JP2005134841A - 液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体1は、液晶ディスプレイユニット5を構成する透明の基層2と、基層上に配設されている透明の衝撃吸収層3とを備える。また、上記衝撃吸収層は、エラストマーにより構成されており、共役ジエンのブロック(共)重合体、芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのブロック共重合体、これらの各水素添加物、エチレン・α−オレフィン系共重合体、極性基変性オレフィン系共重合体、極性基変性オレフィン系共重合体と金属イオン及び/又は金属化合物とよりなるエラストマー、ブチルゴム、並びにアクリル系ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種及び/又はこれらの組成物である。更に、上記基層は無アルカリガラスからなる。
【選択図】 図1
Description
本液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体は、携帯電話、携帯情報端末、デスクトップ型コンピュータ用ディスプレイ、ノート型コンピュータ、車載用コンピュータ(カーナビゲーション用ディスプレイ等)、タッチパネル、テレビジョン及び時計等に用いることができる。
また、図9に示すように透明樹脂層8を設けても、液晶ディスプレイパネルユニット5における基層2との間に空隙9を設けないと、透明樹脂層8のゆがみが基層2に伝わり、基層2が破損してしまうことがあった。更に、空隙9と透明樹脂層8との間や、空隙9と基層2との間で光が反射し二重映り等を起こし、見にくくなることがあった。
また、特許文献2のディスプレイパネル用保護フィルムは、衝撃や引っ掻き等の保護をすることができるが、落下して床に衝突することによる衝撃、尻ポケットに該装置を入れて座ったり、押さえ付けられたり等の携帯時の負荷に対しては言及されていない。
本発明は、上記問題点を解決するとともに上記必要性を達成するものであり、空隙を設けなくても割れ等の基層の損傷を抑制することができ、薄くすることができる液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体を提供することを目的とする。
1.液晶ディスプレイユニットを構成する透明の基層と、該基層上に配設されている透明の衝撃吸収層とを備えることを特徴とする液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
2.液晶ディスプレイユニットを構成する透明の基層と、該基層上に配設され且つ液晶表示体を構成する1以上の機能層と、該基層と該機能層との間、該機能層間及び最表面側の該機能層上のうちの少なくとも1箇所に配設されている透明の衝撃吸収層と、を備えることを特徴とする液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
3.上記機能層は、偏光板、アレイ基板、カラーフィルタ、視野角拡大フィルム、アンチリフレクションフィルム、アンチグレアフィルム、透明導電膜及び位相差フィルムのうちの少なくとも1種である上記2.に記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
4.上記衝撃吸収層は、エラストマーにより構成される上記1.乃至3.のいずれかに記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
5.上記衝撃吸収層は、少なくとも一部が、電子線照射、紫外線照射、及び架橋剤を用いる方法から選ばれる手段により架橋されたエラストマーにより構成される上記1.乃至3.のいずれかに記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
6.上記エラストマーは、共役ジエンのブロック(共)重合体、共役ジエンのブロック(共)重合体の水素添加物、芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのブロック共重合体、芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのブロック共重合体の水素添加物、エチレン・α−オレフィン系共重合体、極性基変性オレフィン系共重合体、極性基変性オレフィン系共重合体と金属イオン及び/又は金属化合物とよりなるエラストマー、ブチルゴム、並びにアクリル系ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種及び/又はこれらの組成物である上記4.又は5.に記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
7.上記極性基変性オレフィン系共重合体に含まれる極性基が、カルボキシル基及びその誘導体、水酸基、エポキシ基、並びにスルホン酸基のうちの少なくとも1種である上記6.に記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
8.上記極性基変性オレフィン系共重合体は、オレフィン系単量体の1種又は2種以上と、極性基を有する不飽和単量体の1種又は2種以上とを共重合して得られる共重合体であり、且つ上記極性基変性オレフィン系共重合体中の単量体単位を100モル%とした場合、上記極性基を有する不飽和単量体単位の割合は0.01〜20モル%である上記6.又は7.に記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
