JP2005129601A - フレキシブルプリント配線用基板 - Google Patents

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JP2005129601A
JP2005129601A JP2003361355A JP2003361355A JP2005129601A JP 2005129601 A JP2005129601 A JP 2005129601A JP 2003361355 A JP2003361355 A JP 2003361355A JP 2003361355 A JP2003361355 A JP 2003361355A JP 2005129601 A JP2005129601 A JP 2005129601A
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Hisao Nagai
久男 永井
Hiroshi Akema
博 明間
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Abstract

【課題】 各層間に高い密着性が得られると共に、優れた耐熱性、耐薬品性、耐屈曲性および電気的特性を有し、信頼性の高い配線回路を形成することのできるフレキシブルプリント配線用基板を提供すること。
【解決手段】 フレキシブルプリント配線用基板は、特定の環状オレフィン系重合体よりなる樹脂フィルム、あるいは特定の環状オレフィン系重合体の架橋体よりなる樹脂フィルムの少なくとも一方の表面に、ニッケル、クロム、コバルト、パラジウム、モリブデン、タングステン、チタン、ジルコニウム、またはこれらの合金、クロム系セラミックよりなる群から選ばれる蒸着膜層形成材料よりなる蒸着膜層と、めっき銅膜層とが積層されてなることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フレキシブルプリント配線用基板に関する。
従来、フレキシブルプリント配線用基板としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホンなどよりなる樹脂フィルムに、銅、アルミニウムなどの金属箔が接着剤によって貼り合わせられてなるものが用いられているが、これらのフレキシブルプリント配線用基板においては、用いられている接着剤に起因して、高温下および高温高湿下において十分な密着性や繰り返し屈曲性が得られず、また、不純物イオン汚染が発生することによって電気特性、耐薬品性が低下してしまうなどの問題が生じている。 具体的には、広く用いられているNBR系、アクリルゴム系、ポリアミド系等の可撓性を有する接着剤は耐熱性が小さいこと、また、シリコーン系の接着剤は優れた耐熱性を有するが、基板を屈曲することによって銅よりなる金属箔が剥離して亀裂が生じてしまうという欠点がある。
而して、樹脂フィルム上に、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、銅めっき法などの方法によって金属膜層を形成して積層させた積層体よりなるフレキシブルプリント配線用基板が提案されている。
具体的に、このようなフレキシブルプリント配線用基板の或る種のものとしては、例えば樹脂フィルムよりなる絶縁基板上に、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、パラジウムよりなる群から選ばれる固有抵抗が50μΩ・cm以下の金属の1種を物理的な蒸着法によって蒸着させ、更に得られた蒸着膜上に銅を蒸着させてなるものが提案されており(例えば、特許文献1参照。)、このフレキシブルプリント配線用基板は優れた耐酸化性、耐薬品性およびエッチング性を有している。
しかしながら、このようなフレキシブルプリント配線用基板においては、その製造工程において、固有抵抗が50μΩ・cm以下の金属と、銅とを高い付着エネルギーを要する物理的蒸着法で積層する必要があるため、特にイオンプレーティング法を用いた場合には、絶縁性基板に大きな損傷が生じ、また、蒸着膜層の厚さが1μm以上であるものは絶縁基板における脱ガス、脱水に起因して十分な密着性が得られない、という問題がある。
特公昭57−33718号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、各層間に高い密着性が得られると共に、優れた耐熱性、耐薬品性、耐屈曲性および電気的特性を有し、信頼性の高い配線回路を形成することのできるフレキシブルプリント配線用基板を提供することにある。
本発明のフレキシブルプリント配線用基板は、下記一般式(1)で表される構造単位を有する環状オレフィン系重合体よりなる樹脂フィルムの少なくとも一方の表面に、ニッケル、クロム、コバルト、パラジウム、モリブデン、タングステン、チタン、ジルコニウム、またはこれらの合金、クロム系セラミックよりなる群から選ばれる蒸着膜層形成材料よりなる蒸着膜層と、めっき銅膜層とが積層されてなることを特徴とする。
Figure 2005129601
〔式中、A1 、A2 、A3 およびA4 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ハロゲン化炭化水素基、および、加水分解性シリル基、あるいは−(CH2 p −Xで表される極性基を示す。また、A1 とA4 とは、一体化してアルキレン基、シクロアルキレン基あるいはアリーレン基を形成していてもよく、更に、A1 とA2 またはA1 とA4 は、互いに結合して酸無水物、ラクトンあるいはイミドに由来の基を形成していてもよい。mは0あるいは1である。 ここで、−(CH2 P −Xにおいて、Xは−COOR1 、−OCOR2 または−OR3 を示し、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、あるいはオキセタニル基を含む置換基を表し、pは0〜5の整数である。〕
本発明のフレキシブルプリント配線用基板においては、前記環状オレフィン系重合体は、上記一般式(1)において、A1 、A2 、A3 およびA4 の少なくとも1つが加水分解性シリル基である構造単位を含み、
加水分解性シリル基が下記一般式(2)で表される基であることを特徴とする。
Figure 2005129601
〔式中、Yは、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアリロキシ基、ハロゲン原子、あるいは互いに結合して5〜7員環を形成する炭素数2〜20の脂肪族ジオール、脂環族ジオールまたは芳香族ジオールから誘導される基を示し、R4 は、水素原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基を示す。rは0〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。〕
このようなフレキシブルプリント配線用基板においては、前記環状オレフィン系重合体は、上記一般式(2)で表される加水分解性シリル基を有する構造単位の含有割合が、当該環状オレフィン系重合体を構成する全構造単位に対して0.2〜30モル%であるものであることが好ましい。
本発明のフレキシブルプリント配線用基板においては、樹脂フィルムがスルーホール穴あけ加工が施されてなるものであってもよい。
本発明のフレキシブルプリント配線用基板は、下記一般式(1)で表される構造単位を有する環状オレフィン系重合体の架橋体よりなる樹脂フィルムの少なくとも一方の表面に、ニッケル、クロム、コバルト、パラジウム、モリブデン、タングステン、チタン、ジルコニウム、またはこれらの合金、クロム系セラミックよりなる群から選ばれる蒸着膜層形成材料よりなる蒸着膜層と、めっき銅膜層とが積層されてなることを特徴とする。
Figure 2005129601
〔式中、A1 、A2 、A3 およびA4 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ハロゲン化炭化水素基、および、加水分解性シリル基、あるいは−(CH2 p −Xで表される極性基を示す。また、A1 とA4 とは、一体化してアルキレン基、シクロアルキレン基あるいはアリーレン基を形成していてもよく、更に、A1 とA2 またはA1 とA4 は、互いに結合して酸無水物、ラクトンあるいはイミドに由来の基を形成していてもよい。mは0あるいは1である。 ここで、−(CH2 P −Xにおいて、Xは−COOR1 、−OCOR2 または−OR3 を示し、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、あるいはオキセタニル基を含む置換基を表し、pは0〜5の整数である。〕
本発明のフレキシブルプリント配線用基板においては、前記環状オレフィン系重合体は、上記一般式(1)において、A1 、A2 、A3 およびA4 の少なくとも1つが加水分解性シリル基である構造単位を含み、
加水分解性シリル基が下記一般式(2)で表される基であることが好ましい。
Figure 2005129601
〔式中、Yは、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアリロキシ基、ハロゲン原子、あるいは互いに結合して5〜7員環を形成する炭素数2〜20の脂肪族ジオール、脂環族ジオールまたは芳香族ジオールから誘導される基を示し、R4 は、水素原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基を示す。rは0〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。〕
本発明のフレキシブルプリント配線用基板においては、前記環状オレフィン系重合体は、上記一般式(2)で表される加水分解性シリル基を有する構造単位の含有割合が、当該環状オレフィン系重合体を構成する全構造単位に対して0.2〜30モル%であるものであることが好ましい。
本発明のフレキシブルプリント配線用基板においては、樹脂フィルムがスルーホール穴あけ加工が施されてなるものであってもよい。
