(A)第1の実施形態
以下、本発明による印刷管理サーバ及び印刷管理プログラムの第1の実施形態を図面を参照しながら説明する。
(A−1)第1の実施形態の構成
第1の実施形態に係る印刷ネットワークシステムは、図1に示すように、ファイル登録指示装置2、コンテンツ提供サーバ3、プリントオンデマンドサーバ4、印刷ファイルデータベース5、プリンタデバイス6及びプリンタコントローラ7を有し、ファイル登録指示装置2、コンテンツ提供サーバ3、プリントオンデマンドサーバ4及びプリンタコントローラ7がインターネットなどの通信網1を介して接続されている。ここで、プリントオンデマンドサーバ4には、印刷ファイルデータベース5が関連して設けられており、プリンタコントローラ7には、プリンタデバイス6が関連して設けられている。
なお、図1では、通信網との接続機能を有する全ての要素2〜4、7が同一の通信網1を介して接続し得るように示しているが、2要素間の接続に係る通信網は、その2要素間の組合せによって異なるものであっても良い。
また、図1においては、各要素2〜7を1個ずつ示しているが、複数存在しても良く、ファイル登録指示装置2、コンテンツ提供サーバ3、プリンタデバイス6、プリンタコントローラ7などは、複数存在することを前提としている。
本発明の印刷管理サーバには、プリントオンデマンドサーバ4が該当することもあり、コンテンツ提供サーバ3が該当することもあり、プリントオンデマンドサーバ4及びコンテンツ提供サーバ3に双方が該当することもある。以下では、印刷管理サーバに、主として、プリントオンデマンドサーバ4が該当しているとして説明を行う。また、第1の実施形態の場合、プリンタデバイス6及びプリンタコントローラ7の組が、リモート印刷端末になっている。
ファイル登録指示装置2は、ユーザに係る情報処理端末が該当する。ファイル登録指示装置2は、パソコンであっても良く、携帯電話などのデータ通信機能を有する携帯端末であっても良い。ファイル登録指示装置2は、通信網1がインターネットの場合であれば、ブラウザ機能を有することを要する。
ファイル登録指示装置2は、プリントオンデマンドサーバ4に対し、プリンタデバイス6によって印刷させるファイル情報を登録(印刷予約)させるものである。登録させるファイル情報は、当該ファイル登録指示装置2から送信するものであっても良く、コンテンツ提供サーバ3からプリントオンデマンドサーバ4に転送させるものであっても良い。なお、後者の場合には、ファイル登録指示装置2からコンテンツ提供サーバ3にアクセスして、プリントオンデマンドサーバ4に与えるようにしても良い。
コンテンツ提供サーバ3は、例えば、コンテンツ提供会社(コンテンツプロバイダ)のサーバが該当し、ファイル登録指示装置2又はプリントオンデマンドサーバ4とのデータ授受により、ユーザが印刷を希望するコンテンツ(ファイル情報)を、プリントオンデマンドサーバ4に与えるものである。なお、後述する動作説明においては、プリントオンデマンドサーバ4からコンテンツ提供サーバ3に、コンテンツ(ファイル情報)が要求され、そのときに、プリントオンデマンドサーバ4にコンテンツ(ファイル情報)を送信するものとしている。
プリントオンデマンドサーバ4は、ファイル情報の登録、ファイル情報の印刷などに対する課金、ユーザ管理、セキュリティ管理、プリンタコントローラ(プリンタデバイスをも含む)管理、印刷履歴管理などを統合的に行うサーバであり、印刷ネットワークサービスを提供するものである。
プリントオンデマンドサーバ4には、後述する特徴的な動作を実行させるための各種のプログラム(印刷管理プログラム)4Pがインストールされており、上述した各種の管理などを行うものである。印刷管理プログラム4Pは、プログラムROMに格納されているものであっても良く、CD−ROMなどの記録媒体を介してプリントオンデマンドサーバ4にインストールされたものであっても良く、ある装置からのダウンロードによって、プリントオンデマンドサーバ4にインストールされたものであっても良く、さらには、キー入力などによって、プリントオンデマンドサーバ4にインストールされたものであっても良い。
印刷ファイルデータベース5は、印刷用のファイル情報を保管するデータベースであり、この第1の実施形態の場合には、プリントオンデマンドサーバ4により制御されるものである。
プリンタデバイス6は、コンビニエンスストアや駅などに設置されているプリンタもしくはプリント機能を有する機器(複合機、FAX、複写機など)であり、プリンタコントローラ7の制御下で、印刷用ファイル情報を印刷するものである。
プリンタコントローラ7は、例えば、MMK(multimedia kiosk)端末が該当し、プリンタデバイス6を制御して、通信網1側から与えられた印刷用ファイル情報をプリンタデバイス6によって印刷出力させるものである。なお、プリンタコントローラ7は、プリンタデバイス6内の機能としてプリンタデバイス6内に包含されていても良い。また、1台のプリンタコントローラ7が、後述するように、複数のプリンタデバイス6を制御するものであっても良い。
ファイル登録指示装置2は、パソコンや、携帯電話などのデータ通信機能を有する携帯端末であるので、その詳細構成の説明は省略する。
コンテンツ提供サーバ3は、図2に示すように、全体を制御する制御部3a、情報出力装置3b、情報入力装置3c、データベース3d、通信網1と接続される情報通信部3eなどを有する。
制御部3aは、例えば、CPU、ROM、RAMやCPUが実行するソフトウェアなどが該当し、情報通信部3eが受信した通信情報を解析したり、ユーザが必要とするコンテンツ(ファイル情報)をデータベース3dより取り出して情報通信部3eから送信させたりなどするものである。
情報出力装置3bは、例えば、プリンタやディスプレイや外部記憶装置のアクセス部などが該当し、データベース3dに格納されているコンテンツやジャーナルなどを保守作業者等に出力するものである。
情報入力装置3cは、例えば、キーボード、マウス、OCR、外部記憶装置のアクセス部などが該当し、データベース3dへ格納させるコンテンツやその更新情報などを入力するものである。
データベース3dは、例えば、外部記憶装置が該当し、種々のコンテンツやジャーナルなどを記憶しているものである。
情報通信部3eは、例えば、通信ボードや通信ソフトウェアなどが該当し、プリントオンデマンドサーバ4から通信網1を介して供給される通信情報を受信したり、データベース3dから取り出したコンテンツや、制御部3aからの送信情報を通信網1を介してプリントオンデマンドサーバ4に送信したりなどするものである。
プリントオンデマンドサーバ4は、図3に示すように、全体を制御する制御部4a、管理用メモリ4b、通信網1と接続される情報通信部4c、格納部4d、圧縮モジュール4eなどを有する。その他、管理情報などの入出力に供する情報入力装置や情報出力装置も設けられている。
