JP2006071754A - 偏光ビームスプリッター及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カラーフィルター等を用いることなく、所望の色のS偏光を得ることができる偏光ビームスプリッター及びその製造方法を提供する。
【解決手段】一対の透明基体1a、1bと、透明基体1a、1bの間に設けられた高屈折率層及び低屈折率層からなる多層膜2とを具備する偏光ビームスプリッターであって、下記式(1) 、(2) 及び(3) nL<nS、nH ・・・(1) θsin-1(nL/nS) ・・・(2) dLmax<λmax ・・・(3) (ただし、nLは前記低屈折率層の屈折率を示し、nSは透明基体1a、1bの屈折率を示し、nHは前記高屈折率層の屈折率を示し、θは一方の透明基体に垂直入射した光Lの多層膜2との界面における反射角を示し、λmaxは利用波長の最大値を示し、dLmaxは低屈折率層の最大光学層厚を示す。)を満たし、多層膜2の層数が15以上であり、P偏光の透過率は前記利用波長の全域で20%以下であり、S偏光の透過率は前記利用波長の範囲内で所定の値である偏光ビームスプリッター。
【選択図】図1

Description

本発明はプロジェクター、光ディスク装置、レーザープリンター、レーザー加工機及び測定装置等の構成要素である光学素子、赤外カットフィルター及び赤外パスフィルターとして用いられる偏光ビームスプリッター及びその製造方法に関する。
偏光ビームスプリッターは二つのプリズムを具備し、両プリズムの斜面又は底面の間に交互に積層した高屈折率物質の層と低屈折率物質の層とを有するのが一般的である。偏光ビームスプリッターは、多層膜の干渉によって入射光をP偏光とS偏光とに効率良く分離するので、光ディスク装置、プロジェクター等の光学系に利用されている。
分離する光の波長領域や、P偏光とS偏光のいずれを透過(又は反射)するかは、多層膜を構成する高屈折率物質と低屈折率物質との組み合わせによって決まる。例えば特開平11-211946号(特許文献1)に記載の偏光ビームスプリッターは、可視光波長のほぼ全域においてS偏光を反射し、P偏光を透過する。特開平9-184916号(特許文献2)に記載の偏光ビームスプリッターもS偏光を反射し、P偏光を透過するもので、入射ビームの発散角が±5°以上でも、所定の偏光特性を示す。一方、米国特許5912762号(特許文献3)に記載の偏光ビームスプリッターは、これらとは逆にS偏光を透過し、P偏光を反射する。
近年、液晶プロジェクター等の分野では、特定の色のS偏光のみを利用したいというニーズがある。しかし上述の例をはじめ、これまでに提案されている偏光ビームスプリッターはP偏光とS偏光とを分離する機能を有するものの、特定の色、すなわち特定の波長範囲のS偏光を分離する機能は有していない。そこで、特定の色のS偏光を分離するには、偏光ビームスプリッターと、カラーフィルター(ダイクロイックフィルター)等を組み合わせる必要があった。
図10は、入射光Lを分離して青色のS偏光を得る光学系の例を示す。この光学系は、三角プリズム3a,3b及び多層膜4からなる偏光ビームスプリッター3と、偏光ビームスプリッター3の反射光Rに垂直に設けられたカラーフィルター6とを具備する。カラーフィルター6は青色の光を透過し、その他の色の光を反射する機能を有する。プリズム3aの垂直面31aに入射した光LのうちP偏光は多層膜4を透過し、垂直面31bから出て透過光Tとなる。S偏光は多層膜4で反射し、入射光Lに対して垂直な方向に進んで水平面32aから出てカラーフィルター6に入射する。青色のS偏光Sbはカラーフィルター6を透過するが、緑色のS偏光Sg及び赤色のS偏光Srはカラーフィルター6を透過しない。したがって、カラーフィルター6を透過した光は青色のS偏光Sbのみからなる。
