JP2005126420A - 炭酸水素イオン含有薬液 - Google Patents

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Abstract

【課題】 炭酸水素イオンを含有する薬液中にカルシウムイオンおよび/またはマグネシウムイオンを共存させた一剤型薬液において、当該一剤型薬液中のカルシウムイオン濃度を、血液中に存在するカルシウムイオン濃度と同等に調整した薬液を提供すること。
【解決手段】薬液中のカルシウムイオン濃度が約2.0〜約2.6mEq/Lに調整されたことを特徴とする一剤型薬液。かかる一剤型薬液を、ガス透過性の可撓性フィルム製容器である一次包装に充填し、当該一次包装をガス非透過性の可撓性フィルムである二次包装にて密封し、二次包装と一次包装との空間部である二次包装空間部に炭酸ガス発生型脱酸素剤を設置し、当該二次包装空間部のガス雰囲気を、実質的に酸素が存在せず、かつ、炭酸ガスを15〜25%程度含む窒素ガス雰囲気としたことを特徴とする包装体。
【選択図】なし

Description

本発明は、カルシウムイオン濃度を約2.0〜約2.6mEq/Lに調整した炭酸水素イオンを含有する安定な薬液に関する。
炭酸水素イオンはカルシウムイオンおよび/またはマグネシウムイオンと反応して、不溶性微粒子を生じ、ひいては結晶を析出することが知られている。それ故、炭酸水素ナトリウムを含有する薬液中にカルシウムイオンおよび/またはマグネシウムイオンを長時間共存させることはできず、患者に投与する直前にそれぞれ別個に調製された薬液を混合調製する作業を行っていた。
最近、炭酸水素イオンとカルシウムイオンおよび/またはマグネシウムイオンを共存させた一剤型薬液に関する発明が開示されている(特許第3003504号、以下「504号」という)。これは、クエン酸および/またはクエン酸塩を“pH調整剤”として使用することで、不溶性微粒子の発生を防止し、かつ安定な電解質輸液を提供するというものである。詳細には、使用するクエン酸塩の濃度は1〜5mEq/Lであり、これによってpHを7.0〜7.8に調整し、かつ容器の空間のガスを不活性ガスと炭酸ガスの混合ガスで置換することが安定性を保つために必須であることが開示されている。
このように、クエン酸は輸液製剤のpH調整剤として使用されているが、特に注意すべきことは、クエン酸による副作用(クエン酸中毒、クエン酸のキレート作用によるカルシウムイオン濃度の低下など)が発生しないように、かつpH調整作用のみを発揮するように使用されなければならないことである。クエン酸中毒の症状としては、血圧低下、心機能抑制、心電図異常などが見られ、これらはクエン酸による血液中のカルシウムイオン濃度の低下が原因であることが報告されている(桑 克彦、検査と技術、Vol.19、No.2、1991)。特に、血管内に直接投与される輸液製剤にあっては、投与量が1〜2Lを超える場合も珍しくなく、投与量が多くなるにつれ体内にクエン酸が多量に投与されることになり、クエン酸中毒などの副作用が生じる可能性がある。
一方、成人の血液中に存在するクエン酸の濃度は、約0.27〜約0.45mEq/Lであると報告されている(Henry, R. J. et al.: Clinical Chemistry, Principle and Technics, 2nd ed, p1340-1349, Harper & Row, Maryland, 1974)。そうすると、504号に開示されたpH調整剤として使用されるクエン酸濃度(1〜5mEq/L)は、明らかに血液中のクエン酸濃度の正常値を大きく逸脱するものであり、それによってクエン酸中毒の発生やクエン酸のキレート作用による血液中カルシウムイオン濃度の低下などを起こす可能性があり、安全性に問題がある。
また、血液中に存在するカルシウムイオン濃度は約2.0〜約2.6mEq/Lであることが報告されている(佐藤 哲雄、外科Mook、No.13、1980)。血液中のカルシウムイオン濃度が低下すると、しびれ感、テタニー発作、不眠、痙攣、QT時間の延長などの症状を示すことも報告されている(赤津 拓彦、日本臨床、57巻、1999年、p239−242)。
本発明者らの検討によると、pH調整剤として輸液薬液中に1〜5mEq/Lもの多量のクエン酸を含有させると、輸液製剤中のカルシウムイオン濃度は極端に低下してしまうことが判明した。すなわち、従来の炭酸水素ナトリウムを含有する一剤型薬液にあっては、当該薬液中のカルシウムイオン濃度については全く無視された薬液となっており、これによっても副作用が発生する可能性がある。
特許第3003504号 桑 克彦、検査と技術、Vol.19、No.2、1991 Henry, R. J. et al.: Clinical Chemistry, Principle and Technics, 2nd ed, p1340-1349, Harper & Row, Maryland, 1974 佐藤 哲雄、外科Mook、No.13、1980 赤津 拓彦、日本臨床、57巻、1999年、p239−242
