JP2005126390A - 芳香族メチリデン化合物、その製造方法、およびそれを用いた有機電界発光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子写真感光体機能材料、有機電界発光素子の電荷輸送材料や発光材料等の機能材料、又は有機半導体素子機能材料としての芳香族メチリデン化合物、その製造方法、およびそれを用いた有機電界発光素子の提供。
【解決手段】式(1)の化合物、その製造方法とそれを用いた有機電界発光素子。
【化1】
[上記一般式(1)中、Ar1およびAr2は非置換または置換芳香族基、非置換または置換芳香族複素環基、R1は非置換または置換アルキル基、非置換または置換アルコキシ基、n1は0、1または2の整数、R2およびR3は水素(但しR2およびR3が同時に水素である場合を除く)、非置換または置換アルキル基(但しR2およびR3が同時にアルキル基である場合を除く)、非置換または置換シクロアルキル基(但しR2およびR3が同時にシクロアルキル基である場合を除く)、非置換または置換芳香族基、非置換または置換芳香族複素環基(但しピリジル基を除く)を表す。またR2とR3は、共同で非置換または置換芳香族環の縮合した、あるいは非置換または置換芳香族複素環の縮合した環である。]
【選択図】 なし
【解決手段】式(1)の化合物、その製造方法とそれを用いた有機電界発光素子。
【化1】
[上記一般式(1)中、Ar1およびAr2は非置換または置換芳香族基、非置換または置換芳香族複素環基、R1は非置換または置換アルキル基、非置換または置換アルコキシ基、n1は0、1または2の整数、R2およびR3は水素(但しR2およびR3が同時に水素である場合を除く)、非置換または置換アルキル基(但しR2およびR3が同時にアルキル基である場合を除く)、非置換または置換シクロアルキル基(但しR2およびR3が同時にシクロアルキル基である場合を除く)、非置換または置換芳香族基、非置換または置換芳香族複素環基(但しピリジル基を除く)を表す。またR2とR3は、共同で非置換または置換芳香族環の縮合した、あるいは非置換または置換芳香族複素環の縮合した環である。]
【選択図】 なし
Description
本発明は、電子写真感光体における機能材料として、有機電界発光素子における電荷輸送材料や発光材料等の機能材料として、あるいはその他各種の有機半導体素子に用いられる機能材料として有用な、芳香族メチリデン化合物、その製造方法、およびその芳香族メチリデン化合物を用いた有機電界発光素子に関する。
物質の電界発光現象を利用する電界発光素子は、液晶素子に比べて自己発光型であるために視認性が高く、ディスプレイなどに用いる場合に鮮明な表示が可能である。また完全固体素子であるために、耐衝撃性に優れる等の特徴を有しており、今後、薄型ディスプレイ,液晶ディスプレイのバックライト,あるいは平面光源などに広く用いられることが期待されている。
現在、実用化されている電界発光素子として硫化亜鉛等の無機材料を用いた分散型電界発光素子があるが、この分散型電界発光素子は、その駆動に比較的高い交流電圧を必要とすることから駆動回路が複雑になり、また輝度が低いなどの問題もあり、あまり広く実用に供されていないのが実状である。
一方、有機材料を用いる有機電界発光素子は、1987年にC.W.Tangらによって、電子輸送性の有機蛍光材料と、正孔輸送性の有機材料を積層して、電子と正孔の両キャリヤーを蛍光材料層中に注入して発光させる積層構成の素子が提案され、一躍脚光を浴びるところとなった。(非特許文献1及び特許文献1)。この素子では、10V以下の駆動電圧で1000cd/m2以上の発光が得られたとされており、その後この提案を発端として、周辺の活発な研究が行われるようになっている。現在では様々な材料や素子構成等が提案され、実用化に向けた研究開発が活発に行われている。そのいくつかの具体例を示せば、特許文献2あるいは特許文献3に記載の芳香族ジメチリデン化合物を用いる素子、特許文献4に記載のビフェニル誘導体を用いる素子、特許文献5あるいは特許文献6に記載のキノキサリン誘導体を用いる素子、特許文献7に記載のメチリデン化合物を用いる素子などを挙げることができる。
その一方で、これまでに提案された材料を用いる有機電界発光素子には、まだ様々な問題・課題があることも事実である。いくつかの例を挙げれば、駆動状態、非駆動状態にかかわらず、保存することだけで素子の機能が劣化して発光輝度が低下したり、駆動時や非駆動時にダークスポットと呼ばれる発光しない領域が発生・成長したりする劣化が起こり、最終的には素子が短絡して破壊が起こったりする現象を挙げることができる。このような現象は、そこで用いられている材料の本質的な問題が大きいと言え、現状では実用的に寿命が充分であるとは言い難い。そのため、素子の実用に当たっては比較的短い寿命で対応可能なデバイスに限定せざるを得ない状況と言える。さらに、素子のカラー化を考えると、現状ではそれに対応できる方式や材料が充分には用意されていない。いずれにしても、これらの問題・課題を解決し、有機電界発光素子の広範な実用化を目指すには、そこで用いられる新たな高性能な発光材料、電荷輸送材料等の新しい有機電界発光素子用の材料開発が待望されている。
特開昭63-264692号公報(特許第2814435号)
特開平2-247278号公報(特公平7-119407号公報、特許第2091626号)
特開平3-231970号公報(特許第2554771号)
特開平7-109450号公報(特許第3170976号)
特開平7-197021号公報
特開平7-53954号公報
特開平11-317290号公報
特開平3-296595号公報
C.W.Tang and S.A.VAN Slyke,Appl.Phys.Lett.,vol.51,pp.913〜915(1987)
本発明は、このような有機電界発光素子の実状に鑑みなされたもので、低電圧で高輝度な発光、耐久性に優れた有機電界発光素子を実現させるため、特に発光材料として有用な芳香族メチリデン化合物、その製造方法、およびその芳香族メチリデン化合物を用いた有機電界発光素子提供することにある。これにより、高輝度発光で高耐久な有機電界発光素子の実現に寄与し得る。
本発明によれば、下記一般式(1)で表される化合物が提供される。
また、本発明によれば、下記一般式(2-1)で表される化合物と、下記一般式(2-2)で表される化合物とを反応させることを特徴とする、前記一般式(1)で表される化合物の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、下記一般式(3-1)で表される化合物と、下記一般式(3-2)で表される化合物とを反応させることを特徴とする、前記一般式(1)で表される化合物の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば一般式(1)で表される化合物を含む層を有する有機電界発光素子が提供される。
本発明による、一般式(1)で表される化合物は有機電界発光素子の構成材料として有用であり、特に発光材として優れている。本発明により提供されるそれら化合物、ならびにその製造方法は、高輝度発光で高耐久な有機電界発光素子の実現に大きく貢献する。