このように、図10に示す光学系によって青色のS偏光のみを他の色のS偏光及びP偏光とを分離することができる。しかしこの光学系は、偏光ビームスプリッター3以外にカラーフィルター6を必要とするものであり、部品数が多いので小型の光学機器に不向きであるという問題があった。
特開平11-211946号公報 特開平9-184916号公報 米国特許5912762号
従って本発明の目的は、カラーフィルター等を用いることなく、所望の色のS偏光を得ることができる偏光ビームスプリッター及びその製造方法を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、透明基体及び各層の屈折率、各層の厚さ、透明基体の屈折角並びに利用波長が所定の関係を満たすようにし、もって(a) P偏光は利用波長の全域で反射し、(b) S偏光は所望の波長範囲のみ透過してその他は反射するようにすると、カラーフィルター等を用いることなく、所望の色のS偏光を得られることを発見し、本発明に想到した。
すなわち本発明の偏光ビームスプリッターは一対の透明基体と、両透明基体の間に設けられた高屈折率層及び低屈折率層からなる多層膜とを具備し、下記式(1) 、(2) 及び(3)
nL<nS、nH ・・・(1)
θsin-1(nL/nS) ・・・(2)
dLmax<λmax ・・・(3)
(ただし、nLは前記低屈折率層の屈折率を示し、nSは前記透明基体の屈折率を示し、nHは前記高屈折率層の屈折率を示し、θは一方の透明基体に垂直入射した光の前記多層膜との界面における反射角を示し、λmaxは利用波長の最大値を示し、dLmaxは低屈折率層の最大光学層厚を示す。)を満たし、前記多層膜の層数が15以上であり、P偏光の透過率は前記利用波長の全域で20%以下であり、S偏光の透過率は(a) 前記利用波長の範囲内にある第一の波長帯域及び第三の波長帯域において20%以下であり、(b) 前記第一の波長帯域と、前記第三の波長帯域との間にある第二の波長帯域において80%以上であることを特徴とする。
前記第一、第二及び第三の波長帯域は波長300〜800 nmの範囲にあるのが好ましく、可視領域にあるのがより好ましい。
本発明の偏光ビームスプリッターの製造方法は、第一の透明基体の底面に高屈折率層及び低屈折率層からなる多層膜を設け、前記多層膜を第二の透明基体の底面に接合するもので、前記多層膜の層数を15以上とし、下記式(1) 、(2) 及び(3)
nL<nS、nH ・・・(1)
θsin-1(nL/nS) ・・・(2)
dLmax<λmax ・・・(3)
(ただし、nLは前記低屈折率層の屈折率を示し、nSは前記透明基体の屈折率を示し、nHは前記高屈折率層の屈折率を示し、θは一方の透明基体に垂直入射した光の前記多層膜との界面における反射角を示し、λmaxは利用波長の最大値を示し、dLmaxは低屈折率層の最大光学層厚を示す。)を満たすようにし、P偏光の透過率を前記利用波長の全域で20%以下とし、S偏光の透過率を(a) 前記利用波長の範囲内の第一の波長帯域及び第三の波長帯域においては20%以下とし、(b) 前記第一の波長帯域と、前記第三の波長帯域との間の第二の波長帯域において80%以上とすることを特徴とする。
本発明の偏光ビームスプリッターは、透明基体1a,1bと多層膜2とからなり、透明基体1a,1b及び多層膜2の屈折率、多層膜2の各層の厚さ、透明基体1a,1bの屈折角並びに利用波長は所定の関係を満たす。このため透明基体1aに入射した光LのうちS偏光の一部のみ多層膜2を透過し、残りのS偏光と、P偏光とを反射する。透過するS偏光の波長は任意に設定可能であるので、透過光軸上に導かれるのは、実質的に所望の色のS偏光のみである。したがって、本発明の偏光ビームスプリッターを使用すると、カラーフィルター等を要することなく、所望の色のS偏光を利用することができる。
[1] 偏光ビームスプリッター
