JP2005127173A - スクロ−ル圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】起動開始より吸入室へオイルを供給する構成とし、信頼性の高いスクロ−ル圧縮機を提供するものである。
【解決手段】旋回スクロール6を固定スクロール5側に押圧する背圧を働かせる背圧室9と、旋回スクロール6と固定スクロ−ル5間の圧縮室7に流体の吸入を図る吸入室10と前記背圧室9とを連絡する弁室11と、各種形態の弁またはボ−ル弁13を押し付けるばね14とを備え、吐出圧力と背圧及び吸入圧力との差圧により弁室11内を可動するばね押さえ18とストッパ19を設け構成することによって、上記目標を達成するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気調和装置や冷蔵庫など冷凍機器、ヒートポンプ式給湯機器等に使用される、スクロール圧縮機に関するものである。
この種のスクロール圧縮機では、旋回スクロールおよび固定スクロール間の圧縮室で流体を吸入し、圧縮し、吐出するのに、旋回スクロールの背部に背圧室を設け、ここに導いた背圧によって旋回スクロールを固定スクロールの側に押圧し、圧縮室での流体圧により旋回スクロールが固定スクロールから押し離されないようにすることが従来から行われている。
この背圧は圧縮機構の吐出流体圧、圧縮途中の流体圧、旋回スクロールに連動するポンプ機構や圧縮機構の吐出側と吸入側の差圧を利用して圧縮機構各部にオイルを供給するときの供給圧など、種々の方法で得られる。どのような方式で得られる背圧でも変動は抑え切れないため、どんな条件のときでも旋回スクロールが固定スクロールから押し離されない背圧設定が必要である。これにより背圧の変動はときとして過剰になり旋回スクロールが固定スクロールに強く押し付けられて、スラスト摺動部の異常摩耗や入力増加を招く。そのような問題を解消する技術の多くは差圧弁方式によって、背圧が一定値以上であるときに弁が開いてその過剰圧力を吸入側に逃がすようにしている(例えば、特許文献1参照)。
図3に示す従来のスクロ−ル圧縮機の断面図を用いてその構成を説明する。
旋回スクロール6を固定スクロール5側に押圧する背圧を働かせる背圧室9、旋回スクロール6を固定スクロール5間の圧縮室7への吸入室10と背圧室9とを固定スクロール5内を通じて連絡する連絡路12、連絡路12の途中に各種形態の弁またはボール弁13を収容した弁室11、背圧室側連絡路12aと弁室11との間に形成した弁座15に背圧が一定値以上になるまで各種形態の弁またはボール弁13を押し付けて常閉にするばね14と、ばね押さえ18で構成されている。
このようにすると、まず、旋回スクロール6が背圧室9での背圧のもとに固定スクロール5に押圧されながら旋回駆動され、相互間の圧縮室7にて冷媒の漏れなく吸入、圧縮、吐出を続けることができ、背圧が所定値以上となったとき、板弁を含む各種形態の弁またはボール弁13がばね14に抗し押し戻されて背圧室側連絡路12aが弁室11に通じ、この弁室11、吸入室側連絡路12bを介して吸入室10に逃がし、背圧が所定値を下回ったときにばね14によって各種形態の弁またはボール弁13を閉じるので、背圧を所定値に保つ働きをする。
特開2000−291571号公報
しかしながら、上記従来の構成では、圧縮機の起動開始から背圧が所定値に到達するまでの間、弁により連絡路が遮断されている為、オイルが圧縮室内へ供給されない状況が発生する。特に使用冷媒が高圧ガスになると、旋回スクロ−ルが背圧により固定スクロ−ルに強く押圧されながら旋回駆動され、摺動部の摩擦による異常摩耗や入力増加を招くことになる。
本発明はこのような課題を解決するものであり、起動開始より吸入室へオイルを供給する構成とし、信頼性の高いスクロ−ル圧縮機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明のスクロ−ル圧縮機は、鏡板からほぼ同じ形状をした羽根が立ち上がった固定スクロールと旋回スクロールとを噛み合わせて双方間に圧縮室を形成し、旋回スクロールの固定スクロールに対する旋回運動により圧縮室が外周側から中心部に移動しながら容積を小さくすることで、流体の吸入、圧縮、吐出を行う圧縮機構を持ったスクロール圧縮機において、旋回スクロールの背部に位置して、旋回スクロールを固定スクロール側に押圧する背圧を働かせる背圧室と、前記圧縮室に流体の吸入を図る吸入室と前記背圧室とを連絡する弁室と、弁を押し付けるばねとを備え、吐出圧力と背圧及び吸入圧力との差圧により弁室内を可動するばね押さえとストッパを設け構成するものである。
