JP2004353009A - 冷却水路を有する金属部材の保管方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属部材内に配設された冷却用等の冷却水路の防錆を行なう冷却水路を有する金属部材の保管方法を目的とするものである。
【解決手段】金属部材1の内部に形成された冷却水路2の発錆を防止するため、絶縁支持された金属部材1の冷却水路2の一端開口をプラグ2aで閉塞するとともに冷却水路2の他端開口に冷却水路2内に水を充満させる水供給装置5を接続して、冷却水路2内全体を水で充填したうえ、前記金属部材1を陰極として接続する電気防食装置4の陽極を前記水供給装置5の水中に配置することにより、金属部材には電子が供給されて酸化を防止できるうえに還元を図ることができるので、冷却水路2を長期間にわたって防食することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】金属部材1の内部に形成された冷却水路2の発錆を防止するため、絶縁支持された金属部材1の冷却水路2の一端開口をプラグ2aで閉塞するとともに冷却水路2の他端開口に冷却水路2内に水を充満させる水供給装置5を接続して、冷却水路2内全体を水で充填したうえ、前記金属部材1を陰極として接続する電気防食装置4の陽極を前記水供給装置5の水中に配置することにより、金属部材には電子が供給されて酸化を防止できるうえに還元を図ることができるので、冷却水路2を長期間にわたって防食することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属部材の内部に張り巡らされた冷却水路の防錆を行なう冷却水路を有する金属部材の保管方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷却水路を形成した金型等の金属部材は冷却水路が腐食すると狭窄や閉塞が生じる。冷却水路が腐食により狭窄したり閉塞したりすると冷却不足や冷却不良による成形不良や金型の過熱に起因するクラックが発生して金型が損傷されるという問題があった。金型にクラックが発生すると鋳造成形中に冷却水が漏れて水蒸気爆発を起こす恐れがあった。金属部材の冷却水路における酸化現象は、例えば、鉄(Fe)では水中の酸素(O)が金属部材(Fe)から電子(e−)を奪ってイオン化(Fe2+)し、鉄(Fe)から電子(e−)を受け取った酸素は水酸イオン(OH−)になる。そして水酸イオン(OH−)はイオン化された鉄(Fe2+)と結合して水酸化第一鉄(Fe(OH)2)として金属表面に析出する。水酸化第一鉄(Fe(OH)2)はさらに酸素(O)と結合して水酸化第二鉄(Fe(OH)3)となり、水酸化第二鉄(Fe(OH)3)が赤錆(FeO(OH))になる。このようにして生じる錆は、金型を連続使用しているときには抑えられるが、金型交換等により使用していた金型から冷却水を抜き成形機から外して保管する時、金型が熱い状態で冷却水路が空気に触れるので錆が一気に発生するという問題があった。このような水路の発錆を防ぐものとしては、電気防食装置を水路に組み込むものがある(例えば、非特許文献1)。しかし、非特許文献1の配管の防錆システムでは配管中を常時水が流れているので電気防食を比較的簡単に行なうことができるが、条件によっては発錆を抑えることが難しい場合があった。それは配管中を流れる水が管内に充満されていれば供給される電子により防錆効果を発揮できるが、配管内に70〜80%の水しか流れていない場合や、水が流れなくなるような配管では、電子が供給されず防錆効果を発揮できなかった。また例え、管内に水が充満されていたとしても流動水のため気泡が発生するうえに、電気防食により発生する酸素や水素等のガスが管内に溜まり、電子の供給が充分とはならず防錆効果が発揮できないという問題があった。
【0003】
【非特許文献1】日立造船富岡機械、ドクターホーワ資料室・電気の力でカビの進行を防ぎ配管の延命をする技術・電子防錆システム、インターネット<URL:http://www.hoowaa.co.jp/d_h/data/91003_rustarrestor.html>
