JP2005126275A - セラミック焼結体及びその撥水処理方法並びに回路基板及びセラミックパッケージ - Google Patents

セラミック焼結体及びその撥水処理方法並びに回路基板及びセラミックパッケージ Download PDF

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【課題】遅れ破壊の発生を抑制したセラミック焼結体及びその撥水処理方法並びにそれを用いた回路基板及びセラミックパッケージを提供する。
【解決手段】酸化物セラミックスを主結晶相とする焼結体の表面に、疎水性の界面活性剤が吸着されてなり、該焼結体の表面が撥水性を示すことを特徴とし、温度85℃、湿度85%の大気中で150MPaの応力を100時間加えても破壊しないこと、また、前記主結晶相がアルミナ、ムライト、YAG、フォルステライト、コージェライトの少なくとも1種、前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、高温高湿度環境中で、一定応力を負荷されても破壊しないセラミック焼結体及びその撥水処理方法に関し、さらには、かかるセラミック焼結体を用い、内部に振動子や半導体素子等の電気素子が搭載され、蓋体等の蓋によって気密に封止されるセラミックパッケージ、特に、最小高さが0.5mm以下、前記堤部の幅が0.1〜0.3mm、前記基板底部の厚みが0.1〜0.3mmであることを特徴とする小型・薄型の回路基板及びセラミックパッケージに関する。
近年、半導体素子の高集積化、電子部品の小型化に伴い、各種電子機器の小型化、高機能化が図られている。これに伴い、電気素子を搭載するセラミックパッケージの小型化が要求され、例えば、外形サイズ縦3mm、横2mm、高さ0.8mm程度まで小型化したセラミックパッケージに金属蓋体をシーム溶接によって気密封止された水晶デバイスが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
ところが最近、例えば高さ0.6mm以下のICカードに体表される超小型・超薄型製品に適応できるように、パッケージもさらに一層の小型化が求められている。このような超小型・超薄型セラミックパッケージでは絶縁基板の基板堤部の幅や基板底部の厚みが小さくなるため、蓋体の接合によってこれらの部位が破損しないようにセラミックパッケージには高い強度が必要になってきている。
この問題を解決するため、純度99%以上の高純度アルミナを用いることによって、厚さ0.25〜0.35mmの形状で55kgf/mm以上の高強度のアルミナ基板を実現することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、この高純度・高強度アルミナ基板は、アルミナ純度が99質量%以上と高く、同時焼成でメタライズを形成した場合、メタライズの接合強度が低い。そのため、接合強度の高いメタライズを得るには、Moを主成分とし、Mn、Ti等の活性金属で構成される導体成分を焼結後に焼き付ける必要があり,工程が増え、コストが高くなるという問題があった。また、焼結助剤として用いる酸化マグネシウムは微粉末であるため、スラリー作製時に2次凝集し易く、焼結欠陥を生じ易く、強度が低下するという問題があった。
そこで、焼結助剤を4質量%以上加えたアルミナ質成形体に導体層を形成し、これを焼成することにより、焼成とメタライズとを同時に行い、低コストでアルミナ基板を実現することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2001−196485号広報 特開2000−7425号公報 特開2000−277662号公報
しかしながら、特許文献3に記載のアルミナ焼結体は、セラミックパッケージと蓋体との接合時には破壊しなくても、数時間から数日という短い期間の後に、セラミックパッケージにクラックが発生するという問題があった。
これは、遅れ破壊と呼ばれる現象で、即時破壊強度以下の応力下で、水がガラスの結合を切断する応力腐食によるものである。つまり、セラミックパッケージに蓋体を接合する場合にシーム溶接等のパッケージに残留応力が加わる方法を用いると、応力腐食によってクラックが進行し、一定期間後にパッケージに破壊が生じていた。
従って、本発明の目的は、遅れ破壊の発生を抑制したセラミック焼結体及びその撥水処理方法並びにそれを用いた回路基板及びセラミックパッケージを提供することである。
