JP2005126795A - アモルファス皮膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 母材上の広い面積の部分に対しても簡単な作業によって容易にアモルファス皮膜を形成できる方法を提供する。
【解決手段】 材料とする金属を、冷却速度が100000℃/秒以上になるよう母材上に溶射する。たとえば、溶射火炎の最高温度を2000〜3000℃にするとともに母材表面の温度を500℃以下にする。また、材料とする金属は、MgおよびZnを成分とする金属粉末を、Mgの重量比率が2〜5%となるように混合して使用するとよい。
【選択図】 図1
【解決手段】 材料とする金属を、冷却速度が100000℃/秒以上になるよう母材上に溶射する。たとえば、溶射火炎の最高温度を2000〜3000℃にするとともに母材表面の温度を500℃以下にする。また、材料とする金属は、MgおよびZnを成分とする金属粉末を、Mgの重量比率が2〜5%となるように混合して使用するとよい。
【選択図】 図1
Description
請求項に係る発明は、金属等の母材の表面に、防食等を目的としてアモルファス(非晶質)皮膜を形成するための方法に関するものである。
アモルファス金属は、結晶状態と相違する不規則な原子配列をもつ金属で、強度や耐食性が高く磁気的特性にもすぐれるため、その製造方法や用途について種々の研究・開発がなされている。
物体の表面にアモルファス皮膜を形成する方法としては、真空蒸着法がよく知られている。同法は、内部を真空にした容器内で金属を加熱し、それにより蒸発する金属原子を物体(基板)の表面に付着させる方法である。真空容器内に抵抗炉や高周波炉、電子ビーム炉を配置し、それらによって金属を加熱する一方、皮膜を形成しようとする基板も、同じ真空容器内に冷却した状態で配置しておく。真空蒸着法を応用してアモルファス皮膜を形成することは、たとえば下記の特許文献1に記載がある。
また、母材となる物体の表面に種々の材料の皮膜を形成する方法として溶射がある。溶射は、何らかの熱源によって線材や粉末を溶融状態にし、それを母材上に吹き付けるものである。溶射によって母材表面にアモルファス皮膜を形成することは、たとえば下記の特許文献2に記載がある。同文献2によれば、非晶質(アモルファス)金属の粉末を半溶融状態にして溶射を行うことにより、アモルファス金属の皮膜が母材表面に形成される。
特開平5−97588号公報
特開平7−11417号公報
真空蒸着法によってアモルファス皮膜を形成するには、内部に加熱手段(抵抗炉など)等を配置した真空容器を使用するなど特殊な設備が必要であり、相当のコストがかかる。また、真空容器の大きさを超える広い面積の物には皮膜を形成できないなど、皮膜形成に関して量的な制約がともなう。特許文献1に記載された例も、そのような制約から自由ではない。
一方、引用文献2に記載のように溶射によってアモルファス皮膜を形成できるなら、量的な制約がなく、大気中で簡単に作業ができるというメリットもあって好ましい。しかしながら、特許文献2の方法は、アモルファスとなった金属粉末を使用しなければならないうえ、それを半溶融状態の金属粒子にして母材表面に吹き付ける必要がある。アモルファスの金属粉末を使用するとなるとコストが高くなり、また半溶融状態を実現するとなると温度等の条件設定が難しくなり作業が容易でなくなる。
この出願の請求項に係る発明は、母材上の広い面積に対しても簡単な作業によって容易にアモルファス皮膜を形成できる方法を提供するものである。
請求項1に記載したアモルファス皮膜の形成方法は、母材表面にアモルファス皮膜を形成する方法であって、材料とする金属を、冷却速度が10万℃/秒(100000℃/sec)以上になるよう母材上に溶射することを特徴とする。
材料の金属としては、粉末またはワイヤ(溶棒)を使用する。上にいう冷却速度とは、溶射ガンより噴出した時点から母材に付着するまでの間の平均冷却速度をいう。なお、その冷却速度は100万℃/秒以下の範囲にするのが、コスト面を含めて現実性が高い。