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は金属部材内に配設された冷却水路の防錆を行なう冷却水路を有する金属部材の保管方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を達成するため本発明は、絶縁支持された金属部材の冷却水路の一端開口をプラグで閉塞するとともに冷却水路の他端開口に冷却水路内に水を充満させる水供給装置を接続し、また前記金属部材に電気防食装置の陰極を接続するとともに前記水供給装置の水中に陽極を配置する冷却水路を有する金属部材の保管方法を請求項1の発明とし、請求項1の発明において、水供給装置が冷却水路より高い位置に配置される冷却水路を有する金属部材の保管方法を請求項2の発明とし、請求項1または2の発明において、水供給装置と接続される冷却水路の他端開口を上方に配置させる冷却水路を有する金属部材の保管方法を請求項3の発明とし、請求項1から3の発明において、水中の電導度を高める薬剤を添加した冷却水路を有する金属部材の保管方法を請求項4の発明とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。
1は内部に冷却水路2を張り巡らした金型等の金属部材であり、該金属部材1の冷却水路2は鋳造時、一体に成形したり、鋳造時、金属配管をインサート成形したものとしたり、内部に金属製の配管を配設したりするものとする。そして冷却水路2の一端開口をプラグ2aにより閉塞するととも他端開口を後記する水供給装置5に接続するものとしている。プラグ2aで閉塞される冷却水路2の一端開口は金属部材1の下側に配置させ、水供給装置5に接続される他端開口は金属部材1の上部に配置させるものとする。このことにより水中の気泡や通電により発生する酸素、水素ガス等を外部に排除しやすくなる。また金属部材1は絶縁製受け台3により絶縁支持されるものとする。
【0007】
4は電気防食装置であり、該電気防食装置4の陰極は前記金属部材1に接続され、電気防食装置4の陽極は後記する水供給装置5の水中に配置されるものとしている。金属部材1に接続される陰極は陽極から最も離れた位置とすることが、電子(e−)を末端まで供給するうえから好ましい。また電気防食装置4は30V、20mA以上の微弱電流を流して水に電子(e−)を供給するものである。電気防食装置4は水中に電子(e−)を供給し、水(H2O)の酸素(O)により金属部材1から電子(e−)が奪われてイオン化(Fe2+)することを防止したり、金属部材1から奪われた電子(e−)を取り戻す還元作用を行なったり、水中の酸素(O)に電子(e−)を与えて水酸イオン(OH−)としたりすることにより水中の溶存酸素量を低下させて、水中の酸素(O)により金属部材1から電子(e−)が奪われて水酸イオン(OH−)に変えられることを抑制するものである。これは金属部材1から奪われた電子(e−)により生成された水酸イオン(OH−)がイオン化した鉄(Fe2+)と結合して水酸化第一鉄(Fe(OH)2)を表面に析出させ、さらに水酸化第一鉄(Fe(OH)2)が酸素(O)と結合して水酸化第二鉄(Fe(OH)3)となり、水酸化第二鉄(Fe(OH)3)から赤錆(FeO(OH))が発生することを防止する。また電気防食装置4の電源は電池記号で表示されているが、具体的にはAC電源を直流に変換したり、外部の直流電源から供給したりするものとする。
【0008】
5は金属部材1の冷却水路2内に水を充填供給する水供給装置であり、該水供給装置5は冷却水路より高い位置に配置されるものとして、水位を高くし水圧により冷却水路2内の隅々まで水が充填されるようにしている。また水供給装置5の給水口5a(金属部材1の他端開口)は冷却水路2より上方に配置することにより、水中に生じる気泡や酸素、水素ガス等が冷却水路2内から排除されやすいものとしている。具体的には金属部材1の上面や上方側面に配置するものとしている。また水供給装置5より供給される水に安息香酸ナトリウムを添加すれば電導度をより高めて防錆効果をより一層高いものとすることができる。また6は水供給装置5の貯水タンクである。
【0009】
7は貯水タンク6に水を補給する補給水装置であり、該補給水装置7は外部水源に接続されるとともに貯水タンク6とは電気的に絶縁されたものとしている。
【0010】
このように構成されたものは、先ず、金型交換により水抜きされて成形機から取り外された金型としての金属部材1を絶縁製受け台3上に載置する。続いて、金属部材1の冷却水路2の一端開口にプラグ2aを挿し込んで冷却水路2を閉塞する。続いて、冷却水路2の他端開口に水供給装置5の給水口5aを接続して冷却水路2内に安息香酸ナトリウムを添加した水を充填する。水を供給する際に発生する気泡は上昇して、金属部材1の上部に形成された他端開口(給水口5a)より水供給装置5内に入り込み貯水タンク6の開口より外気中に放散されることとなる。
