JP2005137303A - コーヒー豆の焙煎装置 - Google Patents

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Takeo Matsumoto
武雄 松本
Yukio Hirose
幸雄 広瀬
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Abstract

【課題】マイクロ波加熱によってコーヒー豆Bを焙煎する。
【解決手段】コーヒー豆Bを投入する容器10と、コーヒー豆Bを撹拌させるモータMとを設け、モータMは、シールドケース20内に収納する。
マイクロ波を導入する加熱室に全体を設置すると、容器10内のコーヒー豆Bを短時間のうちに適切に焙煎することができる。
【選択図】図1

Description

この発明は、マイクロ波加熱によってコーヒー豆を短時間内に適切に焙煎することができるコーヒー豆の焙煎装置に関する。
風味のよいコーヒーを楽しむには、コーヒー豆を適切に焙煎処理することが必要不可欠である。
焙煎処理は、コーヒー豆を加熱することにより、水分を蒸発させ、内部の細胞組織を空洞化してハニカム構造とし、抽出可能なコーヒー成分を空洞化した細胞膜に付着させる熱処理工程である。
従来の焙煎方法は、たとえば撹拌羽根を内蔵する容器を直火で加熱し、容器内のコーヒー豆を加熱する方法であり、コーヒーの風味を損わないために、数10分ないし数時間の焙煎時間が必要であった。しかし、このような従来技術によると、焙煎装置が大掛りになるため、小量のコーヒー豆を手軽に焙煎することが不可能であり、焙煎直後の新鮮なコーヒー豆から抽出したコーヒーを楽しむことができないという問題があった。すなわち、焙煎後のコーヒー豆は、内部組織の空洞内に充満しているガス状の香り成分が飛散し、時間の経過とともに風味の劣化が避けられないから、一度に抽出して消費し得る分量相当だけのコーヒー豆を手軽に焙煎することが好ましいにも拘らず、それに応えることができなかった。
そこで、発明者らは、マイクロ波加熱と撹拌とを併用することによって、コーヒー豆を手軽に短時間内に適切に焙煎することができるコーヒー豆の焙煎方法を先きに提案した(特許文献1)。
特願2003−297163号
そこで、この発明の目的は、マイクロ波加熱による焙煎方法を適切に実施するためのコーヒー豆の焙煎装置を提供することにある。
かかる目的を達成するためのこの出願に係る第1発明の構成は、コーヒー豆を投入する容器と、容器内のコーヒー豆を撹拌させるモータとを備えてなり、容器は、マイクロ波を透過し、モータは、マイクロ波を遮断するシールドケース内に収納することをその要旨とする。
なお、モータは、シールドケースに収納するバッテリによって駆動してもよく、加熱室に導入するマイクロ波の電力によって駆動してもよい。
第2発明の構成は、コーヒー豆を投入する容器と、容器を収納する加熱室と、容器内のコーヒー豆を撹拌させるモータとを備えてなり、容器は、加熱室に導入するマイクロ波を透過し、モータは、加熱室の外部に配設することをその要旨とする。
なお、第1、第2発明において、モータは、容器を回転させてもよく、容器内の撹拌羽根を回転させてもよい。
かかる第1発明の構成によるときは、マイクロ波を導入する加熱室に全体を収納してマイクロ波を投射すると、容器内のコーヒー豆は、撹拌することによりマイクロ波の吸収が均一化され、全量を短時間内に均一に焙煎することができる。コーヒー豆は、マイクロ波を吸収して内部から加熱され、短時間のうちに全体が均一に焙煎されるからである。すなわち、コーヒー豆は、マイクロ波を投射することにより内部から加熱され、195〜235℃の適切な焙煎温度に到達すると、たとえば大きさ0.02〜0.09mmの空洞を伴う均一なハニカム構造に内部組織が変化し、良好な風味の焙煎処理を実現することができる。ただし、マイクロ波を導入する加熱室は、たとえば家庭用または業務用の電子レンジを使用することができ、シールドケースは、撹拌用のモータがマイクロ波の影響を受けないように、モータを電気的、磁気的に保護することができる。
なお、コーヒー豆は、焙煎処理の量に合わせてマイクロ波の投射電力を適切に調節し、マイクロ波の投射時間、すなわち焙煎時間を2〜8分に設定することにより、最も多くの人の嗜好に適合するマイルドな風味に仕上げることができる。焙煎時間が2分未満では、コーヒー豆の表面に過大な油分が浸出して風味を害することがあり、8分超では、焙煎時間が長すぎて実用上のメリットがない。ただし、焙煎の終了は、たとえばコーヒー豆の水分の蒸発、成分の気化などによって内部組織のハニカム構造が生成され、体積膨張によりコーヒー豆がはじけることによって判定することができる。
