JP2005128241A - 偏光変換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 1/2波長板を光透過性部材に後付けする場合に生じる弊害(貼付け位置の位置ずれ、気泡の混入、透過率の低下等)を有効に回避することができ、また、反射防止層の反射率特性を均一にすることができ、あわせて小型化を実現することができる偏光変換素子を提供すること。
【解決手段】 複数の光透過性部材2が接合面3を介して互いに隣接するように接合され、互いに隣接する光透過性部材2の接合面3間に、偏光分離層13または反射層7が交互に配設され、かつ、偏光分離層13が配設された接合面3間に、1/2波長板相当の機能を有する微細周期構造体16が配設されていること。
【選択図】 図1

Description

本発明は、偏光変換素子に係り、特に、光源光を直線偏光に変換することによって照明効率を向上するのに好適な偏光変換素子に関する。
従来から、液晶表示パネルに対して背後から照射した光源光を液晶表示パネルを透過させた後にスクリーン上に結像させることによって、スクリーン上に液晶表示パネルの拡大投影画像を得る液晶プロジェクタにおいては、光源光の照明効率を向上するための工夫がなされてきた。
すなわち、光源から出射された光源光(たとえば自然光)をそのまま液晶表示パネルに入射させる場合、液晶表示パネルの入射側に配置される偏光板によって光源光の多くが失われるため、照明効率を低下させるといった不具合が生じてしまう。したがって、このような不具合を回避して照明効率を向上する手段として、光源光を予め直線偏光に変換した後に液晶表示パネルに入射させる偏光変換素子が採用されていた。
図5は、このような偏光変換素子の一例を示したものであり、この偏光変換素子1は、複数の光透過性部材2が接合面3を介して互いに隣接するように接合されることによって、板状の形状を呈している。
各光透過性部材2は、ガラス等からなる断面形状が平行四辺形を呈する六面体とされており、各光透過性部材2の接合面3は、光の入射側の表面4および透過側の表面5に対して所定の傾斜角度(例えば45°)を有している。
また、互いに隣接する光透過性部材2の接合面3間には、偏光分離層6または反射層7が光透過性部材2の隣接方向に沿って交互に配設されている。
なお、このような構造を得るには、通常、成膜技術を用いて偏光分離層を構成する薄膜層が形成された基板と、同様に成膜技術を用いて反射層を構成する薄膜層が形成された基板とを厚み方向に交互に繰り返し重ね合わせ、各基板同士をUV接着剤等を用いて互いに接合した後、この接合した基板を厚み方向に対して所定の傾斜角度を有する切断線にて複数に分断するようにしている。
光透過性部材2の光の透過側の表面5(図5における上面)であって偏光分離層6に厚み方向において臨む位置には、偏光の振動方向を90°変換させる1/2波長板9が、隣接方向に沿って断続的に配設されている。この1/2波長板9は、所定の厚み(0.2mm程度)を有する高分子フィルムからなる。
また、光透過性部材2の光の入射側の表面4(図5における下面)および透過側の表面5には、反射防止層10が配設されている。
このような偏光変換素子1によれば、光源光を光透過性部材2の入射側の表面4から入射させると、この入射光が、偏光分離層6においてP偏光とS偏光とに分離され、一方の偏光(例えばP偏光)のみが偏光分離層6を透過し、他方の偏光(S偏光)は、偏光分離層6において反射される。
偏光分離層6を透過した偏光は、光透過性部材2の透過側の表面5の外側に配置された1/2波長板9によって偏光を変換され(P偏光ならばS偏光に変換され)、その後、反射防止層10を経て偏光変換素子1の外部に出射される。
一方、偏光分離層6において反射された偏光は、この偏光の進行方向に位置する反射層7において反射された後、光透過性部材2の透過側の表面5から外部に出射される。
このように、P偏光およびS偏光の双方を含んだ光源光の偏光を一つの偏光(S偏光)に変換し、この偏光を偏光変換素子1の光の出射側に位置する図示しない液晶表示パネルに入射することによって、液晶表示パネルにおいて失う光源光を少なくして照明効率の向上を図るようになっていた。
特開2002−40246号公報
