JP2005129384A - 冷却液およびそれを用いた燃料電池冷却システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 冷却液の酸化による劣化を未然に防止することのできる冷却液およびそれを用いた燃料電池冷却システムを提供する。
【解決手段】 水とグリコール類とを含有した混合溶液からなり、燃料電池本体2と熱交換器4との間に設けられる循環系3を循環する冷却液において、上記グリコール類の酸化による劣化反応の際に発生する出発物質を除去する酸化防止剤を上記混合溶液に添加するようにした。また、この酸化防止剤を添加した冷却液を燃料電池本体2と、当該燃料電池本体2を通過した冷却液を冷却する熱交換器4と、燃料電池本体2と熱交換器4との間に設けられ、冷却液を循環させる循環ポンプ12を備える循環系3とを有する燃料電池冷却システムに用いるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】 水とグリコール類とを含有した混合溶液からなり、燃料電池本体2と熱交換器4との間に設けられる循環系3を循環する冷却液において、上記グリコール類の酸化による劣化反応の際に発生する出発物質を除去する酸化防止剤を上記混合溶液に添加するようにした。また、この酸化防止剤を添加した冷却液を燃料電池本体2と、当該燃料電池本体2を通過した冷却液を冷却する熱交換器4と、燃料電池本体2と熱交換器4との間に設けられ、冷却液を循環させる循環ポンプ12を備える循環系3とを有する燃料電池冷却システムに用いるようにした。
【選択図】 図1
Description
本発明は、冷却液およびそれを用いた燃料電池冷却システムに関し、とりわけ、燃料電池内を経由して循環する冷却液および当該冷却液を冷却するための燃料電池冷却システムに適用して好適なものである。
近年、電気自動車の動力源などとして、クリーンでエネルギー効率の優れた燃料電池が注目され、例えば、高分子電解膜型の燃料電池システムが開発されている。このシステムは、スタック内の水素燃料を、高分子電解膜に担持したプロトン触媒の作用でプロトン化し、高分子電解膜を隔てて存在する酸素との共働により電位発生を行うように構成されたものであり、電気化学的に発電する一種の発電機である。
このような燃料電池は、発電の際に発熱して温度が上昇する性質を有する一方、燃料電池には高効率を保つために最適な運転温度がある。このため、上述のような高分子電解膜型の燃料電池は、所定温度(約65〜70〔℃〕)の冷却液を供給して、最適な温度範囲(約80〜85〔℃〕)で稼働させるための冷却システムが必要となる。
また、燃料電池へ供給される冷却液の導電率は、燃料電池を効率的に稼働させるために、ある一定以上の範囲が必要とされるが、導電率が所定の範囲を超えて上昇すると、冷却液を伝わって漏電(「液絡」という)するなど、燃料電池にとって好ましくない状況が発生する。
そこで、冷却システムに用いられる冷却液には、導電性を低レベルにする(すなわち、導電性をある一定の範囲内に保つ)ため、純水を用いることが一般的に行われてきたが、近年低温環境での凍結防止のためにグリコール類を用いた混合溶液、例えば、エチレングリコールと純水による50〔%〕混合溶液(EG50)等が用いられている。
ここで、図4とともに、従来の熱交換器の構造を簡単に説明する。図4は、従来の燃料電池冷却システムの構成を説明する図である。
燃料電池冷却システム1は、図4に示すように、燃料電池本体2を冷却する冷却液が循環する循環系3を有している。
この循環系3には、燃料電池本体2に冷却液を循環供給する循環流路11が形成されている。この循環流路11には、冷却液を循環させる循環ポンプ12、循環ポンプ12の下流に冷却液を冷却する熱交換器4を備えている。
また、熱交換器4には、圧力バルブ13を介してリザーバータンク14が接続され、前記循環流路11に供給される冷却液の量を一定量に保つようになされている。
以上のような構成により、燃料電池本体が発電する際に発生する熱を、高効率が保てるように最適な運転温度範囲に冷却している。
なお、この従来の構成における冷却液は、純水とエチレングリコールによる50〔%〕混合溶液とした、いわゆるEG50が用いられており、図4中矢印Aに示す方向に前記循環流路11内を循環している(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−164244号公報
