JP2005130772A - 乗用型農作業機のローリング制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ローリング軸から左右一側に偏位した部位に動力の伝達される入力軸を設けた作業機において、ローリング制御を良好にする。
【解決手段】制御部53のローリング制御手段により前後方向のローリング軸回りに作業機を左右水平姿勢となるようにローリング制御可能に構成し、作業機が下降した接地位置でローリング制御が作動され、作業機が上昇した非接地位置ではローリング制御が停止するように構成する。作業機にはローリング軸から左右一側に偏位した部位に入力軸を設けて動力を取り入れ、作業機の上昇に伴う駆動及び非駆動の切り替えに関連して、ローリング制御手段により入力軸から発生するモーメント方向にずれた位置でローリング制御を停止して固定し、作業機が上昇位置で駆動が停止されると、入力軸の駆動反力の喪失により作業機を水平状態に復帰させる。
【選択図】 図13

Description

この発明は、乗用型走行車体に苗植装置等の各種農作業装置を装着した乗用型農作業機に関するものであり、詳しくは、苗植装置等の各種農作業装置を所定の姿勢にローリング制御する乗用型農作業機に関するものである。
この種の従来技術として、苗植装置の植付部を所定の姿勢に制御するローリング制御手段を設けた乗用型田植機は公知である(特許文献1)。
また、操作レバーを入り位置に操作し苗植装置の植付部を駆動すると、ローリング制御装置が作動し、切り位置に操作して植付部の駆動を停止すると、ローリング制御装置が停止するもの、及び、植付部の駆動を停止した所定時間後にローリング制御が停止するものは公知である(特許文献2)。
特開平7−135810号公報(第1頁、図4) 特開平6−141637号公報(第4〜5頁、図11)
苗植装置の植付部を所定の姿勢に制御するローリング制御するにあたり、苗植付部におけるローリング軸から左右一側に偏位した部位に動力の伝達される入力軸を設ける構成であると、苗植装置の駆動状態と停止状態とでは苗植装置の駆動反力の有無により左右のバランスが相違し、ローリング制御が良好にできないという不具合があった。そこで、この発明はこのような不具合を解消しようとするものである。
前記問題点を解決するために、この発明は次のような技術的手段を講じた。
請求項1の発明は、車体フレーム104に対して作業機105を昇降可能に設け、前記作業機105を下降した接地状態で駆動され、接地状態から所定高さ上昇した非接地位置で駆動が停止されるように構成し、前後方向のローリング軸64回りに前記作業機105をローリング制御手段により左右水平姿勢となるように左右ローリング可能に構成すると共に、作業機105が下降した接地位置でローリング制御が作動され、作業機105が上昇した非接地位置ではローリング制御が停止するように構成し、作業機105における前記ローリング軸64から左右一側に偏位した部位に車体フレーム104のPTO軸から動力の伝達される入力軸88を設け、作業機105の駆動及び非駆動の切り替えに関連して前記ローリング制御手段により、前記入力軸88から発生するモーメント方向にずれた位置でローリング制御を停止して固定するローリング制御停止手段を設けたことを特徴とする乗用型農作業機のローリング制御装置とした。
前記構成によると、車体フレーム104に対して作業機105は昇降可能に設けられていて、作業機105におけるローリング軸64から左右一側に偏位した部位に設けた入力軸88に車体フレーム104のPTO軸から動力が伝達され、作業機105が下降した接地状態で駆動でき、接地状態から所定高さ上昇した非接地位置で駆動が停止される。また、ローリング制御手段により作業機105が下降した接地位置で駆動されると共にローリング制御がなされ、作業機105が上昇した非接地位置又は非駆動状態ではローリング制御が停止する。そして、作業機105の駆動及び非駆動の切り替えに関連してローリング制御手段により、入力軸88から発生するモーメント方向にずれた位置でローリング制御が停止して固定され、次いで、作業機105が非接地位置に上昇し駆動が停止されると、入力軸88の駆動停止に伴う駆動反力の喪失によるモーメントが発生し作業機105は左右水平状態に復帰する。
