JP2005139134A - 葉酸誘導体化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 分子の自己組織化により優れた機能を発現する新規な葉酸誘導体化合物を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)により示される葉酸誘導体化合物。
【化1】
Figure 2005139134

(式中、Rは炭素数5〜20の直鎖炭化水素基、Rは水素、又はトリフルオロアセチル基を意味する。)
【選択図】 なし

Description

本発明は新規な葉酸誘導体化合物、特に分子の自己組織化により優れた機能を発現する葉酸誘導体化合物に関する。
現在、分子の自己組織化・超分子化に関する研究が、多くの研究者によりなされている。これはすなわち、様々な分子を水素結合等の相互作用により集合(自己組織化)させ、複雑な構造を自発的に形成させることによって、新たな機能を発現させようという試みである。
本発明者らは、近年、分子間水素結合を形成する分子を用いて、分子の自己組織化によって、刺激や環境に応答する動的機能材料の開発を試みてきた。
前述の研究を進めていく中で、最近、本発明者らは、葉酸がその分子構造中に水素結合部位を豊富に有しており、優れた自己組織化能を示すという点に着目し、葉酸分子に異なるかさ高さの疎水性置換基を導入した葉酸誘導体化合物の合成を行い、その機能についての検討を行ってきた。その結果、ある種の葉酸誘導体化合物がサーモトロピック液晶性を示すということが明らかとなった(例えば、非特許文献1〜3参照)。
加藤隆史ら、ケミカル・コミュニケーションズ(CHEMICAL COMMUNICATIONS)、2000年、第19巻、p1899−1900 加藤隆史ら、ジャーナル・オブ・マテリアルズ・ケミストリー(JOURNAL OF MATERIALS CHEMISTRY)、2001年、第11巻、第11号、p2875−2886 加藤隆史ら、ケミストリー・レターズ(CHEMISTRY LETTERS)、2001年、第30巻、第6号、p480−481
本発明は前述した現状に鑑みて行われたものであり、分子の自己組織化により優れた機能を発現する新規な葉酸誘導体化合物を提供することにある。
本発明者らが鋭意研究を行った結果、葉酸分子のカルボン酸部位に直鎖アルキル基を導入した葉酸誘導体を新たに設計・合成し、その性質について調査を行ったところ、幅広い温度範囲でサーモトロピック液晶性を示し、さらにはいくつかの有機溶媒に対してゲル化能を示すということが明らかとなり、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一の主題は、下記一般式(1)で示されることを特徴とする葉酸誘導体化合物である。
Figure 2005139134
(式中、Rは炭素数5〜20の直鎖炭化水素基、Rは水素、又はトリフルオロアセチル基を意味する。)
また、本発明の第二の主題は、前記葉酸誘導体化合物からなる液晶材料である。
また、本発明の第三の主題は、前記葉酸誘導体化合物からなるゲル化剤である。
本発明にかかる葉酸誘導体化合物は、幅広い温度範囲でサーモトロピック液晶性を示し、さらに、いくつかの有機溶媒に対してゲル化能を示す新規な葉酸誘導体化合物である。
本発明にかかる一般式(1)で示される葉酸誘導体化合物において、Rは炭素数5〜20の直鎖炭化水素基であれば、特に限定されるものではない。炭素数5〜20の直鎖炭化水素基とは、炭素数5〜20の直鎖アルキル基、炭素数5〜20の直鎖アルケニル基、炭素数5〜20の直鎖アルキニル基等を意味する。炭素数5〜20の直鎖アルキル基としては、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル基が挙げられる。
また、炭素数5〜20の直鎖アルケニル基、炭素数5〜20の直鎖アルキニル基としては、例えば、4−デセニル、7−ドデセニル、9−オクタデセニル、3−ドデシニル等の上記した直鎖アルキル基に対応するアルケニル基、アルキニル基が挙げられる。これらのうち、Rとしては、炭素数8〜18の直鎖アルキル基であることがより好ましい。
また、本発明にかかる一般式(1)で示される葉酸誘導体化合物において、Rは水素、又はトリフルオロアセチル基の何れかであればよい。Rとしては、トリフルオロアセチル基であることがより好ましい。
なお、本発明にかかる一般式(1)で示される葉酸誘導体化合物は、ある種の条件下では平衡により、その互変異性体の化合物となり得る。本発明においては、便宜上一般式(1)で示される葉酸誘導体についてのみ記載するが、その互変異性体又はその混合物であってもよい。