本発明のフレキシブルプリント配線用基板は、特定の環状オレフィン系重合体あるいは当該特定の環状オレフィン系重合体の架橋体よりなる樹脂フィルムよりなる樹脂フィルム層を有し、当該樹脂フィルムが優れた特性を有するものであり、また特定の蒸着膜層形成材料よりなる蒸着膜層を有するものであるため、樹脂フィルム層と蒸着膜層との層間、および蒸着膜層とめっき銅層との層間の各々に高い密着性が得られると共に、優れた耐熱性、耐薬品性、耐屈曲性および電気的特性を有し、また信頼性の高い配線回路を形成することができる。
従って、本発明のフレキシブルプリント配線用基板は、あらゆるエレクトロニクス分野に活用することができ、また、コネクター、フラット電極、TAB(Tape Automated Bonding)技術を用いた製品、COB(Chip On Boad)などに適用することも可能である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のフレキシブルプリント配線用基板(以下、「特定の配線用基板」ともいう。)は、透明性を有する樹脂フィルムの少なくとも一方の表面に、蒸着膜層およびめっき銅膜層がこの順に積層されてなるものであり、具体的には、下記の(イ)または(ロ)の構成を有するフレキシブルプリント配線用基板である。
(イ)上記一般式(1)で表される構造単位(以下、「特定の構造単位」ともいう。)を有する環状オレフィン系重合体(以下、「特定の環状オレフィン系重合体」ともいう。)よりなる樹脂フィルム(以下、「重合体フィルム」ともいう。)の片面または両面に、後述する特定蒸着膜層と、めっき銅膜層とが積層されてなるフレキシブルプリント配線用基板(以下、「第1の配線用基板」ともいう。)
(ロ)特定の環状オレフィン系重合体の架橋体(以下、「特定の架橋体」ともいう。)よりなる樹脂フィルム(以下、「架橋フィルム」ともいう。)の片面または両面に、特定蒸着膜層と、めっき銅膜層とが積層されてなるフレキシブルプリント配線用基板(以下、「第2の配線用基板」ともいう。)
<第1の配線用基板>
第1の配線用基板は、図1に示すように、特定環状オレフィン系重合体からなる優れた透明性を有する重合体フィルムよりなる樹脂フィルム層(以下、「重合体樹脂フィルム層」ともいう。)11上に、特定蒸着膜層13およびめっき銅膜層15(以下、これらをまとめて「導体層」ともいう。)がこの順に一体的に積層されてなる構成を有するものである。
図の例においては、重合体樹脂フィルム層11の片面(図1において上面)のみに特定蒸着膜層13およびめっき銅膜層15が積層されている。
第1の配線用基板における重合体樹脂フィルム層11は、その厚さが5〜150μmであることが好ましく、特に10〜100μmであることが好ましい。
第1の配線用基板における重合体樹脂フィルム層11を形成する重合体フィルムを構成する特定の環状オレフィン系重合体は、少なくとも1種以上の特定の構造単位を有するものである。
また、この特定の環状オレフィン系重合体は、同一の構成を有する少なくとも2以上の特定の構造単位が連続して配列されてなる部分を有するものであることが好ましい。
特定の構造単位を表す一般式(1)において、A1 、A2 、A3 およびA4 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ハロゲン化炭化水素基、および、加水分解性シリル基、あるいは−(CH2 p −Xで表される極性基(以下、「特定極性基」ともいう。)を示す。
ここで、特定極性基を表す−(CH2 P −Xにおいて、Xは−COOR1 、−OCOR2 または−OR3 を示し、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、あるいはオキセタニル基を含む置換基を表し、pは0〜5の整数である。
また、A1 とA4 とは、一体化してアルキレン基、シクロアルキレン基あるいはアリーレン基を形成していてもよい。更に、A1 とA2 またはA1 とA4 は、互いに結合して酸無水物、ラクトンあるいはイミドに由来の基を形成していてもよい。
mは、0あるいは1である。
特定の環状オレフィン系重合体は、2以上の特定の構造単位を有するものである場合には、当該特定の環状オレフィン系重合体を構成するすべての特定の単量体が同一の構成を有するものに限られず、複数種類の単量体を用いることにより、各特定の構造単位におけるA1 、A2 、A3 、A4 およびmの各々がその一部または全部が異なったものであってもよい。
特定の環状オレフィン系重合体は、一般式(1)におけるA1 、A2 、A3 およびA4 の少なくとも1つが加水分解性シリル基である特定の構造単位を含むものであることが好ましい。
特定の環状オレフィン系重合体は、加水分解性シリル基を含有する特定の構造単位を有することにより、トルエンやシクロヘキサンなどの炭化水素溶媒に対する溶解度が高くなることから、第1の配線用基板における重合体樹脂フィルム層11を形成するために用いられる特定の環状オレフィン系重合体を含有する重合体溶液(以下、「重合体樹脂フィルム層形成用重合体溶液」ともいう。)の調製が容易となる。
また、加水分解性シリル基は、上記一般式(2)で表される基(以下、「特定加水分解性シリル基」ともいう。)であることが好ましい。
一般式(2)において、Yは炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアリロキシ基、ハロゲン原子、あるいは互いに結合して5〜7員環を形成する炭素数2〜20の脂肪族ジオール、脂環族ジオールまたは芳香族ジオールから誘導される基を示し、R4 は、水素原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基を示す。
rは0〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。
特定の環状オレフィン系重合体において、特定加水分解性シリル基を含有する特定の構造単位(以下、「特定シリル基含有構造単位」ともいう。)の含有割合は、当該特定の環状オレフィン系重合体を構成する全構造単位に対して0.2〜30モル%であることが好ましく、特に好ましくは0.5〜20モル%である。
特定シリル基含有構造単位の含有割合が0.2モル%未満である場合には、特定の環状オレフィン系重合体の有機溶媒に対する溶解度が低くなり、重合体樹脂フィルム層形成用重合体溶液を用いる製造方法によって重合体樹脂フィルム層11を形成することが困難となるおそれがあると共に、得られる第1の配線用基板における重合体樹脂フィルム層11の耐溶媒性、耐薬品性および機械的強度が小さくなり、更に当該重合体樹脂フィルム層11の特定蒸着膜層13との密着性が小さくなるおそれがある。
一方、特定シリル基含有構造単位の含有割合が30モル%を超える場合には、得られる第1の配線用基板における重合体樹脂フィルム層11の吸水性が大きくなるおそれがある。
特定の環状オレフィン系重合体を構成する特定の構造単位は、下記一般式(3)で表される単量体(以下、「特定単量体」ともいう。)により形成されるものである。
Figure 2005129601
〔式中、A1 、A2 、A3 およびA4 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アルケニル基、シクロアルキル基、ハロゲン化炭化水素基、および、加水分解性シリル基、あるいは−(CH2 p −Xで表される極性基を示す。また、A1 とA4 とは、一体化してアルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基あるいはアリーレン基を形成していてもよく、また、A1 とA2 とは、一体化してアルキリデン基を形成していてもよく、更に、A1 とA2 またはA1 とA4 は、互いに結合して酸無水物、ラクトンあるいはイミドに由来の基を形成していてもよい。mは0あるいは1である。
ここで、−(CH2 P −Xにおいて、Xは−COOR1 、−OCOR2 または−OR3 を示し、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、あるいはオキセタニル基を含む置換基を表し、pは0〜5の整数である。〕
このような特定単量体の具体例としては、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチル−5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−クロロビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−シクロオクチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−インダニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
テトラシクロ[6.2.1.13,6 .02,7 ]ドデカ−4−エン、
9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6 .02,7 ]ドデカ−4−エン、
9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6 .02,7 ]ドデカ−4−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−8−エン、
3−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−8−エン、
4−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−8−エン、
トリシクロ[6.2.1.02,7 ]ウンデカ−9−エン、
トリシクロ[8.2.1.02,9 ]トリデカ−11−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−3,8−ジエン、
トリシクロ[6.2.1.02,7 ]ウンデカ−3,9−ジエン、
トリシクロ[8.2.1.02,9 ]トリデカ−5,11−ジエン、