本発明のセラミックパッケージは、酸化物セラミックスを主結晶相とする焼結体と、該焼結体の表面に吸着した疎水性の界面活性剤とを具備し、該焼結体の表面が撥水性を示すことを特徴とする。
温度85℃、湿度85%の大気中で150MPaの応力を100時間加えても破壊しないことが好ましい。
前記主結晶相がアルミナ、ムライト、YAG、フォルステライト、コージェライトの少なくとも1種、前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤であることが好ましい。
本発明のセラミック焼結体の撥水処理方法は、酸化物セラミックスを主結晶相とする焼結体の表面を、疎水基と親水基とを具備する界面活性剤を含有する水溶液に浸漬し、前記酸化物セラミックスの表面に前記界面活性剤を吸着させることを特徴とする。
特に、前記界面活性剤がポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルエーテル及び/又はモノアルケニルエーテルであることが好ましい。
本発明の回路基板は、酸化物セラミック焼結体からなる絶縁基板と、該絶縁基板の表面及び/又は内部に設けられた導体層と、前記絶縁基板の表面に吸着した疎水性の界面活性剤とを具備し、前記絶縁基板の表面が撥水性を示すことを特徴とする。
本発明のセラミックパッケージは、電気素子を表面に実装するための基板底部及び該基板底部の外周に一体的に設けられた基板堤部からなる絶縁基板と、該絶縁基板の内部及び/又は表面に設けられた導体層と、前記基板堤部の少なくとも一部に、蓋体を接合するために設けられた金属接合層とを具備し、最小高さが0.5mm以下、前記堤部の幅が0.1〜0.3mm、前記基板底部の厚みが0.1〜0.3mmであるとともに、前記絶縁基板の表面に疎水性の界面活性剤が吸着し、該絶縁基板の表面が撥水性を示すことを特徴とする。
本発明は、セラミック焼結体の表面に撥水層を設け、遅れ破壊の一つの要因である水分をセラミック焼結体の表面から排除することによって、クラックの発生を抑制することができるという新規な知見に基づくものである。
即ち、本発明のセラミック焼結体は、酸化物セラミックスを主結晶相とする焼結体と、該焼結体の表面に吸着した疎水性の界面活性剤とを具備し、該焼結体の表面が撥水性を示すため、遅れ破壊を引き起こす水分の影響を低減でき、遅れ破壊の発生を抑制したセラミック焼結体を実現できる。これは、パッケージに好適に応用できる。
また、温度85℃、湿度85%の大気中で150MPaの応力を100時間加えても破壊しないため、クラックの発生しないため、パッケージに応用すれば、より長期間でも破壊せず、より信頼性の高いセラミックパッケージを実現できる。
特に、前記主結晶相がアルミナ、ムライト、YAG、フォルステライト、コージェライトの少なくとも1種、前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤であることが好ましい。この組合せによって、ノニオン性界面活性剤は、疎水性と親水性とをバランス良く備え、十分な吸着力と十分な撥水性を示し、界面活性剤の吸着が長期間持続し、その結果撥水性も維持され、繰返し使用しても高信頼性を容易に維持することが可能となり、より信頼性の高いセラミックパッケージの実現が可能となる。
また、本発明のセラミック焼結体の撥水処理方法は、酸化物セラミックスを主結晶相とする焼結体の表面を、疎水基と親水基とを具備する界面活性剤を含有する水溶液に浸漬し、前記酸化物セラミックスの表面に前記界面活性剤を吸着させるため、本発明のセラミック焼結体を容易に得ることができる。
前記界面活性剤がポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルエーテル及び/又はモノアルケニルエーテルであるため、疎水基と親水基とがバランス良く備わっており、撥水層がより長期間持続するとともに、撥水性も維持することができる。
本発明の回路基板は、酸化物セラミック焼結体からなる絶縁基板と、該絶縁基板の表面及び/又は内部に設けられた導体層と、前記絶縁基板の表面に吸着した疎水性の界面活性剤とを具備し、前記絶縁基板の表面が撥水性を示すため、空気中の水分の影響による応力腐食進行が抑制され、長期信頼性の高い回路基板を実現できる。
