JP2005126343A - 免疫抑制用薬剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】CsAやFK506など従来の免疫抑制剤とは作用メカニズムが異なり、副作用の少ない免疫抑制用薬剤組成物を提供すること。
【解決手段】 一般式(I)
【化1】
(式中、R1は水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基または炭素数1〜6の低級アルキルカルボニル基を表し、R2は水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基、炭素数1〜6の低級アルキルカルボニル基、−(CH2)mCOORa(式中、mは1〜6の整数を表し、Raは水素原子または炭素数1〜6の低級アルキル基を表す)、−CO(CH2)nCOOH(式中、nは1〜6の整数を表す)、イソニコチノイル基、ピコリノイル基またはニコチノイル基を表し、R3はハロゲン原子を表し、R4は−CHOまたは−COOHを表す)
で示される化合物の1種または2種以上を有効成分として使用する。
【選択図】なし
【解決手段】 一般式(I)
【化1】
(式中、R1は水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基または炭素数1〜6の低級アルキルカルボニル基を表し、R2は水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基、炭素数1〜6の低級アルキルカルボニル基、−(CH2)mCOORa(式中、mは1〜6の整数を表し、Raは水素原子または炭素数1〜6の低級アルキル基を表す)、−CO(CH2)nCOOH(式中、nは1〜6の整数を表す)、イソニコチノイル基、ピコリノイル基またはニコチノイル基を表し、R3はハロゲン原子を表し、R4は−CHOまたは−COOHを表す)
で示される化合物の1種または2種以上を有効成分として使用する。
【選択図】なし
Description
本発明はアスコクロリン系化合物を有効成分とする免疫抑制用薬剤組成物、免疫抑制用薬剤組成物を製造におけるアスコクロリン系化合物の使用、アスコクロリン系化合物を含む免疫抑制用薬剤組成物のキット、並びに臓器移植、骨髄移植または組織移植におけるアスコクロリン系化合物を使用する免疫抑制方法に関する。
免疫抑制用薬剤組成物は同種組織の移植による免疫拒絶反応を抑制するほか、アレルギー疾患の治療にも使用される薬剤である。免疫抑制用薬剤組成物としては、6−メルカプトプリンとその誘導体、葉酸拮抗剤、アルキル化剤、ステロイドなどがある。免疫抑制用薬剤組成物は抗体産生の抑制のほかその作用機作は複雑であるとされている。
現在の臓器移植、骨髄移植、組織移植においてシクロスポリンA(cyclosporin A;以下、「CsA」と略す)およびFK506は、欠くことのできない臨床医薬となっている。
現在の臓器移植、骨髄移植、組織移植においてシクロスポリンA(cyclosporin A;以下、「CsA」と略す)およびFK506は、欠くことのできない臨床医薬となっている。
しかしながら、CsA等の従来の免疫抑制用薬剤組成物は症例によっては抵抗性を示したり、種々の重篤な副作用(皮膚障害、胃腸障害、肝障害、腎障害、口内炎、等)を惹起する等の問題点があった。
本発明は、CsAやFK506など従来の免疫抑制用薬剤組成物とは作用メカニズムが異なり、副作用の少ない免疫抑制用薬剤組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、4−O−メチルアスコクロリン等のアスコクロリン系化合物に着目した。4−O−メチルアスコクロリン(以下、「MAC」と略す)は、不完全糸状菌Ascochyta viciae が生産するイソプレノイド系抗生物質アスコクロリン(ascochlorin)の合成誘導体で、下記式で示されるように、塩素原子を含むプレニルフェノール骨格というユニークな基本構造を持つ(非特許文献1を参照)。
これまでに、アスコクロリンの誘導体に関しては製法ならびに血糖低下作用(特許文献1及び2)、グリケイション阻害作用(特許文献3)が開示されている。更に、アスコクロリン誘導体をトリパノゾーマを病原体とするアフリカ睡眠病、家畜トリパノゾーマ病の予防薬・治療薬として使用することが提案されている(特許文献4)。
他方、MACは経口投与により脂質低下作用を示し、高脂血症治療薬としての臨床開発が進められている(非特許文献2〜5を参照)。
MACの免疫抑制効果について検討したところ、マウスアロ抗原免疫によるキラーT細胞の誘導を、従来より臓器移植に臨床的に用いられているCsAと同程度に強く抑制し、異種同系マウスの皮膚移植モデルで有意な移植片の生着延長効果を有することを見いだした。本発明者らはかかる知見に基づいて本発明を完成した。
Tamura, G., Suzuki, S., Takatsuki, A., Ando, K., and Arima, K. (1968) J.Antibiot. 21, 539-544. 特許第1556883号公報
特許第1643307号公報
特開平4−242051号公報
特開平9−16533号公報
Hosokawa, T., Sawada, M., Ando, K., and Tamura, G.(1980) Agr. Biol. Chem. 44, 2461-2468.