5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチルジメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチルジエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチルジクロロシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ジメチルメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ジメチルエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ジメチルクロロシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
4−トリメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6 .02,7 ]ドデカ−9−エン、
4−メチルジメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6 .02,7 ]ドデカ−9−エン、
4−トリエトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6 .02,7 ]ドデカ−9−エン、
5−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−エチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’,3’−ジメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’,3’,4’−トリメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’,3’,3’,4’,4’−ペンタメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−エチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’,3’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’,4’,4’−トリメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’,4’,4’−トリメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’,4’,4’−トリメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]エチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−4’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[3’−メチル−2’,4’−ジオキサ−3’−シラスピロ[5.5]ウンデシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−3’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,7’−ジオキサ−1’−シラシクロヘプチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
4−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]テトラシクロ[6.2.1.13,6 .02,7 ]ドデカ−9−エン、
4−[1’,4’,4’−トリメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]テトラシクロ[6.2.1.13,6 .02,7 ]ドデカ−9−エン、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸メチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸エチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸t−ブチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸メチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸エチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸プロピル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸t−ブチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸トリフロロメチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸トリフロロエチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸ジメチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸ジエチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−酢酸エチル、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エン、
アクリル酸ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル、
メタクリル酸ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イル、
アクリル酸ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イルメチル、
メタクリル酸ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−イルメチル、
2−[(3−オキセタニル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、
2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、
2−[(3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、
2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、
4−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]テトラシクロ[6.2.1.13,6 .02,7 ]ドデカ−9−エン、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチル、
2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチル
などの環状オレフィンが挙げられる。
これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
特定の構造単位を形成するための特定単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−8−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]ドデカ−3−エンから選ばれる1種以上の環状オレフィンを用いることが好ましい。
特定単量体として、このような環状オレフィンを用いることにより、ガラス転移温度が十分に高く、線膨張係数の低い環状オレフィン系重合体を得ることができる。
また、特定シリル基含有構造単位を形成するための特定単量体としては、5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチルジメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチルジエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、4−トリメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6 .02,7 ]ドデカ−9−エン、5−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−[1’,4’,4’−トリメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを用いることが好ましく、特に、5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチルジメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、4−トリメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6 .02,7 ]ドデカ−9−エン、5−[1’,4’,4’−トリメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンから選ばれる1種以上の環状オレフィンを用いることが好ましい。
特定の環状オレフィン系重合体においては、当該特定の環状オレフィン系重合体を構成する特定の構造単位の種類や全構造単位中における特定の構造単位の含有割合を適宜選択することにより、ガラス転移温度、線膨張係数等の物理的特性、有機溶媒に対する溶解度などを制御することができる。
具体的には、例えば5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンなどの鎖状アルキル基を有する環状オレフィンに由来の特定の構造単位を有する特定の環状オレフィン系重合体は、有機溶媒に対する溶解度が高くなると共に、得られる特定の配線用基板における樹脂フィルム層が柔軟性を有するものとなり、しかも、そのガラス転移温度の制御が容易となる。
