JP2005126497A - 光導波路用感光性樹脂組成物および光導波路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)分子中に2つ以上のシクロヘキセンオキシド構造を有する化合物、(B)カプロラクトン変性トリメチロールプロパン等のポリオール化合物、および(C)光酸発生剤を含有する感光性樹脂組成物。
【選択図】図1
Description
従来の光導波路としては、石英系光導波路が代表的であった。しかし、石英系光導波路は、製造時に石英膜の堆積のために高温での長時間の処理が必要であるなど、製造時間が長いこと、光導波路のパターン形成には、光レジストを用いる工程と、危険性の高いガスを用いてエッチングする工程が含まれ、かつ、それらの工程に特殊な装置を必要とするなど、多数の複雑な工程および特殊な装置を要すること、歩留まりが低いこと等の問題がある。
これらの問題を改善するため、光導波路の工程数の削減、製造時間の短縮化、歩留まりの増大等の生産性の向上を目的に、コア部とクラッド層の材料として液状の硬化性組成物を用いるポリマー系光導波路が、近年幾つか提案されている(特許文献1〜3を参照)。
このうち、導波路損失の低減化を達成する方法として、例えば、ポリマー中のC−Hのフッ素化(C−F)や重水素化(C−D)によって、使用波長域でのC−Hによる導波路損失の発生を防止することが行われている。
光導波路を簡易な手法で作製する方法として、例えば、直接露光法(特許文献4)、フォトブリーチング法(特許文献5)、モールド法(特許文献6)等が提案されている。
長期信頼性を向上させる方法として、例えば、基材に対して物理的処理(紫外線、オゾン処理等)や化学的処理(カップリング剤処理等)を施して、光導波路が基材から剥離することを防止し、導波路特性の長期的安定を図ることが提案されている。
しかし、冷熱衝撃試験や低温保存試験のような厳しい条件下においては、基材の表面に対して物理的処理や化学的処理を施した場合でも、光導波路が基材から剥離したり、光導波路にクラックが発生するなどの現象が起き、その結果、導波路損失の低下等が生じるという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みて、低い導波路損失および光導波路の作製の容易さに加えて、優れた長期信頼性、特に低温下にてクラッド層が基材から剥離せずに低い導波路損失等が長期間に亘って安定的に保持される性質を有する光導波路用感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明(請求項1)の光導波路用感光性樹脂組成物は、(A)分子中に2つ以上のシクロヘキセンオキシド構造を有する化合物、(B)ポリオール化合物、および(C)光酸発生剤を含有することを特徴とする。
ここで、前記成分(A)の具体的化合物としては、例えば、下記式:
本発明の光導波路用感光性樹脂組成物は、好ましくは、(A)成分の配合量が20〜79.95重量%、(B)成分の配合量が20〜79.95重量%、(C)成分の配合量が0.05〜10重量%(ただし、(A)+(B)+(C)=100重量%)の組成を有する(請求項3)。
本発明の光導波路用感光性樹脂組成物は、好ましくは、硬化物の状態でのガラス転移温度が100℃以下である(請求項4)。
本発明(請求項5)の光導波路は、コア部と、クラッド層とからなる光導波路であって、前記クラッド層の少なくとも一部が、前述の特定の成分組成を有する光導波路用感光性樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする。
この光導波路の実施形態の一例として、前記クラッド層が、前述の特定の成分組成を有する光導波路用感光性樹脂組成物の硬化物からなる第一のクラッド層と、少なくとも第一のクラッド層とコア部の間に介在する第二のクラッド層とからなるものが挙げられる(請求項6)。
本発明(請求項7)の光導波路は、基材と、該基材上に形成された下部クラッド層と、該下部クラッド層の上面の一部に形成されたコア部と、該コア部を埋設するように前記下部クラッド層上に形成された上部クラッド層とからなる光導波路であって、前記下部クラッド層が、前記基材上に形成された前述の特定の成分組成を有する光導波路用感光性樹脂組成物の硬化物からなる第一のクラッド層と、少なくとも該第一のクラッド層と前記コア部の間に介在する、前記第一のクラッド層とは異なる材料(例えば、従来より汎用されている光導波路用感光性樹脂組成物)からなる第二のクラッド層とを含むことを特徴とする。
[A.光導波路用感光性樹脂組成物]
本発明の光導波路用感光性樹脂組成物は、(A)分子中に2つ以上のシクロヘキセンオキシド構造を有する化合物、(B)ポリオール化合物、および(C)光酸発生剤を含有するものである。
1.(A)成分
