JP2005123450A - 積層セラミック電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 界面における接合強度を損なうことなく、相互拡散領域を低減し、設計の融通性を向上させることができる積層セラミック電子部品を実現する。
【解決手段】 第1の磁性体層1と第2の磁性体層2との間に第1及び第2の中間層3、4が介在されており、第1の中間層3は、第2の磁性体層2と同一組成を有し、第2の中間層4は、第1の磁性体層1と同一組成を有している。
【選択図】 図1
【解決手段】 第1の磁性体層1と第2の磁性体層2との間に第1及び第2の中間層3、4が介在されており、第1の中間層3は、第2の磁性体層2と同一組成を有し、第2の中間層4は、第1の磁性体層1と同一組成を有している。
【選択図】 図1
Description
本発明は積層セラミック電子部品に関し、より詳しくは組成の異なるセラミック層が積層された積層インダクタ、積層コンデンサ、積層LC部品等の積層セラミック電子部品に関する。
組成の異なるセラミック層を積層した積層セラミック電子部品は、今日、ノイズ対策等、各種用途向けに広く使用されている。
ところで、組成の異なるセラミック層を単に積層して焼成した場合、セラミック層に含有されているセラミック成分が、一方のセラミック層から他方のセラミック層に相互に拡散し、電子部品の特性劣化を招くという欠点がある。
図5は、組成の異なる2つのセラミック層(セラミック層A、セラミック層B)中の特定成分Xについて、両セラミック層の焼成処理前後における濃度分布を示している。横軸はセラミック層の積層方向の距離、縦軸は特定成分Xの濃度である。
すなわち、セラミック層A及びセラミック層Bに共に含有される特定成分Xの組成比率が異なる場合、例えば、特定成分Xの濃度(含有量)についてセラミック層Bの方がセラミック層Aよりも濃い場合、焼成処理前は特定成分Xのセラミック層A及びセラミック層B中の特定成分Xの濃度は、図5(a)のようになる。
しかしながら、焼成処理を行なうと、図5(b)に示すように、特定成分Xは、濃度の濃いセラミック層Bから濃度の薄いセラミック層Aに拡散し、その一部がセラミック層A中に混入する。すなわち、セラミック層Aとセラミック層Bとの界面から距離dで示すセラミック層Aの領域に特定成分Xがセラミック層Bから拡散し、一方セラミック層B中の特定成分Xの濃度は、前記界面近傍ではセラミック層A内に拡散した分量だけ低下する。そして、このような拡散現象は、セラミック層Aとセラミック層Bとの間で濃度差が存在する各成分組成について生じ、例えばセラミック層Aの方がセラミック層Bよりも濃度が濃いセラミック成分については、セラミック層Aからセラミック層Bの内部に拡散する。
このように組成の異なるセラミック層を単に積層して焼成した場合、セラミック層Aとセラミック層Bとの界面近傍でセラミック成分の相互拡散が生じ、電子部品の特性が劣化するという欠点があった。
そこで、従来より、図6に示すように、透磁率の異なる磁性体層51、52の間に非磁性体からなる中間層53を一体に介在させた積層セラミック電子部品(積層インダクタ)が提案されている(特許文献1)。
この特許文献1は、第1のコイル導体55が埋設された低透磁率の第1の磁性体層51と、第2のコイル導体56が埋設された高透磁率の第2の磁性体層52とを有し、第1のコイル導体55と第2のコイル導体56とが接続導体57で接続されると共に、第1の磁性体層51と第2の磁性体層52との間には非磁性フェライト等の非磁性体からなる中間層53が介在され、かつ磁束の変化により短絡電流を流すショートリング54が前記中間層53に埋設されている。そして、第1の磁性体層51、第2の磁性体層52、及び中間層53とでフェライト素体58を構成し、該フェライト素体58の端面には端子電極59a、59bが形成されている。