【0011】
次いで、電気防食装置4を起動して30V、20mA以上の微弱電流を流せば、電子(e−)は陰極としての金属部材1に向かって移動するので、金属部材1から電子(e−)が奪われてイオン化(Fe2+)する酸化作用を防止したり、金属部材1から奪われた電子(e−)を取り戻す還元作用をしたりするものである。さらに水中の酸素(O)に電子(e−)を与えて水酸イオン(OH−)とすることにより、水中の酸素濃度を低減して金属部材から電子(e−)が奪われて水酸イオン(OH−)に変わることを抑制できるので、金属部材から電子(e−)が奪われた水酸イオン(OH−)により金属小部品Pの表面に水酸化第一鉄(Fe(OH)2)が析出し、該水酸化第一鉄(Fe(OH)2)がさらに酸素と結合して水酸化第二鉄(Fe(OH)3)となり、水酸化第二鉄(Fe(OH)3)から赤錆(FeO(OH))が発生することを的確に防止でき、長期間にわたり金属部材1としての金型を保管しても冷却水路2の発錆は確実に防止されることとなり、金型として再使用する際に、冷却水路2が赤錆により狭窄したり閉塞したりすることがないので、成形時に冷却不良その他のトラブルを発生することがない。
【0012】
なお、前記好ましい実施の形態では、金属部材を鉄としているが、アルミニウムや銅その他金属全てに有効なことは勿論である。
【0013】
また前記好ましい実施の形態では、水中に安息香酸ナトリウムを添加して電導度を高めているが、電導度を高める薬剤であれば安息香酸ナトリウムに限定されるものでないことは勿論である。
【0014】
【発明の効果】
本発明は前記説明によっても明らかなように、絶縁支持された金属部材の冷却水路の一端開口をプラグで閉塞するとともに冷却水路の他端開口に冷却水路内に水を充満させる水供給装置を接続し、また前記金属部材に電気防食装置の陰極を接続するとともに前記水供給装置の水中に陽極を配置するものとすることにより、保管中の金属部材の冷却水路が酸化することを的確に防止することができるうえに、冷却水路に発生した錆を還元することができることとなる。
請求項2のように、水供給装置が冷却水路より高い位置に配置されることにより、水圧により冷却水路内の隅々まで水が行き渡るので、金属部材の冷却水路の還元が不十分となることを的確に防止できることとなる。
請求項3のように、水供給装置と接続される冷却水路の他端開口を上方に配置させることにより、水中の気泡や酸素、水素ガス等は上方に移動して速やかに外部に除去することができるので、気泡に起因する防食・還元不良や酸素や水素ガスによる防食・還元作用への悪影響を低減できる。
請求項4のように、水中の電導度を高める薬剤を添加することにより、水中の電導度を高めて防食や還元作用を高めることができる等種々の利点を有するものである。
従って、本発明は従来の問題点を解消した冷却水路を有する金属部材の保管方法として業界の発展に寄与するところ極めて大なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態を示す概略図である。
【符号の説明】
1 金属部材
2 冷却水路
2a プラグ
4 電気防食装置
5 水供給装置
【発明の属する技術分野】
本発明は金属部材の内部に張り巡らされた冷却水路の防錆を行なう冷却水路を有する金属部材の保管方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷却水路を形成した金型等の金属部材は冷却水路が腐食すると狭窄や閉塞が生じる。冷却水路が腐食により狭窄したり閉塞したりすると冷却不足や冷却不良による成形不良や金型の過熱に起因するクラックが発生して金型が損傷されるという問題があった。金型にクラックが発生すると鋳造成形中に冷却水が漏れて水蒸気爆発を起こす恐れがあった。金属部材の冷却水路における酸化現象は、例えば、鉄(Fe)では水中の酸素(O)が金属部材(Fe)から電子(e−)を奪ってイオン化(Fe2+)し、鉄(Fe)から電子(e−)を受け取った酸素は水酸イオン(OH−)になる。そして水酸イオン(OH−)はイオン化された鉄(Fe2+)と結合して水酸化第一鉄(Fe(OH)2)として金属表面に析出する。水酸化第一鉄(Fe(OH)2)はさらに酸素(O)と結合して水酸化第二鉄(Fe(OH)3)となり、水酸化第二鉄(Fe(OH)3)が赤錆(FeO(OH))になる。