本発明にかかる一般式(1)で示される葉酸誘導体化合物を化学名で示すとすれば、例えば、Rがオクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、Rが水素であった場合、それぞれ、N‐プテロイル−L−グルタミン酸ジオクチル、N‐プテロイル−L−グルタミン酸ジドデシル、N‐プテロイル−L−グルタミン酸ジヘキサデシル、N‐プテロイル−L−グルタミン酸ジオクタデシルとなる。また、例えば、Rがオクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、Rがトリフルオロアセチル基であった場合、それぞれ、N‐{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L−グルタミン酸ジオクチル、N‐{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L−グルタミン酸ジドデシル、N‐{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L−グルタミン酸ジヘキサデシル、N‐{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L−グルタミン酸ジオクタデシルとなる。
本発明にかかる一般式(1)で示される葉酸誘導体化合物は、公知の合成反応を用いて製造することが出来る。
以下にその代表的な合成方法の例を示して、さらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の合成方法において特に明記しない限り、R、Rは上記一般式(1)の定義の通りである。
Figure 2005139134
本発明にかかる一般式(1)で示される葉酸誘導体化合物は、上記一般式(2)で示される化合物(例えば、Rがドデシル基の場合;L−グルタミン酸ジドデシル)と、上記一般式(3)で示される化合物(例えば、Rが水素の場合:プテロイン酸、Rがトリフルオロアセチル基の場合:N10−トリフルオロアセチルプテロイン酸)とを用い、公知のアミド化反応により合成することができる。
アミド化反応としては、特に問題の無い限り、例えば、以下に示すような公知の方法を用いることができる。
例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等を用い、カルボン酸とアミンとを反応させて、アミドを形成する方法(以下、カルボジイミド法という)、N,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)等を用い、カルボン酸を対応するN−アシル誘導体へと変換した後、アミンと反応させて、アミドを形成する方法(以下、カルボニルジイミダゾール法という)、ジフェニルホスホリルアジド等を用い、カルボン酸を対応するアジドへと変換した後、アミンと反応させて、アミドを形成する方法(以下、アジド法という)、五塩化リン、三塩化リン、塩化チオニル等を用い、カルボン酸を対応する酸ハライドへと変換した後、アミンと反応させて、アミドを形成する方法(以下、酸ハライド法という)、クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソブチル、塩化ピバロイル、ジフェニルホスフィニッククロリド、オキシ塩化リン等を用い、カルボン酸を対応する混合酸無水物へと変換した後、アミンと反応させて、アミドを形成する方法(以下、酸無水物法という)等を用いることができる。
前記アミド化反応に用いる溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン等の芳香族類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、あるいはそれらの混合溶媒を適宜選択して用いることができる。なお、上記一般式(3)で示される化合物は、有機溶媒に対する溶解性があまりよくないため、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドといった極性溶媒を用いることが好ましい。また、必要に応じて、添加剤として1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシスクシンイミド、有機塩基であるトリエチルアミン、ピリジン、N‐メチルモルホリン等、無機塩基である水素化ナトリウム、水素化カリウム等を適宜選択して用いることもできる。
上記一般式(2)で示される化合物は、例えば、Rがオクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基であった場合、L−グルタミン酸ジオクチル、L−グルタミン酸ジドデシル、L−グルタミン酸ジヘキサデシルである。
また、上記一般式(2)で示される化合物は、例えば、以下のようにして合成することができる。
Figure 2005139134