(A)成分は、分子中に2つ以上のシクロヘキセンオキシド構造を有する化合物である。(A)成分の具体例としては、例えば、次のものが挙げられる。
[具体例]
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン;
3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−1’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート;
3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−5’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート;
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート;
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;
6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6’−メチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;
エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル;
エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート);
ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート;
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート;
メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン);
ラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
[市販品]
(A)成分の市販品としては、セロキサイド2021、2021A、2021P、2081、2083、2085、エポリードGT−300、301、302、400、401、403、PB3600、PB4700(ダイセル化学工業社製)、アデカオプトマーKRM−2110(旭電化工業社製)、UVR−6100、6105、6110、6128(ユニオンカーバイド社製)等が挙げられる。
(B)成分は、ポリオール化合物である。本発明で使用されるポリオール化合物は、1分子中に2個以上、好ましくは3〜6個の水酸基を有するものである。1分子中の水酸基の数が6個を超えると、光導波路界面に剥離が見られたり、導波路中にクラックが発生したりする傾向がある。
ポリオール化合物を配合することによって、本発明の樹脂組成物における光硬化性や、系に柔軟性を付与することができ、クラックや剥離を防止することができる。
[具体例]
(B)成分の具体例としては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、クオドール等の3価以上の水酸基を含有する化合物を、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物で変性することにより得られるポリエーテルポリオールや、前記の3価以上の水酸基を含有する化合物を、ε−カプロラクトンで変性することにより得られるポリカプロラクトンポリオールや、二塩基酸とジオールからなるポリエステルで変性することにより得られるポリエステルポリオールや、前記の3価以上の水酸基を含有する化合物を、カルボネートで変性することにより得られるポリカルボネートポリオール等を挙げることができる。
中でも、EO変性トリメチロールプロパン、PO変性トリメチロールプロパン、カプロラクトン変性トリメチロールプロパン、PO変性グリセリン、カプロラクトン変性グリセリン、PO変性ソルビトールは、本発明において好ましく用いられる。
[市販品]
(B)成分の市販品としては、サンニックスTP−400、サンニックスGP−600、サンニックスGP−1000、サンニックスSP−750、サンニックスGP−250、サンニックスGP−400、サンニックスGP−600(以上、三洋化成社製)、TMP−3 Glycol、PNT−4 Glycol、EDA−P−4、EDA−P−8(以上、日本乳化剤社製)、G−300、G−400、G−700、T−400、EDP−450、SP−600、SC−800(以上、旭電化工業社製)、TONE0301、TONE0305、TONE0310(以上、ユニオンカーバイド社製)、プラクセル303、プラクセル305、プラクセル308(以上、ダイセル化学工業社製)等が挙げられる。
(C)成分は光酸発生剤である。光酸発生剤は、放射線の照射によって、光硬化作用を有する酸性活性物質(ルイス酸)を放出する。