請求項1記載の発明は、作業機105は上昇時又は非駆動時に左右水平状態になるので、非駆動状態で作業機105を接地させて行う整地作業又は作業機105が下降した再作業を適正に行なうことができ、また、作業機105の非駆動状態への切り替えに伴う上昇時に即座に適正状態で固定することができて、地面から浮上しているときにローリング制御のハンチングを防止してローリング制御を良好に行なうことができる。
以下、前記技術思想に基づき具体化された実施の形態について図面に基づき説明する。
図1は走行作業機用伝動機の伝動展開図を示し、図2はその側面図を示すものである。走行作業機用伝動機1は、エンジン側からベルト伝動されるプーリ軸2によって動力の伝達されるHSTと略称される静油圧式無段変速機3を一体に備え、静油圧式無段変速機3から変速回転動力を受ける入力部には入力軸4と切替軸5、この入力部から動力の伝達を受けて走行動力を出力する走行系伝動部には、選択軸6、差動出力軸7,7、連動出力軸8,8、及び、同入力部から動力の伝達を受けて植付機等の作業機動力を出力する作業系伝動部には、減速軸9、張出軸10、作業出力軸11等を備える構成である。
HST3は、低重心化と前後方向長さの短縮によって構成のコンパクト化を図るために、走行作業機用伝動機1をその側面視においてそのアウトライン内に、即ち、伝動機の上下及び前後の寸法内に含まれるように配置し、プーリ軸2に伝達されたエンジン動力を正逆方向に無段変速して入力軸4に伝達する。切替軸5は、入力軸4から減速歯車伝動によって動力の伝達を受けると共に、切替ギヤ21及び切替位置を変更するシフタ22を備えている。切替ギヤ21には作業用の小径ギヤ21a及び移動走行用の大径ギヤ21bを備え、後述のように切替ギヤ21に4ポジションを設定して、シフタ22による選択移動したポジションに応じて走行系伝動部及び作業系伝動部への伝動を切り替える構成である。
選択軸6には、その一端部にブレーキ23を備えると共に、大径ギヤ6aと小径ギヤ6bを備えていて、切替軸5から切替ギヤ21を介して選択的に動力が伝達される。この選択軸6は、ブレーキ23により走行系伝動部の入力側の回転を拘束することができ、また、切替ギヤ21のポジション選択に応じて作業系動力部の回転を拘束することができる。大径ギヤ6aは作業時の低速走行用であり、小径ギヤ6bは移動走行時の高速走行用である。
左右の差動出力軸7,7の間には選択軸6からデフケース24aに動力の伝達を受ける差動機構24を設けることにより、デフケース24aに伝達された動力が左右に差動出力され、左右の操舵前輪を駆動する。デフケース24aの両側部にはスリーブ軸25,25を延出して、その外側部を軸支すると共に、スリーブ軸25と連動出力軸8との間にベベルギヤ等の傾斜軸間伝動用の歯車による伝動機構26,26を左右に夫れ夫れ設け、スリーブ軸25,25から直接的に伝動出力する連動出力軸8,8は、差動出力軸7,7と直交状態に配置し、夫れ夫れの速度調節用のクラッチ27,27を介して走行作業機用伝動機1の後端部に突.出して配置している。この連動出力軸8,8により左右の後輪を駆動する。
このように走行系伝動部を構成することにより、差動機構24のデフケース24aに伝達された回転動力は、左右の差動出力軸7,7に伝達されると共に、左右のスリーブ軸25,25のベベルギヤ等による傾斜軸間の伝動機構26,26を介して、中間ギヤを必要とせず、左右の連動出力軸8,8に直接的に動力が伝達され、この連動出力軸8,8によって走行作業機用伝動機1の後部に左右同速度の動力が出力される。