しかしながら、従来は、偏光変換素子1の製造工程において、光透過性部材2に1/2波長板9を後付け(貼付け)する必要があったため、1/2波長板9の貼付け位置の位置ずれや、1/2波長板9と光透過性部材2との界面への気泡の混入、透過率の低下等の問題が生じる虞があった。
さらに、1/2波長板9と光透過性部材2とでは光の屈折率が異なるため、1/2波長板9の形成部位と非形成部位とが混在する光透過性部材2の表面上に反射防止層10を配設していた従来においては、反射防止層10の反射率特性を厳密には最適化することができないといった問題が生じていた。
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、1/2波長板を光透過性部材に後付けする場合に生じる弊害(貼付け位置の位置ずれ、気泡の混入、透過率の低下等)を有効に回避することができ、また、反射防止層の反射率特性を均一にすることができ、あわせて小型化を実現することができる偏光変換素子を提供することを目的とするものである。
前述した目的を達成するため、本発明の請求項1に係る偏光変換素子の特徴は、複数の光透過性部材が接合面を介して互いに隣接するように接合され、かつ、互いに隣接する光透過性部材の接合面間に、偏光分離層または反射層が隣接方向に沿って交互に配設され、さらに、前記偏光分離層が配設された接合面間に、1/2波長板相当の機能を有する微細周期構造体が配設されている点にある。
そして、この請求項1に係る発明によれば、1/2波長板を代替する微細周期構造体を偏光分離層とともに接合面間に形成するものであるため、従来のような1/2波長板を後付けすることにともなう弊害を除去することが可能となる。
また、従来の1/2波長板を、光透過性部材の表面上から除去することによって、光透過性部材の表面を屈折率が均一な状態にすることができるため、この光透過性部材の表面に反射防止層を配設した場合に、反射防止層の反射率特性を均一にすることが可能となる。
さらに、所定の厚みを有する従来の1/2波長板の代りに、さらに薄型の微細周期構造体を用いることによって、さらなる小型化を実現することが可能となる。
本発明の請求項2に係る偏光変換素子の特徴は、請求項1において、前記偏光分離素子層が、微細周期構造体からなる点にある。
そして、この請求項2に係る発明によれば、より薄型の微細周期構造体を用いて偏光分離層を形成することができるため、さらなる小型化を実現することが可能となる。
また、前述した1/2波長板相当の機能を有する微細周期構造体と同様の微細加工技術を用いることによって、微細周期構造体からなる偏光分離層を形成することができるため、双方の微細周期構造体を効率的に形成することが可能となる。
請求項3に係る偏光変換素子の特徴は、請求項1または請求項2において、前記光透過性部材の表面に、反射防止層が配設されている点にある。
そして、この請求項3に係る発明によれば、反射防止層の反射率特性を均一化することが可能となる。
請求項1に係る発明によれば、1/2波長板を光透過性部材に後付けする場合に生じる弊害(貼付け位置の位置ずれ、気泡の混入、透過率の低下等)を有効に回避することができ、また、反射防止層の反射率特性を均一にすることができ、あわせて小型化を図ることができる偏光変換素子を実現することができる。
請求項2に係る発明によれば、より小型で、かつ製造効率に優れた偏光変換素子を実現することができる。
請求項3に係る発明によれば、反射防止層の反射率特性を均一化することができ、ひいては偏光変換素子の光学性能を向上することができる偏光変換素子を実現することができる。
以下、本発明に係る偏光変換素子の実施形態について、図1乃至図4を参照して説明する。
なお、従来と基本的構成の同一もしくはこれに類する箇所については、同一の符号を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態における偏光変換素子12は、ガラス等からなる断面形状が平行四辺形を呈する複数の光透過性部材2を有しており、各光透過性部材2は、接合面3を介して互いに隣接するように接合されることによって、板状の形状を呈している。また、各光透過性部材2の接合面3は、光の入射側の表面4および透過側の表面5に対して所定の傾斜角度(例えば45°)を有している。
さらに、互いに隣接する光透過性部材2の接合面間3には、偏光分離層13または反射層7が光透過性部材2の隣接方向に沿って交互に配設されている。
