JP2005138559A - 印字機構及び感熱プリンタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 気泡白濁を防止し、光沢度の低下のない高画質な感熱発色プリントが得られる印字機構及び該印字機構を搭載した感熱プリンタの提供。
【解決手段】 対向配置されるプリントヘッドとプラテンローラとの間に感熱記録紙が送給され、印字時にはプリントヘッドが感熱記録紙に圧接する印字機構であって、前記感熱記録紙を振動させる振動体を、前記プリントヘッド及びプラテンローラの下流側に少なくとも1つ設けたことを特徴とする印字機構である。該印字機構が光定着手段を有する態様、振動体が、前記プリントヘッド及びプラテンローラと、前記光定着手段との間に設けられた態様、振動体が、前記光定着手段と対向する位置に設けられた態様、振動体が、前記光定着手段の下流側近傍に設けられた態様などが好ましい。
【選択図】 図5

Description

本発明は、熱記録及び光定着の少なくともいずれかにより生じたガスを効率よく外部へ逃がすか、又はガスを分解して気泡の粒径を極めて小さくすることができる感熱発色プリントの印字機構、及び気泡白濁を防止して、光沢度の低下のない高画質なプリントが得られる感熱プリンタに関する。
感熱記録タイプのカラーサーマルプリンタでは、シアン感熱発色層、マゼンタ感熱発色層、イエロー感熱発色層をこの順に層設したフルカラー感熱記録紙が用いられている(特許文献1参照)。即ち、サーマルヘッドをカラー感熱記録紙に押し付けて、熱感度が最も高いイエロー感熱発色層にイエロー画像を1ラインずつ熱記録してから紫外線を照射して光定着する。次に、マゼンタ感熱発色層にマゼンタ画像を1ラインずつ熱記録してから紫外線を照射して光定着する。最後に、シアン感熱発色層にシアン画像を熱記録してカラー感熱記録紙にフルカラーの画像を形成している。
しかし、この場合、前記フルカラー感熱記録紙は、光定着の際にジアゾ化合物の光分解を利用しているので、第1層目のシアン感熱発色層中に窒素ガスが発生し、第2層目、第3層目の感熱発色層をサーマルヘッドで加熱した際に熱で軟化した感熱発色層中から窒素ガスが抜け出る際に気泡が生じ、白濁して光沢度が低下してしまうという問題がある。
また、印画エネルギーが最も大きい第1層目のシアン感熱発色層の印画では、加熱温度が高いため、感熱発色層中の水分が水蒸気ガスとなって放出され、気泡が発生し、表面光沢が低下してしまうという問題がある。
特開平11−291525号公報
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の課題を解決することを目的とする。即ち、本発明は、熱記録及び光定着の少なくともいずれかにより生じたガスを効率よく外部へ逃がすか、又はガスを分解して気泡の粒径を極めて小さくすることができる感熱発色プリントの印字機構、及び該印字機構を用いた、気泡白濁を防止でき、光沢度の低下のない高画質画像が得られる感熱プリンタを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 対向配置されたプリントヘッドとプラテンローラとの間に感熱記録紙が送給され、印字時には該プリントヘッドが感熱記録紙に圧接する印字機構であって、前記感熱記録紙を振動させる振動体を、前記プリントヘッド及びプラテンローラの下流側に少なくとも1つ設けたことを特徴とする印字機構である。
<2> プリントヘッド及びプラテンローラの下流側に、熱記録された感熱記録紙に紫外線を照射して光定着する光定着手段を有する前記<1>に記載の印字機構である。
<3> 振動体が、前記プリントヘッド及びプラテンローラと、前記光定着手段との間に設けられた前記<2>に記載の印字機構である。
<4> 振動体が、前記光定着手段と対向する位置に設けられた前記<2>から<3>のいずれかに記載の印字機構である。
<5> 振動体が、前記光定着手段の下流側近傍に設けられた前記<2>から<4>のいずれかに記載の印字機構である。
<6> 振動体が、感熱記録紙の表面側及び裏面側の少なくともいずれかの方向から接触するように設けられた前記<1>から<5>のいずれかに記載の印字機構である。
<7> 振動体が、前記感熱記録紙の表面及び裏面の少なくともいずれかに対して略直交方向に振動する前記<1>から<6>のいずれかに記載の印字機構である。
<8> 振動体が圧電素子を有する振動バーである前記<1>から<7>のいずれかに記載の印字機構である。
<9> 振動体における振動が20kHz以上の超音波振動である前記<1>から<8>のいずれかに記載の印字機構である。
<10> 感熱記録紙が、支持体上に、熱感度及び発色する色の少なくともいずれかが異なる第1感熱発色層、第2感熱発色層、及び第3感熱発色層をこの順に少なくとも有するカラー感熱記録紙である前記<1>から<9>のいずれかに記載の印字機構である。
<11> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の印字機構を搭載したことを特徴とする感熱プリンタである。
<12> 感熱記録紙の一部をニップしてこれを往復運動させる搬送手段と、プラテンローラとの間で感熱記録紙を押圧しながら熱記録するプリントヘッドと、熱記録された感熱記録紙に電磁波を照射して光定着する光定着手段とを有し、前記感熱記録紙が搬送される通路中に前記<1>から<10>のいずれかに記載の印字機構を配置し、該感熱記録紙を往復運動させながら熱記録及び光定着の少なくともいずれかを行うことを特徴とする感熱プリンタである。
本発明の印字機構は、プリントヘッド及びプラテンローラの下流側に少なくとも1つの感熱記録紙を振動させる振動体を有している。本発明の印字機構においては、振動体が超音波振動することによって、熱記録及び光定着の少なくともいずれかにより生じたガスを効率よく外部へ逃がすか、又はガスを分解して気泡の粒径を極めて小さくすることにより、気泡白濁を防止でき、高い光沢度を有する高画質な感熱プリントが得られる。
本発明の感熱プリンタは、第1の形態では、本発明の前記印字機構を搭載したことを特徴とする、また、本発明の感熱プリンタは、第2の形態では、感熱記録紙の一部をニップしてこれを往復運動させる搬送手段と、プラテンローラとの間で感熱記録紙を押圧しながら熱記録するプリントヘッドと、熱記録された感熱記録紙に紫外線を照射して光定着する光定着手段とを有し、前記感熱記録紙が搬送される通路中に本発明の前記印字機構を配置し、該感熱記録紙を往復運動させながら熱記録及び光定着の少なくともいずれかを行う。
前記第1形態及び第2形態に係る感熱プリンタにおいては、本発明の印字機構を搭載しているので、熱記録及び光定着の少なくともいずれかにより生じたガスを効率よく外部へ除去するか、又はガスを分解して気泡の粒径を極めて小さくすることができ、気泡白濁を防止し、高い光沢度を有する感熱プリントを提供することができる。
本発明によると、従来からの課題を解決でき、熱記録及び光定着の少なくともいずれかにより生じたガスを効率よく外部へ逃がすか、又はガスを分解して気泡の粒径を極めて小さくすることができ、気泡白濁を防止して、光沢度の低下のない、高画質の感熱プリントが得られる。
(印字機構)
本発明の印字機構は、対向配置されたプリントヘッド及びプラテンローラと、振動体とを有し、光定着手段、更に必要に応じて、制御手段などのその他の手段を有している。
前記プリントヘッドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、カラー感熱プリンタのプリンタヘッド、モノクロの感熱プリンタヘッド、シリアルプリンタヘッド、インクリボンを用いる熱転写記録タイプのサーマルプリンタヘッド、などが挙げられる。これらの中でも、サーマルヘッドが好ましい。