このようにして生じる錆は、金型を連続使用しているときには抑えられるが、金型交換等により使用していた金型から冷却水を抜き成形機から外して保管する時、金型が熱い状態で冷却水路が空気に触れるので錆が一気に発生するという問題があった。このような水路の発錆を防ぐものとしては、電気防食装置を水路に組み込むものがある(例えば、非特許文献1)。しかし、非特許文献1の配管の防錆システムでは配管中を常時水が流れているので電気防食を比較的簡単に行なうことができるが、条件によっては発錆を抑えることが難しい場合があった。それは配管中を流れる水が管内に充満されていれば供給される電子により防錆効果を発揮できるが、配管内に70〜80%の水しか流れていない場合や、水が流れなくなるような配管では、電子が供給されず防錆効果を発揮できなかった。また例え、管内に水が充満されていたとしても流動水のため気泡が発生するうえに、電気防食により発生する酸素や水素等のガスが管内に溜まり、電子の供給が充分とはならず防錆効果が発揮できないという問題があった。
【0003】
【非特許文献1】日立造船富岡機械、ドクターホーワ資料室・電気の力でカビの進行を防ぎ配管の延命をする技術・電子防錆システム、インターネット<URL:http://www.hoowaa.co.jp/d_h/data/91003_rustarrestor.html>
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は金属部材内に配設された冷却水路の防錆を行なう冷却水路を有する金属部材の保管方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を達成するため本発明は、絶縁支持された金属部材の冷却水路の一端開口をプラグで閉塞するとともに冷却水路の他端開口に冷却水路内に水を充満させる水供給装置を接続し、また前記金属部材に電気防食装置の陰極を接続するとともに前記水供給装置の水中に陽極を配置する冷却水路を有する金属部材の保管方法を請求項1の発明とし、請求項1の発明において、水供給装置が冷却水路より高い位置に配置される冷却水路を有する金属部材の保管方法を請求項2の発明とし、請求項1または2の発明において、水供給装置と接続される冷却水路の他端開口を上方に配置させる冷却水路を有する金属部材の保管方法を請求項3の発明とし、請求項1から3の発明において、水中の電導度を高める薬剤を添加した冷却水路を有する金属部材の保管方法を請求項4の発明とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。
1は内部に冷却水路2を張り巡らした金型等の金属部材であり、該金属部材1の冷却水路2は鋳造時、一体に成形したり、鋳造時、金属配管をインサート成形したものとしたり、内部に金属製の配管を配設したりするものとする。そして冷却水路2の一端開口をプラグ2aにより閉塞するととも他端開口を後記する水供給装置5に接続するものとしている。プラグ2aで閉塞される冷却水路2の一端開口は金属部材1の下側に配置させ、水供給装置5に接続される他端開口は金属部材1の上部に配置させるものとする。このことにより水中の気泡や通電により発生する酸素、水素ガス等を外部に排除しやすくなる。また金属部材1は絶縁製受け台3により絶縁支持されるものとする。
【0007】
4は電気防食装置であり、該電気防食装置4の陰極は前記金属部材1に接続され、電気防食装置4の陽極は後記する水供給装置5の水中に配置されるものとしている。金属部材1に接続される陰極は陽極から最も離れた位置とすることが、電子(e−)を末端まで供給するうえから好ましい。また電気防食装置4は30V、20mA以上の微弱電流を流して水に電子(e−)を供給するものである。電気防食装置4は水中に電子(e−)を供給し、水(H2O)の酸素(O)により金属部材1から電子(e−)が奪われてイオン化(Fe2+)することを防止したり、金属部材1から奪われた電子(e−)を取り戻す還元作用を行なったり、水中の酸素(O)に電子(e−)を与えて水酸イオン(OH−)としたりすることにより水中の溶存酸素量を低下させて、水中の酸素(O)により金属部材1から電子(e−)が奪われて水酸イオン(OH−)に変えられることを抑制するものである。これは金属部材1から奪われた電子(e−)により生成された水酸イオン(OH−)がイオン化した鉄(Fe2+)と結合して水酸化第一鉄(Fe(OH)2)を表面に析出させ、さらに水酸化第一鉄(Fe(OH)2)が酸素(O)と結合して水酸化第二鉄(Fe(OH)3)となり、水酸化第二鉄(Fe(OH)3)から赤錆(FeO(OH))が発生することを防止する。また電気防食装置4の電源は電池記号で表示されているが、具体的にはAC電源を直流に変換したり、外部の直流電源から供給したりするものとする。