従来の薬液においては、炭酸水素イオンを含有する薬液中にカルシウムイオンおよび/またはマグネシウムイオンを共存させた一剤型薬液を開発することに重点を置き過ぎたために、当該一剤型薬液中のカルシウムイオン濃度は極めて低いものとなっていた。すなわち、血液中に存在するカルシウムイオン濃度を全く無視したものとなっていたのである。
本発明の目的は、炭酸水素イオンを含有する薬液中にカルシウムイオンおよび/またはマグネシウムイオンを共存させた一剤型薬液において、当該一剤型薬液中のカルシウムイオン濃度を、血液中に存在するカルシウムイオン濃度と同等に調整した薬液を提供することにある。本発明のさらなる目的は、不溶性微粒子の発生を抑制し、かつ安定で安全性が向上された一剤型薬液を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、一剤型薬液中のカルシウムイオン濃度を、血液中に存在するカルシウムイオン濃度(2.0〜2.6mEq/L)と同等に調整するためには、クエン酸および/またはクエン酸塩を使用するのが有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
1) カルシウムイオン、炭酸水素イオンおよびクエン酸イオンを含有する薬液であって、薬液中のカルシウムイオン濃度が約2.0〜約2.6mEq/Lに調整されたことを特徴とする一剤型薬液、
2) 前記炭酸水素イオン濃度が20〜35mEq/Lであることを特徴とする1)記載の一剤型薬液、
3) 前記炭酸水素イオン濃度が25〜30mEq/Lであることを特徴とする1)記載の一剤型薬液、
4) 前記クエン酸イオン濃度が1.0mEq/L以下であることを特徴とする1)〜3)いずれか1記載の一剤型薬液、
5) 前記クエン酸イオン濃度が0.3〜1.0mEq/Lであることを特徴とする1)〜3)いずれか1記載の一剤型薬液、
6) 前記クエン酸イオン濃度が0.6〜1.0mEq/Lであることを特徴とする1)〜3)いずれか1記載の一剤型薬液、
7) 前記クエン酸イオンがクエン酸ナトリウム由来であることを特徴とする1)〜6)いずれか1記載の一剤型薬液、
8) 濃度110〜150mEq/Lのナトリウムイオン、濃度10mEq/L以下のカリウムイオンおよび濃度90〜130mEq/Lの塩化物イオンを含み、pHが6.5〜7.2であって、生理食塩液に対する浸透圧比が0.7〜1.1に調整されたことを特徴とする1)〜7)いずれか1記載の一剤型薬液、
9) 該薬液が電解質輸液である1)〜8)いずれか1記載の一剤型薬液、
10) 1)〜9)いずれか1記載の一剤型薬液を、ガス透過性の可撓性フィルム製容器である一次包装に充填し、当該一次包装をガス非透過性の可撓性フィルムである二次包装にて密封し、二次包装と一次包装との空間部である二次包装空間部に炭酸ガス発生型脱酸素剤を設置し、当該二次包装空間部のガス雰囲気を、実質的に酸素が存在せず、かつ、炭酸ガスを15〜25%程度含む窒素ガス雰囲気としたことを特徴とする一剤型薬液含有包装体、
11) 1)〜9)いずれか1記載の一剤型薬液を、ガス難透過性合成樹脂製容器である一次包装に充填し、当該一次包装をガス非透過性の可撓性フィルムである二次包装にて密封し、二次包装と一次包装との空間部である二次包装空間部に炭酸ガス発生型脱酸素剤を設置し、当該二次包装空間部のガス雰囲気を、実質的に酸素が存在せず、かつ、炭酸ガスを15〜25%程度含む窒素ガス雰囲気としたことを特徴とする一剤型薬液含有包装体、
12) カルシウムイオンおよび炭酸水素イオンを含有する一剤型薬液において、クエン酸および/またはクエン酸塩を用いることを特徴とする、一剤型薬液中のカルシウムイオン濃度の調整方法、
13) 前記カルシウムイオン濃度が約2.0〜約2.6mEq/Lであることを特徴とする12)記載の調整方法、
14) 前記炭酸水素イオンの濃度が20〜35mEq/Lであって、前記クエン酸および/またはクエン酸塩の濃度が1mEq/L以下であることを特徴とする12)または13)記載の調整方法、
15) カルシウムイオンおよび炭酸水素イオンを含有する一剤型薬液の製造方法であって、クエン酸および/またはクエン酸塩を当該一剤型薬液中のカルシウムイオン濃度の調整に用いることを特徴とする、一剤型薬液の製造方法、
16) 前記カルシウムイオン濃度が約2.0〜2.6mEq/L、前記炭酸水素イオンの濃度が20〜35mEq/L、かつ前記クエン酸および/またはクエン酸塩の濃度が1mEq/L以下であることを特徴とする15)記載の一剤型薬液の製造方法、
17) 1)〜9)いずれか1記載の一剤型薬液をガス透過性の可撓性フィルムからなる一次包装に充填する工程、高圧蒸気滅菌する工程および炭酸ガス発生型脱酸素剤を設置するとともにガス非透過性の可撓性フィルムにて密封包装する工程を記載した順に行うことを特徴とする一剤型薬液含有包装体の製造方法、
