JP2005144786A - 液吐出ヘッドの駆動方法及び液吐出ヘッド駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 1つの液吐出ヘッドで、粘度特性の異なる複数種類の液をそれぞれ安定した吐出状態で吐出することを可能にする液吐出ヘッドの駆動方法及びこの方法を適用した液吐出ヘッド駆動装置を提供する。
【解決手段】 ノズル群51a,51b毎に粘度特性の異なる複数種類の液を吐出させる場合、その液の粘度特性に応じて予め決定された駆動電圧による駆動で吐出させるようにし、且つ、その吐出タイミングをノズル群51a,51b毎に異ならせるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】 ノズル群51a,51b毎に粘度特性の異なる複数種類の液を吐出させる場合、その液の粘度特性に応じて予め決定された駆動電圧による駆動で吐出させるようにし、且つ、その吐出タイミングをノズル群51a,51b毎に異ならせるようにした。
【選択図】 図1
Description
本発明は、インクジェット法により液を吐出する液吐出ヘッドの駆動方法及び液吐出ヘッド駆動装置に関し、更に詳しくは、粘度特性の異なる複数種類の液を吐出する場合に有効な技術に関する。
従来より、粘度などの物性の異なる種々の液体を扱えるようにした装置として、例えば、噴射ヘッドから吐出された液滴を補集して液滴の重量を測定するとともに、飛行中の液滴を検出位置にて検出することで液滴の飛行速度を測定し、基準波形の駆動パルスに対応して測定された液滴の飛行速度及び重量と、目標値として設定された飛行速度及び重量との差に基づいて、噴射ヘッドを駆動するための駆動パルスの波形を調整することで、物性の異なる複数種類の液体を扱うことができ、用途に応じた最適な吐出条件で液滴を吐出させることができるようにした液体噴射装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来より、複数のインクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドの駆動回路として、複数のインクジェットヘッドにそれぞれ対応する複数のヘッド駆動回路と、これらの複数のヘッド駆動回路に電源電圧を共通に給電する電源制御回路と、環境条件を検出する環境条件検出手段と、この環境条件検出手段の検出結果に応じて前記複数のヘッド駆動回路に共通に給電する電源電圧を調整する電源電圧調整手段とを備えたものがある(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−94629号公報
特開平9−99556号公報
近年、インクジェット記録装置では、インクを吸収する紙以外に、合成紙や、塗工紙や、プラスチックフィルム、プラスチックカード等の実質的に水をほとんど吸収しないメディア(記録媒体)が用いられる場合がある。このような記録媒体に対して印刷を行うに際しては、インクの他に、印刷品質の向上や、着色剤の耐擦過性向上等の目的で、着色剤を含まない、例えば樹脂を含む液や、無機イオン成分を含む液が使用される。
この種の液の粘度に注目すると、例えば樹脂を含む液は、一般的にインクに比べて高粘度である。このような粘度特性の異なる複数種類の液体を扱える技術として、上記特許文献1の技術があるが、この技術は、交換により複数種類の液体を扱えるようにしたものであって、装置使用時に同時に扱える液体の種類はあくまでも1種類であった。
ここで、粘度特性の異なる複数種類の液を1台のインクジェット記録装置で同時に扱えるようにしたい場合、複数のインクジェットヘッドを設けるとともに、各インクジェットヘッド毎に駆動回路を設けて個別駆動するようにし、各インクジェットヘッドからそれぞれ物性の異なる複数種類の液体を吐出させる装置構成が有効であると考えられる。上記特許文献2の技術は、この構成を有するものであるが、この技術においては各インクジェットヘッドに同じ電圧を供給するようにしている。このため、粘度特性の違いが起因して吐出特性にばらつきが生じ、安定した吐出状態を得ることはできなかった。このような吐出特性のばらつきは、画像品質の低下を招くため、好ましくない。
