JP2005139145A - 被覆顔料 - Google Patents

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幸男 山脇
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Abstract

【課題】 しっとり感、付着性といった官能特性に優れた被覆顔料の提供。
【解決手段】 分子内にアシル基と親水基とを2個以上づつ有する化合物(アシル化合物)により被覆処理された被覆顔料。
【選択図】 選択図なし

Description

本発明は、顔料表面が特定の構造を有するアシル化合物で被覆処理された被覆顔料、およびそれを含有する組成物に関する。該組成物は、ファンデーション等の化粧料、浴用剤等の医薬部外品、化粧品など香粧品分野用途に応用できるものである。
従来より、顔料表面を界面活性剤や高分子等で被覆することにより顔料に種々の機能を付与することが試みられており、その一つとして顔料の被覆処理により感触を改良する方法がある。例えば、顔料をシリコーンで被覆処理したり、または金属石鹸やN−アシルアミノ酸で被覆処理したりする方法があり、これらの被覆顔料はファンデーション等に用いられている。しかしながら、これらの方法で処理された被覆顔料は、ファンデーションで重要な要素である皮膚等への付着性、しっとり感、すべり感といった感触を十分に満足するものではなく、またそれを含有する化粧料はまだないのが現状である。
本発明は、皮膚等への付着性、しっとり感、すべり性に優れる被覆顔料とそれからなる組成物の提供を目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の化合物、即ち、分子内にアシル基と親水基とを2個以上づつ有する化合物(アシル化合物)で顔料を被覆することで、被覆顔料の付着性、しっとり感、すべり性が顕著に向上できることを見出し、また該被覆顔料を含有する組成物を化粧料に応用することで本発明に至った。
さらには、本発明の被覆顔料が水性媒体または油性媒体への分散性に顕著に優れることをも見出して、本発明の完成に至った。
即ち本発明は、下記の通りである。
1.一般式(1)に示すアシル化合物の1種以上で被覆処理されたことを特徴とする被覆顔料。
Figure 2005139145
(一般式(1)において、Xはm個の官能基、およびそれ以外の置換基を有していてもよい分子量100万以下の直鎖または分枝鎖または環状鎖または芳香族炭化水素鎖であるスペーサーであり、Xに結合している、n(m≧n)個のQは、一般式(2)で表される置換基で、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、一般式(2)において、ZはXの有する官能基に由来する結合部であり、RCOは炭素原子数2〜20の飽和または不飽和の脂肪酸から誘導される長鎖アシル基を示し、Rは水素であるか、またはヒドロキシル基またはカルボキシル基が置換していてもよい炭素原子数1〜3の低級アルキル基を示し、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基および/またはそれらの塩を示し、j、kはそれぞれ独立に0,1,2のいずれかであり、かつj、kは同時に0ではなく、nは2〜20の整数を示す)
Figure 2005139145
2.発明1に記載の被覆顔料を含有することを特徴とする組成物。
3.発明1に記載の被覆顔料を含有することを特徴とする発明2の香粧品組成物。
本発明の被覆顔料は、しっとり感、付着性といった官能特性に極めて優れる、という効果を有する。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の被覆顔料において、被覆剤として使用するアシル化合物としては、構造的には一般式(1)および(2)に示すように分子内に少なくとも1個以上のアシル基と親水基とを有する化合物を適当なスペーサーで連結した構造のものである。
一般式(2)中、RCOで示されるアシル基は独立して、すなわち、それぞれ異なっても同一でもよく、上記したように炭素原子数2〜20の飽和または不飽和の脂肪酸から誘導されるものであれば何でも良く、直鎖、分岐、環状を問わない。
例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸のような直鎖脂肪酸;
2−ブチル−5−メチルペンタン酸、2−イソブチル−5−メチルペンタン酸、ジメチルオクタン酸、ジメチルノナン酸、2−ブチル−5−メチルヘキサン酸、メチルウンデカン酸、ジメチルデカン酸、2−エチル−3−メチルノナン酸、2,2−ジメチル−4−エチルオクタン酸、メチルドコサン酸、2−プロピル−3−メチルノナン酸、メチルトリデカン酸、ジメチルドデカン酸、2−ブチル−3−メチルノナン酸、メチルテトラデカン酸、エチルトリデカン酸、プロピルドデカン酸、ブチルウンデカン酸、ペンチルデカン酸、ヘキシルノナン酸、2−(3−メチルブチル)−3−メチルノナン酸、2−(2−メチルブチル)−3−メチルノナン酸、ブチルエチルノナン酸、メチルペンタデカン酸、エチルテトラデカン酸、プロピルトリデカン酸、ブチルドデカン酸、ペンチルウンデカン酸、ヘキシルデカン酸、ヘプチルノナン酸、ジメチルテトラデカン酸、ブチルペンチルヘプタン酸、トリメチルトリデカン酸、メチルヘキサデカン酸、エチルペンタデカン酸、プロピルテトラデカン酸、ブチルトリデカン酸、ペンチルドデカン酸、ヘキシルウンデカン酸、ヘプチルデカン酸、メチルヘプチルノナン酸、ジペンチルヘプタン酸、メチルヘプタデカン酸、エチルヘキサデカン酸、エチルヘキサデカン酸、プロピルペンタデカン酸、ブチルテトラデカン酸、ペンチルトリデカン酸、ヘキシルドデカン酸、ヘプチルウンデカン酸、オクチルデカン酸、ジメチルヘキサデカン酸、メチルオクチルノナン酸、メチルオクタデカン酸、エチルヘプタデカン酸、ジメチルヘプタデカン酸、メチルオクチルデカン酸、メチルノナデカン酸、メチルノナデカン酸、ジメチルオクタデカン酸、ブチルヘプチルノナン酸のような分岐脂肪酸;
オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、リンデル酸、トウハク酸、ラウロレイン酸、トリデセン酸、ツズ酸、ミリストレイン酸、ペンタデセン酸、ヘキセデセン酸、パルミトレイン酸、ヘプタデセン酸、オクタデセン酸、オレイン酸、ノナデセン酸、ゴンドイン酸のような直鎖モノエン酸;
メチルヘプテン酸、メチルノネン酸、メチルウンデセン酸、ジメチルデセン酸、メチルドデセン酸、メチルトリデセン酸、ジメチルドデセン酸、ジメチルトリデセン酸、メチルオクタデセン酸、ジメチルヘプタデセン酸、エチルオクタデセン酸のような分岐モノエン酸;
リノール酸、リノエライジン酸、エレオステアリン酸、リノレン酸、リノレンエライジン酸、プソイドエレオステアリン酸、パリナリン酸、アラキドン酸のようなジまたはトリエン酸;
オクチン酸、ノニン酸、デシン酸、ウンデシン酸、ドデシン酸、トリデシン酸、テトラデシン酸、ペンタデシン酸、ヘプタデシン酸、オクタデシン酸、ノナデシン酸、ジメチルオクタデシン酸のようなアセチレン酸;
メチレンオクタデセン酸、メチレンオクタデカン酸、アレプロール酸、アレプレスチン酸、アレプリル酸、アレプリン酸、ヒドノカルプン酸、ショールムーグリン酸、ゴルリン酸、α−シクロペンチル酸、α−シクロヘキシル酸、α−シクロペンチルエチル酸のような環状酸から誘導されるアシル基があげられる。
また天然油脂から得られる脂肪酸由来のアシル基でも良く、上記の炭素原子数2〜20の飽和または不飽和脂肪酸を80%以上含む混合脂肪酸由来のアシル基であれば良い。例えば、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、ツバキ油脂肪酸、菜種油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等から誘導されるアシル基等が挙げられる。これらアシル化合物は2種以上組み合わせて用いても良い。
一般式(2)中、RCOで示されるアシル基は、好ましくは炭素原子数8〜20の飽和または不飽和の脂肪酸から誘導されるものがよい。
一般式(2)中、Rは水素であるか、またはヒドロキシル基またはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩等が置換していてもよい炭素原子数1〜3の低級アルキル基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシ(イソ)プロピル基、ジヒドロキシ(イソ)プロピル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基等が挙げられる。
一般式(1)中、Xに結合したn個の置換基Q(式(2))は、それぞれ互いに、異なっても同一でもよい。また、式(2)は、いわゆる酸性アミノ酸がN−アシル化されたものを示すものであり、それらは光学異性体例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。
酸性アミノ酸は、分子中に存在するカルボキシル基とアミノ基の数がそれぞれ2個と1個のモノアミノジカルボン酸であり、アミノ基はN−メチル基またはN−エチル基でもかまわない。また光学異性体例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。酸性アミノ酸としては、例えばグルタミン酸、アスパラギン酸、ランチオニン、β−メチルランチオニン、シスタチオニン、ジエンコール酸、フェリニン、アミノマロン酸、β−オキシアスパラギン酸、α−アミノ−α−メチルコハク酸、β−オキシグルタミン酸、γ−オキシグルタミン酸、γ−メチルグルタミン酸、γ−メチレングルタミン酸、γ−メチル−γ−オキシグルタミン酸、α−アミノアジピン酸、α−アミノ−γ−オキシアジピン酸、α−アミノピメリン酸、α−アミノ−γ−オキシピメリン酸、β−アミノピメリン酸、α−アミノスベリン酸、α−アミノセバシン酸、パントテン酸等が挙げられる。
Xに付くn個の置換基(式(2))は、酸性アミノ酸がL−酸性アミノ酸分子である場合が、生分解性に優れることから好ましい。
一般式(2)中、Zは、Xに置換したm個(m≧n、かつ、2〜20の整数)の官能基(ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基)に由来する結合部(−O−、−NR−、−S−)である。ここで、Rは水素、または炭素原子数1〜10のアルキル基またはアルケニル基またはアリール基またはアルキルアリール基である。
一般式(1)中、Xはヒドロキシル基、アミノ基、チオール基から選ばれる1種または2種以上からなるm個の官能基を有する分子量100万以下の直鎖または分枝鎖または環状鎖または芳香族炭化水素鎖であるスペーサーであり、Xは、前記ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基以外の置換基を有していてもよい。
