JP2005129604A - 半導体レーザ - Google Patents

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Abstract

【課題】ブロードエリア型の半導体レーザにおいて、NFPの均一化を図る。
【解決手段】n型のクラッド層2とn型のガイド層3と活性層4とp型のガイド層5とp型のクラッド層6とを用いて光の導波路を形成してなる半導体レーザの構成として、導波路の軸方向となるX方向の両端に設けられたレーザ端面9A,9Bのうち、一方のレーザ端面9Bの近傍に、導波路内を導波される光を活性層4と平行な面内でX方向と異なる方向に回折する回折部10を設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体レーザに関し、特に、ブロードエリア型の半導体レーザに関する。
半導体レーザは、CD(コンパクトディスク)やDVD(デジタルビデオディスク)のような光ディスク装置における光源としての用途以外に、ディスプレイや印刷機器、あるいは材料の加工、医療など様々な分野に応用されている。これらの応用においては、高い出力が要求されることが多いため、最近では高出力の半導体レーザの開発が盛んに行われている。
半導体レーザの出力を高くするための一つの方法として、ストライプ状の発光領域を持つ半導体レーザにおいて、そのストライプ幅を広くすることが有効である。例えば、光ディスク用の半導体レーザにおけるストライプ幅の典型値が2〜3μmであるのに対し、高出力用の半導体レーザではストライプ幅を50μmや100μmに広げた、いわゆるブロードエリア型の半導体レーザも出現している。一般にブロードエリア型と呼ばれる半導体レーザにおいては、発光ストライプの幅が少なくとも5μm以上で、その殆どは10μm以上(最大幅で数100μm程度)に設定されている。ブロードエリア型の半導体レーザに関する技術としては、下記特許文献1に記載されたものが公知となっている。
特開2003−60288号公報
しかしながら、ブロードエリア型の半導体レーザの場合は、発光領域における光強度の分布を示すNFP(Near Field Pattern)が不均一になるという問題がある。この問題はストライプ幅方向で発光強度のムラを引き起こすため、ディスプレイや印刷機器に応用するうえで大きな障害になる。また、上記問題の原因の一つとして、ストライプ状発光領域の幅が広いために、その中で特定の部分から他の部分よりも強い光が発生する現象(以下「フィラメンテーション」と記す)が指摘されている。したがって、NFPをより均一化なものとするには、フィラメンテーションの発生を抑制する必要がある。また、ストライプ幅の拡大によって活性領域が広くなると、その中に複数の縦モードが立つことになるが、それらの縦モードは相互に影響し合うことが少ないため、結果的に発光スペクトルの幅が広くなってしまう。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、ブロードエリア型の半導体レーザにおいて、NFPの均一化を図ることにある。
本発明に係る半導体レーザは、活性層と2つのクラッド層とを用いて光の導波路を形成するとともに、導波路の軸方向の両端に設けられたレーザ端面のうち、少なくとも一方のレーザ端面の近傍に、導波路内を導波される光を活性層と平行な面内で導波路の軸方向と異なる方向に回折する回折部を設けた構成となっている。
本発明に係る半導体レーザにおいては、レーザ端面の近傍に設けた回折部によって光を回折することにより、レーザ端面の近傍で導波路の軸方向と直交する方向に光が分散される。そのため、導波路の軸方向と直交する方向で光の強度が均一化される。
本発明に係る半導体レーザによれば、レーザ端面の近傍に回折部を設けて、導波路内を導波される光を回折部で回折することにより、導波路の軸方向と直交する方向で光の強度を均一化し、良好なNFPを得ることができる。
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る半導体レーザの構成例を示すもので、(A)はその平面図、(B)はその断面図である。図示した半導体レーザは、ブロードエリア型の半導体レーザであって、ベースとなるn型の基板(半導体基板)1と、この基板1上に順に積層されたn型のクラッド層2と、n型のガイド層3と、活性層4と、p型のガイド層5と、p型のクラッド層6と、p型のキャップ層(コンタクト層)7とを備えて構成されている。
