JP2005127852A - 走査光学素子検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光学的欠陥に対する検出感度を下げることなく検査対象走査光学素子における検査対象領域の幅を拡げることができる走査光学素子検査装置を、提供する。
【解決手段】光源装置10から平行光として射出されたレーザー光束は、平行平面板11aを透過した後に、シリンドリカルレンズ12を経てポリゴンミラー13の反射面13bによって反射され、検査対象走査光学素子保持具14によって保持された検査対象走査光学素子Lに入射する。この検査対象走査光学素子Lを透過したレーザー光束は、走査対象面に相当する面上にスポットを形成する。ポリゴンミラー13が回転すると、検査対象光学素子Lにおけるレーザー光束の透過位置及びスポットの形成位置が、副走査方向に移動する。また、平行平面板11aが回転すると、平行光であるレーザー光束がシフトすることによって、検査対象光学素子Lにおけるレーザー光束の透過位置が副走査方向にシフトする。
【選択図】図1
【解決手段】光源装置10から平行光として射出されたレーザー光束は、平行平面板11aを透過した後に、シリンドリカルレンズ12を経てポリゴンミラー13の反射面13bによって反射され、検査対象走査光学素子保持具14によって保持された検査対象走査光学素子Lに入射する。この検査対象走査光学素子Lを透過したレーザー光束は、走査対象面に相当する面上にスポットを形成する。ポリゴンミラー13が回転すると、検査対象光学素子Lにおけるレーザー光束の透過位置及びスポットの形成位置が、副走査方向に移動する。また、平行平面板11aが回転すると、平行光であるレーザー光束がシフトすることによって、検査対象光学素子Lにおけるレーザー光束の透過位置が副走査方向にシフトする。
【選択図】図1
Description
この発明は、レーザープリンター等の描画装置に利用される走査光学装置に含まれる走査光学素子を検査するための走査光学素子検査装置に、関する。
この種の走査光学装置は、レーザープリンター,デジタルコピー機等の描画装置に組み込まれて利用されるものであり、光源装置から発したレーザー光束を、等速回転するポリゴンミラーの各反射面によって次々に反射させることによって、一定角度範囲内で偏向させ、fθ特性を有する走査光学素子(fθレンズ)によって被走査面上を走査するスポットとして集束させるという基本構成を、有している。更に、ポリゴンミラーの回転軸や個々の反射面の傾きに起因する面倒れ誤差,即ち、被走査面上での副走査方向(スポットが走査される主走査方向に直交する方向)への集束位置ズレをキャンセルするために、光源装置から平行光として発したレーザー光束をシリンドリカルレンズを透過させることにより、一旦副走査方向においてポリゴンミラーの反射面近傍に集束させて線像を形成するとともに、アナモフィックに構成された走査光学素子を介して反射面近傍の線像と被走査面とを共役にすることにより、スポットが被走査面上の副走査方向における同一高さ位置に常に集束させるいわゆる面倒れ誤差補正機能を有する走査光学装置も、一般に利用されている。
このような走査光学装置に用いられる走査光学素子は、主走査方向に長尺なレンズであり、そのレンズ径に比して入射するレーザー光束のビーム径が極端に小さいので、走査中の瞬間々々では、レーザー光束は、走査光学素子のごく一部のみを透過しているに過ぎない。従って、走査光学素子の各レンズ面又は内部に、ゴミやキズや屈折率異常のような光学的欠陥が、その主走査方向における一部に存在していると、走査中のレーザビームがその光学的欠陥を通過した瞬間のみ、被走査面上でのスポットの状態に異常(例えば、光量の低下,スポット径の拡大又は縮小,スポットの位置ズレ)が生じてしまう。その結果として、副走査方向に移動する被走査面上には、主走査方向における上記光学的欠陥に相当する位置から副走査方向に伸びた筋状のノイズが、形成されてしまうのである。
このような印刷品質の劣化を避けるためには、走査光学装置を完成させる前には、これに組み込む走査光学素子を検査しなければならない。そのために従来採られていた検査の手法は、走査光学装置に組み込む前の走査光学素子を、人間の目視によって官能検査するというものであった。また、プラスチックの射出成形レンズに発生しうる脈理や歪みのような欠陥については、歪み計によってこれらの欠陥を可視化させた上で、人間の目視による結果を行うという方法も採られていた。また、人間の目視に換えて、走査光学素子を撮影することによって得られた画像データに対して所定の画像処理を施すことによって光学的欠陥を抽出するという手法も、利用されていた。