また、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−8−エン、トリシクロ[6.2.1.02,7 ]ウンデカ−9−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−3,8−ジエンなどの環状オレフィンに由来の特定の構造単位を複数種類を有する特定の環状オレフィン系重合体は、得られる特定の配線用基板における樹脂フィルム層が優れた靱性、可撓性を有するものとなる。
更に、特定極性基を含有する特定の構造単位を有する特定の環状オレフィン系重合体は、得られる特定の配線用基板において、樹脂フィルム層が特定蒸着膜層との密着性に優れたものとなる。
特定の環状オレフィン系重合体には、特定の構造単位以外の構造単位(以下、「他の構造単位」ともいう。)が含有されていてもよい。
他の構造単位の具体例としては、例えばエチレン等のα−オレフィンに由来する構造単位、シクロヘキセン等の単環オレフィンに由来する構造単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位などが挙げられる。
このような他の構造単位の含有割合は、全構造単位中20モル%以下であることが好ましい。
特定の環状オレフィン系重合体は、ガラス転移温度が、通常、150〜450℃の範囲にあるものであり、好ましくは300〜400℃である。
ガラス転移温度が150℃未満である場合には、得られる特定の配線用基板における樹脂フィルム層が熱変形するなどの問題が生じるおそれがある。一方、ガラス転移温度が450℃を超える場合には、特定の環状オレフィン系重合体が剛直になるため、得られる特定の配線用基板における樹脂フィルム層が割れやすく、靱性の小さいものとなる。
ここに、特定の環状オレフィン系重合体のガラス転移温度は、動的粘弾性測定によって得られるTanδ(貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”との比E”/E’)の温度分布のピーク温度の値として求められる。
特定の環状オレフィン系重合体は、o−ジクロロベンゼンを溶媒とし、温度条件120℃でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が30,000〜500,000であると共にポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が50,000〜1,000,000であることが好ましく、更に好ましくは数平均分子量(Mn)が50,000〜200,000であると共に重量平均分子量(Mw)が100,000〜500,000であることが好ましい。
数平均分子量が30,000未満であって重量平均分子量が50,000未満である場合には、特定の環状オレフィン系重合体が破断強度および破断伸度の小さいものとなることに起因して得られる特定の配線用基板における樹脂フィルム層に割れが生じやすくなるおそれがある。一方、数平均分子量が500,000を超えて重量平均分子量が1,000,000を超える場合には、後述する樹脂フィルム層形成用重合体溶液を用いる製造方法によって樹脂フィルム層を形成することが困難となるおそれがある。
特定の環状オレフィン系重合体は、線膨張係数が70ppm/℃以下の範囲にあるものであり、好ましくは60ppm/℃以下である。
線膨張係数が70ppm/℃を超える場合には、得られる特定の配線用基板における樹脂フィルム層に、温度変化の大きい使用環境下において、寸法変化に伴なう変形などが発生するおそれがある。
特定の環状オレフィン系重合体には、公知の酸化防止剤を添加することができ、これにより、当該特定の環状オレフィン系重合体の酸化安定性を向上させることもできる。
酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系化合物またはヒドロキノン系化合物、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系化合物などを用いることができ、これらのうち、分解温度(5%重量減少)が250℃以上の化合物を好ましく用いることができる。 このような酸化防止剤は、特定の環状オレフィン系重合体100質量部に対して0.05〜5.0質量部となる割合で添加されることが好ましい。
以上のような特定の環状オレフィン系重合体は、単量体を付加重合し、必要に応じて水素化することによって製造することができる。
付加重合処理は、窒素またはアルゴン雰囲気下において反応容器に、単量体と、当該単量体に対する質量比が1〜20となる量の溶媒と、必要に応じて分子量調節剤とを仕込み、この系を−20〜100℃の温度範囲に設定した後、更に重合触媒を添加することにより、重合温度−20〜100℃の範囲において単量体を重合反応させることによって行われる。
なお、重合反応に供する重合触媒量や分子量調節剤量、単量体の重合体への転化率および重合温度を制御することにより、得られる特定の環状オレフィン系重合体の分子量を調節することができる。
溶媒としては、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素溶媒、クロロメタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロシクロペンタン、クロロシクロヘキサン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒、酢酸エチル、ニトロメタン、N−メチルピロリドン、ピリジン、ジメチルホルムアミド、アセトアミド等の極性溶媒などを用いることができる。
これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
分子量調節剤としては、エチレン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン、スチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、1−ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物、シクロオクタジエン、シクロドデカトリエン等の環状非共役ポリエン、ジフェニルジヒドロシラン、水素などが挙げられ、好ましくはα−オレフィンあるいは芳香族ビニル化合物が用いられる。
重合触媒としては、例えば下記(1)〜(3)の触媒を用いることができる。
(1)ニッケル化合物と、超強酸、ルイス酸およびイオン性ホウ素化合物から選ばれた化合物と、有機アルミニウム化合物とを含むニッケル系多成分触媒
(2)少なくとも1つのニッケル−炭素間を連結するシグマ結合を有し、超強酸アニオンを対アニオンとするニッケル錯体よりなるニッケル系単成分触媒
(3)パラジウム化合物と、ホスフィン化合物および/またはホスホニウム化合物と、イオン性ホウ素化合物と、必要に応じて有機アルミニウム化合物あるいは有機リチウム化合物とを含むパラジウム系多成分触媒
重合反応の反応停止剤としては、水、アルコール、有機酸、炭酸ガスなどを用いることができる。
以上のような付加重合処理によって得られる反応溶液中に含有されている状態の重合体は、公知の方法によって触媒残査を除去した後、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトンなどの貧溶媒中に注ぐことにより、当該溶液に残存する未反応の単量体を除去すると共に、当該重合体を凝固し、得られた凝固物を減圧乾燥することによって回収することができる。また、付加重合処理によって得られた反応溶液は、得られる特定の配線用基板の性能を損なわないならば、触媒残査の除去や凝固の操作を行うことなく、樹脂フィルム層を形成するための工程に用いることができる。
触媒残査を除去する方法としては、例えば反応溶液にマレイン酸、フマル酸、シュウ酸、リンゴ酸などの有機酸の水/アルコール混合物を添加し、この混合溶液を重合体溶液相と触媒残査などを含む水相と分離させて当該水相を除去する手法、ケイソウ土、アルミナ、シリカなどの吸着剤による吸着除去法、フィルターによる濾過分離法などを用いることができる。
特定の環状オレフィン系重合体を得るための特定単量体として、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−3,8−ジエンや5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンなどの重合に関与しない不飽和結合を有する特定単量体(以下、「特定不飽和結合含有単量体」ともいう。)を用いた場合には、当該特定不飽和結合含有単量体を付加重合処理に供することによって得られた重合体は、更に水素化処理することが必要であり、これにより、特定不飽和結合含有単量体に由来の特定の構造単位が形成される。
また、付加重合処理によって得られた重合体が不飽和結合を含有するものである場合には、この重合体が高温条件下において酸化しやすく、また熱による劣化を受けやすいものであるため、当該重合体における不飽和結合の90モル%以上、好ましくは95モル%以上、更に好ましくは99モル%以上を水素化するよう水素化処理を行うことが好ましい。
特に、特定のオレフィン系重合体として、アクリロイル基もしくはメタアクリロイル基を有する特定の構造単位を有するものを得ようとする場合には、付加重合処理には特定不飽和結合含有単量体を供さないことが好ましい。
水素化触媒としては、ニッケル、ロジウム、パラジウム、白金等の化合物が、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、活性炭等の固体上に担持された不均一系触媒、チタン、ニッケル、パラジウム、コバルト等の化合物と有機金属化合物とを組み合わせてなる均一系触媒、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム等の錯体よりなる触媒などを好適に用いることができる。
溶媒としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルペンタン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環族炭化水素などを用いることができ、また、必要に応じて、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ブチルエーテル等のエーテル類などを用いることもできる。
水素化処理は、0.5〜15MPaの水素圧、20〜200℃の温度で行われることが好ましい。