特許文献1では、第1の磁性体層51と第2の磁性体層52との間に非磁性体からなる中間層53を介在させており、これにより焼成時における第1及び第2の磁性体層51、52からの磁性体成分の相互拡散に起因した磁気特性の劣化領域を極力低減させることができ、所望のインダクタ特性を保持した磁性体層51、52を有する積層インダクタを得ることが可能となる。
また、他の従来技術としては、図7に示すように、コンデンサ導体61が埋設された誘電体セラミック層62とコイル導体63が埋設された磁性体セラミック層64との間に結晶化ガラスを主体とする中間層65を介在させた積層LC部品も知られている(特許文献2)。
この特許文献2では、結晶化ガラスを主成分とする中間層65を誘電体セラミック層62と磁性体セラミック層64との間に介在させることにより、特許文献1と同様、誘電体セラミック層62及び磁性体セラミック層64に含有されているセラミック成分が相互拡散するのを防止している。
しかしながら、特許文献1では、中間層53が非磁性体材料で形成されており、第1及び第2の磁性体層51、52とは母材が異なるため、焼成した場合に中間層53と第1の磁性体層51及び第2の磁性体層52との接合強度が弱いという問題点があった。
また、特許文献2も、中間層65は結晶化ガラスを主成分としているため、特許文献1と同様、中間層65が誘電体セラミック層62や磁性体セラミック層64と母材が異なり、このため焼成処理を行なった場合、中間層65と誘電体セラミック層62及び磁性体セラミック層64との接合強度が弱いという問題点があった。
一方、焼成時における相互拡散の影響を極力排除するためには、図8に示すように、例えば、第1の磁性体層71及び第2の磁性体層72にそれぞれ埋設されている第1のコイル導体73と第2の導体コイル74との離間距離tを相互拡散距離mよりも大きくする方法が考えられる。
しかしながら、第1の導体コイル73と第2の導体コイル74との離間距離tを相互拡散距離mより大きくするとチップサイズの大型化を招くのみならず、相互拡散距離mの領域では磁性体の特性が劣化するため、設計の融通性が低下する。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、組成の異なるセラミック層を積層した場合であっても、界面における接合強度を損なうことなく、相互拡散領域を低減して設計の融通性を向上させることができる積層セラミック電子部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係る積層セラミック電子部品は、組成の異なるセラミック層間に中間層が介在された積層セラミック電子部品において、前記中間層が複数層からなり、一方のセラミック層と接する中間層は、他方のセラミック層と同一組成を有し、前記他方のセラミック層と接する中間層は、前記一方のセラミック層と同一組成を有していることを特徴としている。
上記積層セラミック電子部品によれば、中間層が複数層からなり、一方のセラミック層と接する中間層は、他方のセラミック層と同一組成を有し、前記他方のセラミック層と接する中間層は、前記一方のセラミック層と同一組成を有しているので、一方のセラミック層から他方のセラミック層への拡散は、前記一方のセラミック層と同一組成を有する中間層が障壁となり、また前記他方のセラミック層から前記一方のセラミック層への拡散は、前記他方のセラミック層と同一組成を有する中間層が障壁となる。そしてこれにより、セラミック層に含有される各セラミック成分間の相互拡散を効果的に抑制することができ、したがって特性劣化領域を低減させることができ、設計の融通性を向上させることが可能となる。
次に、本発明を実施の形態を図面を参照しながら詳説する。
図1は本発明に係る積層セラミック電子部品としての積層インダクタの一実施の形態を模式的に示す断面図であって、該積層インダクタは、第1の磁性体層1と第2の磁性体層2との間に、第1及び第2の中間層3、4が介在され、該第1、第2の磁性体層1、2、第1及び第2の中間層3、4でフェライト素体5を形成している。
