以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照しながら説明する。本発明に係る払出制御機構を適用した弾球遊技機の一例として、図1および図2にパチンコ機の正面図および背面図を示しており、まず、これら両図を参照してパチンコ機PMの全体構成について要約説明する。
パチンコ機PMは、外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成された開閉搭載用の前枠2が互いの正面左側上下に配設されたヒンジ機構3により前方に横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉止状態に保持される。
前枠2の表側(前面側)上部には、ガラス扉5が前方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉止状態に保持される。ガラス扉5の背後に位置する前枠上部には、遊技盤20を着脱可能に収容する収容枠が設けられており、この収容枠に立設姿勢で係止保持された遊技盤20がガラス扉5を通して視認されるようになっている。
遊技盤20は、所定板厚の積層合板の表面にセルを貼り付けてルーター加工した化粧板21を基板とし、前面側に内外の案内レール22が円弧状に固設されて略円形の遊技領域PAが区画形成される。遊技領域PAには、多数本の遊技釘とともに風車や各種の入賞具23,24,25、遊技の展開状況に応じた図柄を表示させる図柄表示装置27、左右のサイドランプなどの遊技構成部品が取り付けられ、遊技領域PAの下端部にアウト口28が形成されている。化粧板21の裏面側には中央部に図柄表示装置27の作動を制御する図柄表示制御装置87が取り付けられ、その周囲には各入賞具に落入して化粧板21の裏面側に導かれたセーフ球、およびアウト口28を通って化粧板21の裏面側に導かれたアウト球(これらをまとめて「遊技済み球」という)を、化粧板21の背面に沿って裏セット盤30の遊技済み球排出通路に導く球寄せカバー29が取り付けられている。
前枠2の表側中間部には、遊技補助盤と称される補助機構部が設けられるとともに、その前方に上球皿6が前方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、正面右側に設けられた球皿施錠装置を利用して常には遊技補助盤の前面を覆う閉止状態に保持される。前枠2の裏面下部には遊技球発射装置9が取り付けられており、遊技補助盤には遊技球発射装置9のハンマーに叩打された遊技球をガイドして外レールに向けて発射させる発射レール、遊技の展開状況に応じた効果音を発生させるスピーカなどが設けられている。
前枠2の表側下部には、下球皿7が前方に突出して取り付けられ、その右側には遊技球の発射操作を行う発射ハンドル8が取り付けられている。
一方、前枠2の裏側(後面側)には、化粧板21の背面に沿って導かれた遊技済み球を集合させて流下させ遊技島の回収装置に排出する遊技済み球排出通路や、所定の払い出し条件に応じて遊技球を払い出す球払出制御機構などの球処理機構を有する裏セット盤30が、前枠2の後方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、常には遊技盤20の裏面を覆う閉止状態に保持される。
裏セット盤30は、中央部に遊技盤の図柄表示制御装置87を受容する窓口32を有し外枠1の内寸サイズよりも幾分小さめの方形枠状に形成された基枠体31をベースとし、その表裏に遊技済み球排出通路や球払出制御機構、球抜き機構等の球通路が立体的に形成された前後二層構造になっている。また基枠体31の背面各部には、パチンコ機PMの作動を統括的に制御する主制御装置81や、遊技球の払い出し作動を制御する球払出制御装置82、効果照明や効果音の作動制御を行うランプ・音声制御装置83、各制御装置や電子部品に電力を供給する電源ユニット84、遊技施設側と信号や電力の入出力を行うターミナル基板85等の各種制御装置や回路基板、球払出装置53等の電子部品が取り付けられ、これらが図示しないコネクタケーブルで接続されてパチンコ機PMが作動可能に構成される。
パチンコ機PMは、上球皿6およびガラス扉5が閉止施錠された状態で遊技に供され、上球皿6に遊技球を貯留させて発射ハンドル8を回動操作することにより遊技が開始される。発射ハンドル8が回動操作されると、上球皿6に貯留された遊技球が上球皿の背面に装着された球送り装置によって1球ずつ発射レールに送り出され、遊技球発射装置9のハンマーに打ち出されて遊技領域PAに発射され、以降パチンコゲームが展開される。
さて、このように概要構成されるパチンコ機PMにあって、遊技領域PAに発射された遊技球が各入賞具に落入したときの遊技球の払い出し処理について、関連する各部の構成をもう少し詳しく説明する。遊技盤に設けられる入賞具には、その外観意匠や入賞時の動作を含めて種々の形態のものがあり、ゲージ設定に応じてどのような形態の入賞具を用いるものであってもよいが、例えば図1に例示した遊技盤20では、一般入賞具23、始動入賞具24、アタッカー装置25の3種類の入賞具を設けた例を示している。
一般入賞具23は、遊技球が落入可能な入賞口を有する固定入賞具であり、入賞口の内部に遊技球を検出する入賞検出センサ23sが取り付けられている。一般入賞具23の後部には落入したセーフ球を化粧板21の裏面側に導くセーフ球誘導路が設けられており、一般入賞具23に落入したセーフ球は入賞検出センサ23sに検出され、セーフ球誘導路および遊技済み球排出通路を通って遊技島の回収装置に排出される。