上述のように、本発明に関わる芳香族メチリデン化合物を用いた本発明の有機電界発光素子は発光特性に優れ、且つ、安定性にも優れた長寿命の素子である。従って、本発明の有機電界発光素子は、様々な工業分野において有効に利用することができる。
本発明は、一般式(1)で表される化合物ならびにその製造方法である。
一般式(1)中、Ar1およびAr2は非置換または置換芳香族基、非置換または置換芳香族複素環基を表すが、非置換または置換芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、ピレニル基等、並びにこれらが一つ以上のメチル基、t-ブチル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、フェニル基、メトキシ基、ニトロ基、ベンジル基、シクロヘキシル基、シアノ基等で置換されたものを挙げることができ、非置換または置換芳香族複素環基としては、チエニル基、ピリジル基、ベンゾチオフェンイル基、ジベンゾフランイル基、チアントレンイル基、キノリル基等、並びにこれらが一つ以上のメチル基、t-ブチル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、フェニル基、メトキシ基、ニトロ基、ベンジル基、シクロヘキシル基、シアノ基等で置換されたものを挙げることができを挙げることができる。
また、一般式(1)中、R1は非置換または置換アルキル基、非置換または置換アルコキシ基を表すが、非置換または置換アルキル基としては、炭素数1〜12のもの、非置換または置換アルコキシ基としては、炭素数1〜12のものを挙げることができる。
さらに、一般式(1)中、n1は0、1または2の整数を表すが、n1が2の整数のとき、R1は二つの同一置換基からなるか、または二つの異なる置換基からなる。
さらに、一般式(1)中、R2およびR3は、(i)同一または異なる基であって、水素(但しR2およびR3が同時に水素である場合を除く)、非置換または置換アルキル基(但しR2およびR3が同時にアルキル基である場合を除く)、非置換または置換シクロアルキル基(但しR2およびR3が同時にシクロアルキル基である場合を除く)、非置換または置換芳香族基、または非置換または置換芳香族複素環基(但しピリジル基を除く)を表すか、または、(ii)共同で、非置換または置換芳香族環の縮合した、あるいは非置換または置換芳香族複素環の縮合した環である。(i)の場合、R2およびR3の少なくとも一方が、非置換または置換芳香族基、または非置換または置換芳香族複素環基(但しピリジル基を除く)であることが好ましい。前記非置換または置換アルキル基としては、炭素数1〜12のものが好ましく、前記非置換または置換シクロアルキル基としては、炭素数3〜8のものが好ましい。前記非置換または置換芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、ピレニル基等、並びにこれらが一つ以上のメチル基、t-ブチル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、フェニル基、メトキシ基、ニトロ基、ベンジル基、シクロヘキシル基、シアノ基等で置換されたものを挙げることができ、前記非置換または置換芳香族複素環基としては、チエニル基、キノリル基等を挙げることができる。また、(ii)の場合、R3及びR4が共同で形成しうる縮合環としては、ジベンゾシクロヘプテンイリデン基、ジベンゾシクロヘプタンイリデン基等が挙げられる。
本発明の一般式(1)で表される化合物は、次に述べる二つの合成経路等により容易に合成することが出来る。すなわち、(a)一般式(2-1)で表される化合物と一般式(2-2)で表される化合物との反応、(b)一般式(3-1)で表される化合物と一般式(3-2)で表される化合物との反応等である。
一般式(3-1)においてZは、-PO(OR)2または-PA3 +若しくは-PA3 +と塩基との塩を表し、Rは非置換または置換アルキル基であり、好ましくは炭素数1〜4の非置換または置換アルキル基である。またAは非置換または置換アリール基を表わし、好ましくはフェニル基、トリル基またはナフチル基を表す。式中複数のZがある場合これらは同一でも異なっていてもよい。また、Zが-PA3 +と塩基との塩である場合、当該塩基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子のイオンを挙げることができる。
上記二つの反応において(a) の反応は、アリールハライドあるいはトリフラート化合物とアリールボロン酸との反応であり、通常、有機溶媒等の溶媒中、触媒の存在下に塩基を作用せしめることにより行われる。この反応において、アリールハライドあるいはトリフラート化合物とアリールボロン酸との量比は、化学量論的に等量、すなわちハライドあるいはトリフラート1等量に対しアリールボロン酸1等量を基本とするが、原料コスト、目的物単離の容易さ、その他の経済性等を考慮し、適宜変化させることができる。
一般式(2-1)及び(2-1)におけるX1及びX2の一方は、塩素、臭素、ヨウ素又は-OSO2CF3であるが、反応のしやすさを考慮すると臭素、ヨウ素が好ましい。また他方は-B(OH)2又はそのエステルである。具体的には例えば、X1が塩素、臭素、ヨウ素、または-OSO2CF3であり、X2が-B(OH)2又はそのエステルである場合、及びX1が-B(OH)2又はそのエステルでありX2が塩素、臭素、ヨウ素、または-OSO2CF3である場合を挙げることができる。-B(OH)2と結合しエステルを構成するものの具体例としては、炭素数1〜4のアルコール、炭素数2〜3の二価アルコール等を挙げることができ、さらに具体的にはブタノール、テトラメチルエチレングリコール、2,2-ジメチルプロピレングリコール等を挙げることができる。エステルの形態は、1価アルコールによる非環状エステルであっても、二価アルコールによる環状エステルであってもよい。
反応に使用される触媒としては、ニッケルやパラジウムなどの遷移金属、遷移金属化合物あるいはその錯体が挙げられる。具体的な例としてはビス(トリフェニルフォスフィン)ニッケル(II)クロライド、ビス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(II)クロライド、パラジウム(II)アセテート、パラジウム(II)クロライド、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)及び[1,1'-ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン]ニッケル(II)ジクロライド等が挙げられる。触媒の使用量は、アリールボロン酸基1モルに対し0.001モルないし等モルとすることができるが、その効果や経済性を考慮すれば、アリールボロン酸基1モルに対し通常0.01ないし0.1モル程度が好ましい。
また、反応に使用される塩基としては、セシウムフルオライド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウムあるいは水酸化ナトリウム、リン酸カリウムなどの無機塩基、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジンあるいはヘキサメチレンテトラミン等の有機塩基、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムブトキシド等のアルコール類のアルカリ金属塩等を用いることができる。その使用量は、アリールボロン酸基に対し等モルないし5倍モル程度とすることができる。