第1の磁性体層1には第1のコイル導体6が埋設されると共に、第2の磁性体層2には第2のコイル導体7が埋設され、さらにフェライト素体5の両端面には端子電極8a、8bが形成されている。また、第1のコイル導体6の引出部6aは端子電極8aに電気的に接続されると共に、第2のコイル導体7の引出部7aは端子電極8bに電気的に接続されている。尚、ここでは図示していないが、第1のコイル導体6と第2のコイル導体7とは、ビアホールによって接続されている。
第1の磁性体層1は、初透磁率が200以下の低透磁率材料で形成され、第1の磁性体層1と第1のコイル導体6とで高周波数用インダクタンスを形成している。また、第2の磁性体層2は、初透磁率が第1の磁性体層1より高い高透磁率材料で形成され、第2の磁性体層2と第2のコイル導体7とで低周波数用インダクタンスを形成している。
すなわち、第1及び第2の磁性体層1、2は、同一組成系のフェライト材料(例えば、Fe−Ni−Cu−Zn系フェライト材料)で形成されると共に、斯かるフェライト材料の組成比を調整することにより初透磁率を制御し、これにより低透磁率を有する第1の磁性体層1及び高透磁率を有する第2の磁性体層2がそれぞれ形成されている。
そして、第1の中間層3は、第2の磁性体層2と同一組成からなる磁性体材料で形成され、第2の中間層4は第1の磁性体層1と同一組成からなる磁性体材料で形成されている。これにより焼成処理を行なっても第1の中間層3は第2の磁性体層2から第1の磁性体層1への磁性体成分の拡散障壁となり、また第2の中間層4は第1の磁性体層1から第2の磁性体層2への磁性体成分の拡散障壁となる。そしてその結果、相互拡散距離Mが生じるのを極力抑制することができ、第1の磁性体層1及び第2の磁性体層2における磁気特性劣化領域を低減することが可能となる。
図2は第1及び第2の磁性体層1、2、第1及び第2の中間層3、4に含有される特定成分Xについて、焼成処理前後の濃度分布を示している。横軸が積層方向の距離、縦軸は特定成分Xの濃度である。
すなわち、前記特定成分Xについて、第2の磁性体層2の方が第1の磁性体層1よりも濃度が濃い場合、第1の中間層3は第2の磁性体層2と同一組成を有し、第2の中間層4は第1の磁性体層1と同一組成を有することから、焼成処理前は図2(a)のような濃度分布を有している。
そして、焼成処理を行なうと、特定成分Xは、濃度の濃い第2の磁性体層2から濃度の薄い第1の磁性体層1に拡散しようとするが、図2(b)に示すように、第2の磁性体層2と同一組成を有する第1の中間層3が第1の磁性体層1に隣接されているので、該第1の中間層3の存在が特定成分Xの第1の磁性体層1への拡散の障壁となり、したがって、第1及び第2の中間層3、4が介在されていない場合に比べ(図5参照)、拡散距離Dを低減することができる。
一方、前記特定成分Xの濃度が、第2の磁性体層2よりも第1の磁性体層1の方が濃い場合は、特定成分Xは、上述とは逆方向、すなわち第1の磁性体層1から第2の磁性体層2に拡散しようとするが、第1の磁性体層1と同一組成を有する第2の中間層4が第2の磁性体層2に隣接されているので、該第2の中間層4の存在が特定成分Xの第2の磁性体層2への拡散の障壁となり、第1及び第2の中間層3、4が介在されていない場合に比べ、拡散距離Dを低減することができる。
すなわち、焼成処理における成分拡散は、個々の磁性体成分について濃度の濃い方から濃度の薄い方に濃度差(濃度勾配)に応じて拡散するが、第1の磁性体層1と第2の磁性体層2との間に第1及び第2の中間層3、4が介在され、第1の中間層3が第2の磁性体層2と同一組成を有して第1の磁性体層1と隣接し、第2の中間層4が第1の磁性体層1と同一組成を有して第2の磁性体層2に隣接しているので、第1の磁性体層1から第2の磁性体層2への磁性体成分の拡散は第2の中間層4が障壁となって阻害され、第2の磁性体層2から第1の磁性体層1への磁性体成分の拡散は第1の中間層3が障壁となって阻害され、これにより相互拡散距離Mを抑制することができ、第1の磁性体層1及び第2の磁性体層2における磁気特性劣化領域を低減することが可能となる。