ここで、放射線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、電子線、α線、γ線等が挙げられる。ただし、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が大であり、しかも照射装置が比較的安価でかつ小型である観点から、紫外線を使用することが好ましい。
光酸発生剤としては、例えば、下記一般式(1)で表される構造を有するオニウム塩や、下記一般式(2)で表される構造を有するスルフォン酸誘導体等が挙げられる。
[R1 aR2 bR3 cR4 dW]+m[MZm+n]−m (1)
[一般式(1)中、カチオンはオニウムイオンであり、WはS、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O,I、Br、Clまたは−N≡Nであり、R1、R2、R3およびR4は同一または異なる有機基であり、a、b、cおよびdは各々0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。また、Mはハロゲン化物錯体[MZm+n]の中心原子を構成する金属またはメタロイドであり、例えばB、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coである。Zは、例えばF、Cl、Br等のハロゲン原子またはアリール基であり、mはハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、nはMの原子価である。]
[一般式(2)中、Qは1価もしくは2価の有機基、R5は炭素数1〜12の1価の有機基、添え字sは0又は1、添え字tは1又は2である。]
一般式(1)におけるアニオン[MZm+n]の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4 −)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6 −)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6 −)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6 −)、ヘキサクロルアンチモネート(SbCl6 −)、テトラフェニルボレート、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロメチルフェニル)ボレート等が挙げられる。
また、一般式(1)におけるアニオン[MZm+n]の代わりに、一般式[MZnOH−]で表されるアニオンを使用することも好ましい。さらに、過塩素酸イオン(ClO4 −)、トリフルオロメタンスルフォン酸イオン(CF3SO4 −)、フルオロスルフォン酸イオン(FSO4 −)、トルエンスルフォン酸イオン、トリニトロベンゼンスルフォン酸アニオン、トリニトロトルエンスルフォン酸アニオン等の他のアニオンを有するオニウム塩を使用することもできる。
[R10−Ph1−I+−Ph2−R11][Y−] (4)
[一般式(4)中、R10およびR11は、各々1価の有機基であり、同一でも異なっていてもよく、R10およびR11の少なくとも一方は、炭素数が4以上のアルキル基を有しており、Ph1およびPh2はそれぞれ芳香族基であり、同一でも異なっていてもよく、Y−は1価の陰イオンであり、周期律表3族、5族のフッ化物陰イオンもしくは、ClO4 −、CF3SO3 −から選ばれる陰イオンである。]
さらに、ジアリールヨードニウム塩としては、(4−n−デシロキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムトリフルオロスルホネート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、〔4−(2−ヒドロキシ−n−テトラデシロキシ)フェニル〕フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメチルスルフォネート等の1種または2種以上の組み合わせを挙げることができる。
一般式(2)で表されるスルフォン酸誘導体としては、ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、イミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類、1−オキシ−2−ヒドロキシ−3−プロピルアルコールのスルホネート類、ピロガロールトリスルホネート類、ベンジルスルホネート類等が挙げられる。
これらの中で好ましくはイミドスルホネート類であり、さらに好ましくはトリフルオロメチルスルホネート誘導体である。