【0008】
5は金属部材1の冷却水路2内に水を充填供給する水供給装置であり、該水供給装置5は冷却水路より高い位置に配置されるものとして、水位を高くし水圧により冷却水路2内の隅々まで水が充填されるようにしている。また水供給装置5の給水口5a(金属部材1の他端開口)は冷却水路2より上方に配置することにより、水中に生じる気泡や酸素、水素ガス等が冷却水路2内から排除されやすいものとしている。具体的には金属部材1の上面や上方側面に配置するものとしている。また水供給装置5より供給される水に安息香酸ナトリウムを添加すれば電導度をより高めて防錆効果をより一層高いものとすることができる。また6は水供給装置5の貯水タンクである。
【0009】
7は貯水タンク6に水を補給する補給水装置であり、該補給水装置7は外部水源に接続されるとともに貯水タンク6とは電気的に絶縁されたものとしている。
【0010】
このように構成されたものは、先ず、金型交換により水抜きされて成形機から取り外された金型としての金属部材1を絶縁製受け台3上に載置する。続いて、金属部材1の冷却水路2の一端開口にプラグ2aを挿し込んで冷却水路2を閉塞する。続いて、冷却水路2の他端開口に水供給装置5の給水口5aを接続して冷却水路2内に安息香酸ナトリウムを添加した水を充填する。水を供給する際に発生する気泡は上昇して、金属部材1の上部に形成された他端開口(給水口5a)より水供給装置5内に入り込み貯水タンク6の開口より外気中に放散されることとなる。
【0011】
次いで、電気防食装置4を起動して30V、20mA以上の微弱電流を流せば、電子(e−)は陰極としての金属部材1に向かって移動するので、金属部材1から電子(e−)が奪われてイオン化(Fe2+)する酸化作用を防止したり、金属部材1から奪われた電子(e−)を取り戻す還元作用をしたりするものである。さらに水中の酸素(O)に電子(e−)を与えて水酸イオン(OH−)とすることにより、水中の酸素濃度を低減して金属部材から電子(e−)が奪われて水酸イオン(OH−)に変わることを抑制できるので、金属部材から電子(e−)が奪われた水酸イオン(OH−)により金属小部品Pの表面に水酸化第一鉄(Fe(OH)2)が析出し、該水酸化第一鉄(Fe(OH)2)がさらに酸素と結合して水酸化第二鉄(Fe(OH)3)となり、水酸化第二鉄(Fe(OH)3)から赤錆(FeO(OH))が発生することを的確に防止でき、長期間にわたり金属部材1としての金型を保管しても冷却水路2の発錆は確実に防止されることとなり、金型として再使用する際に、冷却水路2が赤錆により狭窄したり閉塞したりすることがないので、成形時に冷却不良その他のトラブルを発生することがない。
【0012】
なお、前記好ましい実施の形態では、金属部材を鉄としているが、アルミニウムや銅その他金属全てに有効なことは勿論である。
【0013】
また前記好ましい実施の形態では、水中に安息香酸ナトリウムを添加して電導度を高めているが、電導度を高める薬剤であれば安息香酸ナトリウムに限定されるものでないことは勿論である。
【0014】
【発明の効果】
本発明は前記説明によっても明らかなように、絶縁支持された金属部材の冷却水路の一端開口をプラグで閉塞するとともに冷却水路の他端開口に冷却水路内に水を充満させる水供給装置を接続し、また前記金属部材に電気防食装置の陰極を接続するとともに前記水供給装置の水中に陽極を配置するものとすることにより、保管中の金属部材の冷却水路が酸化することを的確に防止することができるうえに、冷却水路に発生した錆を還元することができることとなる。
請求項2のように、水供給装置が冷却水路より高い位置に配置されることにより、水圧により冷却水路内の隅々まで水が行き渡るので、金属部材の冷却水路の還元が不十分となることを的確に防止できることとなる。
請求項3のように、水供給装置と接続される冷却水路の他端開口を上方に配置させることにより、水中の気泡や酸素、水素ガス等は上方に移動して速やかに外部に除去することができるので、気泡に起因する防食・還元不良や酸素や水素ガスによる防食・還元作用への悪影響を低減できる。