ところで、上述した従来の構造によれば、冷却液として混合溶液(EG50)を用いた場合、冷却システムの使用温度において、エチレングリコールが酸化するということがわかってきた。この冷却液に含まれるエチレングリコールの酸化過程を、式を用いて説明すると以下のようになる。なお、式(1)、式(2)および式(3)におけるRは有機化合物である。
R(OH)2+nO2→R(OH)(O・)+OH・ ・・・(1)
R(OH)(O・)+OH・→〔R’CHO〕 ・・・(2)
〔R’CHO〕+mO2→R’CO2H ・・・(3)
つまり、このように、酸化が進むと最終的には式(3)に示すように脂肪酸等の有機酸が劣化して生成され、これを起因として冷却液が劣化し、導電性を低レベルに保つことが困難となり、結果として導電率が増加してしまうおそれがあった。
R(OH)(O・)+OH・→〔R’CHO〕 ・・・(2)
〔R’CHO〕+mO2→R’CO2H ・・・(3)
つまり、このように、酸化が進むと最終的には式(3)に示すように脂肪酸等の有機酸が劣化して生成され、これを起因として冷却液が劣化し、導電性を低レベルに保つことが困難となり、結果として導電率が増加してしまうおそれがあった。
かかる問題を解決する1つの手法として、グリコール類自体の酸化による導電率の増加に対しては、封入前のグリコール類に対し窒素パージ等の脱酸素処理を行うことでグリコール類の劣化防止を行い、この脱酸素処理したグリコール類と水との混合溶液からなる基剤に、ほぼ中性の状態を維持する防錆添加物を含有することにより、低導電性、防錆性、高熱伝達性および不凍性を兼ね備える混合溶液を生成し、この混合溶液を冷却液として用いるようにした技術が特許文献1において考案されている。
しかしながら、燃料電池の冷却システムの多くは、熱交換器に圧力開閉バルブが設けられ、リザーブタンクが付帯してなる半密閉系システムであって、完全に空気を遮断することが困難な構造であるため、グリコール類に対する劣化防止対策が窒素パージ等の脱酸素処理のみである上述の特許文献1の技術では、エチレングリコールの酸化劣化を免れるのが難しい上、グリコール用添加剤として金属防食用の材料を用いていることから、エチレングリコール自体の酸化防止には寄与しない未だ不十分な問題がある。
すなわち、かかる特許文献1の技術では、エチレングリコールの使用環境下での酸化劣化を長期抑制することが困難である問題がある。
そこで、本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、冷却液の酸化による劣化を確実に防止することのできる冷却液およびそれを用いた燃料電池冷却システムを提供するものである。
請求項1にあっては、水とグリコール類とを含有した混合溶液からなり、燃料電池本体と熱交換器との間に設けられる循環系を循環する冷却液において、上記グリコール類の酸化過程で生成される出発物質を除去する酸化防止剤を上記混合溶液に添加するようにした。
請求項2にあっては、請求項1に記載の出発物質がオキシラジカルでなることを特徴としている。
請求項3にあっては、請求項1に記載の酸化防止剤がフェノール系または、芳香族アミン系物質でなることを特徴としている。
請求項4にあっては、請求項1に記載の酸化防止剤の添加量が、上記混合溶液に対して500〔wtppm〕以下でなることを特徴としている。
請求項5にあっては、燃料電池本体と、当該燃料電池本体を通過した冷却液を冷却する熱交換器と、上記燃料電池本体と熱交換器との間に設けられ上記冷却液を循環させる循環ポンプを備える循環系とを有し、水とグリコール類とを含有した混合溶液を上記冷却液として使用する燃料電池冷却システムにおいて、上記冷却液として、請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷却液を用いるようにした。