反応溶媒としては水、メタノール、エタノール、ブタノール、アミルアルコール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロルベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロルメタン、ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素、ピリジン、キノリン等の複素環式芳香族炭化水素、その他N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒が挙げられ、通常一般の有機溶媒はすべて使用可能である。
反応温度としては、室温ないし約150°Cで行なうことができるが、通常約50°Cないし約100°C程度で行うことが好ましい。反応時間は、一般に反応温度との関係で左右されることもあるが、通常30分ないし100時間程度であるが、各原料の組み合わせにより、適宜選択されるべきである。
反応終了後、反応混合物から目的物を得るには、目的物が沈殿として析出している場合であればろ過により、目的物が溶媒に溶解している場合であれば濃縮や貧溶媒による希釈などにより粗精品を取り出し、好ましくは水洗などによって無機分を取り除いてから、カラムクロマトグラフィーや再結晶、あるいは昇華精製などの一般的な精製方法によって純粋な目的物を得ることが出来る。
また (b)の反応は、アルデヒドまたはケトンと活性メチレン等との反応であり、通常、有機溶媒等の溶媒中で塩基を用いて行われる。反応溶媒としては水、メタノール、エタノール、ブタノール、アミルアルコール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロルベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロルメタン、ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素、ピリジン、キノリン等の複素環式芳香族炭化水素、その他N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒が挙げられ、通常一般の有機溶媒はすべて使用可能である。また反応に際して用いられる塩基としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムあるいは水酸化ナトリウムなどの無機塩基、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジンあるいはヘキサメチレンテトラミン等の有機塩基、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムブトキシド等のアルコール類のアルカリ金属塩、その他ナトリウムアミド等が挙げられる。用いる塩基の量としては、触媒量から化学当量以上まで、必要に応じ用いることが出来る。
反応の温度は、約-10°Cないし約150°Cで行なうことができるが、通常約0°Cないし約80°Cで行うことが好ましい。反応時間は、一般に反応温度との関係で左右され、通常30分ないし100時間程度であるが、各原料の組み合わせにより、適宜選択されるべきである。
反応終了後、反応混合物から目的物を得るには、濃縮や貧溶媒による希釈などにより粗精品を取り出し、好ましくは水洗などによって無機分を取り除いてから、前述した一般的な精製方法によって純粋な目的物を得ることが出来る。
次に、本発明の一般式(1)で表される化合物の具体例を表1ないし表5に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の有機電界発光素子としては、具体的には、(1)図1に示した陽極、発光層及び陰極を備える構成の素子、(2)図2に示した陽極、正孔輸送層、発光層及び陰極を備える構成の素子、(3)図3に示した陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び陰極を備える素子、(4)図4に示した陽極、発光層、電子輸送層及び陰極を備える素子構成等を挙げることができる。
基板には特に制限はなく、例えばガラス、透明なプラスチック、あるいは石英などを用いることができる。これらは適宜素子構成上の必要性によってその材質が選択され、またその厚みや形状が決定される。
陽極としては、仕事関数の比較的大きい金属、合金、電気伝導性物質又はそれらの混合物等を用いることができる。このような電極の具体例としてはAuなどの金属、CuI、ITO、SnO2 、ZnOなどの誘電性透明材料を挙げることができる。陽極は、蒸着、スパッタリングなどの方法により、一般に薄膜として形成することができる。電極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。陽極の膜厚は、その材質にもよるが通常は10nmないし500nm程度であり、好ましい範囲としては、通常20nmないし300nmの範囲で選択される。
陰極としては、比較的仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物又はこれらの混合物を用いることができる。このような電極の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、Al/AlO2、インジウムなどを挙げることが出来る。陰極も陽極と同様、蒸着、スパッタリングなどの方法により、薄膜として形成することができる。電極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。膜厚は通常50nmないし1000nm好ましくは100nmないし500nmの範囲とすることができる。
正孔輸送層は、正孔輸送性の化合物からなる層であって、陽極より注入された正孔を発光層に輸送・注入する等の機能を有する。また、電荷の注入性、輸送性に加えて障壁性等の他の機能をも有しうる。正孔輸送性化合物は、前述の機能を有するものであれば特に制限はなく、従来から有機光導電性材料において、正孔輸送材料として用いられているものや、有機電界発光素子の正孔輸送層に使用される公知のもの等の各種の有機材料、又は各種の無機材料の中から任意のものを選択して用いることができる。正孔輸送性化合物として用いうる有機材料としては、例えばトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベル誘導体、ポルフィリン誘導体、芳香族第三級アミン誘導体及びスチリルアミン化合物などを挙げることができる。また、正孔輸送化合物として用いうる無機材料としては、Si、SiC、CdSなどを挙げることができる。本発明の素子は、正孔輸送層として、一種又は二種以上の正孔輸送性化合物からなる一層のみを備えてもよいし、あるいは、それぞれが一種又は二種以上の正孔輸送性化合物からなる、積層された複数の層を備えてもよい。この正孔輸送層は、一般に良く用いられる成膜方法である蒸着、スパッタリングあるいはスピンコートなどの方法により形成することが出来る。その膜圧は通常10nmないし1μm、好ましくは20nmないし500nmとすることができる。
