JP2005140910A - キャリア及び二成分系現像剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 キャリア付着の抑制と長期にわたる画像安定性を達成できるキャリア及び二成分系現像剤を提供する。
【解決手段】 キャリア用結着樹脂と磁性体とを含有するキャリアにおいて、少なくともキャリア用結着樹脂及び磁性体を有機溶媒中に溶解又は分散させて調製された混合溶液を、水性媒体中に導入して懸濁し造粒することにより得られるキャリアであって、体積平均粒径が15〜80μmであり、見かけ密度が1.2〜2.4g/cmであるキャリアを用いる。これを、結着樹脂と着色剤とワックスとを含有するトナー粒子と酸化チタンとを含有し、重量平均粒径が3.00μm〜9.00μmであり、5.04μm以下の粒径のトナーを20〜70個数%、4.00μm以下の粒径のトナーを3〜40個数%、8.00μm以上の粒径のトナーを3〜70体積%、10.08μm以上の粒径のトナーを35体積%以下含有するトナーと混合して二成分系現像剤を構成する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法等に用いられるキャリア及び二成分系現像剤に関する。
二成分系現像剤は、キャリアがトナーの攪拌・搬送・帯電等の機能を分担し、現像剤としての機能がトナーと分離されているため、帯電制御性がよい等の特徴があり、現在広く用いられている。特に高画質を要求されるフルカラー複写機又はフルカラープリンタ等のフルカラー画像形成装置では好適に用いられている。
二成分系現像剤に使用されるキャリアとしては、鉄粉キャリア、フェライトキャリア、又は磁性体微粒子をキャリア用結着樹脂中に分散した磁性体分散型樹脂キャリア(例えば、特許文献1、2参照。)が知られている。従来用いられている磁性体分散型樹脂キャリアは、粒子に形状的な歪みが少なく、球形形状にすることが比較的に容易であるため、流動性に優れている。
ところが、従来用いられている磁性体分散型樹脂キャリアは、トナー飛散の防止や、耐久性を追求する上で改良すべき点を有している。そのため磁性体分散型樹脂キャリアにおいて、物理的変形手段を用いて形状を制御する手段が試みられている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、このような物理的変形手段を用いると、形状のばらつきやキャリアの粒度分布が広くなるというデメリットが生じることがある。
また、磁性体分散型樹脂キャリアの形状を制御する技術としては、溶融混練物を粉砕した樹脂微粒子を不溶な分散液に分散させる工程後、溶解させて、不溶な液体に膨潤することにより球形形状のキャリアを得る方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。しかしながら、この方法は、工程が複雑でコストがかかる。また、得られたキャリアの形状が球形に近いことから比表面積が小さく、膨潤させていることから十分な強度も得られにくいため、耐久性の面で適用できる範囲が狭く、さらにこれらは、トナースペント、トナー飛散に対していまだ検討の余地が残されているのが現状である。
例えば、トナー粒子の表面には、帯電特性、流動性及び転写性向上を目的として無機微粒子を適宜添加することが好ましいが、このような無機微粒子を外添したトナーと組み合わせて磁性体分散型樹脂キャリアを用いる場合には、磁性体分散型樹脂キャリアの粒子表面に無機微粒子が付着してしまうという、所謂外添剤付着現象が生じてしまうことがある。その結果、キャリアがトナーに与えるべき帯電性能が低下することに加えて、トナー自身の帯電特性、流動性、転写性が損なわれてしまい画像欠陥を引き起こしてしまうことがある。
また、球形に近く、表面が比較的平滑な従来多く用いられている磁性体分散型キャリアを用いる場合、十分な画像濃度を得るために必要なコントラストを大きくしなければならないが、そうすることによって、キャリアが感光体に付着するキャリア付着に対する許容幅が小さく、プリントする画像によってはキャリアが感光体側に移行することによって生じる画像欠陥が生じることがある。
特開平5−216286号公報 特開平5−297632号公報 特開平7−271103号公報 特開2000−112182号公報
本発明は、従来の技術における上記した問題を解決するためになされたものである。即ち、高画質を満足した画像を安定的に形成できるキャリア及び二成分系現像剤を提供することを課題とする。
より具体的には、優れた帯電性及び耐キャリア付着性能を有し、長寿命化に寄与できるキャリア及び二成分系現像剤を提供することを課題とする。
さらに、本発明の目的は、トナー飛散、カブリに対する許容幅が大きく、濃度ムラの無い画質の優れた現像が可能なキャリア及び二成分系現像剤を提供することである。
本発明のキャリアは、トナーとキャリアとを含有する二成分系現像剤に用いられ、キャリア用結着樹脂と磁性体とを含有するキャリアにおいて、少なくとも前記キャリア用結着樹脂及び磁性体を有機溶媒中に溶解又は分散させて調製された混合溶液を、水性媒体中に導入して懸濁し造粒することにより得られるキャリアであって、前記キャリアの体積平均粒径が15〜80μmであり、前記キャリアの見かけ密度が1.2〜2.4g/cmであることを特徴とする。
また、本発明の二成分系現像剤は、トナーとキャリアとを含有する二成分系現像剤であって、前記キャリアは、キャリア用結着樹脂と磁性体とを含有し、少なくとも前記キャリア用結着樹脂及び磁性体を有機溶媒中に溶解又は分散させて調製された混合溶液を、水性媒体中に導入して懸濁し造粒することにより得られ、前記キャリアの体積平均粒径が15〜80μmであり、前記キャリアの見かけ密度が1.2〜2.4g/cmであり、前記トナーは、結着樹脂と着色剤とワックスとを含有するトナー粒子と、このトナー粒子に外添されている酸化チタンとを含有し、前記トナーの重量平均粒径が3μm〜9μmであり、5.04μm以下の粒径を有するトナーを20〜70個数%含有し、4.00μm以下の粒径を有するトナーを3〜40個数%含有し、8.00μm以上の粒径を有するトナーを3〜70体積%含有し、かつ10.08μm以上の粒径を有するトナーを35体積%以下含有することを特徴とする。
本発明によれば、少なくともキャリア用結着樹脂及び磁性体を有機溶媒中に溶解又は分散させて調製された混合溶液を、水性媒体中に導入して懸濁造粒することにより得られ、体積平均粒径が15〜80μmであり、見かけ密度が1.2〜2.4g/cmであるキャリアを用いることで、キャリア付着を抑制することができるとともに、長期にわたるトナー劣化及びトナースペントを抑制することができ、トナー飛散、カブリのない画像安定性を達成することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるキャリアは、キャリア用結着樹脂と磁性体とを含有するキャリアにおいて、少なくともキャリア用結着樹脂及び磁性体を有機溶媒中に溶解又は分散させて調製された混合溶液を、水性媒体中に導入して懸濁し造粒することにより得られるキャリアであって、キャリアの体積平均粒径が15〜80μmであり、キャリアの見かけ密度が1.2〜2.4g/cmである。
本発明者らが鋭意検討した結果、磁性体分散型樹脂キャリアを懸濁造粒によって製造することで、所望の粒径を得ることができ、見かけ密度が低く、かつ、球形に近いものから不定形のものまで、幅広い範囲の形状のキャリア粒子を制御することが可能であることが見出された。
このような、球形に近いものから不定形のものまでの幅広い範囲の形状に制御されているキャリアを用いることによって、キャリアの粒径を必要以上に小さくすること無く、キャリアの比表面積を大きくすることができる。このため、トナーの濃度の変動に対する許容幅が広く、外添剤等の微粒子の付着に対して許容幅が広い。したがって、耐久性が優れており、キャリアへの微粒子等の付着の抑制と長期にわたる画像安定性を達成できる。
本発明におけるキャリアを具体的に説明する。
本発明のキャリアは、少なくともキャリア用結着樹脂及び磁性体を含有する。本発明において、キャリア用結着樹脂として使用される樹脂には、種々の公知の樹脂を用いることができる。前記キャリア用結着樹脂は、単独でもまた、いくつかの種類の樹脂を組み合わせてもよい。前記キャリア用結着樹脂としては、例えば、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ジエン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、クマリン樹脂、アミド樹脂、アミドイミド樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
特に本発明では、後述するキャリア表面の樹脂コート工程を省略する場合に、キャリア用結着樹脂としてフッ素系樹脂を用いることが好ましい。本発明のキャリアと、ワックス等の離型剤を含んでいるようなトナーとを用いる場合においては、トナーの表面近傍の離型剤によってトナーの流動性が悪くなる場合がある。さらに、現像容器中での二成分系現像剤にストレスがかかるようにもなり、長期間使用するに従って、前記離型剤等によるキャリアの表面の汚染による現像性の低下等を生じやすい。そこで、特にキャリアの耐汚染性を高めるために、フッ素原子を有する重合体を有するフッ素系樹脂をキャリア用結着樹脂の一部又は全部として用いることが好ましい。
前記フッ素系樹脂としては、公知のフッ素系樹脂の一種又は二種以上を用いることができる。このようなフッ素系樹脂としては、具体的には、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフルオロクロロエチレンの如きパーフルオロポリマー;ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体;フッ化ビニリデンとトリフルオロクロロエチレンとの共重合体;テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体;フッ化ビニルとフッ化ビニリデンとの共重合体;及びフッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとの共重合体等が挙げられる。
前記フッ素系樹脂として特に本発明に好ましく用いられるものとしては、パーフルオロ化アルキルユニットを少なくとも有する、(メタ)アクリル酸パーフルオロアルキル重合体又は共重合体を有する樹脂である。これらを用いた場合においては、キャリア表面に樹脂コートを行うことがなくても、例えばキャリアの表面の汚染に対して十分な性能を得ることが可能である。