本発明のセラミックパッケージは、電気素子を表面に実装するための基板底部及び該基板底部の外周に一体的に設けられた基板堤部からなる絶縁基板と、該絶縁基板の内部及び/又は表面に設けられた導体層と、前記基板堤部の少なくとも一部に、蓋体を接合するために設けられた金属接合層とを具備し、最小高さが0.5mm以下、前記堤部の幅が0.1〜0.3mm、前記基板底部の厚みが0.1〜0.3mmであるとともに、前記絶縁基板の表面に疎水性の界面活性剤が吸着し、該絶縁基板の表面が撥水性を示すため、空気中の水分の影響による応力腐食進行が抑制され、長期信頼性の高いセラミックパッケージを実現できる。
本発明のセラミック焼結体は、酸化物セラミックスを主結晶相とする焼結体と、その焼結体表面に吸着した疎水性の界面活性剤とを具備し、その焼結体の表面が撥水性を示すことが重要である。界面活性剤の吸着によって焼結体表面が撥水性を示すことで、大気中の水分がセラミック焼結体に吸着するのが妨げられ、セラミック焼結体に対する水分の影響を顕著に低減することができる。
酸化物セラミック焼結体の表面に疎水性の界面活性剤が吸着し、焼結体表面が撥水層を示す場合、遅れ破壊が防止されるため、長期間に渡ってクラックの発生を抑制し、回路基板やセラミックパッケージに応用した場合、結晶中及び/又は粒界に存在する酸化物、特にガラスとの反応が著しく低減するため、水を介した応力腐食を抑制し、信頼性を高めることができる。
セラミック焼結体を一般的な民生用途の電子部品として応用することを考えた場合、大気中での環境安定性に優れるという理由から、酸化物セラミックスを主結晶相とする焼結体からなることも重要である。
主結晶相の酸化物セラミックスは、特に限定されるものではないが、製造の容易性及び絶縁基板やセラミックパッケージとしての特性を具備していることから、アルミナ、ムライト、YAG、フォルステライト、コージェライトを特に好適に使用することができる。これらのうち、熱膨張率がシリコンに近いという点でムライトが、透光性を有するという点でYAGが、低熱膨張率という点でコージェライトが、高強度及び高信頼性の点でアルミナが特に望ましい。また、ガラスが存在せず、応力腐食の影響を受けにくい点で、アルミナ及びYAGが好ましい。
なお、セラミック焼結体には焼結助剤や副成分を含むことがあるが、疎水性界面活性剤の吸着によって、セラミック焼結体の表面が撥水性を示すのを大きく阻害しない範囲であれば、焼結助剤や副成分が含まれていても良い。
セラミック焼結体の平均粒径は、0.5〜2.5μm、特に1〜2μm、更には、1〜1.6μmであることが望ましい。セラミック焼結体の粒界相構造によっては、平均粒径を0.5μm以上にすることで粒界破壊の発生を低減し、応力腐食によるクラックの進行が促進されるのを効果的に抑制することができる。また、2.5μm以下にすることで、粒界量が減少して遅れ破壊に対する応力腐食の影響が大きくなるのを効果的に防止することが可能となる。
界面活性剤は疎水性を有し、酸化物セラミックスの表面に吸着して、セラミック焼結体の表面が疎水性を示すことが重要である。焼結体表面が疎水性を有していると、焼結体の曝された大気中における水分がセラミックスと接触して反応するのを抑制し、遅れ破壊を防止することができる。
主結晶相がアルミナ、ムライト、YAG、フォルステライト、コージェライトの少なくとも1種である場合、界面活性剤がノニオン性界面活性剤であることが好ましい。この組合せによって、界面活性剤の吸着が長期間持続し、その結果撥水性も維持され、繰返し使用しても高信頼性を容易に維持することが可能となる。
ノニオン性界面活性剤は、疎水性を具備すると共に、上記のセラミック焼結体に対する吸着時の吸着力に関与する親水性を適度に備えており、十分な吸着力を発言し、しかも十分な撥水性を示すことが容易になる。
また、本発明のセラミック焼結体は、温度85℃、湿度85%の大気中大気中で150MPaの応力を100時間加えても破壊しないことが好ましい。このようない高温湿高負荷下において、100時間破壊しなければ、民生用途での信頼性確保が十分に期待することができ、特に300時間、更には500時間破壊しないのがより好ましい。
また、セラミック焼結体は、粒界相が結晶化されていることが好ましい。このように、粒界が結晶から成る場合、応力腐食によって粒界相の結晶の結合が切断され難くなり、ガラスから成る粒界に比べてさらに遅れ破壊を抑制することができる。