まず、上記一般式(4)で示される化合物(例えば、Aがフルオレニルメトキシカルボニル基の場合;N−{(9−フルオレニル)メトキシカルボニル}L−グルタミン酸)とROH(例えば、Rがドデシル基の場合;ドデシルアルコール)とを用い、公知のエステル化反応により、上記一般式(5)で示される化合物(例えば、Aがフルオレニルメトキシカルボニル基、Rがドデシル基の場合;N−{(9−フルオレニル)メトキシカルボニル}L−グルタミン酸ジドデシル)を合成し、つづいて、当該一般式(5)で示される化合物について、公知の方法によりAを脱離することによって、上記一般式(2)で示される化合物(例えば、Rがドデシル基の場合;グルタミン酸ジドデシル)を合成することができる。
上記一般式(4)で示される化合物において、Aはアミノ保護基を意味する。アミノ保護基としては、例えば、三級ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基等のウレタン型保護基、2−(トリメチルシリル)エタンスルホニル基等のスルホニル型保護基、2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジフェニルエタンスルフェニル基等のスルフェニル型保護基、ベンジル基、トリチル基、9−フェニルフルオレニル基等のアルキル型保護基等が挙げられる。
すなわち、上記一般式(4)で示される化合物は、L−グルタミン酸のアミノ基をアミノ保護基により保護した化合物である。上記一般式(4)で示される化合物は、例えば、Aが三級ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基であった場合、N−(tert−ブトキシカルボニル)L−グルタミン酸、N−(ベンジルオキシカルボニル)L−グルタミン酸、N−{(9−フルオレニル)メトキシカルボニル}L−グルタミン酸である。
また、上記ROHにおいて、Rとは上記一般式(1)において定義される通りであり、すなわち、炭素数5〜20の直鎖炭化水素基である。ROHは、例えば、Rがオクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基であった場合、オクタノール、ドデシルアルコール、ヘキサデシルアルコールである。
また、エステル化反応としては、特に問題の無い限り、前述したアミド化反応の場合と同様に、例えば、カルボジイミド法、カルボニルジイミダゾール法、アジド法、酸ハライド法、酸無水物法等の公知の方法を用いて反応を行うことができる。
上記一般式(5)で示される化合物は、例えば、Aが三級ブトキシカルボニル基、Rがオクチル基であった場合、N−(tert−ブトキシカルボニル)L−グルタミン酸ジオクチル、Aがベンジルオキシカルボニル基、Rがドデシル基であった場合、N−(ベンジルオキシカルボニル)L−グルタミン酸ジドデシル、Aが9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、Rがヘキサデシル基であった場合、N−{(9−フルオレニル)メトキシカルボニル}L−グルタミン酸ジヘキサデシルである。
また、上記一般式(5)で示される化合物において、アミノ保護基Aを脱離する方法は、Aの種類に応じて、各種公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、Aが三級ブトキシカルボニル基である場合には、脱保護剤としてトリフルオロ酢酸を用いて反応を行うことによりAを脱離することができる。また、例えば、Aが9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基であった場合には、脱保護剤として第2級アミンであるピペリジンを用いて反応を行うことによりAを脱離することができる。
上記一般式(3)で示される化合物は、Rが水素であった場合はプテロイン酸、Rがトリフルオロアセチル基であった場合はN10−トリフルオロアセチルプテロイン酸である。
また、上記一般式(3)で示される化合物は、例えば、以下のようにして合成することができる。
Figure 2005139134
が水素である場合は、上記一般式(6)で示される化合物(葉酸)を公知の方法により加水分解して、上記一般式(3)’で示される化合物(プテロイン酸)を合成することができる。また、Rがトリフルオロアセチル基である場合には、つづいて、当該一般式(3)’で示される化合物と、無水トリフルオロ酢酸とを用いて反応させることにより、上記一般式(3)’’で示される化合物(N10−トリフルオロアセチルプテロイン酸)を合成することができる。
上記一般式(6)で示される化合物は葉酸であり、当該化合物のアミド部位について加水分解を行うことによって、上記一般式(3)’で示される化合物、すなわちプテロイン酸と、L−グルタミン酸とに分解することができる。
アミド部位の加水分解方法としては、塩酸、硫酸等の酸性水溶液による加水分解、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性水溶液による加水分解を行うことができる。あるいは、カルボキシペプチダーゼ等のタンパク分解酵素を用いて加水分解を行うこともできる。