さらに好ましくは、パーフルオロアルキル化ユニットとしては、下記一般式(1)又は下記一般式(2)で示されるパーフルオロアルキル化ユニットを有する(メタ)アクリル酸又はそのエステルの重合体又は共重合体であることが、キャリアの強度とトナーに対するキャリアの離型性とを両立させる上で好ましい。下記一般式(1)又は一般式(2)に
おいてmが4乃至8であることがより好ましい。
Figure 2005140910
(式中、mは0乃至10の整数を示す。)
Figure 2005140910
(式中、mは0乃至10の整数を示し、nは1乃至15の整数を示す。)
前記パーフルオロアルキル化ユニット有する(メタ)アクリル酸又はそのエステルに共重合させるモノマー成分としては、公知のモノマー成分を用いることができる。このようなモノマー成分としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン等のアルキルスチレン;フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン等のハロゲン化スチレン;ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸、α−メチルクロトン酸、α−エチルクロトン酸、イソクロトン酸、チグリン酸、ウンゲリカ酸等の付加重合性不飽和脂肪族モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、ジヒドロムコン酸等の付加重合性不飽和脂肪族ジカルボン酸;前記付加重合性不飽和カルボン酸とアルコールとのエステル化物;前記付加重合性不飽和カルボン酸より誘導されるアミド及びニトリル;エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン等の脂肪族モノオレフィン;塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、1,2−ジクロロエチレン、1,2−ジブロモエチレン、1,2−ジヨードエチレン、塩化イソプロペニル、臭化イソプロペニル、塩化アリル、臭化アリル、塩化ビニリデン等のハロゲン化脂肪酸オレフィン;1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ヘキサジエン、3−メチル−2,4−ヘキサジエン等の共役ジエン系脂肪族ジオレフィン;4−ビニルピリジン、2−ビニル−6−メチルピリジン、2−ビニル−5−メチルピリジン、2−ビニル−5−メチルピリジン、4−ブテニルピリジン、4−ペンチルピリジン、N−ビニルピペリジン、4−ビニルピペリジン、4−ビニルピペリジン、N−ビニルジヒドロピリジン、N−ビニルピロール、2−ビニルピロール、N−ビニルピロジン、N−ビニルピロリジン、2−ビニルピロリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニルカルバゾール等の含窒素ビニル系モノマー等が挙げられる。
また、前記付加重合性不飽和カルボン酸とアルコールとのエステル化物としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミノアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、ドデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール等のアルキルアルコール;これらのアルキルアルコールを一部アルコキシ化した、メトキシエチルアルコール、エトキシエチルアルコール、エトキシエトキシエチルアルコール、メトキシプロピルアルコール、エトキシプロピルアルコール等のアルコキシアルキルアルコ
ール;ベンジンアルコール、フェニルエチルアルコール、フェニルプロピルアルコール等のアラルキルアルコール;アリルアルコール、クロトニルアルコール等のアルケニルアルコールとのエステル化物等が挙げられる。
また、アルケニルアルコールとのエステル化物としては、好ましくは、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル(メチルメタクリレートを除く)、フマル酸アルキルエステル、マレイン酸アルキルエステル等が挙げられる。
前記パーフルオロアルキル化ユニット有する(メタ)アクリル酸又はそのエステルに共重合させるモノマー成分は、単独でも或いは二種以上組み合わせて使用してもよい。
また、本発明のキャリアでは、前記キャリア用結着樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合には、前記熱可塑性樹脂は、テトラヒドロフラン(THF)の可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)において、重量平均分子量が20,000乃至300,000であることが、キャリアの強度の点で好ましい。
本発明のキャリアに用いられる磁性体には、公知の磁性体を用いることができる。このような磁性体としては、例えば鉄、コバルト等の強磁性体金属、各種合金、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化鉄等の微粒子が挙げられる。前記磁性体は、特にマグネタイト微粒子であるか、磁性フェライト微粒子であることが、キャリアの残留磁化及び保磁力を制御する上で好ましい。
また、前記磁性体は個数平均粒径が0.02〜2.00μmであることが、キャリア粒子表面の均一性の点で好ましい。
さらに好ましくは、これらの磁性体で粒径の異なるものを二種類以上併用して用いることが好ましい。特に、粒径が0.20〜0.40μmのものと、粒径が0.45〜0.95とを併用した場合、磁性体の分散状態がより均一になりやすいことから、本発明のキャリアにおいて好ましい磁気特性が得られる。
本発明では、キャリアの磁気特性を変えるために、キャリアコア中には前記磁性体に加えて非磁性の無機化合物からなる非磁性無機化合物微粒子を配合しても良い。前記磁性体と非磁性無機化合物微粒子とは、合計量で60〜95質量%(キャリア基準、より好ましくは、70〜92質量%)含有されていることが、キャリアコアの機械的強度との関係で好ましい。
非磁性無機化合物微粒子の具体例としては、ヘマタイト(α−Fe)、酸化チタン、酸化マグネシウム、アルミナ、シリカ等が挙げられる。
また、非磁性無機化合物微粒子は、比抵抗値が10Ωcm以上のもので、かつ多くの前記磁性体の比抵抗値が含まれる10Ωcm〜10Ωcmよりも比抵抗値が大きいものが、キャリアの帯電量をコントロールしやすいことから好ましい。
また、非磁性無機化合物微粒子の個数平均粒径は、前記磁性体の個数平均粒径よりも大きい方が、キャリアの比抵抗値を高め、キャリアの見かけ密度を小さくする上で好ましい。より具体的には、非磁性無機化合物微粒子の個数平均粒径は0.05〜5.00μmであることが好ましい。
前記磁性体及び非磁性無機化合物微粒子の総量に対して、前記磁性体は30〜100質量%含まれていることが、キャリアの磁気力を調整してキャリア付着を防止し、さらに、
キャリアの比抵抗値を調整する上で好ましい。
また、非磁性無機化合物微粒子としてヘマタイト(α−Fe)の微粒子を用いることが、キャリアの飽和磁化、キャリアの表面性を調整する上で、より好ましい。
本発明のキャリアは、少なくとも前記キャリア用結着樹脂及び磁性体を有機溶媒中に溶解又は分散させて調製された混合溶液を、水性媒体中に導入して懸濁し造粒することにより得られる。本発明において、キャリア用結着樹脂、磁性体及び必要に応じて用いるその他の添加剤は、樹脂が溶解可能な前記有機溶媒中に、溶解又は分散され、油相(混合溶液)が形成される。その油相には、必要に応じて、磁性体以外の微粒子、帯電制御剤等の内添物質を分散させてもよい。
前記有機溶媒に使用できる溶剤は、キャリア用結着樹脂の構成成分にも依存するが、一般に、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素;塩化メチレン、クロロフォルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;エタノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エーテル、テトラヒドロフラン等のアルコール又はエーテル;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン等のケトン類が挙げられる。
これらの有機溶媒は、キャリア用結着樹脂を溶解させる必要が有るが、磁性体、その他の添加剤は溶解してもしなくてもよい。前記混合溶液を構成するキャリア成分と有機溶媒との重量比(キャリア成分/有機溶媒)は、20/80から50/50であることが、造粒のし易さあるいは最終的なキャリア収率の点で好ましい。
得られた前記混合成分は、水相(水性媒体)中に導入され、懸濁され、所定の粒径になるように造粒される。前記水性媒体の主成分は水である。前記水性媒体は、前記混合溶液が懸濁によって粒を形成する程度の疎水性を発現するものであれば特に限定されない。前記水性媒体には、必要に応じて以下の無機分散安定剤、及び/又は親水性コロイドを形成する有機分散安定剤等の分散安定剤を添加してもよい。
無機分散安定剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、珪酸ケイソウ土、粘土、フッ化カルシウム等が挙げられる。これらの無機分散安定剤の粒径は、好ましくは0.1μm以下である。これらは、ボールミル、サンドミル、アトライター等の湿式分散器により所望の粒径まで粉砕した後使用するのが望ましい。無機分散安定剤は、単独で用いても、また二種類以上を混合して用いても良い。
前記有機分散安定剤としては、例えば具体的には、ゼラチン、ゼラチン誘導体(例えばアセチル化ゼラチン、フタル化ゼラチン、コハク化ゼラチン等)、アルブミン、カゼイン等の蛋白質類、コロジオン、アラビアゴム、寒天、アルギン酸、セルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロースのアルキルエステル、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等、合成高分子(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩)等が挙げられる。
これらの有機分散安定剤は、親水性コロイドを形成するものが好ましく、単独で用いても、また二種類以上を混合して用いても良い。
前記分散安定剤は、水性媒体中の水に対して0.001質量部以上5質量部以下の範囲で用いるのが好ましい。
