JP2005129244A - 超音波接合装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電線を接合対象物と繰り返し接合しても、該電線を十分な強度で接合対象物に確実に接合できる超音波接合装置を提供する。
【解決手段】超音波接合装置1は電線と接合対象物としての第2の電線とを挟むチップ14とアンビルとを備えている。チップ14のアンビルに相対する端面17には複数の溝18が形成されている。溝18は直線状に形成され互いに平行に配されている。互いに隣り合う溝18間は断面山形に形成され尖っている。溝18の内面19は曲面状に形成されている。溝18の幅dは電線の芯線の素線の外径の100%以上でかつ150%以下である。溝18の深さhは電線の芯線の素線の外径の1/2の5%以上でかつ80%以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は、被覆電線と、例えば他の被覆電線などの接合対象物とを接合する超音波接合装置に関する。
移動体としての自動車には、種々の電子機器が搭載される。前記自動車は、前記電子機器にバッテリなどの電源から電力や制御装置から制御信号などを伝えるためにワイヤハーネスを配索している。前述したワイヤハーネスは、複数の電線と、電線同士を電気的に接続したジョイント部などを備えている。
前記電線は、それぞれ、導電性の芯線と、該芯線を被覆する絶縁性の被覆部とを備えている。前記ジョイント部は、前記電線の所定箇所の被覆部が除去されて、露出した芯線をジョイント端子などで加締めて構成される。このため、ワイヤハーネスは、電線同士を電気的に接続するためにジョイント端子を用いている。このため、ワイヤハーネスは、部品点数が増加するとともに大型化する傾向であった。
本発明の出願人は、前述した問題点を解決するために、電線同士を近づける方向に加圧した状態で、一方の電線に超音波振動エネルギを付与することで、前記電線の芯線同士を接合(金属結合)することを提案している(特許文献1参照)。
また、前述したワイヤハーネスの電線には、それぞれの芯線に外部からのノイズが侵入することがある。このノイズの侵入を防止するために、シールド電線を用いることがある。シールド電線は、導電性を有する編組からなるシールド部を備えている。このシールド部が、前記芯線内にノイズが侵入することを防止する。
ここで、近年、前述したワイヤハーネスの低コスト化を図ることが望まれている。このために、前記シールド部を備えない電線を複数本束ね、これらの複数本の電線に薄膜の導体層を有する導体薄膜シートを巻き付けて、ワイヤハーネスを構成することが提案されている。このような構成にすることによって、低コスト化とノイズの侵入防止とを図ることができる。
また、このような構成においても、前記ノイズを取り出すために、前記導体層にアース電線または端子などを取り付ける必要がある。アース電線は、導電性の芯線と、絶縁性の被覆部とを備えている。芯線は、複数の素線からなる。被覆部は絶縁性の合成樹脂からなり、前記芯線を被覆している。
前記導体層にアース電線などを取り付けるために、導体薄膜シートに孔を開けて、該孔に前述したアース電線などの端部を通した後、ワッシャ、ボルト、ナットなどを用いて導体薄膜シートとアース電線とを固定することが考えられる。
この場合、前記アース電線の被覆部の一部を除去するなどの皮むき作業が必要となり、組み立てにかかる工数が増加することが考えられる。また、ワッシャ、ボルト、ナットなどの部品が必要になるので、部品点数が増加する。したがって、コストが高騰することが考えられる。さらに、前述したボルトとナットなどを締め付ける際に、導体層が破損して、確実に前述したアース電線を導体層に接続できないことが考えられる。このため、電線の芯線に侵入しようとするノイズを、外部に逃がすことが困難となる。
前述した課題を解決するために、本発明の出願人は、導体薄膜シートとアース電線とを重ねて、これらを近づける方向に加圧した状態で、超音波振動エネルギを付与することを提案している(特許文献2参照)。超音波振動エネルギを付与することにより、前記導体薄膜シートの導体層とアース電線の芯線とを金属結合(接合)する。こうして、導体薄膜シートの導体層とアース電線とを電気的に接続する。