これらのセラミック焼結体は、強度が200MPa以上、特に300MPa以上、更には400MPa以上であることが望ましい。このように高い強度を有していれば、応力が発生する部位を薄型化しても破壊に対して十分に耐えることができ、電子部品の小型化に対応することができる。
なお、本発明における強度は、JIS R1601に基づく3点曲げ強度試験による測定値を示すもので、厚み3mm、幅4mm、長さ40mmの試料を用いて評価することができる。ただし、テンション面(最大応力が加わる面)は未加工のまま、JIS R1601に基づいて室温にて測定した値である。
次に、セラミック焼結体の撥水処理方法について説明する。
まず、セラミック焼結体を準備する。セラミック焼結体は、酸化物セラミックスを主結晶相とする焼結体であれば、公知の手法で作製されたものを用いることができる。酸化物セラミックスとしては、上述したように、アルミナ、ムライト、YAG、フォルステライト、コージェライトの少なくとも1種を用いるのが好ましい。
セラミック焼結体の表面にゴミや付着物があると界面活性剤の吸着が阻まれ、遅れ破壊の防止効果が低減するため、セラミック焼結体の表面を十分に洗浄しておくことが望ましいのは言うまでもない。
次に、処理液を準備する。処理液は、疎水基と親水基との両方を併せ持つ界面活性剤を溶媒中に含有することが重要である。疎水基としては、アルキル基、アルケニル基、又はポリフルオロアルキル基、を例示でき、親水基としては、カルボキシル基、水酸基を例示できる。
このような界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤が望ましい。例えば、ポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルエーテル又はモノアルケニルエーテルをノニオン性界面活性剤として例示できる。ポリオキシアルキレングリコールのポリオキシアルキレン部分は水系媒体への溶解性から考えて、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンであることが望ましい。また、モノアルキルエーテル又はモノアルケニルエーテルのアルキル基、アルケニル基はそれぞれ炭素数1〜26が望ましく、この範囲の炭素数にあれば親水性が強くなり過ぎることがなく、撥水処理後の撥水性効果が低下するのを容易に防止することができる。
また、溶媒は、有機溶剤又は水系媒体が好ましい。有機溶剤の場合、その種類は特に限定されず、界面活性剤と相溶性のある有機溶剤から選定されれば良い。また、水系溶媒としては、水のみ、又は水と水溶性溶剤からなることが望ましい。安全性を考慮すると、水系溶媒を用いることが望ましい。
水溶性溶剤としては、アセトン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルのうち少なくとも1種を採用できる。また、水溶性溶剤の含有量は、その種類にもより、特に限定されるものではないが、水溶液の分散性を考えると、水に対して0.01〜20質量%、特に0.1〜10質量%とすることが望ましい。
このようにして準備した処理液を、酸化物セラミックスを主結晶相とする焼結体に接触させて、焼結体の表面に界面活性剤からなる撥水層を形成する。接触の方法としては、処理液を表面の一部に滴下する、スポンジのような媒体に処理液を吸収させて媒体を焼結体表面に接触させて処理液を塗る、又は焼結体の少なくとも一部を処理液に浸漬する、等の方法を例示できるが、焼結体の表面に撥水層が形成されれば、その方法はどのようなものでも良い。
このようにして、界面活性剤が表面に吸着し、撥水性を具備する本発明のセラミック焼結体を作製することができる。
次に、本発明の回路基板を説明する。
本発明の回路基板は、酸化物セラミック焼結体からなる絶縁基板と、該絶縁基板の表面及び/又は内部に設けられた導体層と、前記絶縁基板の表面に吸着した疎水性の界面活性剤とを具備し、前記絶縁基板の表面が撥水性を示すことが重要である。
例えば、絶縁基板がアルミナ質焼結体からなる場合、この絶縁基板を、ポリオキシエチレングリコールモノメチルエーテルを含む処理液で、セラミック焼結体に行ったのと同様の処理を施し、界面活性剤を絶縁基板表面に吸着せしめ、撥水性を発現させることができる。しかも、撥水性を持続させ、遅れ破壊の発生を抑制した絶縁基板を実現することができる。撥水性の発現は上記セラミック焼結体と同様であるため、これ以上の詳細な説明を省略する。