基板1は、例えばn型のGaAs基板からなるものである。n型のクラッド層2は、例えばn型のAl0.35Ga0.65As層からなるものである。このクラッド層2はn型の基板1上に形成されている。n型のガイド層3は、例えばn型のAl0.30Ga0.70As層からなるものである。このガイド層3はn型のクラッド層2上に形成されている。活性層4は、例えばAl0.03Ga0.97As層からなる、量子井戸構造を有するものである。この活性層4はn型のガイド層3上に形成されている。
p型のガイド層5は、例えばAl0.30Ga0.70As層からなるものである。このガイド層5は活性層4上に形成されている。p型のクラッド層6は、例えばAl0.35Ga0.65As層からなるものである。このクラッド層6はp型のガイド層5上に形成されている。p型のキャップ層7は、例えばGaAs層からなるものである。このキャップ層7はp型のクラッド層6上にストライプ状に形成されている。また、キャップ層7の両側には電流狭窄層8が形成されている。電流狭窄層8は、p側の電流通路を所定のストライプ幅に制限するもので、例えば窒化シリコンや酸化シリコンなどの絶縁層や、不純物イオンの注入によって得られる高抵抗層によって構成されている。また、図示はしないが、キャップ層7の上には、例えばTi、Pt、Auなどの電極材料を用いてp側の電極が形成され、その反対側となる基板1の裏面には、例えばGe、Auなどの電極材料を用いてn型の電極が形成される。
上記構成の半導体レーザにおいては、n型のクラッド層2と、n型のガイド層3と、活性層4と、p型のガイド層5と、p型のクラッド層6とによって光の導波路が形成されるとともに、この導波路の軸方向となるX方向両端のレーザ端面9A,9Bがそれぞれ反射鏡面となって共振器が形成されている。一方のレーザ端面9Aにおける光の反射率は他方のレーザ端面9Bにおける光の反射率よりも低くなっている。例えば、レーザ端面9Aの反射率はほぼ10%、レーザ端面9Bの反射率はほぼ100%となっている。これにより、半導体レーザを駆動した際には、導波路内をX方向に進行(往復)する光が所定の周波数に発振した状態で低反射側のレーザ端面9Aから矢印方向に出射されるものとなる。なお、図1に示すX方向は、上述した導波路の軸方向だけでなく、半導体レーザの共振器軸方向やストライプ軸方向などとも一致する方向となる。
また、レーザ光の出射側と反対側のレーザ端面9B近傍には回折部10が設けられている。回折部10は、導波路内をX方向に進行する光を、X方向(導波路の軸方向)と異なる方向に回折するもので、X方向におけるレーザ端面9Bの近傍に半導体レーザの全幅にわたって形成されている。また、半導体レーザの厚み方向においては、p型のキャップ層7、p型のクラッド層6及びp型のクラッド層5をほぼ貫通する状態で回折部10が形成されている。また、半導体レーザの長さ方向においては、レーザ端面9Bからレーザ全長の1/5〜1/10程度の寸法範囲に回折部10が形成されている。
回折部10は、二次元のフォトニック結晶によって構成されている。フォトニック結晶とは、光の波長と同程度かそれよりも若干小さい周期で、屈折率が異なる2種類の媒質を配置することにより、周期的な屈折率分布をもたせた構造体である。また、2次元のフォトニック結晶とは、屈折率分布が2次元方向(平面状)に設けられたフォトニック結晶である。
フォトニック結晶からなる回折部10の構造例を図2(A),(B)に示す。図2(A)はフォトニック結晶からなる回折部10の斜視図であり、図2(B)はその拡大平面図である。図示のように回折部10には、活性層4と平行な面内で円形の小さな穴部(穴径は一定)11が一定の周期で二次元的に配置されている。すなわち、導波路の軸方向Xとほぼ45度をなす直交2軸方向においては、その結晶構造が正方格子となっていることから、互いに隣り合う穴部11の配列ピッチ(中心ピッチ)P1,P2がそれぞれ等しく設定されている。各々の穴部11はフォトニック結晶の格子点を形成するもので、図示したものでは正方格子の円穴の二次元フォトニック結晶となっている。