(A)成分が30重量%未満では、架橋構造を十分形成できず長期信頼性において導波路特性が悪化する傾向があり、79.95重量%を超えると、系が脆くなったり、硬くなるなどしてクラックや剥離を生ずる可能性がある。(B)成分が30重量%未満では、系が脆くなりクラックや剥離を生ずる傾向があり、79.95重量%を超えると、長期信頼性に問題を生ずる恐れがある。(C)成分が0.05重量%未満では、十分な硬化性を得られず、十分に優れた導波路特性を得られない傾向があり、10重量%を超えると、残留する(C)成分によって長期信頼性に問題を生ずる恐れがある。
本発明の樹脂組成物には、さらに、本発明の効果を損なわない範囲において、酸拡散制御剤、反応性希釈剤、ラジカル発生剤(光重合開始剤)、光増感剤、金属アルコキシド、無機微粒子、脱水剤、レベリング剤、重合禁止剤、重合開始助剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、高分子添加剤等を配合することができる。
1.光導波路の構造
本発明の光導波路は、基材と、基材上に形成された下部クラッド層と、下部クラッド層の上面の一部に形成されたコア部と、コア部を埋設するように下部クラッド層上に形成された上部クラッド層とからなる。
このうち、下部クラッド層は、少なくとも、基材との接着面を含む部分が、本発明の光導波路用感光性樹脂組成物の硬化物からなるように形成される。下部クラッド層の具体的形態例としては、(a)本発明の光導波路用感光性樹脂組成物の硬化物のみから形成されるもの、(b)基材の上面に、本発明の光導波路用感光性樹脂組成物の硬化物からなる第一のクラッド層を積層し、さらに第一のクラッド層の上面に、本発明とは異なる光導波路用感光性樹脂組成物(例えば、従来の汎用のクラッド層形成用組成物)の硬化物からなる第二のクラッド層を積層してなるもの、等が挙げられる。
なお、上部クラッド層、コア部、および前記(b)の形態における第二のクラッド層を形成させるための樹脂組成物としては、例えば、ポリシロキサン成分およびアクリレートやエポキシなどの感光性化合物を含む感光性樹脂組成物や、熱硬化性樹脂組成物等が挙げられる。
屈折率の調整は、例えば、感光性樹脂組成物の構成原料の置換基の種類等を適宜選択することにより行うことができる。具体的には、屈折率の差が適宜の大きさとなるような二種または三種の感光性樹脂組成物を選択した上で、最も屈折率の高い組成物をコア部の材料として用い、他の組成物をクラッド層(下部クラッド層および上部クラッド層)の材料として用いればよい。
なお、前記(b)の形態において、下部クラッド層中の第二のクラッド層、および上部クラッド層として、同一の材料を用いることは、経済的に有利であり、製造管理も容易となるため、好ましい。
また、クラッド用の感光性樹脂組成物を調製する際に、その粘度を、100〜10,000cps(25℃)の範囲内の値とすることが好ましく、100〜8,000cps(25℃)の範囲内の値とすることがより好ましく、300〜3,000cps(25℃)の範囲内の値とすることが特に好ましい。該粘度が前記範囲外であると、感光性樹脂組成物の取り扱いが困難になったり、均一な厚みを有する塗膜を形成することが困難になることがある。
なお、感光性樹脂組成物の粘度は、反応性希釈剤や有機溶媒を適宜の量だけ配合することによって、調整することができる。
次に、本発明の感光性樹脂組成物を用いた湿式リソグラフィー法による光導波路の製造方法の一例を、いわゆるチャンネル型光導波路の例を用いて説明する。図1は、本発明の感光性樹脂組成物を用いた光導波路の製造方法の一例を示すフロー図である。
まず、図1中の(a)に示すように、基材として、平坦な上面を有する基板1を用意する。なお、基板1としては、シリコン基板、ガラス基板等が挙げられる。
図1中の(b)に示すように、基板1の上面に、本発明の光導波路用感光性樹脂組成物2を塗布し、必要に応じて乾燥またはプリベークして薄膜を形成させた後、図1中の(c)に示すように、紫外線(または適宜の波長の光)3を照射して硬化させ、第一のクラッド層4を形成する。
この際、樹脂組成物2の塗布方法は、第一のクラッド層(硬化膜)4の厚みが均一でかつ表面が平滑になるものであれば特に限定されず、例えば、スピンコート法、スプレー法、ロールコート法、インクジェット法等の方法を採用することができる。中でも、半導体業界で高精度の工業的塗布技術として用いられているスピンコート法が好ましい。
スピンコート法は、0℃〜100℃の温度下で10〜1,000回転/分で1〜60秒の条件下で実施される液状組成物を基板1に均一に塗布する第一の工程と、高速回転により一定の膜厚を形成する第二の工程とからなる。