次に、本発明のセラミックパッケージを、図を用いて説明する。図1は、本発明のセラミックパッケージの一例を示すもので、図1(a)はセラミックパッケージの概略断面図であり、図1(b)は内部に振動子等の電子部品や半導体素子等の電気素子を搭載し、蓋体によって蓋をしたセラミックパッケージの断面図である。
セラミックパッケージは、アルミナ焼結体からなり、基板底部1aと基板堤部1bとからなる絶縁基板1と、基板底部1aに設けられた導体層2と、基板堤部1bの上に形成されたリング上のメタライズ層3aを具備する。
絶縁基板1は、基板底部1aと基板堤部1bとからなり、基板堤部1bの外周に基板堤部1bが一体的に設けられてなるものである。また、導体層2は、基板底部1aの表面に設けられた表面導体層2aと、外部との電気接続のために裏面に設けられた裏面導体層2cと、表面導体層2a及び裏面導体層2cを接続するために基板底部1aの内部に形成された内部導体層2bとからなっている。
本発明のセラミックパッケージは、電子部品や半導体素子を内部に戴置し、蓋をして密封して用いるものであり、具体的には、例えば図1(b)に示すように、絶縁基板1の基板底部1aに設けられた導体層2と接続された電子部品4a及び半導体素子4bとが設けられている。
電子部品4aは、導電性接着剤5aを用いて導体層2と電気的接続を行っている。電子部品4aとしては、水晶発振子、誘電体、抵抗体、フィルタ及びコンデンサのうち少なくとも1種を用いることができる。また、半導体素子4bはワイヤボンディングにより導体層2と接続されている。
蓋体8は、電子部品4a及び半導体素子4bを保護するため、セラミックパッケージに接合し、気密に封止される。この蓋体8は、金属やセラミックス等からなるが、導電性が高いために溶接が容易で、低コストであることから金属製であることが好ましい。なお、蓋体8は、基板堤部1bの上面に被着形成されたメタライズ層3aの表面に、密着力を高める目的で、所望によりメッキ層3bを形成し、共晶Ag−Cu等のロウ材6を用いて、シーム溶接等の方法により接合される。
本発明によれば、基板堤部1bの幅dを0.1〜0.3mmに、基板底部1aの厚みDを0.1〜0.3mmに、またパッケージの高さtを0.3〜0.5mmにすることによって、超小型・超薄型のセラミックパッケージを実現できる。即ち、絶縁基板1である酸化物セラミックス焼結体の強度を考慮し、蓋体10の封止時の熱応力に対する破壊をより効果的に防止でき、且つ、封止後の残留応力を低く抑えることができ、また、パッケージの容積をより小さくすることができる。
特に、絶縁基板1の高さTを0.5mm以下とすることにより、水晶振動子用パッケージとして、また、電子素子及び/又は半導体素子を実装した超小型・超薄型セラミックパッケージとしてICカードなどに応用することができる。なお、蓋体は薄い方が低背化を改善できる点で好ましく、例えば、0.3mm以下、特に0.2mm以下、更には0.1mm以下であることが好ましい。
本発明のセラミックパッケージは、絶縁基板1の表面に、疎水性の界面活性剤が吸着されてなり、絶縁基板1の表面が撥水性を示すことが重要である。即ち、本発明のセラミック焼結体を絶縁基板1に応用すれば良い。この場合の作用効果は、上記のセラミック焼結体の場合と同様であり、省略する。
以下、電子部品の収納に用いられるセラミックパッケージの絶縁基板1として好適に使用されるアルミナ焼結体を用いる場合について説明する。アルミナ焼結体はその純度が85質量%以上であることが望ましい。85質量%以上の純度、特に90%にすることで、アルミナ焼結体自体の強度を高く維持することができる。また、純度が高いため、粒界に形成されるガラス相を低減し、腐食原因を除去することができ、応力腐食をより効果的に低減することができる。
アルミナ焼結体中の焼結助剤は4質量%以上、特に6質量%以上含まれることにより、メタライズと同時焼成を可能とすることができ、製造が容易で低コスト化を推進できる。また、アルミナ焼結体の粒界相の影響から考え平均粒径が1.0〜2.0μmであることが望ましい。これにより、より耐応力腐食性に優れた材料を得ることができる。
セラミックパッケージの内部に電子素子4を実装し、蓋体8を接合して気密封止した後に、前記ポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルエーテル等の界面活性剤を表面に吸着させ、特に残留応力が最大となる基板底部1aの背面部9を撥水性処理することで、蓋体8の接合によって生じた残留応力と大気中の水分とによる遅れ破壊が長時間発生しないセラミックパッケージ、特に超小型・超薄型のセラミックパッケージを実現することができる。
