JP2005126319A - 酸化チタン粉末 - Google Patents

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Abstract

【課題】 より粒径が小さくかつ粒度分布が狭く、高比表面積であり、かつルチル化率の高い酸化チタン粉末を提供すること。
【解決手段】 ルチル化率が80%以上であって、BET比表面積が30m/g以上である酸化チタン粉末。
【選択図】 なし

Description

本発明は比表面積が大きくかつルチル化率の高いルチル型の酸化チタン粉末に関し、具体的には、電子材料、紫外線遮蔽材料、光触媒材料、ディスプレイの反射防止膜、プラズマディスプレイなどの基盤用隔壁に用いるガラス材のフィラー材、または各種触媒の担体などに適した屈折率の高い酸化チタン粉末に関する。
酸化チタン粉末は、白色顔料として古くから利用されており、近年は化粧品などの紫外線遮蔽材料、光触媒、コンデンサ、サーミスタの構成材料あるいはまたチタン酸バリウムの原料等電子材料に用いられる焼結材料に広く利用されている。また、酸化チタンは可視光付近の波長領域において大きな屈折率を示すため、可視光領域では殆ど光吸収は起こらない。このことから最近化粧料、医薬あるいは塗料等の紫外線遮蔽が要求されるような材料や、液晶ディスプレイ表示部やプラスティックレンズなどの反射防止膜として利用されている。反射防止膜は通常フッ素樹脂、シリコーン系樹脂などの低屈折率の樹脂などで形成される層と、高屈折率層を交互に重ねたものであり、酸化チタンはこの反射防止膜の高屈折率層の材料として用いられている。さらに最近需要の増えているプラズマディスプレイにおいては、その輝度を向上させるため、基盤用隔壁に用いられるガラス材に酸化チタンを被覆して反射率の改善を図ったり、ガラス材にルチル型酸化チタン粉末を配合して屈折率の改善を図ったりしている。
なお、ルチル型酸化チタンは、アナターゼ型酸化チタンに比べ、紫外線遮蔽効果や高屈折率などの光学的特性や高誘電特性などの電気特性において優れた性能を発揮することが知られている。
酸化チタンの膜を形成するには、従来様々な方法が検討されている。例えば、基板表面に酸化チタンの薄膜を形成させる方法としては、蒸着法、CVD法、スパッタ法などのドライ法、ゾル−ゲル法、メッキ法、電解重合法などのウェット法が知られている。しかしながらこれらの方法においてルチル型酸化チタン膜を形成するためには、酸化チタン膜を形成した後600℃以上に加熱処理する必要があり、このため用いられる基材がガラス、セラミックスあるいは金属などの無機材料に限られ、その用途が限定されていた。そのためルチル型などの結晶性を持つ酸化チタン粉末をペーストなどの分散液とし、これを基材に塗布して膜を形成することも検討されている。しかしこのような酸化チタン粉末の塗布による方法において、膜の透明性を確保するために粒径をより小さくする必要がある。しかしながら従来の気相法や液相法を用いてより粒径の小さい酸化チタン粉末を製造しようとした場合、得られる酸化チタンの結晶型はルチル型にはならず、アモルファスあるいはアナターゼ型を相当量含むものであった。ルチル型に変換するためには更にこれらの酸化チタンを加熱処理することが必要であり、この加熱処理によって粒子の凝集が生じ、結果として微粒子を維持したままルチル型の酸化チタン粉末を得ることは困難であった。
微粒子のルチル型酸化チタンを得る方法としては、特開平7−291629号公報に、超微粒子状アモルファス酸化チタンを、無機酸水溶液中で熟成させることにより超微粒子状ルチル型酸化チタンに変換する方法が開示されている。具体的には、有機チタン化合物や四塩化チタンから生成したアモルファス酸化チタンを塩酸水溶液や硫酸水溶液中で72〜2400時間熟成させた後、洗浄し乾燥させてルチル型酸化チタン微粒子を得るものである。
特開平7−291629号公報(特許請求の範囲、実施例)
