JP2004143265A - 冷却液、冷却液の封入方法および冷却システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水を含む基剤からなり、防錆添加剤としてポリグリセリンおよび/またはポリビニルアルコールを含む冷却液、該冷却液からなる車両搭載用燃料電池用冷却液。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却液、冷却液の封入方法および冷却液を用いた冷却液システムに関する。より詳細には、燃料電池用、特に車両搭載用燃料電池用冷却液、燃料電池冷却システムの冷却回路に冷却液を封入する方法および燃料電池の冷却システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、燃料電池のスタックは複数の単電池の積層構造体であり、数層の単電池から構成されるサブスタック毎にスタック(単電池)を冷却するための冷却板が介装されている。冷却板内部には冷却液通路が形成されており、その冷却液通路を冷却液が流れることによってスタックが冷却される。このように、燃料電池の冷却液は、発電を実行しているスタック内、すなわちサブスタック間を循環するため、スタック外部への漏電および冷却液の抵抗に起因する発電効率の低下(エネルギーロスの軽減)を防止するために高い絶縁性能が要求される。これら絶縁性能の確保、冷却効率の確保等の要求を満たすため、従来技術では純水が冷却液として用いられてきた。これら要求の他に、燃料電池スタック用冷却液には、冷却板の製品寿命を長く維持するために防錆性も要求される。この要求に対しては、一般的に、冷却板に防錆性の高いステンレス材料を用いたり、特許文献1に開示されているように冷却液中に鉄イオンを添加することによって対処されてきた。
【0003】
しかしながら、このような従来の対処方法は、いわゆる固定式、設置型の中・大型燃料電池、常時作動型の燃料電池に対しては効果を奏し得るが、例えば、車両に搭載される燃料電池といった非設置型の小型の燃料電池、間欠作動型の燃料電池に対しては必ずしも有効であるとはいえなかった。
【0004】
例えば、間欠運転型、非設置型の燃料電池の場合、冷却液は非動作時に周囲温度にまで低下するため、周囲温度が氷点下以下となる条件下では不凍性を備えることが要求される。冷却液が凍結した場合には、冷却板等を含む冷却回路が損傷を受けることがあるからである。また、冷却回路が損傷を受けた場合には、燃料電池がその機能を十分に発揮しないおそれがある。
【0005】
ここで、不凍性を考慮した場合、例えば、冷却液として、内燃機関冷却用の冷却液を不凍性冷却液として使用することが考えられ得る。ところが、内燃機関冷却用の冷却液は本質的に電気の発生しない部分において用いられるため、低導電性が考慮されておらず、極めて高い電気導電率を有している。一方、燃料電池スタックの冷却管には電気が流れているため、冷却液の電気伝導率が高いと燃料電池で生じた電気が冷却液へと流れ、電気を損出する。したがって、燃料電池スタックを冷却する冷却液としては不適当である。
【0006】
また、車両搭載用等の非設置型の燃料電池の場合には、冷却回路を含む燃料電池システムの軽量化は重要な克服課題である。したがって、軽量化の観点から、今後は冷却板、熱交換器等に、例えば、アルミニウム材料をはじめとする熱伝導性の高い軽金属が用いられることが予想される。これら軽金属は、一般的に、ステンレス材料ほど高い防錆性を有しておらず、したがって、冷却液自身が防錆性を有することが要求される。
【0007】
そこで、本発明者らは、特許文献2として、水を含む基剤と、前記冷却液の導電率を低導電率にて維持するとともに前記冷却液の水素イオン指数をほぼ中性に維持する防錆添加剤とを含む冷却液を出願した。この防錆添加剤としては、弱アルカリ性添加剤、弱酸性添加剤、またはノニオン系物質である。ノニオン系物質として、クエルセチン等の糖類およびアルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤を開示した。
【0008】
【特許文献1】
特開平2−21572号公報
【特許文献2】