前記走行系伝動部の構成により、走行作業機用伝動機1における操舵前輪と連動して左右同速度で後部に出力する連動出力軸8,8について、中間ギヤやその支持用の中間軸等の中間伝動部品数を抑えて簡単でコンパクトに構成して、連動出力軸8,8の伝動系について伝動効率及び信頼性が向上し、コストの低減及び全体の小型軽量化と共に走行性能の向上を図ることができる。
また、選択軸6の小径ギヤ6bから差動機構24及び差動出力軸7,7に動力を伝達し、更に、後輪伝動用の連動出力軸8,8に動力を伝達し、差動機構24直前の選択軸6にブレーキ23を設けたので、構成を簡素化しながらブレーキ機能を向上させることができる。
作業系の伝動部については、図3に拡大展開断面図を示すように、減速軸9には減速用
の大・小径ギヤ9a,9bを備え、その大径ギヤ9a側に切替軸5の切替ギヤ21から動力が伝達され、小径ギヤ9b側から減速動力を出力する。張出軸10は減速軸9の小径ギヤ9bからの減速動力が伝達されると共に、走行作業機用伝動機1の側方(図3の上方)に張り出すように延出した位置にベベルギヤ31を備えている。作業出力軸11は、張出軸10と直交して後方に向かって軸架されていて、ベベルギヤ31から動力が伝達される。この作業出力軸11から中継軸等を経て後部の作業機に動力が伝達される。
次に、切替ギヤ21のシフトポジションによる伝動切替えについて説明する。切替ギヤ21のシフトポジションは、図4(a)に示すように、A〜Dの4ポジションを設定し、作業時後進ポジション(A)、作業時前進ポジション(B)、PTOポジション(C)、移動走行ポジション(D)の順に左右方向に配置している。これら4ポジションの回転方向は、Aポジションを後進側、B〜Dポジションを前進側にし、ポジションの選択操作に連動して前記HSTの回転方向を切り替えるように構成している。
切替ギヤ21による伝動の切替えについては、図4(b)に示すように、切替ギヤ21の小径ギヤ21aを減速軸9の大径ギヤ9aに噛み合わせずに選択軸6の大径ギヤ6aに噛み合わせるAポジション、切替ギヤ21の小径ギヤ21aを減速軸9の大径ギヤ9aと選択軸6の大径ギヤ6aに噛み合うBポジション、切替ギヤ21の小径ギヤ21aを減速軸9の大径ギヤ9aに噛み合わせて選択軸6の大径ギヤ6aに噛み合わさないCポジション、また、切替ギヤ21の大径ギヤ21bを選択軸6の小径ギヤ6bに噛み合わすDポジションを設定している。
このようにシフトポジションを設定することにより、Aポジションでは走行系低速伝動の後進回転と作業系伝動の遮断による作業時後進動作、Bポジションでは走行系低速伝動と作業系伝動の前進回転による出力作業時前進動作、Cポジションでは作業系伝動の前進回転と走行系の遮断によるPTO動作、Dポジションでは走行系高速伝動の前進回転と作業系伝動の遮断による移動走行動作を選択することができる。
次に、走行作業機用伝動機1のベルト伝動入力部の構成について説明する。図5に走行作業機用伝動機1のベルト伝動入力部の伝動展開図を、図6にはブレーキぺダルの構成を図示している。走行作業機用伝動機1に設けたHST(油圧式変速機)42にエンジン41から動力を伝達する伝動ベルト43、及び、そのテンションプーリ44により構成され、また、ワンブレーキぺダル45に走行四輪のブレーキワイヤ46aを連結してブレーキ系が構成されている。HST42のトラニオンアーム42aはワイヤ42bを介して前後進切替レバー46と連結し、この前後進切替レバー46は長孔のある融通体47を介してワンブレーキぺダル45と連結し、ぺダル操作によりトラニオンアーム42aをニュートラル位置に移動するように構成している。テンションプーリ44を更にワイヤ44aを介してワンブレーキぺダル45と連結し、ぺダル操作によりテンションプーリ44を緩めるように構成している。
前記のようにベルト伝動入力部を構成することにより、走行作業機用伝動機1の主クラッチを廃止した簡易な構成としながら、ぺダル操作によりブレーキの作動が可能となる。この場合において、テンションプーリ44が同時に緩められることになり、入力軸となるプーリ軸2が回転しないためにHST42の油圧抵抗によるブレーキ効果が増大し、エンストを防止してエンジンの保護を図ることができる。また、ぺダル動作によってHST42をニュートラル位置に移動した後にブレーキを遅れて作動するように構成することにより、安全性を向上させることができる。