また、近年のインクジェット記録装置の小型化、低コスト化の流れにより、1台のインクジェット記録装置で複数種類の液を扱えるのみならず、1つのインクジェットヘッドでこれらの液を安定した吐出状態で吐出できるようにしたいという声が高まっている。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、1つの液吐出ヘッドで、粘度特性の異なる複数種類の液をそれぞれ安定した吐出状態で吐出することを可能にする液吐出ヘッドの駆動方法及びこの方法を適用した液吐出ヘッド駆動装置を提供することを目的とする。
本発明に係る液吐出ヘッドの駆動方法は、複数のノズルから構成されるノズル群を複数有し、各ノズルそれぞれからインクジェット法による液体の吐出を行う液吐出ヘッドの駆動方法であって、ノズル群毎に粘度特性の異なる複数種類の液を吐出させる場合、その液の粘度特性に応じて予め決定された駆動電圧による駆動で吐出させるようにし、且つ、その吐出タイミングをノズル群毎に異ならせるものである。この駆動方法を採用することにより、1つの液吐出ヘッドで、粘度特性の異なる複数種類の液を、それぞれ安定した吐出状態で吐出することが可能となる。
ここで本発明において粘度特性の異なる複数種類の液とは、インクジェット記録装置で通常印刷可能な温度範囲、具体的には5℃から45℃の温度範囲において、ある温度における液の粘度が異なる液のことである。
例えば液1と液2を吐出するヘッドがある場合、25℃の場合に液1と液2の粘度が異なる場合や、25℃の場合に液1と液2の粘度が同じであるが、30℃の場合に液1と液2の粘度が異なる場合が粘度特性の異なる複数種類の液に該当する。
ここで本発明において粘度特性の異なる複数種類の液とは、インクジェット記録装置で通常印刷可能な温度範囲、具体的には5℃から45℃の温度範囲において、ある温度における液の粘度が異なる液のことである。
例えば液1と液2を吐出するヘッドがある場合、25℃の場合に液1と液2の粘度が異なる場合や、25℃の場合に液1と液2の粘度が同じであるが、30℃の場合に液1と液2の粘度が異なる場合が粘度特性の異なる複数種類の液に該当する。
また、本発明に係る液吐出ヘッドの駆動方法は、全ノズルに共通の共通電極としての振動板と個別電極とを備えた静電駆動式の液吐出ヘッドを駆動対象としたものである。これにより、低消費電力且つ低コストでありながら上述の効果を備えた液吐出ヘッドを構成できる。
また、本発明に係る液吐出ヘッドの駆動方法は、主走査方向に往復移動しつつ吐出動作を行うシリアルタイプの液吐出ヘッドを駆動対象としたものである。このように、本発明の方法は、シリアルタイプの液吐出ヘッドに適用できる。
また、本発明に係る液吐出ヘッドの駆動方法は、上記駆動電圧が、各ノズル群の個々のノズルから液を吐出する際の吐出状態が安定吐出されるように設定されたものである。これにより、吐出特性がばらつくことによる印刷物の品質低下を防止することができる。
また、本発明に係る液吐出ヘッドの駆動方法は、上記粘度特性の異なる複数種類の液が、着色剤を含むインクと、着色剤を含まない液とを少なくとも含むものである。このような液を吐出液として用いることができる。
また、本発明に係る液吐出ヘッドの駆動方法は、上記着色剤を含まない液が、樹脂を含む液であるものである。これにより、インクに対して実質的に非吸収性である記録媒体に画像を形成するに際し、各液体をそれぞれ安定して吐出することが可能となり、吐出特性がばらつくことによる印刷品質の低下を防止できる。また、インクに対して実質的に非吸収性である記録媒体に画像を形成し、その後、画像形成部分をコーティングする際にも、各液体をそれぞれ安定して吐出することが可能となる。