制御部4aは、例えば、CPU、ROM、RAMやCPUが実行するソフトウェア(印刷管理プログラム4P)などが該当し、情報通信部4cから供給される通信情報を解析して所定の処理を行ったり、受信したファイル情報を印刷ファイルデータベース5に登録したり、必要なファイル情報を印刷ファイルデータベース5から読み出して格納部4dに格納したり、ファイル情報を格納部4dより取り出して情報通信部4cから送信したりなどするものである。制御部4aは、ファイル登録指示装置2から受信したファイル登録要求などに基づいてファイル登録処理(印刷予約処理)を行うと共に、印刷指示時に必要となる印刷用識別番号を生成し、この生成した印刷用識別番号と、ユーザの識別番号(又はファイル登録指示装置2の識別番号)と、印刷ファイル情報の特定情報との対応などを、管理用メモリ4bの印刷管理テーブル4b2に登録したりするものである。
管理用メモリ4bは、例えば、外部記憶装置が該当し、登録場所テーブル4b1、印刷管理テーブル4b2、ユーザ管理テーブル4b3、判断テーブル4b4などを有する。その他、コンテンツ提供会社への支払い額情報なども管理するメモリ部なども有する。
登録場所テーブル4b1は、図4に例示するように、印刷ファイルデータベース5における各ファイル情報の格納位置情報と、ファイル情報の特定情報(例えばファイル名)との対応などを記憶しているものである。
印刷管理テーブル4b2は、図5に例示するように、また上述したように、印刷用識別番号と、ユーザの識別番号(又はファイル登録指示装置2の識別番号)と、印刷用のファイル情報の特定情報との対応などを記憶しているものである。
ユーザ管理テーブル4b3は、図6に例示するように、当該実施形態での印刷サービスを受けることが可能なユーザの識別番号(又はファイル登録指示装置2の識別番号)と、ユーザの氏名住所などの情報と、利用状況のジャーナルとの対応などを記憶しているものである。
判断テーブル4b4は、プリンタデバイス6側にファイル情報を転送する際に、圧縮モジュール4eが圧縮方法などを判断するための情報が格納されている。判断テーブル4b4は、図7に例示するように、ページサイズテーブル4b41、イメージデータ圧縮方法決定テーブル4b42、プリンタコントローラテーブル4b43、プリンタデバイステーブル4b44などに分かれている。
ページサイズテーブル4b41は、後述する圧縮サイズを予想するための情報を含む。すなわち、用紙サイズ、解像度及びカラー/モノクロの組み合わせ毎に、仮に、ラスタデータで作成した場合での予想圧縮サイズと圧縮方式(印刷データの格納形式(例えばJPEG))とを記述している。
イメージデータ圧縮方法決定テーブル4b42は、印刷に用いるプリンタデバイス6の解像度及びカラー/モノクロと、印刷データの格納形式(圧縮方式)との組み合わせ毎に、ラスタデータの具体的な圧縮方法と圧縮パラメータとを記述している。図7の第2行は、例えば、プリンタデバイス6が600dpiのカラープリンタであり、印刷に供するラスタデータがJPEGで格納されている場合、圧縮方式としてJPEGを用い、圧縮パラメータとして解像度を300dpiにすること(従って圧縮率を1/30にすること)を指示している。
プリンタコントローラテーブル4b43は、プリンタコントローラ7毎に設けられ、かつ、そのプリンタコントローラ7に接続されているプリンタデバイス6に係るプリンタデバイステーブル4b44とリンクされている。プリンタコントローラテーブル4b43は、回線速度や、圧縮の優先度や、接続されているプリンタデバイス6などを含み、プリンタデバイステーブル4b44は、印刷速度や解像度やカラー/モノクロ対応などを含む。圧縮の優先度は、例えば、プリンタコントローラ7の回線速度などのシステム的な要因や、プリンタコントローラ7が良く利用されるなどのビジネス的な要因などに基づいて複数段階(例えば3段階)のいずれかに設定される。
情報通信部4cは、例えば、通信ボードや通信ソフトウェアなどが該当し、ファイル登録指示装置2やプリンタコントローラ7やコンテンツ提供サーバ3側との通信を実行するものである。
格納部4dは、例えば、半導体メモリ群が該当し、プリンタデバイス6側へ転送するファイル情報を一時的に格納するものである。言い換えると、格納部4dは、圧縮待ち行列の格納部として機能する。
圧縮モジュール4eは、例えば、圧縮専用のハードウェアで構成されていても良く、CPU、ROM、RAM(制御部4aを構成するものと同じであっても良い)やCPUが実行するソフトウェア(圧縮プログラム(印刷管理プログラム4Pの一部分))で構成されていても良く、プリンタデバイス6側へ転送するファイル情報の圧縮有無や圧縮方法などを判断テーブル4b4を参照しながら判断し、適宜、圧縮を実行するものである。
印刷ファイルデータベース5は、例えば、プリントオンデマンドサーバ4に関連して設けられている外部記憶装置及びそのアクセス構成が該当するが、その詳細構成の説明は省略する。
印刷ファイルデータベース5に格納された印刷用のファイル情報は、図8に例示するように、印刷データ本体に加え、ファイルサイズ、印刷ページ数、解像度、カラー/モノクロの情報を含んでいる。PDLやPDFで記述された印刷データ本体は、通常、図9に示すように、ページ毎に記述されており、各ページに対する描画コマンドを含んでいる。描画コマンドは、ライン(Line)やテキスト(Text)といったベクトルデータと、Bitmap:JPEGといったラスタデータとが混在してなる。
図10は、プリンタデバイス6及びプリンタコントローラ7の詳細構成例を示すブロック図である。
プリンタコントローラ7は、分散処理サーバとして用いられるものであり、図9に示すように、全体を制御する制御部7aを有する。この制御部7aには、通信網1と接続されるネットワークインターフェース7b、印刷すべきファイル情報が適宜格納されるHDD(他の記憶装置でも良い)7c、収容している1又は複数のプリンタデバイス6とのデータ転送バス(例えばSCSIバス)を介した通信インタフェースを行うプリンタインターフェース7d−1、7d−2、操作表示部7e、圧縮ファイル情報の展開を必要に応じて行う展開モジュール7fなどが接続されている。
なお、図10は、1台のプリンタコントローラ7が収容し得るプリンタデバイス6が2台の場合を示している。プリンタデバイス6は、純粋なプリンタでも良く複写機でも良く、複合機でも良く、図10では、複写機の場合を示している。操作表示部7eは、操作部と表示部に分離されているものでも良いが、タッチパネルなどの操作部と表示部とが融合されているものでも良い。展開モジュール7fは、ソフトウェアによって実現されている場合には制御部7aと融合して構成されていても良い。