電子輸送層は、電子輸送性化合物からなる層であって、陰極より注入された電子を発光層に輸送・注入する等の機能を有している。また、電荷の注入性、輸送性に加えて障壁性等の他の機能をも有しうる。電子輸送性化合物は、前述の機能を有するものであれば特に制限はなく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。電子輸送性化合物の例としては、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ジフェノキノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、フレオレニリデンメタン誘導体、アントロン誘導体などの有機材料、又はSi、SiC、CdSなどの無機材料を挙げることができる。本発明の素子は、電子輸送層として、一種又は二種以上の電子輸送性化合物からなる一層のみを備えてもよいし、あるいは、それぞれが一種又は二種以上の電子輸送性化合物からなる、積層された複数の層を備えてもよい。この電子輸送層についても、その成膜は一般に良く用いられる成膜方法である蒸着、スパッタリングあるいはスピンコートなどの方法により形成することが出来、その膜圧は通常10nmないし1μm、好ましくは20nmないし500nmとすることができる。
発光層は、電極、あるいは正孔輸送層、電子輸送層から電子と正孔の注入を受け、それらの再結合によって発光する機能を有する層である。一般式(1)の化合物は、特にこの発光層に用いることに適した化合物であり、一般式(1)の化合物は主にこの層で用いられる。発光層は、発光材料として一般式(1)の化合物のみを含んでもよく、一般式(1)の化合物に加えて、公知発光材料等、他の発光材料を含んでもよい。本発明の素子は、少なくともいずれかの層に一般式(1)の化合物が含まれている限りにおいて、発光層として一種の発光材料又は二種以上の発光材料の混合物からなる一層のみを備えてもよいし、あるいは、複数の層を備えてもよい。
発光層は、ホスト化合物にゲスト化合物を比較的少量添加(ドープ)した、いわゆる「ゲスト・ホスト」構成であってもよい。この構成により、素子の発光効率向上や駆動耐久性の向上に寄与せしめることが出来る。ゲスト・ホスト構成の発光層において、主にその発光はゲスト化合物において発生する。本発明の素子において、ゲスト・ホスト構成の発光層は、ゲスト化合物及び/又はホスト化合物として、一般式(1)の化合物を含むことができる。このゲスト・ホスト構成の発光層において、ゲスト化合物は、エネルギーギャップがホスト化合物よりも小さく、また強い蛍光を有していることが好ましい。この種のゲスト化合物としては、一般式(1)の化合物のほか、例えば各種の蛍光染料やレーザー色素などが挙げられ、中でもクマリン誘導体、縮合環化合物などが好適である。また、ホスト化合物としては、一般式(1)の化合物のほか、芳香族ジスチリル化合物や8-ヒドロキシキノリンの金属錯体等を挙げることができる。ゲスト化合物のホスト化合物に対する配合割合は、濃度消光を起こさない範囲であればよく、好適には、ホスト化合物100molあたり0.01乃至40mol程度の範囲とすることができる。更に、少なくともいずれかの層に一般式(1)の化合物が含まれている限りにおいて、本発明の素子は、一層又は二層以上のゲスト・ホスト構成の発光層と、一層又は二層以上の他の構成の発光層との両方を備えることもでき、各層に含まれるホスト化合物及びゲスト化合物等の発光材料の種類、組成等は同一であっても異なっていても良い。
発光層の成膜は一般に良く用いられる成膜方法である蒸着、あるいはスピンコートなどの方法により行なうことが出来、その膜圧は通常10nmないし500nm、好ましくは20nmないし200nmとすることができる。
先にも述べた様に、本発明による、一般式(1)で表される化合物は、有機電界発光素子の構成材料として有用であり、特に発光材料として優れている。本発明により提供されるこれらの化合物、ならびにこれらの化合物の製造方法は、高輝度発光で高耐久な有機電界発光素子の実現に大きく貢献する。
以下に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
化合物番号(1)の製造例
ベンゾフェノン1.15g、および2,5-ジフェニル-1,4-キシリレンジホスホン酸テトラエチル1.59gを、N,N-ジメチルホルムアミド20mlに溶解し、氷水冷却下にカリウム-tert-ブトキシド0.85gを少量ずつ添加した。その後、室温にて24時間攪拌した後、反応混合物に水約30mlを加え、生成した沈殿を濾取、水洗、乾燥し、淡黄色の粉末を得た。次にこの粉末を、メシチレン約100mlから再結晶し、120°で真空乾燥して、淡黄色結晶0.99g(収率56%)を得た。融点は293.5-296.5℃であった。このものの元素分析値は、炭素94.01%(化合物番号(1)としての計算値94.16%)、水素5.72%(化合物番号(1)としての計算値5.84%)であった。プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3、内部標準TMS)では芳香環環プロトンがδ=6.9〜7.4ppm(32H)、オレフィンプロトンが6.7 ppm(2H)に認められた。マススペクトルでは、分子イオンピークm/z=586が観測され、以上のことより上記で得られた化合物は化合物番号(1)であることを確認した。
化合物番号(1)の製造例
ベンゾフェノン1.15g、および2,5-ジフェニル-1,4-キシリレンジホスホン酸テトラエチル1.59gを、N,N-ジメチルホルムアミド20mlに溶解し、氷水冷却下にカリウム-tert-ブトキシド0.85gを少量ずつ添加した。その後、室温にて24時間攪拌した後、反応混合物に水約30mlを加え、生成した沈殿を濾取、水洗、乾燥し、淡黄色の粉末を得た。次にこの粉末を、メシチレン約100mlから再結晶し、120°で真空乾燥して、淡黄色結晶0.99g(収率56%)を得た。融点は293.5-296.5℃であった。このものの元素分析値は、炭素94.01%(化合物番号(1)としての計算値94.16%)、水素5.72%(化合物番号(1)としての計算値5.84%)であった。プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3、内部標準TMS)では芳香環環プロトンがδ=6.9〜7.4ppm(32H)、オレフィンプロトンが6.7 ppm(2H)に認められた。マススペクトルでは、分子イオンピークm/z=586が観測され、以上のことより上記で得られた化合物は化合物番号(1)であることを確認した。
(実施例2)
化合物番号(2)の製造例