請求項6にあっては、燃料電池本体と、当該燃料電池本体を通過した冷却液を冷却する熱交換器と、上記燃料電池本体と熱交換器との間に設けられ上記冷却液を循環させる循環ポンプを備える循環系と、上記熱交換器に接続され上記循環系に供給される冷却液の量を一定量に保つリザーバータンクとが、それぞれ上記冷却液を流通する流通通路によって接続され、水とグリコール類とを含有した混合溶液を上記冷却液として使用する燃料電池冷却システムにおいて、上記冷却液を流通する熱交換器、循環ポンプ、リザーバータンクおよび流通通路のうち、いずれか一部または全部の内面が、上記グリコール類の酸化過程で生成される出発物質を除去する酸化防止剤が添加されたコート剤によってコーティングされてなるようにした。
請求項7にあっては、請求項6に記載の出発物質がオキシラジカルでなることを特徴としている。
請求項8にあっては、請求項6に記載の酸化防止剤がフェノール系または、芳香族アミン系物質でなることを特徴としている。
請求項9にあっては、請求項6に記載の酸化防止剤の添加量が、上記コート剤に対して1〔wt%〕以下でなることを特徴としている。
請求項1によれば、冷却液として用いる水とグリコール類とを含有した混合溶液に、上記グリコール類の酸化過程で生成される出発物質を除去する酸化防止剤を添加するようにしたことにより、このような冷却水が酸化によって劣化反応する際の反応初期に発生する出発物質が除去されるため、上記酸化過程において以降に生成される中間体や導電率悪化の原因物質である有機酸の発生を抑制することができ、かくして、冷却液の酸化による劣化を確実に防止することのできる冷却液を提供することができる。
請求項2によれば、請求項1に記載の出発物質がオキシラジカルでなることにより、グリコール類の酸化によって劣化反応する際に発生する中間体としてのアルデヒドを除去することができ、グリコール類の酸化過程において以降に生成される導電率悪化の原因物質である有機酸の発生を抑制することができるため、冷却液の酸化による劣化を確実に防止することができる。
請求項3によれば、請求項1に記載の酸化防止剤がフェノール系または、芳香族アミン系物質でなることにより、いずれも冷却液中に溶解して電離した際の導電率への寄与を抑えることができ、とりわけフェノール系物質でなる酸化防止剤は、冷却液中で電離した際の導電率への寄与が少なく、かつ、グリコール類に対する溶解性に優れるため、冷却液における導電率の悪化を抑制することができる。
請求項4によれば、請求項1に記載の酸化防止剤の添加量が、上記混合溶液に対して500〔wtppm〕以下でなることにより、酸化防止剤が冷却液中に溶解して電離した際の導電率への寄与を抑えることができ、冷却液における導電率の悪化を実用上十分に抑制することができる。
請求項5によれば、燃料電池本体と、当該燃料電池本体を通過した冷却液を冷却する熱交換器と、上記燃料電池本体と熱交換器との間に設けられ上記冷却液を循環させる循環ポンプを備える循環系とを有し、水とグリコール類とを含有した混合溶液を上記冷却液として使用する燃料電池冷却システムにおいて、冷却液として、請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷却液を用いるようにしたことにより、このような冷却水が酸化によって劣化反応する際の反応初期に発生する出発物質が除去されるため、上記酸化過程において以降に生成される中間体や導電率悪化の原因物質である有機酸の発生を抑制することができ、かくして、冷却液の酸化による劣化を確実に防止することのできる燃料電池冷却システムを提供することができる。
請求項6によれば、水とグリコール類とを含有した混合溶液を冷却液として使用する燃料電池冷却システムにおいて、上記冷却液を流通する熱交換器、循環ポンプ、リザーバータンクおよび流通通路のうち、いずれか一部または全部の内面が、上記グリコール類の酸化過程で生成される出発物質を除去する酸化防止剤が添加されたコート剤によってコーティングされてなるようにしたことにより、このような冷却水が酸化によって劣化反応する際の反応初期に発生する出発物質が除去されるため、上記酸化過程において以降に生成される中間体や導電率悪化の原因物質である有機酸の発生を抑制することができ、かくして、冷却液の酸化による劣化を確実に防止することのできる燃料電池冷却システムを提供するを提供することができる。
しかも、この場合、コート剤に酸化防止剤を添加することによって、酸化防止剤が余分に冷却液へ溶出することを抑制して、冷却液の酸化防止効果を持続することができるため、冷却液の劣化防止効果を長期間に渉って維持することができる。