特開2001―164244号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献2の冷却液は、燃料電池スタック用の冷却液として低導電性、防錆性、高熱伝達性および不凍性を備えるものである。しかしながら、添加剤の殆どがイオン性であるため、車両冷却系に搭載されたイオン交換樹脂によって添加剤も除去され、防食性に問題があった。また、中性である糖類やノニオン系界面活性剤にも欠点がある。糖類は、液中に分散した状態にあるため、低温での安定性が悪く、沈殿物が生成し、冷却系への詰まりや、シールへのかみ込みによる水漏れの可能性がある。ノニオン系界面活性剤は、表面張力が小さく起泡性が大きいため、キャビテーションが発生する。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、燃料電池スタック用の冷却液として低導電性、防錆性、高熱伝達性および不凍性を備えるとともに、特にアルミ防食性に優れ、起泡性が小さく、低温安定性に優れた燃料電池用の冷却液を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、第1に、本発明は、水を含む基剤からなり、防錆添加剤としてポリグリセリンおよび/またはポリビニルアルコールを含む冷却液である。ここで、前記基剤はさらに、グリコール類を含む混合溶液であることが好ましい。
【0012】
ポリグリセリン(PGL)は下記一般式で表される。
【化1】
ここで、nは2以上の整数である。
【0013】
このうち、分子量200〜1000のものが好ましく、特に分子量300〜800のものを好適に用いることができる。分子量が200より小さいとアルミ防食効果が少ないとの不都合があり、分子量が1000より大きいと水を含む基材への溶解度が低くなるとの不都合がある。
【0014】
また、ポリビニルアルコール(PVA)は下記一般式で表される。
【化2】
ここで、nは2以上の整数である。
【0015】
このうち、分子量10000〜150000のものが好ましく、特に分子量22000〜111000のものを好適に用いることができる。分子量が10000より小さいとアルミ防食効果が少ないとの不都合があり、分子量が150000より大きいと水を含む基材への溶解度が低くなるとの不都合がある。
【0016】
また、ポリグリセリン及び/又はポリビニルアルコールの添加量は、1000〜50000ppmが好ましく、特に5000〜10000ppmが好ましい。
【0017】
これら防錆添加剤は、冷却液を導電率50μS/cm未満とすることが出来、絶縁性(低導電率)で特にアルミの防食性に優れたものとなる。
【0018】
前記冷却液は、イオン交換樹脂を用いた冷却液精製システムによって精製されたものであることが好ましい。これら防錆添加剤は、非イオン性であるため、イオン交換樹脂を用いることによりイオン化している不純物のみを容易に取り除くことができる。また、前記冷却液は、脱酸素処理されたものであることが好ましい。脱酸素処理により冷却液の品質の劣化を長期にわたり防止することができる。
【0019】
上記の冷却液は、燃料電池用として好適に用いられる。特に、車両搭載用燃料電池(FCHV)用として好適に用いられる。
【0020】
第2に、本発明は、上記の冷却液に対して脱酸素処理を施し、脱酸素処理された前記冷却液を不活性ガスと共に燃料電池の冷却回路に封入する方法である。これにより、冷却回路中の冷却液の品質の劣化を長期にわたり防止することができる。
【0021】
第3に、本発明は、上記の冷却液と不活性ガスとが封入されている冷却回路とを備える燃料電池の冷却システムである。この冷却システムにより、低導電性、防錆性、高熱伝達性および不凍性を有することができる。また、冷却回路中の冷却液の品質の劣化を長期にわたり防止することができる。窒素(N2)等の不活性ガスを吹き込む脱酸素処理を実施することによって、冷却液中の溶存酸素が減少し、アルミニウム材料の腐食を抑制できる。したがって、窒素ガス等を用いて冷却液を脱酸素処理することにより、冷却液回路を形成する材料として用いられるアルミニウム材料の腐食を防止することができる。
【0022】
第4に、本発明は、水を含む基剤を調整し、前記基剤に防錆添加剤としてポリグリセリンおよび/またはポリビニルアルコールを添加し、イオン交換樹脂を用いて前記基剤と前記防錆添加剤との混合溶液を精製する冷却液の製造方法である。これにより、低導電性、防錆性、高熱伝達性および不凍性を満たす冷却液を製造することができる。なお、基剤の調整に際しては、水に加えてグリコール類を用いても良い。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る冷却液について、実施例および比較例を参照して説明する。
【0024】
表1に、本発明の防錆添加剤であるポリグリセリン(PGL)およびポリビニルアルコール(PVA)について、実施例1〜8において用いた平均分子量、添加量、エチレングリコール(EG)50%水溶液に添加剤を所定量加えて25℃で測定した導電率を示す。表2は、比較例1〜3において用いた添加剤なしおよび比較添加剤の添加量および導電率を示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