しかしながら、走査光学素子に存在する光学的欠陥は、その全てが上述した印刷品質劣化をもたらすのではない。即ち、走査光学素子を走査光学装置に組み込んで実際にレーザー光束を走査するときにレーザー光束が透過する領域に存在する光学的欠陥のみが、上述した印刷品質劣化をもたらすのである。にも拘わらず、上述した手法によると、印刷品質劣化をもたらす光学的欠陥を他から識別して検査することができないので、製品としての走査光学装置の印刷品質には全く問題を生じないのに不良品として判断してしまうことに因って、歩留りを悪化(従って、製造コストを高騰)させたり、走査光学装置の印刷品質に問題を生じてしまう光学的欠陥を見逃してしまうことが、避けられなかった。更に、人間の目視過程を含む手法の場合には、検査者の判断基準の変動や体調に因る判断の誤差が検出結果に影響を与えてしまうことも、避けられない。
そこで、走査光学素子以外の走査光学装置の全構成を備えるとともに、被走査面が存在すべき面に沿って主走査方向にスライドする受光手段を備えた検査装置が、提案されている(特許文献1参照)。この検査装置を用いて走査光学素子を検査するには、その検査対象走査光学素子を、検査装置内における所定位置(その検査対象光学素子を走査光学装置内に組み込むときと同じ位置)に配置した状態で、実際にポリゴンミラーを回転させることによってレーザー光束を走査させ、検査対象走査光学素子を透過した後に形成されるスポットの光量を、主走査方向における各位置にてこの受光手段によって計測するのである。そうすれば、この受光手段による計測結果は、その検査対象走査光学素子を実際に組み込んだ走査光学装置による印刷品質そのものを示すことになるので、走査光学装置の印刷品質に問題を生じない光学的欠陥の影響を排除した検査結果を、得ることが可能となるのである。
特開平10−332534号公報
上述した検査装置によると、走査光学素子におけるレーザー光束が透過する領域のみが、検査対象領域として検査される(この領域に存在する光学的欠陥のみが検出される)ことになる。
しかしながら、検査の完了した走査光学素子は、一旦検査装置から外された後に、改めて、製品として走査光学装置に組み付けられる。従って、その走査光学装置が元々持っている機械誤差や、その走査光学素子を組み付ける際の組付誤差に因って、実際にレーザー光束が透過する位置が、検査対象領域から副走査方向にずれてしまうことがある。
この問題を、図10を用いて、模式的に説明する。この図10において、実線は検査対象走査光学素子のコバを示し、破線は検査対象領域を示し、Dは光学的欠陥(例えば、異物)を示す。このように、光学的欠陥Dが検査対象領域の外側のみにあれば、この検査対象走査光学素子は良品であると判定されるが、この検査対象走査光学素子が走査光学装置に組み込まれた際に何らかの誤差があると、実際のレーザ光の透過位置が検査対象領域から副走査方向にずれてしまい、光学的欠陥Dに重なってしまうことがあり得るのである。このようにして、実際のレーザ光の透過位置が光学的欠陥Dに重なってしまうと、その走査光学素子は良品と判定されたにも拘わらず、その走査光学素子を組み込んだ走査光学装置の製品としての印字品質が劣化してしまうのである。
このような透過位置のずれに対処するには、予め、検査装置上において、検査対象走査光学素子における検査対象領域の幅を、副走査方向においてある程度拡げておけば良い。そのために考えられる手法として考えられるのが、光源装置から射出されるレーザー光束のビーム径を拡げることによって、検査対象走査光学素子に対するレーザー光束の透過領域の幅を、拡げるというものである。この手法を採用すれば、図11に示すように、検査対象領域の幅が拡がるので、走査光学装置に組み込んだ場合に各種誤差に因ってレーザー光束の透過位置と重なり得る光学的誤差Dをも、検査対象領域内に包含させることが可能になる。
但し、検査対象光学素子に入射するレーザー光束のビーム径を拡大すると、印刷品質に影響を及ぼし得る最少の光学的欠陥の大きさに対するビーム径の比率が大きくなってしまう。この比率が大きくなってしまうと、レーザー光束がそのような光学的欠陥に当たった場合でも、その光学的欠陥によって遮断される光量がレーザー光束全体に対してなす比率(即ち、光量の減少率)が小さくなってしまう。そのため、CCDカメラによって受光された光量の変化を検知しにくくなってしまう(即ち、光学的欠陥に対する検出感度が下がってしまう)問題を、生じるのである。