請求項7によれば、請求項6に記載の出発物質がオキシラジカルでなることにより、グリコール類の酸化によって劣化反応する際に発生する中間体としてのアルデヒドを除去することができ、グリコール類の酸化過程において以降に生成される導電率悪化の原因物質である有機酸の発生を抑制することができるため、冷却液の酸化による劣化を確実に防止することができる。
請求項8によれば、請求項6に記載の酸化防止剤がフェノール系または、芳香族アミン系物質でなることにより、いずれも冷却液中に溶解して電離した際の導電率への寄与を抑えることができ、とりわけフェノール系物質でなる酸化防止剤は、冷却液中で電離した際の導電率への寄与が少なく、かつ、グリコール類に対する溶解性に優れるため、冷却液における導電率の悪化を抑制することができる。
請求項9によれば、請求項6に記載の酸化防止剤の添加量が、上記コート剤に対して1〔wt%〕以下でなることにより、酸化防止剤が冷却液中に溶解して電離した際の導電率への寄与を抑えることができ、冷却液における導電率の悪化を実用上十分に抑制することができる。
以下、本発明の一実施形態について図面に基づき詳述する。
図1〜図3は、本発明にかかる冷却液を用いた燃料電池冷却システムの一実施形態を示し、図1は本発明を適用した燃料電池冷却システムを概略的に示す構成図、図2は図1の冷却液の酸化防止剤添加による導電率への影響を示すグラフ、図3は図1の冷却液の酸化防止剤添加による酸化防止効果を示すグラフである。
図4との対応部分に同一符号を付した図1において、1は本実施形態における燃料電池冷却システムを示し、燃料電池本体2を冷却する冷却液が循環する循環系3を有している。
この循環系3には、燃料電池本体2に冷却液を循環供給する流通流路としての循環流路11が形成されており、この循環流路11は、冷却液を矢印A方向に循環させる循環ポンプ12と、当該循環ポンプ12の下流に設けられ冷却液を冷却する熱交換器4とを備えている。
この熱交換器4には、図示省略する圧力バルブを介してリザーバータンク14が接続されている。そして、前記循環流路11に供給される冷却液の量が一定量を越えた場合、圧力バルブが解放されて矢印Bに示すように余剰な冷却液がリザーバータンク14に送られ、循環流路11に供給される冷却液の量を一定量に保つようになされている。
なお、この熱交換器4は、自動車などで使用されるような波形のコルゲートフィンを備えた積層型の熱交換器を、燃料電池冷却システム用に改良したものが用いられている。
また、本実施形態の燃料電池本体2に収容された燃料電池は、例えば、PEM(Proton Exchange Membrane)型の燃料電池であり、電解膜を挟んで酸素極および水素極などから構成される電極構造体(MEA:Membrane Electrode Assembly)をセパレータでさらに挟み込んだ単セルを、200枚程度積層した積層構造を有している。各セパレータには冷却液の流通流路が設けられており、燃料電池を冷却して適切な温度で運転できるようにしている。
ここで、以上説明した燃料電池冷却システム1における冷却サイクルについて説明する。燃料電池冷却システム1が起動すると、循環系3の循環ポンプ12が始動する。すると循環系3に冷却液が循環を開始し、燃料電池本体2で発生した熱は、冷却液、熱交換器4の順に伝達され外気に放散される。
なお、このとき、循環系3に図示省略する温度調節器を設け、熱交換器4を通流した冷却液を一定温度範囲(例えば、80〔℃〕前後)に温度調節して燃料電池本体2へ供給し、燃料電池本体2の効率を高めている。
また、このような燃料電池冷却システム1では、循環系3を循環する冷却液が、プロトン触媒に直接接触するため、触媒被毒の観点から、金属等のイオンの冷却液中への混入を抑制することが要望されており、循環系3の循環流路11を形成する金属配管や、循環系3に設けられる熱交換器4等の機器類を、耐蝕性のある材料、例えばステンレス鋼、樹脂材料、樹脂ライニング金属材料(内部を樹脂材料でコーティングしたアルミ材料等)などで構成して、金属等のイオンの冷却液中への混入を抑制している。
この実施形態の場合、冷却液は、純水にグリコール類であるエチレングリコールを混合させた50〔%〕混合溶液のいわゆるEG50に対し、前記エチレングリコールの酸化過程で生成される出発物質としてのオキシラジカルを除去する酸化防止剤(ラジカル捕捉剤)を添加したものが用いられている。