特開平7−291629号公報記載の方法によれば、得られた酸化チタン微粒子中にはルチル型結晶は含まれるものの、全体のルチル化率は必ずしも高くなく、より一層の改善が望まれていた。また、このような方法では、製造に長時間を要し、また工程も煩雑であり生産性が低く、実際に工業的には採用し難いという問題がある。
また、比表面積が比較的大きい微粒子の酸化チタン粉末は従来から知られているものの、これらの酸化チタン粉末はルチル型とアナターゼ型の混合物であって、比表面積が30m/g以上の場合にはルチル含有率(またはルチル化率)は約70%以下であった。このように通常酸化チタン粉末はルチルとアナターゼの混合体であるため、粒度分布が比較的広いものであった。
一方、積層セラミックコンデンサの誘電体材料に用いられるチタン酸バリウムなどの原料に酸化チタン粉末が用いられる場合、誘電体粉末の粒径および粒度分布は、使用する酸化チタンの粒度また粒度分布に依存することが知られている。近年の小型化、高容量化のため、積層セラミックコンデンサの積層数は年々増加し、誘電体層および電極層は薄層化している。したがって、用いられる酸化チタン粉末は、より粒径が小さくかつ粒度分布の狭い粉末が要求されている。また、粉末の溶媒に対する分散性も重要であり、この点からも粒度分布の狭い粉末が要求されている。
従って、本発明の目的は、より粒径が小さくかつ粒度分布が狭く、高比表面積であり、かつルチル化率の高い酸化チタン粉末を提供することにある。
本発明者は、上記従来技術に残された課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、より粒径が小さくかつ粒度分布が狭く、高比表面積であり、かつルチル化率の高い酸化チタン粉末を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の酸化チタン粉末は、ルチル化率が80%以上であって、BET比表面積が30m/g以上である。
本発明の酸化チタン粉末は、従来のものとは異なり、ルチル化率が高いにも拘わらずBET比表面積が大きく、チタン酸バリウムなどの電子材料、紫外線遮蔽材料、光触媒材料、反射防止膜や高反射率が要求されるプラズマディスプレイなどのガラス基材へのコート材やフィラー材として有効である。
本発明の酸化チタン粉末において、ルチル化率は80%以上100%以下、好ましくは85%以上100%以下、より好ましくは90%以上100%以下である。ルチル化率がこのような高い範囲であれば、例えば紫外線遮蔽効果や高屈折率などの光学的特性や高誘電特性などの電気特性において優れた性能を発揮する。
ここで、ルチル化率の測定方法は、ASTM D3720−84の方法に従いX線回折測定を行い、ルチル型結晶酸化チタンの最強回折線(面指数110)のピーク面積(Ir)と、アナターゼ型結晶酸化チタンの最強回折線(面指数101)のピーク面積(Ia)を求め、次式により算出して求められる。
ルチル化率(重量%)=100−100/(1+1.2×Ir/Ia)
式中、ピーク面積(Ir)及びピーク面積(Ia)は、X線回折スペクトルの該当回折線におけるベースラインから突出した部分の面積をいい、その算出方法は公知の方法で行えばよく、例えば、コンピュータ計算、近似三角形化などの手法により求められる。
また本発明の酸化チタン粉末において、BET比表面積は30m/g以上100m/g以下、好ましくは33m/g以上100m/g以下、より好ましくは35m/g以上100m/g以下である。BET比表面積が30m/g以上であれば、酸化チタン粉末の粒径が小さいものが得られる。
また当該酸化チタン粉末において、平均粒径は特に制限されないが、SEM写真での画像解析による平均粒径で100nm以下、好ましくは5〜70nmである。酸化チタン粉末の粒径がこのように小さければ、例えば積層セラミックコンデンサの積層数が増加し、誘電体層および電極層が薄層化しても対応できる。