このように、本発明はセラミックパッケージが応力下、特に蓋体を接合した際に生じる残留応力下においても、焼結体の表面が撥水性を有し、水分の影響を受けにくいため、焼結体中のガラス成分が応力腐食を起こすことを抑制し、破壊の起点となる応力の高い部位での応力腐食の進行を抑制できる。その結果、信頼性の高いパッケージを得ることが出来るのである。
本発明のセラミックパッケージの撥水処理方法については、セラミック焼結体の撥水処理方法と同様であり、詳細については説明を省略し、一実施例を基に説明する。
まず、水95質量%と、水溶性溶剤ジエチレングリコールモノメチルエーテル5質量%とを混合して溶媒を作製する。この溶媒100質量部に対して、界面活性剤としてポリオキシプロピレングリコールのモノエチルエーテルを3質量部加えて溶解させたものを処理液として用いる。
この処理液に、セラミックパッケージを10分間浸漬後、引上げて純水で洗浄し、110℃で30分間乾燥させる。この処理によって、セラミックパッケージの表面に界面活性剤を吸着せしめ、撥水性を発現させることができる。なお、セラミックパッケージの撥水処理は、蓋体の接合前でも、また、接合後でも良く、図1(b)のように蓋体8を接合する場合には、少なくとも最大残留応力の加わる基板底部1aの背面部9が撥水性を具備していることが好ましい。
まず、表1に焼結体として示した平板状のセラミック焼結体を洗浄後、これに撥水処理を施した。撥水処理は、各焼結体を、表1に示した処理液に常温で10分間浸漬後、純水で洗浄を行い、110℃の温度で30分間熱風乾燥を行った。なお、水と水溶性溶剤とからなる溶媒100質量部に対して、表1に示した質量部に想到する界面活性剤を添加して処理液を作製した。
処理後のセラミック焼結体の撥水性を評価した。撥水性評価は、セラミック焼結体を純水に浸漬し、引上げてセラミック焼結体を30℃傾斜させ、流動するものを撥水効果が出現していると判断し、表1に○として記載し、流動しないものを撥水効果が出現していないものと判断し、表1に×として記載した。
また、同時に厚み3mm、幅4mm、長さ40mmの試験片形状のセラミック焼結体に撥水処理を施し、遅れ破壊の発生状態を調べるため、温度85℃、湿度85%の大気中で150MPaの応力を加える負荷テストを行った。この負荷テストでは、試験片を上スパン10mm、下スパン40mmの4点曲げ試験治具にセットし、これに150MPaを負荷した。これを治具ごと温度85℃、湿度85%大気中に放置し、100時間後、300時間後、500時間後のそれぞれについて、クラック試験液を用いて順次40倍の顕微鏡にて絶縁基板のクラックを確認してテストピースにクラックが観察されなければ○、クラックが観察されれば×として評価した。なお、クラックが観察されれば、それ以降の負荷テストは実施しなかった。
次に、表1に焼結体として示したセラミック焼結体を用いて、図1のセラミックパッケージを作製した。いずれも、絶縁基板の内部にはビアホールに金属が充填されたビア導体と配線パターンを形成した。
次に、得られた絶縁基板表面の導体層及びメタライズ層の表面に電解Niメッキを施し、さらにその表面に0.2μmのAuメッキを施した。メタライズ層に対して、共晶Ag−Cuロウ材を用いてFe−Ni−Co合金から成る厚み0.2mmの蓋体をシーム溶接によって接合し、気密に封止し、図1(b)の状態にした(ただし、電子素子は搭載せず)。
なお、パッケージは、縦30mm、横25mm、T=0.5mm、D=0.2mm、d=0.2mmの形状であった。
蓋体を接合したセラミックパッケージを表1に示した処理液に浸漬し、撥水処理を行った。撥水処理は、常温の処理液に10分間浸漬後、引上げて純水で洗浄後、110℃の温度で30分間熱風乾燥を行った。
撥水処理を行ったセラミックパッケージを温度85℃、湿度85%の大気中に曝し、100時間経過毎にHeリーク法を用いたリークテストを行って、遅れ破壊の有無を調べた。このテストでは、まず、0.41MPaの圧力に保たれたHe加圧雰囲気中にセラミックパッケージを2時間保持した後、取り出し、真空雰囲気中に保持して検出されるHeガス量を測定し、5×10−9MPa・cm/sec以下をセラミックパッケージにリークが無く、クラックは無いと判断し、5×10−9MPa・cm/secを超えるものはリークが存在したと判断した。なお、最大1000時間まで100時間毎にリークテストを行って、リークが確認された時間を表1に記載した。結果を表1に示した。