上記一般式(3)’で示される化合物はプテロイン酸であり、無水トリフルオロ酢酸と反応させることによって、当該化合物の10位のNにトリフルオロアセチル基を修飾し、上記一般式(3)’’で示される化合物(N10−トリフルオロアセチルプテロイン酸)を合成することができる。
前記トリフルオロアセチル化反応に用いる溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ピリジン等の芳香族類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、あるいはそれらの混合溶媒を適宜選択して用いることができる。また、必要に応じて、添加剤として有機塩基であるトリエチルアミン、ピリジン、N‐メチルモルホリン等を用いることもできる。
本発明にかかる一般式(1)で示される葉酸誘導体化合物は、概略以上のようにして合成することが出来るが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、上記製造例において詳述していない化合物は、商業的に入手可能であるか、あるいは公知の方法を用いて容易に合成することができるものである。
本発明にかかる一般式(1)で示される葉酸誘導体化合物は、幅広い温度範囲で安定なサーモトロピック液晶性を示す。これは、本発明にかかる葉酸誘導体化合物が優れた自己組織化能を有しており、さらに分子形状が棒状でアルキル鎖が配列しやすいことから、図4に示すような、葉酸誘導体分子中のプテリン環部位がリボン状(テープ状)に水素結合した層状の構造で、幅広い温度範囲において安定に存在するためと考えられる。このため、本発明にかかる一般式(1)で示される葉酸誘導体化合物は、液晶材料として使用することができる。
また、本発明にかかる一般式(1)で示される葉酸誘導体化合物は、いくつかの有機溶媒に対してゲル化能を示す。これは、本発明にかかる葉酸誘導体化合物が、有機溶媒の存在下においても優れた自己組織化能を維持しており、図7に示すようなプテリン環部位のリボン状水素結合により、三次元ネットワーク構造を形成するためと考えられる。このため、本発明にかかる一般式(1)で示される葉酸誘導体化合物は、有機溶媒からなる系をゲル化するためのゲル化剤として用いることができる。
また、葉酸は生体内成分の1種として知られており、本発明にかかる一般式(1)で示される葉酸誘導体化合物もまた、人体に対する安全性は比較的高いものと考えられる。このため、医薬品や化粧料等におけるゲル化剤として用いた場合には、人体に対する安全性の面からみて、特に好適に用いることができると考えられる。
以下、本発明にかかる実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1−1 N−{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L−グルタミン酸ジドデシル(R=C1225−,R=CFCO−)
Figure 2005139134
1)L−グルタミン酸ジドデシルの合成
300mL三つ口ナスフラスコに攪拌子、N−{(9−フルオレニル)メトキシカルボニル}L−グルタミン酸1.96g、ドデシルアルコール2.08g、ジメチルアミノピリジン0.130g、脱水ジクロロメタン80mLを加えて攪拌した。反応溶液をアルゴン雰囲気下にし、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩2.44gの脱水ジクロロメタン溶液50mLをシリンジを用いてゆっくり滴下して加えた。50℃で4時間過熱した後、クロロホルムと飽和アンモニウム溶液を加え、有機相を抽出した。次いで、水相をクロロホルムにより2回抽出した。有機相を合わせて、飽和塩化ナトリウム水溶液により洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、セライト濾過した後、濾液を減圧留去した。残渣をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル:クロロホルム=5:1:3)により精製して、N−{(9−フルオレニル)メトキシカルボニル}L−グルタミン酸ジドデシルを中間体として得た。つづいて、800mLナスフラスコに、N−{(9−フルオレニル)メトキシカルボニル}L−グルタミン酸ジドデシルと、クロロホルム30mL、ピペリジン5mLを加えて室温で2時間攪拌した。反応溶液に5%塩化アンモニウム水溶液とクロロホルムを加え、分液漏斗で一度攪拌した後、5%塩酸水溶液でpH6に調製した。有機相を抽出し、水相をクロロホルムで2回抽出した。有機相を合わせて、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥させ、セライト濾過した後、濾液を減圧留去した。残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル:クロロホルム=4:1:2)により精製し、L−グルタミン酸ジドデシル1.23g(収率48%)を得た。