実施例1〜6の冷却液は、基剤としてエチレングリコール(50重量%)およびイオン交換水(添加剤と合わせて50重量%)を含み、防錆添加剤としてポリグリセリンを所定量含む冷却液である。エチレングリコールはプロピレングリコールと共にグリコール類に属するとともに、混合対象の溶液に不凍性特性をもたらす物質として周知である。また、イオン交換水とグリコール類の混合溶液である基剤は、車両の内燃機関用冷却液として一般的に用いられていることからも理解されるように、熱伝導特性に優れている。
【0028】
実施例7および8の冷却液は、基剤としてエチレングリコール(50重量%)およびイオン交換水(添加剤と合わせて50重量%)を含み、防錆添加剤としてポリビニルアルコールを所定量含む冷却液である。
【0029】
比較例1の冷却液は、基剤としてエチレングリコール(50重量%)およびイオン交換水(50重量%)を含み添加剤を含まず、比較例2は、基剤としてエチレングリコール(50重量%)およびイオン交換水(添加剤と合わせて50重量%)を含み、水溶液中にてイオン化しないノニオン系物質である糖類のクエルセチン(3、3’、4’、5、7−pentahydroxyflavone)を所定量含み、比較例3は、添加剤として水溶液中にてイオン化しない非イオン系界面活性剤であるポリオキシエチレンを所定量含む冷却液である。
いずれの場合も、イオン交換水の重量%を調整することで全体の組成が100重量%に調整される。
【0030】
本発明の実施例および比較例では、燃料電池が車両に搭載される際には、冷却板並びに冷却回路中の熱交換器等の材質として、アルミニウムおよびアルミニウム合金が用いられることを考慮し、特にアルミニウム材料に対する防食性等を考慮した。燃料電池を車載する際には、軽量化、低コスト化等が要求されることとなり、これら要求に応え得る材料として現在でも車両用ラジエタ等に多用されているアルミニウム材料が適当と考えられるからである。
【0031】
表3に、実施例および比較例の評価結果を示す。ここで、導電率は、試験対象の冷却液中に2本の電極を投入し、これら電極間における電流の流れ易さを計測する試験であり、その方法は当業者にとって周知である。25℃における供試液の導電率を測定した。アルミの防食性能は、評価方法はアノード分極測定であり、評価条件は、エチレングリコール50%イオン交換水希釈に添加剤を所定量加え、95℃で、窒素ガスを50ml/min通気し、アルミニウム材料(AC2A)の試験片で不動態保持電流を測定した。指示電解質として重炭酸イオン50ppmを添加した。起泡性は、JIS2234(規格4ml以下)で試験した。低温安定性は、−25℃で2週間放置後の液の状態(沈殿物の生成、液の分離等)を見た。
【0032】
【表3】
【0033】
実施例1〜6の、導電率(電気伝導度)は0.80(μS/cm)以下であり、低い導電率を示す。また、実施例7および8は30(μS/cm)台を示し、低い導電率が要求される冷却液にとって良好な防錆添加剤であるということができる。
【0034】
次に試験対象金属が不動態化される電流である不動態化電流密度(不動態保持電流)(μA/cm2)について見る。電流密度は、試験材料が電気分解する際に単位面積当たりに発生する電流の大きさを示しており、一般的に、電流密度が高いほど、試験材料が溶け出し易い、すなわち腐食され易いことを意味する。したがって、本試験では、電流密度が高いほどアルミニウム材料の腐食速度が高いことを意味する。各実施例が40(μA/cm2)以下のアルミ防食性を示すのに対して、添加剤を添加しない比較例1は100(μA/cm2)以上の高い数値を示している。また、各実施例が1(ml)以下の低い起泡性を示すのに対して、ポリオキシエチレンを添加した比較例3は10(ml)との高い起泡性を示した。さらに、各実施例が沈殿・分離のない低温安定性を示したのに対して、クエルセチンを添加した比較例2は2週間放置後に沈殿物を生成した。
【0035】
以上の比較試験結果を振り返ると、比較例1の冷却液、すなわち、実施例1〜8の基剤、およびその基剤と同等な基剤を全成分とする冷却液は、導電率、不凍性については良好な結果を示すものの、防食性(防錆性)の観点からは、燃料電池スタック冷却用の冷却液として不向きである。また、ノニオン性物質であってもクエルセチンを添加した比較例2の冷却液は低温安定性が悪く沈殿物が生成する。同じくノニオン性物質であっても非イオン性界面活性剤を添加した比較例3は、泡立ち性が高く、キャビテーションが発生する可能性がある。