Figure 2005126275
まず、セラミック焼結体について、本発明の試料No.2〜23は、温度85℃、湿度85%の大気中で150MPaの応力を加える負荷テストにおいて100時間以上破壊が観察されず、特にアルミナからなる試料No.2〜14及び19〜23は、300時間以上、更には、アルミナで且つ水溶性溶剤が10質量%以下の試料No.2〜6、8〜14及び19〜23のセラミック焼結体は500時間でも破壊が観察されなかった。
また、金属蓋体を気密封止した本発明のセラミックパッケージは、いずれも1000時間後においてもリークが観察されず、高い信頼性を示し、封止状態は良好であった。
一方、撥水処理を行わなかった本発明の範囲外の試料No.1のセラミック焼結体は、撥水性がないため、負荷テストにおいて100時間以内でクラックが生じていた。
また、セラミックパッケージは、500時間でリークが検出され、遅れ破壊が発生した。
本発明のセラミックパッケージの一例を示すもので、(a)はセラミックパッケージの概略断面図、(b)は内部に電気素子を実装し、蓋体を接合した状態のセラミックパッケージの概略断面図である。
符号の説明
1・・・絶縁基板
1a・・・基板底部
1b・・・基板堤部
2・・・導体層
2a・・・表面導体層
2b・・・内部導体層
2c・・・裏面導体層
3a・・・メタライズ層
3b・・・メッキ層
4・・・電子素子
4a・・・電子部品
4b・・・半導体素子
5a・・・導電性接着剤
5b・・・ワイヤボンディング
6・・・ロウ材
8・・・蓋体
9・・・背面部
d・・・基板堤部の幅
D・・・基板底部の厚み
T・・・パッケージの高さ

Claims (7)

  1. 酸化物セラミックスを主結晶相とする焼結体と、該焼結体の表面に吸着した疎水性の界面活性剤とを具備し、該焼結体の表面が撥水性を示すことを特徴とするセラミック焼結体。
  2. 温度85℃、湿度85%の大気中で150MPaの応力を100時間加えても破壊しないことを特徴とする請求項1記載のセラミック焼結体。
  3. 前記主結晶相がアルミナ、ムライト、YAG、フォルステライト、コージェライトの少なくとも1種、前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1又は2記載のセラミック焼結体。
  4. 酸化物セラミックスを主結晶相とする焼結体の表面を、疎水基と親水基とを具備する界面活性剤を含有する水溶液に浸漬し、前記酸化物セラミックスの表面に前記界面活性剤を吸着させることを特徴とするセラミック焼結体の撥水処理方法。
  5. 前記界面活性剤がポリオキシアルキレングリコールのモノアルキルエーテル及び/又はモノアルケニルエーテルであることを特徴とする請求項4記載のセラミック焼結体の撥水処理方法。
  6. 酸化物セラミック焼結体からなる絶縁基板と、該絶縁基板の表面及び/又は内部に設けられた導体層と、前記絶縁基板の表面に吸着した疎水性の界面活性剤とを具備し、前記絶縁基板の表面が撥水性を示すことを特徴とする回路基板。
  7. 電気素子を表面に実装するための基板底部及び該基板底部の外周に一体的に設けられた基板堤部からなる絶縁基板と、該絶縁基板の内部及び/又は表面に設けられた導体層と、前記基板堤部の少なくとも一部に、蓋体を接合するために設けられた金属接合層とを具備し、最小高さが0.5mm以下、前記堤部の幅が0.1〜0.3mm、前記基板底部の厚みが0.1〜0.3mmであるとともに、前記絶縁基板の表面に疎水性の界面活性剤が吸着し、該絶縁基板の表面が撥水性を示すことを特徴とするセラミックパッケージ。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007180304A (ja) * 2005-12-28 2007-07-12 Seiko Epson Corp パターンの形成方法、及び液滴吐出ヘッド
CN108538999A (zh) * 2012-09-25 2018-09-14 Lg伊诺特有限公司 发光器件封装

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