図1は、本発明の偏光ビームスプリッターの一例を示す。この偏光ビームスプリッターは、底面10a,10bで貼り合わされた台形プリズム1a,1bと、底面10a,10bに接合された多層膜2とからなる。
台形プリズム1a,1bは同じ形状を有するので、台形プリズム1aについてのみ形状を説明する。図2に示すように、台形プリズム1aは台形状の側面100a,101aと、水平な底面10a及び上面13aと、斜面11a,12aとからなる。側面100a(図1に示す面)とその裏面101aは平行である。
台形プリズム1a,1bの屈折率は、後述する多層膜2の屈折率との関係を満たす限り特に限定されない。台形プリズム1a,1bは同じ材料からなっても良いし、異なる材料からなっても良い。入射光Lの波長が200〜900 nmである場合、台形プリズム1a,1bの屈折率は一般的には1.35〜2.35程度である。台形プリズム1a,1bの材料の例として光学ガラス、透明プラスチック及び透明セラミックスが挙げられる。
偏光ビームスプリッターは、台形プリズム1aの斜面11aに垂直に光Lが入射するように配置される。斜面11aに入射した光の一部は多層膜2及び台形プリズム1bを透過して斜面12bから出る。残りの光は多層膜2で反射し(反射角θ)、斜面12aから出る。
多層膜2は高屈折率層と、低屈折率層とを交互に有する。高屈折率層と低屈折率層を交互に積層することにより、各層の境界で生じる干渉効果によって、S偏光及び/又はP偏光の透過率を高くすることができる。台形プリズム1a,1bの屈折率nSは、低屈折率層の屈折率nLより大きい。もちろん高屈折率層の屈折率nHは低屈折率層の屈折率nLより大きいので、下記式(1)
nL<nS、nH ・・・(1)
(ただし、nLは低屈折率層の屈折率を示し、nSは台形プリズム1a,1bの屈折率を示し、nHは高屈折率層の屈折率を示す。)により表される関係が成り立つ。低屈折率層及び台形プリズム1a,1bの屈折率nL,nSが上記式(1)を満たさないと、底面10aにおける反射角θが低屈折率層の臨界角以上であるという条件式(2) を満足できない。
高屈折率層の屈折率nHと台形プリズム1a,1bの屈折率nSは、下記式(4)
nS<nH ・・・(4)
(ただし、nSは台形プリズム1a,1bの屈折率を示し、nHは高屈折率層の屈折率を示す。)を満たすのが好ましい。上記式(4) が成り立つように高屈折率層の屈折率nHと台形プリズム1a,1bの屈折率nSを設定すると、特定の波長帯域におけるS偏光の反射率を効率よく上昇させることができる。
底面10aにおける反射角をθとすると、下記式(2)
θsin-1(nL/nS) ・・・(2)
(ただし、nLは低屈折率層の屈折率を示し、nSは台形プリズム1a,1bの屈折率を示し、θは台形プリズム1aの斜面11aに垂直入射した光の底面10aにおける反射角を示す。)により表される関係が成り立つ。反射角θがsin-1(nL/nS)未満であると、S偏光の透過率が大きく、かつP偏光の透過率が小さい波長帯域を得ることができない。
高屈折率層と、低屈折率層の層数の合計は15以上である。層数の合計が15未満であると、所定の波長範囲でS偏光の透過率を大きくし難過ぎる。またP偏光の透過率を十分に小さくし難過ぎる。高屈折率層及び低屈折率層の各層は同じ材料からなっても良いし、上記式(1) 及び(2) を満たすような異なる材料からなっても良い。台形プリズム1a,1bの屈折率が1.5〜1.8である場合、高屈折率層の例として酸化タンタル層、酸化チタン層、酸化ランタン層、酸化イットリウム層、酸化ニオブ層、酸化セリウム層、酸化ジルコニウム層、酸化イッテルビウム層、酸化ハフニウム層及び酸化アルミニウム層が挙げられる。低屈折率層の例として酸化ケイ素層、フッ化マグネシウム層、フッ化カルシウム層及びフッ化アルミニウム層が挙げられる。