本発明に係る液吐出ヘッド駆動装置は、複数のノズルから構成されるノズル群を複数有し、全ノズルに共通の共通電極とノズル別の個別電極との間に駆動電圧を印加することにより前記各ノズルから液体の吐出を行う液吐出ヘッドの駆動装置であって、共通電極と個別電極との間に駆動電圧パルスを供給する駆動パルス発生回路と、複数の電圧を供給可能な電源回路と、制御手段とを備え、制御手段は、駆動パルス発生回路及び電源回路を制御することにより、粘度特性の異なる複数種類の液をそれぞれ吐出するノズル群毎に、そのノズル群から吐出する液を、その液の粘度特性に応じて予め決定された駆動電圧による駆動で吐出させるようにし、且つ、その吐出タイミングをノズル群毎に異ならせるものである。これにより、1つの液吐出ヘッドで、粘度特性の異なる複数種類の液を、それぞれ安定した吐出状態で吐出することが可能となる。
また、本発明に係る液吐出ヘッド駆動装置は、全ノズルに共通の共通電極としての振動板と個別電極とを備えた静電駆動式の液吐出ヘッドを駆動対象としたものである。これにより、低消費電力且つ低コストでありながら上述の効果を備えた液吐出ヘッドを構成できる。
また、本発明に係る液吐出ヘッド駆動装置は、主走査方向に往復移動しつつ吐出動作を行うシリアルタイプの液吐出ヘッドを駆動対象としたものである。このように、本発明の装置は、シリアルタイプの液吐出ヘッドの駆動に適用できる。
また、本発明に係る液吐出ヘッド駆動装置は、上記駆動電圧が、各ノズル群の個々のノズルから液を吐出する際の吐出状態が安定吐出されるように設定されたものである。これにより、吐出特性がばらつくことによる印刷物の品質低下を防止することができる。
また、本発明に係る液吐出ヘッド駆動装置は、上記粘度特性の異なる複数種類の液として、着色剤を含むインクと、着色剤を含まない液とを少なくとも含むものである。このような液を吐出液として用いることができる。
また、本発明に係る液吐出ヘッド駆動装置は、上記着色剤を含まない液として、樹脂を含む液を用いたものである。これにより、インクに対して実質的に非吸収性である記録媒体に画像を形成するに際し、各液体をそれぞれ安定して吐出することが可能となり、吐出特性がばらつくことによる印刷品質の低下を防止できる。また、インクに対して実質的に非吸収性である記録媒体に画像を形成し、その後、画像形成部分をコーティングする際にも、各液体をそれぞれ安定して吐出することが可能となる。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1に係る液吐出ヘッドの駆動方法について説明する。
実施の形態1に係る液吐出ヘッドの構造は、従来のインクジェットプリンタで用いられるインクジェットヘッドの構造のままとしながらも、後述の図1に示すようなノズル群51a,51b毎に、粘度特性の異なる液を、その液の粘度特性に応じて予め決定された駆動電圧による駆動で吐出させるようにし、且つ、その吐出タイミングをノズル群毎に異ならせることで、粘度特性の異なる複数種類の液体を、1つの液吐出ヘッドからそれぞれ安定した吐出状態で吐出を行うことを可能としたものである。
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1に係る液吐出ヘッドの駆動方法について説明する。
実施の形態1に係る液吐出ヘッドの構造は、従来のインクジェットプリンタで用いられるインクジェットヘッドの構造のままとしながらも、後述の図1に示すようなノズル群51a,51b毎に、粘度特性の異なる液を、その液の粘度特性に応じて予め決定された駆動電圧による駆動で吐出させるようにし、且つ、その吐出タイミングをノズル群毎に異ならせることで、粘度特性の異なる複数種類の液体を、1つの液吐出ヘッドからそれぞれ安定した吐出状態で吐出を行うことを可能としたものである。
以下、液吐出ヘッド24の構造について説明する。なお、液吐出ヘッド24は、上述したように、従来のインクジェットヘッドと同様の構造である。インクジェットヘッドで用いられているインクジェット方式には、静電駆動方式、圧電駆動方式、サーマル方式があり、いずれの方式に用いられるヘッドであっても使用可能であるが、本例では、消費電力が小さく、また小型で安価に構成できる静電駆動方式を採用したヘッドを用いている。