始動入賞具24は、いわゆる電動チューリップ型の可動入賞具であり、左右のチューリップ羽根を開閉させて入賞口を拡大・縮小変化させることができる。始動入賞具24の後部には入賞したセーフ球を化粧板21の裏面側に導くセーフ球誘導路が設けられるとともに、この誘導路を流下する遊技球を検出する入賞検出センサ24sが取り付けられており、始動入賞具24に入賞したセーフ球が入賞球検出センサ24sに検出され、セーフ球誘導路および遊技済み球排出通路を通って遊技島の回収装置に排出される。
アタッカー装置25は、いわゆるアタッカー型の可動入賞具であり、横長方形状の大入賞口を覆う開閉扉が開閉可能に取り付けられている。開閉扉は通常閉止されており、遊技中における所定の入賞条件の下で特別遊技状態が成立したときに、開閉扉の上部が前方にほぼ90度倒されて大入賞口が開放される。大入賞口の内部には左右二つの領域開口が設けられて各々に入賞検出センサ25s,25tが設けられるとともに、アタッカー装置25の後側に上記二つの領域開口に繋がって化粧板21を貫通する二つのセーフ球誘導路が設けられており、大入賞口に落入したセーフ球はいずれかの領域開口を通って入賞検出センサ25s,25tに検出され、セーフ球誘導路および遊技済み球排出通路を通って遊技島の回収装置に排出される。
入賞検出センサ23s,24s,25s,25tの検出信号は主制御装置81に出力されており、主制御装置81は入力された検出信号に基づいてパチンコ機PMの作動を制御する。例えば、始動入賞口24に遊技球が落入し入賞検出センサ24sから入賞検出信号が出力されると、主制御装置81は入力信号から、遊技球が入賞具に落入したこと、および入賞した入賞具が始動入賞口24であることを検知し、この入賞条件に応じた遊技プログラムを呼び出して実行する。具体的には、主制御装置内で図柄の組み合わせ抽選を行うとともに、図柄表示制御装置87に抽選結果を出力して図柄表示装置27に表示される図柄を変動および停止制御させ、停止図柄の組み合わせに応じた作動、例えばランプ・音声制御装置83を介してサイドランプの点滅表示やスピーカによる効果音の発生等を行わせる。また球払出制御装置82に入賞条件に応じた払出指令信号を出力して球払出装置53を作動させ遊技球の払い出し作動を行わせる。
一方、常には遊技盤20の背後に位置して閉止保持される裏セット盤30に、遊技球の払い出し作動を行う球払出制御機構が設けられている。球払出制御機構を含む裏セット盤の右枠杆33部分の背面図を図3に、右枠杆内部の球通路の状態を示す背面図を図4に示しており、既に概要説明した図15を併せて参照しながら、案内通路等の基本構成および球払出装置の作動について説明する。なお球払出機構の主要部は裏セット盤30の裏面側に設けられており、背面図を主として参照しながら説明するため、以降では図2に示す背面図における左右方向を左方または右方と称し、紙面直交方向の向こう側(パチンコ機前面側)を前方、手前側(同裏面側)を後方と称して説明する。
球払出制御機構は、裏セット盤30における基枠体31の左上部に取り付けられて遊技球を貯留する球貯留タンク41、基枠体31の右枠杆33の下部に取り付けられて遊技球の払出を行う球払出装置53、球貯留タンク41と球払出装置53との間を結んで設けられ球貯留タンク41に貯留された遊技球を整列させて球払出装置53に導く案内通路、球払出装置53の下方に設けられて球払出装置から払い出された遊技球を上下の球皿6,7に導く球払出通路60、基枠体31の背面下部に取り付けられて球払出装置53の作動を制御する球払出制御装置82、および案内通路に設けられて球払出装置53に作用する遊技球の圧力を調圧する受圧制御ユニット100などから構成される。
球貯留タンク41は、上面開放の箱状体をなし、タンク内部に500〜800個程度の遊技球を貯留可能になっている。球貯留タンク41の底面は緩く左傾および前傾して形成され左前方には上下連通する開口部が形成されて下方の案内通路に繋がっている。案内通路は、球貯留タンク41から供給された遊技球を流下させる過程で整列させる整列通路、整列通路で整列された遊技球を受けて下方の球払出装置53に導く待機通路とからなり、整列通路は球貯留タンクの直下に取り付けられたタンクレール42内に、待機通路は右枠杆33に取り付けられたS字レール52の前後に形成される。
タンクレール42は、窓口32上方の基枠体31にねじ止めされた取付姿勢において前後の壁面に囲まれた樋状体をなし、底面には右方に向けて高さが高くなるリブ状の仕切壁42wが立設されて樋内に前後二列の整列通路42a,42bが形成される。タンクレール42は左上方の球貯留タンク41側から右下方の待機通路側に向けて約4度の傾斜角で取り付けられるとともに、通路中間部には上下方向に積み重なった遊技球を平らに均す球均し具43が垂設されており、球貯留タンク41から供給された遊技球が傾斜下流に向けて流下する過程で整列され、右枠杆33の上部では前後二列の整列通路42a,42bに整列された状態て待機通路側に流下される。タンクレール42の傾斜端部すなわち整列通路42a,42bの終端部は下方に滑らかに折り曲げられ、下端に開口する偏向出口42eで待機通路と繋がっている。