2)N10−トリフルオロアセチルプテロイン酸の合成
1L三角フラスコ中に、葉酸17.7g(40.0mmol)、及び塩化亜鉛48.6mg(0.35mmol)を入れ、pH7.4に調整した0.1MTris−塩酸緩衝液を添加し、反応溶液のpHが7.1〜7.3になるように調整した。これにカルボキシペプチダーゼG20ユニットを添加し、暗所下30℃で2週間振とうした。ゲル状になった反応液に3N塩酸を加え、pH4に調整した。生じた沈殿物を減圧濾過した後、アセトニトリル及びエーテルで洗浄し、固体状のプテロイン酸11.47gを得た(収率92%)。
つづいて、1L三角フラスコ中に攪拌子を入れ、プテロイン酸11.47g(36.7mmol)を加えて五酸化二リン上で1週間真空乾燥した。反応容器に乾燥THF400mlを加え、五酸化二リン上で蒸留した直後のトリフルオロ酢酸無水物200mlを氷浴中0℃で反応容器中にゆっくりと滴下した。反応液を室温で3日間攪拌した後、冷却トラップを取り付けたロータリーエバポレータにより溶液を減圧濃縮した。残渣に少量のTHFを加え、予めよく脱気、攪拌した水500ml中に氷浴中でゆっくり滴下し、生じた黄色沈殿を遠心分離機により分離した。得られた沈殿物をアセトニトリル及びエーテルで洗浄し、N2,10−ビス(トリフルオロアセチル)プテロイン酸を中間体として得た。これをジメチルホルムアミド100ml中に溶解し、脱気した純水500ml中にゆっくりと添加した。得られた黄色懸濁液をアルゴン雰囲気下、室温で4時間攪拌した。遠沈後、アセトニトリル及びエーテルにより洗浄し、得られた固形物を五酸化二リン上で乾燥することにより、N10−トリフルオロアセチルプテロイン酸6.57gを得た(収率42%)。
3)N−{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L−グルタミン酸ジドデシルの合成
100ml三つ口ナスフラスコに攪拌子を入れ、Flame dry、アルゴン置換し、五酸化二リン上で真空乾燥した。N10−トリフルオロアセチルプテロイン酸0.500g(1.23mmol)を加え、一晩五酸化二リン上で真空乾燥した。アルゴン雰囲気下、ジメチルホルムアミド15mlをシリンジを用いて加え、N10−トリフルオロアセチルプテロイン酸を溶解した。得られた濃黄色溶液にトリエチルアミン196μl(1.41mmol)、クロロギ酸イソブチル177μl(1.35mmol)を、マイクロシリンジを用い、順にゆっくりと滴下した。アルゴン雰囲気下、遮光し、オイルバスで40℃に加熱しながら、4日間攪拌した。溶出管に綿、セライト、C−100ゲルの順に積層し、反応溶液を濾過して不要物を除去した。濾液を減圧濃縮した後に、ロータリーエバポレータに真空ポンプを接続し、ジメチルホルムアミドを減圧除去した。さらに残渣を真空乾燥し、ジメチルホルムアミドを完全に除いた。乾燥した残渣にクロロホルムを加えて溶解し、C−100ゲル15gを加えて減圧留去した。得られた反応物について、展開溶媒をクロロホルム:メタノール=10:1として薄層クロマトグラフィーを行ったところ、Rf=0.36にN−{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L‐グルタミン酸ジドデシル、Rf=0.40,0.30に不純物のスポットが得られた。反応物はクロロホルムをゲル化することから、C−100ゲルに吸着させてフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーに充填して、3回精製を行った。なお、カラム展開溶媒の組成はクロロホルム:ヘキサン:メタノール=14:6:1とした。精製の後、淡黄色粘稠状固体としてN−{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L‐グルタミン酸ジドデシル0.111gを得た(収率10%)。
得られたN−{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L‐グルタミン酸ジドデシルの化学分析値は以下の通りである。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)
δ=11.49(s,1H),8.84(d,J=3Hz,1H),8.61(s,1H),7.87(d,J=7Hz,2H),7.63(d,J=8Hz,2H),6.90(s,1H),5.10(s,2H),4.45−4.32(m,1H),4.10−3.87(m,4H),2.43(t,J=4Hz,2H),2.15−1.90(m,2H),1.60−1.42(m,4H),1.40−1.06(m,36H),0.82(t,J=7Hz,6H)
元素分析(C4566NOとして計算)
実測値 C:61.50%:H,7.78%,N:10.99%
計算値 C:61.84%:H,7.61%,N:11.22%