また、格子点を結んで形成される最も小さな正方形の各辺は、導波路の軸方向となるX方向に対してほぼ45度の傾きを有するものとなっている。また、穴部11の屈折率をnaとし、穴部11以外の部分の屈折率をnbとすると、それらの関係はna≠nb(na>nb又はna<nb)となっている。
続いて、本発明の実施形態に係る半導体レーザの製造方法について図3を用いて説明する。
先ず、図3(A),(B)に示すように、半導体レーザのベースとなるウエハ状態の基板1を用意するとともに、この基板1上に例えばMOCVD法(有機金属気相成長法)によってn型のクラッド層2、n型のガイド層3、活性層4、p型のガイド層5、p型のクラッド層6及びp型のキャップ層7を順に積層して形成する。
次に、図3(C)に示すように、キャップ層7が形成されている基板1の表面にエッチングマスク12を形成する。このエッチングマスク12は、フォトリスグラフィー(レジスト塗布、プリベイク、電子線描画による露光、現像、洗浄など)によって所定のパターンに形成される。このマスクパターンは、フォトニック結晶からなる回折部10の形成領域で上記穴部11(図2参照)に対応する箇所を円形に開口させたパターンとなる。
続いて、図3(D)に示すように、例えばRIE(反応性イオンエッチング)や高周波誘導結合プラズマ(ICP)エッチングなどのドライエッチング法によって基板1上の半導体層(キャップ層7、p型のクラッド層6、p型のガイド層5)を表面側から掘り込む(削り込む)ことにより、図3(E)に示すように、キャップ層7、p型のクラッド層6及びp型のガイド層5にほぼ貫通する多数の穴部11を形成する。エッチングマスク12はエッチング終了後に除去される。
エッチングに際しては、穴部11の底部が活性層4まで達しない(換言すると活性層4がエッチングによるダメージを受けない)ようにエッチング条件を適宜設定(選択)することが望ましい。ただし、穴部11の深さが浅すぎると、活性層4に光を閉じ込めて導波するときに、フォトニック結晶の存在によって光が感じる屈折率差が小さくなってしまう。そのため、穴部11の底部が少なくともp型のガイド層4に達するようにエッチング量(穴部11の深さ)を制御することが望ましい。
このことから半導体レーザの構成としては、図4に示すように、フォトニック結晶からなる回折部10(穴部11)の底部と活性層4との間にΔTのギャップが介在し、このギャップ部分がp型のガイド層5で埋め込まれたものとなっていてもよい。エッチング終了後は、電極形成プロセスによって基板1の表面側(p側)と裏面側(n側)にそれぞれ金属の蒸着によって電極を形成する。
このような製造方法によって得られた半導体レーザでは、電極形成プロセスで金属を蒸着したときに、フォトニック結晶の形成領域(以下、フォトニック結晶領域とも記す)に設けられた各々の穴部11に金属が入り込んだ構造となる。そのため、フォトニック結晶の形成領域では、活性層4に隣接するp型のガイド層5を構成する半導体材料の中に、これと屈折率が異なる金属材料が周期的に規則正しく並んだ構造となる。
ここで、フォトニック結晶の周期構造は、導波路内を導波される光の波長と同程度かそれ以下の場合に光学的に有効に機能することから、例えばAlGaAs系材料で光の波長が約800nmとなる場合は、実効的な屈折率(導波される光が平均的に感じる屈折率)をneff=4とし、この値で光の波長を割った値200nm(=800÷4)かそれ以下の値を屈折率分布の周期に設定することが望ましい。例えば、図2に示すフォトニック結晶構造体においては、屈折率分布の周期となる穴部11の間隔P1,P2を共に200nmに設定するとともに、それぞれの穴径(直径)を上記間隔の1/2相当の100nmに設定することが好ましい。
また、他の材料系として、例えばGaInP/AlGaInP系材料で光の波長が約650nmとなる場合は、同じく実効的な屈折率をneff=4とし、この値で光の波長を割った値160nm(≒650÷4)かそれ以下の値を屈折率分布の周期に設定することが望ましい。また、GaInN/AlGaInN系材料で光の波長が約405nmとなる場合は、実効的な屈折率をneff=2.5とし、この値で光の波長を割った値160nm(≒405÷2.5)かそれ以下の値を屈折率分布の周期に設定することが望ましい。また、GaInNAs/GaAsN系材料で光の波長が約1300nm(1.3μm)となる場合は、実効的な屈折率をneff=3.5とし、この値で光の波長を割った値370nm(≒1300÷3.5)かそれ以下の値を屈折率分布の周期に設定することが望ましい。