前記サーマルヘッドとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、図3に示すように、複数個の発熱素子17を所定のエリア内に縦横に並べて配置したサーマルヘッド23からなるエリア型のヒータアレイ35、図4に示すように、複数個の発熱素子17を縦に配置したライン型のサーマルヘッド23A,23B,23C・・・を複数列並べたヒータアレイ35、などが好適である。
前記プラテンローラとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、前記プリントヘッドと対向配置され、印字時には、プリントヘッドが感熱記録紙と圧接可能に形成されているものが好ましく、例えば、円筒状のローラ、などが挙げられる。
前記振動体は、感熱記録紙に超音波振動を付与して熱記録及び光定着の少なくともいずれかにより感熱記録紙中に生じたガスを効率よく外部へ逃がすか、又はガスを分解して気泡の粒径を極めて小さくするものである。前記振動体は、前記プリントヘッド及びプラテンローラの下流側に少なくとも1つ設けられ、必要に応じて2つ以上設けることもできる。
前記振動体は、(1)前記プリントヘッド及びプラテンローラと前記光定着手段との間(プリントヘッド及びプラテンローラの下流側近傍)、(2)前記光定着手段と対向する位置、(3)前記光定着手段の下流側近傍、等に設けることができる。また、前記振動体は、感熱記録紙の表面側及び裏面側の少なくともいずれかの方向から接触するように設けることが好ましい。
前記振動体としては、感熱記録紙を振動可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、圧電素子を有する振動バー、などが好適である。前記圧電素子としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、PZT(チタン酸ジルコン酸)、ニオブ酸リチウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素アンモニウム、硫酸リチウム、ロッシェル塩、BaTiO、BaTiOとPbTiOとの固溶体、等が挙げられる。
前記圧電素子は、例えば、その両面に電極が貼着され、電極間は電源装置に電気的に接続されており、超音波振動可能に形成されている。感熱記録紙に対する超音波振動は、20kHz以上が好ましく、2,000〜20,000kHzがより好ましい。また、前記振動体における超音波振動の振幅は1μm以下が好ましい。
前記光定着手段は、発色直後の各感熱発色層に対し、該各感熱発色層に特有な電磁波を照射して定着する手段である。
前記定着は、発色直後の各感熱発色層に対し、該各感熱発色層に特有な電磁波を照射することができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、紫外線照射手段、などが挙げられる。
前記光定着においては、第3感熱発色層にサーマルヘットを用い熱エネルギー与えて該第3感熱発色層を発色させた後、該第3感熱発色層に対し特有な波長の電磁波を照射して定着すると共に、第2感熱発色層にサーマルヘッドを用い熱エネルギーを与えて該第2感熱発色層を発色させた後、該第2感熱発色層に対し特有な波長の電磁波を照射して定着し、最後に第1感熱発色層を発色させることが好ましい。
例えば、マゼンタ感熱発色層の記録中に、イエロー感熱発色層内に残っていた未発色成分が発色しないようにするため、イエロー画像のプリント後に420nmの近紫外線を照射してイエロー感熱発色層を定着する。同様に、マゼンタ感熱発色層の記録後に、365nmの紫外線を照射してマゼンタ感熱発色層を定着している。
前記制御手段は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
<カラー感熱記録紙>
前記カラー感熱記録紙は、支持体上に、熱感度及び発色する色の少なくともいずれかが異なる第1感熱発色層、第2感熱発色層、及び第3感熱発色層をこの順に少なくとも有し、必要に応じてその他の層を有する。
前記カラー感熱記録紙10は、例えば、図1に示したように、支持体11上に、シアン感熱発色層12、マゼンタ感熱発色層13、イエロー感熱発色層14、保護層15が順次層設されている。
なお、前記各感熱発色層12〜14は、記録される順番に層設されているが、例えばマゼンタ、イエロー、シアンの順番に熱記録する場合には、イエロー感熱発色層14とマゼンタ感熱発色層13とが入れ換えられる。
−感熱発色層−
前記感熱発色層には、発色剤(電子供与性無色染料、ジアゾ化合物)、顕色剤(電子受容性化合物、カップリング剤)、イエロー色前駆物質、シアン色前駆物質、マゼンタ色前駆物質、及びバインダー樹脂を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記発色剤と顕色剤としては、発色前は各々実質的に無色であるが、互いに接触することにより発色反応を起こす成分であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、電子供与性無色染料(発色剤)と電子受容性化合物(顕色剤)の組合わせ、又はジアゾ化合物(発色剤)とカップリング成分(顕色剤)の組合わせ、有機金属塩と還元剤の組合わせ、等が挙げられる。
前記電子供与性無色染料は、実質的に無色であるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、エレクトロンを供与して、あるいは酸等のプロトンを受容して発色する性質を有するものであって、ラクトン、ラクタム、サルトン、スピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格を有し、顕色剤と接触してこれらの部分骨格が開環もしくは開裂する化合物が好ましい。
前記発色剤としては、例えば、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物など各種の化合物がある。前記フタリド類としては、米国再発行特許明細書第23,024号、米国特許明細書第3,491,111号、同第3,491,112号、同第3,491,116号、同第3,509,174号、などが挙げられる。前記フルオラン類としては、米国特許明細書第3,624,107号、同第3,627,787号、同第3,641,011号、同第3,462,828号、同第3,681,390号、同第3,920,510号、同第3,959,571号、等が挙げられる。前記スピロジピラン類としては、米国特許明細書第3,971,808号などが挙げられる。前記ピリジン系又はピラジン系化合物類としては、米国特許明細書第3,775,424号、同第3,853,869号、同第4,246,318号、などが挙げられる。前記フルオレン系化合物としては、特開昭63−94878号公報等に記載されている。これらの中でも、特に黒発色の2−アリールアミノ−3−H、ハロゲン、アルキル又はアルコキシ−6−置換アミノフルオランが有効である。