一般式(1)中、Xは好ましくはヒドロキシル基、アミノ基、チオール基から選ばれる1種または2種以上の官能基をm個有する分子量100万以下のm価の化合物の残基であって、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基以外の置換基を有していてもよい化合物残基である。ここで、m価の上記化合物は、m個の官能基に由来する結合を作りうることを意味する。それらは光学異性体例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。
このようなm価の化合物としては、例えば、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、シスチンジスルホキシド、シスタチオニン、メチオニン、アルギニン、リジン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、オキシプロリン等のアミノ酸類;
アミノエタノール、アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、アミノヘキサノール、アミノプロパンジオール、アミノエチルエタノールアミン、アミノエチルアミノエタノール、アミノクレゾール、アミノナフトール、アミノナフトールスルホン酸、アミノヒドロキシ安息香酸、アミノヒドロキシブタン酸、アミノフェノール、アミノフェネチルアルコール、グルコサミン等の分子内にアミノ基とヒドロキシル基を有する化合物類;
メルカプトエタノール、メルカプトフェノール、メルカプトプロパンジオール、グルコチオース等の分子内にチオール基とヒドロキシル基を有する化合物類;
アミノチオフェノール、アミノトリアゾールチオール等の分子内にチオール基とアミノ基を有する化合物類;
が挙げられる。また、タンパク質やペプチド等、またはそれらを加水分解したもの等でも良い。
また一般式(1)中、Xは好ましくはヒドロキシル基以外の置換基を有していてもよい分子量100万以下のm価(m≧n)のポリヒドロキシル化合物残基である。ここで、m価のポリヒドロキシル化合物は、m個のエステル結合を作りうることを意味する。それらは光学異性体例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。
このようなm価のポリヒドロキシル化合物としては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ジメチロールシクロヘキサン、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、イソプレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ソルバイト、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、
ダイマージオール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、酒石酸、ジヒドロキシ酒石酸、メバロン酸、3,4−ジヒドロキシけい皮酸、3,4−ジヒドロキシヒドロけい皮酸、ヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシフェニルアラニン等およびこれらの各異性体等の2価ヒドロキシル化合物;
グリセリン、トリオキシイソブタン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、
2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリヒドロキシステアリン酸等の3価ポリヒドロキシル化合物;
ペンタエリスリトール、エリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン、ソルビタン等の4価ポリヒドロキシル化合物;
アドニトール、アラビトール、キシリトール、トリグリセリン等の5価ポリヒドロキシル化合物;
ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、タロース、アロース等の6価ポリヒドロキシル化合物;
またはこれらの脱水縮合物、ポリグリセリン等が挙げられる。
また、糖類、例えばエリスロース、スレオース、エリスルロース等のテトロース;
リボース、アラビノース、キシロース、リクソース、キシルロース、リブロース等のペントース;アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、ギューロース、イドース、ガラクトース、タロース、フラクトース、ソルボース、プシコース、タガトース等のヘキソース等の単糖類;
マルトース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、ラクトース、ツラノース、トレハロース、サッカロース、マンニトリオース、セロトリオース、ゲンチアノース、ラフィノース、メレチトース、セロテトロース、スタキオース等のオリゴ糖類が挙げられる。