アルゴン気流下、1,4-ビス(2,2-ジフェニルビニル)-2,5-ジブロムベンゼン1.78g、4-tert-ブチルベンゼンボロン酸1.08g、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)0.21g、エタノール4.2ml、トルエン25ml及び炭酸ナトリウム水溶液(炭酸ナトリウム1.27g及び水5gより調製)を混合し、この混合物を攪拌下に24時間加熱還流した。放冷後、トルエン抽出を行い、有機層を水洗、乾燥し、減圧下にトルエンを留去して粗製品を得た。次いで、この粗製品をシクロヘキサンより再結晶し、減圧下120°で乾燥して精製品の白色結晶1.51g(収率72%)を得た。融点は278.5-292.0℃であった。このものの元素分析値は、炭素92.58%(化合物番号(2)としての計算値92.79%)、水素7.18%(化合物番号(2)としての計算値7.21%)であった。プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3、内部標準TMS)では芳香環環プロトンがδ=7.2〜7.4ppm(30H)、オレフィンプロトンが6.8 ppm(2H)、アルキルプロトンがδ=1.3ppm(18H)に認められた。マススペクトルでは、分子イオンピークm/z=698が観測され、以上のことより上記で得られた化合物は化合物番号(2)であることを確認した。
化合物番号(2)の製造例
アルゴン気流下、1,4-ビス(2,2-ジフェニルビニル)-2,5-ジブロムベンゼン1.78g、4-tert-ブチルベンゼンボロン酸1.08g、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)0.21g、エタノール4.2ml、トルエン25ml及び炭酸ナトリウム水溶液(炭酸ナトリウム1.27g及び水5gより調製)を混合し、この混合物を攪拌下に24時間加熱還流した。放冷後、トルエン抽出を行い、有機層を水洗、乾燥し、減圧下にトルエンを留去して粗製品を得た。次いで、この粗製品をシクロヘキサンより再結晶し、減圧下120°で乾燥して精製品の白色結晶1.51g(収率72%)を得た。融点は278.5-292.0℃であった。このものの元素分析値は、炭素92.58%(化合物番号(2)としての計算値92.79%)、水素7.18%(化合物番号(2)としての計算値7.21%)であった。プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3、内部標準TMS)では芳香環環プロトンがδ=7.2〜7.4ppm(30H)、オレフィンプロトンが6.8 ppm(2H)、アルキルプロトンがδ=1.3ppm(18H)に認められた。マススペクトルでは、分子イオンピークm/z=698が観測され、以上のことより上記で得られた化合物は化合物番号(2)であることを確認した。
(実施例3)
化合物番号(3)の製造例
アルゴン気流下、1,4-ビス(2,2-ジフェニルビニル)-2,5-ジブロムベンゼン2.37g、ビフェニル-4-ボロン酸1.58g、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)1.00g、エタノール6ml、トルエン30ml及び炭酸ナトリウム水溶液(炭酸ナトリウム1.70g及び水6.8gより調製)を混合し、この混合物を攪拌下に20時間加熱還流した。放冷後、沈殿を濾取し、トルエン洗浄、エタノール洗浄、さらに水洗後乾燥し、粗製品を得た。この粗製品をメシチレンより再結晶し、淡黄色針状晶2.44g(収率82%)を得た。融点は320℃以上であった。このものの元素分析値は、炭素94.01%(化合物番号(3)としての計算値94.27%)、水素5.55%(化合物番号(3)としての計算値5.73%)であった。プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3、内部標準TMS)では芳香環環プロトンがδ=7.0〜7.7ppm(40H)、オレフィンプロトンが6.8 ppm(2H)に認められた。マススペクトルでは、分子イオンピークm/z=738が観測され、以上のことより上記で得られた化合物は化合物番号(3)であることを確認した。
化合物番号(3)の製造例
アルゴン気流下、1,4-ビス(2,2-ジフェニルビニル)-2,5-ジブロムベンゼン2.37g、ビフェニル-4-ボロン酸1.58g、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)1.00g、エタノール6ml、トルエン30ml及び炭酸ナトリウム水溶液(炭酸ナトリウム1.70g及び水6.8gより調製)を混合し、この混合物を攪拌下に20時間加熱還流した。放冷後、沈殿を濾取し、トルエン洗浄、エタノール洗浄、さらに水洗後乾燥し、粗製品を得た。この粗製品をメシチレンより再結晶し、淡黄色針状晶2.44g(収率82%)を得た。融点は320℃以上であった。このものの元素分析値は、炭素94.01%(化合物番号(3)としての計算値94.27%)、水素5.55%(化合物番号(3)としての計算値5.73%)であった。プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3、内部標準TMS)では芳香環環プロトンがδ=7.0〜7.7ppm(40H)、オレフィンプロトンが6.8 ppm(2H)に認められた。マススペクトルでは、分子イオンピークm/z=738が観測され、以上のことより上記で得られた化合物は化合物番号(3)であることを確認した。
(実施例4)
化合物番号(4)の製造例
アルゴン気流下、1,4-ビス(2,2-ジフェニルビニル)-2,5-ジブロムベンゼン1.78g、ナフタレン-1-ボロン酸1.04g、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)0.21g、エタノール4.2ml、トルエン25ml及び炭酸ナトリウム水溶液(炭酸ナトリウム1.27g及び水5.0gより調製)を混合し、この混合物を攪拌下に22時間加熱還流した。放冷後、沈殿を濾取し、シクロヘキサン洗浄、エタノール洗浄、さらに水洗後乾燥し粗製品を得た。この粗製品をトルエンより再結晶し、白色結晶0.86g(収率42%)を得た。融点は292.0-293.0℃であった。このものの元素分析値は、炭素94.20%(化合物番号(4)としての計算値94.42%)、水素5.39%(化合物番号(4)としての計算値5.58%)であった。プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3、内部標準TMS)では芳香環環プロトンがδ=6.8〜7.9ppm(36H)、オレフィンプロトンが6.5 ppm(2H)に認められた。マススペクトルでは、分子イオンピークm/z=686が観測され、以上のことより上記で得られた化合物は化合物番号(4)であることを確認した。
化合物番号(4)の製造例