前記発色剤として、例えば、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−シクロヘキシル−N−メチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジオクチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−ドデシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メトキシ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−p−クロロアニリノ−3−エチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−o−クロロアニリノ−6−p−ブチルアニリノフルオラン、2−アニリノ−3−ペンタデシル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−エチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−o−トルイジノ−3−メチル−6−ジイソプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−イソブチル−N−エチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−γ−エトキシプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−γ−プロポキシプロピルアミノフルオラン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、発色色相の異なる感熱発色層を重層して多色感熱記録紙とする場合は、イエロー色前駆物質、シアン色前駆物質及びマゼンタ色前駆物質を使用する。これらの物質の具体例については特開昭61−24495号公報に詳細に記載されている。
これらの電子供与性無色染料に対する顕色剤としては、例えば、フェノール化合物、有機酸又はその金属塩、オキシ安息香酸エステル等の酸性物質が用いられる。
前記顕色剤としては、例えば、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般名:ビスフェノールA)、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−ペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−エチル−ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,4−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、1,3−ビス(p−ヒドロキシフェニルクミル)ベンゼン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル等のビスフェノール類;3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸、3−α−α−ジメチルベンジルサリチル酸、4−(β−p−メトキシフェノキシエトキシ)サリチル酸等のサリチル酸誘導体又はその多価金属塩(特に亜鉛、アルミニウムが好ましい);p−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエルテル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシルエステル、β−レゾルシン酸−(2−フェノキシエチル)エステル等のオキシ安息香酸エステル類;p−フェニルフェノール、3,5−ジフェニルフェノール、クミルフェノール、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシ−ジフェニルスルフォン、4−ヒドロキシ−4’−フェノキシ−ジフェニルスルフォン等のフェノール類、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、発色性向上の目的にはビスフェノール類が好ましい。
前記顕色剤の含有量は、前記発色剤100質量部に対し50〜800質量部が好ましく、100〜500質量部がより好ましい。
前記電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物の組み合わせを用いる場合は、発色剤と顕色剤の発色反応を促進し、より少ない熱エネルギーでの記録を可能にするため必要に応じて増感剤を併用してもよい。
前記増感剤としては、例えば、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、β−ナフチル−ベンジルエーテル、ステアリン酸アミド、ステアリル尿素、p−ベンジルビフェニル、ジ(2−メチルフェノキシ)エタン、ジ(2−メトキシフェノキシ)エタン、β−ナフトール−(p−メチルベンジル)エーテル、α−ナフチル−ベンジルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−イソプロピルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−ターシャリーオクチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(4−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(4−クロルフェノキシ)エタン、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、ジエチレングリコール−ビス−(4−メトキシフェニル)エーテル、4−エトキシフェニル−p−クロルベンジルエーテル、1(4−メトキシ−フェノキシ)−2−フェノキシ−プロパン、1,3−ビス−(4−メトキシフェノキシ)プロパン、3−メチル−4−クロルフェニル−p−メトキシベンジルエーテル、3,5−ジメチル−4−クロルフェニル−p−メトキシベンジルエーテル、4−クロルフェニル−p−メトキシベンジルエーテル、1−フェノキシ−2(4−メトキシ−フェノキシ)−プロパン、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)エステル、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記増感剤の含有量は、前記顕色剤100質量部に対して10〜200質量部が好ましく、20〜200質量部がより好ましい。なお、前記増感剤はあらかじめ発色剤乃至は顕色剤と熱共融物を作成した後、使用しても良い。
前記ジアゾ化合物とは、後述するカップリング成分と呼ばれる顕色剤と反応して所望の色相に発色するものを意味する。反応前に特定波長の光を受けると分解し、もはやカップリング成分が作用しても発色能力を持たなくなる光分解性ジアゾ化合物である。この発色系における色相はジアゾ化合物とカップリング成分が反応して生成したジアゾ色素により決定される。従って、良く知られているようにジアゾ化合物の化学構造を変えるか、カップリング成分の化学構造を変えれば容易に発色色相を変えることができ、組み合わせ次第で略任意の発色色相を得ることができる。
前記光分解性ジアゾ化合物とは、主として芳香族ジアゾ化合物を意味し、具体的には、芳香族ジアゾニウム塩、ジアゾスルフォネート化合物、ジアゾアミノ化合物などが挙げられる。前記ジアゾニウム塩は、一般式:ArN で示される化合物である(ただし、式中、Arは、置換又は無置換の芳香族部分を表す。N は、ジアゾニウム基を表す。Xは、酸アニオンを表す。)。
前記ジアゾスルフォネート化合物としては、多数のものが知られており、各々のジアゾニウム塩を亜硫酸塩で処理することにより得られる。