図1は、本発明の一実施の形態の液吐出ヘッド駆動装置の制御対象である液吐出ヘッドの分解斜視図である。図2は、図1の液吐出ヘッドのガラス基板の部分平面図である。図3は、図1の液吐出ヘッドの部分断面図である。図1〜図3に示す液吐出ヘッドは、静電駆動方式を採用したヘッドである。
これらの図に示すように、液吐出ヘッド24は、シリコン基板40を挟み、上側に同じくシリコン製のノズルプレート50、下側にシリコンと熱膨張率が近いホウ珪酸ガラス基板60がそれぞれ積層された3層構造となっている。
これらの図に示すように、液吐出ヘッド24は、シリコン基板40を挟み、上側に同じくシリコン製のノズルプレート50、下側にシリコンと熱膨張率が近いホウ珪酸ガラス基板60がそれぞれ積層された3層構造となっている。
中央のシリコン基板40には、互いに分離された共通液室42a,42bが複数(ここでは2つ)形成されており、各共通液室42a,42b毎に、その共通液室42a,42bに隣接して複数の液室41a,41bと、各液室41a,41bに連通している液供給路43a,43bとが形成されている。これら共通液室42a,42b、液室41a,41b、液供給路43a,43bは、シリコン基板40を、その表面からエッチングを施すことにより得られた溝により構成されている。これらの溝がノズルプレート50によって塞がれて、各部分41a,41b、42a,42b、43a,43bが区間形成されている。
ノズルプレート50には、複数のノズル52が形成されている。これら各ノズル52は、液室41aに連通する側と液室41bに連通する側とで、図1において点線で囲んだノズル群51aとノズル群51bに分けられる。そして、各ノズル群51a,51bにおいて各ノズル52a,52bが、それぞれ列状に並べられた構成となっている。ここで、本例では、共通液室42aには、外部の図示しないタンクから高粘度液体が供給されており、共通液室42bには、外部の図示しないタンクから低粘度液体が供給されており、各液は、それぞれ液供給路43a,43bを介して独立した各液室41a,41bに供給されている。よって、ノズル群51aを構成する各ノズル52aからは高粘度液体が吐出され、ノズル群51bを構成する各ノズル52bからは低粘度液体が吐出されるようになっている。なお、共通液室42a,42bが位置しているガラス基板60の部分には、これに連通する液供給口61a,61bがそれぞれ形成されており、この液供給口61a,61bを介して外部の図示しない各タンクから高粘度液体と低粘度液体が、それぞれ共通液室42a,42bに供給されるようになっている。
以下、その他の構成及び動作について説明するが、シリコン基板40,ノズルプレート50及びガラス基板60において、ノズル群51a側とノズル群51b側にそれぞれ連通する各部の構成及び動作は同じであるため、以下では、ノズル群51a側の例で説明する。
独立した各液室41aは、その底壁44aが薄肉とされて、面外方向、すなわち、図1において上下方向に弾性変位可能な振動板44aとして機能するように設定されている。したがって、この底壁44aの部分を、以後の説明の都合上、振動板44aと称して説明することもある。
独立した各液室41aは、その底壁44aが薄肉とされて、面外方向、すなわち、図1において上下方向に弾性変位可能な振動板44aとして機能するように設定されている。したがって、この底壁44aの部分を、以後の説明の都合上、振動板44aと称して説明することもある。
次に、シリコン基板40の下側に位置しているガラス基板60においては、その上面であるシリコン基板40との接合面には、シリコン基板40の各液室41aに対応した位置に、浅くエッチングされた凹部62が形成されている。したがって、各液室41aの底壁44aは、非常に僅かの隙間Gを隔てて凹部62が形成されたガラス基板からなる対向壁の表面62aに対峙している。