Hosokawa, T., Sawada, M., Ando, K., and Tamura, G.(1981) Lipids 16, 433-438.
Hosokawa, T., Ando, K., and Tamura, G. (1982) Agr. Biol. Chem. 46, 775-781.
Hosokawa, T., Okutomi, T., Sawada, M., Ando, K., and Tamura, G. (1981) Eur.J. Pharmacol. 69, 429-438.
他方、MACは経口投与により脂質低下作用を示し、高脂血症治療薬としての臨床開発が進められている(非特許文献2〜5を参照)。
MACの免疫抑制効果について検討したところ、マウスアロ抗原免疫によるキラーT細胞の誘導を、従来より臓器移植に臨床的に用いられているCsAと同程度に強く抑制し、異種同系マウスの皮膚移植モデルで有意な移植片の生着延長効果を有することを見いだした。本発明者らはかかる知見に基づいて本発明を完成した。
Tamura, G., Suzuki, S., Takatsuki, A., Ando, K., and Arima, K. (1968) J.Antibiot. 21, 539-544.
すなわち、本発明は
一般式(I)
(式中、R1は水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基または炭素数1〜6の低級アルキルカルボニル基を表し、R2は水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基、炭素数1〜6の低級アルキルカルボニル基、−(CH2)mCOORa(式中、mは1〜6の整数を表し、Raは水素原子または炭素数1〜6の低級アルキル基を表す)、−CO(CH2)nCOOH(式中、nは1〜6の整数を表す)、イソニコチノイル基、ピコリノイル基またはニコチノイル基を表し、R3はハロゲン原子を表し、R4は−CHOまたは−COOHを表す)
で示される化合物の1種または2種以上を有効成分として含む免疫抑制用薬剤組成物を提供する。
なお、本発明の免疫抑制用薬剤組成物は、上記一般式(I)で示される化合物以外の他の免疫抑制剤をさらに含むことができる。
一般式(I)
で示される化合物の1種または2種以上を有効成分として含む免疫抑制用薬剤組成物を提供する。
なお、本発明の免疫抑制用薬剤組成物は、上記一般式(I)で示される化合物以外の他の免疫抑制剤をさらに含むことができる。
また、本発明は、免疫抑制用薬剤組成物の製造における一般式(I)
(式中、R1は水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基または炭素数1〜6の低級アルキルカルボニル基を表し、R2は水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基、炭素数1〜6の低級アルキルカルボニル基、−(CH2)mCOORa(式中、mは1〜6の整数を表し、Raは水素原子または炭素数1〜6の低級アルキル基を表す)、−CO(CH2)nCOOH(式中、nは1〜6の整数を表す)、イソニコチノイル基、ピコリノイル基またはニコチノイル基を表し、R3はハロゲン原子を表し、R4は−CHOまたは−COOHを表す)
で示される化合物の1種または2種以上の使用を提供する。
なお、本発明の免疫抑制用薬剤組成物の製造においては、上記一般式(I)で示される化合物以外の他の免疫抑制剤をさらに使用することができる。
で示される化合物の1種または2種以上の使用を提供する。
なお、本発明の免疫抑制用薬剤組成物の製造においては、上記一般式(I)で示される化合物以外の他の免疫抑制剤をさらに使用することができる。
さらに、本発明は、一般式(I)
(式中、R1は水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基または炭素数1〜6の低級アルキルカルボニル基を表し、R2は水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基、炭素数1〜6の低級アルキルカルボニル基、−(CH2)mCOORa(式中、mは1〜6の整数を表し、Raは水素原子または炭素数1〜6の低級アルキル基を表す)、−CO(CH2)nCOOH(式中、nは1〜6の整数を表す)、イソニコチノイル基、ピコリノイル基またはニコチノイル基を表し、R3はハロゲン原子を表し、R4は−CHOまたは−COOHを表す)
で示される化合物の1種または2種以上、及び使用説明書を含む免疫抑制用薬剤組成物のキットを提供する。
なお、本発明のキットは、上記一般式(I)で示される化合物以外の他の免疫抑制剤を更に含むことができる。