また、その他の糖類、例えばヘプトース、デオキシ糖、アミノ糖、チオ糖、セレノ糖、アルドン糖、ウロン酸、糖酸、ケトアルドン酸、アンヒドロ糖、不飽和糖、糖エステル、糖エーテル、グリコシド等の残基でもよく、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン、キトサン等の多糖類またはそれらを加水分解したものでもよい。
また、一般式(2)中、Xは好ましくはアミノ基以外の置換基を有していてもよい分子量100万以下のm価のポリアミノ化合物残基である。ここで、m価のポリアミノ化合物は、m個の酸アミド結合を作りうることを意味する。それらは光学異性体例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。
このようなm価のポリアミノ化合物としては、例えばN,N’−ジメチルヒドラジン、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン、ジアミノノナン、ジアミノデカン、ジアミノドデカン、ジアミノアジピン酸、ジアミノプロパン酸、ジアミノブタン酸およびこれらの各異性体等の脂肪族ジアミン類;
ジエチレントリアミン、トリアミノヘキサン、トリアミノドデカン、1,8−ジアミノ−4−アミノメチル−オクタン、2,6−ジアミノカプリン酸−2−アミノエチルエステル、1,3,6−トリアミノヘキサン、1,6,11−トリアミノウンデカン、ジ(アミノエチル)アミンおよびこれらの各異性体等の脂肪族トリアミン類;
ジアミノシクロブタン、ジアミノシクロヘキサン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、トリアミノシクロヘキサン等の脂環族ポリアミン類;
ジアミノベンゼン、ジアミノトルエン、ジアミノ安息香酸、ジアミノアントラキノン、ジアミノベンゼンスルホン酸、ジアミノ安息香酸、およびこれらの各異性体等の芳香族ポリアミン類;
ジアミノキシレン、ジ(アミノメチル)ベンゼン、ジ(アミノメチル)ピリジン、ジ(アミノメチル)ナフタレン、およびこれらの各異性体等の芳香脂肪族ポリアミン類;
ジアミノヒドロキシプロパンおよびこれらの各異性体等のヒドロキシル基が置換したポリアミン類等が挙げられる。
また一般式(1)中、Xは好ましくはチオール基以外の置換基を有していてもよい分子量100万以下のm価のポリチオール化合物残基である。ここで、m価のポリチオール化合物は、m個のチオエステル結合を作りうることを意味する。それらは光学異性体例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。
このようなm価のポリチオール化合物としては、例えば、ジチオエチレングリコール、ジチオエリトリトール、ジチオトレイトール等のジチオール化合物類等が挙げられる。
Xは上に挙げた化合物の残基の中でも、炭素数1〜40の場合が好ましい、さらに好ましくはXは炭素数1〜20である。また、Xは天然に存在する型である場合の方が、生分解性に優れるという点で好ましい。
一般式(2)中、Yで示されるカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基およびX中に含まれうるカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基等は、種々の塩基性物質との間に塩を形成し得る。
かかる塩としては、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、塩基性アミノ酸塩、多価金属塩等が挙げられ、具体的には、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルト、チタン、ジルコニウム等の金属、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の有機アミン、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等から任意に選ばれる1種または2種以上との塩である。
このような一般式(1)で示されるアシル化合物の製造方法としては、一般式(3)で示されるN−アシル酸性アミノ酸無水物と分子内にヒドロキシル基、アミノ基、チオール基から選ばれる1種または2種以上のm個の官能基を有する化合物とを、水および/または水と有機溶媒との混合溶媒中で反応させることによって、またはテトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、四塩化炭素、クロロホルム、アセトン等の不活性溶媒を使用して、あるいは無溶媒で−5℃〜200℃でいずれかの融点以上の温度で混合して反応することで得ることができる。
Figure 2005139145
または一般式(1)で示されるアシル化合物は、N−アシル酸性アミノ酸モノ低級エステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル)とポリヒドロキシル化合物またはポリアミノ化合物またはポリチオール化合物、または分子内にヒドロキシル基、アミノ基、チオール基のうちいずれか2種または3種を有する化合物とをジメチルホルムアミド等の適当な溶媒中に溶解し、炭酸カリウム等の触媒を加え、減圧下に−5℃〜250℃で加熱反応させた後反応溶媒を除去することで得ることができる。あるいは、無溶媒で加熱溶融し、水酸化ナトリウム等の触媒を加えて室温〜250℃でエステル交換反応させてアシル化合物を得ることができる。