9.上記共役ジエンのブロック(共)重合体の水素添加物は、ビニル結合含量が25%未満であるブタジエン重合体ブロック(I)と、共役ジエンと他のモノマーとの質量比が100〜50/0〜50であり、ビニル結合含量が25〜95%である重合体ブロック(II)と、をそれぞれ分子中に少なくとも1つ有するブロック重合体中のエチレン性不飽和結合が水素化されてなるものである上記6.に記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
10.上記エラストマーは、液状材料を含む上記4.乃至9.のいずれかに記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
11.上記液状材料の40℃における動粘度が800mm2/s以下である上記10.に記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
12.上記液状材料の含有量は、上記エラストマーに含有される重合体の合計100質量部に対して、50〜5000質量部である上記10.又は11.に記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
13.上記衝撃吸収層は厚さが2.0mm以下である上記1.乃至12.のいずれかに記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
14.上記基層は、無アルカリガラスにより構成される上記1.乃至13.のいずれかに記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
15.厚さが2.5mm以下である上記1.乃至14.のいずれかに記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
16.上記衝撃吸収層上に透明樹脂層が更に配設されており、該衝撃吸収層及び該透明樹脂層の厚さの合計は3.5mm以下である上記1.乃至15.のいずれかに記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
17.上記衝撃吸収層の配設方法は、接着又はホットプレスである上記1.乃至16.のいずれかに記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
18.携帯電話、携帯情報端末、デスクトップ型コンピュータ用ディスプレイ、ノート型コンピュータ、車載用コンピュータ、タッチパネル、テレビジョン及び時計用である上記1.乃至17.のいずれかに記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
本発明の「液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体」は、液晶ディスプレイユニットを構成する透明の基層と、この基層上に配設されている透明の衝撃吸収層とを備えることを特徴とする。
本発明の他の「液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体」は、液晶ディスプレイユニットを構成する透明の基層と、この基層上に配設され且つ液晶表示体を構成する1以上の機能層と、基層と機能層との間及び/又は機能層間に配設されている透明の衝撃吸収層とを備えることを特徴とする。
この基層を構成するものとしては、任意の材質のガラス板及びプラスチック板等を挙げることができる。これらのうち、ガラス板が好ましい。このガラスとしては、例えば、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス等が挙げられる。また、これらのガラス等の低アルカリガラス及び無アルカリガラスなどが挙げられる。更には、シリカガラスやソーダ石灰ガラス等が挙げられる。これらのうち、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス及びこれらの低アルカリガラスが好ましく、更にはこれらの無アルカリガラスが好ましい。
この基層の厚さは対象となる製品等に合わせて任意に選択することができる。例えば、0.2〜1.3mm(好ましくは0.3〜1.1mm、更に好ましくは0.3〜1.0mm)等とすることができる。
上記共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等が挙げられる。これらのうち、1,3−ブタジエン、イソプレン及び1,3−ペンタジエンが好ましく、特に1,3−ブタジエン及びイソプレンが好ましい。尚、上記例示した化合物は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。この共役ジエンを用いてなるブロック(共)重合体としては、ブタジエンブロック共重合体、ブタジエン−イソプレン−ブタジエンブロック共重合体等が挙げられる。
尚、上記重合体ブロック(II)において、ビニル結合(1,2−結合及び3,4−結合)の含量は、好ましくは25〜95%であり、より好ましくは25〜90%、更に好ましくは30〜85%である。
また、上記重合体(P)は、トリブロック以上のブロックを有する共重合体であると、水素添加物とした場合に、更に形状保持性及び力学的性質により優れる成形体を得ることができる。従って、上記一般式において、m1は、2以上の整数であることが好ましい。
上記カップリング剤としては、1,2−ジブロモエタン、メチルジクロロシラン、トリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、テトラクロロシラン、テトラメトキシシラン、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジオクチル、ベンゼン−1,2,4−トリイソシアナート、トリレンジイソシアナート、エポキシ化1,2−ポリブタジエン、エポキシ化アマニ油、テトラクロロゲルマニウム、テトラクロロスズ、ブチルトリクロロスズ、ブチルトリクロロシラン、ジメチルクロロシラン、1,4−クロロメチルベンゼン、ビス(トリクロロシリル)エタン等が挙げられる。