尚、上記第1及び第2の中間層3、4の厚みは、各々20〜100μmが好ましい。すなわち、第1及び第2の中間層3、4の厚みが各々100μmを超えると第1及び第2のコイル導体6、7のターン数を減らさなければならず、また、第1及び第2の中間層3、4に含有される磁性体成分の含有量(絶対量)が多くなるため、第1又は第2の中間層3、4自体から第1又は第2の磁性体層1、2への拡散が増加するおそれがある。一方、第1及び第2の中間層3、4の厚みが各々20μm未満になると厚みが薄くなりすぎて十分な拡散抑制作用を奏することができなくなるおそれがある。したがって、上述したように第1及び第2の中間層3、4の厚みは、各々20〜100μmが好ましい。
次に、上記積層インダクタの製造方法を、図3を参照しながら説明する。
まず、初透磁率が200以下の低透磁率を有するように、Fe2O3、NiO、CuO、ZnO等のフェライト素原料を配合して第1のフェライト材料を調製する。次いで、この第1のフェライト材料にバインダや可塑剤、分散剤、溶剤等を混錬させ、ドクターブレード法等の成形加工法を使用して所定膜厚の磁性体シート9〜13を作製する。その後、磁性体シート10〜13間が電気的に接続可能となるようにレーザ加工機を使用し、磁性体シート11〜13の所定箇所にビアホールを形成する。そして、AgやCu等の導電性材料を含有した導電性ペーストを使用して磁性体シート10〜12に電極パターン10a〜12aをスクリーン印刷する。
次いで、電極パターンの形成されていない適数枚の磁性体シート9、電極パターン10a〜12aの形成された磁性体シート10〜12、及びビアホール13aのみが形成された磁性体シート13を順次積層して第1の磁性体層1となるべき第1の積層体14を作製する。
また、初透磁率が第1の磁性体層1より高い高透磁率を有するように、Fe2O3、NiO、CuO、ZnO等のフェライト素原料を配合して第2のフェライト材料を調製する。次いで、この第2のフェライト材料にバインダや可塑剤、分散剤、溶剤等を混錬させ、ドクターブレード法等を使用して所定膜厚の磁性体シート15〜20を作製する。その後、磁性体シート15〜19間が電気的に接続可能となるようにレーザ加工機を使用し、磁性体シート15〜19の所定箇所にビアホールを形成する。そして、AgやCu等の導電性材料を含有した導電性ペーストを使用して磁性体シート16〜19に電極パターン16a〜19aをスクリーン印刷する。
次いで、ビアホール15aのみが形成された磁性体シート15、電極パターン16a〜19aが形成された磁性体シート16〜19、及び電極パターンの形成されていない適数枚の磁性体シート20を順次積層して第2の磁性体層2となるべき第2の積層体21を形成する。
次に、第2のフェライト材料を使用し、前記第2の磁性体層2と同様の方法・手順で第1の中間層3となるべき第1の中間シート22を作製し、この第1の中間シート22にビアホール22aを形成する。
さらに、第1のフェライト材料を使用し、前記第1の磁性体層1と同様の方法・手順で第2の中間層4となるべき第2の中間シート23を作製し、この第2の中間シート23にビアホール23aを形成する。
次いで、第1の積層体14、第1の中間シート22、第2の中間シート23、及び第2の積層体21を、この順序で順次積層し、圧着した後、所定温度で焼成し、これによりフェライト素体5が作製される。
そして、フェライト素体5の両端部にAgやAg−Pd等を主成分とする導電性ペーストを塗布して焼付処理を施し、積層インダクタが製造される。