このうち、第二の工程において、主に、硬化膜の表面粗さが制御される。第二の工程においては、液状組成物の粘度に応じて、スピンコート法の条件が定められる。例えば、液状組成物の粘度が100〜3,000cpsの場合、好ましくは、500〜5,000回転/分で30〜100秒の回転が行われ、粘度が3,000〜10,000cpsの場合、1,000〜8,000回転/分で60〜300秒の回転が行われる。
なお、後述する樹脂組成物5,7,11の塗布方法も、樹脂組成物2と同様である。
光の照射装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプ等の広い面積を同時に照射するランプ光源や、パルス、連続発光のレーザー光源等の光源から、ミラー、レンズ、光ファイバーを用いて収束光を得るように構成した装置が用いられる。このような収束光を用いて光導波路を形成する場合、収束光もしくは被照射体を移動させることにより、光導波路の形状が得られるような露光を行うことができる。光の照射装置で用いられる光源の中でも、365nmの紫外線強度の高い光源が好ましい。例えば、ランプ光源としては高圧水銀ランプ、レーザー光源としてはアルゴンレーザーが好ましい。
なお、樹脂組成物2等の液状組成物を光照射して硬化する際には、液状組成物の薄膜の全面に光を照射し、薄膜の全体を硬化することが好ましい。
後述する樹脂組成物5,7,11に対する紫外線等の光3の照射方法も、樹脂組成物2と同様である。
その後、図1中の(f)に示すように、第二のクラッド層6の上面に、コア部を形成するためのコア用感光性樹脂組成物7(例えば、クラッド層よりも屈折率の高い感光性樹脂組成物)を塗布した後、図1中の(g)に示すように、所定のラインパターンを有するフォトマスク8を通して紫外線等の光3を照射して露光し、コア用感光性樹脂組成物7の一部を硬化させる。
a.液晶表示装置と同様の原理を利用した、所定のパターンに従って光透過領域と不透過領域とからなるマスク像を電気光学的に形成する手段を利用する方法。
b.多数の光ファイバーを束ねてなる導光部材を用い、この導光部材における所定のパターンに対応する光ファイバーを介して光を照射する方法。
c.レーザ光、あるいはレンズ、ミラー等の集光性光学系により得られる収束光を走査させながら組成物に照射する方法。
ここで、現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の塩基性物質を含むアルカリ水溶液や、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、テトラヒドロフラン、アルコール等の有機溶媒が用いられる。なお、アルカリ現像液中の塩基性物質の濃度は、通常0.05〜25重量%、好ましくは0.1〜3.0重量%である。
現像液としてアセトン等の有機溶媒を含むものを用いた場合は、そのまま風乾することにより、また、アルカリ水溶液を用いた場合は、流水洗浄を例えば30〜90秒間行った後、圧縮空気や圧縮窒素等で風乾させることによって、表面上の水分を除去する。これによって、パターン状の被膜(コア部10)が形成される。
本明細書中において、「光導波路」の語は、原則として、基板1を含まないクラッド層とコア部とからなる積層体を意味するが、便宜上、基板1を含めて光導波路と称することもある。
なお、図1中の感光性樹脂組成物5,7,11の代わりに、熱硬化性樹脂組成物を用いることもできる。この場合の加熱条件は、特に限定されないが、通常、50℃〜300℃で1分〜24時間加熱される。
表1に示す各成分をフラスコに入れた後、60℃にて2時間攪拌しながら溶解させ、均一な透明の樹脂組成物(組成物1〜4)を得た。
2.光導波路の作製
[実施例1]
シリコンウエファ上に硬化膜厚が15μmとなるようにスピンコートにて前記の調製済みの組成物1を塗布し(図1(b))、その後、マスクアライナーにて照度30mW/cm2の紫外線を50秒空気雰囲気下で照射し、第一のクラッド層4を形成した(図1(c))。
次に、第一のクラッド層の上面に、硬化膜厚が20μmとなるようにスピンコートにて感光性樹脂オプスターPJ3010(商品名;JSR社製)を塗布し、100℃で5分間乾燥させた後、マスクアライナーにて照度30mW/cm2の紫外線を30秒空気雰囲気下で紫外線照射した。その後、150℃で1時間加熱することで、第二のクラッド層6を形成した。
その後、第一のクラッド層4と第二のクラッド層6とからなる下部クラッド層の上面に、硬化膜厚が50μmとなるようにスピンコートにて感光性樹脂オプスターPJ3009(商品名;JSR社製)を塗布した後、コア部の幅が50μmのパターンを有するマスクを通して、紫外線を照射した(図1(g))。次いで、1%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液からなる現像液によって未照射部を除去し、その後、150℃で1時間の加熱を行った(図1(i))。コア部10および第二のクラッド層6の上面に、コア部10の上面からの硬化膜厚が50μmとなるようにスピンコートにて感光性樹脂オプスターPJ3010(商品名;JSR社製)を塗布し、マスクアライナーにて照度30mW/cm2の紫外線を30秒空気雰囲気下で紫外線照射し、150℃で1時間の加熱により上部クラッド層12を形成し、光導波路13を完成させた。