各高屈折率層及び低屈折率層の光学層厚は、同じでも良いし異なっても良い。高屈折率層又は低屈折率層の「光学層厚」は、高屈折率層又は低屈折率層の光学的な厚さ(光学膜厚)を意味する。ただし低屈折率層の光学層厚のうち最も大きいものdLmaxは、下記式(3) dLmax<λmax ・・・(3)
(ただし、λmaxは利用波長λの最大値を示し、dLmaxは低屈折率層の最大光学層厚を示す。)を満たす必要がある。利用波長λは、偏光ビームスプリッターに照射して各偏光に分離する光の波長を示す。利用波長の最大値λmaxは700 nm以上とし、利用波長の最小値λminは350 nm以下とする。好ましい利用波長は300〜830 nmである。低屈折率層の最大光学層厚dLmaxを利用波長の最大値λmax以上とすると、入射光Lを全反射してしまう。利用波長が200〜900 nmの場合、一般的には低屈折率層の光学層厚は5〜900 nm程度であり、高屈折率層の光学層厚は5〜900 nm程度である。多層膜2の光学膜厚は、1〜1000μm程度である。
図3(a) は、青色のS偏光Sbを透過する偏光ビームスプリッターによる入射光Lの分離を示す。入射光Lのうち青色のS偏光Sbは多層膜2を透過して斜面12bから出る。緑色及び赤色のS偏光Sg,Srと、P偏光は多層膜2で反射して斜面12aから出る。各偏光は、斜面12a,12bに垂直に出射する。
この偏光ビームスプリッターの分光反射率を図3(b) に概略的に示す。図3(b) 中、TsはS偏光の透過率を示し、TpはP偏光の透過率を示す。S偏光の透過率Tsは第二の波長帯域W2において80%以上であり、第一及び第三の波長帯域W1,W3において20%以下である。S偏光の透過率Tsは第二の波長帯域W2において90%以上であるのが好ましく、95%以上であるのがより好ましい。また第一及び第三の波長帯域W1,W3におけるS偏光の透過率Tsは10%以下であるのが好ましく、5%以下であるのがより好ましい。P偏光の透過率Tpは、第一、第二及び第三の波長帯域W1,W2,W3のいずれにおいても20%以下である。P偏光の透過率Tpは10%であるのが好ましく、5%以下であるのがより好ましい。
第二の波長帯域W2の幅は10〜250 nmであるのが好ましい。250nm超であると、透過光が単色でない。10 nm未満であると、透過効率が悪すぎる。第一の波長帯域W1の幅は10〜400 nmであるのが好ましく、第三の波長帯域W3の幅も10〜400 nmであるのが好ましい。第一及び第三の波長帯域W1,W3がこの範囲であると、不要な色のS偏光が実質的に偏光ビームスプリッターを透過しない。
第一の波長帯域W1と第二の波長帯域W2との間(λ2〜λ3)、及び第二の波長帯域W2と第三の波長帯域W3との間(λ4〜λ5)は1〜50 nmであるのが好ましい。λ2〜λ3及びλ4〜λ5がこの範囲であると、所望の色のS偏光とそれ以外の偏光とを明確に分離することができる。
利用波長(λ1〜λ6)が350〜800 nmの場合、好ましい第一の波長帯域W1(λ1〜λ2)は350〜390 nmであり、好ましい第二の波長帯域W2(λ3〜λ4)は400〜500 nmであり、好ましい第三の波長帯域W3(λ5〜λ6)は510〜800 nmである。なおλ2、λ3、λ4及びλ5の値は、好ましい値から±10 nm程度ずれても良い。±10 nm程度のずれであれば、青色のS偏光Sbとその他の色とを分離することができる。
図4(a) は、緑色のS偏光Sgを透過する偏光ビームスプリッターによる入射光Lの分離を示す。入射光Lのうち緑色のS偏光Sgは多層膜2を透過して斜面12bから出る。青色及び赤色のS偏光Sb,Srと、P偏光は多層膜2で反射して斜面12aから出る。このため斜面12bに直行する透過光軸上で緑色のS偏光Sgを利用することができる。
図4(b) に示すグラフは、λ2、λ3、λ4及びλ5の位置以外、図3(b) に示す例とほぼ同じであるので、相違点のみ以下に説明する。好ましい第一の波長帯域W1(λ1〜λ2)は350〜490 nmであり、好ましい第二の波長帯域W2(λ3〜λ4)は500〜600 nmであり、好ましい第三の波長帯域W3(λ5〜λ6)は610〜800 nmである。