右枠杆33には、偏向出口42eから送り出された遊技球を受けて待機通路52a,52bに整列状態で待機させるS字レール52と、このS字レール52の下側に取り付けられて待機通路に待機された遊技球を所定の払出条件に基づいて払い出す球払出装置53、および右枠杆33に支持されたS字レール52の後方を覆って取り付けられS字レール52の前後面に上記二列の待機通路を形成させる蓋部材58などが取り付けられる。また、偏向出口42eとS字レール52との間には、遊技球の払い出しを行い得る充分な遊技球が待機通路52a,52bに保持されているか否かを検出するための球有検出センサ51が着脱可能に取り付けられ、球払出装置53の払出口と球払出通路60との間には、払い出された遊技球を検出してその実数を計数するための球計数センサ54,54が係脱可能に設けられている。
S字レール52は、中間に形成された仕切壁52wと、この仕切壁を挟む前後面に遊技球の球径よりも幾分大きめの間隔をおいて左右平行に立設された通路壁52L,52Rとを有し、仕切壁52wの前後に通路壁52L,52Rで囲まれた凹状の通路溝が形成されている。前後の通路溝は図4に示すように屈曲して形成されており、上流側に位置する遊技球の自重による球圧が下流側で加重されて過大な圧力にならないようになっている。S字レール52は通路溝の清掃容易化等のため基枠体31と別体に構成されており、右枠杆33に立設された支持ボス34に嵌挿して位置決め支持させ、後方から蓋部材58をねじ固定することにより右枠杆33に固定される。
S字レール52が右枠杆33に固定されると、前後の通路溝の開放部が前方の右枠杆33の支持面と後方の蓋部材58とに覆われて前後二列の待機通路52a,52bが形成される。S字レール52における上方の通路壁の一部は切り欠かれており、常にはこの切り欠き部に相当する通路壁55aが形成された流路切り替え部材55により閉鎖されている。S字レール52の下端部は球払出装置53の受容口と位置整合して形成され、偏向出口42eから導入された遊技球を前後二列の整列状態で球払出装置53に導くとともに、球払出装置の停止時に遊技球を待機通路52a,52bに整列状態で待機させる。
球払出装置53は、上部中央の前後に待機通路52a,52bと連絡して遊技球を受容する受容口53a,53b、下部の左右に遊技球を払い出す払出口53c,53dが形成されるとともに、ケース内部には前後二段のインペラを有する球送り回転体53rと、球送り回転体を回転させる球払出モータ53mとが設けられている。球送り回転体53rの前列側のインペラ53r1および後列側のインペラ53r2には、それぞれ遊技球を受容するU溝状の受容部が120度間隔で三カ所設けられるとともに、前後のインペラはそれぞれ受容部の角度位置が60度オフセットして形成されている。このため、受容口53a,53bから供給された遊技球は、球送り回転体53rの回動に伴って前後のインペラ53r1,53r2の受容部に交互に受け入れられ、受容部の回動により右または左のカセット内通路に1個ずつ移動され左右いずれかの払出口53c,53dから球払出通路60に払い出される。
球払出制御装置82には、主制御装置81から遊技盤20における入賞条件に応じた払出指令信号が入力されており、球払出制御装置82は主制御装置81から入力された払出指令信号に応じたモータ駆動信号を球払出装置53に出力し、球払出装置53は入力されたモータ駆動信号に基づいて球払出モータ53mを作動させ、球送り回転体53rを時計廻りまたは反時計廻りに所要の回転角度分だけ回転させて、モータ駆動信号に対応する数量の遊技球を右または左の払出口53d,53cから球払出通路60に払い出す。
また、プリペイドカードユニット90が接続されたいわゆるCR機では、上球皿6の前面側に球貸要求ボタンを有するCR操作パネル92が設けられてその出力信号が球払出制御装置82に入力されており、球払出制御装置82は、CR操作パネル92から入力された球貸要求信号に応じたモータ駆動信号を球払出装置53に出力し、球払出装置53は入力されたモータ駆動信号に基づいて球払出モータ53mを作動させ、球送り回転体53rを反時計廻りまたは時計廻りに所要の回転角度分だけ回転させ、モータ駆動信号に対応する数量の遊技球を左または右の払出口53c,53dから球払出通路60に払い出す。
球払出口53c,53dから払い出された遊技球は、球計数センサ54,54により通過が検出され、球払出制御装置82は球計数センサから入力された検出信号から払い出された遊技球の数量をカウントしてモータ駆動信号に係る目標数量と比較し、球払出装置53の作動を制御する。これにより、主制御装置81から入力される払出指令信号やCR操作パネル92から入力される球貸要求信号に応じた数量の遊技球が球払出通路60に払い出され、球払出通路60を転動流下して上球皿6または下球皿7に払い出される。
なお、待機通路の上部に設けられた球有検出センサ51は、この球有検出センサが配設された上部位置まで遊技球が整列待機されているか否かを検出することで、遊技球の払い出しを不足なく行い得る数量(例えば35球程度)の遊技球が保持されているか否かを判定するためのセンサであり、その検出信号が球払出制御装置82に出力されている。球払出制御装置82は球有検出センサ51から入力された検出信号が球無し状態であるときに、球払出装置53の作動を規制し所定のアラームを発生させる。
また、整列通路の下流部には上部球止め機構が設けられ、待機通路の上流部には上部球抜き機構が設けられている。上部球止め機構は、偏向出口42eの上方に位置して基枠体31の支持面と平行な面内に揺動可能に枢支された球止め部材45からなる。球止め部材45には、前後の整列通路42a,42bの配設位置に合わせて鉤状のフック部が形成されており、球止め部材45を反時計廻りに揺動させて前後のフック部を整列通路に突出させることで、フック部よりも上流側に位置する遊技球の流下を止めることができるようになっている。