ここで、各液室41aの底壁44aは、共通電極として機能する。そして、各液室41aの底壁44aに対峙するように、ガラス基板60の凹部表面62aには、個別電極63aが形成されている。各液室41aの底壁44aの表面はシリコンの酸化膜からなる絶縁層により覆われている。このように、液室41aの底壁44aの表面に形成した絶縁層と間隙Gを挟み、各液室底壁44aすなわち振動板44aと、対応する各個別電極63aが対向電極を形成している。
図3に示すように、これらの対向電極の間に駆動電圧を印加するための液吐出ヘッド駆動装置100は、後述の図5に示す外部装置103からの印字信号に応じて、これらの対向電極間の充放電を行う。液吐出ヘッド駆動装置100の一方の出力は個々の個別電極63aに接続され、他方の出力はシリコン基板40に形成された共通電極端子45に接続されている。シリコン基板40自体は導電性をもつため、この共通電極端子45から底壁44aの共通電極に電圧を供給することができる。また、より低い電気抵抗で共通電極に電圧を供給する必要がある場合には、例えば、シリコン基板40の一方の面に金等の導電性材料の薄膜を蒸着やスパッタリングで形成すればよい。本例では、シリコン基板40の流路形成面側に導電膜を形成し共通電極45を設けてある。
図4は、液吐出ヘッドの部分断面図である。特に、個別電極63aと振動板44aの間に駆動電圧を印加したときの振動板44aとメニスカスの動作を示した図である。このように構成した液吐出ヘッド24においては、液吐出ヘッド駆動装置100からの駆動電圧が対向電極間に印加されると、対向電極間に充電された電荷によるクーロン力が発生し、底壁(振動板)44aは個別電極63aの側へ撓み、液室41aの容積が拡大する。次に、液吐出ヘッド駆動装置100からの駆動電圧を解除して対向電極間の電荷を放電すると、振動板44aはその弾性復帰力によって復帰し、液室41aの容積が急激に収縮する。この時発生する液圧力により、液室41aを満たす吐出液の一部が、この液室41aに連通しているノズル52aから液柱となって吐出する。吐出後、吐出液は自ら表面張力により液滴を形成し、液滴となって印刷面へ着弾する。
図5は、液吐出ヘッド駆動装置の概略ブロック図である。
液吐出ヘッド駆動装置100は、本発明の制御手段の一部を構成する液吐出ヘッド制御手段102を有し、この液吐出ヘッド制御手段102は、CPUを中心に構成されている。すなわち、CPUには外部装置103からバスを介して印刷情報が供給される。CPUには、内部バスを介してROM、RAMおよびキャラクタージェネレータ104が接続されており、RAM内の記憶領域を作業領域として用いて、ROM内に格納されている制御プログラムを実行し、キャラクタージェネレータ104から発生するキャラクター情報に基づき、液吐出ヘッド駆動用の制御信号を生成する。ゲートアレイ105はCPUから制御信号によりヘッドドライバIC243へ印刷情報に対応した駆動制御信号を供給すると共に、駆動パルス発生回路106へ、駆動電圧パルスを生成するための制御信号を供給する。
液吐出ヘッド駆動装置100は、本発明の制御手段の一部を構成する液吐出ヘッド制御手段102を有し、この液吐出ヘッド制御手段102は、CPUを中心に構成されている。すなわち、CPUには外部装置103からバスを介して印刷情報が供給される。CPUには、内部バスを介してROM、RAMおよびキャラクタージェネレータ104が接続されており、RAM内の記憶領域を作業領域として用いて、ROM内に格納されている制御プログラムを実行し、キャラクタージェネレータ104から発生するキャラクター情報に基づき、液吐出ヘッド駆動用の制御信号を生成する。ゲートアレイ105はCPUから制御信号によりヘッドドライバIC243へ印刷情報に対応した駆動制御信号を供給すると共に、駆動パルス発生回路106へ、駆動電圧パルスを生成するための制御信号を供給する。