以上のような水素化処理によって得られる反応溶液中に含有されている状態の水素化された重合体は、付加重合処理によって直接的に得られた重合体と同様に、公知の方法によって触媒残査を除去した後、この触媒残査が除去された溶液を貧溶媒中に注ぐことにより当該水素化された重合体を凝固し、得られた凝固物を減圧乾燥することによって回収される。
第1の配線用基板を構成する重合体樹脂フィルム層11を形成するための樹脂材料には、特定の環状オレフィン系重合体の他、例えば公知の環状オレフィン系開環(共)重合体の水素化体、環状オレフィンとエチレンとの付加重合体などが含有されていてもよく、これにより、得られる重合体樹脂フィルム層11において特定の環状オレフィン系重合体に由来の靱性を損なうことなく、当該特定の環状オレフィン系重合体のガラス転移温度を調節することができる。
第1の配線用基板における特定蒸着膜層13は、ニッケル、クロム、コバルト、パラジウム、モリブデン、タングステン、チタン、ジルコニウム、またはこれらの合金、クロム系セラミックよりなる群から選ばれる蒸着膜層形成材料(以下、「特定蒸着膜層用材料」ともいう。)よりなるものである。
特定蒸着膜層13を構成する特定蒸着膜層用材料は、1種の材質よりなるものであってもよく、または2種以上の材質を組み合わせてなるものであってもよい。
特定蒸着膜層13が特定蒸着膜層用材料よりなるものであることから、当該特定蒸着膜層13が、重合体樹脂フィルム層11およびめっき銅膜層15との優れた密着性、および高い耐薬品性や耐熱性を有すると共に、拡散が生じることがないという特性を有するものとなる。
特定蒸着膜層13としては、クロム、クロム合金およびクロム系セラミック(以下、これらをまとめて「特定クロム系材料」ともいう。)の少なくとも1種以上よりなるものであることが好ましい。
特定蒸着膜層13が特定クロム系材料よりなることにより、当該特定蒸着膜層13に、重合体樹脂フィルム層11から発生するガス分および水分に対する一層高いバリヤー性が得られるため、重合体樹脂フィルム層11側からガスおよび水が発生した場合であっても、これに起因して生じる弊害を防止することができる。
クロム合金としては、マンガン、ニッケル、コバルト、けい素、チタン、バナジウム、カーボン、モリブデン、タングステンを含有する合金が好ましく用いられ、また、クロム系セラミックとしては、三酸化二クロム(Cr2 3 )が好ましく用いられる。
特定蒸着膜層13は、その厚さが10〜500Åであることが好ましく、特に10〜40Åであることが好ましい。
特定蒸着膜層13の厚さが10Å未満である場合には、特定蒸着膜層13の重合体樹脂フィルム層11およびめっき銅膜層15との密着性が小さくなると共に、耐薬品性および耐熱性が小さくなるおそれがある。一方、特定蒸着膜層13が500Åを超える場合には、その製造工程において得られる、重合体フィルム上に特定蒸着膜が形成されてなる積層体自体にカール(反り)が発生するおそれがある。
特に、特定蒸着膜層13が上記の特定の厚さ(具体的には10〜500Å)を有すると共に、特定クロム系材料よりなるものである場合には、得られる第1の配線用基板上に配線回路を形成するためのエッチング処理として、銅エッチング処理のみを施すことによって形成される配線間に十分な電気絶縁性を得ることができることから、銅エッチング処理後にクロムエッチング処理を施す必要がなくなり、配線回路を形成するために要する工程数を少なくすることができる。
第1の配線用基板におけるめっき銅膜層15は、その厚さが1〜20μmであることが好ましく、特に2〜15μmであることが好ましい。
銅めっき層15の厚さが1μm未満である場合には、得られる第1の配線用基板に配線回路を形成することによって当該配線用基板自体が有する各種の性能が低下するおそれがあり、一方、めっき銅膜層15の厚さが20μmを超える場合には、めっき銅膜層15に厚さのばらつきが生じやすくなるおそれがあると共に、コストが大きくなる。
めっき銅膜層15は、表面における凸部分の高さが0.5μm以下であって凹部分の深さが0.3μm以下であり、特に凸部分の高さが0.4μm以下であって凹部分の深さが0.2μm以下である表面粗さを有するものであることが好ましい。
めっき銅膜層15の表面における凸部分の高さが0.5μmを超える場合、または凹部分の深さが0.3μmを超える場合には、得られる第1の配線用基板に配線回路を形成するためのパターンを有するレジスト層を高い精度で形成することができず、当該第1の配線用基板に対して信頼性の高い配線回路を形成することが困難なものとなるとなるおそれがある。
第1の配線用基板は、重合体フィルムを用意し、この重合体フィルムの導体層を形成すべき表面に対して蒸着処理によって当該重合体フィルムの表面に蒸着膜を形成し、更に得られた重合体フィルムと蒸着膜とが積層されてなる積層体における蒸着膜の表面に対して銅めっき処理によって銅めっき膜を形成し、重合体樹脂フィルム層11上に、特定蒸着膜層13と、めっき銅膜層15とをこの順に一体的に積層することによって製造することができる。
重合体フィルムとしては、導体層を形成すべき表面に対して表面処理が施されたものを用いることが好ましい。
表面処理が施された重合体フィルムを用いることにより、優れた洗浄性が得られると共に、得られる第1の配線用基板における重合体樹脂フィルム層11が一層優れた密着性を有するものとなる。
重合体フィルムを表面処理するための手法としては、ブラスト加工、ヘアライン加工、エンボス加工等の機械的処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等の物理化学的処理、溶剤処理、酸処理、アルカリ処理、薬液処理等の化学的処理を用いることができ、真空下において蒸着処理と連続化が可能なグロー放電プラズマ処理が好ましく、また、このグロー放電プラズマ処理と、例えばコロナ放電処理などの他の処理とを併用することが更に好ましい。
表面処理を施した重合体フィルムは、更に加熱処理や真空加熱処理を施すことにより、当該重合体フィルム内の水分やガス分を除去することが好ましい。
特に、重合体樹脂フィルム層にスルーホールが形成されてなる構成の第1の配線用基板においては、重合体フィルムに常法によってスルーホール穴開け加工を行った後、表面処理を行い、更に加熱処理や真空加熱処理を施すことにより、スルーホール部位に一層高い密着性を得ることができる。
また、重合体フィルムは、例えば特定の環状オレフィン系重合体を溶媒中に溶解させた重合体樹脂フィルム層形成用重合体溶液を調製し、この重合体樹脂フィルム層形成用重合体溶液を、例えばガラス基板などに塗布し、得られた塗膜を乾燥させること、溶液キャスト法や溶融押出法等の手法などによって得ることができる。
重合体溶液を調製するための溶媒としては、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素溶媒、クロロメタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロシクロペンタン、クロロシクロヘキサン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒などを用いることができる。これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合体溶液を塗布する方法としては、例えばTダイ、ロールコーター、ナイフコーター、バーコーター、スピンコーター等の塗布装置を用いる手法、あるいはスクリーン印刷等の印刷法を適用する手法を用いることができる。
塗膜の乾燥処理は、用いる溶媒の種類によりその条件が適宜選択されるが、常圧下で行う場合には、通常、乾燥温度は通常50〜280℃、乾燥時間は通常10分〜24時間である。なお、係る乾燥処理は、減圧下で実施してもよく、また、温度や圧力を変えて2段乾燥等多段乾燥を適用してもよい。例えば、常圧下において、溶媒の沸点以下で数時間予備乾燥した後、減圧下で乾燥温度80〜150℃、乾燥時間1〜12時間で乾燥処理することが好ましく、これにより、残留溶媒を大幅に低減できる。
特定蒸着膜層13を形成するための手法としては、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを好適に用いることができ、これらのうち、高い加工安定性が得られ、また均一性の高い蒸着膜が得られると共に、カール発生の抑制され、しかもプロセスの簡素化を図ることができることから、スパッタリング法が好ましく用いられる。
めっき銅層15を形成するためのめっき法としては、電気めっき法、無電解めっき法などを好適に用いることができ、電気めっき法においては、レジストインクの関係から硫酸浴を用いることが好ましい。
<第2の配線用基板>
第2の配線用基板は、重合体フィルムに代えて、優れた透明性を有する架橋体フィルム上に導体層が積層されてなること以外は第1の配線用基板と同様の構成を有するものであり、具体的には、特定の環状オレフィン系重合体の架橋体からなる架橋フィルムよりなる樹脂フィルム層(以下、「架橋体樹脂フィルム層」ともいう。)上に、特定蒸着膜およびめっき銅膜層がこの順に一体的に積層されてなる構成を有するものである。
第2の配線用基板における架橋体樹脂フィルム層は、その厚さが5〜150μmであることが好ましく、特に10〜100μmであることが好ましい。
第2の配線用基板における架橋体樹脂フィルム層を形成する架橋体フィルム構成する特定の架橋体は、特定の環状オレフィン系重合体を含有する架橋性組成物を得、この架橋性組成物を架橋することにより形成されるものである。
この特定の架橋体は、当該特定の架橋体を形成するための架橋性組成物を構成する特定の環状オレフィン系重合体の有する優れた特性を有し、しかも、架橋構造が形成されてなるものであることから、その線膨張係数が一層低いものとなり、また破断強度、破断壊伸度が大きくなることから、得られる第2の配線用基板における架橋体樹脂フィルム層には、一層優れた耐熱性、機械的強度、耐溶媒性、耐薬品性が得られることとなる。
架橋体を得るための架橋性組成物としては、温度10〜280℃の範囲の比較的温和な温度条件によって短時間で特定の架橋体を得ることができることから、ラジカル反応、加水分解/縮合反応、あるいはカチオン反応によって架橋体を形成することのできる組成物が好適に用いられる。