より具体的には、図2に示すように、偏光分離層13および反射層7は、それぞれ各層13,7の図2における右方に位置する光透過性部材2の接合面3上に形成されている。また、偏光分離層13および反射層7は、各層13,7の図2における左方に位置する光透過性部材2の接合面3に、UV設着剤等からなる接着層15を介して接着されている。
そして、本実施形態において、偏光分離層13の配設された接合面3間であって、偏光分離層13に対して図2における左方の側には、1/2波長板相当の機能を有する微細周期構造体としてのサブ波長構造体16が配設されている。
このサブ波長構造体16は、ナノ加工技術等の微細加工技術を用いて形成ピッチ(凹凸ピッチ)が使用する光の波長よりも小さい大きさに形成された構造体である。なお、図2に示す構造体は、断面矩形の格子状に形成されているが、これ以外の断面形状(例えば鋸歯状)を選択することも可能である。
また、サブ波長構造体16を構成する材料としては、各種誘電体材料を適宜選択することができる。
このようなサブ波長構造体16は、偏光分離層13とともに接合面3上に形成されるものであるため、従来のような1/2波長板9を後付けすることによる弊害(貼付け位置の位置ずれ、気泡の混入、透過率の低下等)を回避することが可能となる。
さらに、本実施形態においては、図2に示すように、偏光分離層13が、微細周期構造体としてのサブ波長構造体17によって形成されている。このサブ波長構造体17は、前述したサブ波長構造体16と同様に、ナノ加工技術等の微細加工技術を用いて形成ピッチ(凹凸ピッチ)が使用する光の波長よりも小さい大きさに形成された構造体である。
なお、図2におけるサブ波長構造体17は、Au等の金属を格子状に整列させたいわゆるワイヤグリッド型のサブ波長構造体17である。
このサブ波長構造体17の構成材料としては、Auの他にも、Ag、CuまたはAl等の材料を選択することができる。
これにより、ミクロンオーダーの薄型のサブ波長構造体17を用いて偏光分離層13を形成することができるため、偏光変換素子1のさらなる小型化を実現することが可能となる。
また、各サブ波長構造体16,17の間およびサブ波長構造体16と接着層15との間には、SiO等からなる薄膜層21が必要に応じて介在されている。
なお、サブ波長構造体17に限らず、図3に示すように、例えば、SiO等の低屈折率誘電体からなる薄膜層19と、ZrO等の高屈折率誘電体からなる薄膜層20とを接合面3上に交互に繰り返し(例えば、20〜30回ずつ)積層することによって偏光分離層を形成するようにしてもよい。
図1に戻って、本実施形態において、光透過性部材2の光の入射側の表面4および透過側の表面5には、反射防止層22が配設されている。
この反射防止層22は、従来の1/2波長板9が除去された屈折率が均一な表面5上に配設されているものであるため、反射率特性が均一なものとなっている。このような反射防止層22によれば、光源光をむらのない状態で出射することができる。
反射防止層22の材料としては、例えば、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、アルミニウムまたは珪素等を酸化させた酸化物、MgF、あるいは、これら各物質を適宜混合させた混合物等の誘電体材料が挙げられる。
また、反射層7の構造としては、例えば、SiOからなる薄膜層とTiOからなる薄膜層とを交互に繰り返し(例えば、20回ずつ)積層させた多層構造が挙げられる。
次に、図2に示した偏光変換素子12の製造方法について、図4を参照して説明する。
図2の偏光変換素子12を製造するには、まず、図4のステップ1(ST1)に示すように、偏光分離層13側、反射層7側の二種類の光透過性部材2(基板状のもの)を用意する。
次いで、ステップ2(ST2)において、偏光分離層13側の光透過性部材2の上に、微細加工技術を用いてサブ波長構造体17からなる偏光分離層13を形成し、反射層7側の光透過性部材2の上に、反射層7を形成する。
次いで、ステップ3(ST3)においては、偏光分離層13側の光透過性部材2のサブ波長構造体17の上に、SiO等からなる薄膜層21を形成する。
次いで、ステップ4(ST4)においは、ステップ3(ST3)において形成した薄膜層21の上に、微細加工技術を用いて1/2波長板相当の機能を有するサブ波長構造体16を形成する。
次いで、ステップ5においては、ステップ4(ST4)において形成したサブ波長構造体16の上に、薄膜層21を形成し、続いて、ステップ6においては、ステップ5(ST5)において形成した薄膜層21の上に、接着層15を塗布する。