特許文献1及び特許文献2では、前述した電線同士の接合及び電線と導体薄膜シートとの接合の際には、周知の超音波接合装置を用いる。
前記超音波接合装置は、駆動源としての圧電振動子により振動(超音波振動)されるチップ(工具ホーンともいう)と、このチップに相対するアンビルと、を備えている。超音波接合装置は、前記チップとアンビルとの間に接合対象物としての電線などを挟み、チップとアンビルとを互いに近づける方向に加圧して、前記圧電振動子により前記チップを振動させて、接合対象物を接合する。
前述した超音波接合装置で接合対象物としての電線を接合する際には、チップを振動させると、電線の被覆部が溶けて、該電線の芯線を構成する複数の素線がばらばらになって、これらの素線それぞれに前述した超音波振動が十分に伝わらないことがあった。このため、従来から周知の超音波接合装置では、電線の芯線を他の接合対象物と確実に接合することが困難である傾向であった。
この種の問題を解決するために、本発明の出願人は、チップとアンビルの互いに相対する端面の少なくとも一方に格子状の溝を形成することを提案している(図15ないし図18にチップ100に溝101を設けた例を示し、特許文献3参照)。この特許文献3に示された超音波接合装置は、超音波接合中にチップ100とアンビルとの間で電線の各素線が位置ずれすることを防止して、電線の各素線を接合対象物と確実に接合できるようにしている。
特開2002−50443号公報 特開2002−50236号公報 特願2002−280730号
図15ないし図18に例示された超音波接合装置のチップ100では、前述した溝101が断面V字状に形成されているとともに、互いに隣り合う溝101間が逆V字状の突起102に形成されている。このため、前述した電線などの超音波接合を繰り返し行うと、前述したチップ100とアンビルとが前述した端面から徐々に摩耗して、前述した溝101間の尖った突起102が特に摩耗する。
このため、前述した特許文献3に示された超音波接合装置では、前述した電線などを繰り返し超音波接合すると、前述した溝101間の突起102が徐々に摩耗して、超音波接合中に電線の各素線を徐々に十分に加圧出来なくなり、該素線それぞれに前述した超音波振動を徐々に十分に伝えることができなくなる傾向であった。したがって、前述した特許文献3に示された超音波接合装置では、電線を繰り返し超音波接合すると、電線の各素線を接合対象物と徐々に接合できなくなる傾向であった。
したがって、本発明の目的は、電線を接合対象物と繰り返し接合しても、該電線を十分な強度で接合対象物に確実に接合できる超音波接合装置を提供することにある。
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の超音波接合装置は、駆動源により振動されるチップと、前記チップに相対するアンビルと、を備え、前記チップとアンビルとの間に電線と接合対象物とを挟んで、前記駆動源によりチップを振動させて該振動を前記電線に伝えることで、前記電線と接合対象物とを互いに接合する超音波接合装置において、前記電線は、複数の素線からなる芯線と該芯線を被覆する被覆部とを備えており、前記チップの前記アンビルに相対する端面と、前記アンビルの前記チップに相対する端面とのうち少なくとも一方に、互いに平行な直線状の溝を複数形成し、かつそれぞれの溝の内面を曲面状に形成するとともに、互いに隣り合う溝間を断面山形に形成し、各溝内に前記素線を位置付けて、前記チップとアンビルとの間に前記電線と接合対象物とを挟んでこれらを接合することを特徴としている。
請求項2に記載の本発明の超音波接合装置は、請求項1に記載の超音波接合装置において、前記溝を、前記電線の素線と同数設けたことを特徴としている。
請求項3に記載の本発明の超音波接合装置は、請求項1または請求項2に記載の超音波接合装置において、前記溝の幅は、前記素線の外径の100%以上でかつ150%以下であり、前記溝の前記端面からの深さは、前記素線の外径の1/2の5%以上でかつ80%以下であることを特徴としている。