ラジカル反応によって架橋体を得るための架橋性組成物(以下、「ラジカル架橋性組成物」ともいう。)としては、下記(1)〜(2)の組成物が挙げられる。
(1)特定の環状オレフィン系重合体に、過酸化物あるいはアゾ化合物を配合してなる組成物。
このような組成物は、熱や活性光線などの作用によって発生させたラジカルによって架橋される。
(2)特定の環状オレフィン系重合体に、過酸化物および還元性の金属化合物を配合してなる組成物。
このような組成物は、レドックス反応により発生させたラジカルによって架橋される。
以上のようなラジカル架橋性組成物は、特定の環状オレフィン系重合体として、メタアクリロイル基、あるいはアクリロイル基を側鎖置換基に有する特定の構造単位を有する環状オレフィン系重合体を用いた場合には、一層容易に架橋体を得ることができる。
加水分解/縮合反応によって架橋体を得るための架橋性組成物(以下、「加水分解架橋性組成物」ともいう。)、およびカチオン反応によって架橋体を得るための架橋性組成物(以下、「カチオン架橋性組成物」ともいう。)としては、各々、特定の環状オレフィン系重合体として、特定シリル基含有構造単位を有する環状オレフィン系重合体、あるいはオキセタニル基を有する特定単位構造を有する環状オレフィン系重合体(以下、これらを「特定基含有環状オレフィン系重合体」ともいう。)を用いてなる、下記の(1)〜(4)の組成物が挙げられる。
(1)特定基含有環状オレフィン系重合体に、スズ、アルミニウム、亜鉛、チタニウム、アンチモン等の金属の酸化物、当該金属のアルコキシド、当該金属のフェノキシド、当該金属のβ−ジケトネート、当該金属のアルキル化物、当該金属のハロゲン化物、当該金属の有機酸塩などの金属化合物を配合してなる組成物。
(2)特定基含有環状オレフィン系重合体に、BF4 、PF6 、AsF6 、SbF6 、B(C6 5 4 などから選ばれた対アニオンを有する芳香族スルホニウム塩、当該対アニオンを有する芳香族アンモニウム塩、当該対アニオンを有する芳香族ピリジウム塩、当該対アニオンを有する芳香族ホスホニウム塩、当該対アニオンを有する芳香族ヨードニウム塩、当該対アニオンを有するヒドラジウム塩、当該対アニオンを有するフェロセニウム塩などの加熱することにより酸として作用する化合物を配合してなる組成物。
(3)特定基含有環状オレフィン系重合体に、トリアルキル亜リン酸エステル、トリアリール亜リン酸エステル、ジアルキル亜リン酸エステル、モノアルキル亜リン酸エステル、次亜リン酸エステル、有機カルボン酸と第2級または第3級アルコールとのエステル、有機カルボン酸のヘミアセタールエステル、有機カルボン酸のトリアルキルシリルエステル、アルキルスルホン酸の単環または多環シクロアルキルエステル、アルキルアリールスルホン酸の単環または多環シクロアルキルエステルなどの水または水蒸気の存在下で加熱することにより酸として作用するエステル化合物を配合してなる組成物。
(4)特定基含有環状オレフィン系重合体に、可視域のg線およびh線、紫外域のi線や、紫外線、遠紫外線、X線、電子線などの光線を照射することにより、ブレンステッド酸あるいはルイス酸を生成するジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、アルセニウム塩、オキソニウム塩等のオニウム塩、ハロゲン含有オキサジアゾール化合物、ハロゲン含有トリアジン化合物、ハロゲン含有アセトフェノン化合物、ハロゲン含有ベンゾフェノン化合物等のハロゲン含有有機化合物、キノンジアジド化合物、α,α−ビス(スルホニル)ジアゾメタン化合物、α−カルボニル−α−スルホニル−ジアゾメタン化合物、スルホニル化合物、有機酸エステル化合物、有機酸アミド化合物、有機酸イミド化合物などの光酸発生剤を配合してなる組成物。
これらの加水分解架橋性組成物あるいはカチオン架橋性組成物のうち、(3)の組成物、具体的には、特定の環状オレフィン系重合体にエステル化合物が配合されてなる組成物は、ポットライフが長く、優れた貯蔵安定性を有すると共に、形成される架橋体よりなる架橋体樹脂フィルム層が寸法安定性、耐溶媒性および耐薬品性などの特性に優れたものとなることから好ましく用いられる。また、(4)の組成物、具体的には光酸発生剤が配合されてなる組成物は、比較的穏和な条件での架橋が可能であり、架橋体の生産性に優れたものであることから好ましく用いられる。
以上の(1)〜(4)の加水分解架橋性組成物において、特定シリル基含有構造単位を有する特定の環状オレフィン系重合体における当該特定シリル基含有構造単位の含有割合は、当該特定の環状オレフィン系重合体を構成する全構造単位に対して0.2〜30モル%であることが好ましく、特に好ましくは0.5〜20モル%である。
特定シリル基含有構造単位の含有割合が0.2モル%未満である場合には、加水分解架橋性組成物が十分に架橋せず、形成される架橋体が線膨張係数の大きなものとなり、また、得られる第2の配線用基板における架橋体樹脂フィルム層の耐溶媒性、耐薬品性および機械的強度が小さくなり、更に当該架橋体樹脂フィルム層が特定蒸着膜層との密着性が小さいものとなるおそれがある。また、第2の配線用基板における後述する架橋体樹脂フィルム層形成用重合体溶液を用いる手法によって架橋体樹脂フィルム層を形成することが困難となるおそれもある。
一方、特定シリル基含有構造単位の含有割合が30モル%を超える場合には、形成される架橋体が線膨張係数の大きなものとなり、得られる第2の配線用基板における架橋体樹脂フィルム層の吸水性が大きくなるおそれがある。
また、以上の(1)〜(4)のカチオン架橋性組成物において、オキセタニル基を有する特定構造単位を有する特定の環状オレフィン系重合体における当該オキセタニル基を有する特定構造単位の含有割合は、当該特定の環状オレフィン系重合体を構成する全構造単位に対して0.2〜30モル%であることが好ましく、特に好ましくは0.5〜20モル%である。
オキセタニル基を有する特定構造単位の含有割合が0.2モル%未満である場合には、カチオン架橋性組成物が十分に架橋せず、形成される架橋体が線膨張係数の大きなものとなり、また、得られる第2の配線用基板における架橋体樹脂フィルム層の耐溶媒性、耐薬品性および機械的強度が小さくなり、更に当該架橋体樹脂フィルム層が特定蒸着膜層との密着性が小さいものとなるおそれがある。また、架橋体樹脂フィルム層形成用重合体溶液を用いる手法によって架橋体樹脂フィルム層を形成することが困難となるおそれもある。 一方、オキセタニル基を有する特定構造単位の含有割合が30モル%を超える場合には、形成される架橋体が線膨張係数の大きなものとなり、得られる第2の配線用基板における架橋体樹脂フィルム層の吸水性が大きくなるおそれがある。
架橋体を得るための架橋性組成物(ラジカル架橋性組成物、加水分解架橋性組成物およびカチオン架橋性組成物)において、環状オレフィン系重合体に配合される組成物形成用配合物の含有割合は、特定の環状オレフィンン系重合体100質量部に対して0.0001〜5.0質量部であることが好ましい。
特定の架橋体を得るための架橋性組成物には、チタン、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれた金属のアルコキシド、あるいは当該金属のアリロキシド、および当該金属のアルコキシド化合物の縮合度が3〜30である縮合体、アルコキシル基を有するシラン化合物、アリロキシル基を有するシラン化合物、あるいはアルコキシル基を有するシラン化合物の縮合度が3〜30である縮合体(以下、これらを「添加化合物」ともいう。)を添加することができ、これにより、形成される架橋体よりなる樹脂フィルム層を寸法安定性や耐溶媒性および耐薬品性に優れたものとすることができる。
添加化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イルトリメトキシシラン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン−5−イルトリメトキシシラン、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、チタンテトラエトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、およびこれらの縮合度が3〜30である縮合体などが挙げられる。
架橋性組成物中における添加化合物の添加割合は、特定の環状オレフィン重合体100質量部に対して5〜60質量部であることが好ましい。
また、架橋性組成物には、添加化合物と共に、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアなどの平均粒径が100nm以下の酸化物の粒子あるいはコロイド状粒子(以下、これらを「添加粒子」ともいう。)を添加することができる。
添加粒子の添加割合(コロイド状粒子においては固形分換算)は、特定の環状オレフィン重合体100質量部に対して1〜40質量部であることが好ましい。
添加粒子の添加割合が1質量部未満である場合には、形成される架橋体の硬度、弾性率および線膨張係数に添加粒子の作用効果が十分に発揮されず、一方、添加粒子の添加割合が40質量部を超える場合には、形成される架橋体よりなる樹脂フィルム層が脆いものとなるおそれがある。
また、架橋体を得るための架橋性組成物としては、特定の環状オレフィン系重合体に、メタクリロイル基、アクリロイル基などのラジカル重合性置換基を有するシラン化合物と、ラジカル発生剤とを配合してなる組成物を用いることもでき、このような組成物は、光あるいは熱などの作用によって架橋することができる。
第2配線用基板における特定蒸着膜層は、特定蒸着膜層用材料よりなるものであり、重合体樹脂フィルム層およびめっき銅膜層との優れた密着性、および高い耐薬品性や耐熱性を有すると共に、拡散が生じることがないという特性を有するものである。
特定蒸着膜層は、その厚さが10〜500Åであることが好ましく、特に10〜40Åであることが好ましい。
特定蒸着膜層の厚さが10Å未満である場合には、特定蒸着膜層の架橋体樹脂フィルム層およびめっき銅膜層との密着性が小さくなると共に、耐薬品性および耐熱性が小さくなるおそれがある。一方、特定蒸着膜層が500Åを超える場合には、その製造工程において得られる、架橋体フィルム上に特定蒸着膜が形成されてなる積層体自体にカール(反り)が発生するおそれがある。