そこで、本発明は、簡単な構成により、光学的欠陥に対する検出感度を下げることなく、検査対象走査光学素子における検査対象領域の幅を副走査方向に拡げることができ、もって、走査光学装置自体の機械誤差や走査光学装置に対する組付誤差の有無に拘わらず、検査対象走査光学素子を組み込んだ走査光学装置の製品としての印刷品質に対応した検査結果を得ることができる走査光学素子検査装置の提供を、課題とする。
このような課題を解決するために案出された本発明による走査光学素子検査装置は、偏向手段によって動的に偏向されるレーザー光を所定の被走査面上に収束させる走査光学素子の、光学的欠陥を検査するための走査光学素子検査装置であって、レーザー光束を発散光として射出するレーザー光源と、このレーザー光源から射出されたレーザー光束を平行光とするコリメート光学素子と、前記レーザー光束を、所定の主走査方向に回転しつつ反射することによって動的に偏向する偏向手段と、この偏向手段によって動的に偏向されたレーザー光束の光路上の所定位置に前記走査光学素子を保持するための保持具と、前記偏向手段及び前記保持具に保持される前記走査光学素子に対して前記被走査面と同じ相対的位置関係となるように仮想される面上において、前記保持具に保持される前記走査光学素子によって収束されたレーザー光束の状態を測定する検出手段と、前記レーザー光束が平行光となっている箇所において、前記レーザー光束のビーム軸及び前記主走査方向に直交する副走査方向へ当該レーザー光束を平行移動させるシフト装置とを、備えたことを特徴とする。
このように構成されると、平行光としてのレーザー光束を、一定範囲で平行移動させることができる。このように平行光束を平行移動させたとしても、被走査面に相当する面上におけるレーザー光束の収束位置は変動しないものの、保持具によって保持されている走査光学素子におけるレーザー光束の透過位置,即ち、検査対象領域は、副走査方向にシフトする。その結果、走査光学素子を透過するレーザー光束のビーム径を拡大することなく、当該走査光学素子における検査対象領域を、副走査方向における両側に所定量づつ拡げることができる。
なお、シフト装置は、ダハプリズムやペシャンプリズムのような像反転機能を持ったプリズム全体を副走査方向に移動させるものであっても良いし、複数枚の光学楔同士の間隔を変化させるものであっても良いし、平行平面板を回転させるものであっても良い。平行平面板を回転させる場合には、その回転軸は、レーザー光束のビーム軸及び副走査方向に直交する方向を向いている必要がある。
また、検査対象としての走査光学素子は、回転対称形状を持つものであっても良いし、副走査方向において平行光として入射したレーザー光を前記被走査面に収束させるとともに副走査方向において偏向手段と被走査面とを共役にする面倒れ補正機能を有するものであっても良い。後者の走査光学素子を検査する場合には、シフト装置と偏向手段との間に、レーザー光束を副走査方向においてのみ収束することによって偏向手段近傍に線像を形成する線像形成光学素子を更に備える必要がある。
シフト装置によるレーザー光束のシフト量は、光束規制手段によって規制されたレーザー光束の副走査方向における光束幅の半分の幅から当該光束幅と同じ幅までの範囲に、相当する量であることが望ましい。この範囲よりもシフト量が大きければ、シフト前後のレーザー光束同士の間に隙間が開いてしまい、この範囲よりもシフト量が小さければ、全体としての走査対象領域の幅が必ずししも十分ではない。なお、シフト量を無段階で調整できるのであれば、そのシフト量の最大値が光束幅を超えていても問題はない。
本発明の走査光学素子検査装置によれば、光学的欠陥に対する検出感度を下げることなく、検査対象走査光学素子における検査対象領域の幅を拡げることができるので、走査光学装置自体の機械誤差や走査光学装置に対する組付誤差の有無に拘わらず、検査対象走査光学素子を組み込んだ走査光学装置の製品としての印刷品質に対応した検査結果を、得ることができる。
以下、この発明にかかる走査光学系を実施するための形態を説明する。図1は、本実施形態による走査光学素子検査装置(以下、単に「検査装置」という)1の機械構成を示す斜視図である、図2は、その副走査方向に視線を向けて見た状態を示す光学構成図であり、図3は、その主走査方向に視線を向けて見た状態を示す光学構成図である。