一方、複写機が該当するプリンタデバイス6にも、全体を制御する制御部6aが設けられている。この制御部6aは、その動作の制御を司るCPU、このプリンタデバイス6の動作のソフトウェアが格納されているROM、画像データやその他動作上のデータが一時格納されるRAMなどにより構成されている。
制御部6aには、自動原稿送り装置(ADF)6b、スキャナ部6c、プリンタ部6d、操作パネル6e、HDD6f、コントローラインターフェース6gが接続されている。
自動原稿送り装置6b及びスキャナ部6cは、複写機としての一般的なものである。プリンタ部6dは、スキャナ部6cによる原稿の読取り画像データのプリントを行うだけでなく、プリンタコントローラ7から与えられた印刷画像データのプリントを行うものである。
操作パネル6eは、タッチパネル内蔵の液晶表示部とテンキーなどのハードキーで構成される表示入力部として用いられ、タッチパネルやハードキーにより種々の操作や設定などの指示が入力されると共に、液晶表示部に操作案内やエラー時のエラー内容の案内などが表示されるものである。なお、ファイル情報を印刷させるための操作を、プリンタコントローラ7の操作表示部7eに対して行うようなものであっても良い。
HDD6fは、印刷に供するデータが格納されるハードディスクで代表される外部記憶装置であり、印刷画像データも適宜記憶される。なお、圧縮ファイル情報の展開をプリンタデバイス6が行うようにしても良く、この場合には、HDD6fに圧縮ファイル情報が格納された後、展開が実行される。
コントローラインターフェース6gは、データ転送バスを介してプリンタコントローラ7と接続され、ファイル情報の授受を行うものである。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する印刷ネットワークシステムの動作を図面を参照しながら説明する。
(A−2−1)印刷に供するファイル情報の登録動作
まず、ユーザが、プリンタデバイス6で印刷させるファイル情報を登録(印刷予約)させる際のシステム動作を、図11に示すシーケンス図を参照しながら説明する。
プリンタデバイス6で印刷させる印刷ファイル情報は、ユーザがファイル登録指示装置2から送信させる場合と、コンテンツ提供サーバ3から取り出す場合とがあるが、以下の説明は、後者であるとして行う。
ユーザは、ファイル登録指示装置2に対し、プリントオンデマンドサーバ4に係るファイル登録用Webページの取出し操作を行い、ファイル登録指示装置2は、通信網1側に選択されたファイル登録用Webページの送信要求(例えばURL)を送信し(S1)、プリントオンデマンドサーバ4は、ファイル登録用Webページをファイル登録指示装置2に返信し(S2)、ファイル登録指示装置2はそのファイル登録用Webページを表示する(S3)。
ユーザは、ファイル登録用Webページの所定の入力フィールドに、自己を認証させるための情報(例えば、ユーザの識別番号とする)を入力して送信を指示し、ファイル登録指示装置2は、認証のための情報を送信し(S4)、プリントオンデマンドサーバ4は、ユーザの認証を行う(S5)。そして、認証がOKの場合には、プリントオンデマンドサーバ4は、登録するファイル情報がユーザが送信するものであれば送信し、登録するファイル情報がコンテンツ提供サーバ3が提供するものであればその特定情報を送信することを求めるメッセージを含む認証OK情報を返信し(S6)、ファイル登録指示装置2は、その受信情報を表示する(S7)。なお、図11では省略しているが、認証がNGの場合には、プリントオンデマンドサーバ4は、その旨を返信する。
図10は、上述したように、登録するファイル情報がコンテンツ提供サーバ3が提供するファイル情報(コンテンツ)である場合を示している。
コンテンツ提供サーバ3のコンテンツを印刷ファイル情報として登録を希望する場合は、ユーザは、コンテンツ提供サーバ3及びコンテンツを特定する情報を入力し、ファイル登録指示装置2は、コンテンツ提供サーバ3及びコンテンツを特定する情報を含む登録ファイル指示情報をプリントオンデマンドサーバ4に送信する(S8)。
登録ファイル指示情報を受信したプリントオンデマンドサーバ4は、その中のコンテンツ提供サーバ3及びコンテンツを特定する情報を取り出し、コンテンツ提供サーバ3に、コンテンツの特定情報を含むコンテンツ送信要求を送出し(S9)、返信されてきたコンテンツを受信する(S10)。
なお、図11では省略しているが、コンテンツ送信要求を送出した時点から、受信許容時間を管理するタイマを起動し、その時間内にコンテンツを受信できない場合や、該当するコンテンツがない旨がコンテンツ提供サーバ3から返信された場合には、その旨をファイル登録指示装置2に通知して、一連の処理を終了する。
また、コンテンツ提供サーバ3から印刷対象のファイル情報(コンテンツ)を取り出すのではなく、ファイル登録指示装置2から印刷対象のファイル情報を与える場合には、上述したステップS8〜S10の処理部分が、ファイル登録指示装置2からプリントオンデマンドサーバ4へファイル情報を送信する処理になる。
コンテンツを受信すると、プリントオンデマンドサーバ4は、印刷用識別番号を生成し(S11)、受信したコンテンツを印刷ファイルデータベース5に格納し(S12)、登録場所テーブル4b1や印刷管理テーブル4b2などを今回の印刷予約に応じて更新する(S13)。
最後に、プリントオンデマンドサーバ4は、生成した印刷用識別番号などを含む登録完了通知を、ファイル登録指示装置2に送信する(S14)。ファイル登録指示装置2は、受信した印刷用識別番号を含む登録完了通知を表示する(S15)。ユーザは、後での印刷のために、表示された印刷用識別番号を紙等に控えたり、ファイル登録指示装置2(例えば携帯端末)にその情報を記憶させたりする。
(A−2−2)ファイル情報の印刷動作
次に、登録したファイル情報を印刷する際の動作を、図12のシーケンス図を参照しながら説明する。
ユーザは、適宜のタイミングで、いずれかのプリンタデバイス6(及びプリンタコントローラ7)の近傍に行き、プリンタコントローラ7の操作表示部7gを操作して、登録(印刷予約)したファイル情報の印刷サービスモードを指示すると共に、自己を認証させる情報を入力する(S21)。このとき、プリンタコントローラ7は、認証させるための情報をプリントオンデマンドサーバ4に送信し(S22)、プリントオンデマンドサーバ4は、認証を行って認証結果をプリンタコントローラ7に返信する(S23)。
図12では省略しているが、認証結果がNGの場合には、プリンタコントローラ7はその旨を表示して一連の処理を終了する。なお、このような印刷時においては、ユーザの認証を省略するようにしても良い。