実施例1−2 N−{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L−グルタミン酸ジオクチル(R=C17−,R=CFCO−)
前記実施例1−1の1)工程においてオクタノールを用いたほかは、前記実施例1−1と同様にして反応を行った。
得られた反応物について、展開溶媒をクロロホルム:メタノール=10:1として薄層クロマトグラフィーを行ったところ、Rf=0.36にN−{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L‐グルタミン酸ジオクチルのスポットが得られた。反応物はC−100ゲルに吸着させて、カラム展開溶媒の組成をクロロホルム:ヘキサン:メタノール=14:6:1として、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより3回精製を行い、精製の後、黄色粉末状固体としてN−{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L‐グルタミン酸ジオクチル0.222gを得た(収率24%)。
得られたN−{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L‐グルタミン酸ジオクチルの化学分析値は以下の通りである。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)
δ=8.81(d,J=3Hz,1H),8.66(s,1H),7.92(d,J=8Hz,2H),7.66(d,J=8Hz,2H),6.92(s,2H),5.16(s,2H),4.53−4.45(m,1H),4.16−4.00(m,4H),2.48(t,J=7Hz,2H),2.20−1.96(m,2H),1.68−1.51(m,4H),1.37−1.20(m,20H),0.89(t,J=7Hz,6H)
実施例1−3 N−{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L−グルタミン酸ジペンタデシル(R=C1531−,R=CFCO−)
前記実施例1−1の1)工程においてペンタデカノールを用いたほかは、前記実施例1−1と同様にして反応を行った。
得られた反応物について、展開溶媒をクロロホルム:メタノール=10:1として薄層クロマトグラフィーを行ったところ、Rf=0.36にN−{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L‐グルタミン酸ジペンタデシルのスポットが得られた。反応物はC−100ゲルに吸着させて、カラム展開溶媒の組成をクロロホルム:ヘキサン:メタノール=14:6:1として、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより3回精製を行い、精製の後、黄色粘稠状固体としてN−{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L‐グルタミン酸ジペンタデシル0.775gを得た(収率40%)。
得られたN−{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L‐グルタミン酸ジペンタデシルの化学分析値は以下の通りである。
H−NMR(400MHz,d−DMSO)
δ=11.48(s,1H),8.84(d,J=3Hz,1H),8.61(s,1H),7.87(d,J=7Hz,2H),7.63(d,J=8Hz,2H),5.10(s,2H),4.45−4.30(m,1H),4.12−3.90(m,4H),2.15−1.90(m,2H),1.58−1.42(m,4H),1.40−1.05(m,48H),0.83(t,J=7Hz,6H)
実施例1−4 N−{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L−グルタミン酸ジオクタデシル(R=C1837−,R=CFCO−)
前記実施例1−1の1)工程においてオクタデカノールを用いたほかは、前記実施例1−1と同様にして反応を行った。
得られた反応物について、展開溶媒をクロロホルム:メタノール=10:1として薄層クロマトグラフィーを行ったところ、Rf=0.36にN−{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L‐グルタミン酸ジオクタデシルのスポットが得られた。反応物はC−100ゲルに吸着させて、カラム展開溶媒の組成をクロロホルム:ヘキサン:メタノール=14:6:1として、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより3回精製を行い、精製の後、黄色粘稠状固体としてN−{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L‐グルタミン酸ジオクタデシル0.648gを得た(収率51%)。
