JP2005139071A - 洗浄剤組成物 - Google Patents

Abstract

【目的】高級脂肪酸塩を含有する洗浄料において、起泡力を損なわずに、経日安定性に優れた洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【構成】高級脂肪酸塩の一種又は二種以上と、ポリグリセリン脂肪酸エステルから選択される非イオン性界面活性剤の一種又は二種以上とポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステルを含有する洗浄剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は主に身体に用いる洗浄剤組成物に関し、詳細には、高級脂肪酸塩を含有する洗浄料において起泡力を損なわず経日保存安定性に優れた洗浄剤組成物に関する。

高級脂肪酸塩は、豊かな起泡力と、洗い流した後のさっぱり感、及びその高い洗浄効果から、従来、水性洗浄料の洗浄成分として広く使用されている。

しかしながら高級脂肪酸塩は、優れた洗浄作用があるものの、時として経日保存において結晶が析出する、また高温安定性が悪い等の問題があった。

この経日保存安定性を向上させる手段は古くより検討が重ねられ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油や縮合リシノレイン酸ポリグリセリンエステル等の非イオン性界面活性剤を併用することにより安定性を向上させる技術（特許文献１〜２参照）、あるいは炭素数が３以下と４以上の多価アルコールを組み合わせて併用することで安定性を向上させる技術（特許文献３参照）等が提案されているが、いずれも起泡力が低下する等の問題があり、決定的な手段は得られていないのが現状である。すなわち、高級脂肪酸塩を含有する洗浄料において、起泡力を損なわずに、経日保存安定性を向上させる手段の開発が望まれていた。

特開昭６１−３００号公報 特開２００２−６８９６１号公報 特開２００２−１５４９４６号公報

本発明者は、上記実状に鑑み鋭意検討を重ねた結果、高級脂肪酸塩を含有する洗浄料において、ポリグリセリン脂肪酸エステルの一種又は二種以上と、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステルの一種又は二種以上とを組み合わせて配合することにより、高級脂肪酸塩の起泡力を損なわずに経日保存安定性に優れた洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。

すなわち本発明の請求項１は、（Ａ）高級脂肪酸塩の一種又は二種以上、（Ｂ）ポリグリセリン脂肪酸エステルの一種又は二種以上、及び（Ｃ）ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステルの一種又は二種以上を含有することを特徴とする洗浄剤組成物である。

また本発明の請求項２は、成分（Ｂ）ポリグリセリン脂肪酸エステルのＨＬＢ値が８〜１６であることを特徴とする請求項１に記載の洗浄剤組成物である。

また本発明の請求項３は、成分（Ｃ）ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸がトリエステル体であり、オキシエチレンの重合度が４０〜６０である請求項１又は２に記載の洗浄剤組成物である。

本発明により、高級脂肪酸塩を含有する洗浄料において起泡力を損なわず経日保存安定性に優れた洗浄剤組成物を提供することができる。

以下、本発明の構成について詳述する。
本発明の成分（Ａ）高級脂肪酸塩で用いられる高級脂肪酸としては特に限定されないが、炭素数８〜２２のものが好適に用いられ、飽和又は不飽和、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでも構わない。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、２−パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リシノール酸、リノール酸、リノエライジン酸、リノレン酸、アラキドン酸や、その他にヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、牛脂脂肪酸等の混合脂肪酸も用いることができる。

またこれらの高級脂肪酸の対イオンの塩基としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等の無機塩基、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、２−アミノ−２−メチルプロパノール、２−アミノ−２−メチルプロパンジオール等のアルカノールアミン、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸等が挙げられ、中でもアルカリ金属塩が特に好ましく用いられる。

これらの高級脂肪酸塩は、脂肪酸塩として配合しても、また脂肪酸と塩基とを独立に配合して処方系の中で脂肪酸塩を形成させてもよい。またこれらの高級脂肪酸塩は、一種単独又は二種以上を混合して用いてもよい。

本発明の洗浄剤組成物に於ける（Ａ）高級脂肪酸塩の好ましい含有量は、剤型にもより異なるが、洗浄剤組成物の総量を基準として、１０〜６０質量％であり、更に好ましくは１５〜５０質量％である。これは当該含有量の範囲において、優れた起泡力と洗浄作用を発揮できるからである。