認証結果がOKの場合には、ユーザは、印刷用識別番号をプリンタコントローラ7の操作表示部7gから入力し(なお、携帯端末に印刷用識別番号を記憶しておき、データ転送機能により、携帯端末からプリンタコントローラ7に与えるようにしても良い)、これにより、プリンタコントローラ7は、与えられた印刷用識別番号をプリントオンデマンドサーバ4に送信する(S24)。プリントオンデマンドサーバ4は、受信した印刷用識別番号に基づいて、印刷管理テーブル4b2を参照し、さらに、登録場所テーブル4b1を参照し、印刷ファイルデータベース5から該当するファイル情報を取り出して格納部4dにバッファリングし(S25)、後述する圧縮処理を行う(S26)。その後、圧縮ファイル情報をプリンタコントローラ7に送信する(S27)。
実際上、プリントオンデマンドサーバ4には、多くのプリンタコントローラ7からファイル情報の要求がほぼ同時に到来する。また、圧縮モジュール4fを複数設けていても、1個の圧縮モジュール4fが処理しなければならないファイル情報が複数存在することもあり得る。図12では省略しているが、プリントオンデマンドサーバ4は、プリンタコントローラ7の圧縮の優先度に応じ、圧縮するファイル情報の処理順番を調整して圧縮待ち行列を形成し、その順番に従って、ファイル情報の圧縮処理を実行する。
プリンタコントローラ7(及びプリンタデバイス6)は、受信した圧縮ファイル情報を必要に応じて展開処理した後、プリンタデバイス6によって印刷させる(S28)。その後、プリンタコントローラ7は、プリントオンデマンドサーバ4に印刷処理終了を通知し(S29)、プリントオンデマンドサーバ4は、印刷管理テーブル4b2から該当する情報を消去したり、格納部4dからファイル情報を消去したり、ユーザ管理テーブル4b3でのジャーナルや課金情報の更新をしたり等の、終了時処理を行う(S30)。
図13は、プリントオンデマンドサーバ4が実行する、上述したステップS26での圧縮処理の詳細を示すフローチャートである。
プリントオンデマンドサーバ4(の圧縮モジュール4e)は、図13に示す処理を開始すると、まず、未処理の1ページ分のデータ(図9参照)を取り出す(S40)。その後、取り出したページデータを走査し(ベクトルデータ部分はその必要な大きさ及び位置の情報を利用する)、そのページのサイズ(縦横の大きさ)を計算する(S41)。また、今回印刷を実行するプリンタデバイス6に係るプリンタデバイステーブル4b44から解像度やカラー/モノクロの情報を取出し、これら情報をも用いてページサイズテーブル4b41を参照し、予想圧縮サイズを計算する(S42)。
その後、求められたそのページのサイズと予想圧縮サイズとを比較する(S43)。ページのサイズが予想圧縮サイズより大きい場合には、そのページのラスタデータの描画コマンド毎に、イメージデータ圧縮方法決定テーブル4b42を参照して圧縮方法と圧縮パラメータを取得して圧縮する(S44〜S46)。
一方、ページのサイズが予想圧縮サイズ以下の場合には、そのページのデータをラスタデータに変換する(S47)。ここで、変換後のサイズが予想圧縮サイズより大きい場合には、ページサイズテーブル4b41及びイメージデータ圧縮方法決定テーブル4b42に従って、変換したラスタデータをページデータとして、そのページを圧縮する(S48)。なお、変換後のサイズが予想圧縮サイズ以下の場合には、ステップS48は省略される。
以上のようなページ単位の処理を、未処理のページがなくなるまで繰り返し(S49)、未処理のページがなくなると、図13の一連の処理を終了する。
このようにして得られた圧縮ファイル情報(なお、圧縮されていないこともあり得る)をプリンタコントローラ7に送出する際には、その先頭側に、転送開始から、プリンタデバイス6が全ての印刷データを印刷し終えるまでの予想出力時間の情報を盛り込み、プリンタコントローラ7によって表示させるようにしても良い。予想出力時間は、圧縮ファイル情報のデータ量とプリンタコントローラ7の回線速度とで定まる転送時間と、圧縮ファイル情報のデータ量とページ数とプリンタデバイス6の印刷速度とで定まる印刷時間となどから得ることができる。
なお、圧縮方法の種類によっては、プリンタコントローラ7側で展開処理が必要となるものもあるが、そのような圧縮方法によって圧縮されているファイル情報をプリンタコントローラ7が受信したときには、その展開モジュール7fによって展開した後に印刷させることになる。一般的には、展開しても当初の情報より情報量は少なくなっている。
(A−3)第1の実施形態の効果
上記第1の実施形態によれば、プリンタコントローラ毎に圧縮の優先度を設定し、それに応じた圧縮タイミングで圧縮したファイル情報をプリンタコントローラ側に転送するようにしたので、圧縮の優先度を、回線速度やプリンタコントローラの稼働率などで設定した場合には、プリンタコントローラの状況に応じた圧縮転送を行うことができる。また、各ページについて、圧縮転送するかそのまま転送するかも、圧縮前後での情報量に基づいて判断しているので、転送時間の短縮化を期待できる。
(B)第2の実施形態
次に、本発明による印刷管理サーバ及び印刷管理プログラムの第2の実施形態を図面を参照しながら説明する。
第2の実施形態に係る印刷ネットワークシステムも、その全体構成は、第1の実施形態に係る図1で表すことができる。しかしながら、第2の実施形態の場合、プリントオンデマンドサーバ4及びプリンタコントローラ7の機能が、第1の実施形態と多少異なっている。すなわち、第1の実施形態では、プリントオンデマンドサーバ4がユーザからの指示に依らずに圧縮方法などを自動的に定めていたが、この第2の実施形態では、圧縮方法などをユーザから指示させることとし、このことに合わせて、プリントオンデマンドサーバ4及びプリンタコントローラ7の機能を第1の実施形態から多少変更している。
第2の実施形態の場合、プリントオンデマンドサーバ4は、第1の実施形態の判断テーブル4b4に代え、図14に示すような選択肢形成テーブル4b5を有する。選択肢形成テーブル4b5は、ユーザに圧縮方法などを選択させる選択用画像(後述する図15参照)での選択肢形成に供する情報を格納しているものである。選択肢形成テーブル4b5は、プリンタコントローラテーブル4b51、プリンタデバイステーブル4b52、圧縮パラメータ範囲テーブル4b53、圧縮パラメータデフォルト範囲テーブル4b54などからなる。
プリンタコントローラテーブル4b51及びプリンタデバイステーブル4b52は、第1の実施形態での対応テーブル4b43、4b44と同様であるので、その説明は省略する。圧縮パラメータ範囲テーブル4b53及び圧縮パラメータデフォルトテーブル4b54は、プリンタコントローラテーブル4b51とリンクしているものである。圧縮パラメータ範囲テーブル4b53は、プリンタコントローラテーブル4b51に係るプリンタコントローラ7やそれに接続されているプリンタデバイス6の能力などによって定まる、ユーザが選択可能な圧縮パラメータ(の範囲)を記述しているものであり、例えば、時間帯毎に、解像度及びカラー/モノクロを記述している。圧縮パラメータ範囲テーブル4b53の一種として「圧縮しない」も用意されている。圧縮パラメータデフォルトテーブル4b54は、ユーザが選択可能な圧縮パラメータのデフォルト値を記述しているものであり、例えば、時間帯毎に、解像度及びカラー/モノクロを記述している。