請求項4のように、水中の電導度を高める薬剤を添加することにより、水中の電導度を高めて防食や還元作用を高めることができる等種々の利点を有するものである。
従って、本発明は従来の問題点を解消した冷却水路を有する金属部材の保管方法として業界の発展に寄与するところ極めて大なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施の形態を示す概略図である。
【符号の説明】
1 金属部材
2 冷却水路
2a プラグ
4 電気防食装置
5 水供給装置
Claims (4)
- 絶縁支持された金属部材の冷却水路の一端開口をプラグで閉塞するとともに冷却水路の他端開口に冷却水路内に水を充満させる水供給装置を接続し、また前記金属部材に電気防食装置の陰極を接続するとともに前記水供給装置の水中に陽極を配置することを特徴とする冷却水路を有する金属部材の保管方法。
- 水供給装置が冷却水路より高い位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の冷却水路を有する金属部材の保管方法。
- 水供給装置と接続される冷却水路の他端開口を上方に配置させることを特徴とする請求項1または2に記載の冷却水路を有する金属部材の保管方法。
- 水中の電導度を高める薬剤を添加したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の冷却水路を有する金属部材の保管方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003149010A JP2004353009A (ja) | 2003-05-27 | 2003-05-27 | 冷却水路を有する金属部材の保管方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003149010A JP2004353009A (ja) | 2003-05-27 | 2003-05-27 | 冷却水路を有する金属部材の保管方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004353009A true JP2004353009A (ja) | 2004-12-16 |
Family
ID=34045237
Family Applications (1)
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JP2003149010A Withdrawn JP2004353009A (ja) | 2003-05-27 | 2003-05-27 | 冷却水路を有する金属部材の保管方法 |
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JP (1) | JP2004353009A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013221174A (ja) * | 2012-04-16 | 2013-10-28 | Toyota Motor Corp | 鋳造装置 |
CN105665634A (zh) * | 2016-01-25 | 2016-06-15 | 宁波钰烯阴极保护材料有限责任公司 | 一种管状硅铁阳极生产工艺流程 |
KR101925514B1 (ko) * | 2015-04-24 | 2018-12-06 | 한국생산기술연구원 | 금형 냉각유로의 부식방지 방법 |
-
2003
- 2003-05-27 JP JP2003149010A patent/JP2004353009A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013221174A (ja) * | 2012-04-16 | 2013-10-28 | Toyota Motor Corp | 鋳造装置 |
KR101925514B1 (ko) * | 2015-04-24 | 2018-12-06 | 한국생산기술연구원 | 금형 냉각유로의 부식방지 방법 |
CN105665634A (zh) * | 2016-01-25 | 2016-06-15 | 宁波钰烯阴极保护材料有限责任公司 | 一种管状硅铁阳极生产工艺流程 |
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