図5(a) は、赤色のS偏光Srを透過する偏光ビームスプリッターによる入射光Lの分離を示す。入射光Lのうち赤色のS偏光Srは多層膜2を透過して斜面12bから出る。赤色及び緑色のS偏光Sg,Sbと、P偏光は多層膜2で反射して斜面12aから出る。このため斜面12bに直行する透過光軸上で赤色のS偏光Srを利用することができる。
図5(b) に示すグラフは、λ2、λ3、λ4及びλ5の位置以外、図3(b) に示す例と同じであるので、相違点のみ以下に説明する。好ましい第一の波長帯域W1(λ1〜λ2)は350〜590 nmであり、好ましい第二の波長帯域W2(λ3〜λ4)は610〜720 nmであり、好ましい第三の波長帯域W3(λ5〜λ6)は770〜800 nmである。
[2] 偏光ビームスプリッターの製造方法
(1) 多層膜の設計
高屈折率層、低屈折率層及び透明基体の屈折率nH,nL,nSと、透明基体の反射角θは下記式(1) 及び(2)
nL<nS、nH ・・・(1)
θsin-1(nL/nS) ・・・(2)
(ただし、式中、nLは前記低屈折率層の屈折率を示し、nSは前記透明基体の屈折率を示し、nHは前記高屈折率層の屈折率を示し、θは一方の透明基体に垂直入射した光の前記多層膜との界面における反射角を示す。)を満たす必要がある。
15以上の数で層数(低屈折率層及び高屈折率層の合計)を決め、下記式(3)
dLmax<λmax ・・・(3)
(ただし、λmaxは利用波長の最大値を示し、dLmaxは低屈折率層の最大光学層厚を示す。)を満たすように設定して、光学薄膜設計用のシミュレーションソフトで処理する。シミュレーションの条件としては、例えば青色のS偏光Sbを透過する偏光ビームスプリッターを作製する場合、波長400〜500 nmのS偏光の透過率Tsを80%以上とし、波長λmin〜390 nm及び510〜λmax nmではS偏光の透過率Tsを20%以下とし、かつ利用波長の全域でP偏光の透過率Tpを20%以下とする。シミュレーションソフトは、各層の光学層厚を変化させて最適化を行う。緑色又は赤色のS偏光Sg,Srを透過する偏光ビームスプリッターを作製する場合、80%以上又は20%以下の透過率Tsを示すS偏光の波長を適宜設定する。
(2) 多層膜の成膜
低屈折率層及び高屈折率層を形成する方法は特に限定されず、一般的な方法によって作製することができる。例えば蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法、熱CVD、プラズマCVD、光CVD等の化学蒸着法が挙げられる。屈折率の安定性や膜厚制御性の観点から、スパッタリング法やイオンプレーティング法が好ましい。
スパッタリング法又はイオンプレーティング法によって低屈折率層又は高屈折率層を成膜する場合、成膜時間、加熱温度等を適宜設定することにより、所望の厚さを有する層を形成することができる。
(3) 透明基材の接着
台形プリズム1aの一面に形成した多層膜2に台形プリズム1bを接着するには、(a) 多層膜2の表面に接着剤を塗布して台形プリズム1bを貼り合わせても良いが、(b) 多層膜2と台形プリズム1bを真空接着する方が好ましい。真空接着によると、接着剤を用いる必要が無いので、得られる偏光ビームスプリッターが接着剤による屈折の影響を受けない。
真空接着によって多層膜2と台形プリズム1bを接合するには、まず多層膜2の表面と台形プリズム1bの底面10bを当接した状態にして真空チャンバに入れる。次いで、真空チャンバ内を1Pa〜1kPa程度の減圧状態にする。多層膜2及び台形プリズム1bの表面は非常に平滑であるので、減圧雰囲気中で密着状態にすることによって接着することができる。
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