この検査装置1は、特定の走査光学装置に組み込まれて使用される特定形状の走査光学素子を検査対象とするものであり、走査光学素子を除き、当該特定走査光学装置と完全に同一の光学構成を有している。具体的には、この検査装置1は、図1乃至図3に示されるように、レーザー光束の進行方向に沿って、光源装置10,シリンドリカルレンズ12,ポリゴンミラー13を、有している。
光源装置10内部には、図6に示されるように、レーザー光源としての半導体レーザー21,この半導体レーザー21から発散光として射出されたレーザー光束を平行光に変換するためのコリメート光学素子としてのコリメータレンズ22,及び、このコリメータレンズ22によって平行光に変換されたレーザー光束の光束幅を制限するための開口手段23(光束径規制手段に相当)が、内蔵されている。なお、この開口手段23の開口の形状は、主走査方向(図2の紙面と並行な方向)に長く副走査方向(図2の紙面に直交する方向)に短い矩形,楕円形又は長円形である。
シリンドリカルレンズ12は、コリメータレンズ22から平行光として射出されたレーザー光束を副走査方向にのみ集束させて線像を形成するパワーを有する線像形成光学素子としてのレンズであり、走査光学装置内においては、面倒れ誤差補正の為に設置されているものである。
偏向手段としてのポリゴンミラー13は、扁平な概略多角柱形状(その側面に複数の反射面が均等に形成された軸対称な正多角柱形状)を有しており、中心軸(対称軸)13aと同軸に回転軸が連結されたモーター(図示略)により、図1及び図2における時計方向に、高速回転する。このポリゴンミラー13は、コリメータレンズ22の光軸がその外接円よりも内側であって中心軸13aからオフセットした位置を通過するとともに、コリメータレンズ22によって形成された線像が反射面13bの近傍に存在する位置関係にて、配置されている。その結果、シリンドリカルレンズ12を透過したレーザー光束は、ポリゴンミラー13の回転位置如何に拘わらず、0度より大きく且つ90度未満の入射角でポリゴンミラー13の反射面13bに入射して、反射(偏向)される。そして、ポリゴンミラー13が回転することにより、各反射面13bがレーザー光束の光路中に順次進入して漸次その方向を変化させるので、レーザー光束は、繰り返し、一方向(即ち、主走査方向)に走査される。このとき、レーザー光束は、副走査方向に直交する面内においては平行光のままであるが、副走査方向においては、この反射面13bによって反射(偏向)される前後にて一旦収束した後に、発散する。なお、この走査光学素子検査装置1は、上記走査光学装置よりも高精度に製造されるので、このポリゴンミラー13は、面倒れ誤差を小実機械誤差(中心軸13aの副走査方向からの傾き,個々の反射面の副走査方向からの傾き)を、殆ど有していない。
さらに、この検査装置1には、上記特定走査光学装置には無い独自の構成として、ビームシフト装置11,走査光学素子保持具14,及び、検出装置15を、備えている。
走査光学素子保持具14は、シリンドリカルレンズ12及びポリゴンミラー13に対して上記特定走査光学装置内のものと同じ相対位置関係となるように、検査対象走査光学素子Lを着脱自在に保持する治具である。従って、ポリゴンミラー13によって走査されたレーザー光束は、走査光学素子保持具14に保持されている検査対象走査光学素子Lに対して、副走査方向における同一の高さ位置(中心)に、常時入射することになる。なお、この検査対象走査光学素子Lは、上記特定走査光学装置内のシリンドリカルレンズ(シリンドリカルレンズ12に相当)と共に面倒れ誤差補正を行う為に、アナモフィックレンズ系となっている。即ち、検査対象走査光学素子Lは、主走査方向においては、その像側焦点が被走査面と略一致するパワーを有しており、副走査方向においては、シリンドリカルレンズ12によるレーザー光束の収束点と被走査面とを共役にするパワーを有している。従って、ポリゴンミラー13によって走査されたレーザー光束は、この検査対象光学素子Lの光学的欠陥の影響を受けない限り、この検査対象走査光学素子Lを透過することによって、被走査面に相当する位置にスポットを形成し、この被走査面に相当する面に沿って主走査方向に、スポットを移動させる。図1には、このようにして移動するスポットの軌跡が、破線によって示されている。