容器は、マイクロ波を透過する耐熱ガラスや陶磁器などであって、焙煎温度195〜235℃に十分耐える材料で作る。なお、容器は、内部のコーヒー豆を均一に焙煎するために、マイクロ波を一部吸収してコーヒー豆とほぼ同程度に発熱するものが好ましく、陶器製が特に好適である。ガラスや、ボーンチャイナのような磁器製の容器は、マイクロ波によって発熱することがなく、撹拌頻度を十分高くしないと、コーヒー豆に焙煎むらを生じるおそれがある。
モータは、シールドケース内のバッテリにより、または加熱室に導入するマイクロ波を整流して作る電力により、簡単に駆動することができる。なお、モータの駆動用にマイクロ波の電力を使用するときは、ピックアップロッドまたは導入用の導波管をシールドケースの内外に貫通させるなどのシンプルな導入手段を介し、モータを駆動するに足りる電力をシールドケース内で確保することができる。また、シールドケースに対するモータの軸の貫通部分は、適切なシールド構造とし、貫通部分からのマイクロ波の不要な進入を防止するものとする。ただし、貫通部分の軸は、マイクロ波によって発熱しないように、適切な材質、形状を選定するとともに、その径dは、マイクロ波の波長λとして、d≦λ/20、より好ましくはd≦λ/40に設定することが好ましい。
第2発明の構成によるときは、コーヒー豆を投入する容器、容器内のコーヒー豆を撹拌させるモータは、第1発明におけると同様に作用するから、加熱室にマイクロ波を導入することによって、容器内のコーヒー豆を適切に焙煎処理することができる。ただし、モータの軸が加熱室を貫通する貫通部分は、第1発明のシールドケースの貫通部分と同様に、マイクロ波の漏洩を防止するために、適切なシールド構造を採用するものとする。
なお、第1、第2発明において、モータは、容器を回転させ、または容器内の撹拌羽根を回転させることにより、容器内のコーヒー豆を均一に撹拌することができる。
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
コーヒー豆の焙煎装置は、容器10と、モータMを収納するシールドケース20とを備えてなる(図1)。
容器10は、マイクロ波が透過する陶器製であり、たとえば偏平球状に形成されている。ただし、容器10の形状は、適宜変更してもよいものとする。容器10の軸心Co 上には、蓋11が着脱自在に装着されており、容器10の底部は、アダプタ12を介し、シールドケース20内の軸21の先端に連結されている。なお、アダプタ12は、容器10の軸心Co 上に配設されている。また、容器10は、軸21に対し、分離可能であってもよく、分離不能であってもよい。
軸21は、ブラケット22、ベアリング22a、22aを介し、シールドケース20内に斜めに配設されている。なお、軸21の先端部は、シールドケース20の斜めの蓋20aを貫通し、アダプタ12を介して容器10を支持している。軸21は、ギヤ23a、23bを介し、モータMの出力軸に連結されている。そこで、容器10に適量のコーヒー豆Bを投入し、モータMを起動すると、軸21を介して容器10が回転し、容器10内のコーヒー豆Bを均一に撹拌することができる。
モータMは、シールドケース20に収納するバッテリBTによって駆動することができる(図2(A))。ただし、同図において、バッテリBT、モータMの間には、スイッチSが配設されており、スイッチSは、シールドケース20の正規の水平姿勢を検出して閉じる姿勢スイッチとすることが好ましい。ただし、スイッチSは、シールドケース20の外部から操作し得る手動スイッチであってもよい。
容器10に適量のコーヒー豆Bを投入し、シールドケース20を電子レンジの加熱室31内の回転テーブルT上にセットして撹拌用のモータMを起動させる(図3)。つづいて、電子レンジの扉を閉じてマイクロ波発振用のマグネトロン32を作動させると、モータM1 を介して回転テーブルTが回転し、容器10内のコーヒー豆Bを短時間のうちに適切に焙煎することができる。なお、電子レンジの加熱室31には、導波管32aを介し、マグネトロン32からのマイクロ波が導入されるものとする。