上部球抜き機構は、右枠杆33の裏面側に右枠杆の支持面と平行な面内に揺動可能に枢支された流路切り替え部材55と、右枠杆33の前面側に右枠杆の支持面と直交方向に揺動可能に取り付けられた操作部材56、および待機通路を開放したときに溢れ出る遊技球を遊技島の回収装置に導く球抜き通路57などから構成される。
流路切り替え部材55の下部には、S字レール52の切り欠き部に相当する壁面形状を有する通路壁55aが形成され、中間部に形成された支軸孔で右枠杆の枢支軸35に揺動自在に枢支されている。流路切り替え部材55は、操作部材56の係合突起との係合により常にはS字レールの切り欠き部を塞ぐ閉止位置に保持され、上流側から供給された遊技球が前後二列の待機通路52a,52bにより整列状態で球払出装置53に導かれる。一方、操作部材56の操作レバー部が後方に揺動操作されると、係合突起と流路切り替え部材との係合が解除されて流路切り替え部材55が反時計廻りに揺動し、解放された切り欠き部から溢れ出た遊技球が球抜き流路57を介して遊技島の回収装置に流下される。
このため、上部球止め機構を利用して遊技球の流下を規制し、上部球抜き機構を利用して球抜き操作を行うことにより、球貯留タンク41やタンクレール42に貯留された遊技球を全量球抜きすることなく、球有り検出センサ51の近傍に位置する遊技球のみを球抜きして、球有り検出センサ51の保守点検や交換作業を行うことができるようになっている。
さて、以上のように構成される払い出し機構における待機通路52a,52b中間部に受圧制御ユニットが設けられ球払出制御機構が構成される。以下図5〜図12の各図を参照して受圧制御ユニット100の構成および作用について詳細に説明する。なお、図5は受圧制御ユニット100を左斜め後方から見た分解斜視図、図6は図4中のVI−VI矢視方向に見た平断面図、図7は図4中のVII−VII矢視方向に見た側断面図である。また図8は球払出制御機構の制御形態を主として示すブロック図、図9は球払出制御機構におけるソレノイドと球払出モータの駆動タイミングを示すタイミングチャート、図10および図11は受圧部材を受圧位置に変位させたときの遊技球の係止状態を示す背面図、図12は球止めキーにより球止め状態にしたときの受圧制御ユニット100の背面図である。
受圧制御ユニット100は、大別的には、S字レール52に揺動可能に支持されて、上流側に貯留された遊技球から作用する圧力を受け止めて下流側の遊技球に作用する圧力を減免させる受圧位置Pr、上流側に貯留された遊技球から作用する圧力を減免させずに下流側の遊技球にそのまま伝達させる解放位置Pf、および上流側に貯留された遊技球を堰き止めて遊技球が下流側に流下することを規制する球止め位置に変位可能に設けられた受圧部材120、蓋部材58に取り付けられて受圧部材120を受圧位置または解放位置に変位させる受圧部材駆動機構130、受圧部材120を球止め位置に係止させる球止め構造140などから構成される。本実施例では、受圧部材120の揺動角度位置における受圧位置Prと球止め位置とを同一の揺動角度位置に設定した形態(共通化した形態)を示す。
受圧部材120は、全体としては左右に延びる舌片状をなし、本体プレート部の右端側に前後に分けて形成された円筒状の軸受部121、本体プレート部の左端側に、次述する受圧突起挿通部の形成位置に合わせて下向きの鉤状に突出成型された前後二カ所の受圧突起122a,122b、本体プレート部の下面中央部に下向きに突出成型された先細り形態のバネ支柱123、本体プレート部の左端側中央部が延出されて左方に延びる操作摘み124などからなり、ガラス繊維または炭素繊維を添加してじん性を強化したABS樹脂やナイロン樹脂ポリアセタール樹脂などの樹脂材料を射出成型等の成形手段により一体成型して構成される。受圧突起122a,122bは待機通路52a,52bに遊技球の球径の10〜30%程度の突出量で張り出し得る高さに形成される一方、本体プレート部は上下方向に同程度弾性変形し得るように構成されている。
S字レール52には、支軸125を介して前後の軸受部121を支持する支軸ボス111、前後の待機通路52a,52bの形成位置に合わせて通路壁52Lに開口形成された前後の受圧突起挿通部112a,112b、受圧部材のバネ支柱123と対峙する壁面位置に開口周縁で戻しバネ126を支持しつつ支柱先端部を受容可能に形成された支柱受容孔113などが形成されている。なお、後列側の待機通路52bにおける通路壁の後部は蓋部材58側に形成されており(図6および図7を参照)、このため後列側の受圧突起挿通部112bは後方に開いた切り欠き状になっている。
受圧突起挿通部112a,112bは、S字レール52の屈曲部に前後の待機通路52a,52bの通路中心に合わせて形成され、この待機通路の下流側、受圧突起と球送り回転体53rとの間に入賞条件に応じて払い出される遊技球の数量(本実施例では賞球払い出しにおける最大払出数量15個)を満たす遊技球を停留可能に構成されている。
受圧部材120は、軸受部121を支軸ボス111の前後に位置させて同軸上に位置合わせし、軸受部121の前方または後方から支軸ボス111に支軸125を嵌挿することでS字レール52に上下揺動自在に枢支される。そして、バネ支柱123の基端部に戻しバネ126を嵌着して支柱受容孔113の周縁に支持させることで、受圧部材120が上向き(時計廻り)に付勢され、受圧突起122a,122bが受圧突起挿通部112a,112bの上方に待避して配設される。