なお、図14の例では、プリンタコントローラ7やそれに接続されているプリンタデバイス6の能力などによって、選択可能な範囲などを規定するものを示したが、これに加え、圧縮に供するファイル情報の属性(解像度及びカラー/モノクロなど)によっても選択可能な範囲などを規定するようにしても良い。例えば、圧縮に供するファイル情報の解像度が1200dpiであれば1200、600、300dpiを選択可能とし、圧縮に供するファイル情報の解像度が600dpiであれば600、300dpiを選択可能とするようにしても良い。また、圧縮パラメータ範囲テーブル4b53及び圧縮パラメータデフォルトテーブル4b54は、プリンタコントローラテーブル4b51ではなく、プリンタコントローラテーブル4b51の「圧縮の優先度」とリンクさせるようにしても良い。
図15は、プリンタコントローラ7の操作表示部7eによって、ユーザに提示される圧縮方法の選択用画像PICの一例を示す説明図である。図15に示す選択用画像PICの例では、解像度と色(カラー/モノクロ)とをユーザが指定できるものであり、解像度(単位はdpi)として「300」、「600」又は「圧縮しない」が選択可能であり、色として「カラー」又は「モノクロ」が選択可能である。現在候補となっている解像度と色の選択肢はそれぞれ、反転表示され、この解像度と色との組み合わせで定まる予想出力時間も、選択用画像PIC上で表示されている。なお、予想出力時間の算出方法は、例えば、後述する第3の実施形態の方法を適用でき、適宜、圧縮の優先度の情報も利用される(圧縮待ち行列への挿入位置の決定に利用される)。選択用画像PICの情報は、解像度と色との組み合わせで定まる予想出力時間を全て含み、選択肢の組み合わせが変更される毎に、予想出力時間も切り換えるようになされている。「OK」アイコンは、ユーザが現在候補となっている解像度と色の選択肢の組み合わせを選択したことを指示するものである。
なお、図14とも関係するが、選択用画像PICで、具体的な圧縮方法の種類をもユーザによって選択可能とするようにしても良い。
次に、登録(印刷予約)したファイル情報を印刷する際の第2の実施形態での動作を、図16のシーケンス図を参照しながら説明する。なお、図16において、第1の実施形態に係る図12との同一、対応部分には同一符号を付して示している。
この第2の実施形態においても、プリントオンデマンドサーバ4が印刷ファイルデータベース5から該当するファイル情報を取り出すまでの処理(S21〜S25)は、第1の実施形態と同様である。
第2の実施形態の場合、その後、プリントオンデマンドサーバ4は、ユーザに圧縮方法(解像度及び色)を選択させるための選択用画像の情報(予想出力時間情報を含む)を形成してプリンタコントローラ7に送信し(S31、S32)、プリンタコントローラ7は選択用画像を表示させてユーザの選択内容を取り込み、その選択内容をプリントオンデマンドサーバ4に返信する(S33〜S35)。これにより、プリントオンデマンドサーバ4は、ユーザの選択内容に沿うようにファイル情報を圧縮する(S36)。この圧縮処理は、圧縮方法の自動決定を行っていないので、第1の圧縮処理とは異なっている。なお、圧縮待ち行列による圧縮処理のタイミングは、プリンタコントローラ7に係る圧縮の優先度に応じている。
以上のようにして得られた圧縮ファイル情報をプリンタコントローラ7に送信する以降の処理(S27〜S30)は、第1の実施形態と同様である。
第2の実施形態によれば、ユーザは、間接的に圧縮方法を選択でき、しかも、回線速度や稼働率などを反映して設定された圧縮の優先度に応じて定まる出力予想時間を考慮して圧縮方法を選択することができる。
(C)第3の実施形態
次に、本発明による印刷管理サーバ及び印刷管理プログラムの第3の実施形態を図面を参照しながら説明する。
第3の実施形態に係る印刷ネットワークシステムも、その全体構成は、第1の実施形態に係る図1で表すことができる。第3の実施形態も、プリントオンデマンドサーバ4がファイル情報を圧縮して送信するか否かを自動的に決定するが、その決定方法が第1の実施形態と異なっている。
第3の実施形態の場合、第1の実施形態と異なり、判断テーブル4b4は、図17に示すように、プリンタコントローラテーブル4b43及びプリンタデバイステーブル4b44を備え、ページサイズテーブル4b41及びイメージデータ圧縮方法決定テーブル4b42は備えていない。プリンタコントローラテーブル4b43及びプリンタデバイステーブル4b44の構成は、第1の実施形態と同様である。
第3の実施形態の場合も、登録(印刷予約)したファイル情報をプリンタデバイス6で印刷させる全体の処理の流れは、第1の実施形態と同様に、図12で表すことができる。しかし、第3の実施形態の場合、図12におけるステップS26及びS27の処理が第1の実施形態と異なっている。
図18は、第3の実施形態のプリントオンデマンドサーバ4が行うステップS26及びS27に相当する処理を示すフローチャートである。
プリントオンデマンドサーバ4は、図18に示す処理に入るとまず、印刷処理時間、圧縮前転送時間、圧縮後転送時間、サーバ圧縮待ち時間、サーバ予想圧縮時間、圧縮前情報出力時間及び圧縮後情報出力時間を算出する(S60)。
印刷処理時間は、プリンタデバイス6における印刷に要する時間であり、例えば、印刷面数(両面印刷を考慮した表現であるが、片面印刷の場合には印刷枚数に等しい)と、今回印刷を実行するプリンタデバイス6での印刷速度との積で適宜する。
圧縮前転送時間は、該当するファイル情報を圧縮せずに、プリントオンデマンドサーバ4からプリンタコントローラ7に転送した場合での転送時間であり、例えば、ファイル情報のサイズ(又は容量(以下、同様))を8倍したものを(サイズがバイト数表記の場合には8倍することを要するがビット数表示の場合には8倍は不要である)、プリンタコントローラ7への回線速度で割った値で定義する。
圧縮後転送時間は、該当するファイル情報を圧縮してプリントオンデマンドサーバ4からプリンタコントローラ7に転送した場合での転送時間であり、例えば、圧縮前転送時間に予想圧縮率を乗算した値で定義する。予想圧縮率としては、例えば、0.67などの固定値を適用する。但し、ファイルの種類やユーザなどで大幅に圧縮率が異なっていることが分かっている場合には(例えば、過去の実圧縮率を統計処理して得る)、それに適した予想圧縮率を用いる。また、ファイル情報の種類(データ形式)によって適用する具体的な圧縮方法が異なっており、圧縮率がファイル情報の種類によって異なっている場合には、ファイル情報の種類に応じた固定の予想圧縮率を適用するようにしても良い。