本発明の被覆顔料において、顔料と被覆処理剤として使用するアシル化合物との割合は、顔料/アシル化合物とが99.99/0.01〜20/80(重量比)であるり、好ましくは顔料/アシル化合物とが99.9/0.1〜40/60(重量比)であり、目的に応じて調節することができる。
本発明の被覆顔料においては、水分含量を10重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらには2重量%以下とすることが好ましい。水分含量が多いと、顔料が凝集したり、他の成分と混合したりした場合に均一に混合しにくくなる場合がある。
本発明の被覆顔料は公知の方法で製造することが出来、例えば次のような方法によって製造することが出来る。
被覆するアシル化合物が比較的水への溶解度が大きいアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩、塩基性アミノ酸塩等の場合には、例えば次のようにして製造することが出来る。アシル化合物を水または温水に溶解させた後、撹拌下に顔料を添加し均一に撹拌混合し、その後、この分散液を乾燥後粉砕することで被覆顔料を得ることが出来る。この場合の分散液の乾燥方法としては、加熱乾燥法、凍結乾燥法、噴霧乾燥法等が挙げられる。また、粉砕方法に関しても、ハンマーミル、ボールミル、サンドミル、ジェットミル等の通常用いる粉砕機を用いることが出来る。
被覆するアシル化合物がカルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルト、チタン、ジルコニウム等の多価金属塩の場合、次のような方法で製造することができる。アシル化合物の水溶性塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩、塩基性アミノ酸塩等)を室温又は加温した水に溶解させ、これに顔料を懸濁させる。この懸濁液を撹拌しながら、多価金属の少なくとも1種以上を含む多価金属塩水溶液を徐々に添加する。これによって、顔料表面上にアシル化合物の多価金属塩が吸着するので、これをろ過、水洗、乾燥して被覆顔料を得ることが出来る。この場合、投入順序は下記のような順序でも良い。即ち、多価金属塩水溶液中に顔料を懸濁させた後、アシル化合物の水溶性塩水溶液を添加する順序である。
被覆するアシル化合物が遊離酸の場合、上述のアシル化合物が多価金属塩の場合において、多価金属塩水溶液の変わりに硫酸、塩酸またはリン酸等の酸の1種以上を含む水溶液を徐々に添加することで被覆顔料を得ることができる。
また、非イオン性高分子化合物、例えば種々の分子量のポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等を用いて、顔料とアシル化合物とともに混練して表面を被覆する方法によっても被覆処理顔料を得ることが出来る。この時、混練する条件は、加熱下でも良いし室温下でも良く、また水等の溶媒を添加して混練する条件でも良い。
本発明の被覆顔料において顔料として適用されるものとしては、例えば下記のような分野で用いられる各種顔料が挙げられ、下記に挙げた分野で各種の用途に対して応用することができる。
水系・非水系塗料分野;チタン白、ベンガラ、アルミ粉、タルク、カーボンブラック、アゾ系顔料、フタロシアニン系等の顔料
印刷インキ分野;カーボンブラック、アゾ系顔料、フタロシアニン系等の顔料
化粧品分野;タルク、(微粒子)酸化チタン、チタン、マイカ、アルミナ、ベントナイト、ベンガラ、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化クロム、群青、紺青、酸化鉄、カオリン、セリサイト、紅花色素、コチニール、ケイ酸、ケイ酸カルシウム、合成または天然のケイ酸アルミニウム等の顔料(浴用剤、基礎化粧品、パウダーファンデーション、リクイドファンデーション、アイシャドー、口紅、ネイルカラー、デオトラント剤、制汗剤等の用途)
強化ゴム・プラスチック分野;クレー、炭酸カルシウム、シリカ、カーボンブラック、フタロシアニン系等の顔料
繊維・染色分野;顔料捺染、分散染料等
セメント・コンクリート分野;セメント等
コート紙用コーティングカラー分野;炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、クレー等の顔料
その他、微粒子酸化チタン等を用いた光触媒分野
その他の顔料として、コバルトブルー、クロムグリーン、酸化クロム、無水ケイ酸、ケイ酸アルミン酸マグネシウム塩、等の無機顔料;植物の実の皮を粉末状にしたもの、ヒノキを粉末状にしたもの、ポリエチレン末、ポリメチルシルセスキオキサン末、ハンザエロー、ベンジジンエロー、パーマネントエロー、タートラジンレーキ、キノリンエロー、スダーン1、パーマネントオレンジ等の有機顔料;ブロンズパウダー等の金属粉顔料;硫化亜鉛、ケイ酸亜鉛、硫酸亜鉛カドミウム、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、タングステン酸カルシウム等の無機蛍光顔料、その他公知の有機蛍光顔料等も顔料として用いることができる。
本発明の被覆顔料は化粧料に好適に応用することができ、その例として例えばファンデーション、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、アイシャドウ、口紅、ネイルカラー、アイライナー、アイブロー、チーク等のメイクアップ化粧料等が挙げられる。