18) 1)〜9)いずれか1記載の一剤型薬液をガス難透過性合成樹脂容器からなる一次包装に充填する工程、高圧蒸気滅菌する工程および炭酸ガス発生型脱酸素剤を設置するとともにガス非透過性の可撓性フィルムにて密封包装する工程を記載した順に行うことを特徴とする一剤型薬液含有包装体の製造方法、を提供する。
本発明によれば、一剤型薬液中のカルシウムイオン濃度が血液中に存在するカルシウムイオン濃度(約2.0〜約2.6mEq/L)と同等に調整されているので、血中カルシウムイオン濃度が低下した患者に投与しても安全であり、また、血中カルシウムイオン濃度を低下させる虞もない。さらに、クエン酸および/またはクエン酸塩をpH調整剤として使用していないので、一剤型薬液中に含まれるクエン酸および/またはクエン酸塩の量が低減化でき、クエン酸中毒の問題も回避できる。
本発明の一剤型薬液に含有されるクエン酸および/またはクエン酸塩は、pH調整剤として使用するのではなく、薬液中のカルシウムイオン濃度を約2.0〜約2.6mEq/Lに調整し、不溶性微粒子の発生を抑制し、安定な薬液を作製する目的で使用する。カルシウムイオン濃度を約2.0〜約2.6mEq/Lに調整するには、一剤型薬液中の総カルシウム濃度を約2.0〜約4.0mEq/Lとする。
クエン酸および/またはクエン酸塩の濃度としては、カルシウムイオン濃度を2.0〜2.6mEq/Lの範囲とする観点より、一剤型薬液中に1mEq/L以下となるように調整する。
また、本発明の一剤型薬液は、第14改正日本薬局方に規定された注射剤の不溶性微粒子試験法の基準(一剤型薬液1mL中の微粒子数に換算するとき、平均粒子径10μm以上25個以下、25μm以上3個以下であるものを適とし、それ以外は不適とする。)に適合しなければならない。また、適合したものであっても、炭酸カルシウムからなる微粒子の生成の観点から1mL中に含まれる平均粒子径10μmの微粒子数が10以下である一剤型薬液が好ましい。さらに、1mL中に含まれる平均粒子径10μmの微粒子数が4以下である一剤型薬液がより好ましい。なお、炭酸カルシウムからなる微粒子の生成から好ましい範囲にはないが、上記不溶性微粒子試験法のみに適合したものであっても、本発明の範囲内のものである。
上記の好ましい条件に鑑みると、一次包装がガス透過性の可撓性フィルム容器の場合、0.3mEq/Lより多く1.0mEq/L以下とするのが好ましく、0.6〜1.0mEq/Lとするのがより好ましい。一方、一次包装がガス難透過性合成樹脂容器の場合、0.3〜1.0mEq/Lとするのが好ましく、0.6〜1.0mEq/Lとするのがより好ましい。
また、クエン酸塩には、クエン酸のナトリウム塩、クエン酸のカリウム塩、クエン酸のカルシウム塩などが含まれるが、一剤型薬液中の電解質組成を生理的な血液濃度と同等とする観点より、クエン酸のナトリウム塩を使用するのが好ましい。クエン酸とクエン酸のナトリウム塩とでは、炭酸カルシウムからなる不溶性微粒子生成を抑える観点より、クエン酸のナトリウム塩を使用する方が好ましい。
炭酸水素イオン濃度としては、代謝性アシドーシスの改善などの薬効や生理的な血液濃度と同等とする観点より、20〜35mEq/Lが好ましく、より好ましくは25〜30mEq/Lである。ナトリウムイオン濃度としては、安全性および有効性の観点より、110〜150mEq/Lが好ましく、より好ましくは120〜140mEq/Lである。カリウムイオン濃度としては、安全性および有効性の観点より、10mEq/L以下が好ましく、より好ましくは2〜6mEq/Lである。塩化物イオン濃度(Cl)としては、塩化物イオン濃度を生理的な血液濃度と同等とする観点より、90〜130mEq/Lが好ましく、より好ましくは100〜120mEq/Lである。
pHは血管痛および血管炎などを防ぐためにpHを血液と同等とする観点より、6.5〜7.2が好ましく、より好ましくは6.8〜7.0である。また、溶血などを防ぐために浸透圧を血液と同等とする観点より、生理食塩液に対する浸透圧比は0.7〜1.1に調整するのが好ましく、より好ましくは0.8〜1.0である。
pH調整剤には塩酸、炭酸ガス、酢酸、乳酸、酒石酸、DL-リンゴ酸、などを使用することができるが、特に塩酸が好ましい。
その他、本発明の一剤型薬液中には、カルシウムイオン濃度2.0〜2.6mEq/Lに影響を与えない範囲で、公知の物質(マグネシウムイオン、リン酸イオン、亜鉛イオン、鉄イオンなど)を含めることができる。
本発明の一剤型薬液は、循環血液量および組織間液の減少時における細胞外液の補給・補正および代謝性アシドーシスの改善、急性または慢性腎不全時における人工腎臓灌流液、ろ過型またはろ過透析型人工腎臓透析の補液などに用いることができる。