上記エチレン・α−オレフィン共重合体としては、エチレンと、以下に例示するα−オレフィンとの共重合体であれば特に限定されず、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体等であってもよい。但し、上記エチレン・α−オレフィン共重合体及びエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体におけるα−オレフィンは、エチレンを除くα−オレフィンであるものとする。このα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン等が挙げられ、炭素数が3〜12であるα−オレフィンが好ましく、特に、プロピレン及び1−ブテンが好ましい。尚、上記例示したα−オレフィンは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記エチレン・α−オレフィン共重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ペンテン共重合体、エチレン・3−メチル−1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・3−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・3−エチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・1−デセン共重合体、エチレン・1−ウンデセン共重合体等が挙げられる。これらのうち、エチレン・プロピレン共重合体及びエチレン・1−ブテン共重合体が好ましい。尚、上記例示したエチレン・α−オレフィン共重合体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体としては、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−ブテン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・1−ブテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記一般式(1)で表される化合物を共重合させたエチレン・α−オレフィン共重合体又はエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体は、ランダム共重合体であることが好ましい。また、共重合により得られたランダム共重合体の、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは、好ましくは1,000〜3,000,000、より好ましくは3,000〜1,000,000、更に好ましくは5,000〜700,000である。
具体的には、例えば、CuO、MgO、BaO、ZnO、Al2O3、Fe2O3、SnO、CaO、TiO2等の金属酸化物、LiOH、NaOH、KOH、Cu(OH)2、Cu2O(OH)2、Mg(OH)2、Mg2O(OH)2、Ba(OH)2、Zn(OH)2、Sn(OH)2、Ca(OH)2等の金属水酸化物等が挙げられる。
また、金属元素を含む有機化合物は、有機基を有する金属化合物であればよく、金属−炭素結合を有する化合物の他、金属−有機基中のヘテロ原子(酸素等)結合を有する化合物、有機化合物の金属塩、錯体等も含む。上記金属元素を有する有機化合物として具体的には、例えば、金属アルコキシド、アルキルアルコキシ金属化合物[アルキル(エチル等)トリアルコキシ金属化合物、ジアルキル(エチル等)ジアルコキシ金属化合物、トリアルキル(エチル等)アルコキシ金属化合物]、金属カルボキシレート、金属アセチルアセトナート等が挙げられる。上記金属アルコキシドを構成するアルコキシドの炭素数は、通常1〜8、好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜4であり、より具体的には、例えば、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド等が挙げられる。更に、上記金属元素を有する有機化合物としてより具体的には、例えば、ジルコニウムブトキシド〔Zr(OBu)4〕、チタンブトキシド〔Ti(OBu)4〕、アルミニウムブトキシド〔Al(OBu)4〕、及び亜鉛ブトキシド〔Zn(OBu)4〕等が挙げられる。
また、活性剤として用いられる金属塩における金属元素としては、上記イオンとするための物質を構成する金属元素から選択すればよいが、上記イオンとするための物質を構成する金属元素と同種の元素を含む金属塩を用いることが好ましい。
ブチルゴムとしては、イソブチレンとイソプレンとの共重合体、イソブチレンとイソプレンと極性基含有単量体との共重合体、更にはこれらの部分架橋共重合体等を挙げることができる。
また、部分架橋共重合体は、これらの単量体に多官能性不飽和結合含有単量体を共重合して得られるが、この多官能性不飽和結合含有単量体としては、多価アリル化合物、多価(メタ)アクリレート化合物、ジビニル化合物、ビスマレイミド化合物、ジオキシム化合物などが挙げられる。
アクリル系ゴムとしては、少なくともアクリル酸アルキルエステルを用いて重合又は共重合されたゴムである。共重合ゴムである場合は、アクリル酸アルキルエステル以外に、アルキルビニルエーテル、極性基を有する共重合性単量体及びその他の単量体を用いることができるが、通常、アルキルビニルエーテルが用いられる。これらのうち1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。更にはこれらの部分架橋共重合ゴムであってもよい。
