しかしながら、従来の仕組みでは、それぞれクライアントより指定される、給紙モードの設定状態(給紙トレイの具体的な選択や自動選択)と、片面印刷(プリンタとしての印刷と複写時の印刷の双方を含む)モードであるのか両面印刷モードであるのかのジョブモードの状態とに応じて、適切な用紙を用いた印刷処理やマーキング処理を行なおうとした場合には不都合(処理フロー)が生じ得る。
たとえば、特許文献1では、使用済用紙であるかどうか、無効印刷処理モードであるかどうか、両面印刷が指示されているかどうかで、処理を切り分けるようにしているものの、クライアントより給紙トレイの選択指示と両面印刷(給紙種類指定せず)/片面印刷の指示を受ける場合の、装置における給紙トレイの選択手法は明確でなく、その選択手法によっては、クライアントより指定された給紙トレイと印刷モードとの関係で適切な処理ができない可能性がある。
たとえば、通常トレイが使用され両面印刷を行なっている場合に用紙不足が生じた場合の対処方法は不明である。また、特許文献1の実施例(図4)では、給紙を行なって表面印刷を行なった後に、使用された用紙が使用済用紙であったのか否かを判定し、使用済用紙でない場合に両面印刷であるか否かを判断するようにしているので、使用済用紙トレイからの給送により使用済用紙を使っている片面印刷ジョブの途中で両面印刷処理に切り替わる場合には不都合が生じ得るし、その対処方法が不明である。
また、特許文献1,5では、給紙用紙が片面印刷済みの使用済用紙紙であるか否かを検知して処理を切り替える仕組みを提案しているが、その検出を行なうための専用検出機構(たとえばセンサ)が必要となり、コストアップを招く。
また、特許文献2,3,4,5では、使用済用紙専用トレイや使用済給紙トレイ(以下纏めて専用トレイともいう)と通常トレイとを切り替えて使用することのでききる仕組みを提案しているが、特許文献4,5では、トレイ種別もしくはトレイが装着された位置を検出するための仕組みとして特殊なトレイ構造(メカニカルな構造)や検出センサが必要であり、特許文献2,3では、専用トレイの構造やセットされた状態の検出の具体的な仕組みは明確でないが、専用トレイであるか否かのセンサが必要であると考えられる。このため、特許文献2,3,4,5に記載の仕組みでは、何れも、コストが高くなる。
また、特許文献2,3,4,5では、トレイの装置装着時における、トレイに対しての再利用紙用もしくは通常用紙用の設定の自由度がなく、必ずしもユーザの使い勝手がよいトレイ選択の仕組みとはなっていない。たとえば、特許文献5では、底面に切欠きやバーコードを貼付けることで、専用トレイであるのか通常トレイであるのかを峻別するようにして専用トレイと通常トレイとを用意し、そのトレイの種別に応じて固定的に動作するように構成されているので、1つのトレイの使用目的を変更することができず融通性がない。このため、たとえば、専用トレイに通常の用紙を収容した通常印刷や通常トレイに再利用紙を収容したマーク付きの印刷を行なうことはできない。
これに対して、特許文献4では、マグネットの取付け位置を切り替えることで、専用トレイを通常トレイに、逆に通常トレイを専用トレイにと言うように、1つのトレイの使用目的を変更することができるが、マグネットの取付け位置を変更するハード的な作業を伴うので、その変更操作は簡単でない。
また、特許文献4では、トレイの用紙設定状態とジョブ内容とを考慮した処理フローについての具体的な開示がなく、トレイ選択と対応した給紙モードの設定状態とジョブモードの状態とに応じて、適切な用紙を用いた印刷処理を行なうにはどのようにしたらよいかは不明確である。このため、ユーザニーズとして、社内や個人用文書は使用済用紙を使いたい場合や使ってもよいという場合と、社外または正式文書は使用済用紙を使わない場合、というような切替要望に柔軟に応えることができず、使用済用紙の再利用に際し、使い勝手がよいものとなるか否かは不明である。
なお、特許文献2,3では、給紙トレイに再利用紙用のトレイがセットされているか否かに応じて処理が切り替るように記載されているが、セットや検出の具体的な仕組みは明確でない。
また、特許文献4,5では、専用トレイのカセット装着位置を予め決めておき、この決められた位置の給紙トレイが使用される際には使用済みの記録紙が給紙されるものと判断して、トレイ種別センサを不要としつつ、記録紙の背面にマークを書き込む仕組みを提案しているので、専用トレイとして設定するトレイ位置はメカニカルに固定されてしまい、専用トレイのカセット装着位置を自由に設定することができない。
また、使用済用紙が使用されているのか否かを示すマーキングを行なう従来の仕組みにおいて、使用済面にマークを書き込む特許文献1〜5に記載の仕組みでは、通常画像形成用の印字手段とは別に設けられた専用のマーキング手段を使用するか、もしくは用紙反転機構を利用して用紙を反転させた後に通常画像形成用の印字手段によりマーキングを行なうなど、専用の機構が必要であり、コストアップを招く。
また、用紙反転機構を利用する場合には、通常画像形成処理とは別に裏返してのマーキングが必要であり、その分だけ生産性が落ちるし、印刷ページ数のカウント処理が煩雑になる。なお、両面印刷機構を備えた装置の場合には、この装置に設けられる用紙反転機構を利用できるのでマーキング構造を実現するためのコストアップは生じないが、生産性の問題や印刷ページ数のカウント処理の問題に関しては解決されない。
また、使用済用紙が使用されているのか否かを示すマーキングを行なう従来の仕組みにおいて、新規印刷面にマークを書き込む特許文献1に記載の仕組み(図3(e)参照)では、専用の機構が不要でありコストアップは生じないが、無効であることを示す“使用済用紙無効”を印刷する場所に関しては具体的な開示がない。このため、印刷位置によっては、新規に印刷する通常画像とマーキングとが混ざり合う事態を招くことも考えられる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、特殊なメカ機構を要することなく、あるいは、既に印刷された記録媒体を普通用紙と同じ生産性や同じ使い勝手(使用の要領)で利用することを可能とし、トレイ選択やジョブモードとの組合せにおいても適切な用紙を用いた印刷処理やマーキング処理を行なうことができる仕組みを提供することを目的とする。
また本発明は、使用済面と新規印刷面の区別を可能にするべく、使用済用紙が使用されているのか否かを示すマーキングを行なう仕組みにおいて、マーキングが新規に印刷する通常画像に影響を与えることのない仕組み、さらに好ましくは専用の機構を要することのない仕組み、を提供することを目的とする。