本発明の一剤型薬液を製造するには、例えば、注射用水5Lに塩化ナトリウム31〜42g、塩化カリウム4.5g以下、炭酸水素ナトリウム9.9〜17.4g、クエン酸3ナトリウム・二水和物0.6g以下を溶解し、希塩酸適量でpHを調整し、塩化カルシウム・二水和物0.9〜1.8gを溶解し、注射用水を加え、全量を6Lとする。また、必要に応じて炭酸ガス適量を通気するか、滅菌前の一次包装空間部に炭酸ガスまたは炭酸ガスと不活性ガスとの混合ガスを充填するか、後で行う滅菌工程を炭酸ガス雰囲気下としてもよい。その後、その薬液をメンブランフィルター(口径0.22μm)でろ過しながら、約500mLずつをガス透過性の可撓性フィルム製容器(一次包装)に充填し、100〜120℃にて、15〜60分間滅菌を行う。冷却後、滅菌後の一次包装体をガス非透過性の可撓性フィルム(二次包装)にて密封包装するとともに、一次包装と二次包装の空間部(二次包装空間部)に適量の空気とともに炭酸ガス発生型脱酸素剤を設置する。炭酸ガス発生型脱酸素剤としては、三菱瓦斯化学製、エージレス GM−20、GM−50、GM−100などが例示される。なお、炭酸ガス発生型脱酸素剤を設置することにより、当該二次包装空間部のガス雰囲気は、実質的に酸素が存在しなく、かつ、炭酸水素イオンの分解抑制、pH変動防止および長期保存の観点より炭酸ガスを15%〜25%、好ましくは17%〜23%程度含む窒素ガス雰囲気とするのがよい。また、一次包装内の空間部も二次包装内空間部のガス雰囲気と同等とするのがよい。
なお、ガス透過性の可撓性フィルムとしては、通常の医薬品用輸液容器に使用される合成樹脂が用いられる。例えば、公知のポリエチレン、ポリプロピレン、およびこれらを組み合わせた多層フィルムなどが挙げられ、ガス非透過性の可撓性フィルムとしては、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエチレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレートおよびこれらにシリカまたはアルミナを蒸着したもの、ならびにこれらを組み合わせた多層フィルムなどが用いられる。
また、本発明の一剤型薬液には、一次包装容器としてガラス製およびガス難透過性合成樹脂製の容器も用いることができる。ガス難透過性合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニルおよびこれらの共重合体、混合物または多層構造体などが例示される。
実施例
炭酸水素イオン含有薬液にクエン酸3ナトリウム二水和物を添加した際のpH変化
まず、表1記載の処方に従い、塩酸でpHを7.0、6.9および6.8に調整した一剤型薬液を3種類調製した。次に、クエン酸3ナトリウム二水和物(分子量:294.10、以下、単に「クエン酸ナトリウム」という)を、それぞれ、0.3、0.6、0.8、1.0、3.0および5.0mEq/L(理論値:クエン酸イオン 0.3、0.6、0.8、1.0、3.0および5.0mEq/L)となるように加えた(採取量を表2に示す)。なお、理論値とは、全てが解離している状態であると仮定して算出した値である。
その結果、図1に示したように、クエン酸ナトリウムを添加しても薬液のpHは変動しなかったことから、pH調整剤として作用していないことが明らかとなった。
Figure 2005126420
Figure 2005126420
炭酸水素イオン含有薬液にクエン酸を添加した際のpH変化
実施例1と同様に、表1記載の処方に従い、塩酸でpHを7.0、6.9および6.8に調整した一剤型薬液を3種類調製した。次に、クエン酸一水和物(分子量:210.14、以下、単に「クエン酸」という)を、それぞれ、0.3、0.6、0.8および1.0mEq/L(理論値:クエン酸イオン 0.3、0.6、0.8および1.0mEq/L)となるように加えた(採取量を表3に示す)。
その結果、図2に示したように、クエン酸を添加しても薬液のpHはほとんど変動しなかった。
Figure 2005126420
クエン酸ナトリウムを用いた一剤型薬液の処方とカルシウムイオン濃度
表4記載の処方に従い、一剤型薬液を6種類(処方1〜6)調製した。また、処方1〜6における各成分の濃度を表5に示す。なお、本明細書に記載の各成分の数値は、カルシウムイオン濃度についてのみ実測値で示し、その他については理論値で示した。
処方1〜6の一剤型薬液の製造は次のようにして行った。処方1の場合、注射用水5Lに塩化ナトリウム36.0g、塩化カリウム1.80gおよび炭酸水素ナトリウム14.2gを溶解し、希塩酸適量でpHを調整した。その後、塩化カルシウム二水和物(以下、単に「塩化カルシウム」という)1.20gを溶解し、注射用水を加え、全量を6Lとした。次に、炭酸ガス適量を必要に応じて通気した。
その後、メンブランフィルター(孔径0.22μm)でろ過しながら、500mLずつをガス透過性の可撓性フィルム(材質;ポリエチレン、厚み;約250μm)(一次包装)に充填し、常法に従い高圧蒸気滅菌を行った。冷却後、滅菌後の一次包装体をガスバリアー性の可撓性フィルム(材質;内層:ポリエチレン、中間層:エチレンビニルアルコール共重合体・ナイロン、外層:ポリエチレンテレフタレート、厚み;約100μm)(二次包装)にて密封包装するとともに、一次包装と二次包装の空間部(二次包装空間部)に適量の空気とともに炭酸ガス発生型脱酸素剤を設置し、製品1とした。なお、炭酸ガス発生型脱酸素剤(三菱瓦斯化学、エージレス GM−100)を設置することにより、当該二次包装空間部のガス雰囲気は、実質的に酸素が存在しなく、かつ、炭酸ガスを約20%程度含む窒素ガス雰囲気となっていた。また、一次包装内の空間部も二次包装内空間部のガス雰囲気と同等となっていた。