駆動パルス発生回路106は、液吐出ヘッド24に駆動電圧パルスを供給する回路である。駆動パルス発生回路106は、ゲートアレイから制御信号を供給されて、駆動電圧パルスを発生し、ヘッドドライバIC243へ駆動電圧パルスVpを供給する。駆動パルス発生回路106では駆動電圧パルスのパルス長、パルスの立ち上がり時間、立ち下がり時間等、パルス信号生成条件に関する制御信号より、駆動パルス波形を生成する。
駆動制御信号および駆動電圧パルスはコネクタ241を経由して、ヘッド基板242に形成されたヘッドドライバIC243に供給される。ヘッド基板242には、複数の電圧を印加可能な電源及び電源回路110が接続されており、ヘッドドライバIC243には、電源及び電源回路110から高耐圧系の駆動電源(Vh0)および論理回路系の駆動電圧(Vcc)が供給されて動作するようになっている。
ここで、本発明は、上述したように1つの液吐出ヘッド24からそれぞれ粘度特性の異なる複数種類の液を安定した吐出状態で吐出できるようにしたものであり、以下の方法によりこれを実現している。すなわち、粘度特性の異なる複数種類の液を、その液の粘度特性に応じて予め決定された駆動電圧による駆動で各ノズル52a,52bから吐出させるようにし、且つ、その吐出タイミングをノズル群51a,51b毎に異ならせるようにしている。この駆動電圧は、各ノズル群51a,51bからそれぞれ吐出液を吐出する際に、それぞれ安定した吐出状態が得られるように最適化されたものである。
ここで、液の粘度特性によって予め決定される駆動電圧は、液の種類毎に異なったものとなる。よって、ノズル群51a,51b別に、異なる駆動電圧で吐出動作を実施させることになる。また、本例の液吐出ヘッド24において各ノズル52a,52bに対応する各振動板44a,44bは、全ノズルに共通の共通電極となっていることから、ノズル群51aのノズル52aに対応する対向電極と、ノズル群51bのノズル52bに対応する対向電極の両方に、同時に異なる駆動電圧を供給することはできない。このため、本発明においては、ノズル群51a,51b毎に吐出タイミングを異ならせることにより、ノズル群51a,51b毎に、異なる駆動電圧での吐出動作を可能としている。
具体的な駆動制御としては、CPUの制御により、駆動すべきノズルから吐出される液の粘度特性に応じて予め決定された駆動電圧が、電源及び電源回路110からヘッドドライバIC243に供給される。そして、ヘッドドライバIC243が、駆動パルス波形と、電源及び電源回路110からの駆動電圧とにより波形を調整して、後述の図7に示すような波形の駆動電圧パルスを、該当ノズルを駆動させるための対向電極間に印加する。そして、そのノズルから吐出される液の粘度特性に応じて予め決定された駆動電圧が、電源及び電源回路110からヘッドドライバIC243に供給される。以降の動作は上述と同様である。
なお、粘度は温度によって変化する。このため、液吐出ヘッド24の近傍には温度を検知する温度センサ(図示せず)が設けられており、温度センサの検知信号が液吐出ヘッド駆動装置100に入力されるようになっている。そして、ROMには、温度と駆動電圧との対応テーブルが吐出液毎に予め格納されており、液吐出ヘッド駆動装置100は、温度に基づいて各対応テーブルを参照し、各ノズルに対応する対向電極に供給する各駆動電圧を決定し、その各駆動電圧がそれぞれ該当ノズルに対応する対向電極に供給されるように電源及び電源回路110を制御している。
ヘッドドライバIC243は、供給された駆動制御信号により、駆動電圧パルスと接地電位GNDとを切り換えて、液吐出ヘッド24の各ノズル52a,52bに対応する対向電極間に印加する。この結果、対向電極間に駆動電圧パルスにより電位差が生じた振動板44a,44bは、対向配置された個別電極63a,63b側に吸着される。電位差が保持されている対向電極間では、振動板44a,44bが個別電極63a,63bに吸着されてそこに吸着された状態に保持される。電位差が急激に解除され変化が生じた対向電極に対応するノズル52a,52bでは、振動板44a,44bが振動して液滴が吐出される。