特に、特定蒸着膜層が上記の特定の厚さ(具体的には10〜500Å)を有すると共に、特定クロム系材料よりなるものである場合には、得られる第2の配線用基板上に配線回路を形成するためのエッチング処理として、銅エッチング処理のみを施すことによって形成される配線間に十分な電気絶縁性を得ることができることから、銅エッチング処理後にクロムエッチング処理を施す必要がなくなり、配線回路を形成するために要する工程数を少なくすることができる。
第2の配線用基板におけるめっき銅膜層は、その厚さが1〜20μmであることが好ましく、特に2〜15μmであることが好ましい。
銅めっき層の厚さが1μm未満である場合には、得られる第2の配線用基板に配線回路を形成することによって当該配線用基板自体が有する各種の性能が低下するおそれがあり、一方、めっき銅膜層の厚さが20μmを超える場合には、めっき銅膜層に厚さのばらつきが生じやすくなるおそれがあると共に、コストが大きくなる。
めっき銅膜層は、表面における凸部分の高さが0.5μm以下であって凹部分の深さが0.3μm以下であり、特に凸部分の高さが0.4μm以下であって凹部分の深さが0.2μm以下である表面粗さを有するものであることが好ましい。
めっき銅膜層の表面における凸部分の高さが0.5μmを超える場合、または凹部分の深さが0.3μmを超える場合には、得られる第2の配線用基板に配線回路を形成するためのパターンを有するレジスト層を高い精度で形成することができず、当該第2の配線用基板に対して信頼性の高い配線回路を形成することが困難なものとなるとなるおそれがある。
第2の配線用基板は、架橋体フィルムを用意し、この架橋体フィルムの導体層を形成すべき表面に対して蒸着処理によって当該重合体フィルムの表面に蒸着膜を形成し、得られた架橋体フィルムと蒸着膜とが積層されてなる積層体における蒸着膜の表面に対して銅めっき処理によって銅めっき膜を形成し、架橋体樹脂フィルム層上に、特定蒸着膜層と、めっき銅膜層とをこの順に一体的に積層することによって製造することができる。
架橋体フィルムとしては、導体層を形成すべき表面に対して表面処理が施されたものを用いることが好ましい。
架橋体フィルムを表面処理するための手法としては、重合体フィルムを表面処理するための手法として例示した手法を用いることができる。
架橋体フィルムは、例えば特定の環状オレフィン系重合体に組成物形成用配合物が配合されてなる架橋性組成物を溶媒中に溶解させた架橋体樹脂フィルム層形成用重合体溶液を調製し、この架橋体樹脂フィルム層形成用重合体溶液を、例えばガラス基板上に塗布し、得られた塗膜を乾燥させた後、更に、この塗膜に対して適宜の架橋処理を行うこと、溶液キャスト法や溶融押出法などの手法によって成形された架橋性組成物よりなる樹脂フィルムに対して適宜の架橋処理を行うことなどによって得ることができる。
重合体溶液を調製するための溶媒としては、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素溶媒、クロロメタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロシクロペンタン、クロロシクロヘキサン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒などを用いることができる。これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合体溶液を塗布する方法としては、例えばTダイ、ロールコーター、ナイフコーター、バーコーター、スピンコーター等の塗布装置を用いる手法、あるいはスクリーン印刷等の印刷法を適用する手法を用いることができる。
塗膜の乾燥処理は、用いる溶媒の種類によりその条件が適宜選択されるが、常圧下で行う場合には、通常、乾燥温度は通常50〜280℃、乾燥時間は通常10分〜24時間である。なお、係る乾燥処理は、減圧下で実施してもよく、また、温度や圧力を変えて2段乾燥等多段乾燥を適用してもよい。例えば、常圧下において、溶媒の沸点以下で数時間予備乾燥した後、減圧下で乾燥温度80〜150℃、乾燥時間1〜12時間で乾燥処理することが好ましく、これにより、残留溶媒を大幅に低減できる。
以上のような本発明のフレキシブルプリント配線用基板は、伸長性および柔軟性を有すると共に、高精度な配線回路を形成することができるものであるが、このような効果は、樹脂フィルム層を構成する優れた透明性を有する樹脂フィルムが、高い耐熱性を有すると共に、吸水率が小さく、熱および湿気に起因する寸法変形が少ないものであり、また、脱ガスおよび脱水の発生が抑制され、しかも樹脂フィルムの材料が特定蒸着膜層を構成する蒸着膜層形成材料との熱膨張率差が小さく、これらの優れた性能の経時的低下が小さいものであることから、加工工程において損傷が生じることが抑制され、優れた密着性が得れることによって得られるものであると考えられる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下において、フレキシブルプリント配線用基板における樹脂フィルム層を構成する樹脂フィルムの特性およびフレキシブルプリント配線用基板の特性は、下記の方法によって測定した。
(1)重量平均分子量および数平均分子量
ウオターズ(WATERS)社製150C型ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置において、東ソー(株)製のHタイプカラムを用い、o−ジクロロベンゼンを溶媒として、温度120℃の条件下で測定した。得られた分子量は標準ポリスチレン換算値である。
(2)Tanδのピーク温度(ガラス転移温度)
動的粘弾性のTanδ(貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”との比E”/E’)のピーク温度を重合体のガラス転移温度として測定した。
動的粘弾性の測定は、オリエンテック社製の「DDV−01FP」を用い、測定周波数が10Hz、昇温速度が4℃/分、加振モードが単一波形、加振振幅が2.5μm条件によって行い、得られたTanδの温度分散ピーク温度をガラス転移温度に係るピーク温度とした。
(3)線膨張係数
セイコーインスツルメント社製のTMA(Thermal Mechanical Analysis)装置「SS6100」を用いて、膜厚55μm、幅3mm、長さ10cm以上である形状を有する試料を、チャック間距離10mmで固定し、当該試料を室温から200℃程度まで、一旦、昇温して残留ひずみをとった後、室温から3℃/minで昇温し、チャック間距離の伸びから線膨張係数を求めた。
(4)蒸着膜層の厚さ
蒸着処理に供する樹脂フィルムに溶剤で除去可能なインクを一部分に塗布した後に蒸着処理を行い、蒸着処理後にインク塗布部分に形成された蒸着膜および塗布したインクを除去したサンプルを試料とし、触針式表面粗さ計を用いて測定した。
(5)めっき銅膜層の表面の凹凸
5μRの触針を備えた触針式三次元表面粗さ計を用いて測定した。
(6)密着強度
JIS C6481(180度ピール)に準じて測定を行った。
(7)抵抗率
所要電流と得られた電圧値とから抵抗を算出し、これに膜厚を乗じて得られる値を抵抗率として評価した。
(8)ハンダ耐熱性
280℃のハンダ浴に10秒間接触させ、ふくれ、はがれ、変色等の外観の変化の有無を確認した。
(9)耐屈曲試験
MIT−01(JIS P8115)に準じて測定を行った。
(10)耐薬品性
JIS C5016に準じ、2N−HCl、2N−NaOH、IPA、トリクロールエタンの合計4種の薬品を用い、外観の変化の有無を確認した。
(11)配線の信頼性
導体幅50μm、導体間隔50μmで、導体長さ50mmのパターンを形成し、これを実体顕微鏡で観察し、1万本当たりの欠点(ショートおよび断線)数に基づいて評価した。
〔実施例1〕
(プラスチックフィルムの作製)
窒素雰囲気下において、容積2リットルのステンレス製反応器に、特定単量体としてビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン700ミリモル、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−8−エン(endo体/exo体=94/4)570ミリモル、5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン30ミリモルと、分子量調節剤として1−ヘキセン5ミリモルと、溶媒としてシクロヘキサン400g、塩化メチレン100gとを仕込んだ。次いで、この系に、メチルトリエトキシシラン8.0ミリモルと、1,5−シクロオクタジエン0.4ミリモルと、メチルアルモキサン8.0ミリモルと、三フッ化ホウ素エチルエーテラート1.2ミリモルと、オクタン酸ニッケルのヘキサフロロアンチモン酸変性体とをこの順に仕込み、重合反応を開始した。
ここに、オクタン酸ニッケルのヘキサフロロアンチモン酸変性体は、オクタン酸ニッケルのヘキサン溶液と、ヘキサフロロアンチモン酸とを、−10℃の温度条件下においてモル比1:1で反応させ、副生するビス(ヘキサフロロアンチモン酸)ニッケル[Ni(SbF6 2 ]の沈殿を濾過によって除去し、トルエンで希釈することによって得られたものであり、その添加量がニッケル原子として0.40ミリモルとなるように添加した。
そして、温度30℃の条件下において3時間付加重合処理を行い、この付加重合処理をメタノールを添加することによって停止した。付加重合処理に供した単量体の重合体への転化率は92%であった。
付加重合処理によって得られた反応溶液にシクロヘキサン480gを添加することによって希釈し、この希釈液に水660ミリリットルと、乳酸48ミリモルとを添加して充分に撹拌した後、重合反応によって生成した共重合体を含有する共重合溶液相と水相とを静置分離して触媒に係る反応物などの残査を含んだ水相を除去し、その後、共重合体溶液を4リットルのイソプロピルアルコールに注いで共重合体を凝固させることにより、未反応単量体および残査を除去した。
得られた凝固物を乾燥することにより、環状オレフィン系重合体(以下、「共重合体(A)」ともいう。)を75g得た。