処方2の場合、注射用水5Lに塩化ナトリウム36.0g、塩化カリウム1.80g、炭酸水素ナトリウム14.2gおよびクエン酸ナトリウム0.18gを溶解し、希塩酸適量でpHを調整した。その後、塩化カルシウム1.20gを溶解し、注射用水を加え、全量を6Lとした。次に、炭酸ガス適量を必要に応じて通気した。
その後、メンブランフィルター(孔径0.22μm)でろ過しながら、500mLずつをガス透過性の可撓性フィルム(材質;ポリエチレン、厚み;約250μm)(一次包装)に充填し、常法に従い高圧蒸気滅菌を行った。冷却後、滅菌後の一次包装体をガスバリアー性の可撓性フィルム(材質;内層:ポリエチレン、中間層:エチレンビニルアルコール共重合体・ナイロン、外層:ポリエチレンテレフタレート、厚み;約100μm)(二次包装)にて密封包装するとともに、一次包装と二次包装の空間部(二次包装空間部)に適量の空気とともに炭酸ガス発生型脱酸素剤(三菱瓦斯化学、エージレス GM−100)を設置し、製品2とした。
処方3〜6も処方2と同様に調製し、処方3〜6の製品(それぞれ製品3、4、5および6)を作製した。なお、処方3の場合は、クエン酸ナトリウムを0.35g添加し、処方4の場合は、クエン酸ナトリウムを0.47g添加し、処方5の場合は、クエン酸ナトリウムを0.59g添加し、処方6の場合は、塩化ナトリウムを34.9gおよびクエン酸ナトリウムを1.76g添加している。
製品1〜6について、それぞれ一剤型薬液中のカルシウムイオン濃度を測定した結果、製品1〜5のカルシウムイオン濃度は2.04〜2.34mEq/Lを示した。これは血液中のカルシウムイオン濃度の正常範囲(2.0〜2.6mEq/L)と同等であった。一方、製品6のカルシウムイオン濃度は1.32mEq/Lを示し、血液中のカルシウムイオン濃度の正常範囲を大きく下回っていた(表5、図3)。
すなわち、カルシウムイオンおよび炭酸水素イオンを含む一剤型製剤において、カルシウムイオン濃度を2.0〜2.6mEq/Lに企図する場合は、当該一剤型製剤中に添加するクエン酸ナトリウムを1mEq/L以下(理論値:クエン酸イオン 1mEq/L以下)にしなければならないことが判明した。
Figure 2005126420
Figure 2005126420
クエン酸を用いた一剤型薬液の処方とカルシウムイオン濃度
表6記載の処方に従い、一剤型薬液を7種類(処方7〜13)を調製した。また、処方7〜13における各成分の濃度を表7に示す(表5と同様に、カルシウムイオン濃度のみ測定値で示し、その他については理論値で示した)。
処方7〜13の一剤型薬液の製造は次のようにして行った。処方7の場合、注射用水5Lに塩化ナトリウム36.0g、塩化カリウム1.80gおよび炭酸水素ナトリウム14.2gを溶解し、希塩酸適量でpHを調整した。その後、塩化カルシウム1.20gを溶解し、注射用水を加え、全量を6Lとした。次に、炭酸ガス適量を必要に応じて通気した。
その後、メンブランフィルター(孔径0.22μm)でろ過しながら、500mLずつをガス透過性の可撓性フィルム(材質;ポリエチレン、厚み;約250μm)(一次包装)に充填し、常法に従い高圧蒸気滅菌を行った。冷却後、滅菌後の一次包装体をガスバリアー性の可撓性フィルム(材質;内層:ポリエチレン、中間層:エチレンビニルアルコール共重合体・ナイロン、外層:ポリエチレンテレフタレート、厚み;約100μm)(二次包装)にて密封包装するとともに、一次包装と二次包装の空間部(二次包装空間部)に適量の空気とともに炭酸ガス発生型脱酸素剤(三菱瓦斯化学、エージレス GM−100)を設置し、製品7とした。なお、炭酸ガス発生型脱酸素剤を設置することにより、当該二次包装空間部のガス雰囲気は、実質的に酸素が存在しなく、かつ、炭酸ガスを約20%程度含む窒素ガス雰囲気となっていた。また、一次包装内の空間部も二次包装内空間部のガス雰囲気と同等となっていた。
処方8の場合、注射用水5Lに塩化ナトリウム36.0g、塩化カリウム1.80g、炭酸水素ナトリウム14.2gおよびクエン酸0.125gを溶解し、希塩酸適量でpHを調整した。その後、塩化カルシウム1.20gを溶解し、注射用水を加え、全量を6Lとした。次に、炭酸ガス適量を必要に応じて通気した。
その後、メンブランフィルター(孔径0.22μm)でろ過しながら、500mLずつをガス透過性の可撓性フィルム(材質;ポリエチレン、厚み;約250μm)(一次包装)に充填し、常法に従い高圧蒸気滅菌を行った。冷却後、滅菌後の一次包装体をガスバリアー性の可撓性フィルム(材質;内層:ポリエチレン、中間層:エチレンビニルアルコール共重合体・ナイロン、外層:ポリエチレンテレフタレート、厚み;約100μm)(二次包装)にて密封包装するとともに、一次包装と二次包装の空間部(二次包装空間部)に適量の空気とともに炭酸ガス発生型脱酸素剤(三菱瓦斯化学、エージレス GM−100)を設置し、製品8とした。