前記水性媒体には、さらに分散安定補助剤を併用してもよい。分散安定補助剤には各種界面活性剤が好適に用いられる。このような界面活性剤としては、イオン性、非イオン性の界面活性剤類が挙げられる。具体的には、アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸等が挙げられる。カチオン活性剤としては、第一級乃至第三級のアミン塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。非イオン活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド等が挙げられる。
これらの分散安定補助剤は、単独で用いても、また二種類以上を混合して用いても良い。分散安定補助剤は、前記水性媒体中の水に対して0.001質量部〜5質量部以下の範囲で用いるのが好ましい。なお、水性媒体には、前述した成分のほかにも、前記混合成分の造粒を妨げない範囲で、水性有機溶剤等の他の成分を添加しても良い。
前記混合溶液と前記水性媒体との混合は、最終的なキャリアの粒径や、製造装置によっても異なるが、通常重量比(混合溶液/水性媒体)で、10/90〜90/10の範囲であることが好ましい。
水性媒体中での混合溶液の造粒は、例えば、各種ホモミキサ、ホモジナイザー、コロイドミル等の高速羽根回転型や強制間隔通過型の乳化機が好適に用いられる。
キャリアを造粒する工程では、この造粒工程中で、あるいは造粒工程後に前記有機溶媒を取り除く。有機溶媒の除去は、常圧で行っても良く、あるいは減圧で行っても良い。常圧で行う為には、有機溶媒の沸点より低く、かつキャリア用結着樹脂のガラス転移温度(Tg)を考慮した温度をかける必要がある。前記有機溶媒の除去が行われる際の温度がキャリア用結着樹脂のTgを大きく越えると、キャリアの合一が起こることがあり好ましくない。有機溶媒の除去は、通常70℃近傍で3〜24時間撹拌することにより行われることが好ましい。減圧する場合では20〜150mmHgで行われることが好ましい。
得られたキャリアは、キャリア表面に残存する分散安定剤等を取り除くために、溶剤除去後に、塩酸、硝酸、蟻酸、酢酸等の、無機分散安定剤を水溶化する酸類で洗浄してもよい。さらにその後、必要により水酸化ナトリウム等のアルカリ水で再度洗浄してもよい。これらの洗浄により、酸性雰囲気下に置かれることで不溶化したキャリア表面の一部のイオン性物質が、再度、可溶化して除去され、キャリアの帯電性や粉体流動性について好ましい。酸洗浄工程及びアルカリ洗浄工程を実施する場合、いずれの工程が先であってもよい。
これら、キャリア形成後の洗浄工程は、洗浄時のpH、洗浄の回数、洗浄時の温度等の条件の制御のほか、撹拌機や超音波分散装置等の分散手段を用いると洗浄が効果的に実施され、さらに好ましい。その後必要に応じてろ過、デカンテーション、遠心分離等のごとき工程を実施し、乾燥することにより、本発明のキャリアが得られる。
なお、本発明のキャリアの製造において、前記有機溶媒は、混合溶液中で磁性体等の不溶粒子を分散させるため、必要に応じて、比重を調整してもよい。前記有機溶媒の比重は、例えば異なる比重の有機溶剤を混合、溶解することによって調整することが可能である。
本発明のキャリアは、体積平均粒径が15〜80μmの範囲のものであり、好ましくは25〜60μmの範囲、より好ましくは30〜55μmの範囲のものである。体積平均粒径が15μmより小さいとキャリア飛散を生じやすく、80μmより大きいと高精細画像を得るには不適当である。キャリアの粒径を制御する方法は、特に限定されないが、例えば、適当な剪断や圧力がかかるように、前記混合溶液を水性媒体中に懸濁する際の撹拌装置の撹拌翼の周速度を調整する方法を用いることができる。
さらに、前記キャリアの10μm以下の粒子のキャリア全体に対する存在割合が、5.5個数%以下であることが好ましい。前記存在割合が5.5個数%を超えると、キャリア付着による画像欠陥を生じやすくなる。前記存在割合は、キャリアの体積平均粒径の調整や、生成したキャリアの分級や、分級品の混合等によって調整することが可能である。
また、本発明のひとつの目的である耐久でのトナー劣化を抑制する観点から、本発明のキャリアの見かけ密度は1.2から2.4g/cmである。さらに感光体へのキャリア付着を抑制するためには、見かけ密度が1.5から2.0g/cmであることが好ましい。キャリアの見かけ密度が1.2g/cm未満である場合においては、画像面積比率が大きい画像の出力、即ちトナーが大量に補給される場合に、混合不良を生じて、トナー飛散や、地カブリを発生することがある。キャリアの見かけ密度が2.4g/cmを超える場合、攪拌ストレスが大きいことから、トナースペントが起こることがある。キャリアの見かけ密度は、例えば磁性体の含有量や、前記混合溶液での造粒条件や、前述した非磁性無機化合物微粒子等の他の添加物の利用によって調整することが可能である。
本発明において、キャリアの形状係数SF−1の平均値が105乃至160であることが、流動性や帯電性とキャリアの耐久性との両立を達成する観点から好ましく、115〜150であることがより好ましい。前記形状係数SF−1の平均値が105未満である場合、キャリアの表面積が小さいために従来の多くのキャリアのようにトナーの微粒子や外添剤による汚染が早く進むことから、耐久性が劣ることがあり、160を超えると、二成分系現像剤の流動性が低下しやすくなり、現像スリーブ上での磁気ブラシの状態も平滑さを保持しにくくなる。
また、本発明におけるキャリアの形状や前記形状係数SF−1は、キャリア材料の処方及び造粒後のキャリアから溶剤を除去する工程条件等によって制御することができる。また、前記形状係数SF−1の平均値は、このようなキャリアの形状の制御や、形状が制御されたキャリアの混合等によって調整することが可能である。本発明によれば、従来の各種重合法、スプレー法等では制御できなかった形状に制御されたキャリアとすることが可能である。例えば、キャリア表面に微小な凹凸を形成することもできる。
本発明のキャリアは、BET法で測定した窒素吸着による比表面積の値が0.0520〜0.2000m/gであることが好ましい。より好ましくは、0.0670〜0.1600m/gである。前記比表面積の値がこの範囲にあることが、キャリアの形状を適切に制御し、二成分系現像剤の流動性を損なうことなく表面にトナー成分の付着しにくい耐久性の優れたキャリアを得る上でより好ましい。
本発明では、キャリアを構成する各キャリア粒子は、複数の粒子を懸濁造粒により結合させ、結合部分に生じた凹部を有しながら、隣接する複数の粒子を一体化させることにより生成することができる。このようにして生成された前記キャリア粒子は、複数の粒子がそれらの接触部分において結合し、一体化された構造を有するので、表面に凹部を有する。このような凹部を有することが、キャリアの体積平均粒径を小さくすることなく前記BET比表面積を上記範囲内へ制御する上で好ましい。前記比表面積の値は、キャリア用結
着樹脂の種類や前記混合溶液の造粒条件等によって調整することが可能である。
本発明のキャリアは、前述したものをそのままキャリアとして用いてもよく、さらにコートして用いてもよい。そのまま使用する際には、フッ素系樹脂等の特定の樹脂を用いることで、製造コストを低減しつつ、強度と耐スペント性を両立させ、耐久性を得ることが可能である。
一方、コートして使用する場合においては、造粒工程において、安価な樹脂、磁性体との密着性の良い樹脂等を前記キャリア用結着樹脂として用いることができる。このような樹脂としては例えば、アクリル系樹脂等が挙げられる。このように、キャリアの表面を樹脂によりコートする場合では、機能性や生産性等の観点から選択された前記キャリア用結着樹脂を用いることができる観点から好ましい。
樹脂コートを行う場合においては、キャリアの表面をコートする樹脂としては、熱可塑性の樹脂、熱硬化性樹脂等の公知の材料を用いることができ、特に限定されない。
具体的には、例えば、熱可塑性の樹脂としては、ポリスチレン;ポリメチルメタクリレートやスチレン−アクリル酸共重合体等のアクリル樹脂;スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等のビニル樹脂;ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフルオロカーボン樹脂、溶剤可溶性パーフルオロカーボン樹脂等のフッ素系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体;ノボラック樹脂、低分子量ポリエチレン、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート等の芳香族ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等を挙げることができる。
又、熱硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、或いは、無水マレイン酸とテレフタル酸と多価アルコールとの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。
上述した樹脂は、単独でも使用できるが、夫々を混合して使用してもよい。又、熱可塑性樹脂に硬化剤等を混合し硬化させて使用することもできる。好ましいものとして、シリコーン系もしくはフッ素系樹脂が挙げられる。このようなコート樹脂を用いることにより、トナー成分によるキャリアの汚染をより防止する効果がある。
さらに、キャリアをコートする樹脂には、必要に応じて、所望のキャリア抵抗値を得るために、導電性を有する粒子、荷電制御性を有する粒子等の、適当な電気的特性を有する粒子を含有させ、これによりキャリアの表面をコートしても良い。
前記導電性を有する粒子としては、比抵抗が1×10Ωcm以下のものが好ましく、さらには1×10Ωcm以下のものがよい。具体的には、カーボンブラック、マグネタイト、グラファイト、酸化亜鉛、酸化錫のうちから選ばれる少なくとも一種以上の粒子を含む粒子が好ましい。特に、良好な導電性を有するカーボンブラックであることが、トナ
ーへの帯電付与性(帯電量の立ち上がり)を良好にする上で好ましい。前記比抵抗は、前記粒子の種類や、前記粒子の表面における電気的特性の改質等によって調整することが可能である。
なお、キャリアの表面への前記樹脂のコート量は、キャリア100質量部に対し、0.1〜5.0質量部であることが、トナーへの帯電付与性や、耐久性の面で好適である。
また、本発明では、240kA/mの印加磁場に対する前記キャリアの飽和磁化が30〜90Am/kgであり、残留磁化が2.0〜20.0Am/kgであり、かつ保磁力が0.5〜20.0kA/mであることが好ましい。より好ましくは、飽和磁化が58〜78Am/kgであり、残留磁化が2.0〜18.0Am/kgであり、保磁力が0.5〜3.8kA/mである。
