JP2005129830A - ダイシング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粘着シートに貼付されたウェーハに対し、裏面チッピングの低減された良好なダイシングを行うことができるダイシング方法を提供すること。
【解決手段】第1のダイシングブレード10を用いて、切り残す部分の厚さを5μm〜30μmの範囲の不完全切断を行い、次に、砥粒の粒度が#4000〜#6000で、刃厚10μm〜25μmの極薄の第2のダイシングブレード11を用いて、前記切り残し部を完全切断するようにした。
【選択図】 図3

Description

本発明はダイシング方法に関し、特に半導体装置や電子部品等のウェーハを個々のチップに分割するダイシング方法に関する。
半導体製造工程等において、表面に半導体装置や電子部品等が形成されたウェーハは、プロービング工程で電気試験が行われた後、ダイシング工程で個々のチップ(ダイ、又はペレットとも言われる)に分割され、次に個々のチップはダイボンディング工程で部品基台にダイボンディングされる。ダイボンディングされた後はワイヤボンディングされ、ワイヤボンディングされた後は、樹脂モールドされて、半導体装置や電子部品等の完成品となる。
プロービング工程の後ウェーハは、図5に示すように、片面に粘着層が形成された厚さ100μm程度の粘着シート(ダイシングシート又はダイシングテープとも呼ばれる)Sに裏面を貼り付けられ、剛性のあるリング状のフレームFにマウントされる。ウェーハWはこの状態でダイシング工程内、ダイシング工程ダイボンディング工程間、及びダイボンディング工程内を搬送される。
ダイシング工程では、ダイシングブレードと呼ばれる薄型砥石でウェーハWに研削溝を入れてウェーハをカットするダイシング装置が用いられている。ダイシングブレードは、微細なダイヤモンド砥粒をNiで電着したもので、厚さ30μm程度の極薄のものが用いられる。
このダイシングブレードを30,000〜60,000rpmで高速回転させてウェーハWに切込み、ウェーハWを完全切断(フルカット)する。このときウェーハWの裏面に貼られた粘着シートSは、表面から10μm程度しか切り込まれていないので、ウェーハWは個々のチップTに切断されてはいるものの、個々のチップTがバラバラにはならず、チップT同士の配列が崩れていないので全体としてウェーハ状態が保たれている。
しかし、このダイシングブレードによる研削加工の場合、ウェーハWが高脆性材料であるため脆性モード加工となり、ウェーハWの表面や裏面にチッピングが生じ、このチッピングが分割されたチップTの性能を低下させる要因になっていた。
一方、ダイシングブレードの一般的な機能向上を図るために、ダイシングブレードの表裏両面に複数の溝を放射状に形成し、加工部への切削水の供給と切粉の排除の改善を狙ったダイシングブレードが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平6−188308号公報
ウェーハWの裏面には、前述のように柔らかい粘着シートが貼付されているため、ウェーハWの裏面は特にチッピングが発生し易く、また、チップTが切り離される時はチップTが振動しやすくなり、余計に裏面チッピングが発生し易かった。
この現象は、チップTが小さいほど顕著に表れ、機能向上が図られているはずの前出の特許文献1に記載されたダイシングブレードを用いても裏面チッピングを低減することができなかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、粘着シートに貼付されたウェーハに対し、裏面チッピングの低減された良好なダイシングを行うことができるダイシング方法を提供することを目的とする。
本発明は前記目的を達成するために、ウェーハのダイシング方法であって、第1のダイシングブレードを用い、前記ウェーハの表面側から研削溝を形成して前記ウェーハを不完全切断(第1の加工)し、次に第2のダイシングブレードを用い、前記不完全切断で切り残された部分を研削(第2の加工)することによって、前記ウェーハを完全切断するダイシング方法において、前記第1の加工において切り残す部分の厚さを5μm〜30μmの範囲としたことを特徴とする。
本発明によれば、第1の加工において切り残された部分の厚さが極めて薄いので、第2の加工における研削負荷が非常に小さい。このため第2のダイシングブレードの切れ味が向上し、刃先のバタツキが抑えられるので裏面チッピングが低減する。また、研削負荷が非常に小さいことから粒度の細かい電鋳ブレードを用いて中速度で加工することができ、ブレード寿命が長いとともに、効率のよい加工ができる。