前記ジアゾアミノ化合物は、ジアゾ基をジシアンジアミド、サルコシン、メチルタウリン、N−エチルアントラニックアシッド−5−スルフォニックアシッド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、グアニジン等でカップリングさせて得られる。なお、これらのジアゾ化合物の詳細については、例えば、特開平2−136286号公報等に記載されている。
前記ジアゾ化合物とカップリングして反応させるカップリング成分としては、例えば、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリドの他、レゾルシンを初めとして特開昭62−146678号公報に記載されているもの、などを挙げることができる。
前記ジアゾ化合物とカップリング成分の組み合わせを用いる場合、カップリング反応が塩基性雰囲気で起こりやすいため、前記増感剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、塩基性物質を添加してもよい。
前記塩基性物質としては、水不溶性又は難溶性の塩基性物質や加熱によりアルカリを発生する物質が用いられる。それらの例としては、無機又は有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素やチオ尿素又はその誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルフォリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォリムアジン類、ピリジン類等の含窒素化合物が挙げられる。これらの具体例としては、例えば、特開昭61−291183号公報等に記載されている。
前記有機金属塩としては、例えば、ラウリン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、ステアリン酸銀、アラキン酸銀、ベヘン酸銀のような長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩;ベンゾトリアゾール銀塩、ベンズイミダゾール銀塩、カルバゾール銀塩及びフタラジノン銀塩のようなイミノ基を有する有機化合物の銀塩;s−アルキルチオグリコレートのような硫黄含有化合物の銀塩;安息香酸、フタル酸銀のような芳香族カルボン酸の銀塩;エタンスルホン酸銀のようなスルホン酸の銀塩;o−トルエンスルフィン酸の銀塩;フェニルリン酸銀のようなリン酸の銀塩;バルビツール酸銀、サッカリン酸銀、サリチルアルドキシムの銀塩、又はこれらの任意の混合物が挙げられる。これらの化合物の中でも、長鎖脂肪族カルボン酸銀塩が好ましく、特にベヘン酸銀が好ましい。なお、ベヘン酸をベヘン酸銀と共に使用してもよい。
前記還元剤としては、特開昭53−1020号公報第227頁左下欄第14行目〜第229頁右上欄第11行目の記載に基づいて適宜使用することができが、例えば、モノ、ビス、トリス又はテトラキスフェノール類;モノ又はビスナフトール類;ジ又はポリヒドロキシナフタレン類;ジ又はポリヒドロキシベンゼン類;ヒドロキシモノエーテル類;アスコルビン酸類、3−ピラゾリドン類、ピラゾリン類、ピラゾロン類、還元性糖類、フェニレンジアミン類、ヒドロキシルアミン類、レダクトン類、ヒドロオキサミン酸類、ヒドラジド類、アミドオキシム類、N−ヒドロキシ尿素類、等が挙げられる。これら中でも、ポリフェノール類、スルホンアミドフェノール類、及びナフトール類等の芳香族有機還元剤が特に好ましい。
前記発色剤又は顕色剤としては、感熱発色層中に公知の方法により固体分散して使用することもできるが、感熱発色層の透明性向上の観点、常温で発色剤と顕色剤の接触を防止するといった生保存性の観点(カブリ防止)、及び所望の熱エネルギーで発色させるというような発色感度の制御の観点からカプセル化して用いることが好ましい。
前記感熱記録紙にマイクロカプセルを使用する場合は、前記感熱発色層を透明とし、ライトテーブル、シャーカステン、OHPで使用したり、該感熱発色層を重層して多色記録材料とする場合には、マイクロカプセルに含有されなかった顕色剤、固体増感剤等は、水に難溶性又は不溶性の有機溶剤に溶解せしめた後、これを界面活性剤を含有した水溶性高分子を保護コロイドとして有する水相と混合し、乳化分散した分散物の形で使用することが好ましい。
前記マイクロカプセルの製造には、界面重合法、内部重合法、及び外部重合法のいずれの方法も好適に採用することができるが、特に、電子供与性無色染料、ジアゾニウム塩等を含有した芯物質を、水溶性化合物を溶解した水溶液中で乳化した後、その油滴の周囲に高分子物質の壁を形成させる界面重合法を採用することが好ましい。
前記高分子物質を形成するリアクタントは、油滴の内部及び油滴の外部の少なくともいずれかに添加される。前記高分子物質としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体、等が挙げられる。これらの中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン及びポリウレアが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記水溶性高分子としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、等が挙げられる。
前記ポリウレアをカプセル壁材として用いる場合には、例えば、ジイソシアナート、トリイソシアナート、テトライソシアナート、ポリイソシアナートプレポリマー等のポリイソシアナートと、ジアミン、トリアミン、テトラアミン等のポリアミン、アミノ基を2個以上含むプレポリマー、ピペラジンもしくはその誘導体又はポリオール等が挙げられ、水系溶媒中で界面重合法によって反応させることにより容易にマイクロカプセル壁を形成させることができる。また、ポリウレアとポリアミドからなる複合壁又はポリウレタンとポリアミドからなる複合壁は、例えば、ポリイソシアナートと酸クロライド又はポリアミンとポリオールを用い、反応液となる乳化媒体のpHを調整した後、加温することにより調整することができる。これらのポリウレアとポリアミドからなる複合壁の製造方法の詳細については、特開昭58−66948号公報に記載されている。
本発明においては、マイクロカプセル壁をより低温で物質透過性にするため、固体増感剤を添加することもできる。前記固体増感剤としては、前記マイクロカプセル壁として用いるポリマーの可塑剤の中から、好ましくは融点が50℃以上であるものを選択して用いることができる。例えば、前記カプセル壁材が、ポリウレア、ポリウレタンからなる場合は、ヒドロキシ化合物、カルバミン酸エステル化合物、芳香族アルコキシ化合物、有機スルホンアミド化合物、脂肪族アミド化合物、アリールアミド化合物、等が好適に用いられる。
前記感熱記録紙の保存性が良好で透明なものとする観点からは、顕色剤を乳化分散物とすることが好ましい。
前記乳化分散に使用される有機溶剤としては、高沸点オイルの中から適宜選択することができる。前記高沸点オイルとしては、例えば、エステル類の他、ジメチルナフタレン、ジエチルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、ジメチルビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、ジイソブチルビフェニル、1−メチル−1−ジメチルフェニル−2−フェニルメタン、1−エチル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン、1−プロピル−1−ジメチルフェニル−1−フェニルメタン;トリアリルメタン(例えば、トリトルイルメタン、トルイルジフェニルメタン);ターフェニル化合物(例えば、ターフェニル);アルキル化合物;アルキル化ジフェニルエーテル(例えば、プロピルジフェニルエーテル);水添ターフェニル(例えば、ヘキサヒドロターフェニル);ジフェニルエーテル、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特にエステル類を使用することが、乳化分散物の乳化安定性の観点から好ましい。