材料の金属としては、粉末またはワイヤ(溶棒)を使用する。上にいう冷却速度とは、溶射ガンより噴出した時点から母材に付着するまでの間の平均冷却速度をいう。なお、その冷却速度は100万℃/秒以下の範囲にするのが、コスト面を含めて現実性が高い。
発明者の実験によれば、アモルファス金属を材料として溶射を行っても、それだけでは母材表面にアモルファス金属の皮膜を形成することはできない。溶射によってアモルファス皮膜を形成する場合、重要なことは、この請求項に記載したとおり冷却速度である。溶射の際の冷却速度を上記のとおり10万℃/秒以上にするなら、溶射材料とする金属がアモルファスであるか否かを問わず、それを使用して母材上にアモルファス皮膜を形成できる場合がある。
請求項2に記載したアモルファス皮膜の形成方法は、とくに、溶射火炎(フレーム)の最高温度(溶射ガンの噴出口付近での温度)を2000〜3000℃にするとともに母材表面の温度を500℃以下(たとえば、溶射材料とする金属の融点よりも50〜100℃ほど低い温度)にし(現実的には50℃以上になる)、噴出速度(溶射ガンから材料が噴出する速度)と噴出距離(溶射ガンから母材までの吹付け距離)とを、溶射ガンを出て母材に付着するまでの材料の噴出移動時間(飛行時間)が0.01秒以下(現実的には0.005秒以上)になるように定めることを特徴とする。
溶射によるアモルファス皮膜の形成に関しては、溶射火炎の温度が重要である。低温であれば、アモルファスにならなかったり母材表面への付着性がよくなかったりする一方、高温に過ぎると、溶射材料である金属が気化したり、母材に到達する前に焼き切れてしまったりするからである。発明者の調査によれば、火炎温度を上記のように設定した場合にはそのような不都合が発生しにくい。
そして上記のように母材表面の温度や噴出速度・噴出距離を設定すれば、溶射材料の金属に0.005〜0.01秒で1500〜2950℃の温度変化をさせることになり、その冷却速度が15万〜59万℃/秒になって、母材表面上にアモルファス皮膜が形成されやすい条件となる。
そして上記のように母材表面の温度や噴出速度・噴出距離を設定すれば、溶射材料の金属に0.005〜0.01秒で1500〜2950℃の温度変化をさせることになり、その冷却速度が15万〜59万℃/秒になって、母材表面上にアモルファス皮膜が形成されやすい条件となる。
請求項3に記載した形成方法はさらに、溶射材料として、2種以上の金属元素を含む金属材料(粉末またはワイヤ)を、全体としての成分比率がそれら金属の合金における共晶点付近(共晶点をはさんで、たとえば一つの金属の重量比率が±3%程度変化した範囲を含む)になるよう同時に(たとえば混合して)使用することを特徴とする。
このような成分比率になるように金属を混合して溶射材料とすれば、母材上に形成する溶射皮膜をアモルファスにしやすい。共晶の存在する系においては、共晶点付近(つまり状態図において融点を示す線が各成分の側から近づいて最も低下した部分)に成分比率をとる場合に凝固が最も不安定になり、急速に冷却されるときその合金がアモルファスになりやすい。したがって、このような成分比率になるように金属を同時に使用することが、アモルファス皮膜を母材上に形成するうえで重要な要件となる。
請求項4に記載の形成方法はさらに、溶射材料として、2種以上の金属元素を含む金属を使用し、それら金属元素のうちに、原子直径の差が同直径の大きい方の元素の10%以上(望ましくは13%以上)となる2元素を含めることを特徴とする。
一般に、原子直径の差が大きい元素を組み合わせる方がアモルファスを形成しやすいといわれている。発明者の調査によれば、そのような傾向は、金属の溶射によって皮膜を形成する場合にもあてはまり、原子直径の差が上記のように一定値以上になる組み合わせをとるときアモルファスが形成されやすい。たとえば、ZnとMgとを材料とする場合、Zn原子の有効半径が1.6Åであるのに対してMg原子のそれは1.37Åであり、両者の原子直径の差は、同直径の大きい方(Zn)の14.4%になる。このようにZnとMgとを含む金属を材料とする場合、他の条件を適切に設定することによりアモルファス皮膜を形成できるケースが多い。