このように本積層インダクタは、第1の磁性体層1と第2の磁性体層2との間に第1及び第2の中間層3、4が介在され、第1の磁性体層1と接する第1の中間層3は、第2の磁性体層4と同一組成を有し、第2の磁性体層2と接する第2の中間層4は、第1の磁性体層3と同一組成を有しているので、焼成処理を行なっても第1の磁性体層1から第2の磁性体層2への拡散は、第1の磁性体層1と同一組成を有する第2の中間層4が障壁となり、また第2の磁性体層2から第1の磁性体層1への拡散は、第2の磁性体層2と同一組成を有する第1の中間層3が障壁となり、これにより第1の磁性体層1と第2の磁性体層2との界面近傍で生じ得る相互拡散を効果的に抑制することができる。そしてこのように相互拡散を抑制することにより、特性劣化領域を低減させることができ、したがって特性取得可能領域を増加させることができ、設計の融通性を向上させることが可能となる。
しかも、第1及び第2の中間層3、4の母材は、第1の磁性体層1又は第2の磁性体層2を構成するフェライト材料と同一であるので、第1及び第2の中間層3、4に結晶化ガラスや非磁性フェライトを使用した場合と異なり、界面の接合性も良好なものとなる。
尚、第1及び第2の中間層3、4の厚みについては、拡散程度が大きい磁性体層に接する中間層の厚みを他方の中間層の厚みよりも大きくするのが好ましい。すなわち、前記拡散程度は、上述したように第1及び第2の磁性体層1、2にそれぞれ含有される磁性体成分の濃度差によって決まるが、例えば、第1の磁性体層1から第2の磁性体層2への拡散の方が第2の磁性体層2から第1の磁性体層1への拡散よりも生じ易い場合は、第1の磁性体層1に接する第1の中間層3の厚みを第2の磁性体層2に接する第2の中間層4の厚みよりも大きくすることにより、第1の磁性体層1及び第2の中間層4から第2の磁性体層2への拡散をより効果的に抑制することができる。
図4は、本発明に係る積層セラミック電子部品としての積層インダクタの第2の実施の形態を示す断面図であって、本第2の実施の形態では、2組の第1及び第2の中間層31、41、32、42が第1の磁性体層1と第2の磁性体層2との間に介在されている。そして、第1及び第2の磁性体層1、2、及び2組の第1及び第2の中間層31、41、32、42でフェライト素体25を形成し、該フェライト素体25の両端面に端子電極26a、26bが形成されている。
本第2の実施の形態では、第1の中間層31、32が第2の磁性体層2と同一組成を有し、第2の中間層41、42が第1の磁性体層1と同一組成を有することにより、第1の磁性体層1から第2の磁性体層2への拡散は第2の中間層41、42が障壁となり、第2の磁性体層2から第2の磁性体層1への拡散は第1の中間層31、32が障壁となり、これにより相互拡散距離を低減することができ、したがって、上記第1の実施の形態と同様、特性劣化領域を低減させて特性取得可能領域を増加させることができ、設計の融通性を向上させることが可能となる。
同様に、第1の磁性体層1と同一組成の中間層、及び第2の磁性体層2と同一組成の中間層を1組の中間層とし、3組以上の中間層を第1の磁性体層1と第2の磁性体層2との間に介在させることによっても同様の作用効果を得ることができるのはいうまでもない。
さらに、上記第1の実施の形態では、組成の異なる2つの磁性体層1、2間に第1及び第2の中間層3、4を介在させているが、3つ以上の磁性体層を積層させた場合であっても、それぞれの層間に2層構造の中間層を介在させ、一方の磁性体層と接する中間層が、他方の磁性体層と同一組成を有し、前記他方の磁性体層と接する中間層が、前記一方の磁性体層と同一組成を有するように構成することにより、相互拡散距離を低減させることができ、上記第1の実施の形態と同様、特性劣化領域を低減させて特性取得可能領域を増加させることができ、設計の融通性を向上させることが可能となる。