処方9〜13の場合も処方8と同様に調製し、処方9〜13の製品(それぞれ製品9〜13)を作製した。なお、処方9の場合は、クエン酸を0.25g添加し、処方10の場合は、クエン酸を0.34g添加し、処方11の場合はクエン酸を0.42g添加し、処方12の場合はクエン酸を1.26g添加し、処方13の場合はクエン酸を2.10g添加している。
製品7〜13について、それぞれ一剤型薬液中のカルシウムイオン濃度を測定した結果、製品7〜11のカルシウムイオン濃度は1.96〜2.34mEq/Lを示した。これは血液中のカルシウムイオン濃度の正常範囲(2.0〜2.6mEq/L)とほぼ同等であった。一方、製品12および13のカルシウムイオン濃度は、それぞれ1.30および0.81mEq/Lを示し、血液中のカルシウムイオン濃度の正常範囲を大きく下回っていた(表7、図4)。すなわち、カルシウムイオンおよび炭酸水素イオンを含む一剤型製剤において、カルシウムイオン濃度を2.0〜2.6mEq/Lと同等に企図する場合は、当該一剤型製剤中に添加するクエン酸濃度を1mEq/L以下(理論値:クエン酸イオン 1mEq/L以下)にしなければならないことが判明した。
Figure 2005126420
Figure 2005126420
安定性試験
実施例3で作製した製品1〜6について、室温下にて1週間、2週間および3カ月保存した時の安定性試験を行った(それぞれ表8、表9および表10)。
なお、pHはpHメーター(東亜電波製、HM−60V型)、不溶性微粒子数は光遮蔽型自動微粒子測定装置(リオン製、KL−03システム)、炭酸水素イオン含量%は液体クロマトグラフィー装置(島津製、LC−6Aシステム)、および酸素および炭酸ガス濃度は包装用O/CO濃度計(東レエンジニアリング製、PG−1000型)を用いて行った。
また、不溶性微粒子数の測定は、第14改正日本薬局方の注射剤の不溶性微粒子試験法に従い、一剤型薬液を室温で1週間、2週間および3ヵ月保存後にそれぞれ光遮蔽型自動微粒子測定装置により行った。いずれの期間も一剤型薬液1mL中の個数に換算するとき、10μm以上25個以下、25μm以上3個以下であるものを適とし、それ以外は不適とした。
その結果、製品1(クエン酸イオン無添加)の室温放置後1週間は、不溶性微粒子数が不適であることが判明した。製品2〜6についてはいずれの期間においても適となった。
また、炭酸カルシウムからなる微粒子の生成の観点から、1mL中に含まれる平均粒子径10μmの微粒子数が4以下である一剤型薬液がより好ましい。製品番号2〜6は10μmの不溶性微粒子数がいずれの期間においても4個以下であったので、より好ましい製品であると言える。すなわち、クエン酸ナトリウム濃度0.6〜1.0mEq/L(理論値:クエン酸イオン 0.6〜1.0mEq/L)の一剤型薬液がより好ましい。
Figure 2005126420
Figure 2005126420
Figure 2005126420
安定性試験
実施例4で作製した製品7〜13について、室温下にて1週間、2週間および3カ月保存した時の安定性試験を実施例5と同様に行った(それぞれ表11、表12および表13)。
その結果、製品7(クエン酸イオン無添加)の室温放置1週間後の不溶性微粒子数は不適であると判明した。製品8〜13についてはいずれの期間においても適となった。
また、炭酸カルシウムからなる微粒子の生成の観点から1mL中に含まれる平均粒子径10μmの微粒子数が10以下である一剤型薬液が好ましい。さらに、1mL中に含まれる平均粒子径10μmの微粒子数が4以下である一剤型薬液がより好ましい。製品番号8は平均粒子径10μmの微粒子数が15個検出されたので、好ましい製品とは言えない。一方、製品番号9〜13は10μmの不溶性微粒子数が4個以下であったので、より好ましい製品であると言える。すなわち、クエン酸濃度0.3mEq/Lより多く1.0mEq/L以下(理論値:クエン酸イオン 0.3mEq/Lより多く1.0mEq/L以下)であるとするのが好ましく、0.6〜1.0mEq/L(理論値:クエン酸イオン 0.6〜1.0mEq/L)とするのがより好ましい。製品8と製品2を比較すると、製品2の方が発生する不溶性微粒子数が少ない傾向を示した。従って、クエン酸イオンはクエン酸ナトリウム由来の方が好ましいと考えられる。
Figure 2005126420
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ガス難透過性合成樹脂製容器に充填した製剤の安定性試験
実施例4で作製した処方7〜10について、500mLずつをガス難透過性合成樹脂製容器(材質;ポリエチレン、厚み;約300〜500μm)(一次容器)に充填し、常法に従い高圧蒸気滅菌を行い、冷却後、滅菌後の一次包装体をガス非透過性の可撓性フィルム(材質;内層:ポリエチレン、中間層:エチレンビニルアルコール共重合体・ナイロン、外層:ポリエチレンテレフタレート、厚み;約100μm)(二次包装)にて密封包装するとともに、一次包装と二次包装の空間部(二次包装空間部)に適量の空気とともに炭酸ガス発生型脱酸素剤(三菱瓦斯化学、エージレス GM−100)を設置し、それぞれ製品7A〜10Aとした。
