JP2001220141A - 酸化チタン分散体 - Google Patents

酸化チタン分散体

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JP2001220141A
JP2001220141A JP2000025861A JP2000025861A JP2001220141A JP 2001220141 A JP2001220141 A JP 2001220141A JP 2000025861 A JP2000025861 A JP 2000025861A JP 2000025861 A JP2000025861 A JP 2000025861A JP 2001220141 A JP2001220141 A JP 2001220141A
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Hideki Sakai
英樹 堺
Takuya Miyagi
卓也 宮城
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 異物質によるコーティングをすることなく、
また、金属塩の分散剤を使用することなく、高濃度に添
加しても均一分散が可能な酸化チタン分散体を提供する
こと。 【解決手段】 ペルオクソチタン酸含有分散媒に、酸化
チタン粉末を均一分散してなる酸化チタン分散体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶性セラミック
粉体などの電子材料、紫外線遮蔽材料、塗料、化粧料又
は光触媒等の用途に汎用的に利用しうる分散性に優れる
酸化チタン分散体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸化チタン粉末は、白色顔料として古く
から利用されており、近年はコンデンサ、サーミスタの
構成材料、またチタン酸バリウム等の結晶性セラミック
粉体の原料など、電子材料に用いられる焼結材料に広く
利用されている。また、酸化チタンは可視光付近の波長
領域において大きな屈折率を示すため、可視光領域では
殆ど光吸収は起こらない。このことから、最近化粧料、
医薬あるいは塗料等の紫外線遮蔽が要求されるような材
料にも広く使用されている。さらに、酸化チタンにその
バンドギャップ以上のエネルギーを持つ光を照射するこ
とによって酸化チタンが励起されて、伝導帯に電子また
価電帯に正孔が生じるが、この電子による還元力また正
孔による酸化力を利用した光触媒反応の用途開発が盛ん
に行われている。この酸化チタン光触媒の用途は非常に
多岐に渡っており、水の分解による水素の発生、排ガス
処理、空気清浄、防臭、殺菌、抗菌、水処理、照明機器
等の汚れ防止等、数多くの用途開発が行われている。
【0003】このように酸化チタンの用途は多岐に渡る
が、顔料、塗料あるいは焼結材料などに酸化チタン粉末
を利用する場合、水あるいは有機溶剤等に懸濁し分散さ
せて使用する場合が多く、その場合酸化チタン粉末の溶
媒への分散性が問題となる。具体的には、酸化チタン粉
末を溶媒に分散させた後、凝集し沈降してしまう。特に
1μm以下の超微粉酸化チタンを分散させた場合、含有
する酸化チタンの濃度を高めようとすると、その分散体
の粘度が高くなってしまうという問題があった。
【0004】また、光触媒用酸化チタンゾルにおいて
は、酸化チタン粒子の凝集を防止するために、ゾルある
いは水溶液のpHを酸性側に調製しなければならず、ゾ
ルから光触媒体を形成する際に、基材または用途に制限
があった。紫外線遮蔽材料用としての酸化チタン分散体
においては、酸化チタン粒子の凝集により、紫外線の遮
蔽特性が悪くなるという問題が生じる。
【0005】電子材料用酸化チタンにおいて、例えば誘
電体物質であるチタン酸バリウムは、酸化チタンと炭酸
バリウム等のバリウム化合物を原料として調製される
が、この際、酸化チタンは溶媒中に懸濁し分散し、バリ
ウム化合物と混合した後、焼結する。調製されるチタン
酸バリウムの粒度は、原料である酸化チタンの粒度に主
に依存するため、より微粒子のものを調製するために