で示される化合物の1種または2種以上、及び使用説明書を含む免疫抑制用薬剤組成物のキットを提供する。
なお、本発明のキットは、上記一般式(I)で示される化合物以外の他の免疫抑制剤を更に含むことができる。
加えて、本発明は、臓器移植、骨髄移植または組織移植に際して、有効量の一般式(I)
(式中、R1は水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基または炭素数1〜6の低級アルキルカルボニル基を表し、R2は水素原子、炭素数1〜6の低級アルキル基、炭素数1〜6の低級アルキルカルボニル基、−(CH2)mCOORa(式中、mは1〜6の整数を表し、Raは水素原子または炭素数1〜6の低級アルキル基を表す)、−CO(CH2)nCOOH(式中、nは1〜6の整数を表す)、イソニコチノイル基、ピコリノイル基またはニコチノイル基を表し、R3はハロゲン原子を表し、R4は−CHOまたは−COOHを表す)
で示される化合物の1種または2種以上を、投与を必要とする患者に投与することを含む患者の免疫抑制方法を提供する。
なお、本発明の免疫抑制方法においては上記一般式(I)で示される化合物以外に他の免疫抑制剤を同時にまたは経時的に併用することもできる。
で示される化合物の1種または2種以上を、投与を必要とする患者に投与することを含む患者の免疫抑制方法を提供する。
なお、本発明の免疫抑制方法においては上記一般式(I)で示される化合物以外に他の免疫抑制剤を同時にまたは経時的に併用することもできる。
本発明のアスコクロリン系化合物は、CsAやFK506のような従来の免疫抑制剤と作用点を異にするため、これらの薬剤と併用することによってより高い免疫抑制作用を引き出すことや、これらの薬剤に対して抵抗性を示す症例に対して有効であるという利点がる。
本発明において、炭素数1〜6の低級アルキル基は、非置換または1つ若しくは2つ以上の置換基を有する直鎖または分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基であって、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられる。上記炭素数1〜6の低級アルキル基上の置換基の例としては、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、カルボキシル基、アルデヒド基などが挙げられる。
本発明において、炭素数1〜6の低級アルキルカルボニル基とは、炭素数1〜6の低級アルキル基がカルボニルの炭素原子に結合した基を意味し、炭素数1〜6の低級アルキル基は上記と同じ意味を有する。
本発明において、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味し、特に塩素原子が好ましい。
本発明において、炭素数1〜6の低級アルキルカルボニル基とは、炭素数1〜6の低級アルキル基がカルボニルの炭素原子に結合した基を意味し、炭素数1〜6の低級アルキル基は上記と同じ意味を有する。
本発明において、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味し、特に塩素原子が好ましい。
本発明の免疫抑制用薬剤組成物において用いられるアスコクロリン系化合物は上記一般式(I)で定義される化合物であれば特に限定されないが、以下にいくつかの化合物を例示する。
本発明において使用されるアスコフラノンには、光学異性体が存在するが、それぞれの光学異性体、およびそれらの混合物は全て本発明に含まれる。本発明の薬剤組成物としてはいずれを用いてもよい。
インドール骨格を持つアルカロイドおよびアスコフラノンを含む本発明の薬剤組成物は、1種もしくはそれ以上の薬剤学的に許容し得る担体を含む薬剤組成物として、目的とする投与経路に応じ、適当な任意の形態にして投与することができる。投与経路は非経口的経路であっても経口的経路であってもよい。
本発明で使用する担体としては、医薬品製造の技術分野で周知である任意の添加剤を使用することができる。そのような担体として、賦形剤、希釈剤、湿潤剤、懸濁剤、乳化剤、分散剤、補助剤、甘味剤、着色剤、風味剤、緩衝剤、防腐剤、保存剤、緩衝剤、結合剤、安定化剤等が例示され、目的とする剤形に応じて周知慣用の担体から必要なものを選択することができる。なお、賦形剤または補助剤としては、例えば、乳糖、種々のデンプン(例えば、トウモロコシデンプン)、ブドウ糖、スクロース、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸塩、タルク、植物油(例えば、大豆油、ラッカセイ油。オリーブ油)、レシチン等が挙げられる。