前記エステル類としては、例えば、燐酸エステル類(例えば、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ブチル、燐酸オクチル、燐酸クレジルフェニル);フタル酸エステル類(例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸−2−エチルヘキシル、フタル酸エチル、フタル酸オクチル、フタル酸ブチルベンジル);テトラヒドロフタル酸ジオクチル;安息香酸エステル類(例えば、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソペンチル、安息香酸ベンジル);アビエチン酸エステル類(例えば、アビエチン酸エチル、アビエチン酸ベンジル);アジピン酸ジオクチル;コハク酸イソデシル;アゼライン酸ジオクチル;シュウ酸エステル類(例えば、シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジペンチル);マロン酸ジエチル;マレイン酸エステル類(例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル);クエン酸トリブチル;ソルビン酸エステル類(例えば、ソルビン酸メチル、ソルビン酸エチル、ソルビン酸ブチル);セバシン酸エステル類(例えば、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル);エチレングリコールエステル類(例えば、ギ酸モノエステル又はジエステル、酪酸モノエステル又はジエステル、ラウリン酸モノエステル又はジエステル、パルミチン酸モノエステル又はジエステル、ステアリン酸モノエステル又はジエステル、オレイン酸モノエステル又はジエステル);トリアセチン;炭酸ジエチル;炭酸ジフェニル;炭酸エチレン;炭酸プロピレン;ほう酸エステル類(例えば、ほう酸トリブチル、ほう酸トリペンチル)、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に燐酸トリクレジルを単独又は混合して用いた場合には、乳化物の安定性が最も良好であり好ましい。なお、前記オイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
前記有機溶剤には、更に、低沸点の溶解助剤として補助溶剤を加えることもできる。該補助溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、等が挙げられる。
これらの成分を含有する油相を混合する水相に、保護コロイドとして含有する水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子、などが挙げられ、特に、ポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体が好ましい。
また、水相に含有する界面活性剤は、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤のなかから、前記保護コロイドと作用して沈殿や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。前記界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)、等を挙げることができる。
前記乳化分散物としては、前記成分を含有した油相と保護コロイド及び界面活性剤を含有する水相を、高速撹拌、超音波分散等の通常の微粒子乳化に用いられる手段を使用して混合、分散して、容易に得ることができる。
また、油相の水相に対する比の値(油相質量/水相質量)は、0.02〜0.6が好ましく、0.1〜0.4がより好ましい。前記比の値が0.02未満であると、水相が多すぎて希薄となり十分な発色性が得られないことがあり、0.6を超えると、逆に液の値の粘度が高くなり、取扱いの不便さや塗液安定性の低下をもたらすことがある。
前記感熱発色層には、更に必要に応じて、顔料、ワックス、硬膜剤等を添加してもよい。前記感熱発色層は、発色剤、顕色剤の合計質量が0.1〜10g/mになるように塗布することが好ましい。また、該塗布層の厚みが0.1〜10μmになるように塗布することが好ましい。
上記のように調整した感熱発色層液を支持体上に塗布するに際しては、公知の水系又は有機溶剤系の塗液を用いる塗布手段が用いられる。この場合、前記感熱発色層液を安全かつ均一に塗布するとともに、塗膜の強度を保持するため、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、澱粉類、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリスチレン又はその共重合体、ポリエステル又はその共重合体、ポリエチレン又はその共重合体、エポキシ樹脂、アクリレート及びメタアクリレート系樹脂又はその共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂等をマイクロカプセルとともに併用することができる。
前記支持体は、透明であっても、不透明であってもよく、必要に応じて着色されていてもよいが、熱記録時の発熱に対しても変形せず、寸度安定性を有するものが好ましい。
前記透明支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム;三酢酸セルロース等のセルロース誘導体フィルム;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム;ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリアクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、10〜200μmが好ましい。
前記不透明な支持体としては、例えば、紙、合成紙、アルミニウム蒸着ベース、前記透明支持体に顔料等をコートしたもの等が挙げられる。
前記支持体としては、ポリエステルフィルムに耐熱処理、帯電防止処理を施したものが特に好ましい。また、前記支持体から感熱発色層が剥離することを防止するため、前記感熱発色層及びバック層を支持体上に塗布する前に、前記支持体に下塗り層を設けることが好ましい。
前記下塗り層としては、例えば、アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、スチレン−ブタジエンラテックス、等を用いることができる。これらの組成物からなる下塗り層は、例えば、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等の公知の塗布方法により塗布される。
前記下塗り層の膜厚としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、0.1〜0.5μmが好ましい。
前記感熱発色層の表面での光散乱による見かけの透明性が低下すること等を防止するため、前記感熱発色層の上に前記保護層を公知の方法により設けることができる。前記保護層については、例えば、「紙パルプ技術タイムス」(1985年9月号)2〜4頁及び特開昭63−318546号公報等に記載されている。