アルゴン気流下、1,4-ビス(2,2-ジフェニルビニル)-2,5-ジブロムベンゼン1.78g、ナフタレン-1-ボロン酸1.04g、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)0.21g、エタノール4.2ml、トルエン25ml及び炭酸ナトリウム水溶液(炭酸ナトリウム1.27g及び水5.0gより調製)を混合し、この混合物を攪拌下に22時間加熱還流した。放冷後、沈殿を濾取し、シクロヘキサン洗浄、エタノール洗浄、さらに水洗後乾燥し粗製品を得た。この粗製品をトルエンより再結晶し、白色結晶0.86g(収率42%)を得た。融点は292.0-293.0℃であった。このものの元素分析値は、炭素94.20%(化合物番号(4)としての計算値94.42%)、水素5.39%(化合物番号(4)としての計算値5.58%)であった。プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3、内部標準TMS)では芳香環環プロトンがδ=6.8〜7.9ppm(36H)、オレフィンプロトンが6.5 ppm(2H)に認められた。マススペクトルでは、分子イオンピークm/z=686が観測され、以上のことより上記で得られた化合物は化合物番号(4)であることを確認した。
(実施例5)
化合物番号(5)の製造例
アルゴン気流下、1,4-ビス(2,2-ジフェニルビニル)-2,5-ジブロムベンゼン1.78g、ナフタレン-2-ボロン酸1.04g、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)0.21g、エタノール4.2ml、トルエン25ml及び炭酸ナトリウム水溶液(炭酸ナトリウム1.27g及び水5.0gより調製)を混合し、この混合物を攪拌下に22時間加熱還流した。放冷後、沈殿を濾取し、シクロヘキサン洗浄、エタノール洗浄、さらに水洗後乾燥し粗製品を得た。この粗製品をキシレンより再結晶し、淡黄色針状晶1.68g(収率82%)を得た。融点は320℃以上であった。このものの元素分析値は、炭素94.39%(化合物番号(5)としての計算値94.42%)、水素5.30%(化合物番号(5)としての計算値5.58%)であった。プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3、内部標準TMS)では芳香環環プロトンがδ=7.1〜7.9ppm(36H)、オレフィンプロトンが6.8 ppm(2H)に認められた。マススペクトルでは、分子イオンピークm/z=686が観測され、以上のことより上記で得られた化合物は化合物番号(5)であることを確認した。
化合物番号(5)の製造例
アルゴン気流下、1,4-ビス(2,2-ジフェニルビニル)-2,5-ジブロムベンゼン1.78g、ナフタレン-2-ボロン酸1.04g、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)0.21g、エタノール4.2ml、トルエン25ml及び炭酸ナトリウム水溶液(炭酸ナトリウム1.27g及び水5.0gより調製)を混合し、この混合物を攪拌下に22時間加熱還流した。放冷後、沈殿を濾取し、シクロヘキサン洗浄、エタノール洗浄、さらに水洗後乾燥し粗製品を得た。この粗製品をキシレンより再結晶し、淡黄色針状晶1.68g(収率82%)を得た。融点は320℃以上であった。このものの元素分析値は、炭素94.39%(化合物番号(5)としての計算値94.42%)、水素5.30%(化合物番号(5)としての計算値5.58%)であった。プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3、内部標準TMS)では芳香環環プロトンがδ=7.1〜7.9ppm(36H)、オレフィンプロトンが6.8 ppm(2H)に認められた。マススペクトルでは、分子イオンピークm/z=686が観測され、以上のことより上記で得られた化合物は化合物番号(5)であることを確認した。
(実施例6)
化合物番号(10)の製造例
4,4'-ジ-tert-ブチルベンゾフェノン1.85g、および2,5-ジフェニル-1,4-キシリレンジホスホン酸テトラエチル1.59gを、N,N-ジメチルホルムアミド20mlに溶解し、氷水冷却下にカリウム-tert-ブトキシド0.85gを少量ずつ添加した。その後、室温にて24時間攪拌した後、反応混合物に水約30mlを加え、生成した沈殿を濾取、エタノール洗浄、水洗、乾燥し、淡黄色の粉末を得た。次にこの粉末を、トルエンおよびヘキサンの混合溶媒から再結晶し、120°で真空乾燥して、淡黄色結晶1.46g(収率60%)を得た。融点は316.5-317.5℃であった。このものの元素分析値は、炭素91.63%(化合物番号(10)としての計算値91.80%)、水素8.18%(化合物番号(10)としての計算値8.20%)であった。プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3、内部標準TMS)では芳香環環プロトンがδ=6.9〜7.5ppm(28H)、オレフィンプロトンが6.65 ppm(2H)、アルキルプロトンがδ=1.45ppm(18H)およびδ=1.25ppm(18H)に認められた。マススペクトルでは、分子イオンピークm/z=810が観測され、以上のことより上記で得られた化合物は化合物番号(10)であることを確認した。
化合物番号(10)の製造例
4,4'-ジ-tert-ブチルベンゾフェノン1.85g、および2,5-ジフェニル-1,4-キシリレンジホスホン酸テトラエチル1.59gを、N,N-ジメチルホルムアミド20mlに溶解し、氷水冷却下にカリウム-tert-ブトキシド0.85gを少量ずつ添加した。その後、室温にて24時間攪拌した後、反応混合物に水約30mlを加え、生成した沈殿を濾取、エタノール洗浄、水洗、乾燥し、淡黄色の粉末を得た。次にこの粉末を、トルエンおよびヘキサンの混合溶媒から再結晶し、120°で真空乾燥して、淡黄色結晶1.46g(収率60%)を得た。融点は316.5-317.5℃であった。このものの元素分析値は、炭素91.63%(化合物番号(10)としての計算値91.80%)、水素8.18%(化合物番号(10)としての計算値8.20%)であった。プロトン核磁気共鳴スペクトル(溶媒CDCl3、内部標準TMS)では芳香環環プロトンがδ=6.9〜7.5ppm(28H)、オレフィンプロトンが6.65 ppm(2H)、アルキルプロトンがδ=1.45ppm(18H)およびδ=1.25ppm(18H)に認められた。マススペクトルでは、分子イオンピークm/z=810が観測され、以上のことより上記で得られた化合物は化合物番号(10)であることを確認した。
(実施例11)
本発明の芳香族メチリデン化合物を発光材料として用いる、図3に示す構成の有機電界発光素子を作成した。
本発明の芳香族メチリデン化合物を発光材料として用いる、図3に示す構成の有機電界発光素子を作成した。
陽極1として、透明電極であるインジウム錫酸化物の薄膜をあらかじめ形成したガラス基板(以下ITOガラス基板と略記する)を用意し、この電極上に、正孔輸送層2、発光層3、電子輸送層4、陰極5を順次蒸着により形成して、素子を作成した。
具体的には、先ず、ITOガラス基板、正孔輸送材料としてN,N'-ビス[4'-(N,N-ジフェニルアミノ)-4-ビフェニリル]-N,N'-ジフェニルベンジジン、発光材料として表1に示した化合物番号(1)の芳香族メチリデン化合物、電子輸送材料としてトリス(8-ヒドロキシキノリノ)アルミニウム(以下Alqと略記する)を真空蒸着装置にセットし、10-4 Paまで排気した 。次にITOガラス基板の電極上に、N,N'-ビス[4'-(N,N-ジフェニルアミノ)-4-ビフェニリル]-N,N'-ジフェニルベンジジンを0.1〜0.5nm/秒の蒸着速度で蒸着し、正孔輸送層を50nm形成した。次いで化合物番号(1)を0.1〜0.5nm/秒の蒸着速度で蒸着し、発光層を50nm形成した。続いてAlqを0.1nm/秒の速度で 蒸着し、膜厚10nmの電子輸送層を形成した。さらにアルミニウム/リチウム電極(以下Al/Li電極と略記する)の蒸着を0.5nm/秒の速度で行い、その厚さを150nmとした。これらの蒸着はいずれも真空を破らずに連続して行い、また膜厚は水晶振動子によってモニターすることにより制御した。素子作製後、直ちに乾燥窒素中で電極の取り出しを行い、有機電界発光素子を作成した。
