、トナー捕集容器17の下部に集積される。なお、ノズル15から放出されるトナーにエントレーナーが付着していても、芯材用樹脂成分およびカプセル壁用樹脂成分と非相溶なエントレーナーを使用すれば、トナー粒子同士の合一(トナー粒子の結合)が発生せず、微細な状態のままのトナー粒子を得ることができる。また、トナーに付着したエントレーナーは余熱により気化し、除去される。
すなわち、トナー製造装置1によれば、次のようにして本発明のトナーを製造することができる。まず、トナー製造装置1の反応容器6内に、カプセル壁用樹脂成分以外のトナー成分およびカプセル壁用樹脂成分と乳化物との混合物を入れる。ついで、加圧された原料ガスおよびエントレーナーを供給し、加圧加熱して臨界流体を生成させ、さらに臨界流体中に前記各成分を均一に分散させ、乳化分散系を得る。その後、減圧バルブ5を開放し、反応容器6内の圧力を一気に大気圧程度まで減圧することによって、反応容器6内にトナーを生成させる。また、減圧バルブ5を介して乳化物供給管13内に排出される乳化分散物は、該供給管13およびノズル15内で加熱され、本発明トナーのみがノズル15から排出され、トナー捕集容器17内に捕集される。
本実施の形態のトナー製造装置1においては、加圧ポンプ8と原料ガス供給バルブ9との間および/または加圧ポンプ11とエントレーナー供給バルブ12との間に、図示しないヒータ、コイルなどの加熱手段を設け、加圧された原料ガスおよび/またはエントレーナーを所望の温度近くまで加熱することができる。
本実施の形態のトナー製造装置1においては、加圧ポンプ8,11と反応容器6との間に図示しない混合容器を設け、原料ガスとエントレーナーとを混合し、その後に反応容器6に供給することもできる。
本実施の形態のトナー製造装置1においては、反応容器6の内部に、内容物を混合するための図示しない撹拌手段を設けることができる。
本実施の形態のトナー製造装置1においては、反応容器6の外部に設けられるヒータ4に代えて、図示しない恒温水槽などを用いることができる。
本実施の形態のトナー製造装置1では、ノズル15の出口付近に図示しない温度計を設置して出口温度を測定し、エントレーナーの気化状況などを調べることができる。
本実施の形態のトナー製造装置1では、整流板18のノズル15に対向する面に図示しないヒータなどの加熱手段を設け、ノズル15から放出されるエントレーナーなどの気化を促進してもよい。
このようにして得られる本発明のマイクロカプセルトナーは、一成分系現像剤および二成分系現像剤として使用できる。一成分系現像剤として使用し、たとえば、非磁性トナーを用いる場合には、ブレードおよびファーブラシを用い、現像スリーブで摩擦帯電させてスリーブ上にトナーを付着させることで搬送する方法が挙げられる。
また、二成分系現像剤として用いる場合には、本発明のトナーと共に、キャリアを用い現像剤として使用する。本発明のトナーと共に使用されるキャリアとしては特に制限されないけれども、主として、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム元素などからなる単独および複合フェライト、キャリアコア粒子を被覆物質で表面被覆したものなどが用いられる。被覆物質としては、トナーに含まれる成分に応じて適宜選択されるけれども、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアシド、ポリビニルラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料およびそのレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられる。被覆物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。キャリアの平均粒径は10〜100μm、好ましくは20〜50μmである。
以下に実施例、比較例および試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示すトナー製造装置1を用いて、本発明のトナーを製造した。