本発明のスクロ−ル圧縮機によれば、背圧制御機構において、背圧の変動により開閉する各種形態の弁またはボール弁を規制する可動ばね押さえを配設するもので、この構成によれば、圧縮機の起動開始より吸入室へオイルを供給することが可能となり、異常摩耗や入力増加など摺動部の摩擦損失を少なくでき、信頼性の高いスクロ−ル圧縮機を提供できるという効果を奏する。
以下本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態は空調、冷凍機器に用いられる密閉型のスクロール圧縮機に本発明を適用した場合の一例である。従って取り扱う流体は冷媒であり、以下冷媒として説明する。しかし、本発明はこれに限られることはない。
図1、図2に示すように、鏡板1、2からほぼ同じ形状をした羽根3、4が立ち上がった固定スクロール5と旋回スクロール6とを噛み合わせて双方間に圧縮室7を形成し、旋回スクロール6の固定スクロール5に対する旋回運動により圧縮室7が外周側から中心部に移動しながら容積を小さくすることで、吸入口32、吸入室10を通じた冷媒の吸入、圧縮、吐出口30を通じた冷媒の吐出を行う圧縮機構8を持ち、旋回スクロール6の背部に位置して、旋回スクロール6を固定スクロール5側に押圧する背圧を働かせる背圧室9と、前記圧縮室7に冷媒の吸入を図る吸入室10と前記背圧室9とに通じ、各種形態の弁またはボール弁13とばね14を収容した弁室11と、この弁室11よりも小径の背圧室側連絡路12aと弁室11との間に形成した弁座15に、吐出圧力と背圧及び吸入圧力との差圧により弁室内を可動するばね押さえ18とを備えたスクロール圧縮機であれば、他の具体的な構造の違いや、用途の違いに関係なく本発明を適用して有効である。
(実施の形態1)
本実施例の背圧制御機構は図2に拡大して示すように、固定スクロ−ル5には弁室11を設け、弁室11内には各種形態の弁またはボール弁13とばね14と、吐出圧力と背圧及び吸入圧力との差圧により弁室11内を可動するばね押さえ18を収容し、この弁室11よりも小径の背圧室側連絡路12aと弁室11との間に形成した弁座15と、弁室11から側方に延びる吸入室側連絡路12bがあり、前記ばね押さえ18の移動を規制するストッパ19と位置決め段差面16、シ−ル面17とで構成されている。
このようにすると、まず圧縮機起動前は均圧されているので、吐出圧力、背圧及び吸入圧力に差は無く、ばね押さえ18はばね14の弾力によりストッパ19に押圧されている
。また、ボ−ル弁13もばね14の弾力を受け弁座15を遮断している。
この状態より圧縮機が起動を開始すると、吸入管21を通して冷媒が吸入室10に吸入されるとともに、吸入室側連絡路12bを通じ弁室11の冷媒が吸入され、弁室11内は圧力が低下していく。吸入された冷媒は旋回スクロ−ル6と固定スクロ−ル5の間に形成された圧縮室7内に閉じ込められ、旋回スクロ−ル6の旋回運動に伴なって圧縮され、吐出口30より吐出空間22へ吐出される。吐出空間22よりストッパ19の連絡孔19aを通じた冷媒は、ばね押さえ18を押圧する力となる。このときばね押さえ18の移動は、吐出圧力とストッパ19の連絡孔19aの面積、背圧とばね係数及び吸入圧力との関係により行なわれ、吐出圧力がより高くなるとばね押さえ18はシ−ル面17に強く押し付けられ、吐出空間22と弁室11とを遮断する。
一方吐出冷媒で満たされた密閉容器23内の底部のオイル24は、クランク軸25に設けられたオイル供給路26を介して高圧背圧室27に吐出圧力が作用する状態で導かれ、絞り28によって減圧され吸入圧力と吐出圧力の中間圧力の状態で背圧室9に供給される。
ばね押さえ18がシ−ル面17を遮断するまでの間、背圧設定値より弱いばね力でボ−ル弁13を押しているので、背圧が設定値以下の圧力でもボ−ル弁13を押し上げ、圧縮室7へオイル24を供給する。
この状態で、密閉容器23内の圧力上昇に追従してばね押さえ18が吐出空間22と弁室11を遮断し、背圧設定値のばね力となり連絡路12の弁座15とボ−ル弁13との間を遮断する。