たとえば、周波数2450MHz 、出力500Wの電子レンジを使用し、最大内径約8cm、深さ約5cmの陶器製の容器10に60gのコーヒー豆Bを入れ、容器10を40〜60rpm で回転させると、マイクロ波の投射時間約3.5分で最も良好な焙煎結果が得られた。なお、このときの容器10は、最大200℃程度に発熱した。ただし、マイクロ波の投射時間(焙煎時間)は、電子レンジの出力を調節することにより、2〜8分の範囲、特に好ましくは3〜6分の範囲に調節設定することができる。また、加熱室31内に水を入れたコップを置いてマイクロ波の一部を水に吸収させることにより、コーヒー豆Bに投射されるマイクロ波の電力を実質的に低減させ、マイクロ波の投射時間を長くすることができる。
以上の説明において、容器10を回転させる撹拌用のモータMは、加熱室31に導入するマイクロ波の電力を利用して駆動することができる(図2(B))。シールドケース20の一部には、ピックアップロッドRの先端部が突出しており、シールドケース20内のピックアップロッドRの基部には、ダイオードD、コンデンサCによる整流回路の出力側にモータMが接続されている。ダイオードDは、シールドケース20の外部のマイクロ波によってピックアップロッドRの基部に定立する定在波の一部を整流し、モータMに駆動用の電力を供給する。なお、モータMには、ダイオードD1 などによる保護回路を付設することが好ましい。ただし、図2(B)のピックアップロッドRは、マイクロ波導入用の導波管としてもよく、適当な誘導コイルやピックアップアンテナなどとしてもよい。
容器10には、仕切り13aを有するエアダクト13の先端を軸心Co 上に挿入し(図4)、仕切り13aの一方の側からエアを吹き込み、他方の側からエアを排出することができる(同図の矢印方向)。コーヒー豆Bの焙煎が進行するに従って、コーヒー豆Bから剥がれる薄皮を外部に放出することにより、焙煎後のコーヒー豆Bの風味を一層改善することができる。なお、エアダクト13は、エアの排出側より吹込み側の断面積を小さくするのがよい。
また、容器10は、コップ状に形成してもよい(図5)。ただし、容器10は、図1と同様に斜めに支持してもよく(同図(A))、水平に支持してもよい(同図(B))。また、容器10は、軸心Co に直交する方向の回転中心C1 の位置に軸21を連結してもよい(同図(C))。
他の実施の形態
容器10は、コップ状に形成し、シールドケース20内のモータMは、容器10内の撹拌羽根24を回転させることができる(図6)。ただし、図6(B)、(C)は、それぞれ同図(A)の要部斜視図、要部拡大動作説明図である。
容器10の上部外周には、縦長の係合凹部14、14…が等配して形成されている。また、シールドケース20の一端面には、容器10の上端を弾発的に嵌め込むリング25が固定されており、リング25の内面には、容器10の上端を位置決めするストッパリブ25aが形成されている。リング25の外周には、ばね26aを装着するねじ軸26bを介し、容器10の係合凹部14、14…に弾発的に係合する回り止め用の係合爪26、26…が付設されている。なお、撹拌羽根24の軸21は、シールドケース20の壁面を貫通し、シールドケース20内において、ギヤボックスGBを介してモータMに連結されている。
容器10は、適量のコーヒー豆Bを投入し、係合爪26、26…を介してシールドケース20に一体に組み合わせることができ(図6(A)、同図(C)の実線)、このとき、撹拌羽根24は、軸21を介して容器10の底部の近傍にまで到達する。そこで、マイクロ波を導入する加熱室31内に全体を設置し、モータMを介して撹拌羽根24を回転させることにより、コーヒー豆Bを均一に撹拌しながら、マイクロ波によりコーヒー豆Bを焙煎することができる。コーヒー豆Bの焙煎が完了したら、各係合爪26を外側に引いて容器10の係合凹部14から外し(図6(C)の二点鎖線)、さらに各係合爪26をシールドケース20側に回転させることにより(同図の一点鎖線)、容器10をシールドケース20から分離させることができる。
容器10は、加熱室31に収納し、モータMは、加熱室31の外部に配設することができる(図7)。
加熱室31の壁面を貫通する軸21は、ギヤボックスGBを介してモータMに連結されており、加熱室31内の軸21の先端には、アダプタ12を介して容器10が連結されている。なお、軸21が加熱室31の壁面を貫通する貫通部分には、支持用のベアリング41が配設されており、加熱室31内の容器10は、支持ローラ42を介して回転自在に支持されている。そこで、導波管32aを介してマグネトロン32からのマイクロ波を加熱室31に導入し、モータMを起動して容器10を回転させると、容器10内のコーヒー豆Bを適切に焙煎することができる。ただし、図7において、容器10を加熱室31内に固定し、容器10内の撹拌羽根をモータMによって回転させてもよい。