さらに、本発明の酸化チタン粉末は不純物のきわめて少ない高純度であることが望ましく、酸化チタン粉末中に含まれるFe、Al、SiおよびNaが各々100ppm未満でありかつClが1000ppm未満である。望ましくはFe、Al、SiおよびNaが各々20ppm未満であり、Clが500ppm未満、さらに望ましくは50ppm未満である。
以上のように本発明の酸化チタン粉末は、比表面積が大きく微粒子であるにもかかわらずルチル化率は非常に高く、さらに高純度であるので、チタン酸バリウムなどの電子材料用に用いた場合、誘電特性などの電気特性に優れるという利点を有する。
本発明の酸化チタン粉末を製造する方法としては、特に制限されないが、例えば、四塩化チタンを気相中で酸素と接触させ酸化させる気相酸化法、燃焼して水を生成する水素ガス等の可燃性ガスと酸素を燃焼バーナーに供給し火炎を形成し、この中に四塩化チタンを導入する火炎加水分解法などの気相法、および四塩化チタン、アルコキシチタンまたは硫酸チタニルなどを液相状態下で反応させて酸化チタンを得る液相法が挙げられる。これらの製法のなかでも、特に四塩化チタンを気相状態下で加水分解あるいは酸化反応させる気相法が本発明の高いルチル化率かつ高い比表面積を有する酸化チタン粉末を効率よく製造できる面で有利である。また、気相法は四塩化チタンを水素、酸素あるいは水蒸気と接触させ反応させるので、液相法で得られる酸化チタンのような不純物元素が混入また残留することがない。
以下、本発明の酸化チタン粉末を気相法において製造する方法について詳しく説明する。
当該製造方法は、四塩化チタンを気相中で加水分解あるいは酸化させる方法であって、具体的には四塩化チタン蒸気を、水素ガス、酸素ガスおよび水蒸気を気相状態下で接触させ反応させる。このとき、四塩化チタンガスの反応部への供給量に対し、水蒸気の供給量を、四塩化チタンをすべて酸化する化学当量以上とすることをことが望ましい。水蒸気の供給量が、四塩化チタンをすべて酸化する化学当量未満であると、酸化チタンの生成反応が均一に行われないため、生成した酸化チタンの結晶制御ができず、高比表面積でルチル化率の高い酸化チタン粉末や、高比表面積でアナターゼ型の酸化チタン粉末を得ることは難しい。
ここで、四塩化チタンをすべて酸化する化学当量とは、四塩化チタンを水蒸気のみで反応させる場合の水蒸気の化学当量を意味し、つまり四塩化チタン1モルに対して水蒸気(水)を2モルである。本発明の方法において、水蒸気は四塩化チタンに対して過剰、具体的には供給ガスを標準状態としたときガスの容量で四塩化チタンガスの10倍以上、好ましくは100倍以上の水蒸気を供給し反応させる。また、酸素の供給量についても、四塩化チタンをすべて酸化する化学当量以上(四塩化チタン1モルに対して酸素1モル)が好ましく、具体的には供給ガスを標準状態としたときガスの容量で四塩化チタンガスの10倍以上の酸素を供給し反応させる。
上記各成分の反応部への供給量比であるが、各供給ガスが標準状態としたとき四塩化チタン1l(ガス)に対する水素ガス、酸素ガスおよび水蒸気の供給量は表1のとおりである。
Figure 2005126319
上記各原料ガスの供給量は、反応スケールあるいは各ガスを供給するノズル径等により異なるので適宜設定するが、反応部での各ガス、特に四塩化チタンガスの供給速度は乱流域になるように設定することが望ましい。また、供給する上記の各成分をアルゴンや窒素のごとき不活性ガスで希釈し反応部に供給し反応させることもできる。
また、上記の四塩化チタンガス、酸素ガス、水素ガス及び水蒸気を反応部に供給する際に、予め加熱して供給して反応させることが望ましく、具体的には700〜1000℃、好ましくは750〜950℃に加熱する。
次いで反応させ酸化チタン粉末を生成させるが、このような酸化チタン粉末を気相反応で形成するためには、酸化チタンが生成する温度以上であり、好ましくは酸化チタンの結晶構造がルチル型に転移する温度より高い温度で反応を行う必要がある。具体的には、900℃以下、好ましくは400〜900℃、特に好ましくは450〜850℃である。