本発明に係る第1の画像形成方法は、記録媒体を収容する収容部を、使用済の記録媒体を収容するものとして使用するのか未使用の記録媒体を収容するものとして使用するのかの指示である収容部設定指示を、ユーザインタフェースを介して受け付け、画像形成ジョブの内容(ここでは使用済用紙を利用するジョブであるのか否か)とユーザインタフェースを介して受け付けた収容部設定指示(その収容部が使用済用紙用として設定されているか否か)とに基づいて、実際に使用する収容部を決定(選択)する。この後に、この決定した収容部に収容されている記録媒体の画像形成部への給送と画像の形成とを制御する。具体的には、使用済用紙を利用するジョブの場合には使用済用紙用として設定されている収容部のみを選択候補とし、使用済用紙を利用するジョブでない場合には、両面が未使用の通常用紙用として設定されている収容部のみを選択候補とする。
本発明に係る第2の画像形成方法は、記録媒体を収容する収容部を、使用済の記録媒体を収容するものとして使用するのか未使用の記録媒体を収容するものとして使用するのかの指示である収容部設定指示を受け付けるとともに、片面処理であるのか両面処理であるのかを含む画像形成ジョブを受け付け、収容部設定指示と画像形成ジョブとに基づいて実際に使用する収容部を決定する。この後に、この決定した収容部に収容されている記録媒体の画像形成部への給送と画像の形成とを制御する。具体的には、片面処理のジョブの場合には使用済用紙用として設定されている収容部を含む全ての収容部を選択候補とし、両面処理のジョブの場合には、使用済用紙用として設定されている収容部を除く収容部すなわち両面が未使用の通常用紙用として設定されている収容部のみを選択候補とする。
なお、この第2の画像形成方法においては、収容部設定指示を受け付ける手法としては、ユーザインタフェースを介してのものに限らず、特許文献4,5のように、マグネットなどの収容部の機構的な設定を参照する仕組みを利用するものであってもよい。
本発明に係る第3の画像形成方法は、上記本発明に係る第1の画像形成方法と第2の画像形成方法とを組み合わせたものである。この場合、収容部設定指示を受け付ける手法としては、ユーザインタフェースを介してのものに限られる。
本発明に係る第1〜第3の画像形成方法においては、さらに、使用する収容部の決定手法を含む画像形成ジョブの内容を受け付け、それぞれ受け付けた、収容部設定指示と、収容部設定指示と、収容部の決定手法とに基づいて、使用する収容部を決定するようにするとよい。使用する収容部の決定手法としては、たとえば装置(具体的には制御部)の判断に委ねる“自動”、収容部の番号や位置を具体的に指定する“固定”、あるいは使用済用紙の使用を許可するか否かの“用紙依存”などを採り得る。
具体的には、“用紙依存”が設定されていない場合には、“自動”であれば使用済用紙用として設定されている収容部を含む全ての収容部を選択候補とし、“固定”であれば選択候補は指定されたそのものの収容部となる。また、“用紙依存”、具体的には使用済用紙依存が設定された場合には、“自動”であれば使用済用紙用として設定されている収容部のみを選択候補とし、“固定”であれば、先ず、使用済用紙用として設定されている収容部のみをユーザが指示できるようにすることで、選択候補が指定されたそのものの収容部となるようにする。
上記から分るように、本発明に係る第1〜第3の画像形成方法において、「画像形成ジョブの内容(使用済用紙を利用するジョブであるのか否かや、片面処理であるのか両面処理であるのか)と収容部設定指示(ユーザインタフェースを介して受け付けたものであるか否かは問わない)とに基づいて、実際に使用する収容部を決定する」に際しては、その時点で使用可能な収容部の中から、ジョブに不都合のない記録媒体が使用されるものとして設定されているものを選択することを意味する。
たとえば、その時点で使用可能な収容部が複数ある場合は、ジョブに不都合のない(ジョブ内容と整合する)用紙が使用されるものとして設定されているものを選択する。何れもジョブに不都合のある(ジョブ内容と整合しない)ものである場合には何れも選択せず、結果として、給送や画像形成を禁止する。「ジョブ内容と整合する」とは、たとえば、両面印刷ジョブであれば、両面ともに未使用の記録媒体であること、片面印刷ジョブであれば、少なくとも何れか一方の面が未使用の面を持つ記録媒体であること、を意味する。
また、その時点で使用可能な収容部が1つである場合には、その収容部がジョブに不都合のない(ジョブ内容と整合する)用紙が使用されるものとして設定されている場合には、この収容部から記録媒体を給送し画像を形成させ、ジョブに不都合のあるもの(ジョブ内容と整合しない)である場合には給送や画像形成を禁止する、あるいは、その使用済の記録媒体を収容している収容部から記録媒体を給送し、両面処理時であっても、複数の使用済用紙の未使用面のみを用いて処理を継続させる。
また、本発明に係る第4の画像形成方法は、記録媒体の使用済用紙側に画像を形成する際には、このことを示す付加情報を、画像が形成される領域とは異なる部分に形成することとした。なお、付加情報は、画像を形成する手段と同一の手段を用いて形成することが望ましい。
画像が形成される領域とは異なる部分としては、たとえば、新規面における、画像が形成される領域外の余白部分や、画像が形成される記録媒体とは異なる付加的な記録媒体を利用することができる。後者の場合、その付加的な記録媒体は、ジョブの表紙や裏表紙に付加するのとよい。
この第4の画像形成方法は、上記本発明に係る第1〜第3の画像形成方法と組み合わせることができる。
本発明に係る第1の画像形成装置は、上記本発明に係る第1の画像形成方法を実施するのに好適な装置であって、画像形成ジョブを受け付けるジョブ受付部と、記録媒体を収容する収容部を、使用済の記録媒体を収容するものとして使用するのか未使用の記録媒体を収容するものとして使用するのかの指示である収容部設定指示を、ユーザインタフェースを介して受け付ける収容部種別受付部と、ジョブ受付部が受け付けた画像形成ジョブの内容と収容部種別受付部が受け付けた収容部設定指示とに基づいて使用する収容部を決定し、この決定した収容部に収容されている記録媒体の画像形成部への給送と画像の形成とを制御する制御部とを備えるものとした。
本発明に係る第2の画像形成装置は、上記本発明に係る第2の画像形成方法を実施するのに好適な装置であって、片面処理であるのか両面処理であるのかを含む画像形成ジョブを受け付けるジョブ受付部と、記録媒体を収容する収容部を、使用済の記録媒体を収容するものとして使用するのか未使用の記録媒体を収容するものとして使用するのかの指示である収容部設定指示を受け付ける(ユーザインタフェースを介してのものに限らない)収容部種別受付部と、ジョブ受付部が受け付けた画像形成ジョブの内容と収容部種別受付部が受け付けた収容部設定指示とに基づいて使用する収容部を決定し、この決定した収容部に収容されている記録媒体の画像形成部への給送と画像の形成とを制御する制御部とを備えるものとした。
本発明に係る第3の画像形成装置は、上記本発明に係る第3の画像形成方法を実施するのに好適な装置であって、上記本発明に係る第1の画像形成装置と第2の画像形成装置とを組み合わせたものである。