検出手段としての検出装置15は、センサ部15aと駆動部15bとから、構成されている。センサ部15aは、その前面に受光素子の受光面を保持した装置である。また、駆動部15bは、検査対象走査光学素子Lによって形成されたスポットの軌跡がセンサ部15aの受光面における副走査方向の中心を通過する状態を維持しつつ、このスポットの軌跡に沿ってこのセンサ部15aを主走査方向に移動させる装置である。なお、この検出装置15は、センサ部15aの受光面の主走査方向における位置を検出するためにエンコーダを備えており、センサ部15aを主走査方向に所定単位距離だけ移動させる毎に、移動後におけるセンサ部15aの位置及びセンサ部15aの受光素子に受光された光量のピーク値を示す測定値を、図示せぬ処理装置へ出力する。図4は、検出装置15がセンサ部15aの移動範囲の全域において夫々出力した測定値によって示される位置及び光量をプロットしたグラフ(実線)である。この図4においては、主走査方向における中央に光学的欠陥が存在しているために、そこでの光量が急激に下がっていることが示されている。なお、図4における破線は、走査光学装置の印刷品質に影響を及ぼす光学的欠陥を識別するために測定値の光量と比較される閾値であり、主走査方向における各測定位置毎に、検査対象領域に光学的欠陥が全く無い場合の測定値(光量)よりも若干低く設定されている。この閾値(破線)を測定値の光量(実線)が下回った場合に、検査対象領域における当該部分に光学的欠陥が存在していると、判断することができるのである。
シフト装置としてのビームシフト装置11は、光源装置10から射出されたレーザー光束(平行ビーム)の光路内に挿入された平行平面ガラス11aと、レーザー光束のビーム軸及び副走査方向に夫々直交する回転軸を中心としてこの平行平面ガラス11aを所定角度範囲で回動させる駆動部11bとから、構成されている。具体的には、駆動部11bは、平行平面ガラス11aを、レーザー光束に対して垂直となる状態を中心として、選択的に、+α°又は-α°回転させる。この平行平面ガラス11aの回転角θ=+/-α°の条件を、図5及び図6を用いて説明する。いま、平行平面ガラス11aの厚さ及び屈折率を夫々t,nとすると、この平行平面ガラス11aを透過することによるレーザー光束のシフト量Δは、下記式(1)によって表される。
Δ=t・sinθ(1−√((1−sin2θ)/(n2−sin2θ)))……(1)
例えば、n=1.51072,t=5.0[mm],θ=20°とすると、Δ=0.618[mm]となる。同じ条件下でθ=0°とすると、当然ながら、Δ=0となる。よって、レーザー光束に対して垂直に挿入した状態から平行平面ガラス11aをθ=+20°回転させると、レーザー光束は、Δ=+0.618[mm]シフトすることになる。逆に、レーザー光束に対して垂直に挿入した状態から平行平面ガラス11aをθ=-20°回転させると、レーザー光束は、Δ=-0.618[mm]シフトすることになる。
例えば、n=1.51072,t=5.0[mm],θ=20°とすると、Δ=0.618[mm]となる。同じ条件下でθ=0°とすると、当然ながら、Δ=0となる。よって、レーザー光束に対して垂直に挿入した状態から平行平面ガラス11aをθ=+20°回転させると、レーザー光束は、Δ=+0.618[mm]シフトすることになる。逆に、レーザー光束に対して垂直に挿入した状態から平行平面ガラス11aをθ=-20°回転させると、レーザー光束は、Δ=-0.618[mm]シフトすることになる。
但し、このシフト量Δは、図6に示すように、レーザー光束の光束幅以下でなければならず、当該光束幅の半分以上であることが望ましい。シフト量Δがレーザー光束の光束幅よりも大きくなると、シフト前後のレーザー光束間に隙間が開いてしまう為に光学的欠陥を検出し落としてしまう問題があり、シフト量Δがレーザー光束の光束幅の半分未満であると、シフト量として不十分だからである。上記例においてレーザー光束の光束幅が1[mm]であれば、そのシフト量Δ=|0.618|[mm]は、レーザー光束の光束幅以下且つ当該光束幅の半分以上であるので、上記条件を満たす。その結果、レーザー光束に対して垂直に挿入した状態からの回転角平行平面ガラス11aを選択的にθ=+/-α°=+/-20°回転させると、副走査方向に幅1.236[mm]の範囲に、レーザー光束を通すことができる。