この様にして作成した素子に、電圧を印加したところ、均一な青色の発光が得られた。この素子に、100mA/cm2の電流を印加した場合の駆動電圧ならびに発光 輝度を測定したところ、駆動電圧は7V、発光輝度は2000cd/m2であった。また、この素子の寿命の目安として、発光輝度の半減時間を、20mA/cm2の定電流を印加して連続駆動し輝度の半減時間を調べたところ、およそ400 時間で輝度が半減した。
(比較例1)
発光材料として、特開平3-231970号公報に記載の4,4'-ビス(2,2-ジフェニルビニル)ビフェニルを、化合物番号(1)の化合物の代わりに用いた以外は実施例11と全く同様にして素子を作成した。素子に電圧を印加したところ、均一な青色の発光が得られた。素子に100mA/cm2を印加した場合の 駆動電圧は6.2V、発光輝度は1100cd/m2であった。この素子の寿命の目安と して、発光輝度の半減時間を、20mA/cm2の定電流を印加して連続駆動し 輝度の半減時間を調べたところ、5時間経過したところで、有機膜の一部に凝集が生じ、電極間で電気的な短絡が起こり発光しなくなった。
発光材料として、特開平3-231970号公報に記載の4,4'-ビス(2,2-ジフェニルビニル)ビフェニルを、化合物番号(1)の化合物の代わりに用いた以外は実施例11と全く同様にして素子を作成した。素子に電圧を印加したところ、均一な青色の発光が得られた。素子に100mA/cm2を印加した場合の 駆動電圧は6.2V、発光輝度は1100cd/m2であった。この素子の寿命の目安と して、発光輝度の半減時間を、20mA/cm2の定電流を印加して連続駆動し 輝度の半減時間を調べたところ、5時間経過したところで、有機膜の一部に凝集が生じ、電極間で電気的な短絡が起こり発光しなくなった。
(比較例2)
特開平11-317290号公報に記載の1,2-ビス[2-[4-(2,2-ジフェニルビニル)フェニル]ビニル]ベンゼンを、化合物番号(1)の化合物の代わりに用いた以外は実施例11と全く同様にして素子を作成した。素子に電圧を印加したところ、均一な青色の発光が得られた。この素子に100mA/cm2を印加した場合の 駆動電圧は8.2V、発光輝度は1900cd/m2であった。この素子の寿命の目安と して、発光輝度の半減時間を、20mA/cm2の定電流を印加して連続駆動し 輝度の半減時間を調べたところ、40時間で輝度が半減した。
特開平11-317290号公報に記載の1,2-ビス[2-[4-(2,2-ジフェニルビニル)フェニル]ビニル]ベンゼンを、化合物番号(1)の化合物の代わりに用いた以外は実施例11と全く同様にして素子を作成した。素子に電圧を印加したところ、均一な青色の発光が得られた。この素子に100mA/cm2を印加した場合の 駆動電圧は8.2V、発光輝度は1900cd/m2であった。この素子の寿命の目安と して、発光輝度の半減時間を、20mA/cm2の定電流を印加して連続駆動し 輝度の半減時間を調べたところ、40時間で輝度が半減した。
(実施例12)
実施例11で用いた化合物番号(1)の代わりに、表1に示した化合物番号(2)を用いた以外は実施例11と同様に有機電界発光素子を作成した。得られた素子に電圧を印加したところ均一な青色の発光が認められた。
実施例11で用いた化合物番号(1)の代わりに、表1に示した化合物番号(2)を用いた以外は実施例11と同様に有機電界発光素子を作成した。得られた素子に電圧を印加したところ均一な青色の発光が認められた。
(実施例13)
実施例11で用いた化合物番号(1)の代わりに、表1に示した化合物番号(3)を用いた以外は実施例11と同様に有機電界発光素子を作成した。得られた素子に電圧を印加したところ均一な水色の発光が認められた。
実施例11で用いた化合物番号(1)の代わりに、表1に示した化合物番号(3)を用いた以外は実施例11と同様に有機電界発光素子を作成した。得られた素子に電圧を印加したところ均一な水色の発光が認められた。
(実施例14)
実施例11で用いた化合物番号(1)の代わりに、表1に示した化合物番号(4)を用いた以外は実施例11と同様に有機電界発光素子を作成した。得られた素子に電圧を印加したところ均一な青色の発光が認められた。
実施例11で用いた化合物番号(1)の代わりに、表1に示した化合物番号(4)を用いた以外は実施例11と同様に有機電界発光素子を作成した。得られた素子に電圧を印加したところ均一な青色の発光が認められた。
(実施例15)
実施例11で用いた化合物番号(1)の代わりに、表2に示した化合物番号(5)を用いた以外は実施例11と同様に有機電界発光素子を作成した。得られた素子に電圧を印加したところ均一な水色の発光が認められた。
実施例11で用いた化合物番号(1)の代わりに、表2に示した化合物番号(5)を用いた以外は実施例11と同様に有機電界発光素子を作成した。得られた素子に電圧を印加したところ均一な水色の発光が認められた。
(実施例16)
本発明の芳香族メチリデン化合物を発光材料として用いる、図2に示す構成の有機電界発光素子を作成した。
本発明の芳香族メチリデン化合物を発光材料として用いる、図2に示す構成の有機電界発光素子を作成した。
陽極1として、ITOガラス基板を用意し、この電極上に、正孔輸送層2、発光層3、陰極5を順次蒸着により形成して、素子を作成した。
具体的には、ITOガラス基板、正孔輸送材料としてN,N'-ビス[4'-(N,N-ジフェニルアミノ)-4-ビフェニリル]-N,N'-ジフェニルベンジジン、発光材料として表1に示した化合物番号(1)を真空蒸着装置にセットし、10-4 Paまで排気した。次にITOガラス基板の電極上に、正孔輸送層を50nm形成した。次に化合物番号(10)を50nm蒸着し、発光層を形成した。さらに、Al/Li電極を150nm形成した。これらの蒸着はいずれも真空を破らずに連続して行い、膜厚は水晶振動子によってモニターすることにより制御した。素子作製後、直ちに乾燥窒素中で電極の取り出しを行い、有機電界発光素子を作製した。このようにして作製した素子に電圧を印加したところ、均一な青色の発光が得られた。駆動電圧は8.5V、発光輝度は1500cd/m2であった。
(実施例17)
本発明の芳香族メチリデン化合物を発光材料として用いる、図1に示す構成の有機電界発光素子を作成した。
本発明の芳香族メチリデン化合物を発光材料として用いる、図1に示す構成の有機電界発光素子を作成した。
陽極1として、ITOガラス基板を用意し、この電極上に、発光層3、陰極5を順次蒸着により形成して、素子を作成した。