本発明に係る第4の画像形成装置は、上記本発明に係る第4の画像形成方法を実施するのに好適な装置であって、使用済の記録媒体の使用済の面とは反対側の新規面に画像形成部が画像を形成する際には、このことを示す付加情報を、たとえば、新規面における、画像が形成される領域外の余白部分や、画像が形成される記録媒体とは異なる付加的な記録媒体を利用することで、画像が形成される領域とは異なる部分に形成させる付加情報出力制御部を備えるものとした。
付加情報出力制御部は、付加情報を、画像を形成する画像形成部を用いて形成させるものとするのがよい。
この第4の画像形成装置は、上記本発明に係る第1〜第3の画像形成装置と組み合わせることができる。
本発明に係るユーザ端末は、上記本発明に係る第1〜第4の何れかの画像形成装置と組み合わせて使用すると好ましいユーザ端末である。たとえば、第2や第3の画像形成装置との組合せにおいては、片面処理であるのか両面処理であるのかを含む画像形成ジョブを画像形成装置に指示する指示部を備えているものとすればよい。また、第4の画像形成装置との組合せにおいては、画像形成ジョブに使用する記録媒体が、使用済の記録媒体であるのか未使用の記録媒体であるのかを含む画像形成ジョブを画像形成装置に指示する指示部を備えているものとすればよい。さらに好ましくは、使用済の記録媒体であるのか未使用の記録媒体であるのかを、記録媒体を収容する収容部を指示することで指定する指示部を備えているものとすればよい。
なお、本発明に係る画像形成方法や画像形成装置あるいはユーザ端末は、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現することもでき、このためのプログラムやこのプログラムを格納した記録媒体を発明として抽出することも可能である。たとえば、ユーザ端末に備えられる指示部や表示制御部は、ユーザに操作画面を提示しその指示入力に基づいて画像形成装置を制御するソフトウエア(たとえばプリンタドライバ)によって実現することができる。プログラムは、コンピュータ読取り可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよいし、有線あるいは無線による通信手段を介して配信されてもよい。
本発明の第1〜第3の構成に依れば、記録媒体を収容する収容部を、使用済の記録媒体を収容するものとして使用するのか未使用の記録媒体を収容するものとして使用するのかの指示である収容部設定指示を受け付けるとともに、画像形成ジョブを受け付け、収容部設定指示と画像形成ジョブとに基づいて実際に使用する収容部を決定し、この後に、決定した収容部に収容されている記録媒体の画像形成部への給送と画像の形成とを制御することとした。このため、ジョブ内容に応じた適切な用紙を収容するものとして設定されている収容部(実際にそのような記録媒体が収容されているか否かは問わない)から記録媒体を画像形成部に給送して適切な画像形成処理を行なうことができる。
この際、たとえば、第1の構成のように、ユーザインタフェースを介して収容部設定指示を受け付ける構成とすれば、たとえば特許文献4のようなマグネットとセンサと言ったようなハードウェアによる手段を用いることなく、その指示に従って、使用済の記録媒体用としてあるいは未使用の記録媒体用として設定するように、収容部の使用目的を柔軟かつ自由に(臨機応変に)設定することができる。このため、収容部に実際にどのような記録媒体が収容されているか否かを問わず、ユーザインタフェースを介して収容部に設定した使用目的(実質上は使用済媒体であるか否かに相当)を参照することで、簡単、かつ即時に、またコストアップを招くことなく、ジョブ内容に応じた適切な収容部の選択ができ、適切な記録媒体を用いた画像形成処理や付加情報の形成処理を行なうことができる。
また、第2の構成のように、片面処理であるのか両面処理であるのかを含む画像形成ジョブを受け付けるようにすれば、片面処理であるのか両面処理であるのか拘らず、その時点で使用可能な収容部の中から、ジョブに不都合のない記録媒体が使用されるものとして設定されているものを選択して、この収容部から記録媒体を給送し画像を形成させることができる。たとえば、使用済用紙トレイは、片面印刷時にはそのトレイを使用させることができ、両面印刷時には自動的にそのトレイからの給紙を不可に制御することができる。
また、第3の構成のように、第1と第2の構成を組み合わせたものとすれば、上述したそれぞれの効果を享受できるので、一層柔軟な運用が可能となる。
なお、実際に給送される記録媒体が使用済の記録媒体であるのか否かを検出する手段を設けておらず、収容部の使用目的を設定することで間接的に用紙種別を設定する仕組みとしているので、収容部に設定した用紙種別の内容と実際に収容される記録媒体とが異なる場合には不都合が生じ得るが、この点は、トレイの設定情報を参照して印刷処理を行なう特許文献4,5と同様であり、本願発明においては、問題としないこととする。
また、本発明の第4の構成に依れば、記録媒体の使用済用紙側に画像を形成する際には、このことを示す付加情報を、画像が形成される領域とは異なる部分に形成するようにしたので、使用済記録媒体の再利用に際して、付加情報が新規に印刷する通常画像に影響を与えることなく、使用済面と新規面との区別を確実にし、使用済記録媒体の再利用を表裏の混同の恐れなく行なうことができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<画像処理システムの構成>
図1は、本発明に係る画像形成装置を備えた画像処理システムを示す概略図である。この画像処理システム1は、画像入力端末3および画像出力端末7を備える。
画像入力端末3は、デジタルドキュメント(以下単にドキュメントという)DOCを作成し、また編集などの処理をする、たとえばパソコン(パーソナルコンピュータ)3a、カラースキャナ3b、デジタルカメラ3c、またはハードディスク装置や光磁気ディスク装置あるいは光ディスク装置などのデータ格納装置3d、さらにはFAX装置3eなど、任意数の画像入力ソースを含み得る。
画像入力端末3のそれぞれには、ドキュメントDOC作成用のアプリケーションプログラムなどが組み込まれる。たとえば、画像入力端末3側にて用意されるドキュメントDOCを表す電子データは、画像出力端末7で処理可能な画像フォーマット(たとえば、JPEG、BMP、PNGなど)で記述される。またたとえば、パソコン3aで作成された文書ファイルは、たとえばプリンタなどで印刷出力するために、図形、文字などの拡大、回転、変形などが自由に制御できるページ記述言語(PDL:Page Description Language )で記載されたデータとして画像出力端末7に送られる。このPDLデータを受け取った画像出力端末7は、印字前に出力単位ごと(1ページごと)に画像データをレンダリング(描画展開)してから画像出力部(プリンタエンジン部)にラスタデータを出力する。
画像出力端末7は、本発明に係る画像形成装置の一例であって、たとえば複写機能、ページプリンタ機能、およびファクシミリ送受信機能を備えたいわゆる複合機(マルチファンクション機)で、デジタルプリント装置として構成されている。