低屈折率層の材料をSiO2とし、高屈折率層の材料をTa2O5とし、透明基材を光学ガラスS-LAH59(株式会社オハラ製、屈折率nd=1.82)からなる台形プリズム1aとし、利用波長λを350〜780 nmとして48層の多層膜2を設計した。台形プリズム1aの形状は、底面10aにおける反射角θが60°である以外、図1及び2に示すものと同じであった。多層膜2の構成を表1に示す。この多層膜2の低屈折率層及び高屈折率層の屈折率、並びに透明基材の屈折率は明らかに上記式(1) を満たし、sin-1(nL/nS)は53.34(<60)であるので上記式(2) も満たす。またdLmaxは282.7であるので、上記式(3) も満たす。
台形プリズム1aの底面10aに、表1に示す構成の多層膜を形成した。
Figure 2006071754
注 但し、層No.は台形プリズム1a側からNo.1、2・・・・47、48とする。
台形プリズム1aと同じ形状及び材質の台形プリズム1bの底面10bに、多層膜2の第48層を当接させて真空チャンバに入れ、チャンバ内を真空引きして多層膜と台形プリズムを接着し、偏光ビームスプリッターを得た。
実施例2
台形プリズム1aの底面10aに積層する多層膜2の構成を表2のとおりとした以外実施例1と同様にして、偏光ビームスプリッターを作製した。この偏光ビームスプリッターの多層膜2も、上記式(1) 〜(3) を満たす。
Figure 2006071754
注 但し、層No.は台形プリズム1a側からNo.1、2・・・・47、48とする。
実施例3
台形プリズム1aの底面10aに積層する多層膜2の構成を表3に示すとおりとした以外実施例1と同様にして、偏光ビームスプリッターを作製した。この偏光ビームスプリッターの多層膜2も、上記式(1) 〜(3) を満たす。
Figure 2006071754
注 但し、層No.は台形プリズム1a側からNo.1、2・・・・47、48とする。
比較例1
光学ガラスS-LAL18(株式会社オハラ製、屈折率nd=1.73)からなる三角プリズム3a,3b(反射角θ=45°)を用い、表4に示す多層膜を三角プリズム3aの一面に形成した以外実施例1と同様にして、図10に示す偏光ビームスプリッター3と同じ形状を有する偏光ビームスプリッターを作製した。この多層膜4のsin-1(nL/nS)は57.55(>45)であり、上記式(2) を満たさなかった。
Figure 2006071754
注 但し、層No.は台形プリズム1a側からNo.1、2・・・・36、37とする。
実施例1〜3の斜面11a及び比較例1の垂直面31aに、垂直に波長350〜780 nmの光Lを照射し、各偏光の分光透過率を測定した。結果を図6〜9に示す。なお簡単のために、空気と透明基材1a,1bとの界面における反射の寄与を除いた値を偏光ビームスプリッターの透過率として各グラフの縦軸に示した。
図6に示すように、実施例1の偏光ビームスプリッターは約390〜490 nmの波長範囲でS偏光の透過率Tsが90%以上であり、約350〜380 nm 及び約510〜780 nm の波長範囲におけるS偏光の透過率Ts、並びに利用波長全域(波長350〜780 nm )におけるP偏光の透過率Tpは10%未満であった。この偏光ビームスプリッターの透過光Tの色は、青色であった。実施例2の偏光ビームスプリッターは、図7に示すように、約510〜590 nmの波長のS偏光を透過率Ts90%以上で透過した。この偏光ビームスプリッターの透過光の色は、緑色であった。実施例3の偏光ビームスプリッターは、図8に示すように、約610〜710 nmの波長のS偏光を透過率Ts90%以上で透過した。この偏光ビームスプリッターの透過光の色は、赤色であった。
一方、図9に示すように、比較例1の偏光ビームスプリッターは波長350〜780 nmの全域でP偏光の透過率Tpが95%以上であり、S偏光の透過率Tsは約420〜680 nmの波長範囲でほぼ0%であった。この偏光ビームスプリッターの透過光Tは白色であった。