請求項1に記載した本発明の超音波接合装置によれば、内面が曲面状の溝が形成されているとともに超音波接合中に溝内に素線を位置付けるので、超音波接合中に各素線が位置ずれすることを防止できる。
また、溝の内面が曲面に形成され互いに隣り合う溝間が断面山形に形成されているとともに、超音波接合中に溝内に素線を位置付ける。このため、超音波接合中に素線と溝の内面とが接触して、これらの接触した箇所からチップが摩耗する。
請求項2に記載した本発明の超音波接合装置によれば、溝が素線と同数設けられている。このため、超音波接合中に確実に素線が溝内に位置付けられる。
請求項3に記載した本発明の超音波接合装置によれば、溝の幅が素線の外径の100%以上でかつ150%以下であるため、超音波接合中に溝内に確実に素線を位置付けることができる。また、溝の深さが素線の外径の1/2の5%以上でかつ80%以下であるため、溝内に位置付けた素線を接合対象物に確実に加圧することができる。
本発明では、溝の幅が素線の外径の105%以上でかつ120%以下であるのが望ましい。この場合、超音波接合中に溝内に確実に素線を位置付けることができる。
本発明では、溝の幅が素線の外径の107%以上でかつ115%以下であるのが望ましい。この場合、超音波接合中に溝内に確実に素線を位置付けることができる。
本発明では、溝の深さが素線の外径の1/2の7%以上でかつ70%以下であるのが望ましい。この場合、溝内に位置付けた素線を接合対象物に確実に加圧することができる。
本発明では、溝の深さが素線の外径の1/2の30%以上でかつ55%以下であるのが望ましい。この場合、溝内に位置付けた素線を接合対象物に確実に加圧することができる。
以上説明したように、請求項1に記載の本発明は、超音波接合中に素線に接触する溝の曲面状の内面からチップが摩耗するため、溝全体が深くなるように、チップが摩耗する。このため、チップが摩耗しても、溝が曲面状に保たれるとともに、互いに隣り合う溝間が断面山形に保たれる。したがって、チップが摩耗しても則ち超音波接合を繰り返し行っても、チップの形状を保つことができ、超音波接合中に電線の各素線を確実に加圧出来る。そして、更に、素線それぞれに前述した超音波振動を確実に十分に伝えることができ、電線の各素線を接合対象物と確実に十分な強度で接合することができる。
請求項2に記載の本発明は、超音波接合中に確実に素線が溝内に位置付けられるので、超音波接合中に電線の各素線を確実に加圧出来るとともに、素線それぞれに前述した超音波振動を確実に十分に伝えることができる。したがって、超音波接合を繰り返し行っても、電線の各素線を接合対象物と確実に十分な強度で接合することができる。
請求項3に記載の本発明は、超音波接合中に溝内に確実に素線を位置付けることができ、溝内に位置付けた素線を接合対象物に確実に加圧することができるので、素線それぞれに前述した超音波振動を確実に十分に伝えることができる。したがって、超音波接合を繰り返し行っても、電線の各素線を接合対象物と確実に十分な強度で接合することができる。
溝の幅が素線の外径の105%以上でかつ120%以下である場合には、超音波接合中に溝内に確実に素線を位置付けることができるので、素線それぞれに前述した超音波振動を確実に十分に伝えることができる。したがって、超音波接合を繰り返し行っても、電線の各素線を接合対象物と確実に十分な強度で接合することができる。
溝の幅が素線の外径の107%以上でかつ115%以下である場合には、超音波接合中に溝内により確実に素線を位置付けることができるので、素線それぞれに前述した超音波振動をより確実に十分に伝えることができる。したがって、超音波接合を繰り返し行っても、電線の各素線を接合対象物とより確実に十分な強度で接合することができる。
溝の深さが素線の外径の1/2の7%以上でかつ70%以下である場合には、溝内に位置付けた素線を接合対象物に確実に加圧することができるので、素線それぞれに前述した超音波振動を確実に十分に伝えることができる。したがって、超音波接合を繰り返し行っても、電線の各素線を接合対象物と確実に十分な強度で接合することができる。