本発明で用いられる（Ｂ）ポリグリセリン脂肪酸エステルは、平均重合度４〜１０のポリグリセリンと、炭素数８〜２２の飽和又は不飽和の脂肪酸から選ばれた１種又は２種以上とのエステルである。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、直鎖状又は分岐状の脂肪酸のいずれであってもよく、好適な脂肪酸部分としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、カプリル酸、カプロン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等が例示できる。これらのポリグリセリン脂肪酸エステルの内、特に好ましいものは、モノラウリン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル等のポリグリセリンラウリン酸エステル、モノミリスチン酸テトラグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル等のポリグリセリンミリスチン酸エステル、モノオレイン酸テトラグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル等のポリグリセリンオレイン酸エステルである。これらのポリグリセリン脂肪酸エステルは化粧料等の皮膚外用剤の分野で非イオン界面活性剤として広く使用されている原料であり、市販のものを使用することができる。またポリグリセリン脂肪酸エステルのＨＬＢ値としては、適宜変更することができるが、本発明の目的である、起泡力を損なわずに経日保存安定性を向上させるためには、ＨＬＢ値が８〜１６の範囲のものが好ましく、１１〜１６の範囲のものが更に好ましい。

尚、本発明におけるＨＬＢ値は、下記の川上式（Ｉ）により算出されるものを意味する。
ＨＬＢ＝７＋１１．７ｌｏｇ（Ｍｗ／Ｍｏ） ・・・（Ｉ）
ここで、式（Ｉ）においてＭｗは親水性基部の分子量、Ｍｏは親油性基部の分子量をそれぞれ表す。

本発明の洗浄剤組成物には、これらの（Ｂ）ポリグリセリン脂肪酸エステルを一種単独で含有させることもできるし、二種以上を組み合わせて含有させることもできる。これらのポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい含有量は、洗浄剤組成物の総量を基準として、０．０５〜１０質量％が好ましく、０．５〜５質量％が更に好ましい。これは当該含有量の範囲において、経日保存安定性が向上するうえ、起泡力が損なわれることもないからである。

本発明で用いられる（Ｃ）ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステルは、トリエステル体であることが好ましく、その脂肪酸種はイソステアリン酸及び／又はオレイン酸であることが好ましい。また１分子中の酸化エチレンの平均重合度は４０〜６０の範囲が好ましい。平均重合度がその下限より低い場合には泡質が十分でなくなる場合がある。また本発明においてはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステルを、一種単独又は二種以上を組み合わせて用いることができる。これらのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステルの好ましい含有量は、洗浄剤組成物の総量を基準として、０．０１〜１０質量％が好ましく、０．５〜５質量％が更に好ましい。これは当該含有量の範囲において、経日保存安定性が向上するうえ、起泡力が損なわれるこのもないからである。

本発明の洗浄剤組成物には、上記必須成分の他に所望により通常化粧料、医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の成分を適宜加えることができる。他の成分としては、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン性界面活性剤、脂肪酸エチレングリコール等のパール光沢剤、エデト酸塩等のキレート剤、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、１，３−ブチレングリコール等の保湿剤、脂肪酸、高級アルコール、油脂等の過脂肪剤、メチルセルロース、カルボキシビニルポリマ−等の水溶性高分子、カチオン化ポリマー等の使用性向上剤、更にグリチルリチン、アラントイン、各種ビタミン等の薬剤を挙げることができる。

また本発明の洗浄剤組成物は、常法により製造することができ、洗顔クリーム、液状洗顔料、ボディシャンプー、シャンプー等の皮膚又は毛髪の洗浄を目的とするものに適用される。

次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合量は、質量％である。実施例に先立ち、評価方法について述べる。

（評価方法）
１）安定性
実施例、比較例で調製した組成物を温度０℃の恒温槽に１週間放置後、その状態を目視にて観察し、以下の評価基準を基に評価した。
○：結晶析出を認めず、きめに変化なし
△：結晶析出を認めないが、きめが粗い
×：結晶析出を認める

２）起泡力
実施例、比較例で調製した組成物を専門女性パネラー２０名が、手及び顔での起泡力について官能試験を行い、下記基準（Ａ）にしたがって評価した。結果は２０名の平均スコアから下記の判定基準（Ｂ）にしたがい判定した。
Ａ．評価とスコア：
泡立ちが素早く、泡の量が豊富である（スコア４）
泡立ちの早さ、泡の量ともには普通である（スコア３）
泡立ちは遅く、泡の量も少ない（スコア２）
ほとんど泡立たない（スコア１）
Ｂ．平均スコアと判定：
平均スコア３．６〜４．０（◎）
平均スコア２．６〜３．５（○）
平均スコア１．６〜２．５（△）
平均スコア１．０〜１．５（×）