また本発明は、前記第2のダイシングブレードは、ダイヤモンド砥粒の電鋳ブレードで、砥粒の粒度が#4000〜#6000であることを付加的要件とし、更に本発明は、前記第2のダイシングブレードの厚さは、前記第1のダイシングブレードの厚さより薄いことを付加的要件としている。
これによれば、第2のダイシングブレードの砥粒の粒度が細かいので裏面チッピングが低減するとともに、電鋳ブレードなのでブレード寿命が延びる。また、第2のダイシングブレードが第1のダイシングブレードによって形成された研削溝の側壁に接触することがなく、第2のダイシングブレードの振動が抑えられるので裏面チッピングがより低減される。
また本発明は、前記第1のダイシングブレードを取り付けるスピンドルと、前記第2のダイシングブレードを取り付けるスピンドルとの2本のスピンドルを有するダイシング装置を用い、前記第2の加工を前記第1の加工に対して僅かな時間差で、又は1ライン或いは複数ライン遅れで、同時に行うことを付加的要件としている。
この付加的要件によれば、ウェーハの表面側の研削溝加工とこの研削溝の底部に行う切断加工とを所定の時間差で同時進行するので、ダイシング時間が大幅に短縮される。
以上説明したように本発明のダイシング方法によれば、第1の加工において切り残された部分の厚さが極めて薄いので、第2の加工における研削負荷が非常に小さく、このため第2のダイシングブレードの切れ味が向上し、刃先のバタツキが抑えられるので裏面チッピングの抑制効果が大きい。
以下添付図面に従って本発明に係るダイシング方法の好ましい実施の形態について詳説する。尚、各図において同一部材には同一の番号または記号を付している。
先ず最初に、本発明に係るダイシング方法で使用するダイシング装置について説明する。図1は、ダイシング装置の外観を示す斜視図である。ダイシング装置100は、複数のウェーハWが収納されたカセットを外部装置との間で受渡すロードポート60と、吸着部51を有しウェーハWを装置各部に搬送する搬送手段50と、ウェーハWの表面を撮像する撮像手段81と、加工部20と、加工後のウェーハWを洗浄し、乾燥させるスピンナ40、及び装置各部の動作を制御するコントローラ90等とから構成されている。
加工部20には、2本対向して配置され、先端に第1のダイシングブレード10が取付けられる高周波モータ内臓型のエアーベアリング式スピンドル22Aと、第2のダイシングブレード11が取付けられる高周波モータ内臓型のエアーベアリング式スピンドル22Bとが設けられており、30,000rpm〜60,000rpmで高速回転されるとともに、互いに独立して図のY方向のインデックス送りとZ方向の切込み送りとがなされる。また、ウェーハWを吸着載置するワークテーブル23がXテーブル30の移動によって図のX方向に研削送りされるように構成されている。
ウェーハWは、図5に示すように、粘着シートSを介してフレームFにマウントされ、ダイシング装置100に供給される。
図2は、本発明のダイシング方法に用いられる第1のダイシングブレードを表わす側断面図である。第1のダイシングブレード10は、図2に示すように、アルミニューム(Al )製のフランジ10Bと切断刃10Aとから成っている。
切断刃10Aは、フランジ10Bの一方の端面にダイヤモンド砥粒を、ニッケル(Ni )を結合材として、電気メッキ技術を用いた電鋳法で固着させたもので、ダイヤモンド砥粒を固着させた後フランジ10Bの鍔部10C(図2の2点鎖線で示す部分)をエッチングで取り除くことにより刃部が形成される。
なお、結合材に通常のニッケルよりも軟質の金属を用いることにより、砥粒の自生作用が活発化し切れ味が持続する効果を持たせることができる。
ダイヤモンド砥粒は粒度#4000〜#6000の細かい砥粒が用いられ、ウェーハ切断時のチッピングを減少させるようになっている。また、切断刃10A中に占める砥粒の割合を表わす集中度は、ダイヤモンドの重量単位を基準としており、4.4ct/cm3 を100とすることから、体積%の4倍の値となっているが、本実施の形態では60〜90とした。
集中度が60よりも小さいと、砥粒の数が不足して切れ味が低下し、90よりも大きいと砥粒間に形成されるポケットが小さすぎて切削水の供給と切り粉の排除が悪くなり、同じく切れ味が低下する。本実施の形態では、集中度は60〜90が好ましいが、70〜80が更に好適である。