この画像出力端末7は、大まかに、原稿を読み取る画像読取部10、入力された画像データに対して所望の画像処理を施す画像処理機能と端末全体の動作を制御する制御機能とを備えたコントローラ部20、およびコントローラ部20からの画像データに基づいて所定の記録媒体に可視画像を形成して出力する画像出力部30、および内蔵の給紙トレイ82あるいは手差しトレイ83の内の何れかから記録媒体としての印刷用紙を画像出力部30に搬送する給紙部80を備える。コントローラ部20は、画像読取部10と画像出力部30との境界部分に配された処理基板38上に設けられている。なお、各給紙トレイ82は、通常の使用に際して(たとえば、メンテナンス時を除いて)、装置本体に対して着脱不可能な構成のものであってもよいし、着脱可能なものであってもよい。
内蔵の給紙トレイ82としては、たとえば、A4,B4,A3の各サイズや使用済用紙(再利用用紙)や色紙など(図ではA4(通常紙)の82a,B4(通常紙)の82b,A4(使用済用紙)の82cの3段構成)、複数段が配される構造となっている。各給紙トレイ82は、使用済の記録媒体用としてあるいは未使用の記録媒体用として固定的に使用されるものではなく、画像出力端末7の操作パネル部15aやパーソナルコンピュータなどの画像入力端末における操作メニュー画面(たとえばプリンタドライバによる)などのユーザインタフェースを介したソフトウェア設定によって、用紙種別(ここでは、使用済の記録媒体であるか否か)の使用目的を自由に設定して使用することができるようになっている。たとえば、図では、給紙トレイ82cを使用済用紙(A4)として設定しているが、操作パネル部15aのトレイ設定メニュー画面(後述する図2(B)参照)から、直ちに、給紙トレイ82bを使用済用紙用のトレイとして設定することができる。複数の給紙トレイ(たとえば、82b,82c)を使用済用紙用として設定することもできる。
内蔵の各給紙トレイ82は、記録媒体としての印刷用紙のサイズを検知するための印刷用紙サイズ検知部88を有する。印刷用紙サイズ検知部88は、印刷用紙のサイズに対応する位置で、印刷用紙の先端をたとえば光学的に検出してサイズ検知信号を得、このサイズ検知信号をコントローラ部20に送る。
また画像出力端末7は、接続ケーブルやネットワークを介して外部機器に接続可能になっている。たとえば、接続ケーブル90は、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)型LAN(Local Area Network;たとえばIEEE802.3)やギガビット(Giga Bit)ベースのLAN(以下纏めて有線LAN8という)によりパソコン3aなどの画像入力端末3に接続される。
あるいは一般加入電話網(PSTN:Public Switched Telephone Network )9を介してFAX装置3eなどの画像入力端末3に接続される。なお、一般加入電話網PSTNに代えて、ISDN(Integrated Switched Digital Network )またはインターネットを含む他の通信媒体を利用してファクシミリをやり取りするようにしてもよい。
また、画像出力端末7は、たとえばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc. ;米国電気電子学会)1394規格のデバイス3fやUSB(Universal Serial Bus)2.0規格のデバイス3gなどとも接続可能となっており、これらのデバイス3f,3gからデジタル画像データを受け付けることもできる。あるいは、これらデバイス3f,3gを介してリモートで画像出力端末7を制御することもできるようになっている。
このような構成により、画像出力端末7は、前述のように、画像読取部10にて読み取った画像の印刷機能すなわち複写機能に限らず、接続ケーブル90を介してパソコンなどの画像入力端末から取得した文書データや画像ファイルなどに基づいて画像を印刷するいわゆるプリント機能や、電話回線やその他の通信インタフェースを介して取得したFAXデータやその他の画像データに基づいて印刷出力する機能も備えるようになる。
画像読取装置10は、プラテンカバーの機能も備え、原稿を図示しない読取台(プラテンガラス)上の読取位置まで搬送し排紙する循環機能のないドキュメントフィーダ(ADF(自動原稿搬送)装置)12と、装置使用のためのガイダンス情報や所定の情報処理結果や管理情報などを表示する操作パネル部15aやオペレータからの装置に対する種々の指示入力を受け付けるための操作キー部15bを有するユーザインタフェース部15とを有している。なお、操作パネル部15aや操作キー部15bに代えて、あるいはこれらとともに使用される大型ユーザインタフェースあるいはメンテナンス画面を備えたユーザインタフェース装置16を設けてもよい。
画像読取部10は、画像入力端末の機能を備えており、たとえばCCD固体撮像素子の全幅アレイを使用して、読取位置へ送られた原稿に光を照射することで、原稿上の画像を読み取り、この読み取った画像を表す赤、緑、青のアナログビデオ信号をデジタル信号へ変換し、コントローラ部20の画像処理機能部へ送る。
このようにして、読取りが完了すると、コントローラ部20の画像処理機能部は、画像読取部10からの赤、緑、青の画像データR,G,Bに基づいて、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のオンオフ2値化トナー信号を得、各トナー信号を画像出力部30に出力する。
画像出力部30は、画像形成ユニット32と、両面複写ユニット34と、排紙ユニット36と、1枚もしくは複数枚(図は複数枚で例示)の処理基板38とを含む。画像形成ユニット32は、画像読取装置10にて得られた画像信号により表される画像を、電子写真式、感熱式、熱転写式、インクジェット式、あるいは同様な従来の画像形成処理を利用して、普通紙や感熱紙上に可視画像を形成する(印刷する)すなわち複写する。このため、画像形成ユニット32は、たとえば画像出力端末7をデジタル印刷システムとして稼働させるためのラスタ出力スキャン(ROS)ベースのプリントエンジンを備える。
処理基板38には、画像出力部30用の処理部(特に画像処理部や制御部)だけでなく、コントローラ部20の画像処理機能部や画像出力端末7全体の種々の処理をするための回路が搭載される。たとえば、画像出力端末7内に構築された資源であるドキュメントフィーダ12、操作パネル部15a、画像読取部10の図示しない画像読取ユニット(スキャナ部)、画像形成ユニット32、両面複写ユニット34、排紙ユニット36、あるいは給紙トレイ82などを制御する回路が搭載される。この処理基板38には、半導体製の記憶媒体が搭載され、たとえば、複写アプリケーション、プリンタアプリケーション、ファクシミリ(FAX)アプリケーション、あるいは他のアプリケーション用の処理プログラムが格納される。
たとえば、画像読取装置10は、画像入力端末の機能を備えており、たとえばCCD固体撮像素子の全幅アレイを使用して、読取位置へ送られた原稿に光を照射することで、原稿上の画像を読み取り、この読み取った画像を表すアナログビデオ信号をデジタル信号へ変換し、コントローラ部20の画像処理機能部へ送る。