製品7A〜10Aについて、室温下にて3カ月保存した時の安定性試験を実施例5と同様に行った(表14)。
その結果、製品7A(クエン酸イオン無添加)の不溶性微粒子数は不適であると判明した。製品8A〜10Aについてはいずれも適となった。
また、炭酸カルシウムからなる微粒子の生成の観点から、1mL中に含まれる平均粒子径10μmの微粒子数が4以下である一剤型薬液がより好ましい。製品8A〜10Aは10μmの不溶性微粒子数がいずれの期間においても4個以下であったので、より好ましい製品であると言える。すなわち、クエン酸濃度0.3〜1.0mEq/L(理論値:クエン酸イオン 0.3〜1.0mEq/L)とするのがより好ましい。
Figure 2005126420
炭酸水素イオン含量を変化させた製剤の安定化試験
表15記載の処方に従い、製品3の炭酸水素イオン濃度を25、30および35mEg/Lと変化させた製剤(処方3B、3Cおよび3D)を調製した。
処方3B〜3Dの一剤型薬液の製造は次のようにして行った。処方3Bの場合、注射用水3.5Lに塩化ナトリウム24.5g、塩化カリウム1.20g、クエン酸ナトリウム0.235gおよび炭酸水素ナトリウム8.58gを溶解し、希塩酸適量でpHを調整した。その後、塩化カルシウム0.80gを溶解し、注射用水を加え、全量を4Lとした。次に、炭酸ガス適量を必要に応じて通気した。
その後、メンブランフィルター(孔径0.22μm)でろ過しながら、500mLずつをガス透過性の可撓性フィルム(材質;ポリエチレン、厚み;約250μm)(一次包装)に充填し、常法に従い高圧蒸気滅菌を行った。冷却後、滅菌後の一次包装体をガスバリアー性の可撓性フィルム(材質;内層:ポリエチレン、外層:アルミナを蒸着したポリエチレンテレフタレート、厚み;約60μm)(二次包装)にて密封包装するとともに、一次包装と二次包装の空間部(二次包装空間部)に適量の空気とともに炭酸ガス発生型脱酸素剤を設置し、製品3Bとした。なお、炭酸ガス発生型脱酸素剤(三菱瓦斯化学、エージレス GM−100)を設置することにより、当該二次包装空間部のガス雰囲気は、実質的に酸素が存在しなく、かつ、炭酸ガスを約20%程度含む窒素ガス雰囲気となっていた。また、一次包装内の空間部も二次包装内空間部のガス雰囲気と同等となっていた。
処方3Cおよび3Dも処方3Bと同様に調製し、処方3Cおよび3Dの製品(それぞれ製品3Cおよび3D)を作製した。なお、処方3Cの場合は、炭酸水素ナトリウムを10.29g添加し、処方3Dの場合は、炭酸水素ナトリウムを12.01g添加している。
製品3B〜3Dについて、室温下にて3カ月保存した時の安定性試験を実施例5と同様に行った(表17)。
その結果、製品3B〜3Dについてはいずれも適となった。
Figure 2005126420
Figure 2005126420
Figure 2005126420
ラットアシドーシスモデルにおける各種製品の投与による血中イオン化カルシウム濃度の変動
SD系雄性ラット(5週齢)を15時間以上絶食した後、ウレタン(1.2g/kg、腹腔内投与)を用いて麻酔し、ヘパリン100U/ラットを静脈内投与した。その後、薬液投与用および脱血用カテーテルをそれぞれ大腿静脈および大腿動脈に留置した。大腿動脈に留置したカニューレより1mL脱血し,その10分後および20分後にそれぞれ1mLおよび0.5mL脱血を行った。最終の脱血(0.5mLの脱血)終了5分後に頸静脈より血中イオン化カルシウム濃度を測定するための血液0.5mLを採血し、その後薬液投与用カテーテルより酢酸リンゲル液(クエン酸ナトリウム濃度0mEg/L)、製品9(クエン酸ナトリウム濃度0.6mEq/L)、製品11(クエン酸ナトリウム濃度1.0mEq/L)、または製品12(クエン酸ナトリウム濃度3.0mEq/L)の製剤をそれぞれ20mL/kg/分の速度で10分間投与した。投与終了直後、頸静脈より0.5mL採血しイオン化カルシウムを測定し、製剤投与前の血漿イオン化カルシウム濃度との差を求めた(図5)。
その結果、ラットアシドーシスモデルに、イオン化カルシウム濃度を変化させた製剤を静脈内投与すると製剤中のイオン化カルシウム濃度の含有量に依存して血中イオン化カルシウム濃度が低下した。この低下は製品11および12(クエン酸ナトリウム濃度1mEq/Lおよび3mEq/L)においては,コントロールとして用いた酢酸リンゲル液(クエン酸ナトリウム濃度0mEq/L)に比べ統計学的に有意な変化であった。この結果より、血中イオン化カルシウム濃度の有意な低下を引き起こす製品11および12は炭酸水素イオン含有薬液としては不適であり、血中イオン化カルシウム濃度の低下がわずかであった製品9が炭酸水素イオン含有薬液として好適な製品であることがわかる。