次に、図7及び図8に基づき走行作業機用伝動機1の作動制御装置について説明する。
HSTレバー(図示省略)でトラニオンアーム42aを操作可能に構成し、HSTレバー(図示省略)の操作位置を検出するHSTレバーセンサ51、及び、トラニオンアーム42aの作動状態を検出するHSTトラニオンアームセンサ52を設けて、これらセンサ51,52を制御部53の入力部に接続し、制御部53の出力側にはトラニオンアーム42aを作動するHSTモータ54を接続している。
次に、制御内容を説明する。制御が開始されると、HSTレバーセンサ51及びHST
トラニオンアームセンサ52の検出値が読み込まれ(ステップS1)、次いで、HSTレバーセンサ51の検出値とHSTトラニオンアームセンサ52の検出値が相違するか否かの判定がなされ(ステップ2)。両検出値が相違する場合には、HSTレバーセンサ51の検出値がHSTトラニオンアームセンサ52の検出値より高速側に所定値大きいか否かの判定がなされ(ステップ3)、HSTレバーセンサ51の検出値がHSTトラニオンアームセンサ52の検出値より高速側に所定値大きくない場合には、HSTトラニオンアームセンサ52の検出値が所望の値になるようにHSTモータ54を作動する(ステップ5)。また、HSTレバーセンサ51の検出値がHSTトラニオンアームセンサ52の検出値より高速側に所定値大きい場合には、HSTモータ54を高速側に一定量だけ作動して所定の加速で走行し(ステップ4)、次いで、所定時間のタイマー処理をし(ステップ6)、ステップ1に復帰する。
しかして、HSTレバー(図示省略)を急激に大きく高速側に操作しても、作業用車両の急発進を防止して所定の加速とし、走行の安全性を高めることができる。
次に、前記構成の走行作業機用伝動機1を搭載した乗用田植機について説明する。乗用田植機101は、図9にその全体側面図を示すように、左・右前輪102,102と左・右後輪103,103によって走行する車体フレーム104の後端部に苗植付部105を昇降自在に連結している。車体フレーム104の前側部に前記走行作業機用伝動機1を搭載し、後側部にはエンジン41、座席107を搭載している。
前記搭載機器の伝動系は、例えば、図10に示すように、走行作業機用伝動機1のHST3のプーリ軸2のプーリ112にはエンジン41からベルト伝動装置43により動力が伝達され、左右に延出した差動出力軸ケース113、113の差動出力軸を介して左・右前輪102,102を差動駆動し、この左・右前輪102,102と連動するように伝動機1後部の連動出力軸114、114から左・右後輪103,103を同速駆動し、また、伝動機1の一側部の作業機出力軸115から中継軸116を介して苗植付部105を駆動するように構成している。
61は上部リンク61aと下部リンク61bにより構成されている昇降リンク機構であって、上部リンク61aと下部リンク61bの基端部を車体フレーム104の後部に立設した支持フレーム62に夫れ夫れ枢支され、後端部は後述の縦枠体63を枢支連結し、縦枠体63に設けたローリング軸64を介して苗植付部105をローリング自在に支持している。
油圧シリンダ65の基部が車体フレーム104に枢支され、そのピストンの後端部が上部リンク61aと一体の揺動アーム66に枢支されている。苗植付部105は、前記ローリング軸64にローリング自在に装着されているフレームを兼ねる植付伝動ケース67と、この植付伝動ケース67に設けられた左・右支持部材67a,67aに支持されて左右方向に往復移動する苗載せ台68と、植付伝動ケース67の後端部に装着されていて、前記苗載せ台68の下端より一株づつ分割して圃場に植え付ける6個の苗植付具69,…と、植付伝動ケース67の下端部にその後部が枢支されていてその前側部が上下揺動自在に装着されている整地体であるセンターフロート70、左・右サイドフロート71,71等により構成されている。左・右サイドフロート71,71は、左・右後輪103,103の後方に配置されていて、左・右後輪103,103により掻き乱された圃場を整地すると共に、苗植付具69,…により苗の植え付けられる圃場の前方を整地するように構成されている。そして、苗載せ台68は6個の苗載置部が左右方向に並列状に設けられている。