一方、受圧部材駆動機構130は、ソレノイド駆動信号によりロータ軸131aを回動させるロータリー形態のソレノイド131、ロータ軸131aの先端部に固定されたカム型の駆動伝達具132から構成される。
ソレノイド131は、ケースとこのケース内に収められた駆動コイルおよびヨーク、ケースに回動可能に支持されたロータ軸、ロータ軸131aを基準角度位置に戻すリターンスプリングおよびストッパなどからなり、駆動コイルにソレノイド駆動信号を通電したとき(ONしたとき)にロータ軸131aが背面視における反時計廻りに所定角度内で回動され、ソレノイド駆動信号をOFFにしたときにロータ軸131aが時計廻りに回動して基準角度位置に戻る自己復帰型のロータリソレノイドである。ロータ軸131aの先端には、駆動伝達具132を嵌着支持して回転駆動力を伝達するための平坦な面取り部が形成されている(不図示)。
一方、駆動伝達具132は、各図に示すように卵形のカムであり、カム軸の中心にロータ軸131aの軸端形状と同一形状でわずかに小さめの寸法を有する軸孔が前後貫通して形成され、周面には外周方向に突出するカム突起132tが形成されている。駆動伝達具132は、例えばポリアセタール樹脂や高分子ポリエチレンなどのように摩擦係数が小さく、耐摩耗性の高い樹脂材料を用い射出成型等の成形手段により形成される。
ソレノイド131のケースには、外周方向に張り出すフランジ部131bが軸対称位置に二カ所設けられ、このフランジ部131bにソレノイド131を固定するためのネジ挿通孔が形成されている。蓋部材58には、ソレノイドのロータ軸131aを挿通させるロータ軸挿通孔58a、およびソレノイド固定ネジ138を受容してソレノイド131を所定角度位置に固定支持するソレノイド支持ボス58bが形成されている。また右枠杆33の支持面および蓋部材58の前面には、支軸125の前後端部を受容支持する軸受容穴39,59が形成されている。
ソレノイド131は、ロータ軸131aをロータ軸挿通孔58aに挿通させ、フランジ部131bをソレノイド支持ボス58bに支持させて、ネジ挿通孔の後方からソレノイド固定ネジ138を通してソレノイド支持ボス58bに螺合締結することで、蓋部材58に所定角度位置で固定支持される。また蓋部材58の前面側に突出したロータ軸131aの先端部に駆動伝達具132を圧入することで駆動伝達具132がソレノイド131に取り付けられる。
こうしてソレノイド131および駆動伝達具132が取り付けられた蓋部材58を、S字レール52の後方を覆うように配設し、前端部が軸受容穴39に支持された支軸125の後端部を蓋部材前面側の軸受容穴59に係合させて位置合わせし、蓋部材58の後面側から支持ボス34、枢支軸35等にネジ固定することで、受圧部材駆動機構130が右枠杆33に位置決めされて取り付けられる。受圧部材駆動機構130が取り付けられると、駆動伝達具132はカム突起132tが左斜め下方を向く所定角度位置に配設され、受圧部材120が駆動伝達具132と係合して受圧制御ユニット100が形成される。そしてソレノイド131の信号線を球払出制御装置82に接続することで、受圧制御ユニット100の作動が球払出制御装置82によって制御される。
受圧制御ユニット100の取付状態、すなわちソレノイド駆動信号がOFFの状態では、受圧部材120が戻しバネ126のバネ力により時計廻りに付勢されて本体プレート部の上面が駆動伝達具132のカム側面と係合し、前後の受圧突起122a,122bが受圧突起挿通部112a,112bの上方に待避した動角度位置に保持される(図4中の部分拡大図を参照)。このため、待機通路52a,52bを流下する遊技球は受圧突起122a,122bに接触することがなく、待機通路52a,52bを球払出装置53に向けてそのまま流下する。
従って、図3および図4に示す揺動角度位置では、受圧制御ユニット100は受圧部材120よりも上流側に貯留された遊技球から作用する圧力を下流側の遊技球にそのまま伝達させる。このように、上流側に貯留された遊技球から作用する圧力を減免させることなく下流側の遊技球にそのまま伝達させる揺動角度位置を解放位置Pfという。球払出制御機構では、遊技球の払い出しが開始される以前においては、原則として受圧部材120がこの解放位置Pfに配設されている。
一方、球払出制御機構では遊技球の払い出しが開始されるときに受圧部材駆動機構130を作動させ受圧部材120を揺動させる。以下では、図8に示した球払出制御機構における制御構成のブロック図、および図9に示したソレノイド131と球払出モータ53mのタイミングチャートを参照しながら球払出制御機構の動作を中心に説明する。なお図9における(a)(b)(c)の各図は遊技盤20における入賞条件やCR操作パネル92の球貸し要求ボタンによる球貸しなど、払出条件が相違する場合の制御タイミングを例示したものである。
主制御装置81には、各入賞具の入賞検出センサ23s,24s,25s,25tから検出信号が入力されており、主制御装置81は各入賞検出センサから入賞検出信号が入力されたときに、当該入賞検出信号から入賞条件を判断し入賞条件に基づいた払出指令信号を球払出制御装置82に出力する。例えば、入賞検出信号が一般入賞具23の入賞検出センサ23sまたは始動入賞具24の入賞検出センサ24sから入力されたときには、主制御装置81は、これらの入賞具23,24に入賞したときの払出数量が少数個(例えば4個あるいは8個)に該当することを内部メモリーに設定記憶されたテーブルから判断し、当該少数個に対応した払出指令信号C1を球払出制御装置82に出力する。また入賞検出信号がアタッカー装置25の入賞検出センサ25s,25tから入力されたときには、主制御装置81は大入賞口に入賞したときの払出数量が多数個(例えば15個)に該当することを同様に判断し、多数個に対応した払出指令信号C2を球払出制御装置82に出力する。