は、より微粒子の原料である酸化チタンを用いなければ
ならず、近年の電子材料の超小型化に対応するため、1
μm 以下の超微粒子の酸化チタンが要求されている。し
かしながら、酸化チタンを微粒化するにともない、溶媒
への分散性が悪くなり、溶媒に懸濁した際、微粒子同士
の凝集が起こり、上記のようにチタン酸バリウムを調製
した際、微粒子の酸化チタンを用いたにも拘らず、逆に
粒径が大きくなってしまったり、さらに焼結した際、均
一に反応せず、生成物を分子レベルで見たときにチタン
とバリウムの分散が不均一であり、結果として電子材料
としての特性に悪影響を与えてしまう。
【0006】上記のような酸化チタン粉末の分散性の問
題を解決するために、シリカ、アルミナのような元来分
散性の高い疎水性物質を、酸化チタンの粒子表面にコー
ティングすることが試みられており、例えば特開平5−
281726号公報では、アルミニウム塩基性塩水溶液
を酸でpHを10.5〜12.0に調節し、これに二酸化チタンス
ラリーを混合し、次いでこれを酸にて中和し二酸化チタ
ン粒子表面に酸化アルミニウム水和物を均一に析出させ
る方法が開示されている。さらに、特開平7−2579
23号公報ではヘキサメタリン酸ナトリウムなどの縮合
リン酸塩を分散剤とした酸化チタンの水性分散体が開示
されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の酸化チタン粉末の分散性を向上させる方
法、または分散体は、酸化チタン粒子表面の異物質によ
るコーティングや金属塩の分散剤というような酸化チタ
ン以外の成分を用いるため、酸化チタン本来の特性が変
化したり、特に光触媒や電子材料にはその特性に悪影響
を及ぼすということで適用は難しい。
【0008】従って、本発明の目的は、異物質によるコ
ーティングをすることなく、また、金属塩の分散剤を使
用することなく、高濃度に添加しても均一分散が可能な
酸化チタン分散体を提供することにある。
【0009】
【発明を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは鋭意検討した結果、ペルオクソチタン酸含有
分散媒に酸化チタン粉末を添加し、高速攪拌により分散
させれば、添加濃度を高めても均一分散状態を保ち、粘
度もさほど上昇することがない高分散性の酸化チタン分
散体が得られること、更にこの酸化チタン粉末の水への
均一分散は中性領域で行えることなどを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、ペルオクソチタン酸
含有分散媒に、酸化チタン粉末を均一分散してなること
を特徴とする酸化チタン分散体を提供するものである。
【0011】また、本発明は、前記酸化チタン分散体か
ら形成されることを特徴とする酸化チタン膜を提供する
ものである。また、本発明は、ペルオクソチタン酸含有
分散媒に、酸化チタン粉末を添加し、次いで、該酸化チ
タンが添加された分散体を高速攪拌することを特徴とす
る酸化チタン分散体の製造方法を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる酸化チタンは
種々の方法によって製造し得る。例えば、(1)硫酸チ
タニル、硫酸チタンなどの含チタン溶液を加水分解させ
る方法、(2)チタンアルコキシドなどの有機チタン化
合物を加水分解させる方法、(3)三塩化チタンあるい
は四塩化チタンなどのハロゲン化チタン水溶液を中和又
は加水分解させる方法、(4)四塩化チタンを気相中で
酸素と接触させ酸化させる気相法、(5)燃焼して水を
生成する水素ガス等の可燃性ガスと酸素を燃焼バーナー
に供給し火炎を形成し、この中に四塩化チタンを導入す
る火炎加水分解法などの方法が挙げられる。このうち、
乾式法が低コストで、しかも所望の粒子特性を有する酸
化チタン粉末が得られる点で好ましい。
【0013】上記酸化チタンの製造方法のなかでも、よ
り高純度の酸化チタンまた低コストの酸化チタンを得る
方法としては、(4)の気相法、あるいは(5)の火炎
加水分解法などの四塩化チタンを気相において酸化する
方法(四塩化チタンの気相酸化法)が好ましく、該方法