具体的には、ITOガラス基板、発光材料として表1に示した化合物番号(2)を真空蒸着装置にセットし、10-4 Paまで排気した。次にITOガラス基板の電極上に、化合物番号2を100nm形成した。さらに、Al/Li電極を150nm形成した。これらの蒸着はいずれも真空を破らずに連続して行い、膜厚は水晶振動子によってモニターすることにより制御した。素子作製後、直ちに乾燥窒素中で電極の取り出しを行い、有機電界発光素子を作製した。このようにして作製した素子に電圧を印加したところ、均一な青色の発光が得られた。駆動電圧は10V、発光輝度は800cd/m2であった。
(実施例18)
本発明の芳香族メチリデン化合物を発光材料として用いる、図4に示す構成の有機電界発光素子を作成した。
本発明の芳香族メチリデン化合物を発光材料として用いる、図4に示す構成の有機電界発光素子を作成した。
陽極1として、ITOガラス基板を用意し、この電極上に、発光層3、電子輸送層4、陰極5を順次蒸着により形成して、素子を作成した。
具体的には、ITOガラス基板、発光材料として表1に示した化合物番号(2)、電子輸送材料として、2-(ビフェニル-4-イル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾールを真空蒸着装置にセットし、10-4 Paまで排気した。次にITOガラス基板の電極上に、発光層として化合物番号(2)を50nm形成した。続いて、電子輸送層を50nm形成した。さらに、Al/Li電極を150nm形成した。これらの蒸着はいずれも真空を破らずに連続して行い、膜厚は水晶振動子によってモニターすることにより制御した。素子作製後、直ちに乾燥窒素中で電極の取り出しを行い、有機電界発光素子を作製した。このようにして作製した素子に電圧を印加したところ、均一な青色の発光が得られた。駆動電圧は8V、発光輝度は1000cd/m2であった。
(実施例19)
本発明に関わる芳香族メチリデン化合物を発光層のホスト材料として用いる、図2に示す構成の有機電界発光素子を作成した。
本発明に関わる芳香族メチリデン化合物を発光層のホスト材料として用いる、図2に示す構成の有機電界発光素子を作成した。
陽極1として、ITOガラス基板を用意し、この電極上に、正孔輸送層2、発光層3、陰極5を順次蒸着により形成して、素子を作成した。
具体的には、ITOガラス基板、正孔輸送材料としてN,N'-ビス[4'-(N,N-ジフェニルアミノ)-4-ビフェニリル]-N,N'-ジフェニルベンジジン、ホスト材料として表1に示した化合物番号(2)、ゲスト化合物として、1,4-ビス[4-ジ(4-トリル)アミノスチリル]ベンゼン(以下、EM-1と略記する)を真空蒸着装置にセットし、10-4 Paまで排気した。その後、ITOガラス基板の電極上に、正孔輸送層を50nm形成し、次いで発光層として化合物番号(2)とEM-1を共蒸着で50nm製膜した。化合物番号(2)に対するEM-1の濃度は3mol%とした。さらにAl/Li電極を150nm形成した。これらの蒸着はいずれも真空を破らずに連続して行い、膜厚は水晶振動子によってモニターすることにより制御した。素子作製後、直ちに乾燥窒素中で電極の取り出しを行い、有機電界発光素子を作製した。このようにして作製した素子に電圧を印加したところ、均一な青緑色の発光が得られた。駆動電圧は7.2V、発光輝度は7000cd/m2であった。この素子を乾燥窒素中において電流密度20mA/cm2で連続駆動したところ、1300時間で輝度が半減した。
(実施例20)
本発明に関わる芳香族メチリデン化合物を発光層のホスト材料として用いる、図3に示す構成の有機電界発光素子を作成した。
本発明に関わる芳香族メチリデン化合物を発光層のホスト材料として用いる、図3に示す構成の有機電界発光素子を作成した。
陽極1として、ITOガラス基板を用意し、この電極上に、正孔輸送層2、発光層3、電子輸送層4、陰極5を順次蒸着により形成して、素子を作成した。
具体的には、先ず、ITOガラス基板、正孔輸送材料としてN,N'-ビス[4'-(N,N-ジフェニルアミノ)-4-ビフェニリル]-N,N'-ジフェニルベンジジン、ホスト材料として表3に示した化合物番号(10)の芳香族メチリデン化合物、ゲスト材料としてルブレン、電子輸送材料としてAlqを真空蒸着装置にセットし、10-4 Paまで排気した 。次にITOガラス基板の電極上に、正孔輸送層としてN,N'-ビス[4'-(N,N-ジフェニルアミノ)-4-ビフェニリル]-N,N'-ジフェニルベンジジンを50nm製膜した。その後、発光層のホスト化合物として化合物番号(10)、ゲスト化合物としてルブレンを共蒸着し、発光層を25nm形成した。なお、化合物番号2に対するルブレンの濃度は5mol%とした。次に電子輸送層としてAlqを25nm、陰極としてAl/Li電極を150nmの厚さで成膜、素子を作成した。これらの製膜は一度も真空を破ることなく、連続して行った。なお、膜厚は水晶振動子によってモニターした。素子作製後、直ちに乾燥窒素中で電極の取り出しを行い、引き続き特性測定を行った。得られた素子に電圧を印加したところ、560nmにピークを有する、均一な黄色の発光が得られた。100mA/cm2の電流を印加した場合の駆動電圧ならびに発光輝度を測定したところ、駆動電圧7.5V、発光輝度は4300cd/m2 であった。この素子を乾燥窒素中において電流密度20mA/cm2で連続駆動したところ、900時間で輝度が半減した。
上述のように、本発明に関わる芳香族メチリデン化合物を用いた本発明の有機電界発光素子は発光特性に優れ、且つ、安定性にも優れた長寿命の素子である。従って、本発明の有機電界発光素子は、様々な工業分野において有効に利用することができる。
(1)陽極
(2)正孔輸送層
(3)発光層
(4)電子輸送層
(5)陰極
(2)正孔輸送層
(3)発光層
(4)電子輸送層
(5)陰極
Claims (4)
- 下記一般式(1)で表される化合物。
- 下記一般式(2-1)で表される化合物と、下記一般式(2-2)で表される化合物とを反応させることを特徴とする、請求項1記載化合物の製造方法。
- 下記一般式(3-1)で表される化合物と、下記一般式(3-2)で表される化合物とを反応させることを特徴とする、請求項1記載化合物の製造方法。
- 請求項1記載の化合物を含む層を有することを特徴とする有機電界発光素子。
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JP2003365655A JP2005126390A (ja) | 2003-10-27 | 2003-10-27 | 芳香族メチリデン化合物、その製造方法、およびそれを用いた有機電界発光素子 |
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KR100699506B1 (ko) | 2005-06-08 | 2007-03-23 | 한국화인케미칼주식회사 | 플루오르를 포함하는 방향족 디메틸리딘 화합물 |
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2003
- 2003-10-27 JP JP2003365655A patent/JP2005126390A/ja active Pending
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