このとき、酸化防止剤としては、アニリン誘導体、キノリン誘導体または、イミダゾール誘導体などの芳香族アミン系物質や、フェノール系物質が用いられている。
これら芳香族アミン系物質またはフェノール系物質は、いずれも冷却液中に溶解して電離した際の導電率への寄与を抑えることができる効果があり、とりわけ、フェノール系物質は、冷却液中で電離した際の導電率への寄与が少なく、かつ、エチレングリコールに対する溶解性に優れ、冷却液における導電率の悪化を抑制することができるため、酸化防止剤に用いる物質として好ましい。
また、このフェノール系物質としては、ジターシャリブチルクレゾール(BHT)、ハイドロキノン、メトキシフェノール、ジターシャリブチルハイドロキノン(BHQ)、メチレンビス、メチルターシャリーブチルフェノール(MBP)などのヒンダードフェノール系が望ましい。
そして、この酸化防止剤の添加量は、図2および図3から見て明らかなように、導電率への寄与の観点から500〔wtppm〕以下で用いられるのが好ましい。
ここで、以上説明した燃料電池冷却システム1に用いる冷却液の酸化による劣化防止サイクルを説明する。上述のように燃料電池冷却システム1が起動すると、循環系3の循環ポンプ12が始動する。すると、循環系3に冷却液が循環を開始する。このとき、冷却液が添加される酸化防止剤によって、上述の式(1)に示されるエチレングリコールの酸化過程で生成される出発物質としてのオキシラジカルR(OH)(O・)+OH・を除去して、この酸化過程において以降に生成される中間体としてのアルデヒド〔R’CHO〕や、導電率悪化の原因物質である脂肪酸等の有機酸R’CO2Hの発生を抑制し、冷却液の酸化による劣化を確実に防止する。
以上、説明したように本実施形態の冷却液およびそれを用いた燃料電池冷却システム1によれば、冷却液として用いる純水とエチレングリコールとを含有した混合溶液に、エチレングリコールの酸化過程で生成される出発物質のオキシラジカルを除去する酸化防止剤を添加するようにしたことにより、このような冷却水が酸化によって劣化反応する際の反応初期に発生するオキシラジカルが除去されるため、前記酸化過程において以降に生成される中間体のアルデヒドや、導電率悪化の原因物質である有機酸の発生を抑制することができ、かくして、冷却液の酸化による劣化を確実に防止することができる。
また、酸化防止剤がフェノール系または、芳香族アミン系物質でなることにより、いずれも冷却液中に溶解して電離した際の導電率への寄与を抑えることができ、とりわけフェノール系物質でなる酸化防止剤は、冷却液中で電離した際の導電率への寄与が少なく、かつ、エチレングリコールに対する溶解性に優れるため、冷却液における導電率の悪化を抑制することができる。
さらに、酸化防止剤の添加量が、前記混合溶液に対して500〔wtppm〕以下でなることにより、酸化防止剤が冷却液中に溶解して電離した際の導電率への寄与を抑えることができ、冷却液における導電率の悪化を実用上十分に抑制することができる。
また、このように冷却液に対して酸化防止剤を添加するだけなので、既存の冷却システムの構成を変更することなく、容易に目的を達成することができる
なお、本発明の冷却液およびそれを用いた燃料電池冷却システムとして上述した実施形態を例に取って説明したが、本発明はこれに限ることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種実施形態を採用することができる。
なお、本発明の冷却液およびそれを用いた燃料電池冷却システムとして上述した実施形態を例に取って説明したが、本発明はこれに限ることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種実施形態を採用することができる。
例えば、冷却液を流通する熱交換器4、循環ポンプ12、リザーバータンク14および循環流路11のうち、いずれか一部または全部の内面が、グリコール類としてのエチレングリコールの酸化過程で生成される出発物質であるオキシラジカルを除去する酸化防止剤が添加されたコート剤によってコーティングされてなるようにしてもよい。