このようにしてビームシフト装置11によってレーザー光束を副走査方向にシフトさせても、図7に示すように、シフトされたレーザー光束は平行光であるので、シリンドリカルレンズ12によって、副走査方向においてシフト前と同じ位置に一旦収束して線像を形成する。その後、レーザー光束は、シフト前とは異なる角度で方向に発散して、検査対象走査光学素子Lに入射し、その内部を透過する。その入射及び透過位置は、シフト前のレーザー光束の入射及び透過位置よりも副走査方向にシフトするが、シフト量Δが上述したように制限された結果として、シフト前におけるレーザー光束との間に隙間を生じない。検査対象走査光学素子Lから射出された光は、この検査対象光学素子Lが上述した面倒れ補正の為のアナモフィック形状に構成されているために、シフト前のレーザー光束と同じ位置にスポットを形成する。
このように、本実施形態によると、ビームシフト機構によりレーザー光束をシフトすることにより、スポット位置(即ち、検出装置15のセンサ部15aによる受光位置)を副走査方向に変位させることなく、検査対象走査光学素子Lに対するレーザー光束の入射位置及び透過位置(即ち、検査対象領域)を副走査方向にシフトさせることができる。従って、検出装置15は、レーザー光束の副走査方向へのシフトに合わせた動作をする必要がないので、従来のものをそのまま用いることができる。一方、レーザ光が副走査方向にシフトすることにより、検査対象走査光学素子Lの各レンズ面及び内部における検査対象領域が、副走査方向にシフトする。図8は、シフト前における検査対象領域,及び、平行平面板11aをθ=+/-α°づつ回転させた場合における各検査対象領域を、同時に示すものである。このとき、上述したようにそのシフト量が制限されている結果、シフト前後の各検査対象領域間に隙間は生じない。
その結果、検査対象走査光学素子Lへの透過時におけるビーム径はそのままに、全体としての検査対象領域が実質的に拡がるのである。即ち、この検査装置全体をを制御する図示せぬ制御装置又は作業者は、シフト前における検査対象領域に対する光学的欠陥の検出を、検出装置15を用いて上述したように実施する。次に、平行平面板11aをθ=+α°回転させることによって検査対象領域をシフトさせた状態で、シフト後における検査対象領域に対する光学的欠陥の検出を、検出装置15を用いて上述したように実施する。更に、平行平面板11aをシフト前の状態からθ=-α°回転させることによって検査対象領域を逆方向にシフトさせた状態で、シフト後における検査対象領域に対する光学的欠陥の検出を、検出装置15を用いて上述したように実施する。このような手順を踏むことにより、シフト前後の検査対象領域の全体に対する検査が行われるのである。
このように、本実施形態によると、ビーム径は何ら拡大されないので、検出感度が劣化することはないが、検査対象領域は実質的に拡がるので、検査によって光学的欠陥を全く検出されなかった良品の走査光学素子Lであれば、これが検査終了後に図示せぬ走査光学装置に組み込まれる場合には、仮に当該走査光学装置自体に機械誤差があったり組付誤差が生じたとしても、この走査光学素子に起因する印刷品質の劣化は生じない。このように検査対象領域を実質的に拡大したとしても、その拡大比率は最大3倍に制限されるので、通常生じ得る走査光学装置自体の誤差や走査光学装置に対する走査光学素子Lの組付誤差に起因してレーザー光束がズレ得る範囲の外側における光学的欠陥の有無は、検査結果に影響を及ぼさない。
なお、本実施形態による検査装置の光学構成は、検査対象走査光学素子Lが組み込まれる走査光学装置の光学構成に応じて、適宜変更される。例えば、面倒れ誤差補正機能を有していない走査光学装置は、シリンドリカルレンズは用いられず、走査光学素子として回転対称形状を有するレンズが用いられる。この場合には、検査装置は、図9に示すような光学構成となり、シリンドリカルレンズ12が無いために、平行平面板11aは、コリメータレンズ22とポリゴンミラー13との間における任意の位置に配置される。
また、検査対象光学素子Lが組み込まれる検査装置が面倒れ誤差補正のためのアナモフィックレンズを走査光学素子とは別途独立に備えている場合にも、検査対象走査光学素子は回転対称レンズとなるために、図9に示す光学構成の検査装置を用いることができる。その場合には、検査対象光学素子Lが組み込まれる走査装置と同じシリンドリカルレンズ12を所定位置に配置する必要がないので、その誤差に起因した影響を検査結果から除去することができる。
また、検出装置5のセンサ部5aは、レーザー光束の光量を測定するものであったが、レーザー光束のビーム径を計測するものであっても良い。その場合には、計測されたビーム径に対応する判定閾値が設定されていれば良い。