前記保護層の透明性を良好なものとする上から、特に、シリカ変性ポリビニルアルコールとコロイダルシリカを組み合わせたものが好ましい。また、従来から使用されている前記保護層とともに、又はそれらの保護層に代えてシリコーン樹脂を主成分とする保護層を設けることもできる。これによって、感熱発色層の透明性を損なうことなく、耐水性も良好となる。
なお、前記発色剤としてジアゾ化合物を利用した場合には、熱記録後にジアゾ化合物を分解させることのできる波長の光を全面露光することにより画像の定着を行うことができる。
また、前記感熱発色層と反対の面に少なくとも高分子樹脂と50%体積平均粒径1〜20μmの有機粒子及び無機粒子のいずれかを含むバック層を設けることが好ましい。
前記高分子樹脂としては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン類、ゼラチン、変性ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリスチレン又はその共重合体、ポリエステル又はその共重合体、ポリエチレン又はその共重合体、エポキシ樹脂、アクリレート又はそのメタアクリレート系樹脂又はその共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機粒子又は無機粒子としては、例えば、大麦、小麦、コーン、米、豆類より得られるでんぷん等の微粒子の他、セルロースファイバー、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素ホルマリン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート樹脂、塩化ビニル又は酢酸ビニルの共重合体樹脂、ポリオレフィン等の合成高分子の微粒子、炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、スメクタイト粘土、水酸化アルミニウム、シリカ、酸化亜鉛等の無機の微粒子、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、カラー感熱記録紙の透明性を良好なものとする観点からは、屈折率が1.45〜1.75の微粒子状物質が好ましい。
前記粒子状物質の添加量は、前記高分子樹脂に対し、0.5〜10質量%の範囲が好ましく、1〜5質量%の範囲がより好ましい。
前記バック層としては、例えば、前記高分子樹脂を架橋する架橋剤;ワックス等のスベリ剤;帯電防止剤等を含むことができる。前記バック層は、ブレード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロールコーティング塗布法、スプレー塗布法、ディップ塗布法、バー塗布法等の公知の塗布方法により塗布される。
(感熱プリンタ)
本発明の感熱プリンタは、第1の形態では、本発明の前記印字機構を搭載したことを特徴とする。前記感熱プリンタとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、カラー感熱プリンタ、モノクロの感熱プリンタ、シリアルプリンタ、インクリボンを用いる熱転写記録タイプのサーマルプリンタ、などに対しても好適である。
また、本発明の感熱プリンタは、第2の形態では、感熱記録紙の一部をニップしてこれを往復運動させる搬送手段と、プラテンローラとの間で感熱記録紙を押圧しながら熱記録するプリントヘッドと、熱記録された感熱記録紙に電磁波を照射して光定着する光定着手段とを有し、前記感熱記録紙が搬送される通路中に本発明の前記印字機構を配置し、該感熱記録紙を往復運動させながら熱記録及び光定着の少なくともいずれかを行うことを特徴とする。
前記搬送手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、一対の搬送ローラ、などが挙げられる。
なお、前記印字機構、プリントヘッド、及び光定着手段としては、上記印字機構と同様なものが挙げられる。
次に、本発明の印字機構及び感熱プリンタによりカラー感熱記録方法を実施する一の態様について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、カラー感熱記録紙10は、支持体11上に、シアン感熱発色層12、マゼンタ感熱発色層13、イエロー感熱発色層14、保護層15が順次設けられている。なお、感熱発色層は、例えば、ブラック発色層等を加えた4層構成又は5層構成等であってもよい。更に、各感熱発色層の位置を変えてもよく、例えば、シアン感熱発色層を最上層としてもよい。
前記支持体11としては、原紙の両面にポリエチレン樹脂層を形成した両面ポリエチレン被覆層支持体が好適に用いられる。シアン感熱発色層12は、深層にあるために熱感度が最も低く、比較的に大きな熱エネルギーを与えたときにシアンに発色する。マゼンタ感熱発色層13は、熱感度が中程度であり、加熱によってマゼンタに発色する。イエロー感熱発色層14は、表面側に存在するために熱感度が最も高く、比較的に小さな熱エネルギーを与えたときにイエローに発色する。
この場合、混色を防止するために、マゼンタ感熱発色層13は、ほぼ365nmの紫外線が照射されると発色能力が消失し、記録された画像が定着される。イエロー感熱発色層14は、ほぼ420nmの近紫外線が照射されたときに発色能力が消失するように構成されていることが好ましい。
保護層15は、ポリビニルアルコール(PVA)を主成分として含む透明な樹脂層であり、各感熱発色層に傷が付いたりするのを防止する。この保護層15には、カラー感熱記録紙のくっつきを防止するためのブロッキング防止剤,滑りを良くするための潤滑剤等が添加されている。
また、各感熱発色層の熱感度差を大きくするため、各感熱発色層の間に中間層が形成されていることが好ましい。
図2は、図1における各感熱発色層12〜14の発色特性を示すものである。各感熱発色層12〜14は、深層になるほど発色するために大きな発色熱エネルギーが必要である。このカラー感熱記録紙10では、イエロー感熱発色層14の発色熱エネルギーが最も低く、シアン感熱発色層12の発色熱エネルギーが最も高い。イエローの画素を記録する場合には、イエロー用のバイアス熱エネルギーEbyに階調熱エネルギーEgyを加えた発色熱エネルギーがカラー感熱記録紙10に与えられる。このバイアス熱エネルギーEbyは、イエロー感熱発色層14が発色する直前の熱エネルギーであり、階調熱エネルギーEgyは、記録すべき画素の発色濃度、即ちイエローの階調レベルに応じて決められる。なお、マゼンタ,シアンについても同様であるので、記号Ebm、Egm、Ebc、Egcを付してある。
図5は、本発明の印字機構の一例を示し、この印字機構は、熱転写方式のライン型サーマルプリンタの要部を示す。この印字機構は、プリントヘッド23が円柱状のプラテンローラ22に対向して配置されている。このプリントヘッド23の下面には、発熱素子17が形成されている。また、プリントヘッド23の上流側近傍には、感熱記録紙10に対して表面側から接触するように振動体20が設けられている。この振動体20は、圧電素子19を有しており、熱記録後の感熱記録紙に対し垂直方向から超音波振動を付与して水蒸気ガスを外部へ逃がすか、又は水蒸気ガスを極めて小さい粒径にすることができる。
また、振動体20の上流側近傍における、感熱記録紙10の送給路上には搬送ローラ対24が設けられている。該搬送ローラ対24は感熱記録紙10を搬送する。この際、感熱記録紙10はプリントヘッド23とプラテンローラ22との間に挟み込まれる。搬送ローラ対24は電動モータと伝達機構を介して接続され、該電動モータの回転駆動力によって回転する。プリントヘッド23にはスプリング等のばね部材が設けられ、該ばね部材は一定荷重でプリントヘッド23をプラテンローラ22側に付勢している。