溝の深さが素線の外径の1/2の30%以上でかつ55%以下である場合には、溝内に位置付けた素線を接合対象物に確実に加圧することができるので、素線それぞれに前述した超音波振動をより確実に十分に伝えることができる。したがって、超音波接合を繰り返し行っても、電線の各素線を接合対象物とより確実に十分な強度で接合することができる。
以下、本発明の一実施形態にかかる超音波接合装置1を、図1ないし図10に基づいて説明する。図1などに示す超音波接合装置1は、図5及び図6に示すように、電線2と第2の電線3とを互いに電気的に接続するために用いられる。なお、第2の電線3は、本明細書に記した接合対象物をなしている。
電線2は、断面形状が丸形に形成されている。電線2は、図5及び図6に示すように、導電性の芯線4と、絶縁性の被覆部5とを備えている。芯線4は、複数の素線6からなる。素線6は、断面丸形に形成され、かつ銅、銅合金などの導電性の金属からなる。複数の素線6が撚り合わされて、芯線4が構成されている。図示例では、芯線4は、7本の素線6からなる。被覆部5は、絶縁性の合成樹脂からなり、前記芯線4を被覆している。
第2の電線3は、前記電線2と構成が同一である。このため、第2の電線3の電線2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。電線2と第2の電線3とは、互いに直交した状態で重ねられている。電線2と第2の電線3には、前記芯線4の素線6同士が接合(金属結合)した接合箇所Sが形成されている。接合箇所Sの近傍では、被覆部5同士が溶着している。
図1に示す超音波接合装置1は、電線2と第2の電線3を重ねて、これらを互いに近づける方向に加圧して、これらの電線2と第2の電線3に超音波振動エネルギを付与することにより、芯線4の素線6同士を接合する。また、本明細書でいう超音波振動エネルギとは、超音波接合装置1が接合対象物を接合させる際に、該接合対象物に与えるエネルギを示している。超音波振動エネルギとは、例えば、後述の電源10が発振器11に印加する際の電力値(W:ワット数)に、前記電源10が発振器11に印加する時間を、かけて得られるエネルギである。
超音波接合装置1は、図1に示すように、電源10と、発振器11と、駆動源としての圧電振動子12と、ホーン13と、チップ14(工具ホーンともいう)と、このチップ14に相対するアンビル15を備えている。電源10は、前記発振器11に印加する。
発振器11は、電源10によって印加させると駆動源としての圧電振動子12を振動させる。圧電振動子12には、ホーン13が取り付けられている。ホーン13の先端部には、チップ14が取り付けられている。このため、圧電振動子12は、ホーン13などを介してチップ14を振動させる。このとき、チップ14は、チップ14とアンビル15とが互いに接離(相対)する方向に対し直交する矢印Wに沿って振動する。なお、接離とは、互いに近づいたり離れたりする方向である。チップ14とアンビル15は、互いの間に電線2と接合対象物としての第2の電線3を挟むことができる。なお、チップ14とアンビル15の詳細な構成は、後ほど説明する。
超音波接合装置1は、チップ14とアンビル15との間に互いに接合する接合対象物を挟み、これらのチップ14とアンビル15とを互いに近づける方向に加圧した状態で、発振器11で圧電振動子12を振動させてこの振動をホーン13経由でチップ14に伝える。そして、超音波接合装置1は、チップ14を矢印Wに沿って振動して、チップ14とアンビル15との間に挟んだ接合対象物に超音波振動エネルギ(振動又は超音波振動ともいう)を与えて該対象物を接合する。
チップ14は、四角柱状に形成されており、図2ないし図4に示すように、アンビル15と相対する平坦な端面17を備えている。チップ14は、更に、前記端面17に直線状の溝18を複数形成している。溝18は、それぞれ端面17から凹に形成されている。複数の溝18は、互いに平行である。溝18の長手方向は、電線2の長手方向と平行である。
溝18の内面19は、図3などに示すように、断面曲面状に形成されている。本実施形態では、溝18の内面19は、断面形状が楕円形状に形成されている。互いに隣り合う溝18間は、アンビル15に向かって凸の断面山形に形成されており、前記溝18の長手方向に直交(交差)する断面において、その先端が尖っている。また、溝18は、前述した電線2の素線6の数以上設けられている。本実施形態では、溝18は、電線2の素線6と同数設けられている。