この画像読取装置10の読み取りに同期して、用紙が複数(A4,B4,A3)の給紙トレイ82の内の何れかから画像出力部30へ給紙されると、画像出力部30の画像形成ユニット32は、その用紙の一方の面に、コントローラ部20の画像処理機能部から送られたK,Y,M,Cのトナー信号に基づいて可視画像を形成する。
両面複写ユニット34は、一方の面に画像が形成された用紙を裏返し、再び画像形成ユニット32にその用紙を給紙する。これにより、画像読取装置10が読み取った画像が用紙の他方の面に形成され、両面複写が完了される。
画像形成ユニット32から排出される用紙あるいは両面複写済み用紙は、排紙ユニット36により、ページ順に連続的にあるいは1ページごとにソートされる。
<ユーザインタフェース部の構成>
図2は、ユーザインタフェース部15の一例を示した図である。図2(A)に示すように、ユーザインタフェース部15は、画像出力端末7の状態や画像出力端末7を使用するためのガイダンス情報や所定の情報処理結果や管理情報などをユーザに知らせたり、ユーザによる各種の設定などを受け付けたりするために、ユーザに対してメッセージを表示するための表示部としての操作パネル部15aと、操作の指示を行なうためのキー入力部としての操作キー部15bと備える。なお、操作パネル部15aは、表示の機能だけでなく、操作の指示を行なうためのタッチセンサの機能も含んでいる。この操作パネル部15aおよび操作キー部15bの制御は、図示しないパネルコントローラにて行なわれる。
操作キー部15bとしては、複写枚数などの置数や複写倍率などを入力するテンキー610、置数などを予め設定された標準値に戻すクリアキー620、画像出力端末7内部に設定された設定値を予め設定された標準値に戻すリセットキー622、複写動作を開始させるスタートキー630、および複写動作を中止させるストップキー632が設けられている。
また操作キー部15bとしては、複写モードとして、通常モード(片面モード)、両面モード、あるいは再利用モードを選択設定するモード設定キー642、およびすべての原稿の読込みが完了したとき、その旨を画像出力端末7に入力する読込み完了キー646が設けられている。なおモード設定キー642により設定されたモードが通常/両面/再利用の何れの状態にあるかを表示する表示LED650が設けられている。
また、操作キー部15bとしては、トレイ選択用のアップキーおよびダウンキーからなるトレイ選択キー670が設けられている。なおトレイ選択キー670により設定されたトレイに収容されている用紙サイズを示す表示LED672と、そのトレイが使用済用紙用として設定されているか否かを示す表示LED674と、トレイ選択が自動モードであることを示す表示LED676とが設けられている。
これにより、ユーザは、給紙トレイを具体的に指示する場合であっても、たとえば、社内または個人用文書であるのか社外または正式文書であるのかと言った文書内容に応じて、使用済用紙を使いたい、または使ってもよいを、具体的に指示することができる。勿論、トレイ選択を自動モードに設定しつつ、再利用モードを設定することでも、同様の対応は可能である。
操作キー部15bの、前記各キーから指示された情報は、ユーザインタフェース部15のパネルコントローラを介してコントローラ部20に通知される。
操作パネル部15aは、たとえば液晶タッチパネルにより構成されており、その表示画面には、画像出力端末7の各種モードに応じた各種のメニュー(GUI;Graphical User Interface)画面が表示される。たとえば、倍率設定、両面/片面選択、ジョブメモリ設定などの指定ができる基本画面や、使用済用紙を使用する再利用モードの設定ができる機能設定画面などが表示されるようになっている。
また、操作パネル部15aには、図2(B)に示すように、本実施形態特有のメニュー画面として、トレイ設定メニュー画面も表示可能になっている。ユーザは、このトレイ設定メニュー画面にて、給紙トレイA(82a),B(82b),C(82c)に対して、使用済の記録媒体用として使用するのか、それとも未使用の記録媒体用として使用するのかといった、用紙種別に対応するトレイの使用目的を自由に設定(図中黒丸が有効)して使用することができる。
図3は、ユーザインタフェース部15にて指示された、ジョブ内容で示される印刷面指示(片面/両面の別や、使用済用紙を利用するジョブであるのか否か)とトレイ選択モードの状態に応じて、コントローラ部20が行なう給送制御および印刷制御を纏めた図表である。コントローラ部20は、ユーザインタフェース部15にて指示された、印刷面指示とトレイ選択モード(再利用モードの有無の有無に応じた使用済用紙の選択可否を含む)の状態に応じて、適切なトレイを選択して印刷処理を実行させる。
なお、トレイ選択モードにおいて、用紙種類の選択に依存とは、受け付けた印刷ジョブ(画像形成ジョブ)が使用済用紙を利用するジョブであるのか否かに従うことを意味する。使用済用紙を利用するジョブである再利用モードがジョブ内容として指定された場合、トレイ選択モードは、トレイ選択モードは、用紙種類の選択に依存し、使用済用紙を利用するトレイが優先的となり、たとえばトレイ固定モードにする場合には、ユーザは使用済用紙を収容したトレイのみが指定可能になるし、自動選択モードの場合には、使用済用紙を収容したトレイのみを選択対象とする。この図表に従った具体的な動作に関しては、後で詳細に説明する。
<プリンタジョブのメニュー画面例>
図4は、ユーザ端末としての画像入力端末3において印刷指示を発する際のメニュー画面の一例を示す図である。このメニュー画面は、プリンタドライバによりOS(Operating Systems )を介して所定の表示デバイスに表示処理されるものであり、このメニュー画面上で、ユーザはプリントに必要な情報を設定することができる。
たとえば、図4に表示されている情報や設定内容として、一意的に決められている現在利用可能なプリンタやプリントサーバとしての画像出力端末7の名称、同じく一意的に決められているユーザID、これからプリントを行なう原稿のジョブ(ファイル)名、プリントする用紙サイズ、印刷枚数、指定されたページ内のプリントが可能なように、印刷のページ範囲の指定を設定することができる。プリンタ名(画像出力端末7を含む)を指定するとともにプロパティボタンBT47を押下すると、ページ割付(N−up)や拡大/縮小、あるいはカラー/モノクロなど、プリンタ側の詳細設定を行なうことができる。
加えて、本実施形態特有の部分として、印刷形態メニュー部分が設けられている。この印刷形態メニュー部分は、図2に示したユーザインタフェース部15の一部と同等のものであり、印刷モードとして、通常モード(片面モード)、両面モード、あるいは再利用モードを選択設定するモード設定ボタンBT40,BT41,BT42、トレイ選択用のアップボタンBT50aおよびダウンボタンBT50bからなるトレイ選択ボタンBT50が設けられている。また、トレイ選択として自動モードを設定する表示部を兼ねたボタンBT52が設けられている。このボタンBT52をクリックすれば、その表示部がハイライト表示され、トレイ選択が自動モードであることを示すようになる。