軸21が加熱室31の壁面を貫通する貫通部分には、たとえば図8のシールド構造を採用することができる。ただし、図8(B)は、同図(A)のX−X線矢視断面図である。
加熱室31の壁面は、内板31a、外板31bの二重壁となっている。内板31aには、外板31bの外面にまで突出するブラケット筒43が付設されており、ブラケット筒43の外板31bに対応する小径部分には、軸21を貫通させるセラミック製のスライドブッシュ43aが内装されている。ただし、スライドブッシュ43aは、図7のベアリング41に対応している。ブラケット筒43は、外板31bの外面側にねじ止めするスペーサリング44a付きのブラケット44を介して固定されている。
ブラケット44からモータM側に突出する軸21の先端部は、段付きに形成されており、軸端部には、モータMのプラスチック製の出力軸Ma を挿入する半月穴21aが形成されている。ただし、図8のモータMは、図7のギヤボックスGBを内蔵するギヤドモータであり、出力軸Ma の先端部は、半月穴21aに適合する半月状に切欠き加工されている。モータMの出力軸Ma 側には、ホルダリングMb を介してベアリングMc が装着されており、軸21とモータMとの間には、プラスチック製のスペーサ45、スライドカラー46が介装されている。ただし、内板31a、外板31b、アダプタ12、ブラケット筒43、ブラケット44は、いずれもステンレススチール製であり、軸21は、スチールまたは黄銅などの金属製である。
図示しない筐体フレームにモータMを固定し、モータMを起動すると、軸21を介して加熱室31内の容器10を回転させ、容器10内のコーヒー豆Bを撹拌することができる。また、加熱室31にマイクロ波を導入しても、軸21の貫通部分からマイクロ波が外部に過大に漏洩するおそれがない。なお、内板31aには、軸21を貫通させる開口部の周縁に内向きのリブ状のガード31a1 を形成し、アダプタ12との実質的なギャップgを必要最少に設定することが好ましい。
以上の説明において、図8のシールド構造は、たとえば図1において、軸21がシールドケース20の蓋20aを貫通する貫通部分、図6において、軸21がシールドケース20の壁面を貫通する貫通部分に対しても、ほぼそのまま適用することができる。
全体構成断面図 電気回路説明図 使用状態説明模式図 他の実施の形態を示す模式構造図(1) 他の実施の形態を示す模式説明図(1) 他の実施の形態を示す模式説明図(2) 他の実施の形態を示す模式構造図(2) 他の実施の形態を示す要部構成説明図
符号の説明
B…コーヒー豆
M…モータ
BT…バッテリ
10…容器
20…シールドケース
24…撹拌羽根
31…加熱室

特許出願人 株式会社 進弘電機
広 瀬 幸 雄
代理人 弁理士 松 田 忠 秋

Claims (6)

  1. コーヒー豆を投入する容器と、該容器内のコーヒー豆を撹拌させるモータとを備えてなり、前記容器は、マイクロ波を透過し、前記モータは、マイクロ波を遮断するシールドケース内に収納することを特徴とするコーヒー豆の焙煎装置。
  2. 前記モータは、前記シールドケースに収納するバッテリによって駆動することを特徴とする請求項1記載のコーヒー豆の焙煎装置。
  3. 前記モータは、加熱室に導入するマイクロ波の電力によって駆動することを特徴とする請求項1記載のコーヒー豆の焙煎装置。
  4. コーヒー豆を投入する容器と、該容器を収納する加熱室と、前記容器内のコーヒー豆を撹拌させるモータとを備えてなり、前記容器は、前記加熱室に導入するマイクロ波を透過し、前記モータは、前記加熱室の外部に配設することを特徴とするコーヒー豆の焙煎装置。
  5. 前記モータは、前記容器を回転させることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか記載のコーヒー豆の焙煎装置。
  6. 前記モータは、前記容器内の撹拌羽根を回転させることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか記載のコーヒー豆の焙煎装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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