また、溝18の長手方向に直交する方向の幅d(図2及び図3などに示す)は、前記素線6の外径r(図7に示す)の100%以上150%以下に形成されている。則ち、溝18は、素線6より太く形成されている。さらに、溝18の端面17から内面19の底19aまでの深さhは、前記素線6の外径rの1/2の5%以上80%以下に形成されている。則ち、溝18の深さhは、素線6の外径rの1/2より浅い。なお、底19aとは、溝18の長手方向に直交する断面において、前記内面19の端面17から最も離れた箇所をなしている。また、内面19には、電線2と第2の電線3の素線6同士の接合中に、電線2の素線6が接触する。則ち、電線2と第2の電線3の素線6同士の接合中に、電線2の素線6は、溝18内に収容される(内に位置付けられる)。
アンビル15は、図7及び図8に示すように、チップ14に相対する端面24が平坦に形成されている。アンビル15の端面24は、チップ14の端面17と平行である。
前述した構成の超音波接合装置1を用いて、電線2と第2の電線3の芯線4の素線6同士を接合する際は、まず、アンビル15の端面24上に第2の電線3を重ね、さらに、第2の電線3に電線2を重ねる。このとき、電線2と第2の電線3とを互いに直交した状態にする。そして、図7に示すように、チップ14とアンビル15との間に電線2と第2の電線3とを挟む。
電線2,3が互いに近づく方向(密着する方向)に、チップ14とアンビル15とを加圧する。この状態で、発振器11で圧電振動子12を振動する。この振動は、ホーン13を経由してチップ14に伝わる。チップ14が、アンビル15に対して矢印Wに沿って振動して、チップ14の振動が電線2に伝わる。すると、チップ14とアンビル15との間に位置する電線2,3の被覆部5が溶ける。
チップ14とアンビル15とが互いに近づく方向に加圧されているため、溶けた電線2,3の被覆部5が、電線2の芯線4と第2の電線3の芯線4との間から除去される。そして、電線2の複数の素線6が端面17,24に沿って並ぶとともに、第2の電線3の複数の素線6が端面17,24に沿って並ぶ。さらに、電線2の素線6が、図8に示すように、底19aに接触して、溝18内に収容される。
そして、図8に示すように、電線2の各素線6が、第2の電線3の各素線6に接触する。接触すると、電線2の各素線6と第2の電線3の各素線6とが溶融しない状態で固相のまま互いに金属結合する。その後、圧電振動子12の振動を止める。すると、電線2,3の被覆部5が溶けているので、圧電振動子12の振動を止めてから温度が下がるにしたがって徐々に固まり、電線2,3の被覆部5が互いに溶着する。こうして、接合箇所Sで、芯線4の素線6同士が接合し、被覆部5同士が溶着する。
こうして、電線2,3の芯線4を構成する複数の素線6同士は、いわゆる超音波接合(超音波溶接または超音波溶着ともいう)によって互いに接合される。こうして、電線2,3同士を接合(電気的及び機械的に接続)する。
次に、本発明の発明者らは、溝18の幅dと深さhとが互いに異なるチップ14を複数製造した。これらのチップ14を用いて、電線2と第2の電線3とを接合して、接合した電線2,3の接合強度を測定した。接合箇所Sで素線6を同士を分離するために必要な力を測定することで、前述した接合強度を測定した。結果を図9及び図10に示す。
図9は、溝18の幅dに変化に対する接合強度の変化を示している。溝18の深さhが異なっても、接合強度は、図9中の実線で示すように変化した。なお、図9中の縦軸の接合強度は、溝18の幅dと、素線6の外径rとが等しい時の電線2と第2の電線3との接合強度を100%として示している。また、図9中の横軸は、溝18の幅dと素線6の外径rとの比をパーセントで示している。即ち、図9中の横軸は、溝18の幅dを素線6の外径rで除して、100を掛けて得た値を示している。