サーバ圧縮待ち時間は、プリントオンデマンドサーバ4が該当するファイル情報の圧縮処理を開始するまでの待ち時間である。プリントオンデマンドサーバ4には、多くのプリンタコントローラ7からの転送要求がほぼ同時に到来しており、プリントオンデマンドサーバ4は、要求を発したプリンタコントローラ7の圧縮の優先度に応じて、該当するファイル情報の圧縮順番キューを、圧縮待ち行列に追加する(なお、追加処理自体は後述するステップS63)。そのため、該当するファイル情報より前に圧縮処理を行う他のファイル情報のキューが存在していることが多い。そこで、サーバ圧縮待ち時間は、例えば、該当するファイル情報の前に圧縮を行う全ての他のファイル情報に係る予想圧縮時間の合計値とする。
サーバ予想圧縮時間は、プリントオンデマンドサーバ4が該当するファイル情報を圧縮するのに要する時間であり、例えば、ファイル情報のサイズと予想圧縮時間係数との積で定義する。予想圧縮時間係数は、例えば、当該サーバの処理能力や、利用している圧縮方法の処理時間などによって、予めシュミレーションなどで決定しておく定数である。予想圧縮時間係数を用いることにより、当該サーバ予想圧縮時間の算出が簡単になっている。
圧縮前情報出力時間は、プリンタコントローラ7からファイル情報の要求があった時点から、圧縮しないで転送したファイル情報をプリンタデバイス6が印刷し終えるまでの時間であり、例えば、印刷処理時間と圧縮前転送時間との和で定義される。プリントオンデマンドサーバ4は多数のプリンタコントローラ7に対応できるように情報通信部4cは多数有しており、一方、圧縮モジュール4eは、1又は数個だけ設けられ、圧縮待ちが生じる。そのため、圧縮しない場合には、ファイル情報を要求されたときに直ちに送信し始めることができ、上述のように定義することとした。
圧縮後情報出力時間は、プリンタコントローラ7からファイル情報の要求があった時点から、圧縮して転送したファイル情報をプリンタデバイス6が印刷し終えるまでの時間であり、例えば、印刷処理時間と圧縮後転送時間とサーバ圧縮待ち時間とサーバ予想圧縮時間との和で定義される。
プリントオンデマンドサーバ4は、以上のようにして、圧縮前情報出力時間及び圧縮後情報出力時間を求めると、これらを比較する(S61)。
圧縮前情報出力時間の方が圧縮後情報出力時間より短いと、プリントオンデマンドサーバ4は、ファイル情報を圧縮することなく、直ちに、要求したプリンタコントローラ7に送出する(S62)。
これに対して、圧縮前情報出力時間が圧縮後情報出力時間以上であると、プリントオンデマンドサーバ4は、プリンタコントローラ7の圧縮の優先度に応じて、当該ファイル情報に係るキューを圧縮待ち行列に追加し、圧縮待ち行列上で当該ファイル情報の順番になると圧縮を行い、その後、圧縮待ち行列から当該ファイル情報に係るキューを消去し、圧縮後のファイル情報を、要求したプリンタコントローラ7に送出する(S63〜S66)。
上記では、具体的な圧縮方法に言及しなかったが、ファイル情報の種類(データ形式)に応じて適用する具体的な圧縮方法を変更しても良く、また、一旦、印刷データに変換してファイル情報の種類に関係しないデータに変換した後、同一の圧縮方法で圧縮するようにしても良い。
圧縮されていないファイル情報、又は、圧縮されたファイル情報が与えられたプリンタコントローラ7は、そのファイル情報をプリンタデバイス6によって印刷させる。なお、圧縮方式によっては、展開モジュールで展開することを要する。また、展開不要な圧縮方法を適用している場合には、プリンタコントローラ7に展開モジュール7fを設けないようにしても良い。
以上のように、第3の実施形態によれば、サーバ圧縮待ち時間やサーバ予想圧縮時間などを算出し、最終的な出力までの時間が、圧縮した方が短いか圧縮しない方が短いかを判別をして、圧縮の要否を決定して転送するようにしたので、ユーザは、圧縮の有無に拘わらずに、速やかに印刷されたファイル情報を入手することができる。
(D)第4の実施形態
次に、本発明による印刷管理サーバ及び印刷管理プログラムの第4の実施形態を図面を参照しながら説明する。
第4の実施形態に係る印刷ネットワークシステムも、その全体構成は、第1の実施形態に係る図1で表すことができる。第4の実施形態も、第2の実施形態と同様に、ユーザが圧縮方法を間接的に指定できるものである。
第4の実施形態の場合、圧縮方法をユーザの好みに応じて適切に指定させるべく、サンプル画像をユーザに提示することを特徴としている。そのため、プリントオンデマンドサーバ4は、サンプル画像提示による圧縮方法の取り込みに対応できる機能が設けられている。この機能は、例えば、ソフトウェア(印刷管理プログラムPの一部)によって実現されおり、以下の動作説明で明らかにする。
図19は、サンプル画像をユーザに提示して、圧縮方法を指定させる処理の概要の流れを示すシーケンス図である。
登録(印刷予約)したファイル情報の印刷を希望して、プリンタコントローラ7の位置にきたユーザは、適宜のタイミングでサンプル画像を要求する(S70)。例えば、登録したファイル情報を規定する印刷用識別番号を入力して送信させる際に同時に合わせてサンプル画像の要求を送出させるようにしても良く(印刷用識別番号を入力させる画面に併せてサンプル画像の要否を選択させるアイコンなどを表示させる)、また、プリントオンデマンドサーバ4が、印刷用識別番号を与えられたときに、プリンタコントローラ7に指示し、サンプル画像の要否を問う画像を表示させ、サンプル画像要がユーザによって指示されたときに、プリンタコントローラ7がサンプル画像を要求するようにしても良い。なお、後者の場合であれば、プリンタコントローラ7に指示してサンプル画像の要否を問う画像を表示させる際に、プリントオンデマンドサーバ4が、該当するファイル情報のサイズ(容量)などのサンプル画像の要否を決定する際の参考となる情報をも併せて表示させるようにしても良い。
サンプル画像の要求が与えられたプリントオンデマンドサーバ4は、異なる圧縮方法を適用した複数のサンプル画像を含む印刷データ(パラメータを含む)を形成して、要求したプリンタコントローラ7に送信する(S71、S72)。複数のサンプル画像を含む印刷データの形成方法については詳述する。
プリンタコントローラ7は、印刷データのパラメータ(ユーザ文字列とコンピュータ可読マーク)と印刷データとをレイアウトなどして、プリンタデバイス6に印刷させる(S73、S74)。この際の印刷用紙は、例えば、後述する図21に示すようなものであり、複数のサンプル画像のそれぞれに対応し、それを識別するための情報(文字列;例えば、「カラー、高精細」)が含まれている。
ユーザは、排出された印刷用紙に基づいて、所望するサンプル画像を定めた場合には、プリンタデバイス6のスキャナ部6cによって、その印刷用紙をスキャナさせ、そのスキャナデータがプリンタデバイス6からプリンタコントローラ7に与えられる(S75、S76)。