は液相法で得られる酸化チタンのような不純物元素が混
入また残留することがなく、酸化チタン以外の他成分を
殆ど含有していない高純度の酸化チタン粉末であるの
で、電子材料、紫外線遮蔽材料あるいは光触媒に利用し
た際、酸化チタン本来の特性が変化せず優れた効果を得
ることができる。
【0014】前記(4)の気相法による酸化チタン粉末
について、その製造方法を具体的に説明する。先ず、液
状の四塩化チタンを予め加熱し、気化させ反応炉に導入
する。次に、四塩化チタンの導入と同時に、酸素ガスを
反応炉に導入し、酸化反応を行う。酸化反応温度として
は500〜1200℃、好ましくは600〜1100℃
である。また、酸化反応の際、反応炉中に、四塩化チタ
ン及び酸素ガスと共に水素ガスあるいは水蒸気を供給す
ることが、ルチル化率の制御できる点で好ましい。該酸
化反応により酸化チタン粉末を生成させ、その後、酸化
チタン粉末を冷却する。冷却方法としては、通常、冷却
ジャケットを具備した冷却槽などが用いられ、窒素ガス
等の不活性ガスを生成酸化チタン粉末と接触させながら
冷却する方法が挙げられる。その後、冷却された酸化チ
タン粉末を捕集し、酸化チタン粉末中に残留する塩素ガ
スを加熱処理により除去し、酸化チタン粉末を得ること
ができる。前記加熱処理としては、真空加熱処理、空気
あるいは窒素ガス雰囲気中での加熱又はスチーム処理等
が挙げられる。また、必要に応じて、生成酸化チタンを
分級処理してもよい。このようにして得られた酸化チタ
ンを粉砕処理あるいは解砕処理することも好ましい。粉
砕あるいは解砕方法としては、振動ミル、ボールミル、
ディスクミル、ターボミル、タワーミル、ペイントシェ
イカー、雷壊機、振動解砕機等が用いられる。
【0015】本発明で用いられる酸化チタン粉末の粒
径、比表面積などの粒子性状については、酸化チタン分
散体の用途により異なるため、特に制限されないが、平
均粒径は、好ましくは0.01〜5μm 、より好ましく
は0.05〜2μm 、さらに好ましくは0.1〜1μm
であり、比表面積は、好ましくは0.5〜100m2
g、より好ましくは1〜50m2/g 、さらに好ましくは
2〜30m2/g である。例えば、光触媒用及び電子材料
用の場合、光触媒性能を高める点、また、電子材料特性
を維持する点から、酸化チタン粉末はできるだけ微細な
方が好ましい。
【0016】また、結晶型についても一概に特定はでき
ず、その用途により調整すればよいが、例えば焼結材
料、顔料あるいは紫外線遮蔽材料用ではルチル型のほう
が好ましく、通常ルチル化率は10〜100%、好まし
くは50〜100%であり、一方光触媒用としてはアナ
ターゼ型のほうが好ましく、そのルチル化率は0〜80
%、好ましくは0〜50%である。
【0017】更に、本発明で用いられる酸化チタンは、
不純物として酸化チタン粉末中に含まれるFe、Al、
Si及びNaが各々20ppm 未満、望ましくは10ppm
未満、さらに望ましくは5ppm 未満である。また、酸化
チタン粉末中のClは500ppm 未満、望ましくは20
0ppm 未満、さらに望ましくは100ppm 未満である。
前記範囲を越えて不純物を有すると光触媒用途の場合、
光触媒性能が低下し、また、電子材料用途の場合、電子
材料特性を劣化させる要因ともなる。
【0018】本発明で用いられるペルオクソチタン酸
は、ペルオキシチタン酸又は過酸化チタンとも言われる
もので、その構造はH4 TiO5 、Ti(OOH)(O
H)3又はTiO3 ・2H2 Oで示される。ペルオクソ
チタン酸は、通常、黄色、黄褐色又は赤褐色の透明粘性
水溶液(ゾル溶液)で取り扱われ、市販されているもの
が使用できる。市販品としては、例えば「PTA−8
5」、「PTA−170」(いずれも(株)田中転写製
のPTA水溶液である)が挙げられる。また、公知の方
法によって調製することも可能であり、例えば、四塩化
チタン水溶液をアンモニア水で加水分解し、水酸化チタ
ンを含むスラリーを生成し、これを洗浄した後、過酸化
水素を加えてペルオキシチタン酸水溶液を得る。
【0019】ペルオクソチタン酸を含有する分散媒とし