請求項5に記載の形成方法はとくに、MgおよびZnを成分とする金属粉末を、Mgの重量比率が2〜5%(95〜98重量%がZn)となるように混合して溶射材料とすることを特徴とする。
この方法で採用する金属粉末の成分とその使用量比率は、上記した請求項の記載にあてはまるものである。MgとZnとは原子直径の差が上記のように10%以上であるうえ、両者の比率(Mgが2〜5%、Znが95〜98%)は、Mg−Zn合金系において共晶点付近にあたるからである。このような成分を混合してなる金属粉末を材料とし、前記のとおり溶射火炎等の温度や噴出速度・距離等を設定して十分な冷却速度を実現すれば、溶射によってアモルファス皮膜を母材上に形成できる。
請求項1に記載したアモルファス皮膜の形成方法によれば、材料とする金属がアモルファスであるか否かを問わず、溶射によって母材上にアモルファス皮膜を形成することが可能になる。広い面積をもつ母材に対しても、簡単な作業によって容易にアモルファス皮膜を形成できる。そのような皮膜を形成された母材は、好ましいコーティングを得ることにより表面強度や耐食性を向上させることとなる。
請求項2に記載の形成方法によれば、溶射材料である金属が気化したり、母材に到達する前に焼き切れてしまったりすることなく、アモルファスになって母材表面上に良好な状態で付着しやすい。
請求項2に記載の形成方法によれば、溶射材料である金属が気化したり、母材に到達する前に焼き切れてしまったりすることなく、アモルファスになって母材表面上に良好な状態で付着しやすい。
請求項3または請求項4に記載したアモルファス皮膜の形成方法によればさらに、母材上に形成する溶射皮膜をアモルファスにしやすい。
請求項5に記載の形成方法なら、アモルファス皮膜の形成に関してとくに有利である。
請求項5に記載の形成方法なら、アモルファス皮膜の形成に関してとくに有利である。
発明の実施に関する形態を図1〜図4に紹介する。図1は、溶射によってアモルファス皮膜を形成する際の溶射ガン1と母材4の位置関係等を示す概略図であり、図2は、溶射噴流について溶射ガンのノズルからの距離(噴出距離)と飛行速度(噴出速度)との関係を示す線図である。図3はMg−Zn系合金の状態図である。また図4は、溶射中の火炎温度(サーマルビジョンで測定したもの)を示す線図であり、下部(下半分)は火炎温度の分布を平面的に示すもので、上部(上半分)は火炎の中心線に沿ってその温度の変化を示したものである。
ここに示す実施形態では、図1のように、鉄板(またはたの金属板)でできた母材4の表面上に溶射によってアモルファス金属の皮膜xを形成する。溶射ガン1の使い方と溶射中の材料等の状態は下記のとおりである。すなわち、
1) 溶射ガン1のノズル(先端開口)1aの先端を母材4の表面に向け、ノズル1aの中心線の方向を母材4の表面と直角(もしくはほぼ直角)にする。なお、母材4の表面には、皮膜の付着性をよくする目的で事前にショットブラスト等を施しておく。
1) 溶射ガン1のノズル(先端開口)1aの先端を母材4の表面に向け、ノズル1aの中心線の方向を母材4の表面と直角(もしくはほぼ直角)にする。なお、母材4の表面には、皮膜の付着性をよくする目的で事前にショットブラスト等を施しておく。
2) 溶射ガン1には、キャリアガス(窒素N2など)を送るとともに溶射材料としての金属粉末を供給し、両者を溶射ガン1のノズル1aから噴出させる。同時に、ノズル1aの周囲から燃料ガスを吹き出させて燃焼させる。金属粉末は燃焼ガスにより溶融状態となり、溶射噴流2として溶射火炎3とともに母材4の表面に吹き付けられる。なお、このとき、溶射火炎3の温度をコントロールするとともにその広がりを防止する目的で、ノズル1aの周囲よりクロスジェットとしてのエアを噴出させることもある。