プリンタコントローラ7は、光学的マーク読取り(OMR)機能により、スキャナデータに含まれている印刷用紙の種類を規定するデータ(後述するように、例えば、2次元コード)から印刷用紙の種類を認識し、いずれのサンプル画像と同じ圧縮方法を選択するかを求めるメッセージをプリンタデバイス6(又は当該プリンタコントローラ7)に表示させる(S77、S78)。
これに応じて、ユーザがいずれかの圧縮方法の選択操作を行うと、プリンタコントローラ7は、プリントオンデマンドサーバ4に対し、ユーザが選択した圧縮方法(サンプル画像)の圧縮パラメータを規定するデータを含む圧縮データ要求を送信する(S79、S80)。
図19では省略しているが、プリントオンデマンドサーバ4は、これに応じて、ファイル情報を圧縮してプリンタコントローラ7に転送し、プリンタデバイス6によって印刷させる。
図20は、サンプル画像形成の元となるファイル情報のある1ページのデータの例を印刷画像的に示しており、図21は、図20のデータから形成された複数のサンプル画像を含む印刷結果(印刷用紙)例を示している。図22は、図20に示すようなデータから、図21に示すような印刷結果を生じさせるデータ(サンプル画像及びパラメータなど)を形成させる、プリントオンデマンドサーバ4によるステップS71の処理の詳細を示すフローチャートである。
プリントオンデマンドサーバ4は、図22に示す処理を開始すると、ファイル情報の各ページの中からサンプル画像に適した1ページを決定し(1ページ中の部分であっても良い)、サンプル印刷データを準備する(S90)。図21における領域SM1は、決定されたサンプル印刷データである。例えば、ラスタデータとテキストデータとが混在するページでラスタデータ部分の領域が閾値より大きいカラー画像を選定する。かかる選定では、最初のページから確認し、該当するページを探索する。なお、ファイル情報が当初からモノクロ画像であれば、前半の要件のみで探索する。また、ラスタデータ部分の領域の大きさの条件を設けなくても良い。なお、ラインデータなどの図形部分は、大まかな形を伝えることができれば十分であるので、この第4の実施形態では、サンプル画像に含めない。
以上のようにしてサンプル画像の元となるページ(のデータ)を定めると、その中のラスタデータで最も高い周波数成分を有する領域を、サンプル画像に含めるラスタデータ領域として抽出する(S91)。なお、サンプル印刷データがラスタデータを含まないものであれば、当該ステップS91は省略される。例えば、元のページがJPEGならば、JPEGのアルゴリズム上で画像(ラスタデータによる画像)を例えば縦横16×16画素ずつのセグメントに分け、各セグメントをDCTして周波数成分に分割し、その後、周波数成分を圧縮する。これにより、各セグメントの周波数成分は容易に得られる。周波数成分に高周波成分が含まれているということは、そのセグメントが複雑な情報を有しているということであり、セグメント毎に含まれる高周波成分を調べ、最も多く高周波成分を含むセグメントを最も複雑と判断する。JPEG以外の画像の場合には、一度JPEGで圧縮し直してから判断する。
図20における領域OM1は、最も高周波成分を含む領域(セグメント)であり、これを囲む所定大きさの領域OM2を、サンプル画像に含めるラスタデータ領域と決定する。
プリントオンデマンドサーバ4は、テキストデータに対しては、フォントサイズが小さい最も大きいJISコードを有する文字(テキスト)を探索し、その文字を含む領域を、サンプル画像に含めるテキストデータ領域として抽出する(S92)。テキストデータでは、小さな複雑な文字がつぶれないことが重要である。そのため、フォントサイズと複雑さを考える必要がある。なお、フォントサイズは、印刷に供するファイル情報からサンプルに利用するページを選定する際に条件にするようにしても良い。JIS第2水準は画数順に並んでいるので、文字の複雑さは、文字コードで判断することとした。
図20における領域OM3は、文字コードが最も大きい文字「檬」であり、この文字「檬」を囲む所定大きさの領域OM4を、サンプル画像に含めるテキストデータ領域と決定する。
このようにしてラスタデータ及びテキストデータについて、サンプル画像で利用する領域を設定すると、次に、1個のサンプル圧縮パラメータを取出して圧縮処理し、仮想的な印刷処理を行って印刷イメージに展開し、サンプル印刷データに追加する(S93、S94)。このような処理を、サンプル圧縮パラメータの種類だけ行う(S95)。サンプル圧縮パラメータは、例えば、解像度、カラー・モノクロなどで規定されるものである。図21のサンプル印刷結果の例では、「カラー、高精細」、「お急ぎ最高速」、「文字は読める」、「モノクロ、高精細」の表現(圧縮名)に対応した4種類のサンプル圧縮パラメータが利用されている。なお、利用するサンプル圧縮パラメータの種類は、印刷対象のファイル情報によって変更するようにしても良い。例えば、当初からモノクロであれば、「お急ぎ最高速」、「文字は読める」、「モノクロ、高精細」の圧縮名に対応した3種類のサンプル圧縮パラメータを利用する。
その後、サンプル印刷データに、このドキュメントの属性(ドキュメント識別番号(ID)やドキュメント名やユーザIDやユーザ名など)と圧縮属性(圧縮名とパラメータなど)をコード化して書き込み、プリンタコントローラ7に転送する(S96、S97)。
プリンタコントローラ7がこのようなサンプル印刷データを受信すると、以下のようなレイアウト処理を行う。ユーザ及びドキュメントの情報を配置する。図21における領域SM2がこの領域である。ドキュメントのサムネイルを表示し、サンプルとして提示している領域を示す。図21における領域SM1がこの領域である。サンプル領域を、各種類の圧縮方法、パラメータで印刷したときのイメージをラスタデータ及びテキストデータ共に配置すると共に、圧縮方法、パラメータを規定する圧縮名文字列も合わせて表示する。図21における領域SM3〜SM6がそれぞれ、圧縮サンプル(サンプル画像)である。ドキュメント属性や圧縮属性を2次元コードで配置する。図21における領域SM7がこの領域である。2次元コードは、印刷結果(印刷用紙)を再度スキャナで読み込んだとき、どの印刷結果であるかを識別するためのものであり、これにより、ユーザがドキュメントなどを特定するキー入力などを行うことを不要にできている。
図23は、ユーザが印刷結果をスキャナ部で読み込みさせた際に、表示パネル部に表示させる表示画面例であり、全種類の圧縮名に対応するアイコンが表示され、いずれかのアイコンの操作で、プリンタコントローラ7は、その圧縮モード(圧縮方法、パラメータ)が選択されたとして取り込む。
なお、サンプル画像の表示においても、圧縮しないサンプル画像を含めるようにしても良い。また、各サンプル画像のそれぞれに対し、第3の実施形態で説明した圧縮後情報出力時間をも併記するようにしても良い。