背圧室9の圧力が上昇するのに伴ない、ボ−ル弁13がばね14に抗して押し上げられ、連絡路12の弁座15とボ−ル弁13との間の開度が徐々に広がる。その結果、背圧室9のオイル24が連絡路12で減圧されされながら増量して吸入室10へ給油される。同時に、背圧室9の圧力上昇が抑制され、旋回スクロ−ル6への押圧力を一定に保つ。また吸入室10に流入したオイル24は、圧縮室7隙間の油膜密封に供されながら吸入冷媒と共に再び圧縮、吐出される。
ところで、図1に示す実施例は圧縮機構8とそれを駆動する電動機29とともに密閉容器23に収容したメンテナンスフリーなスクロール圧縮機の場合の一例であって、底部はオイル24を貯留するオイル溜とし、このオイル溜のオイル24を圧縮機構8の各摺動部に供給する供給圧を利用して前記背圧を得ている。吐出口30は密閉容器23の一端部31内に開口し、吐出した冷媒を電動機29の部分に通してこれを冷却した後、密閉容器23の吐出管45に達して外部の冷凍サイクルに供給される。吸入口32は密閉容器23の外部からの吸入管21に通じて、そこに戻ってくる冷凍サイクルでの使用後の冷媒を吸入し前記圧縮に供する。
この実施例では電動機29の回転子46に結合されて旋回スクロール6を旋回運動するように自転防止用の例えばオルダムリング33を介して駆動するクランク軸25に縦通したオイル供給路26を通じて、圧縮機構の各部摺動部に供給してある。オイル供給圧はクランク軸25に連動するトロコイドポンプ34を利用して得た例を示してあり、オイル24を吸入して高圧にしオイル供給路26に供給する。オイル供給路26は圧縮機構8の各摺動部に分岐して至り、必要な潤滑を行う。
電動機29の固定子35は密閉容器23の内周に焼き嵌め、溶接などして固定され、必要に応じて密閉容器23との間に冷却用の冷媒を通す通路を形成する切り欠きが外周に設
けられる。クランク軸25の主軸36と、これと反対のトロコイドポンプ34が連結される副軸37とが、密閉容器23内に溶接などして固定された主、副各軸受38,39によって軸受を介し軸受され、主軸受38には固定スクロール5をボルト止めしてあり、主軸受38と固定スクロール5との間に旋回スクロール6およびオルダムリング33を挟み込み、固定スクロール5と主軸受38との間に前記背圧室9を形成している。
オイル供給路26の一部は絞り28を介して背圧室9に通じ、トロコイドポンプ34によって供給される高圧のオイル24が絞り28の絞り作用で背圧室9に徐々に達し、背圧室9内でオイル24の供給圧の変動が絞りにより低減される状態で旋回スクロール6を押圧し、固定スクロール5から押し離されないようにする。
ここで、弁室11は図2に示すように、固定スクロール5の羽根3の巻き終わり部の近傍に設けてある。これによって、背圧が過剰で弁室11に入ったオイル24は吸入室10の羽根の巻き終わり端直ぐの位置に戻されるので、吸入室側連絡路12bから供給されたオイル24が圧縮室7にスムーズに供給され、羽根部の摺動を良化させるとともに、圧縮室7のシールもよくなり、圧縮機構の効率が向上する。
図2に示すボール弁13の外周と弁室11の内周との間の隙間41の通路断面積は、背圧室側連絡路12aのそれよりも大きく設定する。これにより、背圧室側連絡路12aから弁室11内に入ったオイル24などの流体は弁室11の内周とボール弁13との間の隙間41を背圧室側連絡路12aとほぼ等しいか、それよりも小さい通路抵抗で難なく通り抜けるので、通路抵抗のためにボール弁13を不安定にして横揺れなどを生じさせることはなく、より静かで、しかも開閉動作も安定し背圧を所定の範囲に安定させることができる。
また、図に示す実施例の弁座15は図2に示すように、背圧室側連絡路12aから弁室11の側に広がる鈍角なテーパ面で、このテーパ面と背圧室側連絡路12aとがなす陵部20でボール弁13を受け止めシールするようにしてある。
これにより、ボール弁13は球面にて線状の陵部20と接触するので、面と面との接触の場合よりも異物が噛み込みにくいし、ボール弁13が開閉に際して弁座15に対し滑りにくく、横揺れなどしにくくなるので、ボール弁13の背圧の変動に対する開閉機能および開閉に際する挙動が安定し、背圧を適正範囲によく保ち圧縮機構に過剰摩耗や過剰負荷が生じないようにすることができる。しかも陵部20は少しの間の使用中にボール弁13との擦り合わせでその曲面によく馴染むのでシール性が向上する。