なお、図示を省略しているが、プリントヘッド及びプラテンローラの下流側に、熱記録された感熱記録紙に電磁波を照射して光定着する光定着手段を有している。
次に、図6は、本発明のカラー感熱プリンタの概略図を示す。この感熱プリンタにおいて、給紙ローラ1により給紙カセット2から送り出されたカラー感熱記録紙10は、給紙通路4内を通って排出通路5に向けて搬送される。このカラー感熱記録紙10は、図1に示すように支持体11の上に、シアン感熱発色層12、マゼンタ感熱発色層13、イエロー感熱発色層14、及び保護層15が、熱記録される順番に表面から順に層設されている。
シアン感熱発色層12は、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物を主成分として含有し、加熱されたときにシアンに発色する。マゼンタ感熱発色層13としては、最大吸収波長が約365nmであるジアゾニウム塩化合物と、これに熱反応してマゼンタに発色するカプラーとを含有している。このマゼンタ感熱発色層13は、熱記録後に365nm付近の紫外線を照射するとジアゾニウム塩化合物が光分解して発色能力が失われる。イエロー感熱発色層14は、最大吸収波長が約420nmであるジアゾニウム塩化合物と、これと熱反応してイエローに発色するカプラーとを含有している。このイエロー感熱発色層14は420nm付近の紫外線を照射すると光定着して発色能力が失われる。
給紙通路4の上流側には、プラテンローラ22と、サーマルヘッド23とが設けられている。また、サーマルヘッド23から所定間隔隔てた上流側には、搬送ローラ対24が配置されている。この搬送ローラ対24は、パルスモータ25で駆動されるキャプスタンローラと、ピンチローラとから構成されている。
プラテンローラ22は、プラテン軸22aに回転自在に支持されており、搬送ローラ対24の駆動によりカラー感熱記録紙10が搬送されるときに、これに合わせて追随して回転する。パルスモータ25は、カラー感熱記録紙10を排出通路5に向けて搬送する正転と、給紙通路4に向けて搬送する逆転とを行う。
サーマルヘッド23は、プラテンローラ22に圧接した状態の熱記録位置と、プラテンローラ22から離れた退避位置との間で移動自在となっており、この移動は軸23aを中心に回動することによって行われる。この熱記録位置では、サーマルヘッド23がバネ(図示せず)によって一定の押圧力が与えられる。
また、サーマルヘッド23には、図3及び図4に示すように、多数の発熱素子17が主走査方向にライン状に配列されており、1色の画像を1ラインずつ記録する。この1ラインを記録する場合に各発熱素子17は、記録すべき感熱発色層の特性曲線に基づいた発色熱エネルギー(mJ/mm)をカラー感熱記録10に与え、カラー感熱記録紙10の上で仮想的に四角に区画した画素内を発色させてドットを形成する。この発色熱エネルギーは、記録すべき感熱発色層が発色する直前の熱エネルギー(以下、「バイアス熱エネルギー」と称することがある)と、所望の濃度に発色させるための熱エネルギー(以下、「階調熱エネルギー」と称することがある)とからなる。前記バイアス熱エネルギーは、感熱発色層の種類に応じて決まる一定な値である。一方、前記階調熱エネルギーは、階調レベルを表す画像データに応じて変化する。
この図6の実施態様では、サーマルヘッド23の上流側近傍には振動体20が設けられている。この振動体20の内部には、圧電素子(強誘電体結晶)19が2枚の電極に挟持されて固定されており、駆動回路21と接続されて制御されている。
駆動回路21は、圧電素子19に高周波電圧を印可して振動体に超音波振動を起こす。その結果、振振動体20は、超音波振動と共振し、固有の振動数で共振する。この実施例1では、感熱記録紙10に垂直な方向に振動する。
搬送ローラ対24と排出通路5との間の記録紙通路中には、イエロー用紫外線ランプ32が配置されており、このイエロー用紫外線ランプ32は発光ピークがほぼ420nmの紫外線を放出し、イエロー感熱発色層14の光定着を行う。また、イエロー用紫外線ランプ32の隣には、マゼンタ用紫外線ランプ33が配置されている。このマゼンタ用紫外線ランプ33は発光ピークがほぼ365nmの紫外線を放出してマゼンタ感熱発色層13の光定着を行う。
次に、図6の感熱プリンタの作用について説明する。プリント開始操作が行われると、カセット2内に収納された複数のカラー感熱記録紙10は、その先端側が持ち上げられ、給紙ローラ1に圧接される。この給紙ローラ1が反時計方向に回転すると、給紙カセット2から最上のカラー感熱記録紙10が送り出される。送り出されたカラー感熱記録紙10は、給紙通路5を経てサーマルヘッド23とプラテンローラ22との間に給送される。このとき、パルスモータ25が正転しており、搬送ローラ対24によってカラー感熱記録紙10を往動方向に搬送する。
その後、カラー感熱記録紙10の先端が搬送ローラ対24でニップされた時点で給紙ローラ1の駆動が停止される。この直後に、サーマルヘッド23は、軸23aを中心に回転して、発熱素子17がカラー感熱記録紙10に圧接する熱記録位置に移動する。この移動とともに搬送ローラ対24がカラー感熱記録紙10を往動方向に搬送する。この1ラインを記録する場合には、各発熱素子17がイエロー感熱発色層14の特性曲線に基づいたバイアス熱エネルギーと画像データに基づいた階調熱エネルギーとをカラー感熱記録紙10に与え、カラー感熱記録紙10の上で仮想的に四角に区画した画素内を発色させてドットを形成する。
イエロー感熱発色層14に熱記録されたカラー感熱記録紙10は、排出通路5に向けて進入すると同時に、駆動回路21が圧電素子19に高周波電圧を印可する。これにより、圧電素子19は超音波振動を生じ振動体20によって感熱記録紙10が振動し、生じたガスを外部へ除去したり、ガスを極めて小さい粒径に分解する。その後、感熱記録紙10は、排出通路5の前に配置されたイエロー用紫外線ランプ22により、ほぼ420nm付近の近紫外線がカラー感熱記録紙10に照射され、次のマゼンタ感熱発色層13の熱記録時にイエローが発色しないように光定着される。
イエロー感熱発色層14への熱記録が終了すると、サーマルヘッド23が退避位置に回転する。その後、カラー感熱記録紙10の後端をニップした状態で搬送ローラ対14の駆動がいったん停止される。その後、搬送ローラ対24が逆方向に駆動される。これにより、カラー感熱記録紙10が復動方向に沿って搬送され、再び熱記録開始位置まで戻される。
その後、サーマルヘッド23は、軸23aを中心に回転して熱記録位置に移動する。この移動とともに搬送ローラ対24が駆動され、カラー感熱記録紙10を往動方向に搬送する。記録エリアの先端が発熱素子17に達するとマゼンタ画像が1ラインずつ熱記録される。マゼンタ画像の熱記録が行われたカラー感熱記録紙10に対し、駆動回路21が圧電素子19に高周波電圧を印可して、感熱記録紙10を振動させて、生じたガスを外部へ除去したり、ガスを極めて小さい粒径に分解する。その後、感熱記録紙10に対してほぼ365nm付近の紫外線がマゼンタ用紫外線ランプ23から照射され、次のシアン感熱発色層12の熱記録時にマゼンタが発色しないように光定着される。