ちなみに、ここでは活性層4の下層にn型のガイド層3、上層にp型のガイド層5が形成されたものを例示しているが、本発明はいずれか一方のガイド層が無しのものや両方のガイド層が無しものにも適用可能である。例えば、図5に示すように、活性層4をn型のクラッド層2とp型のクラッド層6でサンドイッチした3層スラブ導波路を採用したもの(ガイド層無しのもの)では、レーザ光の出射側と反対側のレーザ端面の近傍に、フォトニック結晶からなる回折部10が設けられるとともに、この回折部10の底部が、活性層4の上面に隣接する半導体層、つまりp型のクラッド層6に達するように配置される。
また、半導体レーザの製造方法としては、図6(A)〜(F)に示すフローに基づくものであってもよい。この製造方法について説明すると、先ず、図6(A),(B)に示すように、半導体レーザのベースとなるウエハ状態の基板1を用意するとともに、この基板1上に例えばMOCVD法によってn型のクラッド層2、n型のガイド層3、活性層4、p型のガイド層5及びp型のクラッド層6を順に積層して形成する。このとき、p型のクラッド層6の一部又は全部を結晶成長させたところで、一旦基板1を結晶成長装置から取り出す。
次に、図6(C)に示すように、p型のクラッド層6が形成されている基板1の表面にエッチングマスク12を形成する。このエッチングマスク12は、フォトリスグラフィー(レジスト塗布、プリベイク、電子線描画による露光、現像、洗浄など)によって所定のパターンに形成される。このマスクパターンは、フォトニック結晶からなる回折部10の形成領域で上記穴部11(図2参照)に対応する箇所を円形に開口させたパターンとなる。
続いて、図6(D)に示すように、例えばRIE(反応性イオンエッチング)や高周波誘導結合プラズマ(ICP)エッチングなどのドライエッチング法によって基板1上の半導体層(p型のクラッド層6、p型のガイド層5)を表面側から掘り込む(削り込む)ことにより、図6(E)に示すように、p型のクラッド層6及びp型のガイド層5にほぼ貫通する多数の穴部11を形成する。エッチングマスク12はエッチング終了後に除去される。このエッチングに際しても穴部11の底部がp型のガイド層5に達し、かつ活性層4までは達しないように、エッチング条件を適宜設定することが望ましい。
次いで、図6(F)に示すように、基板1を結晶成長装置に再投入して、p型のクラッド層6の残り、又はp型のキャップ層7を上記同様の方法(例えば、MOCVD法)で形成した後、電極形成プロセスによって基板1の表面側(p側)と裏面側(n側)にそれぞれ金属の蒸着によって電極を形成する。この製造方法においては、フォトニック結晶の形成領域に設けられた各々の穴部11にp型のクラッド層6又はキャップ層7の形成材料が入り込んだ構造となる。そのため、フォトニック結晶の形成領域では、活性層4に隣接するp型のガイド層5を構成する半導体材料の中に、これと屈折率が異なるp型のクラッド層材料又はp型のキャップ層材料が周期的に規則正しく並んだ構造となる。また、2回目の結晶成長の条件によっては、表面張力などの影響で穴部11に半導体材料が入り込まず、穴部11が空隙のままで結晶成長が進行することも考えられるが、その場合でもガイド層5の材料中に、これと屈折率の異なる空隙が周期的に規則正しく並んだ構造となる。
上記構成の半導体レーザを動作させるにあたって、ストライプ状の電流注入領域から順方向の電流を流すと、活性層4中にストライプ状の反転分布領域が形成されるとともに、この反転分布領域の形成に伴う誘導放出によって活性層4の内部に光が発生する。こうして発生した光は導波路に沿ってX方向に進行するとともに、レーザ端面9A,9Bで反射(フィードバック)を繰り返しながら増幅し、ある発振波長で低反射側のレーザ端面9Aから出射する。
その際、レーザ端面9Bの近傍に回折部10が存在すると、導波路内を導波される光(導波光)は、回折部10による周期的な屈折率差を感じるため、活性層(pn接合層)4と平行な面内でX方向とは異なる方向に回折する。この場合、フォトニック結晶は、活性層4に平行な面状に形成されているため、その周期的な屈折率差によってレーザ光が受ける影響は、活性層4に垂直な面内で振動(縦方向に振動)している場合、つまりTM(Transverse Magnetic)成分が強くなるほど大きくなる。