この場合、このような冷却水が酸化によって劣化反応する際の反応初期に発生する出発物質のオキシラジカルが除去されるため、前記酸化過程において以降に生成される中間体としてのアルデヒドや、導電率悪化の原因物質である有機酸の発生を抑制することができ、かくして、冷却液の酸化による劣化を確実に防止し得る利点を得ることができる。
しかも、この場合、コート剤に酸化防止剤を添加することによって、酸化防止剤が余分に冷却液へ溶出することを抑制して、冷却液の酸化防止効果を持続することができるため、冷却液の劣化防止効果を長期間に渉って維持することができる利点もある。
さらに、コート剤に添加された酸化防止剤がフェノール系または、芳香族アミン系物質でなることにより、いずれも冷却液中に溶解して電離した際の導電率への寄与を抑えることができ、とりわけフェノール系物質でなる酸化防止剤は、冷却液中で電離した際の導電率への寄与が少なく、かつ、グリコール類に対する溶解性に優れるため、冷却液における導電率の悪化を抑制することができる。
これに加えて、酸化防止剤の添加量を、コート剤に対して1〔wt%〕以下でなるようにすることにより、酸化防止剤が冷却液中に溶解して電離した際の導電率への寄与を抑えることができ、冷却液における導電率の悪化を実用上十分に抑制することができる。
1 燃料電池冷却システム
2 燃料電池本体
3 循環系
4 熱交換器
11 循環流路(流通流路)
12 循環ポンプ
14 リザーバータンク
2 燃料電池本体
3 循環系
4 熱交換器
11 循環流路(流通流路)
12 循環ポンプ
14 リザーバータンク
Claims (9)
- 水とグリコール類とを含有した混合溶液からなり、燃料電池本体(1)と熱交換器(4)との間に設けられる循環系(3)を循環する冷却液において、
上記グリコール類の酸化過程で生成される出発物質を除去する酸化防止剤を上記混合溶液に添加することを特徴とする冷却液。 - 上記出発物質がオキシラジカルでなることを特徴とする請求項1に記載の冷却液。
- 上記酸化防止剤がフェノール系または、芳香族アミン系物質でなることを特徴とする請求項1に記載の冷却液。
- 上記酸化防止剤の添加量が、上記混合溶液に対して500〔wtppm〕以下でなることを特徴とする請求項1に記載の冷却液。
- 燃料電池本体(2)と、当該燃料電池本体(2)を通過した冷却液を冷却する熱交換器(4)と、上記燃料電池本体(2)と熱交換器(4)との間に設けられ上記冷却液を循環させる循環ポンプ(12)を備える循環系(3)とを有し、水とグリコール類とを含有した混合溶液を上記冷却液として使用する燃料電池冷却システム(1)において、
上記冷却液として、請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷却液を用いることを特徴とする燃料電池冷却システム。 - 燃料電池本体(2)と、当該燃料電池本体(2)を通過した冷却液を冷却する熱交換器(4)と、上記燃料電池本体(2)と熱交換器(4)との間に設けられ上記冷却液を循環させる循環ポンプ(12)を備える循環系(3)と、上記熱交換器(4)に接続され上記循環系(3)に供給される冷却液の量を一定量に保つリザーバータンク(14)とが、それぞれ上記冷却液を流通する流通通路(11)によって接続され、水とグリコール類とを含有した混合溶液を上記冷却液として使用する燃料電池冷却システム(1)において、
上記冷却液が流通される熱交換器(4)、循環ポンプ(12)、リザーバータンク(14)および流通通路(11)のうち、いずれか一部または全部の内面が、上記グリコール類の酸化過程で生成される出発物質を除去する酸化防止剤が添加されたコート剤によってコーティングされてなることを特徴とする燃料電池冷却システム。 - 上記出発物質がオキシラジカルでなることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池冷却システム。
- 上記酸化防止剤がフェノール系または、芳香族アミン系物質でなることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池冷却システム。
- 上記酸化防止剤の添加量が、上記コート剤に対して1〔wt%〕以下でなることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池冷却システム。
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