10 光源装置
11 ビームシフト装置
11a 平行平面板
12 シリンドリカルレンズ
13 ポリゴンミラー
14 走査光学素子保持具
15 検査装置
21 半導体レーザー
22 コリメータレンズ
23 開口手段
L 検査対象走査光学素子
11 ビームシフト装置
11a 平行平面板
12 シリンドリカルレンズ
13 ポリゴンミラー
14 走査光学素子保持具
15 検査装置
21 半導体レーザー
22 コリメータレンズ
23 開口手段
L 検査対象走査光学素子
Claims (7)
- 偏向手段によって動的に偏向されるレーザー光を所定の被走査面上に収束させる走査光学素子の、光学的欠陥を検査するための走査光学素子検査装置であって、
レーザー光束を発散光として射出するレーザー光源と、
このレーザー光源から射出されたレーザー光束を平行光とするコリメート光学素子と、
前記レーザー光束を、所定の主走査方向に回転しつつ反射することによって動的に偏向する偏向手段と、
この偏向手段によって動的に偏向されたレーザー光束の光路上の所定位置に前記走査光学素子を保持するための保持具と、
前記偏向手段及び前記保持具に保持される前記走査光学素子に対して前記被走査面と同じ相対的位置関係となるように仮想される面上において、前記保持具に保持される前記走査光学素子によって収束されたレーザー光束の状態を測定する検出手段と、
前記レーザー光束が平行光となっている箇所において、前記レーザー光束のビーム軸及び前記主走査方向に直交する副走査方向へ当該レーザー光束を平行移動させるシフト装置と
を備えたことを特徴とする走査光学素子検査装置。 - 前記レーザー光束の光束径を規制する光束径規制手段をさらに備え、前記シフト装置は該光束径規制手段と偏向手段との間に設けられることを特徴とする走査光学素子検査装置。
- 前記シフト装置は、前記レーザー光束の光路に挿入された状態で前記レーザー光束のビーム軸及び前記副走査方向に直交する回転軸を中心として回転する平行平面板を含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載の走査光学素子検査装置。 - 前記保持具は、副走査方向において平行光として入射したレーザー光を前記被走査面に収束させるとともに副走査方向において前記偏向手段と前記被走査面とを共役にする前記走査光学素子を保持し、
前記シフト装置と前記偏向手段との間に、前記レーザー光束を副走査方向においてのみ収束することによって前記偏向手段近傍に線像を形成する線像形成光学素子を更に備えた
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の走査光学素子検査装置。 - 前記シフト装置による前記レーザー光束のシフト量は、前記光束規制手段によって規制された当該レーザー光束の副走査方向における光束幅の半分の幅から当該光束幅と同じ幅までの範囲に相当する量である
ことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の走査光学素子検査装置。 - 前記シフト装置は、前記レーザー光束を、副走査方向における両側に夫々選択的に平行移動させる
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の走査光学素子検査装置。 - 前記検出手段は、前記面上における前記レーザー光束の光量を測定する
ことを特徴とする請求項1記載の走査光学素子検査装置。
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JP2003363490A JP2005127852A (ja) | 2003-10-23 | 2003-10-23 | 走査光学素子検査装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009025261A1 (ja) * | 2007-08-21 | 2009-02-26 | Hoya Corporation | マルチビーム走査装置 |
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2003
- 2003-10-23 JP JP2003363490A patent/JP2005127852A/ja active Pending
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