また、フォトニック結晶が形成された領域では、X方向に対して±45度をなす軸上にそれぞれ一定の周期(間隔)で穴部11が配置されるため、回折部10はこれと同じ45度方向に周期性をもった回折格子のように作用する。したがって、レーザ端面9Bの近傍では、図7(A)に示すように、レーザ端面9Bに向けてX方向に進行する光(導波光)の一部が、フォトニック結晶による周期的な屈折率差を感じて、もともとの導波方向となるX方向とは異なる方向に90度回折する。さらに、こうして回折した光の一部は、フォトニック結晶の形成領域内で再びフォトニック結晶による周期的な屈折率差を感じて90度回折する。その結果、光の進行方向はレーザ端面9A側を向くように180度変換される。
このような光の回折はフォトニック結晶の形成領域内で連続的に生じる。そのため、フォトニック結晶領域に入射した光(導波光)は、フォトニック結晶による周期的な屈折率差を感じて90度の回折を不規則に何度も繰り返すことになる。したがって、フォトニック結晶の形成領域に入射した光(導波光)は、図7(B)に示すように、X方向と直交する方向(ストライプ幅方向)に分散してフィードバックされるようになる。このとき、一部の光は、フォトニック結晶領域を通してレーザ端面9Bに達し、そこで反射してフィードバックされる。
その結果、従来のブロードエリア型の半導体レーザの場合は、レーザ端面で反射されるレーザ光がX方向だけに進行(往復)するため、例えば、図8(A)に示すように、ストライプ幅方向(X方向と直交する方向)の特定の部分Pwで強い光が発生した場合は、この光がストライプ幅方向の同じ位置でX方向に進行(往復)することになる。したがって、半導体レーザからは、ストライプ幅方向の特定の部分の光強度が他の部分よりも大きくなった状態でレーザ光が出射されるため、NFPが悪化してしまう。
これに対して、フォトニック結晶からなる回折部10を備えたブロードエリア型の半導体レーザの場合は、X方向に進行する光がレーザ端面9Bの近傍でフォトニック結晶の存在により回折してストライプ幅方向に分散するため、例えば、図8(B)に示すように、ストライプ幅方向(X方向と直交する方向)の特定の部分Pwで強い光が発生した場合でも、この光がストライプ幅方向に広がるように分散してX方向に進行(往復)することになる。したがって、半導体レーザからは、ストライプ幅方向の特定の部分の光強度を他の部分に分散(分配)した状態でレーザ光が出射されるため、NFPが良好なものとなる。
また、フォトニック結晶領域で光がストライプ幅方向に分散すると、レーザ発振時に生じる複数の縦モードが互いに影響し合うようになるため、それらの相互作用によって複数の縦モードのうち単一または複数の特定モードが顕在化する。これにより、導波路内を導波される光はスペクトルの限られた波長に収束するため、全体的なスペクトル幅が小さくなるという光学的に好ましい効果が得られる。その結果、半導体レーザから出射されるレーザ光の単色性を向上させることができる。
なお、上記の例では、フォトニック結晶の結晶構造として、格子点を構成する穴部11が正方対称に並んだ正方格子を例に挙げて説明したが、これ以外にも、例えば穴部11が三方対称に並んだ三方格子を採用してもよい。三方格子の二次元フォトニック結晶を採用した場合は、最も近い3つの穴部(格子点)11を結んだときに正三角形が形成される。そこで、この正三角形の1辺がX方向に対して直角をなすような位置関係で回折部10にフォトニック結晶を形成する。
このように三方格子のフォトニック結晶を形成した場合は、X方向に対して±30度をなす軸上と90度をなす軸上にそれぞれ一定の周期(間隔)で穴部11が配置されることから、図9に示すように、レーザ端面9Bに向けてX方向に進行する光(導波光)の一部が、フォトニック結晶による周期的な屈折率差を感じて、もともとの導波方向となるX方向とは異なる方向に60度回折する。さらに、こうして回折した光の一部は、フォトニック結晶の形成領域内で再びフォトニック結晶による周期的な屈折率差を感じて60度ずつ回折する。その結果、光の進行方向はレーザ端面9A側を向くように180度変換される。