飽和磁化が90Am/kgを超える場合は、磁気ブラシの穂立ちが固くなり、攪拌時、現像剤規制ブレード等への衝撃が大きくなり易い傾向が見られる。また飽和磁化が30Am/kgに満たない場合は、機内等へのキャリアの飛散が生じやすくなる。また、残留磁化や保磁力が上記の値を外れると、現像器内での二成分系現像剤の搬送性が不安定となりやすく、耐久性が劣る傾向が見られる。
具体的には残留磁化が20.0Am/kgを超えるか、保磁力が20.0kA/mを超える場合は、二成分系現像剤の流動性が悪化しやすく、残留磁化が2.0Am/kg未満であり、保磁力が0.5kA/m未満であると、二成分系現像剤の流動性が高過ぎて十分に帯電しないトナーが生じる可能性がある。キャリアの前述した磁気特性は、例えば磁性体の種類の粒径、前記非磁性無機化合物粒子等の、キャリアへの他の添加剤の添加等により調整することが可能である。
本発明において、キャリアの比抵抗は、1×10〜1×1016Ωcmであることが好ましく。より好ましくは1×1011〜1×1015Ωcmであることが良い。
キャリアの比抵抗が1×10Ωcm未満であると、現像バイアスがキャリアに注入され易くなり、感光体表面へのキャリアの付着を起こし易くなる。これにより感光体に傷を生じさせたり、キャリアが直接紙上に転写されたりして画像欠陥を起こし易くなる。さらに、現像バイアスがキャリアを介してリークし、感光体ドラム上に描かれた静電潜像を乱してしまうことがある。
キャリアの比抵抗が1×1016Ωcmを超えると、エッジ強調の効いた画像が形成され易く、さらに、キャリア表面の電荷がリークしづらくなるため、チャージアップ現象による画像濃度の低下や、新たに補給されたトナーへの帯電付与ができなくなくなることによるカブリ及びトナーの飛散等を起こしてしまうことがある。さらに、現像器の内壁等へ接触により帯電してしまい、本来与えられるべきトナーの帯電量が不均一になってしまうこともある。その他、キャリアへの静電気的な外添剤の付着による画像欠陥等を引き起こしやすい。キャリアの比抵抗は、磁性体の種類やキャリア中における磁性体の分散状態、導電性物質や非導電性物質等の他の添加剤のキャリアへの添加等によって調整することが可能である。
次に、本発明の二成分系現像剤におけるトナーについて説明する。
本発明の二成分系現像剤は、前述した本発明のキャリアとトナーとを含有する。本発明の二成分系現像剤で用いられるトナーは、結着樹脂と着色剤とワックスとを少なくとも含有するトナー粒子を含有する。
前記トナー粒子に含有される前記結着樹脂には、従来よりトナーに用いられる一般的なものが用いられ、特に限定されないが、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系重合体、及びこれらの樹脂の混合物のいずれかであることがより好ましい。
前記結着樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布において、ピーク分子量(Mp)が4000〜10000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が300以上であることが好ましい。上記Mw/Mnはより好ましくは500以上である。前記分子量分布は、前記結着樹脂の重合条件や、適当な平均分子量の結着樹脂の混合等によって調整することが可能である。
前記トナー粒子に含有される前記着色剤としては、公知の顔料及び/又は染料を用いることができる。
例えば、黒色着色剤としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック等が挙げられる。
また、マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207、209、238、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35等が挙げられる。
さらに、マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料;C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28等の塩基性染料が挙げられる。
シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15:1、15:2、15:3、16、17;C.I.アシッドブルー6;C.I.アシッドブルー45又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、74、83、93、97、155、180、C.I.バットイエロー1、3、20等が挙げられる。
前記着色剤の使用量は、中間色の再現性と着色力とのバランスから、結着樹脂100質量部に対して、1〜15質量部、好ましくは3〜12質量部であることが好ましい。
前記トナー粒子に含有される前記ワックスとしては、公知のワックスを用いることができる。このようなワックスとしては、例えばポリオレフィンワックス低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュ
ワックス、パラフィンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;それらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックス等の脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの等が挙げられる。
さらに前記ワックスとしては、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸等の飽和直鎖脂肪酸類;ブランジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸等の不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等の飽和アルコール類;ソルビトール等の多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加等によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物等が挙げられる。
前記ワックスは、前記結着樹脂100質量部当たり0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部使用することが好ましい。前記ワックスは、通常、結着樹脂を溶剤に溶解し結着樹脂溶液温度を上げ、撹拌しながら前記結着樹脂溶液に添加混合する方法や、トナー粒子の材料の混練時に混合する方法でトナー粒子に含有させる。
本発明に用いられる前記トナーには、流動性や現像性を制御するために公知の外添剤を添加することができる。外添剤としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化セリウム等の各種無機酸化微粒子、必要に応じて疎水化処理した微粒子、ビニル系重合体、ステアリン酸亜鉛、樹脂微粒子等が使用できる。外添剤の添加量は、トナー粒子に対して0.02〜5質量%の範囲が好ましい。
また、本発明の二成分系現像剤には、トナー粒子の表面に、帯電特性、流動性及び転写性向上を目的として酸化チタンを添加する。さらに好ましくは、後述するように、シリカと酸化チタンとを併用することが好ましい。
酸化チタンを用いる理由としては、トナーの帯電特性を損ねることなく、流動性付与が十分に行われるためである。シリカのみを添加した場合、ネガ性が強い事からトナーの表面のチャージアップを生じやすい。一方、その他の金属の場合、耐久時に帯電を低下させることがある。
従来、酸化チタンを用いた場合、耐久時にキャリアの粒子表面にこれらの無機微粒子が付着、蓄積する現象が生じていた。特に、10〜60nmの比較的小粒径の酸化チタンは、少ない添加量でもトナーの流動性を高くする効果がある一方で、球形に近い形状の、比表面積の小さいキャリアに付着した場合に、キャリアの帯電能力を著しく低下させる問題を有していた。このことから、小粒径の酸化チタンを使いこなして十分な耐久性を得ることが困難であった。
ところが、本発明においてはキャリアの形状、表面性状を、従来に比べて大幅に広い範囲でコントロールできることから、キャリアへの付着が大幅に改善されており、このような外添剤を用いた場合においても二成分系現像剤の寿命が向上し、長期にわたって良好な画像を得ることが可能である。このような観点から、本発明においては、少なくとも一次粒子の個数平均粒径が10〜60nmの酸化チタン粒子が含有されていることが好ましい。
また、本発明の二成分系現像剤において、前記トナー粒子に酸化チタンとともにシリカが外添されていることが好ましい。酸化チタンには流動性付与効果があるものの、酸化チタンを外添剤として使用した場合では、耐久時にスリーブ上の二成分系現像剤の穂立ちが低くなる傾向が見られる。しかしながら、シリカを併用することによってそれが抑制され、より安定した画質を維持できる。シリカの添加量は、トナー粒子に対して0.02〜3質量%の範囲が好ましい。
本発明に用いられるトナーは分級して粒度分布を制御することが好ましい。特に、本発明の二成分系現像剤においては、トナーの重量平均粒径が3.00μm〜9.00μmであり、5.04μm以下の粒径を有するトナーを20〜70個数%含有し、4.00μm以下の粒径を有するトナーを3〜40個数%含有し、8.00μm以上の粒径を有するトナーを3〜70体積%含有し、かつ10.08μm以上の粒径を有するトナーを35体積%以下含有するトナーが用いられる。
このように、10.08μm以上の粒径を有するトナーの量を制限することによって、本発明のキャリアを用いた二成分系現像剤に補給されたトナーの帯電の立ち上がりが早くなり、カブリやトナー飛散を生じにくくすることが可能である。また、4.00μm以下、5.04μm以下の粒径を有するトナーの量を上記の範囲にすることによって、本発明のキャリアへのトナースペントを低減することが可能であるとともに、耐久時の帯電変動、トナーの粒度分布の変動を抑えることが可能である。また、8.00μm以上の粒径を有するトナーの量を上記の範囲にすることによって、高画質化とそれを長期に渡って維持することが可能である。トナーの上記粒度分布を調整する方法は、特に限定されないが、好ましくは、慣性力を利用した多分割分級装置を用いて分級する方法が挙げられる。