そして、ステップ7においては、ステップ6で形成した接着層15の上に反射層7側の光透過性部材2を重ねることによって、偏光分離層13側の光透過性部材2と反射層7側の光透過性部材2とを互いに接着する。これによって、偏光変換素子13側の光透過性部材2と反射層7側の光透過性部材2との接合体24が得られる。
次に、ステップ8(ST8)においては、ステップ7(ST7)において得られた光透過性部材2の接合体24を、さらに厚み方向に繰り返し接合することによって、光透過性部材2の連続接合体25を得る。
そして、この連続接合体25を、ステップ8(ST8)において二点差線で示す切断線において複数に分断するとともに、分断された各連続接合体25の分断面に反射防止層22を形成することによって、図2に示す偏光変換素子12が完成する。
なお、図3に示した偏光変換素子12を製造する場合は、ステップ2(ST2)において、サブ波長構造体17を形成する代りに、薄膜層19,20を交互に繰り返し形成すればよい。
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態における偏光変換素子12を用いて偏光の変換を行うには、偏光変換素子12を構成する複数の光透過性部材2の光の入射側の表面4側から、この表面4に対して光源光を垂直に入射させる。
そして、入射側の表面4を介して偏光変換素子12内に入射した光源光は、図1に示すように、偏光分離層13においてP偏光とS偏光とに分離され、一方の偏光(図1においてP偏光)のみが偏光分離層13を透過し、他方の偏光(S偏光)は、偏光分離層13において反射される。
次いで、偏光分離層13を透過した偏光は、その直後に、偏光分離層13の透過側に配設されたサブ波長構造体16によって偏光を変換され(P偏光ならばS偏光に変換され)、その後、反射防止層22を経て偏光変換素子12の外部に出射される。
一方、偏光分離層13において反射された偏光は、この偏光の進行方向に位置する反射層7において反射された後、光透過性部材2の透過側の表面5から偏光変換素子12の外部に出射される。
このように、本実施形態における偏光変換素子12によれば、サブ波長構造体16によって従来の1/2波長板9を代替することができる。
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
例えば、前述した1/2波長板相当の機能を有するサブ波長構造体および偏光分離層を構成するサブ波長構造体は、図2に示したように、それぞれが単層の構造である必要はない。例えば、各サブ波長構造体が、それぞれ複層構造のサブ波長構造体であってもよいし、各サブ波長構造体にさらに他の薄膜層を組み合わせた構造を採用してもよい。そのようにすれば、さらに広帯域の光源光の波長に対応するのに好適な構造にすることが可能となる。
本発明に係る偏光変換素子の実施形態を模式的に示す断面図 本発明に係る偏光変換素子の実施形態において、接合面付近の構造を示す拡大断面図 本発明に係る偏光変換素子の実施形態において、図2と異なる他の形態を示す拡大断面図 本発明に係る偏光変換素子の実施形態において、図2に示した偏光変換素子の製造工程を示す流れ図 従来から採用されていた偏光変換素子の一例を模式的に示す断面図
符号の説明
2 光透過性部材
3 接合面
4 入射側の表面
5 透過側の表面
7 反射層
12 偏光変換素子
13 偏光分離層
16,17 サブ波長構造体
22 反射防止層

Claims (3)

  1. 複数の光透過性部材が接合面を介して互いに隣接するように接合され、かつ、互いに隣接する光透過性部材の接合面間に、偏光分離層または反射層が隣接方向に沿って交互に配設され、さらに、前記偏光分離層が配設された接合面間に、1/2波長板相当の機能を有する微細周期構造体が配設されていることを特徴とする偏光変換素子。
  2. 前記偏光分離素子層が、微細周期構造体からなることを特徴とする請求項1に記載の偏光変換素子。
  3. 前記光透過性部材の表面に、反射防止層が配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の偏光変換素子。
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