得られたN−{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L‐グルタミン酸ジオクタデシルの化学分析値は以下の通りである。
H−NMR(400MHz,CDCl:CDOD=4:1)
δ=8.78(s,1H),8.05(d,J=7Hz,1H),7.91(d,J=8Hz,2H),7.46(d,J=8Hz,2H),5.16(s,2H),4.76−4.65(m,1H),4.10−4.01(m,4H),2.58−2.42(m,2H),2.32−2.29(m,1H),2.20−2.08(m,1H),1.70−1.58(m,4H),1.57−1.18(m,60H),0.88(t,J=7Hz,6H)
1.液晶形成能
本発明者らは、上記実施例1−1〜1−4のそれぞれの葉酸誘導体化合物について、DSC測定、偏光顕微鏡観察を行い、葉酸誘導体化合物の液晶形成能について検討を行った。なお、試験内容は以下の通りである。
DSC測定
示差走査熱量計(DSC300:メトラー・トレド社製)を用い、葉酸誘導体化合物について−100〜250℃の範囲でDSC測定を行った。
偏光顕微鏡観察
偏光顕微鏡(BH2:オリンパス社製)と加熱ステージ(FP82HT:メトラー・トレド社製)とを組み合わせたシステムを用い、葉酸誘導体化合物が150℃のときの偏光顕微鏡写真を撮影した。
以下、実施例1−4(R=C1837−,R=CFCO−)の葉酸誘導体化合物の試験結果を例に挙げて、その液晶形成能について説明を行う。
実施例1−4の葉酸誘導体のDSC測定結果を図1に、偏光顕微鏡写真図を図2に示す。
図1のDSC測定結果より、実施例1−4の葉酸誘導体化合物では、38℃以下の結晶相と236℃以上の等方性液体相との間の広い温度範囲において、液晶相と考えられる中間相が存在することが明らかとなった。
つづいて、図2より、150℃、すなわち前記中間相状態における偏光顕微鏡観察を行った結果、複屈折光学模様がマーブル状組織を呈していることから、前記中間相はスメクチックC相を示すものであることが明らかとなった。
本発明者らは、実施例1−1〜1−3の葉酸誘導体化号物についても、上記実施例1−4と同様にして、温度と相状態との関係について検討を行った。結果を下記表1にまとめて示す。なお、下記表1中、Crは結晶相、Gはガラス相、Mは中間相、ScはスメクチックC相、Isoは等方性液体相を示す。
Figure 2005139134
上記表1より、実施例1−1〜1−4の葉酸誘導体化合物は、いずれも幅広い温度範囲でサーモトロピック液晶性を示すことがわかった。また、実施例1−1,1−3,1−4の葉酸誘導体化合物の液晶相は、いずれもスメクチックC相を示すものであることが明らかとなった。
つづいて、本発明者らは、実施例1−4の葉酸誘導体化合物の液晶状態についてのX線回折測定を行い、液晶の構造について検討を行った。実施例1−4のX線回折測定結果を図3に示す。なお、測定条件は以下の通りである。
X線回折測定
X線回折測定装置と加熱ステージとを組み合わせたX線回折測定システム(Rad−2B:理学社製)を用い、実施例1−4の葉酸誘導体化合物が90℃のときのX線スペクトルを測定した。
図3より、実施例1−4の葉酸誘導体化合物が90℃、すなわち液晶(スメクチックC相)状態におけるX線回折測定を行った結果、面間隔39.8Å((100)面)のシャープなピーク、20.5Å((200)面)の微小なピークが得られた。
以上の結果から、本発明にかかる葉酸誘導体化合物は、液晶相状態において、葉酸誘導体分子中のプテリン環部位がリボン状(テープ状)に水素結合した層状構造(層間隔39.8Å)をとっているものと推測される。葉酸誘導体化合物の液晶構造の模式図を図4に示す。本発明にかかる葉酸誘導体化合物は、棒状の分子形状を有しており、アルキル鎖が配列しやすいことから、幅広い温度範囲において図4に示すような層状の構造で安定に存在することができるものと考えられる。
2.ゲル形成能
つづいて、本発明者らは、上記実施例1−1〜1−4のそれぞれの葉酸誘導体化合物について、各種有機溶媒に対するゲル形成能について検討を行った。なお、比較例1−1として、N−{N10−(トリフルオロアセチル)プテロイル}L−グルタミン酸ビス{2−(3,4−ジウンデシルオキシフェニル)エチル}{R=(C1123PhC−,R=CFCO−:非特許文献1,2)}を用いて同様の試験を行った。結果をまとめて下記表2に示す。なお、試験内容は以下の通りである。
ゲル形成試験
有機溶媒として、ヘキサン、ベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトン、THF、ジエチルエーテル、メタノールの8種を用い、各種葉酸誘導体化合物の50mM溶液を調製し、溶液の状態について調べた。
G:葉酸誘導体が有機溶媒中でゲルを形成した。
S:葉酸誘導体が有機溶媒中に溶解した。
I:葉酸誘導体が有機溶媒中に溶解せずに溶け残った。