また、車体フレーム104の前側部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載せ台72,72が機体幅よりも横側方に張り出す位置と、内側に収納される位置とに回動可能に設けられている。
73は圃場に対する苗植付部105の上下位置を検出するセンサ機能を果たすセンターフロートセンサであって、センターフロート70の前側部上下位置を検出するポジションメータにより構成されていて、センターフロート70の前側部上面とリンク74により連係されている。そして、センターフロートセンサ73のセンターフロート70前側部の上下位置の検出結果に基づき、制御部53の昇降制御手段によりソレノイド油圧バルブ75
を制御して油圧シリンダ65により苗植付部105を上下制御するように構成されている。なお、センターフロート70の前側部はバネにより下方に向けて押圧付勢されている。
即ち、センターフロート70が泥面に接地した状態でその前側部が外力により適正範囲以上に持ち上げられた時には、油圧ポンプ76によりミッションケース内から汲み出された圧油を油圧シリンダ65に送り込んでピストンを突出させ、昇降リンク機構61を上方に回動させて苗植付部105を所定位置まで上昇させる。また、センターフロート70が適正範囲以上に下がった時には、油圧ポンプ76によりミッションケース内に圧油を戻して昇降リンク機構61を下方に回動させて苗植付部105を所定位置まで下降させる。そして、センターフロート70の前側部が適正範囲にあるとき、即ち、苗植付部105が適正な所定高さにある時には、油圧シリンダ65内の圧油の出入りを停止して苗植付部105を一定高さに保持するように構成している。
次に、図14及び図15に基づきローリング制御機構77について説明する。縦枠体63の上部に固着されている支持板63aに電動モータ78をボルト・ナットで着脱自在に取り付け、この電動モータ78の回転駆動軸79の先端に小径の駆動歯車79aが正逆回転駆動されるように取り付けられている。そして、電動モータ78は、機体の背面視で縦枠体63の右側に偏位した位置に固着されていて、電動モータ78の点検・整備のメンテナンス作業を容易に機体右側から行なことができ作業性を良くしている。
一方、支持板63aには大径の従動歯車79bが回動軸79cにより回動自在に枢支され、電動モータ78の回転駆動軸79の先端部に設けられた駆動歯車79aに噛み合っており、従動歯車79bは電動モータ78の回転を減速して回転するように構成されている。そして、従動歯車79bにローリング駆動ピン79dの基端部が溶接固着されていて、そのローリング駆動ピン79dの先端部を、支持板63aに枢支軸79eにより回動自在に設けられた回動アーム80の長孔80aに係合している。
そして、回動アーム80の揺動先端部には、左・右引張バネ81,81の一端を連結し、左・右引張バネ81,81の他端を前記苗植付部105の植付伝動ケース67に設けられた左・右支持部材67a,67aに連結している。しかして、電動モータ78の回転駆動軸79の正逆回転により、回動アーム80がイ及びロ方向に揺動し、左・右引張バネ81,81を介して苗植付部105を車体フレーム104に対してローリング作動する。
植付伝動ケース67の上部には機体の左右方向中央に位置するように水平センサ82を設け、苗植付部105の水平に対する左右傾斜を電気信号の変動として検出し、機体正面視で水平時に3Vの電圧を出力し、右傾斜するほど出力電圧は5Vまで大きくなり、逆に、左傾斜するほど出力電圧は0Vまで小さくなる。そして、制御部53のローリング制御手段により水平センサ82の出力電圧に応じて電動モータ78を正逆転制御して苗植付部105を水平に制御するように構成している。