容積1000cmの反応容器6に、ビスフェノールA型ポリエステル樹脂(芯材用樹脂成分、商品名:ME−100、大日本インキ化学工業(株)製)50gおよびカーボンブラック(着色剤、商品名:MA100、三菱化学(株)製)10gならびにアクリル樹脂(カプセル壁用樹脂成分、商品名:SP−10650、積水化学工業(株)製)1.5gと疎水性シリカ(乳化剤、商品名:RX200、日本アエロジル(株)製)3gとの混合物を投入した。カプセル壁用樹脂成分の溶解度パラメーター(SP1)と芯材用樹脂成分の溶解度パラメーター(SP2)との比は1.20であった。
ガスボンベ7に二酸化炭素ガスを充填し、加圧ポンプ8によって25MPaまで昇圧し、原料ガス供給バルブ9を開放して反応容器6に供給した。またタンク10にエントレーナーとしてエタノールを充填し、その200mlを加圧ポンプ11によって25MPaまで昇圧し、エントレーナー供給バルブ12を開放して反応容器6に供給した。なお、エタノールと本実施例における芯材用樹脂成分であるビスフェノールA型ポリエステル樹脂とは、常温常圧では相溶性を有しない。
次いでヒータ4により加熱を行い、反応容器6内の圧力を20〜25MPaの範囲および温度を40〜60Kの範囲に維持し、この状態を20分間持続させ、二酸化炭素ガスの超臨界流体中に、前記の各成分を乳化分散させた。
その後、減圧バルブ5を開放し、反応容器6内の圧力を大気圧まで減圧すると、反応容器6内に、本発明のマイクロカプセルトナーが析出した。また、トナー捕集容器17中にも、本発明のマイクロカプセルトナーが集積した。なお、このとき、減圧バルブ5付近、乳化物供給管13およびノズル15内の温度は、ヒータ14,16によって、100〜200℃の範囲に保持された。
得られた本発明のマイクロカプセルトナーは、着色剤が均一に分散した略真球状の芯材の表面にカプセル壁が形成された、粒子径4〜10μmの範囲の微粒子であった。
(実施例2)
芯材用樹脂成分としてビスフェノールA型ポリエステル樹脂(商品名:ME−100)に代えてビスフェノールA型以外のポリエステル樹脂(商品名:FZ−100、大日本インキ化学工業(株)製)を使用する以外は、実施例1と同様にして、本発明のマイクロカプセルトナーを製造した。溶解度パラメーターの比は1.65であった。
(実施例3)
カプセル壁用樹脂成分としてアクリル樹脂(SP−10650)に代えてビスフェノールA型以外のポリエステル樹脂(FZ−100)を使用する以外は、実施例2と同様にして、本発明のマイクロカプセルトナーを製造した。溶解度パラメーターの比は1.00であった。
(実施例4)
カプセル壁用樹脂成分としてアクリル樹脂(SP−10650)に代えてビスフェノールA型ポリエステル系樹脂(ME−100)を使用する以外は、実施例2と同様にして、本発明のマイクロカプセルトナーを製造した。溶解度パラメーターの比は1.50であった。
(実施例5)
エントレーナーとしてエタノールに代えてエタノール:水=50:50の混合溶液を用いる以外は、実施例4と同様にして、本発明のマイクロカプセルトナーを製造した。
(比較例1)
カプセル壁用樹脂成分としてアクリル樹脂(SP−10650)に代えてアクリル樹脂(商品名:SP−10649、積水化学工業(株)製)を使用する以外は、実施例1と同様にしてマイクロカプセルトナーを製造した。溶解度パラメーターの比は2.00であった。
(比較例2)
カプセル壁用樹脂成分としてアクリル樹脂(SP−10650)に代えてアクリル樹脂(商品名:SP−10580、積水化学工業(株)製)を使用する以外は、実施例1と同様にしてマイクロカプセルトナーを製造した。溶解度パラメーターの比は0.50であった。
(比較例3)
カプセル壁用樹脂成分としてアクリル樹脂(SP−10650)に代えてアクリル樹脂(商品名:SP−10579、積水化学工業(株)製)を使用する以外は、実施例1と同様にしてマイクロカプセルトナーを製造した。溶解度パラメーターの比は0.30であった。
(比較例4)
カプセル壁用樹脂成分としてアクリル樹脂(SP−10650)に代えてアクリル樹脂(商品名:SP−10576、積水化学工業(株)製)を使用する以外は、実施例1と同様にしてマイクロカプセルトナーを製造した。溶解度パラメーターの比は2.30であった。
(試験例1)
実施例1〜5および比較例1〜4で得られたトナーを用い、下記の評価試験を実施した。結果を表1に示す。
〔環境安全性〕
芯材用樹脂成分にビスフェノールA型ポリエステル樹脂を用いるものは、ビスフェノールA型ポリエステル樹脂の使用量が多くなるので、環境安全性は不充分になり、「△」と評価した。また、芯材用樹脂成分にビスフェノールA型ポリエステル樹脂以外の合成樹脂を用いるものは、ビスフェノールA型ポリエステル樹脂の使用量を極力少なくできるので、環境安全性は良好であり、「○」と評価した。