球払出制御装置82には、主制御装置81から入力される上記払出指令信号C1,C2に加えて、CR操作パネル92から球貸要求信号C3が入力されている。球貸しは一般に25個を単位として行われており、球貸要求信号はこの25個の払い出しを要求する信号である。
球払出制御装置82にこれらの信号が入力されると、球払出制御装置82は、まず球有検出センサ51の検出信号を参照し、払い出しを行うのに充分な数量の遊技球が待機通路の上部まで貯留待機されているか否かを判断する。そして検出信号が球無し状態であるとき(例えば球有検出センサ51の接点がオープンのとき)には主制御装置81に球切れ信号を出力し、主制御装置81は、球払出装置53の作動を規制するとともに、パチンコ機前面の球切れ表示ランプを点灯させ、またターミナル基板85を介して遊技施設側の管理装置に球切れ信号を出力するなどのアラームを発生する。
一方、球有検出センサ51の検出信号が球有り状態であるとき(球有検出センサ51の接点がクローズのとき)には、受圧制御ユニット100および球払出装置53にそれぞれ駆動信号を出力して遊技球の払い出しを行わせる。
ところで、球払出制御装置82に入力された払出指令信号C1,C2および球貸要求信号C3は、それぞれ異なる個数の払い出しを求める信号である。そこで球払出制御装置82は入力された払出指令信号等C(C1,C2,C3)から、払い出すべき数量(払出条件)に応じたモータ駆動信号M1,M2,M3を生成し、球払出装置53の球払出モータ53mに出力する。また球払出制御装置82は、受圧制御ユニット100のソレノイド131を駆動するソレノイド駆動信号S1,S2,S3を生成し、ソレノイド131に出力する。
図9(1)(2)(3)に、それぞれ球払出数量が少数個(1)、多数個(2)、球貸し(3)で、それぞれ複数回連続動作させたとき(複数の払出指令信号等Cが蓄積されて連続払出状態のとき)のモータ駆動信号M1,M2,M3と、ソレノイド駆動信号S1,S2,S3との関係をタイミングチャートで示すように、ソレノイド駆動信号S(S1,S2,S3)はモータ駆動信号M(M1,M2,M3)と同期して、モータ駆動信号Mが出力される直前(換言すれば球払出モータ53mの回転起動前)にONになり、モータ駆動信号Mが出力されて所定時間経過後(球払出モータ53mの回転起動後)にOFFになるパルス状の駆動信号である。
すなわちソレノイド駆動信号SがONされる時点では、球払出モータ53mは未だ回動しておらず、整列通路42a,42bおよび待機通路52a,52bには、遊技球が前後二列に整列されて上流の球貯留タンク41から下流の球払出装置53まで密に繋がった状態で貯留されている。
ソレノイド駆動信号SがONになると、ソレノイド131のロータ軸131aが反時計廻りに回動して駆動伝達具132を回動させ、カム突起132tが受圧部材120の本体プレート部を下向きに押圧する。このため受圧部材120が支軸125を中心として反時計廻りに揺動され、受圧突起122a,122bが受圧突起挿通部112a,112bを通って待機通路52a,52bに突出する(図4→図10)。
このため、待機通路52a,52bに整列状態で停留していた遊技球は、多くの場合には図10に示すように受圧突起122b(122a)に引っ掛けられて係止され、また稀には図11に示すように受圧突起122b(122a)の先端部と通路壁52Rとの間に挟み込まれて係止保持される。前述したように、受圧部材120は、本体プレート部が受圧突起の突出量と同程度上下に弾性変形し得るように構成されており、上記のように遊技球が挟持された場合でも、ソレノイド131や駆動伝達具132、受圧部材120等に無理な負荷を作用させることなく、遊技球は受圧突起122a,122bの先端部に摩擦係合された状態で弾性的に係止保持される。なおソレノイドの発生する回転トルクとの平衡点でバランスさせ弾性的に係止保持させる構成としてもよく、このような構成によれば受圧部材120を金属板で形成することも可能である。
これにより、上流側に貯留された遊技球から作用する圧力が受圧部材120に受け止められ、上流側からの圧力が下流側の遊技球に作用することがない。このように、上流側に貯留された遊技球から作用する圧力を受圧部材120が受け止めて、下流側に位置する遊技球への圧力を減免させる揺動角度位置(本実施形態においては免除させる揺動角度位置)を受圧位置Prという。なお、揺動可能に支持された受圧部材120の本体プレート部を、カム型の駆動伝達具132により押圧して揺動させる間接作動形態により、ソレノイド131のロータ軸に受圧部材120を取り付けて直接揺動させる直接作動形態に比べて小型のロータリソレノイドを用いて構成することができる。
受圧部材120が受圧位置Prに移動した状態では、受圧部材120よりも下流側に整列待機された遊技球に作用する圧力が大幅に軽減され、球払出モータ53mには、このように圧力が軽減された状態、より具体的には受圧突起122a,122bと球送り回転体53rとの間に位置する15〜18球の自重程度に軽減された状態で、球払出制御装置82からモータ駆動信号Mが出力される。