本発明で使用する担体としては、医薬品製造の技術分野で周知である任意の添加剤を使用することができる。そのような担体として、賦形剤、希釈剤、湿潤剤、懸濁剤、乳化剤、分散剤、補助剤、甘味剤、着色剤、風味剤、緩衝剤、防腐剤、保存剤、緩衝剤、結合剤、安定化剤等が例示され、目的とする剤形に応じて周知慣用の担体から必要なものを選択することができる。なお、賦形剤または補助剤としては、例えば、乳糖、種々のデンプン(例えば、トウモロコシデンプン)、ブドウ糖、スクロース、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸塩、タルク、植物油(例えば、大豆油、ラッカセイ油。オリーブ油)、レシチン等が挙げられる。
本発明の薬剤組成物は、一般的に、経口で、例えば、錠剤、カプセル剤、液剤の形態で投与することができる。あるいは、吸入剤、皮膚への塗り薬、しかし、投与は直腸から、例えば、座薬として投与して投与してもよい。さらに、非経口で、例えば、注射剤として投与してもよい。インドール骨格を持つアルカロイドおよびアスコフラノンの投与は、これらの活性物質を、錠剤やカプセル剤などの単一の投与剤形中に混在して含有する製剤の形態または各成分が異なる層に存在する多層状の製剤の形態で行うことができる。あるいは、これらの活性物質を別々に、単位投与形態の組合せ製剤として、同時にまたは時間差をおいて投与することも可能である。
本発明化合物の投与量は、対象となる患者(ヒト)またはヒト以外の動物の体型、年齢、体調、疾患の度合い、発症後の経過時間等により、適宜選択することができる。例えば、ヒトに対する経口投与の場合の体重1kg当りの1日量は、0.1〜50mg/kg/dayである。また、非経口投与(静注、筋注、皮下注、腹腔内投与等)の場合には、0.05〜25mg/kg/dayの用量で使用される。さらに、座薬の場合には、0.05〜25mg/kg/dayの用量で使用される。
本発明の免疫抑制用薬剤組成物のキットは一般式(I)で示される化合物の1種または2種以上、及び使用説明書を含むキットである。
本発明化合物の投与量は、対象となる患者(ヒト)またはヒト以外の動物の体型、年齢、体調、疾患の度合い、発症後の経過時間等により、適宜選択することができる。例えば、ヒトに対する経口投与の場合の体重1kg当りの1日量は、0.1〜50mg/kg/dayである。また、非経口投与(静注、筋注、皮下注、腹腔内投与等)の場合には、0.05〜25mg/kg/dayの用量で使用される。さらに、座薬の場合には、0.05〜25mg/kg/dayの用量で使用される。
本発明の免疫抑制用薬剤組成物のキットは一般式(I)で示される化合物の1種または2種以上、及び使用説明書を含むキットである。
以下に実施例によって本発明をより詳しく説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に何ら限定されない。
「実施例1」
MACの免疫抑制効果を検討するために、C57BL/6マウス(H−2b)にアロ抗原として肥満細胞腫P815(H−2d)を1匹あたり2×107個腹腔内投与した後、MACあるいはCsAを腹腔内に連日投与し、10日目に脾臓を摘出し、抗原として用いた細胞であるP815を標的細胞としてキラー丁細胞による特異的細胞傷害活性を、YAC−1細胞を用いてNK活性をCr release assayで測定した(表1)。
MACの免疫抑制効果を検討するために、C57BL/6マウス(H−2b)にアロ抗原として肥満細胞腫P815(H−2d)を1匹あたり2×107個腹腔内投与した後、MACあるいはCsAを腹腔内に連日投与し、10日目に脾臓を摘出し、抗原として用いた細胞であるP815を標的細胞としてキラー丁細胞による特異的細胞傷害活性を、YAC−1細胞を用いてNK活性をCr release assayで測定した(表1)。
その結果、MACは50mg/kgから12.5mg/kgの投与量においてアロ抗原免疫によりて亢進した特異的キラーT細胞による細胞傷害活性を60mg/kgのCsAに匹敵する強さで抑制した。この時、非特異的細胞傷害活性を同系マウス由来の胸腺腫細胞EL−4を標的として測定したが、細胞傷害活性は全く認められなかった。このことは、この実験系ではアロ抗原によって誘導された特異的キラーT細胞活性を特異的に検出していることを示している。また同時に脾臓のNK活性に対する影響をYAC−1細胞を用いて検討した。NK活性もアロ抗原免疫により有意に上昇してくるが、MACはこの細胞傷害活性を25−50mg/kgの投与量において有意に抑制し、この効果はCsAの抑制効果を上回るものであった。
そこで次にマウス異種同系皮膚を用いた皮膚移植実験によりその免疫抑制効果を検討した。Balb/cマウス(H−2d)の左側腹部にB6マウス(H−2b)の尾部皮膚を移植し、MACあるいはCsAを移植の翌日から腹腔内に連日投与し、移植片の生着日数を測定した(表2)。