また、画像出力端末7からトレイ設定情報(サイズやその使用目的の情報)を受け取り、このトレイ設定情報に基づいて、トレイ選択ボタンBT50により選択されたトレイに収容されている用紙サイズを示す表示部LD50と、そのトレイが使用済用紙用として設定されているか否かを示す表示部LD52とが設けられている。これにより、ユーザは、画像形成装置(画像出力端末7側)のトレイ設定状態をユーザ端末側でも把握できるようになり、給紙トレイを具体的に指示する場合であっても、たとえば、社内または個人用文書であるのか社外または正式文書であるのかと言った文書内容に応じて、使用済用紙を使いたい、または使ってもよいを、具体的に指示することができる。勿論、トレイ選択を自動モードに設定しつつ、再利用モードを設定することでも、同様の対応は可能である。
ユーザは、この印刷形態メニュー部分にて、画像出力端末7のユーザインタフェース部15を介した指示と同様にして、印刷面指示、給紙トレイ(固定/自動)、並びに再利用モードの有無を指示する。この指示を受けたコントローラ部20は、図3に示したと同様にして、画像出力端末7側から指示された印刷面指示とトレイ選択モード(再利用モードの有無の有無に応じた使用済用紙の選択可否を含む)の状態に応じて、適切なトレイを選択して印刷処理を実行させる。
なお、ここでは、ユーザに操作画面を提示しその指示入力に基づいて画像形成装置(画像出力端末7)を制御するソフトウエアであるプリンタドライバによって、画像形成装置を制御する指示部や表示制御部を構成しているが、ソフトウェアに依らず、上述の処理を行なう指示部や表示制御部をハードウェア回路によって実現してもよい。このようなハードウェア回路の構成は当業者であれば容易に実現し得るものであるので、その構成の図示を割愛する。
<画像形成機能;その1>
図5は、上記構成の画像出力端末7における第1実施形態の画像形成機能に関わる機能ブロック図である。第1実施形態の画像形成機能を制御する制御機能部400は、画像出力端末7に備えられている給紙トレイ82a,82b,82cのそれぞれについて、搭載される用紙種類が使用済用紙であるか否かと対応したトレイの使用目的であるトレイ種別を設定するためのトレイ種別受付部(収容部種別受付部の一例)410を備えている。
また制御機能部400は、ユーザインタフェース(具体的には画像出力端末7の操作パネル部15a)を介して、印刷ジョブの内容を受け付けるジョブ受付部420と、トレイ種別受付部410が受け付けたトレイ種別を示すトレイ種別設定指示(収容部設定指示)J1と、ジョブ受付部420が受け付けたジョブ内容(詳しくは、印刷面情報J2およびトレイ選択モード情報J3)とに基づいて、給紙トレイを切り替えたり搬送ローラの駆動を制御したりすることで印刷用紙の画像形成部31への給送を制御する給送制御部450とを備えている。
トレイ種別受付部410は、操作パネル部15aを制御する機能部分の一部として設けてもよい。トレイ種別受付部410は、操作パネル部15aなどのユーザインタフェースを介して、給紙トレイ82a,82b,82cのそれぞれについて、使用済の記録媒体用としてしようするのか、あるいは未使用の記録媒体用として使用するのかのトレイ種別設定指示(収容部設定指示)J1、つまり使用目的とする用紙種別の設定指示を受け付け、その指示内容を給送制御部450に通知する。
ジョブ受付部420は、ジョブ内容が、片面処理であるのか両面処理であるのかを特定し、その情報である片面/両面を区別する印刷面情報J2を給送制御部450に通知する印刷処理内容特定部422と、実際の処理に際して使用し得る給紙トレイの決定手法をジョブ内容から特定し、その情報であるトレイ選択モード情報J3を給送制御部450に通知するトレイ選択モード特定部424とを有している。
給送制御部450には、操作パネル部15aなどのユーザインタフェースを介してジョブ受付部420が受け付けたジョブから印刷処理内容特定部422により抽出した印刷面情報J2が入力されるとともに、トレイ選択モード特定部424が抽出したトレイ選択モード情報J3が入力される。
トレイ選択モードの指定としては、使用するトレイを具体的に設定する態様であるトレイ固定モードと、トレイ選択を装置(具体的には給送制御部450)に任せる自動給紙モードを指定する態様と、使用可能な用紙種類(使用済用紙か未使用用紙か)の指定を介した間接的なトレイ指定の態様である用紙種別設定モード、の何れかのトレイ選択モードを指定することができる。
給送制御部450は、印刷ジョブモードにおいて、用紙種別設定部410を介して得られるトレイへの用紙設定の状態(搭載される用紙種類が使用済用紙であるか否か)と、トレイ選択モードの状態に従いつつ、印刷ジョブに不都合のない範囲でトレイ切替制御(トレイ選択と選択したトレイからの給送)と印刷制御を行なう。
たとえば、制御機能部400は、使用するトレイが具体的に指定されたときには、指定されたトレイが印刷ジョブに不都合のない場合に限って印刷処理を実行させる。また、トレイ切替えが許容される場合には、印刷ジョブに不都合を与えないトレイを給送制御部450により自動選択してから印刷処理を実行させる。このように、トレイ種別受付部410と給送制御部450とを設けることで、デバイス単位で使用済用紙を用いた印刷をする/しないを切り替えることができるようになる。
図6は、第1実施形態の画像形成機能を説明するフローチャートである。たとえば、印刷ジョブ(このフローでは複写ジョブ)が開始し、トレイ種別受付部410が、クライアントより自動給紙(給紙種類指定せず)と両面印刷ジョブの指示を受ける場合(S100)、給送制御部450は、給紙トレイ82a,82b,82cのうち、使用済用紙が設定された給紙トレイ以外のトレイを選択候補として自動給紙するようにすることで、印刷に供される用紙を切り替える(S102)。
両面印刷時の自動給紙(給紙種類指定せず)時に使用済用紙が設定された給紙トレイ以外を選択するのは、ユーザが積極的に使用済用紙の使用を指示していない限り、使用済用紙を使用しないようにするためである。また、使用済用紙を使用したのでは両面印刷が正常にできないので、両面印刷時に自動給紙が設定されている場合には、使用済用紙を使用しないようにする。
また、トレイ種別受付部410がクライアントより自動給紙(使用済用紙使用許可付き)と片面印刷ジョブの指示を受ける場合には(S100−NO,S110)、給送制御部450は、使用済用紙が設定された給紙トレイを含むトレイを選択候補として自動給紙を行なうように、印刷に供される用紙を切り替える(S112)。片面印刷時でかつ自動給紙(使用済用紙使用許可付き)時に使用済用紙が設定された給紙トレイを含むトレイを選択するのは、使用済用紙の使用をユーザが許可している場合には、使用済用紙を使用可能とするためである。つまり、片面印刷であれば、使用済用紙を使用しても正常に印刷できるので、この場合には、使用済用紙が設定された給紙トレイを含む全トレイを使用可能とする。