ては、特に制限されないが、例えば水及びメタノール、
エタノール等のアルコール類が挙げられ、このうち、水
が好ましい。分散媒は1種又は2種以上を混合して使用
できる。また、分散媒が水の場合、市販のペルオクソチ
タン酸水溶液をそのまま使用することもできる。ペルオ
クソチタン酸と分散媒との配合比率は、分散媒の種類、
酸化チタン粉末の添加濃度及び酸化チタン分散体の用途
により適宜決定される。
【0020】酸化チタン粉末を、ペルオクソチタン酸含
有分散媒に均一分散する方法としては、一般的な方法で
よく、例えば、気相酸化法等で製造した酸化チタン粉末
を、ペルオクソチタン酸含有分散媒に添加し、ホモジナ
イザー、ヘンシェルミキサー及びスーパミキサー等の高
速撹拌、振とう等の手段を用いて分散する方法、又は、
振動ミル、ボールミル等の粉砕機で酸化チタン粉末とペ
ルオクソチタン酸含有分散媒を湿式粉砕する方法が挙げ
られ、このうち、1000〜15000回転/分の高速
撹拌による方法が短時間で効率的に行える点で好まし
い。ペルオクソチタン酸含有分散媒に酸化チタン粉末を
添加するには、酸化チタン粉末の添加量や酸化チタン分
散体の製造容量等により異なるが、少量を連続して添加
するか、分割して添加することが望ましい。ペルオクソ
チタン酸含有分散媒100ml当たり1回に添加する酸
化チタン粉末は0.1〜5g、好ましくは0.5〜2g
とすることが、高濃度の均一分散体が効率よく得られる
点で好ましい。分散の際、分散効率を高めるため、ペル
オクソチタン酸含有分散媒を加熱して行ってもよい。加
熱温度は室温〜100℃、好ましくは30〜80℃であ
る。ペルオクソチタン酸水溶液を該加熱処理する場合、
部分的に酸化チタン粉末を析出させることができ、酸化
チタン粉末の濃度を調整することもできる。
【0021】ペルオクソチタン酸含有分散媒に酸化チタ
ン粉末を添加する方法としては、これに限定されず、酸
化チタン粉末とペルオクソチタン酸を同時に分散媒に添
加し攪拌する方法、予め酸化チタン粉末を添加した分散
媒にペルオクソチタン酸を添加し、攪拌する方法などが
挙げられる。本発明においては、ペルオクソチタン酸水
溶液に酸化チタン粉末を添加し攪拌する方法、分散媒に
ペルオクソチタン酸と酸化チタン粉末を同時添加し攪拌
する方法又は分散媒にペルオクソチタン酸を添加し、そ
の後酸化チタン粉末を添加し攪拌する方法が好ましい。
【0022】本発明の酸化チタン分散体中のペルオクソ
チタン酸の比率は、酸化チタン粉末に対して、1〜10
0重量%、好ましくは5〜80重量%、より好ましくは
10〜50重量%である。また、酸化チタン分散体中の
酸化チタン粉末の濃度は、その用途によって異なり任意
であるが、0.5〜60重量%、好ましくは5〜60重
量%、より好ましくは10〜60重量%である。本発明
の酸化チタン分散体は酸化チタン粉末の分散性に極めて
優れているので、酸化チタン粉末の濃度として50重量
%以上含有することも可能である。すなわち、本発明の
酸化チタン分散体は、酸化チタンの濃度を上げても、分
散体自体の粘度があまり上昇しないので、従来では達成
し得なかった高濃度の酸化チタン分散体の調製が可能で
ある。
【0023】本発明の酸化チタン分散体において、水分
散体の場合、そのpHはその用途によって任意に調製し
うるが、本発明ではpH5〜10、好ましくはpH6〜
8、特に好ましくはpH6.5〜7.5である。元来酸
化チタン粒子表面に水酸基を含有しているため、中性領
域では分散性がよくない。そのため前述したように従来
の酸化チタンゾルは、酸性にpHを調整し分散性を改善
している。従って酸化チタンゾルを基材に吹き付け酸化
チタン膜を形成し、光触媒や紫外線遮蔽材料を調製する
ような場合、酸性では腐食するような基材は使用できな
いため、その用途に制限があった。しかし、本発明の酸
化チタン分散体は上記のように中性領域においても、極
めて高い分散性を示すので、光触媒あるいは紫外線遮蔽
材料用として非常に有効である。
【0024】以上のように本発明の酸化チタン分散体
は、酸化チタン粉末が高濃度でかつ高分散しているの
で、光触媒、顔料、塗料や化粧料などの紫外線遮蔽材料
などの酸化チタン膜形成用あるいはチタン酸バリウムな