83は回動アーム80が左右中央位置で停止するために従動歯車79bの位置を検出するためのセンサであって、従動歯車79bと同一軸心に装着されている検出作動体84の凸部84aによりON作動し、回動アーム80が左右中央位置であることを検出できるようにしている。そして、検出作動体84は従動歯車79bに対して回動軸89c回りに回動調節できるように構成し、検出位置の正確化を図っている。
85は回動アーム80が左右最大揺動位置で停止するように従動歯車79bの位置を検出するセンサであり、その検出当接部が従動歯車79bの外周部に形成された凹部85aに当接しており、回動アーム80が左右最大揺動位置まで揺動した時に凹部85aの終端部である凸部によりON作動し、回動アーム80が左右最大揺動位置であることを検出できる。なお、このセンサ85が左右最大揺動位置を検出するとローリング制御は停止される。
ところで、乗用田植機においては、苗植付部105の苗載せ台68が左右に往復移動して苗植付作業が行われるために、苗載せ台68が中央部に位置するときと左右端部に位置するときとでは、苗植付部105の重心が左右に大きく変動し、ローリング制御が適正に行ないにくい不都合が生じる。しかして、支持板63aの先端部には、補正用左・右引張バネ86,86の一端を連結し、補正用左・右引張バネ86,86の他端を苗植付部10
5の苗載せ台68に連結している。
従って、苗載せ台68が左・右端部付近に移動すると、苗載せ台68の重みで苗植付部105の苗載せ台68が移動側に下がりぎみになろうとする側を補正用左・右引張バネ86,86により引き上げ補正し、苗載せ台68の左右移動によるローリング制御の不安定さを解消し、ローリング制御を正確にし良好な植付作業ができるようにしている。
なお、前記実施例では、苗植付部105側に水平センサ82を設けた実施態様を示したが、乗用田植機の走行車体側に水平センサ82を設けて、ローリング制御するように構成してもよい。また、前記実施例で、ローリング制御機構77を昇降リンク機構61側に設ける構成としたが、逆に苗植付部105側にローリング制御機構77を設けてもよい。
また、苗植付部105をローリング制御機構を構成するにあたり、図18に示すように、従動歯車79b、ローリング駆動ピン79d、回動アーム80及びこれらの関連構成を次のように構成してもよい。即ち、従動歯車79bには円弧状長溝89を構成し、回動アーム80には長手方向に沿った長孔80aを構成し、ローリング駆動ピン79dの基端部を従動歯車79b側の円弧状長溝89に移動自在に係止し、ローリング駆動ピン79dの先端部を回動アーム80の長孔80aに係合する。
このように構成することにより、回動アーム80が左右方向中央付近を回動するときには、回動アーム80の角速度が遅いため緩やかにローリング調節をし、回動アーム80が左右両側付近を回動するときには、回動アーム80の角速度が大きくなり、迅速なローリング調節をすることができる。
次に、図9、図13〜図17に基づき苗植付部105のローリング制御装置の他の実施例について説明する。
車体フレーム104に対して昇降リンク機構61により苗植付部105を昇降可能に連結し、制御部53のPTO軸クラッチ作動制御手段により苗植付部105が下降した接地作業位置で駆動され、作業位置から所定高さ上昇した非作業位置で駆動が停止されるように構成する。苗植付部105をローリング軸64回りに左右水平姿勢となるように制御部53のローリング制御手段により左右ローリング可能に構成し、また、ローリング制御手段により苗植付部105が下降した作業位置でローリング制御が作動され、苗植付部105が上昇した非作業位置ではローリング制御が停止されるように構成する。