また、使用済用紙を使っている印刷ジョブ(使用済用紙印刷ジョブ)が指示される場合において途中より両面印刷ジョブに切り替わる場合には(S120)、制御機能部400は、トレイ選択指示(トレイ自動選択またはトレイ固定、用紙種類の指定など)に従い、給紙トレイ82a,82b,82cのうち、両面印刷できるトレイに自動的に切り替えるか、片面強制印刷する(S122,S124)。何れにするかは、事前に設定しておくとよい。あるいは、途中で両面に切り替わった時点でユーザに何れにするかの選択を促し、その選択肢に従って切り替えるようにしてもよい。
たとえば、トレイ自動選択が設定されていると、両面に印刷が可能な未使用用紙が収容されているトレイに切り替える。また、トレイの固定指示の元でのジョブであった場合において指定されたトレイが使用済用のトレイであった場合には、両面印刷ジョブに切り替ると、指定された使用済用のトレイから給送して2枚の使用済用紙を用いて、その新規印刷面に印刷(強制片面印刷)することで、両面分を印刷させる。トレイの具体的な指示がなく自動に設定されているが、用紙種類が使用済用紙に設定されている場合には、両面印刷ジョブに切り替ると、自動選択した使用済用のトレイから給送して2枚の使用済用紙を用いてその新規印刷面に印刷(強制片面印刷)することで、両面分を印刷させる。こうすることで、両面印刷ジョブ時に、使用中のトレイが使用済用紙用のトレイである場合にも、不都合なく印刷できる。
制御機能部400は、印刷ジョブが完了するまで、上記のようにして、適切な給紙トレイ82を選択して給送制御を行ないながら、印刷処理を実行する(S130)。
使用済用紙を用いた印刷処理時には、後述する第3実施形態のように、使用済用紙が使用されているのか否かを示す付加情報としてのマーキングを、使用済の面とは反対側の通常画像を形成する新規印刷面における、通常画像が形成される領域外の余白部分に、あるいは、通常画像が形成される用紙とは異なる用紙(ページ)に、通常画像を形成する手段と同一の手段を用いて形成する。
このように、第1実施形態の制御機能部400に依れば、画像出力端末7に備えられている給紙トレイ82a,82b,82cについて、収容される用紙種類が使用済用紙であるか否かを切替設定可能に構成したので、使用済用紙トレイは片面印刷時に自動的に切替可能となるし、両面印刷時(両面複写時)には自動給紙不可の制御を自動的に行なうことができる。
また、ジョブ実行に際しては、先ず、使用済用紙を利用するジョブであるのか否かや、片面ジョブであるのか両面ジョブであるのかといったジョブ内容と、トレイに対して設定されいてる使用目的とに基づいて、実際に使用するトレイを決定し、この後に、決定したトレイに収容されている用紙の給送や画像形成を行なうように制御することとしているので、たとえば使用済用紙トレイからの給送により使用済用紙を使っている片面印刷ジョブの途中で両面印刷処理に切り替わるような、片面印刷と両面印刷とが混在するジョブの場合であっても、常に適切な用紙を用いた印刷処理やマーキン処理を行なうことができる。この点は、特許文献1の実施例(図4)と大きく異なる点である。
また、操作パネル部15aなどのユーザインタフェースを介してトレイ種別の設定を行なうように構成しているので、マグネットの取付け位置を切り替える(たとえば特許文献4)など、トレイに対するメカニカルな設定やその設定を検知するセンサなどの特殊な構造(ユニークな機構)を要しないし、自由かつ即時にその設定状態を切り替えることができる。
このため、使用済用紙を用いた印刷と両面が未使用の普通紙を用いた印刷について、給紙トレイ82の選択モード指示を行なうことでだけで済み、同じ印刷機構を制御するだけで、適切な用紙を用いた印刷処理(複写処理)やマーキング処理を行なうことができる。また、その変更操作が簡単であるとともに、コストアップを招くことなく実現でき、加えて、使用済用紙印刷が普通紙印刷と同じ生産性で実現できるようになる。
<画像形成機能;その2>
図7は、上記構成の画像出力端末7における第2実施形態の画像形成機能に関わる機能ブロック図である。第2実施形態の画像形成機能を制御する制御機能部400は、その構成自体は第1実施形態の構成と同じであるが、ジョブ内容を、ユーザ端末(画像入力端末)からプリンタドライバ(端末上の操作画面からの指示)を介して受け取るようにしている点が異なる。ジョブ受付部420を介したトレイ選択モードの指定は第1実施形態と同様である。なお、プリンタドライバの給紙用紙種類の指定には、少なくとも使用済用紙設定を可能にする。
給送制御部450は、画像入力端末側としてのユーザ端末からの印刷データに基づく印刷ジョブモードにおいて、用紙種別設定部410を介して得られるトレイへの用紙設定の状態(搭載される用紙種類が使用済用紙であるか否か)と、ジョブ受付部420を介して取得したトレイ選択モードの状態に従いつつ、印刷ジョブ(ここではプリンタジョブ)に不都合のない範囲でトレイ切替制御(トレイ選択と選択したトレイからの給送)と印刷制御を行なう。
画像出力端末7に備えられている給紙トレイ82a,82b,82cの用紙種別の対応付けをユーザ端末に通知することで、ユーザ端末側から使用トレイを具体的に指定して(トレイ固定モード)、使用済用紙印刷する/しないを、ユーザ端末側から切り替えることがきる。また、自動給紙モードを設定する、あるいは用紙種別設定モードの設定とともに、使用済用紙印刷する/しないの指定を行なうことで、使用済用紙印刷する/しないをユーザ端末側から切り替えることもできる。
図8は、第2実施形態の画像形成機能を説明するフローチャートである。たとえば、プリンタドライバで使用済用紙以外(例:普通紙給紙)が指定される場合(S200)、ジョブ受付部420は、画像出力端末7に備えられている給紙トレイ82a,82b,82cのうち、使用済用紙トレイ以外のトレイを選択候補として自動給紙するように、印刷に供される用紙を切り替える(S202)。
また、プリンタドライバで使用済用紙が指定される場合には(S210)、ジョブ受付部420は、画像出力端末7に備えられている給紙トレイ82a,82b,82cのうち、使用済用紙トレイのみから自動給紙するように、印刷に供される用紙を切り替える(S212)。その他は、第1実施形態と同様である(S220〜S230)。
このように、第2実施形態の制御機能部400に依れば、プリンタドライバの給紙用紙種類の指定に使用済用紙設定を可能とし、その設定をジョブ受付部420にて受け付け、トレイへの用紙設定の状態(搭載される用紙種類が使用済用紙であるか否か)と、ジョブ受付部420を介して取得したトレイ選択モードの状態に従いつつ、印刷ジョブに不都合のない範囲でトレイ切替制御(トレイ選択と選択したトレイからの給送)と印刷制御を行なうようにしたので、第1実施形態と同様の使い勝手や効果を享受できるとともに、画像入力端末側から使用済用紙印刷する/しないを切り替えることができ、ジョブ単位で使用済用紙印刷する/しないを切り替えることができるようになる。