本発明において、トナーとキャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率を、二成分系現像剤中のトナー濃度として2〜25質量%、好ましくは4〜13質量%にすると、良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満の場合には、画像濃度が低くなりやすく、25質量%を超える場合には、カブリや機内飛散を生じやすく、また二成分系現像剤の耐用寿命も低下しやすい。
本発明の二成分系現像剤において、前記トナーは示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲における最大吸熱ピークの温度が60〜120℃の範囲にあることが好ましい。
示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線においては、含有しているワックスの融点に対応して温度30〜200℃の範囲における最大吸熱ピークが一般に存在する。トナーの定着時にワックスをより有効に機能させるためには、上記ワックスの融点は、60〜120℃にあることが好ましく、65〜105℃にあることがより好ましい。
前記ワックスの融点又は前記最大吸熱ピークの温度が60℃未満の場合、本発明のキャリアと本発明に用いられるトナーとの組み合わせにおいて、高温環境下での二成分系現像剤の流動性が悪く、画像のムラを生じやすい。一方、前記ワックスの融点又は前記最大吸熱ピークの温度が120℃を超える場合においては、キャリアへのダメージが強くなり、
耐久時における帯電変動が増大する傾向がある。前記最大吸熱ピークの温度は、ワックスの種類等によって調整することが可能である。
前記トナーは円相当径3μm以上の粒子において、平均円形度が0.915〜0.960であることが好ましい。前記平均円形度が0.915未満の場合は、キャリアへのトナーのスペント性が悪化する方向であり、逆に平均円形度0.960を超える場合は、プロセススピードが大きい高速機に用いる場合、キャリアに対するトナーの帯電が遅くなり、トナー飛散を生じやすくなる。トナーの平均円形度を調整する方法としては、トナー粒子の粒子形状を変えるための公知の処理方法を利用することができ、特に限定されないが、中でも、機械的衝撃法であると、トナー粒子の表面のワックスの量の調整が簡便であり、より好ましい。
また、本発明で用いられるトナーには、さらに有機金属化合物を含有させてもよい。有機金属化合物を含有させると、帯電レベルを調整でき、帯電の立ち上がりを良くし、トナーの熱溶融特性を改良することができる等の点で、より好ましい。なお、前記有機金属化合物は、その種類等に応じて、トナー粒子の内部に添加しても良いし、トナー粒子に外添しても良い。
前記有機金属化合物としては、芳香族オキシカルボン酸及び芳香族アルコキシカルボン酸から選択される芳香族カルボン酸誘導体、前記芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物であることが好ましく、その金属としては二価以上の金属原子が好ましい。二価の前記金属としては、例えばMg2+、Ca2+、Sr2+、Pb2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Zn2+、Cu2+等が挙げられる。これらのうち、Zn2+、Ca2+、Mg2+、Sr2+が好ましい。三価以上の前記金属としては、例えばAl3+、Cr3+、Fe3+、Ni3+等が挙げられる。これら三価以上の金属の中で好ましいのはAl3+、Cr3+であり、特に好ましいのはAl3+である。
本発明の二成分系現像剤で用いられるトナーは、以下で述べる方法により得ることができる。つまり、結着樹脂、着色剤、ワックス、及び必要に応じて有機金属化合物等の他の任意成分をヘンシェルミキサ、ボールミル等の混合機により充分混合し、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び練肉し、得られた溶融混練物を冷却し、固化した後に、得られた固化物を粉砕し、得られた粉砕物を分級することにより、所定の平均粒径のトナー粒子を得ることができる。得られたトナー粒子に酸化チタン等の外添剤を添加することにより、本発明で用いられるトナーを得ることができる。
なお、本発明で用いられるトナーを製造する方法は、上記の方法に限定されず、トナーの公知の製造方法を利用することができる。このような方法としては、例えば重合法により製造されたトナー粒子を、公知の処理方法によって適当な形状に処理し、得られた処理品を必要に応じて分級し、これに前記外添剤を添加する方法が挙げられる。
次に本発明に関して用いられる測定方法について説明する。
<キャリアの体積平均粒径及び10μm以下の粒子の存在割合の測定方法>
キャリアの粒度分布の測定装置としては、マイクロトラック粒度分析計(日機装株式会社製)のSRAタイプを使用する。レンジ設定は、0.7〜125μmとし、マニュアルに従い、キャリアの体積基準粒度分布を求めて、キャリアの体積平均粒径を算出し、及び個数基準粒度分布から10μm以下の粒子の存在割合を求める。
<キャリアの形状の測定方法>
粒子の形状係数SF−1は、キャリアの粒子画像から求められ、形状係数SF−1の平
均値は、求められた形状係数SF−1の算術平均により求められる。粒子の形状係数SF−1の平均値は、例えば下記の方法で測定することができる。
測定装置には、例えば日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い、250倍に拡大した10μm以上の粒子像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報を、インターフェースを介して例えばニコレ社製LuzexIIIあるいはSoft Imaging System社(SIS社)製analySIS Proに導入し、前記画像情報の解析を行い、下式より算出して形状係数SF−1を求める。粒子像100個の形状係数SF−1の平均値を、形状係数SF−1の平均値とする。
Figure 2005140910
[式中、MXLNGは粒子の絶対最大長を示し、AREAは粒子の投影面積を示す。]
なお、前記絶対最大長は、キャリアの平面画像中に引かれる最も長い直線の長さであり、前記投影面積は、キャリアの平面画像における画像面積である。
<キャリア見かけ密度の測定方法>
JIS−Z2504(金属粉の見かけ密度試験方法)に準じ、金属粉に代えてキャリアを用いることにより、キャリアの見かけ密度を求める。
<キャリアのBET比表面積の測定方法>
BET比表面積は、例えば湯浅アイオニクス(株)製、全自動ガス吸着量測定装置(オートソープ1)を使用し、吸着ガスに窒素を用い、BET多点法により求める。サンプルの前処理としては、80℃で10時間の脱気を行う。
<キャリアの磁気特性の測定>
キャリアの磁気特性は、理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−30を用いて測定する。キャリアは、体積約0.07cmの円筒状のプラスチック容器に十分密になるようにパッキングした状態にする。この状態でプラスチック容器内のキャリアの重量を精秤し、磁化の強さを求める。測定は、印加磁場を徐々に加え240kA/mまで変化させ、次いで印加磁場を減少させ、最終的に記録紙上に試料のヒステリシスカーブを得る。これより、飽和磁化、残留磁化、保磁力を求める。
<キャリア比抵抗の測定方法>
キャリアの比抵抗の測定は、真空理工(株)社製の粉体用絶縁抵抗測定器を用いて測定する。測定条件は、23℃、60%条件下に24時間以上放置したキャリアを、直径20mm(0.283cm)の測定セル中に入れ、11.8kPa(120g/cm)の荷重電極で挟み、厚みを2mmとし、印加電圧を500Vとして測定する。なお、キャリアを樹脂でコートする場合に、この樹脂中に含有させても良い前記導電性を有する粒子の比抵抗は、同様のセルを用いて、エレクトロメーター6170A(ケスレー社製)を使用し、印加電圧を10Vとして同様に測定することができる。
<トナー粒度分布の測定>
本発明において、トナーの平均粒径及び粒度分布は、コールターマルチサイザーII型(コールター社製)を用いて測定することができる。測定で用いられる電解液には、1級塩化ナトリウムを用いて調製された1%NaCl水溶液が用いられる。前記電解液として
は、例えばISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)を使用することができる。
測定法としては、前記電解液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2.00μm以上のトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから本発明に係る体積分布から求められる重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求める。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
<トナーの最大吸熱ピーク温度の測定>
トナーの最大吸熱ピーク温度は、DCS−7(パーキンエルマー社製)やDSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)等の示差走査熱量計(DSC測定装置)を用いて、ASTM D3418−82に準じて測定することができる。
測定試料であるトナーは、5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。それをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下において下記の昇温及び降温工程を行う。
温度曲線:昇温I(30℃〜200℃、昇温速度10℃/min)
降温I(200℃〜30℃、降温速度10℃/min)
昇温II(30℃〜200℃、昇温速度10℃/min)
トナーの最大吸熱ピーク温度は、昇温IIの過程で、結着樹脂のTgの吸熱ピーク以上の領域のベースラインからの高さが一番高いものの温度、若しくは結着樹脂のTgの吸熱ピークが別の吸熱ピークと重なり判別し難い場合、その重なるピークの極大ピークから高さが一番高いものの温度、を本発明に用いられるトナーの最大吸熱ピーク温度とする。
<トナーの平均円形度の測定>
トナーの平均円形度では、フロー式粒子像測定装置「FPIA−2100型」(シスメックス社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出する。
Figure 2005140910
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。測定は、512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子像の周囲長を用いる。