モータ駆動信号M1,M2,M3は、払い出し数量に相当する回転角度分、球送り回転体53rを時計廻りまたは反時計廻りに回動させる信号であり、例えば少数個の払出指令信号C1が4個の場合には球払出モータを240度、8個の場合には480度、時計廻りに回動させるモータ駆動信号M1を出力して球送り回転体53rを回動させ、右側の払出口53dから球払出通路60に払い出す。多数個の払出信号の場合も同様であり、15個の払出指令信号C2に対して球払出モータを900度(2.5回転)時計廻りに回動させるモータ駆動信号M2を出力して球送り回転体53rを回動させ、右側の払出口53dから球払出通路60に払い出す。また球貸要求信号C3(25個)の場合には、球払出モータを1500度(4回転と60度)反時計廻りに回動させるモータ駆動信号M3を出力して球送り回転体53rを回動させ、左側の払出口53cから球払出通路60に払い出す。
モータ駆動信号Mが出力されて所定時間(例えば50〜200ms程度の時間)が経過すると、球払出制御装置82はソレノイド駆動信号SをOFFにする。ソレノイド駆動信号がOFFになると、ソレノイド131に内蔵されたリターンスプリングの弾性力によりロータ軸131aが時計廻りに回動されて駆動伝達具132が基準角度位置に戻り、受圧部材120が戻しバネ126の弾性力により時計廻りに揺動されて受圧突起122a,122bが受圧突起挿通部112a,112bの上方に待避して解放位置Pfに戻り、それまで受圧突起に係止されていた遊技球が待機通路52a,52bを流下する。そして球送り回転体53rの回転起動に伴って待機通路52a,52bを先に下動する遊技球に追いつき滑らかに払い出される。
こうして球払出口53c,53dから払い出された遊技球は、左右の球計数センサ54,54により通過が検出され、球払出制御装置82は球計数センサ54から入力された検出信号から払い出された遊技球の実数をカウントしてモータ駆動信号Mに係る目標数量と比較し、球払出モータ53mの作動を制御する。これにより、遊技盤20における入賞条件やCR操作パネル92から入力される球貸要求等の払出条件に応じた数量の遊技球が球払出通路60に払い出され、球払出通路60を転動流下して上球皿6または下球皿7に払い出される。
遊技球の払い出し作動は、払出指令信号Cが複数蓄積されている場合、例えば払出指令信号C2がn個蓄積されている場合には、各払出指令信号C2に対応して1作動ずつn回繰り返して行われ、ソレノイド駆動信号S2はモータ駆動信号M2の出力ごとに、モータ駆動信号M2の立ち上がりに先立って出力される。このため、球払出装置53にとって最も大きな回転トルクが必要とされる回転起動時に、受圧部材120が上流側の遊技球の圧力を受けて球払出モータ53mに対する負荷を軽減させ、これにより、比較的小型のモータを用いた球払出装置でも適正な払出作動を確保することができる。また球払出モータ53mのみならず、球送り回転体53rや受容口等に対する負荷をも大幅に軽減できるため、長期間安定して作動させることができる。
なお、例えばソレノイド131の近傍にLED等の発光素子137を設けるとともに、球払出制御装置82から発光素子137を点滅させる発光制御信号をソレノイド駆動信号Sと同時に出力させ、ソレノイド131の駆動時に発光素子を点灯させるように構成することも好ましい。このような構成によればソレノイド131の駆動時、すなわち受圧部材120が受圧位置Prに揺動されたときに発光素子137が点灯され、受圧制御ユニット100の作動状況を裏セット盤30の背面側から容易に目視確認することができる。
また、以上では、球払出制御装置82に入力される払出指令信号等Cが、少数個または多数個の球払出指令信号C1,C2であるか球貸し要求信号C3であるかによらず、球払出装置53の作動時全てについて受圧制御ユニットの作動を制御する制御形態を例示したが、入力される信号の種別に応じて作動状態を変化させ、あるいは払い出される遊技球の数量や払い出しの連続状況等に応じて、作動状態を適宜変更して構成すること(例えば、少数個の払出指令信号C1が複数蓄積されているような場合には、最初の払出作動時のみ受圧制御ユニットを作動させるように構成すること等)も可能である。
球払出制御機構には、以上説明した球払出モータ53mの回転起動時の負荷を軽減させる圧力制御機能に加えて、遊技球の流下を人為的に止め得る球止め機能が具備されている。この機能は、球止め構造140により実現され、例えば球払出装置53の点検作業や交換作業などのように、球貯留タンク41に貯留された遊技球を全量球抜きする必要がなく、かつ上部球抜き機構では抜ききれない待機通路内の遊技球を球抜きするときに利用される。
球止め構造140は、受圧部材120に形成された操作摘み124、右枠杆33の側壁に形成されたキー受容孔141、および受圧部材120を球止め位置に係止保持させる球止めキー145などから構成される。
キー受容孔141は、受圧部材120の左方に位置する右枠杆33の側壁が一部切り欠かれて操作摘み124を挿通可能に形成され、図4〜図6および図10の各図に示すように、受圧部材120を解放位置Pf〜受圧位置Prの間で揺動させたときの操作摘み124の昇降範囲よりも幾分大きめの開口高さを有して形成されている。操作摘み124は、解放位置Pfではキー受容孔141の上方に位置し、先端部がわずかに開口から突出した状態で配設されている。