得られた共重合体反応溶液中に残存する未反応の単量体をガスクロマトグラフィーにより分析することによって共重合体(A)の組成を求めたところ、全構造単位中におけるビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンに由来する特定の構造単位の含有割合は63モル%であり、5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンに由来する特定の構造単位の含有割合は2.1モル%であり、endo−トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−8−エンに由来する特定の構造単位の含有割合は35モル%であった。
また、共重合体(A)のポリスチレン換算の数平均分子量は89,000、重量平均分子量は187,000であり、また、Mw/Mnは2.1であった。
次に、共重合体(A)10gをシクロヘキサン35.5g中に溶解し、この系に、架橋触媒として亜リン酸トリブチルを、当該共重合体(A)100部に対して0.5部添加することによって樹脂フィルム層形成用重合体溶液(以下、「樹脂フィルム層形成用重合体溶液(A)」ともいう。)を得た。
この樹脂フィルム層形成用重合体溶液(A)をガラス板上に塗工することによって塗工膜を形成し、この塗工膜を温度150℃の条件下で2時間乾燥処理し、更に真空下において温度200℃の条件下で1時間乾燥処理することにより重合体フィルムを得た。更に、得られた重合体フィルムを150℃の水蒸気下で4時間熱処理し、その後、真空下において温度200℃の条件下で1時間乾燥処理することにより、ガラス板上に厚さ50μmの架橋体フィルム(以下、「架橋体フィルム(A)」ともいう。)を作製した。
得られた架橋体フィルム(A)についての特性を確認したところ、吸湿率は0.02%であり、当該架橋体フィルム(A)を構成する材料のガラス転移温度は375℃、線膨張係数は50ppm/℃であった。
(フレキシブルプリント配線用基板の作製例)
架橋体フィルム(A)の表面に対して高周波電源を用いたグロー放電プラスマ処理を施すことにより、当該架橋体フィルム(A)の一面を表面処理した後、この架橋体フィルム(A)の一面にスパッタ法によって蒸着処理を行い、厚さ30Åのクロム蒸着膜を形成し、その後直ちに、硫酸銅浴を用いた電解めっき処理によって表面における凸部分の高さが0.5μm以下であって凹部分の深さが0.3μm以下である厚さ8μmのめっき銅膜を形成することにより、樹脂フィルム層上に、蒸着膜層およびめっき銅膜層が積層されてなるフレキシブルプリント配線用基板(以下、「配線用基板(1)」ともいう。)を作製した。
得られた配線用基板(1)の特性を調べた。結果を表1に示す。
(フレキシブルプリント配線用基板の評価)
得られた配線用基板(1)におけるめっき銅層上に、スクリーン印刷法によってパターンを有するレジスト層を形成した後、このレジスト層で被われていない部分に対してエッチング処理を塩化第2鉄を用いて行うことにより、配線用基板(1)上に導体幅50μm、導体間隔50μmで、導体長さ50mmのパターンを有する配線回路を形成した。
この形成された配線回路に係る信頼性を調べた。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1において、架橋体フィルム(A)に代えて厚さ50μのポリイミドフィルム「カプトン200H」(東レ・デュポン社製)を用いたこと以外は実施例1と同様の手法により、当該ポリイミドフィルムの表面に、厚さ30Åのクロム蒸着膜、表面における凸部分の高さが0.7μm以下であって凹部分の深さが0.4μm以下である厚さ13μmのめっき銅膜を形成することにより、ポリイミドフィルム層上に、蒸着膜層およびめっき銅膜層が積層されてなるフレキシブルプリント配線用基板(以下、「比較配線用基板(1)」ともいう。)を作製し、比較配線用基板(1)の特性を調べた。結果を表1に示す。
実施例1において、配線用基板(1)に代えて比較配線用基板(1)を用いたこと以外は実施例1と同様の手法によって配線回路を形成し、当該配線回路に係る信頼性を調べた。結果を表1に示す。
Figure 2005129601
本発明のフレキシブルプリント配線用基板構成の一例を示す説明図である。
符号の説明
11 重合体樹脂フィルム層
13 蒸着膜層
15 めっき銅膜層

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位を有する環状オレフィン系重合体よりなる樹脂フィルムの少なくとも一方の表面に、ニッケル、クロム、コバルト、パラジウム、モリブデン、タングステン、チタン、ジルコニウム、またはこれらの合金、クロム系セラミックよりなる群から選ばれる蒸着膜層形成材料よりなる蒸着膜層と、めっき銅膜層とが積層されてなることを特徴とするフレキシブルプリント配線用基板。
    Figure 2005129601
    〔式中、A1 、A2 、A3 およびA4 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ハロゲン化炭化水素基、および、加水分解性シリル基、あるいは−(CH2 p −Xで表される極性基を示す。また、A1 とA4 とは、一体化してアルキレン基、シクロアルキレン基あるいはアリーレン基を形成していてもよく、更に、A1 とA2 またはA1 とA4 は、互いに結合して酸無水物、ラクトンあるいはイミドに由来の基を形成していてもよい。mは0あるいは1である。 ここで、−(CH2 P −Xにおいて、Xは−COOR1 、−OCOR2 または−OR3 を示し、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、あるいはアキセタニル基を含む置換基を表し、pは0〜5の整数である。〕
  2. 前記環状オレフィン系重合体は、上記一般式(1)において、A1 、A2 、A3 およびA4 の少なくとも1つが加水分解性シリル基である構造単位を含み、
    加水分解性シリル基が下記一般式(2)で表される基であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント配線用基板。
    Figure 2005129601
    〔式中、Yは、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアリロキシ基、ハロゲン原子、あるいは互いに結合して5〜7員環を形成する炭素数2〜20の脂肪族ジオール、脂環族ジオールまたは芳香族ジオールから誘導される基を示し、R4 は、水素原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基を示す。rは0〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。〕
  3. 前記環状オレフィン系重合体は、上記一般式(2)で表される加水分解性シリル基を有する構造単位の含有割合が、当該環状オレフィン系重合体を構成する全構造単位に対して0.2〜30モル%であるものであることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルプリント配線用基板。
  4. 樹脂フィルムがスルーホール穴あけ加工が施されてなるものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線用基板。
  5. 下記一般式(1)で表される構造単位を有する環状オレフィン系重合体の架橋体よりなる樹脂フィルムの少なくとも一方の表面に、ニッケル、クロム、コバルト、パラジウム、モリブデン、タングステン、チタン、ジルコニウム、またはこれらの合金、クロム系セラミックよりなる群から選ばれる蒸着膜層形成材料よりなる蒸着膜層と、めっき銅層とが積層されてなることを特徴とするフレキシブルプリント配線用基板。
    Figure 2005129601
    〔式中、A1 、A2 、A3 およびA4 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ハロゲン化炭化水素基、および、加水分解性シリル基、あるいは−(CH2 p −Xで表される極性基を示す。また、A1 とA4 とは、一体化してアルキレン基、シクロアルキレン基あるいはアリーレン基を形成していてもよく、更に、A1 とA2 またはA1 とA4 は、互いに結合して酸無水物、ラクトンあるいはイミドに由来の基を形成していてもよい。mは0あるいは1である。 ここで、−(CH2 P −Xにおいて、Xは−COOR1 、−OCOR2 または−OR3 を示し、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、あるいはアキセタニル基を含む置換基を表し、pは0〜5の整数である。〕
  6. 前記環状オレフィン系重合体は、上記一般式(1)において、A1 、A2 、A3 およびA4 の少なくとも1つが加水分解性シリル基である構造単位を含み、
    加水分解性シリル基が下記一般式(2)で表される基であることを特徴とする請求項5に記載のフレキシブルプリント配線用基板。
    Figure 2005129601
    〔式中、Yは、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアリロキシ基、ハロゲン原子、あるいは互いに結合して5〜7員環を形成する炭素数2〜20の脂肪族ジオール、脂環族ジオールまたは芳香族ジオールから誘導される基を示し、R4 は、水素原子あるいは炭素数1〜20の炭化水素基を示す。rは0〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。〕
  7. 前記環状オレフィン系重合体は、上記一般式(2)で表される加水分解性シリル基を有する構造単位の含有割合が、当該環状オレフィン系重合体を構成する全構造単位に対して0.2〜30モル%であるものであることを特徴とする請求項6に記載のフレキシブルプリント配線用基板。
  8. 樹脂フィルムがスルーホール穴あけ加工が施されてなるものであることを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれかに記載のフレキシブルプリント配線用基板。
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