どの結晶性セラミック粉体の原料など溶媒に分散して使
用するあらゆる用途に利用可能である。本発明の酸化チ
タン分散体から酸化チタン膜を形成するには、公知の方
法で行えばよく、例えば、該酸化チタン分散体を充填し
た噴霧器で基材に所望の量となるように吹き付け、その
後常温で乾燥あるいは加熱処理する方法が使用できる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例によりさ
らに具体的に説明する。本明細書において、酸化チタン
分散体の分散度、酸化チタン分散体中の粒度分布、酸化
チタン粉末の不純物量の測定及びルチル化率は以下に示
す方法で測定した。
【0026】(分散度A法)酸化チタン粉末5gと分散
媒45mlを容器に入れ、常温下、ホモジナイザーで1
0000rpm の高速攪拌を20分間行い、分散させ、常
温で 144時間静置する。その後、上澄みを除去し、沈降
した酸化チタン粉末のみを分離し乾燥させ、その重量
(g)を測定し、この重量値を分散度とする。分散度は
値が小さいほど分散性に優れていることを表す。 (分散度B法)酸化チタン粉末と分散媒を容器に入れ、
常温下、ホモジナイザーで10000rpm の高速攪拌を
20分間行い、分散させ、常温で144時間静置する。
その後、該分散体を容器からメスシリンダに移し外観を
目視観察する。評価は○印はほとんど分離なし、×印は
分離し沈降した酸化チタン粉末を多く認める、で行う。
【0027】(粒度分布)レーザー光散乱法粒度測定機
LA700(堀場製作所製)を用い測定した。
【0028】(不純物の定量)酸化チタン粉末中のF
e、Al、Si及びNa分を原子吸光法により定量分析
した、また、塩素分は吸光光度法により測定した。
【0029】(ルチル化率)ASTM D 3720-84 に
従いX線回折パターンにおける、ルチル型結晶酸化チタ
ンの最強回折線(面指数110)のピーク面積(Ir)
と、アナターゼ型結晶酸化チタンの最強回折線(面指数
101)のピーク面積(Ia)を求め前述の算出式より
求めた。
【0030】実施例1 気相法により得られた酸化チタンであって、平均粒子径
(BET径)0.03μm、比表面積(BET)46m2
/g、ルチル化率33.3%、Fe、Al、Si及びN
a分が各々10ppm 以下、塩素分80ppm である酸化チ
タン粉末5 gを0.85重量%のペルオキソチタン酸水
溶液45ml(分散媒)中に0.5gずつ10回に分割し
て添加し、撹拌し分散させ、酸化チタン分散体を得た。
この製造方法は分散度A法に準拠して行ったものであ
り、その結果、分散度は0.5であった。
【0031】比較例1 0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液の代わり
に、水を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行い、
分散体を得た。この酸化チタン分散体の分散度(A法)
は、2.5であった。
【0032】比較例2 0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液の代わり
に、0.27重量%のポリアクリル酸アンモニウム水溶
液を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行い、分散
体を得た。この酸化チタン分散体の分散度(A法)は、
1.1であった。
【0033】比較例3 0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液の代わり
に、0.27重量%のポリアクリル酸ナトリウム水溶液
を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行い、分散体
を得た。この酸化チタン分散体の分散度(A法)は、
4.8であった。
【0034】比較例4 0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液の代わり
に、ポイズ含有水溶液を用いた以外は、実施例1と同様
の方法で行い、分散体を得た。「ポイズ」は花王製の界