また、本発明の被覆顔料は水性媒体への分散性に顕著に優れることから、浴用剤等の分散系化粧料、インクジェット等の顔料系インク組成物用途にも好ましく用いることができる。
本発明の被覆顔料を浴用剤として使用する場合には、顔料としては酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、カオリン、硫酸バリウム、ゼオライト、ケイ酸、ケイ酸カルシウム、合成または天然のケイ酸アルミニウム等が好ましく、乳白濁効果を得ようとする場合には酸化チタンが特に好ましい。
本発明の被覆顔料を用いて各種の混合組成物や顔料分散液を製造する方法としては、被覆顔料と顔料、および分散媒とを通常の分散機、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル、フローミル、ダイノーミル、アトライザー、ホモキキサー、ホモジナイザー、高速ディスパー等公知の撹拌機で撹拌混合することができる。
また本発明の被覆顔料においては、本発明の目的が損なわれない限り、用途、目的に応じ各種の基材と併用することができる。
具体的には、アラビアゴム、トラガントゴム等の天然ゴム類、サポニン等のグルコシド類、メチルセルロース、カルボキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物の塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物の塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、リン酸塩などの陰イオン性高分子やポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等のノニオン性高分子等の分散剤;
脂肪酸塩(石鹸)アルキル硫酸エステル塩(AS)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)、アルファ−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩(SAS)、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルファースルホン化脂肪酸塩、
N−長鎖アシルアミノ酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン塩、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、ナフタリンスルフォン酸塩ホルマリン縮合物などのアニオン性界面活性剤;
アルキルベタイン類、アルキルアミドベタイン類、アルキルスルホベタイン類、イミダゾリニウムベタイン類などの両性界面活性剤;
脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアミンオキサイド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステルなどのノニオン性界面活性剤;
第1〜第3級脂肪アミン塩、塩化アルキルアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、ジアルキルモルフォリニウム塩などのカチオン性界面活性剤;
アルギン酸ナトリウム、デンプン誘導体、トラガントゴムなどの高分子界面活性剤;
レシチン、ラノリン、コレステロール、サポニンなどの天然界面活性剤;
アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、椿油、パーシック油、ひまし油、ミンク油、綿実油、モクロウ、ヤシ油、卵黄油、パーム油、パーム核油、合成トリグリセライド、ホホバ油等の油脂;
流動パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、イソパラフィン等の炭化水素;
ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウおよびその誘導体等のロウ;
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸、軟質ラノリン脂肪酸等の高級脂肪酸;
ラウリルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、へキシルデカノール、オクチルドデカノール等の高級アルコール;
ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル等のその他のエステル油;
金属石鹸、ストレートシリコーン油、変成シリコーン油等のシリコーン類等の揮発性および不揮発性の油分;
グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,3−ブタンジオール、プロパンジオール、ポリエチレングリコールなどのポリオール類;
トリメチルグリジン、ソルビトール、ラフィノース、ピロリドンカルボン酸塩類、乳酸塩類、ヒアルロン酸塩類、セラミド類などの保湿剤;
ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン、
アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、グアーガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、
アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、両性メタクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、シリコーンレジン等の水溶性および油溶性高分子;
ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルメチルグリコシド、テトラデセンスルホン酸塩等の増粘、増泡成分;
エチレンジアミン四酢酸およびその塩類、ヒドロキシエチレンジアミン3酢酸およびその塩類、リン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルコン酸、ポリリン酸塩類、メタリン酸塩、ヒノキチール類などの金属イオン封鎖剤;
パラオキシ安息香酸エステル類、安息香酸およびその塩類、フェノキシエタノール、ヒノキチール等の防腐剤;
クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等のpH調整剤;
その他トリクロロルカルバニリド、サリチル酸、ジンクピリチオン、イソプロピルメチルフェノールなどのふけ・かゆみ防止剤;
ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸誘導体その他の紫外線吸収剤;
アルブチン、コウジ酸、アスコルビン酸、ヒノキチールおよびその誘導体などの美白剤;
センブリエキス、セファランチン、ビタミンEおよびその誘導体、ガンマーオリザノールなどの血行促進剤;
トウガラシチンキ、ショオウキョウチンキ、カンタリスチンキ、ニコチン酸ベンジルエステルなどの局所刺激剤;
各種ビタミンやアミノ酸などの栄養剤;
女性ホルモン剤;
毛根賦活剤;
グリチルレチン酸、グリチルリチン酸誘導体、アラントイン、アズレン、アミノカプロン酸、ヒドロコルチゾンなどの抗炎症剤;
酸化亜鉛、硫酸亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、スルホ石炭酸亜鉛、タンニン酸などの収斂剤;
メントール、カンフルなどの清涼剤;
抗ヒスタミン剤;
高分子シリコーン、環状シリコーン等のシリコーン系物質、トコフェロール類、BHA、BHT、没食子酸、NDGAなどの酸化防止剤;
精製水等などを含むことができる。
特に、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシド、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、テトラデセンスルホン酸塩、ミリスチン酸塩類、ミリスチルジメチルアミンとの併用は粘度、起泡力を増加させる点で有用であり、また、各両イオン性界面活性剤との併用は刺激性を一層低減させるという点に於いてきわめて有用である。
以下で、本発明を実施例等を用いてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら限定させるものではない。
本発明の実施例等で用いる評価手段などは以下の通りである。
(被覆顔料、または化粧料の官能試験)
パネラー5人により皮膚へのしっとり感、付着性を評価した。評価基準を以下に記す。
非常に優れるとした人が4人以上の場合 ○
非常に優れるとした人が2〜3人の場合 △
非常に優れるとした人が1人以下の場合 ×
(入浴剤の評価方法)
浴用剤として一般に使用される濃度(30g/200L)の1/10スケール、即ち、浴用剤3gを温水(40℃)20Lに添加し、攪拌混合した場合の状態を評価した。
評価内容は次の通り。
分散性;浮遊物がないかどうか(ない方が良い)
泡立ち;泡立ちが少ないかどうか(少ない方が良い)
濁度 ;かき混ぜ直後と24時間後で、良く乳濁するかどうか(乳濁する方が良い)
判定
○ ; 良い、 △ ; やや悪い、 × ; 悪い
(アシル化合物の製造例1)
L−リジン塩酸塩9.1g(0.05mol)を水57g中と混合した。この液を25%水酸化ナトリウム水溶液でpH範囲を10〜11に調整しながら、また反応温度を5℃に維持しながら、攪拌下にN−ラウロイル−L−グルタミン酸無水物31.1g(0.1mol)を2時間を要して添加し、反応を実施した。さらに30分攪拌を続けた後、ターシャリーブタノールを液中濃度20重量%となるように添加した後、75%硫酸を滴下して液のpH値を2に、また液の温度を65℃に調整した。滴下終了後、攪拌を停止し、20分間65℃で静置すると有機層と水層とに分層し、これから有機層を分離した。分離した有機層にターシャリーブタノールおよび水を添加して、温度を65℃にして20分攪拌した。攪拌停止後、静置すると有機層と水層とに分層した。得られた有機層に対して、同じ水洗操作をくり返した後、得られた有機層から溶媒を除去し、水酸化ナトリウムで固形分30重量%、pH6.5(25℃)の水溶液に中和調製した後、これを乾燥して式(4)に示すアシル化合物を含有する組成物を得た。
Figure 2005139145
(式4において、Xは、各々独立にHまたはNa(一部、カルボン酸を含む))
[実施例1]
(アシル化合物の遊離酸で被覆処理した顔料の製造)
製造例1で得た組成物0.5重量部と精製水1000重量部を混合し均一溶解した後、攪拌下に顔料としてタルク100重量部を添加した。添加後、全体が均一になるまで攪拌混合した。その後、攪拌下に1N塩酸水溶液を徐々に添加してpH1に調整し、さらに20分攪拌後、ろ過、水洗して乾燥し、これを粉砕して被覆顔料を得た。