また、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、磁性体層の積層枚数や電極パターンについても、コイルパターンを形成するものであれば、特に限定されるものではない。また、各磁性体層を異なる組成系のフェライト材料で構成してもよく、中間層についても、任意枚数の中間シートを積層して構成することができる。
また、上記実施の形態では、積層セラミック電子部品として、積層インダクタを例示して説明したが、組成の異なる誘電体セラミック層を積層した積層コンデンサ、誘電体層と磁性体層とを含む積層LC部品にも同様に適用できるのはいうまでもない。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
初透磁率が5となるようにFe2O3、NiO、CuO、ZnO等のフェライト素原料を調合して得た第1のフェライト材料を、溶媒としての水及びバインダとしてのポリビニルアルコールに分散させてスラリー状とし、ドクターブレード法で厚み 25μmの第1の磁性体シート(セラミックグリーンシート)を作製し、次いで焼成後の厚みが500μmとなるように複数枚の第1の磁性体シートを積層し、第1の積層体を作製した。
また、初透磁率が800となるようにFe2O3、NiO、CuO、ZnOを調合して得た第2のフェライト材料を、水及びポリビニルアルコールに分散させてスラリー状とし、ドクターブレード法で厚み25μmの第2の磁性体シート(セラミックグリーンシート)を作製し、次いで焼成後の厚みが500μmとなるように複数枚の第2の磁性体シートを積層し、第2の積層体を作製した。
さらに、上述のようにして作製された厚み25μmの第1の磁性体シート及び第2の磁性体シートを別途用意し、それぞれ第2の中間シート及び第1の中間シートとした。
次いで、第1の積層体、第1の中間シート、第2の中間シート、第2の積層体をこの順序で順次積層して圧着し、空気中915℃で焼成処理を施し、実施例のフェライト素体を作製した。
また、比較例として、第1の積層体と第2の積層体とを直接重ね合わせて圧着し、空気中915℃で焼成処理を施し、比較例のフェライト素体を作製した。
次に、上記実施例及び比較例のフェライト素体を破断し、走査型電子顕微鏡で断面の結晶状態を観察し、相互拡散距離M(図1参照)を算出した。
表1は実施例及び比較例の相互拡散距離を示している。
この表1から明らかなように比較例は、相互拡散距離が250μmであるのに対し、実施例は相互拡散距離が150μmとなり、相互拡散距離を低減できることが分かった。
これは比較例は、初透磁率(組成)の異なる第1の積層体と第2の積層体とを直接重ね合わせているため、焼結処理を行なった場合、第1及び第2の積層体(第1及び第2の磁性体シート)に含有される各磁性体成分の拡散が進行して物質移動が活発になり、その結果相互拡散が進行するものと思われる。
これに対し実施例は、第1の積層体と第2の積層体との間に第1及び第2の中間シートを介在させ、しかも第1の中間シートは第2の磁性体シートと同一組成を有し、第2の中間シートは第1の磁性体シートと同一組成を有しているので、焼結処理を行なった場合、第1の磁性体層は第2の中間シートが障壁となり、また第2の磁性体層は第1の中間シートが障壁となり、これにより相互拡散距離が抑制されたものと考えられる。
1 第1の磁性体層(セラミック層)
2 第2の磁性体層(セラミック層)
3 第1の中間層
4 第2の中間層
2 第2の磁性体層(セラミック層)
3 第1の中間層
4 第2の中間層
Claims (1)
- 組成の異なるセラミック層間に中間層が介在された積層セラミック電子部品において、
前記中間層が複数層からなり、一方のセラミック層と接する中間層は、他方のセラミック層と同一組成を有し、前記他方のセラミック層と接する中間層は、前記一方のセラミック層と同一組成を有していることを特徴とする積層セラミック電子部品。
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