また、アルキルビニルエーテルとしては、クロロメチルビニルエーテル及びクロロエチルビニルエーテル等を挙げることができる。
上記樹脂としては、1,2−ポリブタジエン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA、通常、3質量%以上の酢酸ビニル単位を含有する。)及びポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂{(メタ)アクリレート樹脂等}、ビニルエステル樹脂(EVAを除く。)、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン等)、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及びケイ素樹脂等が挙げられる。これらの樹脂のうち、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の軟質樹脂が好ましい。
更に、上記衝撃吸収層は、架橋されていないエラストマーにより構成されていてもよいし、少なくとも一部が架橋されたエラストマーにより構成されていてもよい。少なくとも一部が架橋されたエラストマーにより構成されている場合、成形体の耐熱性を向上させることができる。
上記エラストマーを架橋する方法については特に限定はなく、例えば、電子線照射、紫外線照射、及び架橋剤(例えば、有機過酸化物等)を用いる方法から選ばれる手段が挙げられる。
上記架橋を電子線照射により行う場合は、得られた成形体について、電子線照射装置により電子線照射することにより、架橋を形成することができる。また、紫外線照射の場合は、得られた成形体について、紫外線照射装置により紫外線照射することにより、必要に応じて配合された光増感剤の効果によって架橋を形成することができる。更に、架橋剤を用いる方法の場合は、得られた成形体について、通常、窒素雰囲気等、空気の存在しない雰囲気で加熱することにより、必要に応じて配合された有機過酸化物等の架橋剤、更には架橋助剤の効果によって架橋を形成することができる。
上記液状材料は、25℃において液体又はペースト状であれば、その種類に特に限定はない。上記液状材料は、より詳細には、通常−100〜50℃、好ましくは−80〜50℃、更に好ましくは−50〜50℃で不揮発性(液状)の液状材料であり、その種類について特に限定はない。また、上記液状材料の40℃における動粘度は、通常800mm2/s(=800cSt)以下、好ましくは700mm2/s以下、更に好ましくは600mm2/s以下、より好ましくは0.1〜500mm2/sである。上記液状材料の40℃における動粘度を上記範囲とすると、広い温度領域で形状を保持することができるので好ましい。より具体的には、例えば、上記液状材料として、40℃における動粘度が800mm2/s以下であり、−100〜50℃で不揮発性の液状材料が好ましい。更に、低温環境における使用の観点から、上記液状材料は、流動点が−10℃以下、特には−20℃以下、更には−40℃以下、水分が500ppm以下、特には200ppm以下、更には100ppm以下であり、重金属等の不純物が少ないものが好ましい。尚、動粘度の単位として、1cm2/s=1Stである。
更に、この衝撃吸収層は、(1)前記基層と機能層との間、(2)機能層間、及び(3)最表面側の機能層上のうちの少なくとも1箇所に配設されていてもよい。
上記「機能層」としては、例えば、偏光板(偏光板を構成する各種フィルム等も含む)、アレイ基板、カラーフィルタ、視野角拡大フィルム、アンチリフレクションフィルム、アンチグレアフィルム、透明導電膜及び位相差フィルム等が挙げられる。上記偏光板を構成する各種フィルム等としては、偏光フィルム、基板フィルム、保護フィルム及び粘着剤層等が挙げられる。配設される機能層の層数は、1層であってもよいし、複数であってもよい。
上記透明樹脂層は、ディスプレイパネルの表示内容の視認性を大きく阻害することがない材質であればよく任意の樹脂を用いることができる。
この透明樹脂層を構成する樹脂として具体的には、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、1,2−ポリブタジエン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、環状オレフィン共重合体、変性ノルボルネン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、脂環式アクリル樹脂、ポリシクロヘキシルエチレン等の非晶性ポリオレフィン、非晶性フッ素樹脂、ポリスチレン系樹脂、透明ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、非晶性コポリエステル、ポリアリレート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、セルロースアセテート、アリルジグリコールカーボネート樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA、通常、3質量%以上の酢酸ビニル単位を含有する。)、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ビニルエステル系樹脂(EVAを除く。)、非晶性ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂並びにケイ素系樹脂等が挙げられる。これらのうち、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル系樹脂等の樹脂が好ましい。また、透明樹脂層が2層以上配設される場合には、それぞれ異なる材質を選択してもよいし、同じ材質を選択することもできる。