上記のように各成分を反応させ酸化チタン粉末を生成させた後、生成粒子の凝集を防ぐために、少なくとも酸化チタン粒子が焼成する温度以下、具体的には300℃未満まで可及的速やかに冷却を行う。
上記のように得られた酸化チタン粉末は、その後粉末に含まれる塩化水素などの塩素分を加熱処理などにより除去し、必要に応じて分級あるいは篩分を行う。
以下本発明の酸化チタン粉末を製造する具体的なプロセスの一例を示す。先ず、液状の四塩化チタンを予め800〜900℃に加熱し、気化させ、必要に応じて窒素ガスで希釈し反応炉に導入する。四塩化チタンの導入と同時に、予め800〜900℃加熱した酸素ガス、水素ガスおよび水蒸気を必要に応じて窒素ガスで希釈して反応炉に導入し、酸化反応を行うが反応温度は通常700〜900℃、好ましくは750〜900℃である。本発明の酸化チタン粉末を得るためにはこのように比較的低温で酸化反応を行うことが望ましい。生成した酸化チタン粉末を冷却部に導入し、空気などの冷却ガスを酸化チタン粉末に接触させ、酸化チタン粉末を300℃以下に冷却する。その後生成した酸化チタン粉末を捕集し、酸化チタン粉末中に残留する塩素分を、真空加熱、空気あるいは窒素ガス雰囲気中での加熱あるいはスチーム処理等の加熱処理あるいはアルコールとの接触処理により除去し、本発明の酸化チタン粉末を得ることができる。
気相法による酸化チタン粉末の製造において、上記のような条件で製造することによって、酸化チタン粉末を無機酸水溶液中で熟成するなどのアナターゼ型酸化チタンをルチル化する工程を別途行わなくとも、本発明の高いルチル化率で高い比表面積を有する酸化チタン粉末を効率よく製造することができる。
本発明の酸化チタン粉末は、チタン酸バリウムなどの電子材料、紫外線遮蔽材料、反射防止膜や高反射率が要求されるプラズマディスプレイなどのガラス基材へのコート材やフィラー材として有効である。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって本発明を制限するものではない。
(実施例1)
四塩化チタンを気相中で酸素ガス、水素ガスおよび水蒸気と接触させ酸化させる気相法により酸化チタン粉末を調製した。まず、多重管バーナーを上部に具備した内径400mmの気相反応管において、多重管バーナーに、800℃に予熱し気化させた四塩化チタンガスを窒素ガスで希釈して供給し、一方別の供給ノズルより800℃に予熱した水素ガス、酸素ガスおよび水蒸気を供給し、気相反応管内で800℃にて酸化反応させ、酸化チタン粉末を生成させた。このとき四塩化チタンは標準状態として500ml/分、酸素ガスは20l/分、水素ガスは20l/分、水蒸気は370l/分でそれぞれ供給した。その後、気相反応管の下部に位置する冷却部に室温の乾燥空気を800l/分で供給し、生成した酸化チタン粉末を冷却した。その後、得られた酸化チタン粉末を大気中で350℃〜400℃で10時間加熱処理した。このようにして得られた酸化チタン粉末について平均粒径、ルチル化率、比表面積、不純物の含量および粒度分布を測定し、その結果を表2に示した。なお、酸化チタン粉末の平均粒径、ルチル化率、比表面積、不純物の含量および粒度分布は以下の方法により測定した。
<平均粒径>
電子顕微鏡(SEM)により粉末を観察し、インターセプト法により測定した。なお、解析数は200個である。
<ルチル化率>
ASTM D 3720−84に従いX線回折パターンにおける、ルチル型結晶酸化チタンの最強干渉線(面指数110)のピーク面積(Ir)と、酸化チタン粉末の最強干渉線(面指数101)のピーク面積(Ia)を求め前述の算出式より求めた。なお、X線回折測定条件は下記の通りである。
<X線回折測定条件>
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
回折装置 RAD−1C(株式会社リガク製)
X線管球 Cu