図6は、共通電極である振動板と個別電極の間に印加される駆動電圧のパルス波形の一例を示してある。このような駆動電圧パルスは、ヘッドドライバIC243によって生成されるものである。なお、ヘッドドライバIC243は、本発明における制御手段の一部を構成する。
まず、図6(d)には、駆動電圧Vpの基本電圧パルス波形を示してある。この基本電圧波形の1パルス毎に1回のインク液滴の吐出動作が行われる。この基本電圧波形パルスでは、その立ち上がり(時点t1からt2の間)が急峻であり、その立ち下がり(時点t4からt5の間)は緩やかな勾配とされている。
共通電極として機能する各振動板44の印加電圧は、図6(a)に示すように、第1の吐出サイクルである時点t1〜t5では基本電圧波形と同一形状の電圧パルスとされ、その後接地電位GNDに保持される。ノズル52の個別電極63電位、すなわち振動板44の電位は、図6(b)に示すように、時点t1から時点t3までの間は接地電位に保持され、時点t3において急峻に共通電極電位まで立ち上げられ、この後は、時点t5まで共通電極電位と同一電位に保持される。この結果、ノズル52における振動板44と個別電極63の電位差は、図6(c)に示すように、時点t1〜t3の間は正電位差状態に保持される。換言すると、振動板44を個別電極63に吸着する静電力が発生する。これら以外の時点では電位差無しの状態に保持され、静電力は発生しない。
よって、時点t1から振動板44が急激に個別電極63に向けて吸着され、そこに吸着された状態になり、時点t3において振動板44が急激に個別電極63から離脱して弾性復帰する。この振動板44の動作によって、ノズル52からは、時点t3から所定時間後の時点で液滴が吐出される。
以上の図6の説明により、共通電極である振動板44と個別電極63の間に印加される駆動電圧のパルス波形について明らかになったところで、以下、本発明の特徴部分の動作を実現するための駆動電圧波形の一例を示して説明する。
図7は、各ノズル群のノズルから吐出動作を行わせる際に、そのノズルに対応する対向電極間(共通電極と個別電極の間)に印加される駆動電圧のパルス波形を示した図である。特に、図7(1)はノズル群51a側(高粘度の液を吐出する側)から吐出動作を行なわせる際の波形、図7(2)はノズル群51b側(低粘度の液を吐出する側)から吐出動作を行なわせる際の波形を示している。
図7に示すように、ノズル群51a側から吐出動作を行わせる際には、ノズル群51b側から吐出動作を行わせる場合に比べて高い駆動電圧が供給され、且つ、(c)に示すように、ノズル群51a側のみにおいて電極間電位差が得られるような波形となっている。また、ノズル群51b側から吐出動作を行わせる際には、ノズル群51a側から吐出動作を行わせる場合に比べて低い駆動電圧が供給され、且つ、(e)に示すように、ノズル群51b側のみにおいて電極間電位差が得られるような波形となっている。このようにして駆動されることにより、異なる粘度特性の液を吐出するノズル群51aと、ノズル群51bから、高粘度液体と低粘度液体それぞれの液滴が、本例では互いにほぼ同じ吐出速度及び吐出量で吐出される。また、図7(c)(e)に示す波形のタイミングから明らかなように、ノズル群51aとノズル群51bの吐出タイミングは互いに異なったものとなっている。
以上説明したように、本実施の形態1においては、ノズル群51a,51b毎に、粘度特性の異なる複数種類の液を吐出させる場合に、その液の粘度特性に応じて予め決定された駆動電圧による駆動で吐出させるようにし、且つ、その吐出タイミングをノズル群51a,51b毎に異ならせるようにしたので、1つの液吐出ヘッドで、それぞれの液を、それぞれ安定した吐出状態で吐出することが可能となる。また、温度変化による吐出液の粘度変化に対応可能で、常に安定した吐出状態を維持できる。