[実施例2〜3、比較例1〜3]
表1および表2に示す樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同じ手法で光導波路を作製した。
[ガラス転移点]
アプリケーターを用いて、ガラス基板上に樹脂組成物(表1中の組成物1〜4)を100μm厚となるように塗布して、樹脂組成物層を形成させた後、窒素雰囲気下でコンベア式紫外線(UV)照射装置を用いて、1.0J/cm2の紫外線を樹脂組成物層に照射し、硬化膜を得た。次いで、共振型動的粘弾性測定装置を用いて、振動周波数10Hzの振動を与えながら、この硬化膜の損失正接の温度依存性を測定した。得られた損失正接の最大値を示す温度をガラス転移温度とした。
[光学特性の測定試料]
実施例に記したように、4インチシリコンウェハの基板上に50μm×50μm角のコアを含む樹脂積層体を形成させてなる直線状の光導波路を用意した。続いて、ダイシングにより、光導波路長が10mmであるサンプルを作製した。
[導波路損失]
波長850nmの光を導波路の一端から入射させたときに他端から出射する光量を、光量計(アンリツ社製MT9810A)のパワーメータにより測定し、サンプルを介さない光量とサンプルを介しての光量の比から挿入損失値[dB]を得た。サンプルの挿入損失が1.0[dB/cm]を超えるものは×、1.0[dB/cm]以下のものは○とした。
初期値の挿入損失を測定後、同一サンプルを−40℃で1,000時間放置後に、直線光導波路の挿入損失を測定し、冷熱処理前後における挿入損失の変化量を測定した。挿入損失の変化量が1.0dBを超えるものは×、1.0dB以下のものは○とした。
[冷熱衝撃試験による光学特性変化]
初期値の挿入損失を測定後、同一サンプルを−40℃で30分放置後に、85℃で30分放置するというヒートサイクルを500サイクル繰り返す冷熱処理を行った後に、直線光導波路の挿入損失を測定し、冷熱処理の前後における挿入損失の変化量を測定した。挿入損失の変化量が1.0dBを超えるものは×、1.0dB以下のものは○とした。
以上の結果を表1、表2に示す。
2 本発明の光導波路用感光性樹脂組成物
3 紫外線
4 第一のクラッド層
5 第二のクラッド層用の感光性樹脂組成物
6 第二のクラッド層
7 コア用感光性樹脂組成物
8 フォトマスク
9 成形体
10 コア部
11 上部クラッド層用の感光性樹脂組成物
12 上部クラッド層
13 光導波路
Claims (7)
- (A)分子中に2つ以上のシクロヘキセンオキシド構造を有する化合物、(B)ポリオール化合物、および(C)光酸発生剤を含有することを特徴とする光導波路用感光性樹脂組成物。
- 前記(A)成分の配合量が20〜79.95重量%、前記(B)成分の配合量が20〜79.95重量%、前記(C)成分の配合量が0.05〜10重量%(ただし、(A)+(B)+(C)=100重量%)である請求項1又は2に記載の光導波路用感光性樹脂組成物。
- 硬化物の状態でのガラス転移温度が100℃以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光導波路用感光性樹脂組成物。
- コア部と、クラッド層とからなる光導波路であって、前記クラッド層の少なくとも一部が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光導波路用感光性樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする光導波路。
- 前記クラッド層が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光導波路用感光性樹脂組成物の硬化物からなる第一のクラッド層と、少なくとも該第一のクラッド層と前記コア部の間に介在する第二のクラッド層とからなる請求項5に記載の光導波路。
- 基材と、該基材上に形成された下部クラッド層と、該下部クラッド層の上面の一部に形成されたコア部と、該コア部を埋設するように前記下部クラッド層上に形成された上部クラッド層とからなる光導波路であって、前記下部クラッド層が、前記基材上に形成された請求項1〜4のいずれか1項に記載の光導波路用感光性樹脂組成物の硬化物からなる第一のクラッド層と、少なくとも該第一のクラッド層と前記コア部の間に介在する、前記第一のクラッド層とは異なる材料からなる第二のクラッド層とを含むことを特徴とする光導波路。
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