【0036】
これにより、実施例1〜8の冷却液の組成は、低導電性、防錆性、高熱伝達性および不凍性を備えるとともに、特にアルミ防食性に優れ、起泡性が小さく、低温安定性に優れており、燃料電池スタック用の冷却液として好適であることが分かる。
【0037】
次に、上記冷却液を冷媒として備える燃料電池のスタック冷却システムについて図1および図2参照して説明する。図1は本発明の実施の形態が適用され得る燃料電池スタック冷却システムの構成図である。図2は、単電池20の積層構造を示す分解斜視図である。
【0038】
図1において、燃料電池10のスタック12は積層配置された複数の単電池20から構成されている。単電池20は空気極21、燃料極22、空気極21および燃料極22に挟まれたマトリックス(電解質)23、燃料極22および空気極21の外側面に配置される緻密質カーボン製のセパレータ24を備えている。そして、この単電池20が数層積み上げられる毎にセパレータ24上にアルミニウム製の冷却セパレータ30が配置される。
【0039】
本実施例において、セパレータ24は、端部セパレータ40、中央セパレータ50のいずれかとして構成されている。冷却セパレータ30およびこれらのセパレータ40、50は、積層面が正方形状である板状に形成されている。冷却セパレータ30、端部セパレータ40および中央セパレータ50には、その周辺部の2カ所(図2中の上部両隅)に、断面が円形の冷却液孔81,82が形成されている。この冷却液孔81,82は、上記スタックを形成した際、スタックを積層方向に貫通する冷却液の流路を形成する。また、上記三種類のセパレータの積層面の各辺の縁付近には、それぞれの辺に沿って、細長い一対の燃料ガス孔83,84および一対の酸化ガス孔85,86が形成されている。この燃料ガス孔83,84および酸化ガス孔85,86は、スタックを形成した際、水素を含有する燃料ガスおよび酸素を含有する酸化ガスの流路を、スタックの積層方向に貫通して形成する。
【0040】
この冷却セパレータ30は、冷却液通路を介して外部冷却回路32と接続され、冷却セパレータ30を含めて冷却回路34が構成される。冷却セパレータ30の片面(図2中裏面側)には、対向する酸化ガス孔85,86間を連絡する複数の平行な溝状のリブ63が形成されている。リブ63は、スタックを形成した際には隣接する空気極21との間に酸化ガス流路を形成する。また、冷却セパレータ30の他面(図2中正面側)には、既述した冷却液孔81,82間を連絡する葛折状の溝87が形成されている。スタックを形成する際には、冷却セパレータ30は、端部セパレータ40と隣接し、このとき溝87は、端部セパレータ40のフラットな面との間で冷却液路を形成する。
【0041】
端部セパレータ40の片面(図2中正面側)には、対向する燃料ガス孔83,84間を連絡する複数の平行な溝状のリブ62が形成されている。リブ62は、スタックを形成した際には隣接する燃料極22との間に燃料ガス流路を形成する。端部セパレータ40の他面(図2中裏面側)は、溝構造のないフラットな面となっている。
【0042】
中央セパレータ50の片面(図2中正面側)には、対向する燃料ガス孔83,84間を連絡する複数の平行な溝状のリブ62が形成されている。リブ62は、スタックを形成した際には隣接する燃料極22との間に燃料ガス流路を形成する。中央セパレータ50の他面(図2中裏面側)には、対向する酸化ガス孔85,86間を連絡し、リブ62と直交する複数の溝状のリブ63が形成されている。リブ63は、スタックを形成した際には、隣接する空気極21との間に酸化ガス流路を形成する。
【0043】
なお、上記セパレータ24(40、50)は、緻密質カーボンによって形成することとしたが、導電性を有する他の部材によって形成することとしてもよい。例えば、剛性および伝熱性を重視して、銅合金やアルミニウム合金などの金属で形成してもよい。
【0044】
冷却回路内の冷却液には、上記冷却液(すなわち、実施例1〜8の冷却液)が用いられており、また、これら冷却液を冷却回路34内に封入する際には、不活性ガス、例えば、窒素ガスが共に封入される。したがって、冷却回路34内の空気および冷却液中の溶存酸素は窒素ガスにて置換され、溶存酸素に起因する冷却液の劣化が防止される。このことは、上記実施例における試験結果によって裏付けられる。
【0045】
図3を参照して上記冷却液の製造方法について説明する。図3は本発明の冷却液を製造する工程の概略を示す説明図である。
【0046】