3) 溶射ガン1のノズル1aから母材4までの飛行距離(噴出距離)d、およびノズル1aからの溶射噴流2の飛行速度(噴出速度)を適切に設定する。なお、実現可能な最大飛行速度および飛行距離は、たとえば図2(出典は、産報出版「肉盛溶接・溶射」蓮井淳・森垣脩著p157。図の例はアルミニウムについてのデータ)に基づいて、溶射材料(溶棒または粉末)ごとに把握される。
4) 母材4の表面を適切な温度に保つとともに、溶射ガン1による溶射火炎3の温度分布を適切に設定する。母材4の表面温度は、母材4が小さいものである場合には裏面等から冷却を施すことにより維持するとよいが、母材4の熱容量が大きい場合には冷却しなくともよい。火炎3の温度分布は、溶射材料とする金属粉末の量やキャリアガス、燃料ガスおよびクロスジェットのエアの流量等を調整することにより設定できる。
5) 溶射材料として溶射ガン1に供給する金属粉末としては、亜鉛(Zn)とマグネシウム(Mg)とを含む金属粉末を使用する。両元素は互いの原子直径の差が大きいので、図3(出典は、J.B.Clark, L.Zabdyr, and Z, Moser, 1988)に示す状態図において共晶点となる領域Aの成分比率、または同様に共晶点となる領域Bの成分比率に粉末を混合して使用すれば、急冷によってアモルファスになりやすいと考えられる。材料とする粉末は、アモルファスのものでも結晶(アモルファスでない)のものでもよい。
上記1)〜5)の形態で種々のテストを行い、発明者は、特定の条件で溶射を行ったとき母材上にアモルファス皮膜が形成され得ることを確認した。その条件は、下記に示すとおりである。
i) 溶射材料
アトマイズ法で製造された下記成分の粉末(粉末a〜粉末d)を下記の重量比率で混合して使用した。当該粉末は、粒径が45〜250μmの結晶粉末を適宜に選択して採用した。
粉末a: 成分はZn、重量比率は75.7%
粉末b: 成分はZn2Mg、重量比率は19.0%
粉末c: 成分はZn2Mg11、重量比率は4.0%
粉末d: Zn中に固溶金属としてMgを含むもの、重量比率は1.3%
混合の結果、全体としてZnの成分比率は97重量%となり、図3に示す共晶点の領域Aに相当するものとなる。
アトマイズ法で製造された下記成分の粉末(粉末a〜粉末d)を下記の重量比率で混合して使用した。当該粉末は、粒径が45〜250μmの結晶粉末を適宜に選択して採用した。
粉末a: 成分はZn、重量比率は75.7%
粉末b: 成分はZn2Mg、重量比率は19.0%
粉末c: 成分はZn2Mg11、重量比率は4.0%
粉末d: Zn中に固溶金属としてMgを含むもの、重量比率は1.3%
混合の結果、全体としてZnの成分比率は97重量%となり、図3に示す共晶点の領域Aに相当するものとなる。
ii) 溶射方法
図1の溶射ガン1としてメテコ社製の6P−2型(粉末用)を使用した。溶射ガン1のノズル1aから母材4までの距離(噴出距離)dを150mm(±10mm程度)に設定し、ノズル1aからの溶射噴流2の飛行速度(噴出速度)を約30m/secとした。燃焼ガス(アトマイズガス)として、アセチレン(55%)と酸素(45%)との混合ガスまたは水素(73%)と酸素(40%)との混合ガスを使用し、キャリアガスとしては窒素またはアルゴンを使用した。また、溶射火炎の温度コントロール等のためのクロスジェットも適宜に使用した。
図1の溶射ガン1としてメテコ社製の6P−2型(粉末用)を使用した。溶射ガン1のノズル1aから母材4までの距離(噴出距離)dを150mm(±10mm程度)に設定し、ノズル1aからの溶射噴流2の飛行速度(噴出速度)を約30m/secとした。燃焼ガス(アトマイズガス)として、アセチレン(55%)と酸素(45%)との混合ガスまたは水素(73%)と酸素(40%)との混合ガスを使用し、キャリアガスとしては窒素またはアルゴンを使用した。また、溶射火炎の温度コントロール等のためのクロスジェットも適宜に使用した。