本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度は、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci、測定粒子数をmとすると、次式から算出される。
Figure 2005140910
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度の算出に当たって、得られた円形度によって、粒子を円形度0.4〜1.0を0.01ごとに等分割したクラスに分け、その分割点の中心値と測定粒子数を用いて平均円形度の算出を行う。
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。また、円形度のバラツキを抑えるため、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100の機内温度が26〜27℃になるよう装置の設置環境を23℃±0.5℃にコントロールし、一定時間おきに、好ましくは2時間おきに2μmラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行う。
トナー粒子の円形度測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、円相当径3μm未満のデータをカットして、トナー粒子の平均円形度を求める。
さらに本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、従来よりトナーの形状を算出するために用いられていた「FPIA−1000」と比較して、シースフローの薄層化(7μm→4μmに)及び処理粒子画像の倍率の向上、さらに取り込んだ画像の処理解像度を向上(256×256→512×512)により、トナーの形状測定の精度が上がっており、それにより微粒子のより確実な捕捉を達成している装置である。従って、本発明のように、より正確に形状を測定する必要がある場合には、より正確に形状に関する情報が得られるFPIA2100の方が有用である。
<トナーの外添剤の個数平均粒径の測定>
トナー表面上の外添剤の個数平均粒径は、走査型電子顕微鏡S−4700(日立製作所製)を用いて測定することができる。撮影倍率は10万倍とし、さらに撮影された写真を2倍に引き伸ばした後、この写真像から無作為に200〜400サンプル抽出する。球状
粒子に関してはその直径、楕円形球状粒子に関しては短径と長径の平均値をもって、前記粒子の粒径とし、それらの平均の値を求め個数平均粒径とする。
<結着樹脂の分子量の測定>
結着樹脂の重量平均分子量は、GPCによるクロマトグラフィーによって分子量分布を測定し、測定されたカウント数と適当な標準物質の検量線とから求めることができる。
より具体的な測定方法としては、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流す。測定用の試料には、結着樹脂をTHFに溶解後、0.2μmフィルターで濾過して得られる濾液を用いる。試料の濃度を0.05〜0.6重量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。
検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組み合わせたものを用いる。例えば、Waters社製のμ−styragel 500、103、104、105の組み合わせや、昭和電工社製のshodex KA−801、802、803、804、805、806、807の組み合わせが好ましい。
数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値と、測定により得られるカウント数との関係から、結着樹脂の重量平均分子量を求める。前記単分散ポリスチレン標準試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは東ソー(株)社製の、分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものが用いられる。少なくとも10点程度の単分散ポリスチレン標準試料を用いることが適当である。
以下、本発明を実施例により説明するが、これにより本発明が限定されるものではない。なお、実施例において「部」は質量部を意味する。
<キャリア用樹脂の製造例1>
一方の末端にエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量5,000のメチルメタクリレートマクロマー2部、−(CH(CH)−CH)−CO−O−CH−CH−(CF−CFをパーフルオロアルキルユニットとして樹脂中に導入するメタクリル酸のパーフルオロアルキルエステル15部、メチルメタクリレート83部を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管、及びすり合わせ方式撹拌装置を配した四つ口フラスコに添加し、更にトルエン90部、メチルエチルケトン110部、アゾビスイソバレロニトリル1.8部を加え、窒素気流下70℃で10時間保ちグラフト共重合体であるフッ素系樹脂1溶液(固形分33質量%)を得た。フッ素系樹脂1のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量は、23,000であった。
<キャリア用樹脂の製造例2>
一方の末端にエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量9,000のメチルメタクリレートマクロマー5部、−(CH(CH)−CH)−CO−O−CH−CH−(CF−CFをパーフルオロアルキルユニットとして樹脂中に導入するメタクリル酸のパーフルオロアルキルエステル10部、メチルメタクリレート85部を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管、及びすり合わせ方式撹拌装置を配した四つ口フラスコに添加し、更にトルエン90部、メチルエチルケトン110部、アゾビスイソバレロニトリル0.5部を加え、窒素気流下70℃で10時間保ちグラフト共重合体であるフッ素系樹脂2溶
液(固形分33質量%)を得た。フッ素系樹脂2のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量は、20,000であった。
<キャリア用樹脂の製造例3>
攪拌機にて攪拌しながら窒素気流中にて、キシレン800部、n−ブタノール100部を仕込み、100℃に昇温し、スチレン600部、メチルメタクリレート160部、i−ブチルメタクリレート110部、n−ブチルアクリレート200部、メタクリル酸30部、及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2.3部の混合物を8時間かけて滴下した。その後内容物をさらに5時間反応させて、固形分約50%のアクリル樹脂1を得た。アクリル系樹脂1のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量は、74,000であった。
<キャリア用樹脂の製造例4>
メチルメタクリレート97.5部、ジメチルアミノメチルメタクリレート2部及びアゾビスイソブチロニトリル0.5部と、トルエン40部をガラス製反応容器に入れて、内部の空気を窒素ガスに置換した。次いで、反応混合物を常圧で約80℃に加熱し、24時間攪拌した。生成したメチルメタクリレート・ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(重量平均分子量、13万)30部を100部のトルエンに溶解してアクリル系樹脂2を得た。アクリル系樹脂2のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量は、85,000であった。
<キャリア製造例1>
フッ素系樹脂1 17.0部
マグネタイト1 78.0部
(粒径0.23μm、比抵抗7×10Ωcm)
マグネタイト2 35.0部
(粒径0.47μm、比抵抗8×10Ωcm)
トルエン 80.0部
上記材料の分散液を、ガラスビーズを入れたサンドミル分散機に導入した。高速撹拌により5時間分散させ、トルエンを加えて希釈し、磁性体濃度が45重量%の分散液(A)を調製した。分散液(A)をTKホモミキサ(特殊機化工業製)高粘度用脚部を改造したミキサを用いて回転数3800rpmで22分間攪拌した。
なお、本製造例においてマグネタイト1及び2には、それぞれの金属酸化物の質量に対して0.8質量%のシラン系カップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)を、ヘンシェルミキサを用いて100℃、50分間の条件で混合撹拌して処理を行ったものを用いた。
次にイオン交換水1000部を前記攪拌後の分散液(A)に加えた後、ロボミックス(特殊機化工業製)を具備した撹拌装置を用いて撹拌し、60℃、20〜30mmHgの減圧下でトルエンを留去した。その後、遠心沈降を3回繰り返して上澄み液を交換し、キャリア粒子を得た。
さらに、多分割分級装置を用いてキャリア粒子の分級を行いキャリア1を得た。得られたキャリア1の体積平均粒径は44.6μmであった。
<キャリア製造例2>
フッ素系樹脂2 17.0部
マグネタイト1 78.0部
(粒径0.23μm、比抵抗7×10Ωcm)
ヘマタイト1 15.0部
(粒径0.61μm、比抵抗9×10Ωcm)
トルエン 90.0部
上記材料の分散液を、ガラスビーズを入れたサンドミル分散機に導入した。高速撹拌により5時間分散させ、トルエンを加えて希釈し、磁性体濃度が25重量%の分散液(B)を調製した。分散液(B)をTKホモミキサ(特殊機化工業製)高粘度用脚部を改造したミキサを用いて回転数2400rpmで23分間攪拌した。
なお、本製造例においてマグネタイト1及びヘマタイト1には、それぞれの金属酸化物の質量に対して0.8質量%のシラン系カップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)を、ヘンシェルミキサを用いて100℃、40分間の条件で混合撹拌して処理を行ったものを用いた。
次にイオン交換水1000部を前記攪拌後の分散液(B)に加えた後、ロボミックス(特殊機化工業製)を具備した撹拌装置を用いて撹拌し、60℃、20〜30mmHgの減圧下でトルエンを留去した。その後、遠心沈降を3回繰り返して上澄み液を交換した後、ろ過、乾燥を行ってキャリア粒子を得た。