本発明の一剤型薬液は、循環血液量および組織間液の減少時における細胞外液の補給・補正および代謝型アンドーシスの改善、急性または慢性腎不全時における人工腎臓灌流液、ろ過型またはろ過透析型人工腎臓透析の補液などに用いることができる。
図1は、炭酸水素イオン含有薬液にクエン酸3ナトリウム二水和物を添加した際のpH変化を示すグラフである。 図2は、炭酸水素イオン含有薬液にクエン酸を添加した際のpH変化を示すグラフである。 図3は、炭酸水素イオン含有薬液にクエン酸ナトリウムを添加した際のカルシウムイオン濃度の変化を示すグラフである。 図4は、炭酸水素イオン含有薬液にクエン酸を添加した際のカルシウムイオン濃度の変化を示すグラフである。 図5は、ラット代謝性アシドーシスモデルの血中イオン化カルシウム濃度に対する重曹リンゲル液中のクエン酸ナトリウム濃度の影響を示すグラフである[**P<0.01、***P<0.001 vs 酢酸リンゲル液(クエン酸ナトリウム0mEq/L)(Tukey's Test)]。

Claims (15)

  1. カルシウムイオン、炭酸水素イオンおよびクエン酸イオンを含有する薬液であって、薬液中のカルシウムイオン濃度が約2.0〜約2.6mEq/Lに調整されたことを特徴とする一剤型薬液。
  2. 前記炭酸水素イオンの濃度が20〜35mEq/Lであって、前記クエン酸イオンの濃度が1.0mEq/L以下であることを特徴とする請求項1記載の一剤型薬液。
  3. 前記炭酸水素イオンが濃度25〜30mEq/Lであって、前記クエン酸イオン濃度が0.6〜1.0mEq/L以下であることを特徴とする請求項1記載の一剤型薬液。
  4. 前記クエン酸イオンがクエン酸ナトリウム由来であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1記載の一剤型薬液。
  5. 濃度110〜150mEq/Lのナトリウムイオン、濃度10mEq/L以下のカリウムイオンおよび濃度90〜130mEq/Lの塩化物イオンを含み、pHが6.5〜7.2であって、生理食塩液に対する浸透圧比が0.7〜1.1に調整されたことを特徴とする請求項1〜4いずれか1記載の一剤型薬液。
  6. 該薬液が電解質輸液である請求項1〜5いずれか1記載の一剤型薬液。
  7. 請求項1〜6いずれか1記載の一剤型薬液を、ガス透過性の可撓性フィルム製容器である一次包装に充填し、当該一次包装をガス非透過性の可撓性フィルムである二次包装にて密封し、二次包装と一次包装との空間部である二次包装空間部に炭酸ガス発生型脱酸素剤を設置し、当該二次包装空間部のガス雰囲気を、実質的に酸素が存在せず、かつ、炭酸ガスを15〜25%程度含む窒素ガス雰囲気としたことを特徴とする一剤型薬液含有包装体。
  8. 請求項1〜6いずれか1記載の一剤型薬液を、ガス難透過性合成樹脂製容器である一次包装に充填し、当該一次包装をガス非透過性の可撓性フィルムである二次包装にて密封し、二次包装と一次包装との空間部である二次包装空間部に炭酸ガス発生型脱酸素剤を設置し、当該二次包装空間部のガス雰囲気を、実質的に酸素が存在せず、かつ、炭酸ガスを15〜25%程度含む窒素ガス雰囲気としたことを特徴とする一剤型薬液含有包装体。
  9. カルシウムイオンおよび炭酸水素イオンを含有する一剤型薬液において、クエン酸および/またはクエン酸塩を用いることを特徴とする、一剤型薬液中のカルシウムイオン濃度の調整方法。
  10. 前記カルシウムイオン濃度が約2.0〜約2.6mEq/Lであることを特徴とする請求項9記載の調整方法。
  11. 前記炭酸水素イオンの濃度が20〜35mEq/Lであって、前記クエン酸および/またはクエン酸塩の濃度が1mEq/L以下であることを特徴とする請求項9または10記載の調整方法。
  12. カルシウムイオンおよび炭酸水素イオンを含有する一剤型薬液の製造方法であって、クエン酸および/またはクエン酸塩を当該一剤型薬液中のカルシウムイオン濃度の調整に用いることを特徴とする、一剤型薬液の製造方法。
  13. 前記カルシウムイオン濃度が約2.0〜2.6mEq/L、前記炭酸水素イオン濃度が20〜35mEq/L、かつ前記クエン酸および/またはクエン酸塩の濃度が1mEq/L以下であることを特徴とする請求項12記載の一剤型薬液の製造方法。
  14. 請求項1〜6いずれか1記載の一剤型薬液をガス透過性の可撓性フィルムからなる一次包装に充填する工程、高圧蒸気滅菌する工程および炭酸ガス発生型脱酸素剤を設置するとともにガス非透過性の可撓性フィルムにて密封包装する工程を記載した順に行うことを特徴とする一剤型薬液含有包装体の製造方法。
  15. 請求項1〜6いずれか1記載の一剤型薬液をガス難透過性合成樹脂容器からなる一次包装に充填する工程、高圧蒸気滅菌する工程および炭酸ガス発生型脱酸素剤を設置するとともにガス非透過性の可撓性フィルムにて密封包装する工程を記載した順に行うことを特徴とする一剤型薬液含有包装体の製造方法。
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