これにより、印刷ジョブの両面/片面指示により、使用済用紙を使用する/しないをデバイスで自動的に切り替えることができるため、画像入力端末7から離れた場所に設定された画像入力端末3からの印刷データに基づいて印刷を行なう場合であっても、業務印刷に使用済用紙を使うことが可能になるなど、トレイの用紙設定状態とジョブ内容とを考慮した処理フローを適切に制御できるようになる。
たとえば、社内や個人用文書には使用済用紙を使い、社外または正式文書は使用済用紙を使わないという指示を行なうことで、それに応じた適切な用紙が使用されて印刷が実行されるので、使用済用紙の再利用を行なう場合であっても、トレイ選択やジョブモードとの組合せにおいて適切な用紙を用いた印刷処理やマーキング処理の柔軟な運用が可能となり、使い勝手がよくなる。
<画像形成機能;その3>
図9は、上記構成の画像出力端末7における第3実施形態の画像形成機能に関わる機能ブロック図である。また、図10は、第3実施形態の画像形成機能における付加情報の出力例を示す図である。
第3実施形態の画像形成機能を制御する制御機能部400は、第2実施形態の構成に加えて、印刷ジョブの所定の用紙に使用済用紙が使用される旨のメッセージを付加情報として残すことでユーザに注意を促す付加情報出力制御部430を有している。なお、図示しないが、第1実施形態の構成に加えて、付加情報出力制御部430を備える構成としてもよい。
付加情報出力制御部430は、印刷ジョブモードにおいて、用紙種別設定部410を介して得られるトレイへの用紙設定の状態(搭載される用紙種類が使用済用紙であるか否か)と、トレイ選択モードの状態に従いつつ、給送制御部450が、印刷ジョブに不都合のない範囲で選択したトレイの情報である使用トレイ情報J4が入力される。
付加情報出力制御部430は、使用トレイ情報J4が使用済用紙であることを示している場合には、すなわち、使用済の記録媒体の使用済の面とは反対側の新規面に画像出力部30が画像を形成する際には、このことを示す付加情報を、画像が形成される領域とは異なる部分に形成させるよう制御する。
付加情報を印刷ジョブ中に差し込む処理は、付加情報出力制御部430の制御の元で、画像処理部20において画像データ上でなされる。こうすることで、付加情報を、通常画像を形成する手段と同一の手段を用いて、通常画像形成プロセス時に同時に形成することができるようになり、専用の機構が不要でありコストアップは生じないし、生産性の問題や印刷ページ数のカウント処理の問題も生じない。
メッセージ文は、通常の画像部分とは異なる出力濃度や出力色にして印刷するとよい。直感的に表現する色や濃度を使うことで、そのメッセージ文が目立ち、使用済用紙が使用されているのか否かを容易に判断できるようになる。
また、新規に印刷する通常画像と付加情報のマーキングとが混ざり合うことがないように、付加情報を埋め込む用紙の対象や位置を設定する。
このためには、たとえば、図10(A)に示すように、通常画像が形成される印刷用紙(記録媒体)とは異なる記録媒体(ページ)である専用の用紙(以下バナーシートという)を使用する態様を採ることができる。そして、このバナーシートに、使用済用紙が使用される旨のメッセージ文をマーキング(付加情報)として書き込んで通常の印刷ジョブ中に差し込む。たとえば、この付加的な記録媒体であるバナーシートは、ジョブの表紙や裏表紙として付加するのがよい。たとえば“次のページ以降は裏面へ”といったメッセージ文の場合には表紙へ、“ここまでのページは裏面へ”といったメッセージ文の場合には裏表紙へ差し込む。
また、付加情報を埋め込む用紙の対象としては、図10(B)に示すように、使用済用紙の使用済面とは反対側の通常画像を形成する新規印刷面における、通常画像が形成される領域外の余白部分(たとえば上下左右何れかの縁縁部)にメッセージ文やページ番号などを出力する態様を採ることもできる。この余白部分は、印刷内容に拘らず、一定の印字画像領域が割り当てられ、その領域の外側に設定されるもので、一般的には、上部の余白をヘッダ、下部の余白をフッタ、などと称しているものである。
たとえば、“裏面は使用済”といったメッセージや一連のページ番号を、全ての使用済用紙のヘッダやフッタに入れるとよい。あるいは、“次のページ以降は使用済用紙を使用”といったメッセージをジョブの最初のページにおけるヘッダやフッタに入れるとよい。
また、出力の束として、通常用紙を使用したジョブ結果と使用済用紙を使用したジョブ結果とが混在するようなケースでは、使用面の切替りの都度、バナーシートやヘッダやフッタに、あるページの情報として“次のページは裏面へ”、または、“次のページは別の用紙に”などといったメッセージを入れることで、使用面の切替り状態、つまり新規印刷面の連続過程が分るようにすることができる。
このように、印刷ジョブに使用済用紙が使用される場合に、印刷ジョブのバナーシートや使用済用紙の新規印刷面に、使用済用紙が使用される旨のメッセージを残すことで、ユーザに注意を促すことができ、仕上がり状態での表裏の区別がし易くなる。
また、通常画像を形成する手段と同一の手段を用いて付加情報を形成するように構成しているので、専用の機構が不要でありコストアップは生じないし、生産性や印刷ページ数のカウント処理の問題も生じない。
加えて、新規に印刷する通常画像と付加情報のマーキングとが混ざり合うことがないように、バナーシートや使用済用紙における新規印刷面の余白分に付加情報を埋め込むようにしているので、マーキングが新規に印刷する通常画像に影響を与えることがない。
なお、使用済用紙が使用される旨の付加情報を残す仕組みは、次のような場合にも応用することができる。たとえば、使用済用紙トレイが選択されて印刷ジョブが進行している過程で、使用済用紙紙用として使用される給紙トレイに表裏が逆向きで置かれる用紙を検知すると、その用紙に対する通常の印刷を行なわないで、無効な用紙である旨のメッセージを残して排紙し、次の正常な使用済用紙に通常の印刷を行なう。
こうすることで、仕上がり時に、このような用紙が混在しても区別することができる。また、通常の印刷をスルーさせているのでトナーの無駄を生じることもない。なお、トナーの無駄を生じるけれども、表裏が逆向きで置かれる用紙を検知したときには、その用紙に対する通常の印刷を行ないつつ無効な用紙である旨のメッセージも残して排紙し、その後、次の正常な使用済用紙に、改めて通常の印刷を行なうようにしてもよい。
1…画像処理システム、3…画像入力端末、7…画像出力端末(画像形成装置)、10…画像読取部、15…ユーザインタフェース部、20…コントローラ部、30…画像出力部、49…排紙ユニット、50…両面複写ユニット、60…ADF装置、80…給紙部、82…給紙トレイ、90…接続ケーブル、400…制御機能部、410…トレイ種別受付部、420…ジョブ受付部、422…印刷処理内容特定部、424…トレイ選択モード特定部、430…付加情報出力制御部、450…給送制御部