また、前記衝撃吸収層及び透明樹脂層の厚さの合計は3.5mm以下(好ましくは、2.5mm以下、更に好ましくは2.0mm以下)とすることが好ましい。
更に、2層の透明樹脂層を具備する場合(それぞれを第1透明樹脂層、第2透明樹脂層とする)、第1透明樹脂層、第2透明樹脂層及び衝撃吸収層の厚さの合計は5.0mm以下(好ましくは、4.0mm以下、更に好ましくは3.0mm以下)とすることが好ましい。
例えば、図3に示すように、基層2上に衝撃吸収層3を設け、その上に透明樹脂層41を形成した液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体とすることができる。
また、図4に示すように、基層2上に透明樹脂層41を設け、その上に衝撃吸収層3を形成した液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体とすることができる。
更に、図5に示すように、基層2、第1透明樹脂層41、衝撃吸収層3及び第2透明樹脂層42をこの順に形成した液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体とすることができる。
また、図6に示すように、基層2、衝撃吸収層3及び偏光板51がこの順に配設された液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体とすることができる。
更に、図7に示すように、基層2、カラーフィルタ52、衝撃吸収層3及び偏光板51がこの順に配設された液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体とすることができる。
また、図8に示すように、基層2、偏光板51及び衝撃吸収層3がこの順に配設された液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体とすることができる。
1.液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体の構成
本実施例1の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体1は図1に示すように、基層2及び衝撃吸収層3を積層してなる。
また、実施例2〜4及び7の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体は図3に示すように、基層2上に衝撃吸収層3を設け、その上に透明樹脂層41を形成する。
更に、実施例5、6の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体は図5に示すように基層2、第1透明樹脂層41、衝撃吸収層3及び第2透明樹脂層42をこの順に形成する。
(1)実施例1、2、3、5の衝撃吸収層(A−1)及びその製造方法
窒素置換された内容積50リットルの反応容器に、シクロヘキサン(25kg)、テトラヒドロフラン(1.25g)、ブタジエン(1500g)、及びn−ブチルリチウム(4.5g)を加え、70℃からの断熱重合を行った。反応完結後、温度を15℃としてテトラヒドロフラン(350g)及び1,3−ブタジエン(3500g)を添加して断熱重合した。30分後、メチルジクロロシラン(3.23g)を添加し、15分反応を行った。反応が完結した後、n−ブチルリチウム2g、水素ガスを0.4MPa−Gの圧力で供給し、20分間撹拌し、リビングアニオンを水素化リチウムとした。反応溶液を90℃にし、特開2000−37632号公報記載のチタノセン化合物を使用して水添反応を行った。水素の吸収が終了した時点で、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留により除去することによって、水素添加ジエン系重合体である水添ブロック重合体1を得た。表1に示すように、得られた水添ブロック重合体1の水添率は98%、重量平均分子量は28万、水添前ポリマーの1段目のポリブタジエンブロックのビニル結合含量は14%、水添前ポリマーの2段目のポリブタジエンブロックのビニル結合含量は80%であった。
その後、この水添ブロック重合体1及び鉱物油系軟化剤(出光興産株式会社製、品名「PW−90」)を100:800(重量比)の割合で混合し、衝撃吸収層を作製した。尚、各衝撃吸収層の厚さはそれぞれ0.8mm、0.3mm、0.8mm、0.3mmであり、縦幅は全て60mm、横幅は全て80mmである。
窒素置換された内容積50リットルの反応容器に、シクロヘキサン(25kg)、テトラヒドロフラン(1.25g)、ブタジエン(1000g)、及びn−ブチルリチウム(4.00g)を加え、70℃からの断熱重合を行った。反応完結後、温度を30℃としてテトラヒドロフラン(125g)及び1,3−ブタジエン(4000g)を添加して断熱重合した。30分後、メチルジクロロシラン(2.87g)を添加し、15分反応を行った。反応が完結した後、n−ブチルリチウム2g、水素ガスを0.4MPa−Gの圧力で供給し、20分間撹拌し、リビングアニオンを水素化リチウムとした。反応溶液を90℃にし、特開2000−37632号公報記載のチタノセン化合物を使用して水添反応を行った。水素の吸収が終了した時点で、反応溶液を常温、常圧に戻して反応容器より抜き出し、次いで反応溶液を水中に撹拌投入して溶媒を水蒸気蒸留により除去することによって、水素添加ジエン系重合体である水添ブロック重合体2を得た。表1に示すように、得られた水添ブロック重合体2の水添率は98%、重量平均分子量は34.8万、水添前ポリマーの1段目のポリブタジエンブロックのビニル結合含量は14%、水添前ポリマーの2段目のポリブタジエンブロックのビニル結合含量は47%であった。