得られたキャリア粒子の表面に、フッ素系樹脂2を以下の方法でコートした。キャリア粒子の質量に対するコート樹脂量が1.2質量%になるように、トルエンを溶媒として10質量%のキャリアコート溶液を作製した。流動床において溶媒を揮発させて前記キャリアコート溶液のキャリアへのコートを行った。このコートされたキャリア粒子を90℃で3.5時間キュアした。さらに、多分割分級装置を用いてキャリア粒子の分級を行った。得られたキャリア2の体積平均粒径は64.8μmであった。
<キャリアの製造例3>
フッ素系樹脂1の代わりにアクリル系樹脂1を使用したこと、マグネタイト1を135部使用して マグネタイト2を使用しないこと、さらに、前記改造したミキサの回転数を5100rpmとし、このミキサで各種材料を18分間攪拌した以外は、実施例1と同様にして、キャリア粒子を得た。
得られたキャリア粒子の表面に、ストレートシリコーン樹脂(東レダウコーニング社「SR2411」)を以下の方法でコートした。キャリア粒子の質量に対するコート樹脂量が0.3質量%になるように、トルエンを溶媒として10質量%のキャリアコート溶液を作製した。流動床において溶媒を揮発させて前記キャリアコート溶液のキャリアへのコートを行った。このコートされたキャリア粒子を90℃で4.5時間キュアした。さらに、多分割分級装置を用いてキャリア粒子の分級を行った。得られたキャリア3の体積平均粒径は36.0μmであった。
<キャリアの製造例4>
アクリル系樹脂1 17.0部
マグネタイト1 113.0部
(粒径0.23μm、比抵抗7×10Ωcm)
酢酸エチル 80.0部
上記材料の分散液を、ガラスビーズを入れたサンドミル分散機に導入した。高速撹拌により5時間分散させ、酢酸エチルを加えて希釈し、磁性体濃度が45重量%の分散液を調製した。この分散液を、TKホモミキサ(特殊機化工業製)高粘度用脚部を改造したミキサを用いて回転数4100rpmで25分間攪拌した。
なお、本製造例においてマグネタイト1には、金属酸化物の質量に対して0.9質量%
のシラン系カップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)を、ヘンシェルミキサを用いて100℃、50分間の条件で混合撹拌して処理を行ったものを用いた。
次にイオン交換水1000部を前記攪拌後の分散液に加えた後、ロボミックス(特殊機化工業製)を具備した撹拌装置を用いて撹拌し、60℃、20〜30mmHgの減圧下でトルエンを留去した。その後、遠心沈降を3回繰り返して上澄み液を交換し、キャリア粒子を得た。
得られたキャリア粒子の表面にストレートシリコーン樹脂(東レシリコーン社SR−2411)をコートし、体積平均粒径が45.6μmのキャリア4を得た。
<キャリアの製造例5〜9>
キャリアの製造例4における攪拌速度、温度条件を変更することによって、キャリア粒子の形状を変えたこと以外は、キャリアの製造例4と同様にして、キャリア粒子を得た。得られたキャリア粒子に、表1に示すコート樹脂をコートしてキャリア5〜9を得た。
<キャリアの製造例10>
スチレン−n−ブチルメタクリレート共重合体 30.0部
(Mw=230000、Mn=10000)
マグネタイト3 73.0部
(粒径0.27μm、比抵抗7×10Ωcm)
をミキサで乾式混合した。その後、ニーダーで加熱混練し、さらに冷却固化させた。次に、得られた固化物を平板状に成形し、これを粉砕してキャリア粒子を得た。
前記固化物の成形と粉砕には、鋼製ローラが所定間隔で対面配置された複数組の圧延ローラと、周面に多数の突起が設けられた二本のローラが対面配置された構成の粉砕ローラとを有する装置を用いた。圧延ローラは、ライン状に配置されており、対面配置された鋼製ローラの間隔は、順次ラインの先に進むに従って狭く設定され、最終的に所定厚の平板状に圧延できるようにされている。また、圧延ローラの先端側には、圧延ローララインと連係できるようにして、粉砕ローラを設けた。粉砕ローラの前記二本のローラの対面間隔は、圧延された最終の所定厚程度に設定した。
対面配置された粉砕ローラに、圧延ローラから出てきた平板状の混練組成物を通すことにより、粉砕切断して扁平形状のキャリア粒子を得た。その後さらに、得られたキャリア粒子の表面に、フッ素系樹脂2を以下の方法でコートした。キャリア粒子の質量に対するコート樹脂量が1.2質量%になるように、トルエンを溶媒として10質量%のキャリアコート溶液を作製した。流動床において溶媒を揮発させて前記キャリアコート溶液のキャリアへのコートを行った。このコートされたキャリア粒子を110℃で3.5時間キュアした。さらに、多分割分級装置を用いてキャリア粒子の分級を行い、キャリア10を得た。
<キャリアの製造例11>
アクリル系樹脂1 17.0部
マグネタイト1 113.0部
(粒径0.23μm、比抵抗7×10Ωcm)
酢酸エチル 80.0部
上記材料の分散液を、ガラスビーズを入れたサンドミル分散機に導入した。高速撹拌により5時間分散させ、酢酸エチルを加えて希釈し、磁性体濃度が85重量%の分散液を調製した。この分散液を、TKホモミキサ(特殊機化工業製)高粘度用脚部を改造したミキサを用いて回転数2400rpmで18分間攪拌した。
なお、本製造例においてマグネタイト1には、金属酸化物の質量に対して0.9質量%のシラン系カップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)を、ヘンシェルミキサを用いて100℃、50分間の条件で混合撹拌して処理を行ったものを用いた。
次にイオン交換水1000部を前記攪拌後の分散液に加えた後、ロボミックス(特殊機化工業製)を具備した撹拌装置を用いて撹拌し、60℃、20〜30mmHgの減圧下で酢酸エチルを留去した。その後、遠心沈降を3回繰り返して上澄み液を交換し、キャリア粒子を得た。得られたキャリア粒子の表面にポリメチルメタクリレート樹脂をコートし、体積平均粒径が84.3μmのキャリア11を得た。
<キャリアの製造例12>
アクリル系樹脂1 17.0部
マグネタイト1 113.0部
(粒径0.23μm、比抵抗7×10Ωcm)
酢酸エチル 80.0部
上記材料の分散液を、ガラスビーズを入れたサンドミル分散機に導入した。高速撹拌により5時間分散させ、酢酸エチルを加えて希釈し、磁性体濃度が15重量%の分散液を調製した。この分散液を、TKホモミキサ(特殊機化工業製)高粘度用脚部を改造したミキサを用いて回転数5700rpmで25分間攪拌した。
なお、本製造例においてマグネタイト1には、金属酸化物の質量に対して0.9質量%のシラン系カップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)を、ヘンシェルミキサを用いて100℃、50分間の条件で混合撹拌して処理を行ったものを用いた。
次にイオン交換水1000部を前記攪拌後の分散液に加えた後、ロボミックス(特殊機化工業製)を具備した撹拌装置を用いて撹拌し、60℃、20〜30mmHgの減圧下で酢酸エチルを留去した。その後、遠心沈降を3回繰り返して上澄み液を交換し、キャリア粒子を得た。得られたキャリア粒子の表面にストレートシリコーン樹脂(東レシリコーン社SR−2411)をコートし、体積平均粒径が14.3μmのキャリア12を得た。
<キャリアの製造例13>
Fe 54.0部
CuO 13.1部
ZnO 32.9部
上記材料を秤量し、ボールミルを用いて混合を行った。これを仮焼した後、ボールミルにより粉砕を行い、さらにスプレードライヤーにより造粒を行った。これを1100℃で焼結し、さらに分級して体積平均粒径49.7μmのフェライト組成のキャリア13を得た。
<キャリアの製造例14>
アクリル系樹脂1 77.0部
マグネタイト1 57.0部
(粒径0.23μm、比抵抗7×10Ωcm)
酢酸エチル 80.0部
上記材料の分散液を、ガラスビーズを入れたサンドミル分散機に導入した。高速撹拌により5時間分散させ、酢酸エチルを加えて希釈し、磁性体濃度が45重量%の分散液を調製した。この分散液を、TKホモミキサ(特殊機化工業製)高粘度用脚部を改造したミキサを用いて回転数4800rpmで20分間攪拌した。
なお本製造例においてマグネタイト1には、金属酸化物の質量に対して0.9質量%のシラン系カップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)を、ヘンシェルミキサを用いて100℃、50分間の条件で混合撹拌して処理を行ったものを用いた。
次にイオン交換水1000部を前記攪拌後の分散液に加えた後、ロボミックス(特殊機化工業製)を具備した撹拌装置を用いて撹拌し、60℃、20〜30mmHgの減圧下で酢酸エチルを留去した。その後、遠心沈降を3回繰り返して上澄み液を交換し、キャリア粒子を得た。得られたキャリア粒子の表面にポリメチルメタクリレート樹脂をコートし、体積平均粒径が54.3μmのキャリア14を得た。
<キャリアの製造例15>
アクリル系樹脂1 7.0部
マグネタイト1 136.0部
(粒径0.23μm、比抵抗7×10Ωcm)
酢酸エチル 80.0部
上記材料の分散液を、ガラスビーズを入れたサンドミル分散機に導入した。高速撹拌により5時間分散させ、酢酸エチルを加えて希釈し、磁性体濃度が65重量%の分散液を調製した。この分散液を、TKホモミキサ(特殊機化工業製)高粘度用脚部を改造したミキサを用いて回転数1800rpmで19分間攪拌した。
なお、本製造例においてマグネタイト1には、金属酸化物の質量に対して0.9質量%のシラン系カップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)を、ヘンシェルミキサを用いて100℃、50分間の条件で混合撹拌して処理を行ったものを用いた。
次にイオン交換水1000部を前記攪拌後の分散液に加えた後、ロボミックス(特殊機化工業製)を具備した撹拌装置を用いて撹拌し、60℃、20〜30mmHgの減圧下で酢酸エチルを留去した。その後、遠心沈降を3回繰り返して上澄み液を交換し、キャリア粒子を得た。得られたキャリア粒子の表面にポリメチルメタクリレート樹脂をコートし、体積平均粒径が44.9μmのキャリア15を得た。
キャリアの製造例1〜15で得られた各キャリアの物性を表1に示す。
Figure 2005140910
<トナー製造例1>
以下の方法でトナー1を調製した。
・プロポキシ化ビスフェノールとフマル酸を縮合して得られたポリエステル樹脂
100.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 4.5部
・ジ−tert−ブチルサリチル酸のクロム錯塩 2.0部
・ワックス(A)(76℃にDSCメインピークをもつパラフィンワックス)
4.0部
上記の処方で十分ヘンシェルミキサにより予備混合を行い、二軸押し出し混練機で温度を155℃に設定し溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で20μm以下の粒径に微粉砕した。さらに得られた微粉砕物を分級と機械式衝撃力を用いる表面改質処理を同時に行う装置にて、粒度分布における重量平均粒径が6.8μmの樹脂粒子(分級品)を得た。