図9によれば、溝18の幅dを素線6の外径rの100%以上でかつ150%以下とすると、電線2,3同士の接合強度は、溝18の幅dと素線6の外径rとが等しい時の接合強度以上になることが明らかとなった。また、溝18の幅dを素線6の外径rの100%未満または150%を越えるようにすると、電線2,3同士の接合強度は、溝18の幅dと素線6の外径rとを等しい時の接合強度より低くなることが明らかとなった。さらに、溝18の幅dを素線6の外径rの100%より徐々に小さくする又は150%より徐々に大きくすると、電線2,3同士の接合強度は、溝18の幅dと素線6の外径rとを等しい時の接合強度より徐々に低くなることが明らかとなった。
図10は、溝18の深さhに変化に対する接合強度の変化を示している。溝18の幅dが異なっても、接合強度は、図10中の実線で示すように変化した。なお、図10中の縦軸の接合強度は、溝18の深さhと、素線6の外径rの1/2とが等しい時の電線2と第2の電線3との接合強度を100%として示している。また、図10中の横軸は、溝18の深さhと素線6の外径rの1/2との比をパーセントで示している。即ち、図10中の横軸は、溝18の深さhを素線6の外径rの1/2で除して、100を掛けて得た値を示している。
図10によれば、溝18の深さhを素線6の外径rの1/2の5%以上でかつ80%以下とすると、電線2,3同士の接合強度は、溝18の深さhと素線6の外径rの1/2とが等しい時の接合強度の125%以上になることが明らかとなった。また、溝18の深さhを素線6の外径rの1/2の5%より徐々に小さくする又は80%より徐々に大きくすると、電線2,3同士の接合強度は、溝18の深さhを素線6の外径rの1/2の5%以上でかつ80%以下にした時の接合強度より徐々に低くなることが明らかとなった。
次に、本発明の発明者らは、比較例として図15などに示した従来のチップ100と、本発明品として前述した溝18を形成したチップ14とを製造し、これらのチップ14,100などを用いて、電線2と第2の電線3との接合を繰り返し複数実施した。結果を以下の表1に示す。
Figure 2005129244
上記表1は、1回目に接合した電線2,3の接合強度を100%として、接合強度を示している。図15などに示した比較例では、電線2と第2の電線3との接合を行うのにしたがって、互いに隣り合う溝101間の突起102が徐々に摩耗することが明らかとなった。さらに、表1によると、比較例は、突起102の摩耗にしたがって、電線2,3同士の接合強度が徐々に低下することが明らかとなった。さらに、比較例は、電線2,3同士の接合を2500回行うと、摩耗して前述した突起102が消滅してしまうことが明らかとなった。
上記した比較例に対し、本発明品は、溝18の底19aなどに素線6が接触することで、電線2と第2の電線3との接合を行って摩耗する際に、図3中の点線から一点線、二点鎖線に順に示すように、溝18の底19aを含む内面19全体が摩耗する。このため、本発明品は、電線2,3同士の接合を繰り返し行ってチップ14が摩耗しても、溝18の形状が電線2,3同士を接合する前の形状に保たれることとなる。さらに、表1によると、本発明品は、電線2,3同士の接合を繰り返し行っても、電線2,3同士の接合強度が殆ど低下しないことが明らかとなった。
本実施形態によれば、内面19が曲面状に溝18が形成されているとともに超音波接合中に溝18内に素線6を位置付けるので、超音波接合中に各素線6が位置ずれすることを防止できる。
また、溝18の内面19が曲面状に形成され互いに隣り合う溝18間が断面山形に形成されているとともに、超音波接合中に溝18内に素線6を位置付ける。このため、超音波接合中に素線6と溝18の内面19とが接触して、これらの接触した箇所からチップ14が摩耗する。このため、溝18全体が深くなるように、チップ14が摩耗する。このため、チップ14が摩耗しても、溝18が曲面状に保たれるとともに、互いに隣り合う溝18間が断面山形に保たれる。
したがって、チップ14が摩耗しても則ち超音波接合を繰り返し行っても、チップ14の形状を保つことができ、超音波接合中に電線2の各素線6を確実に加圧出来る。そして、更に、素線6それぞれに前述した超音波振動を確実に十分に伝えることができ、電線2の各素線6同士を確実に十分な強度で接合することができる。