iii) 火炎温度等
母材4の表面温度を約300℃に保つとともに、溶射ガン1による溶射火炎の温度を、噴出口付近での最高値が2300℃、母材4の表面での値が300℃程度になるように設定した。図4は、好ましい状態にあるときの火炎温度の分布を示す。前述したように粉末やガスの量を調整してこのような温度分布を実現すれば、溶射材料である金属(溶射噴流)が途中で気化したり母材に到達する前に焼き切れてしまったりすることなく、母材表面上に良好な状態で付着してアモルファスとなる。なお、ii)およびiii)の条件では、溶射ガン1を出た溶射噴流は 150/30000=0.005sec で母材4上に到達し、その間の平均冷却速度は (2300−300)/0.005=400000℃/sec となる。
母材4の表面温度を約300℃に保つとともに、溶射ガン1による溶射火炎の温度を、噴出口付近での最高値が2300℃、母材4の表面での値が300℃程度になるように設定した。図4は、好ましい状態にあるときの火炎温度の分布を示す。前述したように粉末やガスの量を調整してこのような温度分布を実現すれば、溶射材料である金属(溶射噴流)が途中で気化したり母材に到達する前に焼き切れてしまったりすることなく、母材表面上に良好な状態で付着してアモルファスとなる。なお、ii)およびiii)の条件では、溶射ガン1を出た溶射噴流は 150/30000=0.005sec で母材4上に到達し、その間の平均冷却速度は (2300−300)/0.005=400000℃/sec となる。
iv) 溶射皮膜
溶射による皮膜xの厚さは、50μm前後を中心にして種々設定した。100μmを超える厚さにする場合には溶射を2回行うこととした。なお、皮膜xを形成したのちは、大気中で常温にまで放冷した。
形成された皮膜xを分析した結果、下記の表1に示す条件(No.1〜No.7)で溶射した場合の多くにおいてその皮膜xがアモルファス化していた。ただし、表面の状況については、その色や光沢等に関して条件ごとに差異があった。
溶射による皮膜xの厚さは、50μm前後を中心にして種々設定した。100μmを超える厚さにする場合には溶射を2回行うこととした。なお、皮膜xを形成したのちは、大気中で常温にまで放冷した。
形成された皮膜xを分析した結果、下記の表1に示す条件(No.1〜No.7)で溶射した場合の多くにおいてその皮膜xがアモルファス化していた。ただし、表面の状況については、その色や光沢等に関して条件ごとに差異があった。
1 溶射ガン
4 母材
x 皮膜
4 母材
x 皮膜
Claims (5)
- 母材表面にアモルファス皮膜を形成する方法であって、
材料とする金属を、冷却速度が10万℃/秒以上になるよう母材上に溶射することを特徴とするアモルファス皮膜の形成方法。 - 溶射火炎の最高温度を2000〜3000℃にするとともに母材表面の温度を500℃以下にし、溶射ガンからの噴出速度と噴出距離とを、溶射ガンを出て母材に付着するまでの材料の噴出移動時間が0.01秒以下になるように定めることを特徴とする請求項1に記載したアモルファス皮膜の形成方法。
- 溶射材料として、2種以上の金属元素を含む金属を、成分比率がそれら金属の合金における共晶点付近になるよう同時に使用することを特徴とする請求項1または2に記載したアモルファス皮膜の形成方法。
- 溶射材料として、2種以上の金属元素を含む金属を使用し、それら金属元素のうちに、原子直径の差が同直径の大きい方の元素の10%以上となる2元素を含めることを特徴とする請求項1〜3に記載したアモルファス皮膜の形成方法。
- MgおよびZnを成分とする金属粉末を、Mgの重量比率が2〜5%となるように混合して溶射材料とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載したアモルファス皮膜の形成方法。
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