本発明の偏光ビームスプリッターの一例を示す側面図である。 台形プリズムを示す斜視図である。 青色のS偏光を透過する偏光ビームスプリッターの一例を示し、(a) は偏光の分離を示し、(b) は分光透過率を示す。 緑色のS偏光を透過する偏光ビームスプリッターの一例を示し、(a) は偏光の分離を示し、(b) は分光透過率を示す。 赤色のS偏光を透過する偏光ビームスプリッターの一例を示し、(a) は偏光の分離を示し、(b) は分光透過率を示す。 実施例1の偏光ビームスプリッターにおける分光透過率を示すグラフである。 実施例2の偏光ビームスプリッターにおける分光透過率を示すグラフである。 実施例3の偏光ビームスプリッターにおける分光透過率を示すグラフである。 比較例1の偏光ビームスプリッターにおける分光透過率を示すグラフである。 入射光を分離して青色の偏光を得る光学系の一例を示す概略図である。
符号の説明
1a、1b・・・台形プリズム
10a、10b・・・底面
11a、12a・・・斜面
13a・・・上面
100a、101a・・・側面
2・・・多層膜
3a、3b・・・三角プリズム
6・・・カラーフィルター
S・・・S偏光
P・・・P偏光
Ts・・・S偏光の透過率
Tp・・・P偏光の透過率

Claims (3)

  1. 一対の透明基体と、両透明基体の間に設けられた高屈折率層及び低屈折率層からなる多層膜とを具備する偏光ビームスプリッターであって、下記式(1) 、(2) 及び(3)
    nL<nS、nH ・・・(1)
    θsin-1(nL/nS) ・・・(2)
    dLmax<λmax ・・・(3)
    (ただし、nLは前記低屈折率層の屈折率を示し、nSは前記透明基体の屈折率を示し、nHは前記高屈折率層の屈折率を示し、θは一方の透明基体に垂直入射した光の前記多層膜との界面における反射角を示し、λmaxは利用波長の最大値を示し、dLmaxは低屈折率層の最大光学層厚を示す。)を満たし、前記多層膜の層数が15以上であり、P偏光の透過率は前記利用波長の全域で20%以下であり、S偏光の透過率は(a) 前記利用波長の範囲内にある第一の波長帯域及び第三の波長帯域において20%以下であり、(b) 前記第一の波長帯域と、前記第三の波長帯域との間にある第二の波長帯域において80%以上であることを特徴とする偏光ビームスプリッター。
  2. 請求項1に記載の偏光ビームスプリッターにおいて、前記第一、第二及び第三の波長帯域は波長200〜900 nmの範囲にあることを特徴とする偏光ビームスプリッター。
  3. 第一の透明基体の底面に高屈折率層及び低屈折率層からなる多層膜を設け、前記多層膜を第二の透明基体の底面に接合する偏光ビームスプリッターの製造方法であって、前記多層膜の層数を15以上とし、下記式(1) 、(2) 及び(3)
    nL<nS、nH ・・・(1)
    θsin-1(nL/nS) ・・・(2)
    dLmax<λmax ・・・(3)
    (ただし、nLは前記低屈折率層の屈折率を示し、nSは前記透明基体の屈折率を示し、nHは前記高屈折率層の屈折率を示し、θは一方の透明基体に垂直入射した光の前記多層膜との界面における反射角を示し、λmaxは利用波長の最大値を示し、dLmaxは低屈折率層の最大光学層厚を示す。)を満たすようにし、P偏光の透過率を前記利用波長の全域で20%以下とし、S偏光の透過率を(a) 前記利用波長の範囲内の第一の波長帯域及び第三の波長帯域においては20%以下とし、(b) 前記第一の波長帯域と、前記第三の波長帯域との間の第二の波長帯域において80%以上とすることを特徴とする偏光ビームスプリッターの製造方法。
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