また、前述した実施形態では、溝18が電線2の素線6と同数設けられている。このため、超音波接合中に確実に素線6が溝18内に位置付けられる。このため、超音波接合中に電線2の各素線6を確実に加圧出来るとともに、素線6それぞれに前述した超音波振動を確実に十分に伝えることができる。したがって、超音波接合を繰り返し行っても、電線2,3の素線6同士を確実に十分な強度で接合することができる。
溝18の幅dが素線6の外径rの100%以上でかつ150%以下であるため、超音波接合中に溝18内に確実に素線6を位置付けることができる。また、溝18の深さhが素線6の外径rの1/2の5%以上でかつ80%以下であるため、溝18内に位置付けた素線6を第2の電線3の素線6に確実に加圧することができる。これにより、素線6それぞれに前述した超音波振動を確実に十分に伝えることができる。したがって、図9に示す実験結果によると、溝18の幅dが素線6の外径rと等しい場合より強い接合強度で電線2,3の素線6同士を接合できる。さらに、図10に示す実験結果によると、溝18の深さhが素線6の外径rの1/2と等しい場合の125%以上の接合強度で電線2,3の素線6同士を接合できる。
本実施形態では、溝18の幅dを素線6の外径rの105%以上でかつ120%以下としても良い。この場合、図9に示す実験結果によると、溝18の幅dが素線6の外径rと等しい場合の125%以上の接合強度で電線2,3の素線6同士を接合できる。したがって、超音波接合を繰り返し行っても、電線2,3同士の素線6を確実に十分な強度で接合することができる。
また、本実施形態では、溝18の幅dを素線6の外径rの107%以上でかつ115%以下としても良い。この場合、図9に示す実験結果によると、溝18の幅dが素線6の外径rと等しい場合の130%以上の接合強度で電線2,3の素線6同士を接合できる。したがって、超音波接合を繰り返し行っても、電線2,3同士の素線6を確実に十分な強度で接合することができる。
本実施形態では、溝18の深さhを素線6の外径rの1/2の7%以上でかつ70%以下としても良い。この場合、図10に示す実験結果によると、溝18の深さhが素線6の外径rの1/2と等しい場合の130%以上の接合強度で電線2,3の素線6同士を接合できる。したがって、超音波接合を繰り返し行っても、電線2,3同士の素線6を確実に十分な強度で接合することができる。
本実施形態では、溝18の深さhを素線6の外径rの1/2の30%以上でかつ55%以下としても良い。この場合、図10に示す実験結果によると、溝18の深さhが素線6の外径rの1/2と等しい場合の140%以上の接合強度で電線2,3の素線6同士を接合できる。したがって、超音波接合を繰り返し行っても、電線2,3同士の素線6を確実に十分な強度で接合することができる。
前述した実施形態では、溝18の内面19の断面形状を、楕円形状に形成している。しかしながら、本発明では、図11及び図12に示すように、溝18の内面19の断面形状を、円弧状に形成しても良い。図11及び図12に示す例では、溝18の長手方向に直交する断面形状を円弧状にしている。なお、図11及び図12に示す例において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
さらに、前述した実施形態では、電線2,3同士を接合している。しかしながら、本発明では、図13に示すように、電線2を、接合対象物としての導体薄膜シート40に接合しても良い。なお、図13において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
導体薄膜シート40は、アルミニウムやアルミニウム合金などの導電性の金属からなりシート状に形成されている。前記電線2の芯線4の各素線6と導体薄膜シート40とが接合(金属結合)した接合箇所Sが設けられている。この場合、導体薄膜シート40をアンビル15の平坦な端面24に重ね、更に電線2を重ねて、チップ14とアンビル15とで導体薄膜シート40と電線2とを挟んで超音波接合する。