面活性剤で、添加濃度は0.22重量%とした。この酸
化チタン分散体の分散度(A法)は、1.0であった。
【0035】実施例1の分散体は優れた分散性を示し
た。また、比較例2及び4の分散体は分散性は優れるも
のの、酸化チタン系以外の物質を含み、これを光触媒や
電子材料に使用した場合、その特性に悪影響を及ぼす可
能性がある。
【0036】実施例2 実施例1で用いたものと同じ酸化チタン粉末5gを、
0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液45ml中に
0.5gずつ10回に分割して添加し、常温下、ホモジ
ナイザーで10000rpm の高速攪拌を20分間行い分
散させ、酸化チタン分散体を得た。この分散体の粒度分
布を測定し、その結果を表1に示した。
【0037】比較例5 0.85重量%のペルオキソチタン酸水溶液に代えて、
水を使用した以外は実施例2と同様の方法で行い、酸化
チタン分散体を得た。この分散体の粒度分布を実施例2
と同様の方法で測定した。結果を表1に示した。
【0038】
【表1】 粒度分布のD90、D50、D10はそれぞれ積算粒度で90
%、50%、10%の粒径(μm)を示す。
【0039】実施例2及び比較例5より、レーザー光散
乱法による粒度分布では、D50およびD90が比較例5の
ペルオクソチタン酸を含まない分散体より小さく、酸化
チタン粉末が凝集していないことが明らかである。
【0040】実施例3〜6 実施例1で用いたものと同じ酸化チタン粉末を、ペルオ
キソチタン酸水溶液(分散媒)45mlに表2に示す条件
で添加し、分散度B法に準拠した方法で調製し、分散度
を評価した。結果を表2に示す。但し、ペルオキソチタ
ン酸の濃度は、酸化チタン粉末に対して、20重量%の
濃度で調製した。尚、表2中、括弧内の数値は分散体中
の酸化チタン粉末の配合割合を示す。
【0041】比較例6及び比較例7 ペルオキソチタン酸水溶液に代えて、水(比較例6)及
び1%のポリアクリル酸アンモニウム(PAA)水溶液
(比較例7)を使用した以外は、実施例5と同様の方法
で行った。結果を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の酸化チタ
ン分散体は、従来の酸化チタンゾルあるいは酸化チタン
分散体とは異なり、高分散の酸化チタン分散体であるの
で、光触媒や紫外線遮蔽材料などの酸化チタン膜の形成
用や、チタン酸バリウムのような結晶性セラミック粉体
の原料として有効である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペルオクソチタン酸含有分散媒に、酸化
    チタン粉末を均一分散してなることを特徴とする酸化チ
    タン分散体。
  2. 【請求項2】 前記酸化チタン粉末の分散量が、前記酸
    化チタン分散体中、0.5〜60重量%であることを特
    徴とする請求項1記載の酸化チタン分散体。
  3. 【請求項3】 前記酸化チタン粉末の平均粒径が、0.
    01〜5μm であることを特徴とする請求項1記載の酸
    化チタン分散体。
  4. 【請求項4】 水分散体であることを特徴とする請求項
    1記載の酸化チタン分散体。
  5. 【請求項5】 pHが、5〜10であることを特徴とす
    る請求項4記載の酸化チタン分散体。
  6. 【請求項6】 前記酸化チタン粉末が、四塩化チタンの
    気相酸化反応で得られたものであることを特徴とする請
    求項1に記載の酸化チタン分散体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記
    載の酸化チタン分散体から形成されることを特徴とする
    酸化チタン膜。
  8. 【請求項8】 ペルオクソチタン酸含有分散媒に、酸化
    チタン粉末を添加し、次いで、該酸化チタンが添加され
    た分散体を高速攪拌することを特徴とする酸化チタン分
    散体の製造方法。
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