また、液吐出ヘッド24が、インクジェット法を用いた吐出を行うヘッドであり、本例では、特に静電駆動方式を採用したヘッドであるため、低消費電力且つ低コストでありながらも上述の効果を備えた液吐出ヘッドを構成できる。また、本発明を有効に利用できる液吐出ヘッドとしては、主走査方向に往復移動しつつ吐出動作を行うシリアルタイプのヘッドがある。
24 液吐出ヘッド、44a,44b 振動板、51a,51b ノズル群、52a,52b ノズル、63a,63b 個別電極、100 液吐出ヘッド駆動装置、102 液吐出ヘッド制御手段(制御手段)106 駆動パルス発生回路、110 電源及び電源回路(電源回路)、243 ヘッドドライバIC(制御手段)。
Claims (12)
- 複数のノズルから構成されるノズル群を複数有し、各ノズルそれぞれからインクジェット法による液体の吐出を行う液吐出ヘッドの駆動方法であって、
前記ノズル群毎に粘度特性の異なる複数種類の液を吐出させる場合、その液の粘度特性に応じて予め決定された駆動電圧による駆動で吐出させるようにし、且つ、その吐出タイミングをノズル群毎に異ならせるようにしたことを特徴とする液吐出ヘッドの駆動方法。 - 前記液吐出ヘッドが、全ノズルに共通の共通電極としての振動板と個別電極とを備えた静電駆動式のものであることを特徴とする請求項1記載の液吐出ヘッドの駆動方法。
- 前記液吐出ヘッドが、主走査方向に往復移動しつつ吐出動作を行うシリアルタイプであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の液吐出ヘッドの駆動方法。
- 前記駆動電圧は、前記各ノズル群の個々のノズルから液を吐出する際の吐出状態が安定吐出されるように設定されたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の液吐出ヘッドの駆動方法。
- 粘度特性の異なる複数種類の液とは、インクと、着色剤を含まない液とを少なくとも含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の液吐出ヘッドの駆動方法。
- 前記着色剤を含まない液として、樹脂を含む液を用いることを特徴とする請求項5記載の液吐出ヘッドの駆動方法。
- 複数のノズルから構成されるノズル群を複数有し、全ノズルに共通の共通電極とノズル別の個別電極との間に駆動電圧を印加することにより前記各ノズルから液体の吐出を行う液吐出ヘッドの駆動装置であって、
共通電極と個別電極との間に駆動電圧パルスを供給する駆動パルス発生回路と、複数の電圧を供給可能な電源回路と、制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記駆動パルス発生回路及び前記電源回路を制御することにより、粘度特性の異なる複数種類の液をそれぞれ吐出するノズル群毎に、そのノズル群から吐出する液を、その液の粘度特性に応じて予め決定された駆動電圧による駆動で吐出させるようにし、且つ、その吐出タイミングをノズル群毎に異ならせることを特徴とする液吐出ヘッド駆動装置。 - 前記液吐出ヘッドが、全ノズルに共通の共通電極としての振動板と個別電極とを備えた静電駆動式のものであることを特徴とする請求項7記載の液吐出ヘッド駆動装置。
- 前記液吐出ヘッドが、主走査方向に往復移動しつつ吐出動作を行うシリアルタイプであることを特徴とする請求項7又は請求項8の何れかに記載の液吐出ヘッド駆動装置。
- 前記駆動電圧は、前記各ノズル群の個々のノズルから液を吐出する際の吐出状態が安定吐出されるように設定されたものであることを特徴とする請求項7乃至請求項9の何れかに記載の液吐出ヘッド駆動装置。
- 粘度特性の異なる複数種類の液とは、インクと、着色剤を含まない液とを少なくとも含むことを特徴とする請求項7乃至請求項10の何れかに記載の液吐出ヘッド駆動装置。
- 前記着色剤を含まない液として、樹脂を含む液を用いることを特徴とする請求項11記載の液吐出ヘッド駆動装置。
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