その後、この水添ブロック重合体2及び鉱物油系軟化剤(出光興産株式会社製、品名「PW−90」)を100:1600(重量比)の割合で混合し、衝撃吸収層(厚さ0.7mm、縦幅60mm、横幅80mm)を作製した。
イソブチレン−イソプレンゴム(JSR株式会社製、品名「JSR Butyl268」)を用いて、衝撃吸収層(厚さ0.5mm、縦幅60mm、横幅80mm)を得た。
極性基変性オレフィン系共重合体として、エチレンに由来する単量体単位の含量が86.3モル%、プロピレンに由来する単量体単位の含量が10.6モル%、5−エチリデン−2−ノルボルネンに由来する単量体単位の含量が2.6モル%、及び8−メチル−8−カルボキシ−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンに由来する単量体単位の含量が0.5モル%であり、且つ重量平均分子量(MW)が16.5×104である共重合体を用いた。
また、金属化合物として、テトラn−ブトキシジルコニウム(和光純薬社製)を用いた。
窒素雰囲気下で、上記共重合体100質量部及び上記金属化合物0.6質量部をそれぞれ230℃に加熱した10L双腕型加圧ニーダー(モリヤマ社製)に投入し、40rpmで20分間混練りした(ずり速度200s−1)。その後、得られた溶融状態の塊状混練物を180℃、40rpmに設定したフィーダールーダー(モリヤマ社製)によって造粒し、ペレット化したエラストマー材料を得た。そして、得られたエラストマー材料のペレットを、電熱加圧プレス成形機(関西ロール社製)によって、金型温度が180℃、加圧加熱時間が10分間、加圧冷却時間が5分間の条件でプレス成形することにより、衝撃吸収層(厚さ0.3mm、縦幅60mm、横幅80mm)を作製した。
これらの液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体は、各層を積層後、ホットプレス(圧力50kg/cm2、80℃、5分)で形成した。尚、各層の厚みを表2に示す。
上記実施例1〜7及び比較例1〜2の各液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体を用い、下記に記載の方法により、耐衝撃性、透明性及び視認性を評価した。それぞれの結果を表2に併記する。
(1)耐衝撃性試験
図2に示すように、大理石等からなる基台72の上に、シリコーンゴム板61(厚さ5.15mm)を載せ、この上に表2に示す構成の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体1を載置した。次いで、ゴルフボール7(直径42.7mm、質量45.8g)を、所定高さから液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体1上に自由落下させ、衝突させた。その後、液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体1の基層2に、ひびや割れが起きていないか目視で確認し、破損したときの高さを落球高度とした。
(2)透明性試験
上記実施例1〜7及び比較例1〜2の各液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体を用いて、BYK−Gardner Gmbh社製モデル(haze−gard plus)を使用して、25℃における全光線透過率(%)を求め、透明性を評価した。
(3)視認性試験
上記実施例1〜7及び比較例1〜2の各液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体を、レーザープリンタで黒色印字を行った白色の普通紙コピー機用紙(PPC用紙)上に載置し、目視で印字の見え易さを「○」、「△」及び「×」で判定した。尚、各基準は次の通りである。
「○」;印字の輪郭がぼやけたりすることなく、はっきりと読み取ることができる。
「△」;印字の輪郭が若干ぼやける、又は全体が薄暗く見える。
「×」;印字がぼやける、又は読み取ることができない。
表2によれば、耐衝撃性においては、エラストマーにより構成される衝撃吸収層を設けた実施例1〜7の落球高度は、最低で31cm(実施例3)、最高で73cm(実施例4)であり、透明樹脂層のみを載置した比較例1の落球高度(14cm)、及び比較例2の落球高度(18cm)に比べて、大幅に破損しにくくなっており、耐衝撃性に優れるものであることがわかる。
また、実施例2〜4及び7の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体は図3に示すように、厚さが1.5mm、2.0mm、1.9mm、1.5mmと比較例2の2.2mmより薄く、衝撃吸収層3の上に透明樹脂層41を有している。このため、落球高度が順に28cm、31cm、73cm、40cmと比較例1、2の14cm、18cmより高く、強度が上がっているのがわかる。また、特に実施例4の衝撃吸収層は鉱物油系軟化剤と混合した水添ブロック重合体2により構成されているため、落球高度が73cmと大きな保護性能を備えることができた。
更に、実施例5、6の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体は図5に示すように、基層2、第1透明樹脂層41、衝撃吸収層3及び第2透明樹脂層42をこの順に積層しているため、落球高度が53cm、55cmと比較例1、2の14cm、18cmより高く、強度が上がっているのがわかる。
Claims (18)
- 液晶ディスプレイユニットを構成する透明の基層と、該基層上に配設されている透明の衝撃吸収層とを備えることを特徴とする液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