マゼンタ画像の熱記録が完了した後にサーマルヘッド23が退避位置に回転すると、圧電素子19の振動が停止する。その後、搬送ローラ対24を逆方向へ回転させ、カラー感熱記録紙10を熱記録開始位置に戻す。そして、搬送ローラ対24を正転させてカラー感熱記録紙10を往動方向に搬送させる。この搬送中にサーマルヘッド23を熱記録位置に移動し、シアン感熱発色層12にシアン画像を熱記録する。熱記録後の感熱記録紙10は、駆動回路21を作動させて圧電素子19により振動させて、生じたガスを外部へ除去したり、ガスを極めて小さい粒径に分解する。シアン画像の記録が完了したカラー感熱記録紙10は、排出通路5を通って外部に排紙される。シアン感熱発色層12は、発色熱エネルギーが通常の保管状態では発色しない値となっているので熱定着性は与えられておらず、紫外線ランプは点灯しない。
なお、図7〜図8に示す感熱プリンタにおいては、印字機構における振動体が、光定着手段と対応する位置、又は光定着手段の後である以外は、同様の構成であり、図7〜図8の感熱プリンタでは、光定着の際にジアゾ化合物の光分解から生じる窒素ガスを除去乃至は分解することを主眼としている点が異なるものである。
本発明の印字機構及び感熱プリンタによれば、熱記録及び光定着の少なくともいずれかにより生じたガスを効率よく外部へ逃がすか、又はガスを分解して気泡の粒径を極めて小さくすることができ、気泡白濁を防止し、光沢度の低下のない高画質なカラー感熱記録を行うことができる。
以下、本発明の一実施例について図面を用いて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示すようなカラー感熱記録紙(サーモオートクロームペーパーA−20、富士写真フイルム株式会社製)を用い、図6に示す感熱プリンタを用いてフルカラー画像形成を行った。
この図6に示す感熱プリンタにおいては、プリントヘット23の上流側近傍に振動体20が設けられている。この振動体20の内部には、圧電素子19が2枚の電極に挟持されて固定されている。なお、実施例1では、圧電素子として、PZT(チタン酸ジルコン酸)を用いて、振動は5,000kHzで行った。
この実施例1の感熱プリンタでは、振動体による超音波振動を熱記録後の感熱記録紙に付与することによって、第1層目のシアン感熱発色層中に発生した水蒸気ガスを効率よく外部へ逃がすか、又は気泡の粒径を極めて小さくすることができ、気泡白濁を防止し、光沢度の低下がなく、高画質の印画が可能であった。
(実施例2)
実施例1において、図7に示すような感熱プリンタを用いた以外は、実施例1と同様にしてフルカラー画像形成を行った。
この図7の感熱プリンタは、プリントヘッド23及びプラテンローラ22の下流側に、熱記録された感熱記録紙に紫外線を照射して光定着する光定着手段32,33を有し、該光定着手段と対向する位置に振動体20を配置している。
この実施例2の感熱プリンタでは、振動体による超音波振動を光定着後の感熱記録紙に付与することによって、第1層目のシアン感熱発色層中に発生した窒素ガスを効率よく外部へ逃がすか、又は気泡の粒径を極めて小さくすることができ、気泡白濁を防止し、光沢度の低下がなく、高画質の印画が可能であった。
(実施例3)
実施例1において、図8に示すような感熱プリンタを用いた以外は、実施例1と同様にしてフルカラー画像形成を行った。
この図8の感熱プリンタは、プリントヘッド23及びプラテンローラ22の下流側に、熱記録された感熱記録紙に紫外線を照射して光定着する光定着手段32,33を有し、該光定着手段の下流側近傍に振動体20を配置している。
この実施例3の感熱プリンタでは、振動体による超音波振動を光定着後の感熱記録紙に付与することによって、第1層目のシアン感熱発色層中に発生した窒素ガスを効率よく外部へ逃がすか、又は気泡の粒径を極めて小さくすることができ、気泡白濁を防止し、光沢度の低下がなく、高画質の印画が可能であった。
なお、上記各実施例は、感熱プリンタとしてカラー感熱プリンタを用いた例であるが、モノクロの感熱プリンタに使用することも可能であり、また、シリアルプリンタに対しても利用することができる。更に、インクリボンを用いる熱転写記録タイプのサーマルプリンタに対しても、適用することができる。
本発明の印字機構は、熱記録及び光定着の少なくともいずれかにより生じたガスを効率よく外部へ逃がすか、又はガスを分解して気泡の粒径を極めて小さくすることができ、気泡白濁を防止することができ、感熱プリンタに好適に用いられる。
図1は、本発明のカラー感熱記録紙の一例を示す概略図である。 図2は、熱エネルギーと発色濃度との関係を示すグラフである。 図3は、サーマルヘッドの一例を示す図である。 図4は、サーマルヘッドの他の例を示す図である。 図5は、本発明の印字機構の一例を示す概略図である。 図6は、本発明の感熱プリンタの一例を示す説明図である。 図7は、本発明の感熱プリンタの他の例を示す図である。 図8は、本発明の感熱プリンタの更に別の例を示す図である。
符号の説明
1 給紙ローラ
2 給紙カセット
4 給紙通路
5 排出通路
10 カラー感熱記録紙
11 支持体
12 シアン感熱発色層
13 マゼンタ感熱発色層
14 イエロー感熱発色層
15 保護層
17 発熱素子
19 圧電素子
20 振動体
21 駆動回路
22 プラテンローラ
23 プリントヘッド(サーマルヘッド)
24 搬送ローラ
32 イエロー用紫外線ランプ
33 マゼンタ用紫外線ランプ
35 ヒータアレイ

Claims (12)

  1. 対向配置されたプリントヘッドとプラテンローラとの間に感熱記録紙が送給され、印字時には該プリントヘッドが感熱記録紙に圧接する印字機構であって、前記感熱記録紙を振動させる振動体を、前記プリントヘッド及びプラテンローラの下流側に少なくとも1つ設けたことを特徴とする印字機構。
  2. プリントヘッド及びプラテンローラの下流側に、熱記録された感熱記録紙に紫外線を照射して光定着する光定着手段を有する請求項1に記載の印字機構。
  3. 振動体が、前記プリントヘッド及びプラテンローラと、前記光定着手段との間に設けられた請求項2に記載の印字機構。
  4. 振動体が、前記光定着手段と対向する位置に設けられた請求項2から3のいずれかに記載の印字機構。
  5. 振動体が、前記光定着手段の下流側近傍に設けられた請求項2から4のいずれかに記載の印字機構。
  6. 振動体が、感熱記録紙の表面側及び裏面側の少なくともいずれかの方向から接触するように設けられた請求項1から5のいずれかに記載の印字機構。
  7. 振動体が、前記感熱記録紙の表面及び裏面の少なくともいずれかに対して略直交方向に振動する請求項1から6のいずれかに記載の印字機構。
  8. 振動体が圧電素子を有する振動バーである請求項1から7のいずれかに記載の印字機構。
  9. 振動体における振動が20kHz以上の超音波振動である請求項1から8のいずれかに記載の印字機構。
  10. 感熱記録紙が、支持体上に、熱感度及び発色する色の少なくともいずれかが異なる第1感熱発色層、第2感熱発色層、及び第3感熱発色層をこの順に少なくとも有するカラー感熱記録紙である請求項1から9のいずれかに記載の印字機構。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の印字機構を搭載したことを特徴とする感熱プリンタ。
  12. カラー感熱記録紙の一部をニップしてこれを往復運動させる搬送手段と、プラテンローラとの間で感熱記録紙を押圧しながら熱記録するプリントヘッドと、熱記録された感熱記録紙に電磁波を照射して光定着する光定着手段とを有し、前記感熱記録紙が搬送される通路中に請求項1から10のいずれかに記載の印字機構を配置し、該感熱記録紙を往復運動させながら熱記録及び光定着の少なくともいずれかを行うことを特徴とする感熱プリンタ。
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