切断刃10Aの外径は約50mmで、厚さは30μm〜40μm程度のものがウェーハWのストリートKの幅に対応して用いられる。
第2のダイシングブレード11も、その構造は図2に示した第1のダイシングブレード10と同じで、アルミニューム(Al )製のフランジと切断刃とから成っている。
第2のダイシングブレード11の切断刃は、フランジの一方の端面にダイヤモンド砥粒を、ニッケル(Ni )と銅(Cu)等のニッケルよりも軟質の金属との合金を結合材として、電気メッキ技術を用いた電鋳法で固着させたもので、第1のダイシングブレード10同様、ダイヤモンド砥粒を固着させた後フランジ鍔部をエッチングで取り除くことにより刃部が形成される。
また、結合材に通常のニッケルよりも軟質の金属を用いているので、砥粒の自生作用が活発化し切れ味が持続する効果がある。
ダイヤモンド砥粒も第1のダイシングブレード10同様、粒度#4000〜#6000(好ましくは#5000)の細かい砥粒が用いられ、ウェーハ切断時のチッピングを減少させるようになっている。#4000より粗いとウェーハWの裏面チッピングが許容値以上に発生し、#6000より細かいと研削負荷が大き過ぎてダイシングできない。また、切断刃中に占める砥粒の割合を表わす集中度も、60〜90とした。
集中度が60よりも小さいと、砥粒の数が不足して切れ味が低下し、90よりも大きいと砥粒間に形成されるポケットが小さすぎて切削水の供給と切り粉の排除が悪くなり、同じく切れ味が低下する。本実施の形態では、集中度を60〜90としたが、70〜80が更に好適である。
第2のダイシングブレード11の切断刃の外径は約50mmで、厚さは10μm〜25μm程度(好ましくは15μm〜20μm)である。刃厚が10μmより薄いと剛性が弱くてすぐに破損してしまい実用的でなく、25μmより厚いと、後述するダイシング方法において第1のダイシングブレード10によって形成された溝の側面に接触する場合があり適さない。
図3は、本発明のダイシング方法に係る実施の形態を説明する概念図である。ダイシング装置100の対向配置された2本のスピンドル22A、22Bの内、手前側(図3では左側)のスピンドル22Aには第1のダイシングブレード10が取り付けられ、奥側(図3では右側)のスピンドル22Bには極薄の第2のダイシングブレード11が取り付けられている。
第1のダイシングブレード10は、50,000〜55,000rpmで回転される。また、極薄の第2のダイシングブレード11も50,000rpm〜55,000rpmで回転される。
本発明のダイシング方法では、先ず図3(a)に示すように、ウェーハWの裏面を粘着シートSに貼付した状態で、ウェーハWの主表面に形成された複数のパターン面PのストリートKに第1のダイシングブレード10で研削溝Gを形成し、深切り込みのハーフカットを行う。
研削溝Gの研削にあたっては、第1のダイシングブレード10を挟んで設けられた図示しないノズルから研削液を供給しながら、ウェーハWの表面側から切り込み、不完全切断を行う。研削液としては純水にCО2 をバブリングしたものを使用している。
形成された研削溝Gは、図3(b)のA部に示すようになっている。図4はこのA部の拡大図である。同図に示すように、研削溝GはウェーハWの裏面からDの肉厚だけ切り残してある。この切残し量Dは5μm〜30μmで、好ましくは10μm〜25μmであり、更に15μm〜20μmがより好適である。この時の研削速度は、ウェーハWがSiの場合は40mm/secとした。
なお、切残し量Dが5μm以下の場合、研削溝G形成時にウェーハWの所々に裏面まで達するクラックが生じる。また、切残し量Dが30μm以上の場合は、研削溝G形成に続いて行われる粒度#5000の極薄の第2のダイシングブレード11によるフルカットダイシング時に、研削負荷が大き過ぎ、研削速度を極度に低速にしないとダイシングできず、スループット上から見て実用的でない。
この研削溝G形成を数ライン行った後、図3(b)に示すように、最初の研削溝Gの底を極薄の第2のダイシングブレード11を用いて、粘着シートSに10μm程度切り込む形でフルカットダイシング(完全切断)を行う。このフルカットダイシング(完全切断)の研削溝を図4の2点鎖線で示す。この時の研削速度も40mm/secとした。
このフルカットダイシング(完全切断)においては、フルカットダイシング(完全切断)に先立って行われる第1のダイシングブレード10によるハーフカットの切り残し量が5μm〜30μm(15μm〜20μmがより好適)と極度に少ないため、研削負荷が少なく、ウェーハWの裏面に発生するチッピングを極力抑えることができる。