そこで次にマウス異種同系皮膚を用いた皮膚移植実験によりその免疫抑制効果を検討した。Balb/cマウス(H−2d)の左側腹部にB6マウス(H−2b)の尾部皮膚を移植し、MACあるいはCsAを移植の翌日から腹腔内に連日投与し、移植片の生着日数を測定した(表2)。
この系における拒絶反応は極めて強力であり、無処理群では移植した皮膚は7−8日で完全に脱落する。この時MACを投与すると、CsAの抑制効果には劣るものの、50mg/kgの投与量により有意に移植片の生着の延長効果が認められた。この時のキラーT細胞の誘導に対する影響を検討するため、10日目に脾臓を摘出し、移植皮膚片に由来するEL−4(H−2b)を標的細胞としてキラー丁細胞による特異的細胞傷害活性を、YAC−1細胞を用いてNK活性をCr release assayで測定した(表3)。
その結果、MACは25から50mg/kgの投与量において同種異系マウス皮膚移植によって亢進した特異的キラーT細胞による細胞傷害活性を60mg/kgのCsAに匹敵する強さで有意に抑制した。非特異的細胞傷害活性は同系マウス由来のP815を標的細胞として測定したが、細胞傷害活性は殆ど認められなかった。YAC−1細胞を用いて検討した脾臓のNK活性は同種異系マウス皮膚移植によりわずかに上昇してくるが、MACはこの細胞傷害活性を25−50mg/kgの投与量において有意に抑制した。
以上の結果はMACがCsAに匹敵する免疫抑制用薬剤組成物として臨床的に用いることが可能であることを示している。CsAおよび、その作用点を一にするFK506は現在の臓器移植、骨髄移植において欠くことのできない臨床医薬となっている。MACはこれらの薬剤と同様に臓器移植や骨髄移植における免疫抑制用薬剤組成物として用いること可能である。またMACの作用点はこれらの薬剤とは異なり、アポトーシスの誘導にあると考えられるため、これらの薬剤と併用することにより、より高い免疫抑制作用を引き出すことや、これらの薬剤に対して抵抗性を示す症例に対して有効性を示す可能性が期待できる。さらに、FK506が臓器移植における免疫抑制用薬剤組成物としてのみならず、アトピー性皮膚炎のような疾患に応用されているがごとく、MACにおいても他のT細胞の関与する免疫系の異常亢進を原因とする疾患にも適用できると考えられる。このような疾患とは、アトピー性皮膚炎や喘息に代表される外来抗原に対する過敏症やリューマチや膠原病、I型糖尿病に代表される自己抗原に対する自己免疫疾患である。以上のように、MACを幅広い適用範囲を持つ免疫抑制用薬剤組成物として臨床的に応用できる新規化合物として応用することが本発明の内容となる。
以上の結果はMACがCsAに匹敵する免疫抑制用薬剤組成物として臨床的に用いることが可能であることを示している。CsAおよび、その作用点を一にするFK506は現在の臓器移植、骨髄移植において欠くことのできない臨床医薬となっている。MACはこれらの薬剤と同様に臓器移植や骨髄移植における免疫抑制用薬剤組成物として用いること可能である。またMACの作用点はこれらの薬剤とは異なり、アポトーシスの誘導にあると考えられるため、これらの薬剤と併用することにより、より高い免疫抑制作用を引き出すことや、これらの薬剤に対して抵抗性を示す症例に対して有効性を示す可能性が期待できる。さらに、FK506が臓器移植における免疫抑制用薬剤組成物としてのみならず、アトピー性皮膚炎のような疾患に応用されているがごとく、MACにおいても他のT細胞の関与する免疫系の異常亢進を原因とする疾患にも適用できると考えられる。このような疾患とは、アトピー性皮膚炎や喘息に代表される外来抗原に対する過敏症やリューマチや膠原病、I型糖尿病に代表される自己抗原に対する自己免疫疾患である。以上のように、MACを幅広い適用範囲を持つ免疫抑制用薬剤組成物として臨床的に応用できる新規化合物として応用することが本発明の内容となる。
本発明のアスコクロリン系化合物は、CsAやFK506のような従来の免疫抑制剤と作用点を異にするため、これらの薬剤と併用することによってより高い免疫抑制作用を引き出すための、あるいは、これらの薬剤に対して抵抗性を示す症例に適用するための新たな免疫抑制剤としての用途が期待できる。
Claims (3)
- 一般式(I)
で示される化合物の1種または2種以上を有効成分として含む免疫抑制用薬剤組成物。 - 有効成分が4−O−メチルアスコクロリンである、請求項1記載の免疫抑制用薬剤組成物。
- 他の免疫抑制剤を更に含む、請求項1または2記載の免疫抑制用薬剤組成物。
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