上記では、図23の表示画像でユーザに圧縮モードを選択させるものを示したが、図21の領域SM81〜SM82をチェックボックスとし、チェックボックスがチェック(例えば黒塗り)された圧縮モードを選択されたものと取り込むようにしても良い。この場合には、図23に代え、その圧縮モードで良い旨の確認画面を表示して最終確認させるようにしても良い。
第4の実施形態によれば、ユーザが圧縮モードを選択する際に、サンプル画像で確認して選択できるので、情報出力時間及び印刷品質の双方を考慮して、所望する圧縮モードを適切に選択することができる。
(E)変形実施形態
上記各実施形態の説明でも、種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示するような変形実施形態を挙げることができる。
上記各実施形態での圧縮は、画像の大きさを縮小する圧縮でも、画像の大きさを変えずにデータ量を少なくする圧縮でも良い。前者の場合には、圧縮画像を統合するNin1印刷を適用するようにしても良い。後者の例としては、カラー画像に対するモノクロ印刷を適用することを挙げることができる。また、ラスタデータとベクトルデータとで圧縮方法を変えたり、いずれか一方だけを圧縮対象としたりするようにしても良い。
例えば、PDFやPSにおいて、ラスタデータは圧縮方法を変更することで高圧縮率化が可能であり(例えば、JPEG(圧縮率変更)、JPEGからGIFへ)、一方、ベクトルデータは、印刷時の解像度より高密度のデータを持っているならばラスタデータに変換して転送する(300dpiならばJPEGで1MByteになるはずだが1MByteを超えているならばラスタデータに変換して転送する)。例えば、モノクロ印刷を行う場合でも、PDFやPSにおいて、ラスタデータは圧縮方法を変更することで高圧縮率化が可能であり(例えば、JPEGからモノクロTIFF(MMR)へ)、一方、ベクトルデータは、印刷時の解像度より高密度のデータを持っているならばラスタデータに変換して転送する(300dpiならばモノクロTIFF(MMR)で200KByteになるはずだがそれを超えているならばラスタデータに変換して転送する)。
第1の実施形態においては、圧縮方法を一意に自動決定するものを示したが、複数種類を決定し、その中で、情報出力時間などが最も短いものを最終的な決定結果とするようにしても良い。
第2の実施形態のような圧縮モードを選択させる場合において、解像度及び色の組み合わせに加え、又は、解像度及び色の組み合わせに代え、圧縮方式の種類及び又は情報出力時間で選択させるようにしても良い。
第2の実施形態や第4の実施形態のような圧縮モードを選択させる場合において、情報出力時間などが閾値時間を超えているものは選択肢から除外するようにしても良い。この場合の閾値時間を、時間帯やユーザやプリンタコントローラなどをパラメータとして変更するようにしても良い。
また、情報出力時間などを提示して選択肢を選択させる場合に、ダウンロード及び印刷を実行するかと、ダウンロードだけを先に行い、印刷指令を後で指示するかとを合わせて指示できるようにしても良い。後者の場合、後での印刷指令のための特殊番号を割り当てて表示し、その特殊番号の入力を印刷指令として取り込んだり、後での印刷指令のためのチケットを印刷出力し、チケットの読取りを印刷指令として取り込んだりするようにしても良い。
第3の実施形態のように圧縮後情報出力時間を計算する場合に、時間帯やユーザやプリンタコントローラなどによって定数パラメータの値を切り替えるようにしても良い。
第4の実施形態のように、圧縮のサンプル画像をユーザに提示する場合において、サンプル画像の形成の元となるページを第1頁のように固定化しても良く、また、ユーザに指定させるようにしても良い。ユーザに指定させる場合において、サンプル画像の形成に利用する領域をも1又は複数指定させるようにしても良い。さらに、サンプル画像の形成に利用する複数の領域をプリントオンデマンドサーバ4が決定し、その中から、ユーザに指定させるようにしても良い。また、ラスタデータ、ベクトルデータ等のユーザ指定も認めるようにしても良い。
また、予め、プリンタコントローラ(及び又はプリンタデバイス)毎や、プリンタコントローラ(及び又はプリンタデバイス)と時間帯との組合せ毎に、サンプル画像を提示する圧縮モードを設定しておくようにしても良い。さらには、そのときのプリントオンデマンドサーバ4の負荷(圧縮モジュールの負荷)に応じて、サンプル画像を提示する圧縮モードを変更するようにしても良い。例えば、低負荷では、圧縮率が小さいものから複数を選択し、高負荷では圧縮率が大きいものから複数を選択するようにしても良い。
逆に、プリンタコントローラ(及び又はプリンタデバイス)毎に、適用を禁止する圧縮モードを設定可能とするようにしても良い。この変形例は、第1や第3の実施形態についても同様である。
上記各実施形態では、プリンタコントローラがプリントオンデマンドサーバから登録(印刷予約)したファイル情報を取り出す際に、圧縮モードの決定や圧縮を圧縮モードの選択などを行うものを示したが、ファイル情報の登録時に、上述した各実施形態での処理を実行するようにしても良い。この場合において、利用するプリンタコントローラ(及びプリンタデバイス)としては、ユーザが直近に利用したものや、過去の統計情報から見て最も利用しているものに仮定したり、利用する時間帯も、直近や過去の統計情報から仮定したものを利用するようにすれば良く、他のパラメータも同様である。又は、登録時に、利用するプリンタコントローラや時間帯などの情報も指定させるようにしても良い。
各サーバなどの装置の機能分けは、上記各実施形態のものに限定されず、また、装置数も上記各実施形態のものに限定されない。例えば、コンテンツ提供サーバ3と印刷ファイルデータベース5が融合したものであっても良い。また例えば、プリントオンデマンドサーバ4の機能をコンテンツ提供サーバ3が担うものであっても良い。
逆に、上記各実施形態で1個の装置が担うと記載した複数の機能を異なる装置が担当するようにしても良い。例えば、コンテンツに係る登録申込み(印刷予約)を、コンテンツ提供サーバ3に対して行い、コンテンツ提供サーバ3を介してプリントオンデマンドサーバ4にファイル情報を登録するようにしても良い。
特許請求の範囲における「印刷管理サーバ」の用語は、プリントオンデマンドサーバに限定されず、プリントオンデマンドサーバに代えて同様な機能を担う装置をも含むものである。
上記実施形態においては、印刷用識別番号を生成し、プリンタコントローラに印刷用識別番号を入力してファイル情報を取り出すものを示したが、これに代え、又は、これに加え、他の情報も、ファイル情報の取り出し条件としても良い。例えば、ファイル登録時に、ユーザが認証情報(例えばパスワード)を入力し、この情報を利用するようにしても良い。