また、前述した実施形態では、チップ14に複数の溝18を設けている。しかしながら、本発明では、特に電線2と接合対象物としての第2の電線3とを接合する際に、図14(a)及び(b)に示すように、アンビル15に前述した構成の溝18を複数設けても良い。この場合、勿論、アンビル15の端面24に溝18を設ける。図14(a)及び(b)に示す例では、チップ14とアンビル15との双方に溝18を設けている。しかしながら、本発明では、チップ14とアンビル15との少なくとも一方に溝18を複数設ければよい。則ち、チップ14に溝18を設けずに、アンビル15のみに溝18を設けても良い。なお、図14(a)及び(b)に示す例において、溝18の長手方向は、電線2,3の長手方向と平行であり、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
本発明の一実施形態にかかる超音波接合装置の概略の構成を示す説明図である。 図1に示された超音波接合装置のチップの一部を拡大して示す斜視図である。 図2に示されたチップの正面図である。 図3中の矢印IV方向からみたチップの端面の平面図である。 図1に示された超音波接合装置で接合された電線と第2の電線を示す斜視図である。 図5中のVI−VI線に沿った断面図である。 図1に示された超音波接合装置のチップとアンビルとの間に電線と第2の電線を挟んだ状態を示す説明図である。 図7に示された状態から電線と第2の電線の素線同士を接合した状態を示す説明図である。 図2に示されたチップの溝の幅と接合強度との関係を示す説明図である。 図2に示されたチップの溝の深さと接合強度との関係を示す説明図である。 図2に示されたチップの変形例を拡大して示す斜視図である。 図11に示されたチップの正面図である。 本発明の超音波接合装置で接合された電線と導体薄膜シートを示す斜視図である。 図1に示された超音波接合装置のチップとアンビルの変形例を示す説明図である。(a)は、図1に示された超音波接合装置のチップとアンビルの変形例を示す断面図である。(b)は、図14(a)中のXIVB−XIVB線に沿う断面図である。 従来の超音波接合装置のチップの一例を示す正面図である。 図15中の矢印XVI方向からみたチップの平面図である。 図16中のXVII−XVII線に沿った断面図である。 図16中のXVIII−XVIII線に沿った断面図である。
符号の説明
1 超音波接合装置
2 電線
3 第2の電線(接合対象物)
4 芯線
5 被覆部
6 素線
12 圧電振動子(駆動源)
14 チップ
15 アンビル
17 端面
18 溝
19 内面
24 端面
40 導体薄膜シート(接合対象物)
d 溝の幅
h 溝の深さ
r 素線の外径

Claims (3)

  1. 駆動源により振動されるチップと、前記チップに相対するアンビルと、を備え、前記チップとアンビルとの間に電線と接合対象物とを挟んで、前記駆動源によりチップを振動させて該振動を前記電線に伝えることで、前記電線と接合対象物とを互いに接合する超音波接合装置において、
    前記電線は、複数の素線からなる芯線と該芯線を被覆する被覆部とを備えており、
    前記チップの前記アンビルに相対する端面と、前記アンビルの前記チップに相対する端面とのうち少なくとも一方に、互いに平行な直線状の溝を複数形成し、かつそれぞれの溝の内面を曲面状に形成するとともに、互いに隣り合う溝間を断面山形に形成し、
    各溝内に前記素線を位置付けて、前記チップとアンビルとの間に前記電線と接合対象物とを挟んでこれらを接合することを特徴とする超音波接合装置。
  2. 前記溝を、前記電線の素線と同数設けたことを特徴とする請求項1記載の超音波接合装置。
  3. 前記溝の幅は、前記素線の外径の100%以上でかつ150%以下であり、
    前記溝の前記端面からの深さは、前記素線の外径の1/2の5%以上でかつ80%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の超音波接合装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012221915A (ja) * 2011-04-14 2012-11-12 Yazaki Corp アルミ電線用超音波接合装置

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