図3において、先ず、イオン交換水およびエチレングリコールを用いて基剤を調整する。例えば、製造後冷却液においてエチレングリコールが50重量%となるように、防錆添加剤の添加量も考慮して調整する(工程1)。続いて、ポリグリセリンおよび/またはポリビニルアルコールを用いて防錆添加剤を調整する(工程2)。基剤と防錆添加剤を調整した後、基剤と防錆添加剤とを混合させて混合溶液とする(工程3)。混合に際しては、撹拌を同時に実行しても良い。最後に、イオン交換樹脂膜を用いて混合溶液を濾過(精製)して、混合溶液中のイオン化物質を除去する(工程4)。イオン交換樹脂膜によって精製された混合溶液が本発明の冷却液となる。
【0047】
なお、イオン交換樹脂で精製する場合、イオン交換樹脂膜、繊維状のイオン交換樹脂を用いて精製しても良いし、イオン交換樹脂粒子で充填したカラムに被精製液を通して精製しても良い。また、基剤と防錆添加剤との混合液とイオン交換樹脂を所定時間撹拌し、PTFE製の濾過膜によって混合液を精製しても良い。イオン交換樹脂を使用するに当たっては、混合液を精製する前に、酸溶液(例えば、濃塩酸)によって処理し、イオン交換樹脂に吸着されている金属イオンを除去しておくと良い。
【0048】
以上、実施例に基づき本発明に係る燃料電池冷却液を説明してきたが、上記した実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0049】
また、図1および図2の燃料電池スタック冷却システムの構成図は例示であり、不活性ガスと共に封入される本発明の冷却液を冷却回路の冷媒として備える冷却システムであればこれに限られない。
【0050】
さらに、上記各実施例においては、特に、冷却板を含む冷却回路にアルミニウム材料が用いられることを想定した。しかしながら、冷却回路に他の材料が用いられることを妨げるものでない。
【0051】
【発明の効果】
本発明のように、水を含む基剤からなる冷却液に、防錆添加剤としてポリグリセリンおよび/またはポリビニルアルコールとを添加することにより、燃料電池スタック用の冷却液として低導電性、防錆性、高熱伝達性および不凍性を備えるとともに、特にアルミ防食性に優れ、起泡性が小さく、低温安定性に優れた燃料電池用冷却液が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例が適用され得る燃料電池スタック冷却システムの構成図である。
【図2】単電池20の積層構造を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係る冷却液を製造する工程の概略を示す説明図である。
【符号の説明】
10…燃料電池、12…スタック、20…単電池、21…空気極、22…燃料極、23…マトリックス、24…セパレータ、30…冷却セパレータ、32…外部冷却回路、34…冷却回路、40…端部セパレータ、50…中央セパレータ、62、63…リブ、81、82…冷却液孔、83、84…燃料ガス孔、85、86…酸化ガス孔、87…溝。
Claims (10)
- 水を含む基剤からなり、防錆添加剤としてポリグリセリンおよび/またはポリビニルアルコールを含む冷却液。
- 前記基剤はさらに、グリコール類を含む混合溶液であることを特徴とする請求項1に記載の冷却液。
- 前記防錆添加剤は、前記冷却液を導電率50μS/cm未満とすることを特徴とする請求項1または2に記載の冷却液。
- 前記冷却液は、イオン交換樹脂によって精製されたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の冷却液。
- 前記冷却液は、脱酸素処理されたものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の冷却液。
- 請求項1から5のいずれかに記載の冷却液が燃料電池用であることを特徴とする燃料電池用冷却液。
- 請求項1から5のいずれかに記載の冷却液が車両搭載用燃料電池用であることを特徴とする車両搭載用燃料電池用冷却液。
- 請求項1から7のいずれかに記載の冷却液に対して脱酸素処理を施し、脱酸素処理された前記冷却液を不活性ガスと共に燃料電池の冷却回路に封入する方法。
- 請求項1から7のいずれかに記載の冷却液と不活性ガスとが封入されている冷却回路とを備える燃料電池の冷却システム。
- 水を含む基剤を調整し、前記基剤に防錆添加剤としてポリグリセリンおよび/またはポリビニルアルコールを添加し、イオン交換樹脂を用いて前記基剤と前記防錆添加剤との混合溶液を精製する冷却液の製造方法。
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