このような光の回折はフォトニック結晶の形成領域内で連続的に生じる。そのため、フォトニック結晶領域に入射した光(導波光)は、フォトニック結晶による周期的な屈折率差を感じて60度の回折を不規則に何度も繰り返すことになる。したがって、三方格子の結晶構造からなるフォトニック結晶を採用した場合でも、その形成領域に入射した光(導波光)はX方向と直交する方向(ストライプ幅方向)に分散してフィードバックされるため、正方格子の結晶構造を採用した場合と同様の効果が得られる。
また、上記の例では、回折部10を構成するフォトニック結晶領域で多数の穴部11が一定の周期で規則的に並んだものとなっているが、例えば図10(A)に示すように、ストライプ幅方向(X方向と直交する方向)の任意の位置で、X方向に沿って1列分の穴部(黒丸部分)11Aを意図的に取り除くことにより、図10(B)に示すように、穴部が存在しない所定本数(図例では2本)の線状欠陥部14を設けた構成としてもよい。
かかる構成を採用した場合は、フォトニック結晶中の線状欠陥部14が光の導波路として機能することになる。そのため、フォトニック結晶領域に入射した光をX方向と異なる方向(90度方向、60度方向)に回折する際には、図11に示すように、線状欠陥部14の導波作用によって回折光の多くが線状欠陥部14に沿って進行するようになる。これにより、ストライプ幅方向の任意に位置に意図的に線状欠陥部14を形成して、その形成箇所により多くの光を集めることができる。
その結果、ブロードエリア型の半導体レーザのNFPを均一化することが可能となる。すなわち、ブロードエリア型の半導体レーザの場合は、その構造上、ストライプ幅方向の中央部分に電流が集まりやすくなるため、その部分の光強度が他の部分(ストライプ幅方向の端部)よりも大きくなる。これに対して、ストライプ幅方向の端部に線状欠陥部14を設けることにより、その部分の光強度が相対的に大きくなる。そのため、ストライプ幅方向で光の強度分布をより均一に近づけることが可能となる。
また、上記実施形態においては、レーザ端面9Bの近傍に回折部10を設けた構成としたが、本発明はこれに限らず、レーザ端面9Aの近傍に回折部10を設けた構成や、両方のレーザ端面9A,9Bの近傍に回折部10を設けた構成としてもよい。
本発明の実施形態に係る半導体レーザの構成例を示す図である。 フォトニック結晶からなる回折部の構造例を示す図である。 本発明の実施形態に係る半導体レーザの製造方法を説明する図である。 半導体レーザの他の構成例を示す断面図である。 本発明が適用された半導体レーザの他の構成例を示す斜視図である。 半導体レーザの製造方法の他の例を説明する図である。 フォトニック結晶による光の回折現象を説明する図である。 回折部の有無による光導波の違いを比較した図である。 異なる結晶構造を採用した場合の光の回折現象を説明する図である。 線状欠陥部の形成例を説明する図である。 線状欠陥部を設けた場合の光導波の状態を説明する図である。
符号の説明
1…基板、2…n型のクラッド層、3…n型のガイド層、4…活性層、5…p型のガイド層、6…p型のクラッド層、9A,9B…レーザ端面、10…回折部、11…穴部

Claims (5)

  1. 活性層と2つのクラッド層とを用いて光の導波路を形成するとともに、前記導波路の軸方向の両端に設けられたレーザ端面のうち、少なくとも一方のレーザ端面の近傍に、前記導波路内を導波される光を前記活性層と平行な面内で前記導波路の軸方向と異なる方向に回折する回折部を設けてなる
    ことを特徴とする半導体レーザ。
  2. 前記回折部は二次元のフォトニック結晶からなる
    ことを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ。
  3. 前記フォトニック結晶中に線状欠陥部を設けてなる
    ことを特徴とする請求項2記載の半導体レーザ。
  4. 前記導波路内を導波される光の波長を実効屈折率で割った値に基づいて、前記フォトニック結晶における屈折率分布の周期を設定してなる
    ことを特徴とする請求項2記載の半導体レーザ。
  5. 前記フォトニック結晶の結晶構造を正方格子又は三方格子としてなる
    ことを特徴とする請求項2記載の半導体レーザ。
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