〔帯電安定性〕
実施例1〜5および比較例1〜4で得られたトナーと平均粒径80μmのフェライトキャリアとを混合し、トナー濃度4重量%の二成分現像剤を作成した。この二成分現像剤を電子写真複写機(型番:AR−450M、シャープ(株)製)に充填し、原稿濃度6%の原稿を10000枚連続複写した。
初期(連続複写を行なう前)の二成分現像剤および連続複写後に電子写真複写機の現像器内から採取した二成分現像剤について、その帯電量をブローオフ法によって測定した。得られた測定値から、初期の帯電性能に対する連続複写後の帯電性能の変化率[(連続複写後の帯電性能/初期の帯電性能)×100(%)]を算出し、次のように評価した。
◎:帯電性能の変化率が80〜100%であり、帯電安定性が極めて良好である。
○:帯電性能の変化率が60〜80%であり、帯電安定性は良好である。
△:帯電性能の変化率が60%未満であり、帯電安定性は不良である。
〔耐水性〕
実施例1〜5および比較例1〜4で得られたトナーを、常温常圧環境(20℃・50%、N/N)および高温高湿環境(30℃・85%、H/H)に12時間放置した後、それぞれの水分率(%)を測定して水分率の差を求め、次のように評価した。なお、水分率は、カールフィッシャー法に基づき、試料加熱温度200℃、所要時間15分で測定した。
○:水分率の差が0.05%未満であり、良好な耐水性を有する。
△:水分率の差が0.05%以上0.07%以下で、耐水性がやや不充分である。
×:水分率の差が0.07%を超え、耐水性が不充分である。
Figure 2005148474
表1から、芯材用樹脂成分とカプセル壁用樹脂成分の溶解度パラメーターの比が所定の範囲にある本発明のトナーは、良好な帯電安定性および耐水性を併せ持ち、環境安全性もほぼ良好であり、電子写真方式において好適に使用できることが明らかである。特に実施例4のトナーは各性能を高水準で満たし、非常に好ましいものである。
トナー製造装置の構成を模式的に示す系統図である。
符号の説明
1 トナー製造装置
2 温度計
3 圧力計
4 ヒータ
5 減圧バルブ
6 反応容器
7 ガスボンベ
8,11 加圧ポンプ
9 原料ガス供給バルブ
10 タンク
12 エントレーナー供給バルブ
13 乳化物供給管
14,16 ヒータ
15 ノズル
17 トナー捕集容器
17a トナー捕集容器の底面
18 整流板

Claims (5)

  1. 着色剤および芯材用樹脂成分を含む芯材と、カプセル壁用樹脂成分を含みかつ芯材の表面を被覆するように形成されるカプセル壁とからなるトナーにおいて、芯材用樹脂成分がポリエステル樹脂を含み、かつカプセル壁用樹脂成分の溶解度パラメーター値(SP1)と、芯材用樹脂成分の溶解度パラメーター値(SP2)とが、0.5<SP1/SP2<2.0を満たすことを特徴とする静電潜像現像剤用トナー。
  2. 芯材用樹脂成分がビスフェノールA型ポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1記載の静電潜像現像剤用トナー。
  3. カプセル壁用樹脂成分がポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の静電潜像現像剤用トナー。
  4. カプセル壁用樹脂成分がビスフェノールA型ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項3記載の静電潜像現像剤用トナー。
  5. 着色剤、芯材用樹脂成分およびカプセル壁用樹脂成分を用いる静電潜像現像剤用トナーの製造法において、
    芯材用樹脂成分がポリエステル樹脂を含み、
    カプセル壁用樹脂成分の溶解度パラメーター値(SP1)と、芯材用樹脂成分の溶解度パラメーター値(SP2)とが、0.5<SP1/SP2<2.0を満し、
    カプセル壁用樹脂成分と乳化剤との混合物の存在下に、着色剤および芯材用樹脂成分を超臨界流体または亜臨界流体中に乳化分散させた後、この乳化分散系の圧力を減圧することを特徴とする静電潜像現像剤用トナーの製造法。
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