球止めキー145は、図12に示すように、キーブロック部145aと摘み部145mとからなり、キーブロック部145aは操作摘み124の前後幅の半分程度の厚さを有して形成される。キーブロック部145aの先端部は、受圧部材120を受圧位置Prに位置させたときの操作摘みの傾き角に合わせてテーパ状に形成され、平坦な係合面145bが形成されている。またキーブロック部145aの上面には、操作部材120を受圧位置Prに位置させて、係合面145bを操作摘み124の上面に係合させたときの、キー受容孔141の開口上縁の位置に合わせて段差状のロック部145cが形成されている。
また、前述したように、解放位置Pfでは受圧部材120が戻しバネ126のバネ力によって時計廻りに付勢され、本体プレート部の上面が駆動伝達具132のカム側面と係合し、受圧突起122a,122bが受圧突起挿通部112a,112bの上方に待避した揺動角度位置で弾性的に保持されている。
このため、操作摘み124に指を掛け、戻しバネ126のバネ力に抗して下方に押圧操作すると、受圧部材120を反時計廻りに揺動させることができ、受圧突起122a,122bが待機通路52a,52bに突出した受圧位置Prに変位させることができる。そこで、受圧部材120を一定程度揺動させてキー受容孔141に球止めキー145を挿入し、キーブロック部145aの先端側をキー受容孔141に緩挿させる。すると受圧部材120が反時計廻りに揺動されてキーブロック下面側の係合面145bが操作摘み124の上面と係合し、キーブロック上面側のロック部145cがキー受容孔141の開口上縁と係合して球止めキー145が係止され、受圧部材120が受圧位置Prにロック保持される。これにより、上流側に停留された遊技球は受圧突起により下流側への流下が規制される。
この状態では、球止めキー145が操作摘み124の上面とキー受容孔141の開口上縁との間に挟持され、さらに戻しバネ126のバネ力を受けてロック部145cの係合が保持されるため、例えば裏セット盤30が揺らされたり、上流側に貯留された遊技球から作用する圧力が変動したりしても、受圧部材120が解放位置Pr側に戻ってしまうようなことがない。そこで、遊技施設の係員は、一般入賞具23や始動入賞具24に複数の遊技球を落入させ、あるいはアタッカー装置25の開閉扉開かせて大入賞口に遊技球を投入し、またはCR操作パネル92の球貸しボタンを押圧操作するなどにより球払出装置53を作動させて遊技球を払い出させることで、受圧突起122a、122bと球送り回転体53rとの間に停留する遊技球を短時間で全量球抜きすることができ、これらの停留球をまき散らすことなく球払出装置53の点検作業や交換作業などを容易に行うことができる。
球払出装置53の点検作業等を終えた後、球止め状態を解除するには、球止めキー145を挿抜方向から見て時計廻りまたは反時計廻りに回動させてロック部145cとキー受容口141上縁との係合を解除し、そのまま球止めキー145を抜去すればよい。すると受圧部材120が戻しバネ126のバネ力により時計廻りに揺動し、本体プレート部が駆動伝達具132のカム側面と係合する解放位置Pfに復帰する。
従って、以上説明したような球払出制御機構によれば、比較的小型のモータを用いた球払出装置でも適正な払出作動を確保することができるため装置の小型化および低廉化を実現でき、また負荷を軽減することで長期間安定して作動させ得る払出制御機構を提供することができるとともに、球止めキーを用いて受圧部材を変位させる簡明な装置構成で保守作業性の良好な払出制御機構を提供することができる。
なお、本実施例では、下流側の遊技球に作用する圧力を減免させる受圧位置と、遊技球の流下を規制する球止め位置とを同一の揺動角度位置にして共通化した実施例を示したが、例えば、受圧突起の突出量(すなわち受圧部材の揺動角度位置)に差異を設ける等により両者を異なる位置として構成してもよい。このような構成によれば、受圧位置では小さい揺動変位量で迅速な作動を確保し、球止め位置では大きな突出量で確実な球止めを実現することができる。
図13は、受圧部材120における受圧部の他の構成例を斜視図で示したものである。本構成例では、受圧部材の先端部に前後の待機通路位置に合わせて円孔を形成するとともに、この円孔に先端が半球状の受圧ピン127を圧入または接着等により固定して受圧部を形成している。このような構成によれば遊技球と係脱する部材としてより好適な材料を選択して受圧ピン127を形成することができる。例えば受圧部材としては用いることが困難なウレタンゴムやイソプレンゴム、シリコンゴム等のゴム材料を用いて受圧ピン127を形成することにより、受圧ピン自身のゴム弾性を利用して遊技球を弾性的に保持させることができる。一方、硬度の高い合金鋼に硬質クロムメッキ等を施して受圧ピン127を形成することにより、耐摩耗性が高く長期にわたって部品交換を要しない球払出制御機構を提供することができる。
図14は、受圧部材120の支持機構部に関する他の構成例、駆動機構130に関する他の構成例等を分解斜視図で示している。まず前述した実施例では後列側の待機通路52bにおける通路壁の後方部分が蓋部材58に形成されていたが、本構成例では、前後の通路壁をともにS字レール52に形成しており、これにより仕切壁52wを挟む前後面を対称に構成するとともに蓋部材58の前面形態を簡明化することができる。またS字レール側の支軸部111′を前後の縁部にフランジ状に形成するとともに、揺動部材120′の軸受部121′を1本の円筒形状にして揺動支持機構の構成を簡明化している。なお図中に二点鎖線で示すように、駆動機構130は、駆動伝達具132′を昇降させる直動形態の駆動機構130′を用いて構成してもよく、また直動型あるいはロータリー型のソレノイド等の駆動源を裏セット盤30の前面側に設ける構成であってもよい。