また、苗植付部105にはローリング軸64から左右一側に偏位した部位、例えば背面視で右側部位に車体フレーム104のPTO軸から動力の伝達される入力軸88を設ける。そして、苗植付部105の駆動及び非駆動の切り替えに関連して前記ローリング制御手段により、入力軸88から発生するモーメント方向にずれた位置、即ち例えば回動アーム80を右下がりとした状態(図17の仮想線の位置)でローリング制御を停止して固定するように構成する。
苗植付部105の左右バランスは苗植付具69が回転している状態で取られており、駆動反力がプラスされた状態でローリング制御がなされている。しかして、苗植付部105の非駆動により入力軸88の駆動反力がなくなると、前記ずれが補正されて回動アーム80は実線で示す鉛直状態に回動し苗植付部105は水平姿勢に復帰する。
従って、再作業時に苗植付部105を水平姿勢で下降接地させることができて再作業を適正に行うことができ、又は苗植付部105を非駆動状態で接地させて植付作業をしないで行うフロートでの整地作業を適正に行うことができる。また、非駆動状態への切り替えにより即座に適正な状態で苗植付部105を固定することができ、地面から浮上しているときにローリング制御のハンチングを防止することができる。
また、図12に示すように、苗植付部105の左右両端部に左右幅を示す左・右ガイド杆90,90を設け、この左・右ガイド杆90,90の先端部を座席107の左右両側方まで延出し、この延出部に左・右サイドマーカー91,91を設け、左・右サイドマーカー91,91を仮想線で示す機体幅位置と、実線で示すサイドマーカー位置に調節するように構成してもよい。このように構成することにより、苗植付部105の破損を防止しながら、左・右サイドマーカー91,91を植付条列に合わせ正確な植付作業をすることができる。
走行作業機用伝動機の伝動展開図 走行作業機用伝動機の側面図 作業系伝動部の拡大伝動展開図 切替ギヤのポジション配置図(a)とその伝動切替図(b) 伝動機入力部のベルト伝動部の伝動系展開図 要部の側面図 制御ブロック図 フローチャート 全体の側面図 要部の平面図 要部の背面図 全体のヘッド 制御ブロック図 ローリング作動機構部の背面図 ローリング作動機構部の側面図 要部の背面図 ローリング作動機構部の背面図 ローリング作動機構部の背面図
符号の説明
53 制御部
61 昇降リンク機構
64 ローリング軸
77 ローリング制御機構
88 入力軸
101 乗用作業車(乗用田植機)
104 車体フレーム
105 作業機(苗植付部)

Claims (1)

  1. 車体フレーム104に対して作業機105を昇降可能に設け、前記作業機105を下降した接地状態で駆動され、接地状態から所定高さ上昇した非接地位置で駆動が停止されるように構成し、前後方向のローリング軸64回りに前記作業機105をローリング制御手段により左右水平姿勢となるように左右ローリング可能に構成すると共に、作業機105が下降した接地位置でローリング制御が作動され、作業機105が上昇した非接地位置ではローリング制御が停止するように構成し、作業機105における前記ローリング軸64から左右一側に偏位した部位に車体フレーム104のPTO軸から動力の伝達される入力軸88を設け、作業機105の駆動及び非駆動の切り替えに関連して前記ローリング制御手段により、前記入力軸88から発生するモーメント方向にずれた位置でローリング制御を停止して固定するローリング制御停止手段を設けたことを特徴とする乗用型農作業機のローリング制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007117032A (ja) * 2005-10-31 2007-05-17 Mitsubishi Agricult Mach Co Ltd 移植機
JP2011050325A (ja) * 2009-09-02 2011-03-17 Kubota Corp 水田作業機

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