管電圧・管電流 40kV、30mA
スリット DS−SS:1度、RS:0.15mm
モノクロメータ グラファイト
測定間隔 0.002度
計数方法 定時計数法
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<比表面積>
BET法により測定した。
<不純物の定量>
酸化チタン中のFe,Al,SiおよびNa成分については原子吸光法により測定した。酸化チタン中のCl成分については吸光光度法により測定した。
<粒度分布>
レーザー光散乱回折法粒度測定機(LA−700:堀場製作所)を用い、適量の酸化チタン粉末を純水に懸濁させてから超音波をかけて3分間分散させ、粒度を測定し、体積統計値の粒度分布を求めた。なお、粒度分布は、D90(積算粒度で90%の粒径(μm))、D50(積算粒度で50%の粒径(μm))、D10(積算粒度で10%の粒径(μm))を求め、粒度分布(SPAN)を下記式で算出した。
SPAN=(D90−D10)/D50
(実施例2)
四塩化チタンガス、水素ガス、酸素ガスおよび水蒸気予熱温度を850℃にした以外は実施例1と同様に酸化チタン粉末を製造した。得られた酸化チタン粒子の粒径、ルチル化率、比表面積、不純物の含量及び粒度分布を表2に示した。
(実施例3)
四塩化チタンガス、水素ガス、酸素ガスおよび水蒸気予熱温度を900℃にした以外は実施例1と同様に酸化チタン粉末を製造した。得られた酸化チタン粒子の粒径、ルチル化率、比表面積、不純物の含量及び粒度分布を表2に示した。
(実施例4)
水素ガスおよび酸素ガスの供給量をそれぞれ40l/分にした以外は実施例1と同様に酸化チタン粉末を製造した。得られた酸化チタン粒子の粒径、ルチル化率、比表面積、不純物の含量及び粒度分布を表2に示した。
(比較例1)
まず、多重管バーナーを上部に具備した内径400mmの気相反応管において、多重管バーナーに、1100℃に予熱し気化させた四塩化チタンガスを窒素ガスで希釈して供給し、一方別の供給ノズルより1000℃に予熱した酸素ガスと水蒸気の混合ガスを供給し、気相反応管内で1000℃にて酸化反応させ、酸化チタン粉末を生成させた。このとき四塩化チタンは標準状態として500ml/分、酸素ガスは340ml/分、水蒸気は850ml/分でそれぞれ供給した。その後、気相反応管の下部に位置する冷却部に室温の乾燥空気を800l/分で供給し、生成した酸化チタン粉末を冷却した。このようにして得られた酸化チタン粉末について平均粒径、ルチル化率、比表面積、不純物の含量及び粒度分布を測定し、その結果を表2に示した。
(比較例2)
まず、多重管バーナーを上部に具備した内径400mmの気相反応管において、多重管バーナーに、800℃に予熱し気化させた四塩化チタン及び水素ガスの混合ガスを供給し、一方別の供給ノズルより800℃に予熱した酸素ガスを供給し、気相反応管内で約1000℃にて酸化反応させ、酸化チタン粉末を生成させた。このとき四塩化チタンは60l/分、水素ガスは40l/分、酸素ガスは380l/分でそれぞれ供給した。その後、気相反応管の底部から空気を400l/分で挿入し、生成した酸化チタン粉末を冷却した。その後、得られた酸化チタン粉末を大気中で350℃〜400℃で10時間加熱処理した。このようにして得られた酸化チタン粉末について粒径、ルチル化率、比表面積、不純物の含量および粒度分布を測定し、その結果を表2に示した。
(比較例3)
まず、多重管バーナーを上部に具備した内径400mmの気相反応管において、多重管バーナーに、約800℃に予熱し気化させた四塩化チタンガスを供給し、一方別の供給ノズルより800℃に予熱した酸素ガス及び水蒸気を供給し、気相反応管内で約1000℃にて酸化反応させ、酸化チタン粉末を生成させた。このとき四塩化チタンは200l/分、酸素ガスは380l/分、水蒸気は170l/分でそれぞれ供給した。その後、気相反応管の底部から空気を100l/分で挿入し、生成した酸化チタン粉末を冷却した。その後、得られた酸化チタン粉末を大気中で350℃〜400℃で10時間加熱処理した。このようにして得られた酸化チタン粉末について粒径、ルチル化率、比表面積、不純物の含量および粒度分布を測定し、その結果を表2に示した。