[実施例2]
(アシル化合物のアルミニウム塩で被覆処理した顔料の製造)
製造例1で得た組成物0.5重量部と精製水1000重量部を混合し均一溶解した後、攪拌下に顔料としてタルク100重量部を添加した。添加後、全体が均一になるまで攪拌混合した。その後、攪拌下に5重量%硫酸アルミニウム水溶液を100mlを徐々に添加して、さらに20分攪拌した。その後、ろ過、水洗して乾燥し、これを粉砕して被覆顔料を得た。
[実施例3]
(アシル化合物のナトリウム塩で被覆処理した顔料の製造)
製造例1で得た組成物0.4重量部と精製水100重量部を混合し均一溶解した後、攪拌下に顔料として酸化チタン(アルミナ処理ルチル型)100重量部を添加した。添加後、全体が均一になるまで攪拌混合した。その後、この液を乾燥、粉砕して被覆顔料を得た。
[実施例4]
製造例1で得た組成物2重量部と精製水30重量部を混合し均一溶解した後、攪拌下に顔料として2酸化チタン(アルミナ処理ルチル型)7重量部を徐々に添加した。添加後、全体が均一になるまで攪拌混合した。その後、この液を乾燥、粉砕して被覆顔料を得た。
[比較例1]
実施例1において製造例1の組成物を式(5)に示すラウロイルアスパラギン酸ジナトリウム)とした以外は、実施例1と同じ方法で実施し、ラウロイルアスパラギン酸で被覆処理した顔料を得た。
Figure 2005139145
[比較例2]
実施例3において製造例1の組成物をラウロイルアスパラギン酸ナトリウム塩とした以外は、実施例3と同じ方法で実施し、ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム塩で被覆処理した顔料を得た。
表1に実施例1〜4、比較例1、2の被覆顔料の官能評価をした結果を示す。
Figure 2005139145
[実施例5]
実施例1において、顔料の種類と組成を表2の様に変えた以外は実施例1と同じ条件で実施して被覆処理した顔料を得た。この被覆顔料を用いて、表2の組成の油性ファンデーションに応用した。
[実施例6]
実施例2において、顔料の種類と組成を表2の様に変えた以外は実施例2と同じ条件で実施して被覆処理した顔料を得た。この被覆顔料を用いて、表2の組成の油性ファンデーションに応用した。
[実施例7]
実施例3において、顔料の種類と組成を表2の様に変えた以外は実施例3と同じ条件で実施して被覆処理した顔料を得た。この被覆顔料を用いて、表2の組成のパウダリーファンデーションに応用した。
表2に実施例5〜7の化粧料について官能評価した結果を示す。表中の数値は重量部を示す。
Figure 2005139145
[実施例8]
実施例4で得た被覆顔料(表3中の処理顔料)のを用いて、表3の組成の入浴剤に応用した。評価結果を表3に示す。表中の数値は重量部を示す。
[実施例9]
製造例1で得た組成物10重量部、2酸化チタン70重量部、ポリエチレングリコール(Mw2万)10重量部、ステアリン酸8重量部、炭酸ナトリウム2重量部とを100〜120℃で20分間混練し、その後、これを冷却、粉砕して被覆顔料を得た(表3中の処理顔料)。
この被覆顔料を用いて、表3の組成の入浴剤に応用した。評価結果を表3に示す。表中の数値は重量部を示す。
Figure 2005139145
本発明の被覆顔料は、しっとり感、付着性といった官能特性を示し、また分散性にも優れることから、ファンデーションや浴用剤等の化粧品、医薬部外品等の香粧品の分野で好適に利用できる。

Claims (3)

  1. 一般式(1)に示すアシル化合物の1種以上で被覆処理されたことを特徴とする被覆顔料。
    Figure 2005139145
    (一般式(1)において、Xはm個の官能基、およびそれ以外の置換基を有していてもよい分子量100万以下の直鎖または分枝鎖または環状鎖または芳香族炭化水素鎖であるスペーサーであり、Xに結合している、n(m≧n)個のQは、一般式(2)で表される置換基で、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、一般式(2)において、ZはXの有する官能基に由来する結合部であり、RCOは炭素原子数2〜20の飽和または不飽和の脂肪酸から誘導される長鎖アシル基を示し、Rは水素であるか、またはヒドロキシル基またはカルボキシル基が置換していてもよい炭素原子数1〜3の低級アルキル基を示し、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基および/またはそれらの塩を示し、j、kはそれぞれ独立に0,1,2のいずれかであり、かつj、kは同時に0ではなく、nは2〜20の整数を示す)
    Figure 2005139145
  2. 請求項1に記載の被覆顔料を含有することを特徴とする組成物。
  3. 請求項1に記載の被覆顔料を含有することを特徴とする請求項2の香粧品組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009107961A (ja) * 2007-10-29 2009-05-21 Daito Kasei Kogyo Kk 化粧料用顔料およびそれを含有する化粧料

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