また、研削溝Gの底を極薄の第2のダイシングブレード11を用いてフルカットダイシングを行う時は、深い研削溝Gに研削水が回り込み易いので研削ポイントへの研削水の供給が良好になり、ウェーハWの裏面チッピング低減、及び第2のダイシングブレード11の先端部への粘着シートSの付着による目詰まり低減等の効果がもたらされる。
また、通常#5000の極薄ブレードでSiウェーハをダイシングする場合、研削速度は20mm/secが最高であるが、第1のダイシングブレード10によるハーフカットの切残し量Dが5μm〜30μmと極度に少ないので、研削負荷が少なく、研削速度40mm/secの中速度でフルカットダイシングすることができる。
また、前述したようにハーフカットの研削溝G形成とフルカットダイシングとの研削速度が同じため、先行する研削溝G形成と後に続くフルカットダイシングとを同時に行うことができる。
このように図3(c)に示すように順次研削溝G形成とフルカットダイシングとが同時進行し、全てのストリートKの加工が終了すると、ウェーハWを90°回転させ、先程のストリートKと直行するストリートKの研削溝G形成とフルカットダイシングとを行う。このようにしてウェーハWから多数のチップT、T、…が分割される。
このように、第1のダイシングブレード10を用いて、ウェーハWを微小切り残しのハーフカットダイシングをし、ハーフカット溝底部の微小切り残し部を高粒度、軟ボンド、極薄の電鋳ブレードである第2のダイシングブレード11を用いてフルカットすることにより、裏面チッピングが減少し、粘着シートSによる切断刃11Aの目詰まりが防止される。
また、ハーフカットダイシングを微小切り残しで行うため、フルカットダイシング加工とハーフカットダイシング加工との等速加工が可能になり、フルカットダイシングを所定時間遅れでハーフカットダイシングと同時に行うことができ、ダイシング時間の増加を抑制することができる。
なお、前述の実施の形態では、第1のダイシングブレード10及び第2のダイシングブレード11はフランジ付タイプで説明したが、本発明はこれに限らず、フランジと一体になっていないワッシャタイプのブレードであってもよい。また、使用砥粒もダイヤモンド砥粒に限らず、CBN(キュービック・ ボロン・ナイトライド)砥粒等を用いてもよく、更に電鋳ブレードに限らず、通常のメタルボンドブレードやレジンボンドブレードに適用してもよい。
ダイシング装置を表わす斜視図 第1のダイシングブレードを表わす側断面図 本発明の実施の形態に係るダイシング方法を表わす概念図 加工された研削溝を示す拡大断面図 フレームにマウントされたウェーハを表わす斜視図
符号の説明
10…第1のダイシングブレード、11…第2のダイシングブレード、10A…切断刃、10B…フランジ、22A、22B…スピンドル、100…ダイシング装置、F…フレーム、G…研削溝、P…パターン面、S…粘着シート、T…チップ、W…ウェーハ

Claims (4)

  1. ウェーハのダイシング方法であって、第1のダイシングブレードを用い、前記ウェーハの表面側から研削溝を形成して前記ウェーハを不完全切断(第1の加工)し、次に第2のダイシングブレードを用い、前記不完全切断で切り残された部分を研削(第2の加工)することによって、前記ウェーハを完全切断するダイシング方法において、
    前記第1の加工において切り残す部分の厚さを5μm〜30μmの範囲としたことを特徴とするダイシング方法。
  2. 前記第2のダイシングブレードは、ダイヤモンド砥粒の電鋳ブレードで、砥粒の粒度が#4000〜#6000であることを特徴とする、請求項1に記載のダイシング方法。
  3. 前記第2のダイシングブレードの厚さは、前記第1のダイシングブレードの厚さより薄いことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のダイシング方法。
  4. 前記第1のダイシングブレードを取り付けるスピンドルと、前記第2のダイシングブレードを取り付けるスピンドルとの2本のスピンドルを有するダイシング装置を用い、
    前記第2の加工を前記第1の加工に対して僅かな時間差で、又は1ライン或いは複数ライン遅れで、同時に行うことを特徴とする、請求項1、2、又は3のうちいずれか1項に記載のダイシング方法。
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