Figure 2005126319
表2から明らかなように、実施例1〜4はいずれも、酸素ガスおよび水素ガスは四塩化チタンに対して少量であり、水蒸気は四塩化チタンに対して過剰に供給し800〜900℃で反応させるため、得られた酸化チタン粉末のルチル化率は89.5%以上と高くかつ比表面積34m/g以上と高かった。また、平均粒径は50nm以下と非常に微粒子にも拘わらず、狭い粒度分布を有しており、同時に溶媒中での分散性にも優れている。比較例1および3は、水素ガスの供給がなく、水蒸気量が過剰には供給されないため、比表面積は30m/g未満となり、粒度分布も広いものであった。また、比較例2は、水蒸気の供給がないため、比表面積が小さく、また粒度分布も広いものであった。
(実施例5〜8、及び比較例4〜6)
実施例1〜4および比較例1〜3で得られた酸化チタンと、炭酸バリウムを同モルづつ混合し、ボールミルで湿式粉砕した。次いで、濾過、乾燥した後、室温から1140℃まで昇温速度180℃/時間で加熱し、1140℃で2時間焼成し、チタン酸バリウム粉末を得た。得られたチタン酸バリウム粉末100モルに対し、酸化バリウム0.58モル、酸化カルシウム0.42モル、酸化マグネシウム2.00モル、酸化マンガン0.375モル、酸化珪素3.00モル、酸化ディスプロシウム2.13モル、酸化バナジウム0.050モル、酸化タンタル0.500モルのモル数で秤量し、これらの粉末をボールミルを用いて16時間湿式混合粉砕し、誘電体組成物を作製した。得られた各誘電体組成物粉末に、分散剤とバインダーとしてPVBを加え、更に分散媒としてセロソルブ系の有機溶剤を加え、ビーズミルにてスラリーを作製した。次いで、このスラリーをドクターブレード法にて製膜し、膜厚20μmのグリーンシートを作製した。このグリーンシートに、ニッケル粉ペーストを所定の印刷パターンで印刷し、内部電極とした。内部電極が印刷されたグリーンシートを、所定枚数トリミング積層し、その後、熱プレスすることでグリーン積層体を得た。このグリーン積層体を、大気雰囲気中350℃で脱バインダーの後、加湿された水素と窒素の混合ガスの中で、1300℃で2時間焼成し、次いで、1000℃で6時間、窒素雰囲気中でアニールした。この焼成体に、外部電極として銅ペーストを焼き付けて積層セラミックコンデンサを得た。得られた各積層セラミックコンデンサについて、LCRメーター(1kH、1V)により誘電率を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2005126319
表3から明らかなように、実施例5〜8の積層セラミックコンデンサは、本発明のルチル化率80%以上、BET比表面積30m/g以上の酸化チタン粉末(実施例1〜4)を使用して製造されたチタン酸バリウムを主原料として作製された積層セラミックコンデンサであり、比較例4〜6に比べて誘電率が高く、誘電特性に優れるものであった。


Claims (5)

  1. ルチル化率が80%以上であって、BET比表面積が30m/g以上である酸化チタン粉末。
  2. 前記ルチル化率が、85%以上である請求項1に記載の酸化チタン粉末。
  3. 前記酸化チタン粉末が、四塩化チタンの気相反応で得られる請求項1記載の酸化チタン粉末。
  4. 前記酸化チタン粉末が、四塩化チタン、酸素、水素及び水蒸気を気相状態下で反応して得られる請求項1に記載の酸化チタン粉末。
  5. 前記酸化チタン粉末が、四塩化チタン、酸素、水素及び水蒸気を予め加熱した後、気相状態下で反応して得られる請求項1に記載の酸化チタン粉末。
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