- 液晶ディスプレイユニットを構成する透明の基層と、該基層上に配設され且つ液晶表示体を構成する1以上の機能層と、該基層と該機能層との間、該機能層間及び最表面側の該機能層上のうちの少なくとも1箇所に配設されている透明の衝撃吸収層と、を備えることを特徴とする液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
- 上記機能層は、偏光板、アレイ基板、カラーフィルタ、視野角拡大フィルム、アンチリフレクションフィルム、アンチグレアフィルム、透明導電膜及び位相差フィルムのうちの少なくとも1種である請求項2に記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
- 上記衝撃吸収層は、エラストマーにより構成される請求項1乃至3のいずれかに記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
- 上記衝撃吸収層は、少なくとも一部が、電子線照射、紫外線照射、及び架橋剤を用いる方法から選ばれる手段により架橋されたエラストマーにより構成される請求項1乃至3のいずれかに記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
- 上記エラストマーは、共役ジエンのブロック(共)重合体、共役ジエンのブロック(共)重合体の水素添加物、芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのブロック共重合体、芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのブロック共重合体の水素添加物、エチレン・α−オレフィン系共重合体、極性基変性オレフィン系共重合体、極性基変性オレフィン系共重合体と金属イオン及び/又は金属化合物とよりなるエラストマー、ブチルゴム、並びにアクリル系ゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種及び/又はこれらの組成物である請求項4又は5に記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
- 上記極性基変性オレフィン系共重合体に含まれる極性基が、カルボキシル基及びその誘導体、水酸基、エポキシ基、並びにスルホン酸基のうちの少なくとも1種である請求項6に記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
- 上記極性基変性オレフィン系共重合体は、オレフィン系単量体の1種又は2種以上と、極性基を有する不飽和単量体の1種又は2種以上とを共重合して得られる共重合体であり、且つ上記極性基変性オレフィン系共重合体中の単量体単位を100モル%とした場合、上記極性基を有する不飽和単量体単位の割合は0.01〜20モル%である請求項6又は7に記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
- 上記共役ジエンのブロック(共)重合体の水素添加物は、ビニル結合含量が25%未満であるブタジエン重合体ブロック(I)と、共役ジエンと他のモノマーとの質量比が100〜50/0〜50であり、ビニル結合含量が25〜95%である重合体ブロック(II)と、をそれぞれ分子中に少なくとも1つ有するブロック重合体中のエチレン性不飽和結合が水素化されてなるものである請求項6に記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
- 上記エラストマーは、液状材料を含む請求項4乃至9のいずれかに記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
- 上記液状材料の40℃における動粘度が800mm2/s以下である請求項10に記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
- 上記液状材料の含有量は、上記エラストマーに含有される重合体の合計100質量部に対して、50〜5000質量部である請求項10又は11に記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
- 上記衝撃吸収層は厚さが2.0mm以下である請求項1乃至12のいずれかに記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
- 上記基層は、無アルカリガラスにより構成される請求項1乃至13のいずれかに記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
- 厚さが2.5mm以下である請求項1乃至14のいずれかに記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
- 上記衝撃吸収層上に透明樹脂層が更に配設されており、該衝撃吸収層及び該透明樹脂層の厚さの合計は3.5mm以下である請求項1乃至15のいずれかに記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
- 上記衝撃吸収層の配設方法は、接着又はホットプレスである請求項1乃至16のいずれかに記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
- 携帯電話、携帯情報端末、デスクトップ型コンピュータ用ディスプレイ、ノート型コンピュータ、車載用コンピュータ、タッチパネル、テレビジョン及び時計用である請求項1乃至17のいずれかに記載の液晶ディスプレイパネル用衝撃吸収多層体。
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