ばね14は図2示すようにコイルばねであるのがボール弁13の横の動きを規制するのに好適である。
ばね押さえ18は図2に示すように、弁室11を移動するためシ−ル孔40に対し遊びのある隙間42にし、角部18aはシ−ル性を損なわない程度にア−ル面にすることで、弁室11内をよりスム−ズに移動する。端部18bはシ−ル性能確保から高精度に加工されている。また、ばね14の基端部14aを受け止めるばね座18cに、ばね14の基端部14a内に嵌まり合うテーパ部18dを有しているので、テーパ部18dのテーパ面をガイドにしてばね14の基端部14aに容易に挿入してしかもテーパ部18dの基部でばね14の基端部14aを中心位置など所定位置に位置決めすることができる。
ストッパ19は図2に示すように、位置決め段差面16に当接して位置決めされる被位置決め段差面19cを形成し、シール孔40にそれより大径でJIS規格のシマリバメ程度で圧入される。またほぼ中心部には連絡孔19aが加工されている。
図に示す実施例での弁室11は、固定スクロール5の鏡板1の背面に弁室11よりも大きな径のシール孔40を持って開口するとともに、弁室11とシール孔40との間に前記開口に向いたばね押さえ18とストッパ19の位置決め段差面16を形成している。
これにより、ストッパ19のガイド部19bは、シール孔40との間にJIS規格のトマリバメからスキマバメ程度のほぼ遊びのないガイド隙間43を有して、抵抗や過度な遊びによるガタツキや心の触れや傾きなくシール孔40に簡単に嵌め合わせて行くことができる。
以上のように、本発明にかかるスクロール圧縮機によれば、圧縮機の起動開始より吸入室へオイルを供給することが可能となり、異常摩耗や入力増加など摺動部の摩擦損失を少なくでき、信頼性の高いスクロ−ル圧縮機を提供することが可能となるので、空気調和装置や冷蔵庫など冷凍機器、ヒートポンプ式給湯機器等の用途に適用できる。
本発明の第1の実施形態を示すスクロ−ル圧縮機の断面図 同一実施形態の背圧制御機構を示す断面図 従来のスクロ−ル圧縮機の背圧制御機構の一例を示す断面図
符号の説明
1、2 鏡板
3,4 羽根
5 固定スクロ−ル
6 旋回スクロ−ル
7 圧縮室
8 圧縮機構
9 背圧室
10 吸入室
11 弁室
12 連絡路
12a 背圧室側連絡路
12b 吸入室側連絡路
13 ボ−ル弁
14 ばね
14a 基端部
15 弁座
16 位置決め段差面
17 シ−ル面
18 ばね押さえ
18a 角部
18b 端部
18c ばね座
18d テ−パ部
19 ストッパ
19a 連絡孔
19b ガイド部
19c 被位置決め段差面
20 陵部
21 吸入管
22 吐出空間
23 密閉容器
24 オイル
25 クランク軸
26 オイル供給路
27 高圧背圧室
28 絞り
29 電動機
30 吐出口
31 一端部
32 吸入口
33 オルダムリング
34 トロコイドポンプ
35 固定子
36 主軸
37 副軸
38 主軸受
39 副軸受
40 シ−ル孔
41 隙間
42 遊び隙間
43 ガイド隙間
44 吐出管
45 回転子

Claims (2)

  1. 鏡板からほぼ同じ形状をした羽根が立ち上がった固定スクロールと旋回スクロールとを噛み合わせて双方間に圧縮室を形成し、旋回スクロールの固定スクロールに対する旋回運動により圧縮室が外周側から中心部に移動しながら容積を小さくすることで、流体の吸入、圧縮、吐出を行う圧縮機構を持ったスクロール圧縮機において、旋回スクロールの背部に位置して、旋回スクロールを固定スクロール側に押圧する背圧を働かせる背圧室と、前記圧縮室に流体の吸入を図る吸入室と前記背圧室とを連絡する弁室と、弁を押し付けるばねとを備え、吐出空間の圧力と背圧及び吸入圧力との差圧により弁室内を可動するばね押さえを設けたことを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 使用冷媒が高圧ガス、例えば二酸化炭素、であることを特徴とする請求項1記載のスクロール圧縮機。
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