実施例１〜７及び比較例１〜６
表１に記載の配合組成よりなる洗顔料を常法により調製し、安定性、起泡力を評価し、その結果を表１に示した。

表１より明らかなように、本発明の成分を用いた実施例１〜７の洗顔料はいずれも優れた性能を示していた。一方、比較例１〜６では、安定性及び起泡力のいずれかの特性が劣っており、本発明の目的を達成できなかった。

実施例８（ボディシャンプー） （質量％）
・ラウリン酸 ８．０
・ミリスチン酸 ７．０
・パルミチン酸 ６．０
・ＰＯＥ（３）ラウリルエーテル硫酸ナトリウム ４．０
・ＰＯＥ（３）ミリスチルエーテル硫酸ナトリウム １．５
・ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン ５．０
・ラウリン酸アミドプロピルベタイン １．０
・モノミリスチン酸デカグリセリル［ＨＬＢ１４．８］ ２．０
・トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油（６０Ｅ．Ｏ．） １．０
・ジステアリン酸エチレングリコール ２．０
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース ０．３
・ハトムギエキス ０．５
・グリセリン ５．０
・プロピレングリコール ５．０
・ＥＤＴＡ ０．１
・水酸化カリウム ５．０
・色素 適 量
・香料 ０．５
・精製水 残 量

常法により上記組成のボディシャンプー（ｐＨ９．０）を調製し、安定性及び起泡力、泡質を評価したところ、いずれの特性も優れており良好な結果を得た。

実施例９（ハンドソープ） （質量％）
・ラウリン酸 ５．０
・ミリスチン酸 ８．０
・パルミチン酸 ５．０
・ＰＯＥ（３）ラウリルエーテル硫酸ナトリウム １０．０
・モノラウリン酸ヘキサグリセリル［ＨＬＢ１３．５］ ２．０
・トリオレイン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油（４０Ｅ．Ｏ．） １．０
・ラウリルジメチルアミンオキシド ２．０
・ジステアリン酸エチレングリコール １．５
・ヒドロキシエチルセルロース ０．３
・ローズマリーエキス ０．２
・カミツレエキス ０．２
・加水分解シルク液 １．０
・グリセリン ５．０
・１，３−ブチレングリコール ５．０
・ＥＤＴＡ ０．１
・トリエタノールアミン １３．０
・色素 適 量
・香料 ０．３
・精製水 残 量

常法により上記組成のハンドソープ（ｐＨ８．５）を調製し、安定性及び起泡力、泡質を評価したところ、いずれの特性も優れており良好な結果を得た。

実施例１０（洗顔料） （質量％）・ラウリン酸 ７．０
・ミリスチン酸 ６．０
・パルミチン酸 ４．０
・ステアリン酸 ２．０
・ＰＯＥ（３）ヤシ油アルキルエーテル硫酸ナトリウム ８．０
・ラウリン酸アミドプロピルベタイン ２．５
・モノオレイン酸ヘキサグリセリル［ＨＬＢ１１．６］ ２．０
・トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油（６０Ｅ．Ｏ．） １．０
・ジステアリン酸エチレングリコール ２．５
・ニンジンエキス １．０
・ノバラエキス ０．５
・グリセリン ２．０
・ポリエチレングリコール １０．０
・ＥＤＴＡ ０．１
・水酸化カリウム ４．６
・色素 適 量
・香料 ０．２
・精製水 残 量

常法により上記組成の洗顔料（ｐＨ９．０）を調製し、安定性及び起泡力、泡質を評価したところ、いずれの特性も優れており良好な結果を得た。

尚、上記実施例における香料は、下記香料処方のものを用いた。

また、いずれの実施例の洗浄剤組成物を使用した場合にも、皮膚に炎症、その他副作用と考えられる症状は発現せず、本発明に係る洗浄剤組成物は安全性にも優れることが明らかであった。

Claims (3)

1. （Ａ）高級脂肪酸塩の一種又は二種以上、（Ｂ）ポリグリセリン脂肪酸エステルの一種又は二種以上、及び（Ｃ）ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステルの一種又は二種以上を含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
2. 成分（Ｂ）ポリグリセリン脂肪酸エステルのＨＬＢ値が８〜１６であることを特徴とする請求項１に記載の洗浄剤組成物。
3. 成分（Ｃ）ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸がトリエステル体であり、オキシエチレンの重合度が４０〜６０である請求項１又は２に記載の洗浄剤組成物。