Figure 2005139134
上記表2より、実施例1−1〜1−4の葉酸誘導体化合物は、いずれもいくつかの有機溶媒に対してゲル化能を示すことが明らかとなった。また、葉酸分子中に導入された直鎖アルキル基の鎖長が長くなるにつれて、より多くの種類の有機溶媒に対するゲル化能を示すという傾向が見られた。一方で、葉酸分子中にかさ高い分岐アルキル基を導入した比較例1−1の葉酸誘導体化合物は、有機溶媒に対するゲル化能を全く示さなかった。
つづいて、本発明者らは、上記実施例1−4の葉酸誘導体化合物をTHF溶媒によりゲル化したもの(以下、実施例1−4/THFゲルという)について、光学顕微鏡写真、及びFE−SEM(電解放射型走査電子顕微鏡)写真を撮影し、ゲルの構造についての検討を行った。光学顕微鏡写真図を図5(a)に、FE−SEM写真図を図5(b),(c)にまとめて示す。なお、撮影条件は以下の通りである。
光学顕微鏡写真
光学顕微鏡(BH2:オリンパス社製)と加熱ステージ(FP82HT:メトラー・トレド社製)とを組み合わせたシステムを用いて、スライドガラスとカバーガラスにより実施例1−4/THFゲルを挟み、光学顕微鏡写真を撮影した。
FE−SEM写真
実施例1−4/THFのゾル状態の溶液をスライドガラスにキャストしてカバーガラスで挟み、しばらく室温で放置して溶媒をゲル化させた。これを自然乾燥させた後、カバーガラスをはがし、真空乾燥させてから、FE−SEM(S−900S:日立製作所製)を用い、FE−SEM写真を撮影した。
図5(a)〜(c)より、実施例1−4/THFゲルにおいては、繊維状の構造が複雑に絡み合った三次元ランダムネットワーク構造が形成されていることが確認された。
つづいて、本発明者らは、実施例1−4の葉酸誘導体化合物を用いて、結晶状態、液晶状態、ゲル状態のそれぞれの状態において赤外分光スペクトルの測定を行った。結果を図6に示す。なお、測定条件は以下の通りである。
赤外分光測定
赤外分光測定装置(FT/IR−8900:日本分光社製)を用い、実施例1−4の葉酸誘導体化合物について、結晶状態(室温)、液晶状態(60℃)、ゲル状態(実施例1−4/クロロホルムゲル)のそれぞれの状態について、その赤外分光スペクトルを測定した。
図6より、実施例1−4の葉酸誘導体のゲル状態における(a)〜(c)のN−Hの伸縮、変角にかかる吸収ピークが、液晶状態の場合と概略同等であることが確認された。このことから、図5に示されるようなゲル状態においても、図4に示した液晶状態の場合と同様の分子間水素結合パターン、すなわちリボン状(テープ状)の水素結合パターンが維持されているものと考えられる。
本発明にかかる葉酸誘導体化合物のゲル構造の模式図を図7に示す。ゲル状態においては、図7に示す模式図のように、葉酸誘導体分子間がプテリン環部位のリボン状(テープ状)水素結合によって結合されることにより、三次元ネットワーク構造が形成されているものと考えられる。すなわち、有機溶媒中においては、葉酸誘導体分子中のプテリン環部位同士が集合しあってリボン状(テープ状)の水素結合を自発的に形成し、次第に棒状分子に対して垂直方向に連続的につながった繊維状の構造が形成されていくものと推測される。そして、このような繊維状の構造が自発的に形成されていった結果、図5に示すような繊維状の構造が複雑に絡み合った三次元ランダムネットワーク構造が形成されるものと考えられる。
一方で、比較例1−1の葉酸誘導体(非特許文献1,2)は、R部位がかさ高く、棒状に近い分子構造を有している実施例1−1〜1−4の葉酸誘導体のように安定な繊維状の集合体を形成することができず、このために有機溶媒中でゲル化することができないものと考えられる。
実施例1−4の葉酸誘導体化合物のDSC測定結果である。 実施例1−4の葉酸誘導体化合物の150℃における偏光顕微鏡写真図である。 実施例1−4の葉酸誘導体化合物の90℃におけるX線スペクトル図である。 本発明にかかる葉酸誘導体化合物の液晶相構造の模式図である。 実施例1−4/THFゲルの光学顕微鏡写真図及びFE−SEM写真図である((a):光学顕微鏡写真図、(b),(c):FE−SEM写真図)。 実施例1−4の葉酸誘導体化合物の結晶状態、液晶状態、ゲル状態における赤外分光スペクトル図である(結晶(室温)、液晶(60℃)、ゲル(実施例1−4/クロロホルムゲル))。 本発明にかかる葉酸誘導体化合物のゲル構造の模式図である。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)により示される葉酸誘導体化合物。
    Figure 2005139134
    (式中、Rは炭素数5〜20の直鎖炭化水素基、Rは水素、又はトリフルオロアセチル基を意味する。)
  2. 請求項1に記載の葉酸誘導体化合物からなる液晶材料。
  3. 請求項1に記載の葉酸誘導体化合物からなるゲル化剤。
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