上記樹脂粒子100質量部に対して、イソブチルトリメトキシシランで表面処理を行った一次粒子の個数平均粒径が16nmのTiO(1)を0.9%、ジメチルシリコーンオ
イルで表面処理を行った一次粒子の個数平均粒径が40nmのSiO(2)を0.6%外
添し、トナー1とした。
<トナー製造例2〜7>
表4に示すように処方を変更した以外は、トナー製造例1と同様にして、トナー2〜7を得た。各トナーに用いたワックスを表2に、外添剤を表3に示す。また、各トナーの処方と物性を表4に示す。
Figure 2005140910
Figure 2005140910
Figure 2005140910
<実施例1>
トナー1とキャリア1とを、トナー濃度が7質量%になるように混合し、現像剤1とした。
次に、市販のカラー複写機CP−2150(キヤノン製)の改造機を用いて、写真画像と文字画像とがほぼ1:1で混在する画像面積35%のオリジナル原稿を使用し、温度と湿度が23℃/5%の常温低湿環境(以下、「N/L」と記載する)、32.5℃/90%の高温高湿環境(以下、「H/H」と記載する)の各環境で、それぞれCLC80g紙(キヤノン販売社製)を用いて135mm/secの画像形成速度で、6万枚の通紙試験を行い、以下の評価方法に基づいて評価した。二成分系現像剤の処方を表5に示し、評価
結果を表6に示す。
[評価方法・基準]
(1)画像濃度
画像濃度は、SPIフィルターを装着したマクベス社製マクベスデンシトメータRD918タイプ(Macbeth Densitometer RD918manufactured by Mcbeth Co.)を使用して、CLC80g紙上に形成された画像の4隅+中央1点の計5点の平均の相対濃度として、通紙試験の初期と終期に測定する。
(2)カブリ
画出し前のCLC80g紙の平均反射率Dr(%)をリフレクトメータ(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定する。H/H環境下において、普通紙上にベタ白画像を画出しして、次いでベタ白画像の反射率Ds(%)を測定する。カブリ(%)は下記(4)式から算出し、下記の基準にしたがい評価する。
[数4]
Fog(%)=Dr(%)−Ds(%) (4)
A:0.4%未満
B:0.4〜0.8%未満
C:0.8〜1.2%未満
D:1.2〜1.6%未満
E:1.6%以上
(3)ベタ均一性
N/L環境下において、オリジナル画像濃度1.5のベタ黒原稿を用いて(1)と同様の5点の相対濃度を測定し、これらの点の相対濃度における最大濃度差を求め、下記の基準にしたがい評価する。
A:0.0〜0.05未満
B:0.05〜0.15未満
C:0.15〜0.25未満
D:0.25以上
(4)キャリア付着
N/L環境下での初期の感光体上のキャリア付着レベルを判断する。この評価方法は、Vback=300V時のベタ白部の感光体上をテーピングし、1×1cmの視野中を、2.5倍ルーペを用いて観察し、以下の基準に従い目視で判断する。
(評価基準)
A:キャリア付着が全くない
B:キャリア粒子が5個以下観測される
C:キャリア粒子が6〜12個観測される
D:キャリア粒子が13〜19個観測される
E:キャリア粒子が20個以上観測される
(5)トナー飛散及び画像欠陥
H/H環境下において、4万枚耐久時点でトナー補給を一旦止めて画像を出し続けて、二成分系現像剤中のトナー濃度が3%になった後、6%までトナー濃度を復帰させる。この間の画質及び目視による現像部位周囲のトナー飛散を目視にて評価した。評価基準を以下に示す。
A:トナー飛散、白抜けともに見られない。
B:トナー飛散はごく僅かに見られるが画像上は問題なし。
C:トナー飛散は見られるが画像上は問題なし。
D:トナー飛散の影響、白抜けが画像上にも見られる。
<実施例2〜12>
表5に示すとおり、キャリア及びトナーを組み合わせて、実施例1と同様に行って、表6に示す結果を得た。現像剤の処方を表5に示し、評価結果を表6に示す。
<比較例1>
キャリア10を用い、トナー6を用いた以外は、実施例1と同様の方法を用いて現像剤を調製し、実施例1と同様にして各項目を評価した。その結果、現像剤の流動性が悪く、耐久時のトナー飛散を生じ、カブリを悪化させた。キャリア付着も悪いレベルであった。現像剤の処方を表5に示し、評価結果を表6に示す。
<比較例2>
キャリア11を用いた以外は、比較例1と同様の方法を用いて現像剤を調製し、実施例1と同様にして各項目を評価した。現像剤の処方を表5に示し、評価結果を表6に示す。
<比較例3>
キャリア12を用いた以外は、比較例1と同様の方法を用いて現像剤を調製し、実施例1と同様にして各項目を評価した。現像剤の処方を表5に示し、評価結果を表6に示す。
<比較例4>
キャリア13を用いた以外は、比較例1と同様の方法を用いて現像剤を調製し、実施例1と同様にして各項目を評価した。その結果、流動性キャリアスペント性が悪く、耐久時の濃度低下を生じ、カブリを悪化させた。現像剤の処方を表5に示し、評価結果を表6に示す。
<比較例5>
比較例2において、トナーをトナー7に変更した以外は、比較例2と同様の方法を用いて現像剤を調製し、実施例1と同様にして各項目を評価した。現像剤の処方を表5に示し、評価結果を表6に示す。
<比較例6>
キャリア14を用いた以外は、比較例1と同様の方法を用いて現像剤を調製し、実施例1と同様にして各項目を評価した。現像剤の処方を表5に示し、評価結果を表6に示す。
<比較例7>
キャリア15を用いた以外は、比較例1と同様の方法を用いて現像剤を調製し、実施例1と同様にして各項目を評価した。現像剤の処方を表5に示し、評価結果を表6に示す。
Figure 2005140910
Figure 2005140910

Claims (13)

  1. トナーとキャリアとを含有する二成分系現像剤に用いられ、キャリア用結着樹脂と磁性体とを含有するキャリアにおいて、
    少なくとも前記キャリア用結着樹脂及び磁性体を有機溶媒中に溶解又は分散させて調製された混合溶液を、水性媒体中に導入して懸濁し造粒することにより得られるキャリアであって、前記キャリアの体積平均粒径が15〜80μmであり、前記キャリアの見かけ密度が1.2〜2.4g/cmであることを特徴とするキャリア。
  2. 前記キャリアの形状係数SF−1の平均値が105〜160であることを特徴とする請求項1に記載のキャリア。
  3. 前記キャリアのBET比表面積の値が0.0520〜0.2000m/gであることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャリア。
  4. 前記キャリア用結着樹脂がフッ素系樹脂であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のキャリア。
  5. 前記フッ素系樹脂は、下記一般式(1)で示されるパーフルオロアルキルユニットを有する(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体であることを特徴とする請求項4に記載のキャリア。
    Figure 2005140910
    (式中、mは0乃至10の整数を示す。)
  6. 前記キャリアは、前記キャリアの表面を樹脂によりコートしてなるキャリアであり、前記樹脂がシリコーン系樹脂又はフッ素系樹脂であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のキャリア。
  7. 240kA/mの磁場を前記キャリアに印加したときの前記キャリアの飽和磁化が30〜90Am/kgであり、残留磁化が2.0〜20.0Am/kgであり、かつ保磁力が0.5〜20.0kA/mであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のキャリア。
  8. 前記キャリアの10μm以下の粒子のキャリア全体に対する存在割合が5.5体積%以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のキャリア。
  9. トナーとキャリアとを含有する二成分系現像剤であって、
    前記キャリアは、キャリア用結着樹脂と磁性体とを含有し、少なくとも前記キャリア用結着樹脂及び磁性体を有機溶媒中に溶解又は分散させて調製された混合溶液を、水性媒体中に導入して懸濁し造粒することにより得られ、前記キャリアの体積平均粒径が15〜80μmであり、前記キャリアの見かけ密度が1.2〜2.4g/cmであり、
    前記トナーは、結着樹脂と着色剤とワックスとを含有するトナー粒子と、このトナー粒子に外添されている酸化チタンとを含有し、前記トナーの重量平均粒径が3μm〜9μmであり、5.04μm以下の粒径を有するトナーを20〜70個数%含有し、4.00μm以下の粒径を有するトナーを3〜40個数%含有し、8.00μm以上の粒径を有するトナーを3〜70体積%含有し、かつ10.08μm以上の粒径を有するトナーを35体積%以下含有することを特徴とする二成分系現像剤。
  10. 前記トナーは、温度30〜200℃の範囲における示差熱分析(DSC)測定での吸熱曲線において、最大吸熱ピーク温度が60〜120℃の範囲にあることを特徴とする請求項9に記載の二成分系現像剤。
  11. 前記トナー粒子に、さらにシリカが外添されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の二成分系現像剤。
  12. 前記酸化チタンの一次粒子の個数平均粒径が10〜60nmであることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載の二成分系現像剤。
  13. 前記トナーは、円相当径3μm以上の粒子における平均円形度が0.915〜0.960であることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載の二成分系現像剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5726360B1 (ja) * 2014-10-21 2015-05-27 Dowaエレクトロニクス株式会社 キャリア芯材並びにこれを用いた電子写真現像用キャリア及び電子写真用現像剤
JP5828569B1 (ja) * 2014-09-27 2015-12-09 Dowaエレクトロニクス株式会社 キャリア芯材並びにこれを用いた電子写真現像用キャリア及び電子写真用現像剤

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