JP2005121830A - 電荷輸送層用塗液、電子写真感光体および接触帯電式画像形成装置 - Google Patents

電荷輸送層用塗液、電子写真感光体および接触帯電式画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 接触帯電による放電絶縁破壊の発生が防止され、長期的な耐刷性に優れた電子写真感光体を得る。
【解決手段】 電子写真感光体の表面に形成される感光層のうち、電荷輸送層を形成するための塗液を調製するにあたり、バインダ樹脂以外の電荷輸送層用成分を有機溶媒に溶解し(ステップa1)、この溶液を濾過し(ステップa2)、得られる濾液にバインダ樹脂を加える(ステップa3)。これにより得られる電荷輸送層用塗液を用いて電荷輸送層を形成することによって、所望の電子写真感光体を製造することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電荷輸送層用塗液、電子写真感光体および接触帯電式画像形成装置に関する。
従来から電子写真感光体の光導電性素材に用いられてきたSe、CdS、ZnOなどの無機材料は、耐熱性が低く、繰り返し使用すると、帯電性および電荷保持性が著しく劣化し、画像に濃度ムラ、カブリなどが発生し、また反転現像では地汚れを生じるという欠点、すなわち耐刷性が低いという欠点を有する。さらに、これらの無機材料の中には、人体に有害で、廃棄が困難な物質もある。
このような無機系光導電性材料の欠点に鑑み、最近では、無公害で成膜性に優れ、かつ材料の選択範囲の広さから、有機系光導電性材料を用いた電子写真感光体(以後「有機系感光体」と称す)の開発が盛んに行われている。このような有機系感光体としては、支持体上に電荷発生材料をバインダ樹脂に分散させてなる電荷発生層と、電荷輸送材料をバインダ樹脂に分散させてなる電荷輸送層とをこの順で積層した感光層を形成した機能分離二層型、支持体上に電荷発生材料および電荷輸送材料をバインダ樹脂に分散させてなる感光層を形成した単層型、支持体上に電荷輸送層と電荷発生層とをこの順で積層した感光層を形成した機能分離逆二層型などが提案されている。中でも機能分離二層型の有機系感光体は、電子写真特性に優れ、材料選択の自由度も高く、感光体特性を様々に設計できることから、広く実用化されている。
このような有機系感光体の主な課題は耐久性(耐刷性)である。画像形成プロセスでは、帯電および露光による潜像作成、潜像に基づくトナー像の形成、トナー像の転写紙への転写、感光体表面に残留するトナーのブレードなどによる除去(クリーニング)という過程が繰返される。このような画像形成プロセスに有機系感光体を適用すると、感光体を帯電するためのコロナ放電により発生するオゾンおよび窒素酸化物、感光体に暴露される光などによって、感光層中の有機系光導電性材料が変性および分解される。その結果、繰り返し使用時の膜削れ、膜の電気的、化学的変化に起因する帯電電位の低下および残留電位の上昇といった特性変化などを起こしやすくなる。したがって、有機系感光体の感光層には、繰り返し印刷する際の耐久性(耐刷性)の一層の向上が望まれる。
画像形成プロセスで発生するオゾン量を低減する手段として、感光体の表面に帯電部材を接触させ、高圧印加電源から帯電部材を介して感光体に電圧を印加して、感光体を帯電させる接触帯電方式が提案されている。しかしながら、この方式では、感光体に直接電圧を印加するので、感光層中の有機系光導電性物質などの粒状物に電流が集中することを主な原因として、感光層の放電絶縁破壊が起こり易い。放電絶縁破壊が起こると、帯電部材が接地電位になるので、帯電部材が接触する感光体表面部分が全て未帯電部となり、この未帯電部は、反転現像においては黒ポチひいては黒筋状の画像欠陥、正規現像においては白ポチひいては白筋状の画像欠陥となる。また、帯電部材が損傷することがあり、高圧印加電源が損傷する場合もある。放電絶縁破壊は、感光層の最表面層に導電性物質が存在する場合に起こり易い。
接触帯電方式において、感光層の放電絶縁破壊を防止するために、感光層中に含まれる、電荷発生材料、ポリテトラフルオロエチレンといった固体潤滑剤など粒状物の粒径を1μm以下にすることが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1によれば、たとえば、電荷発生材料、電荷輸送材料などをバインダ樹脂と共に有機溶媒に溶解してなる感光層形成用塗液をフィルタでろ過することによって、感光層中の粒状物の粒径を1μm以下に調整する。
一方、有機系感光体の電荷輸送層を形成するためのバインダ樹脂としては、成膜性、耐摩耗性などに優れ、良好な電気特性を有することから、主に、ポリカーボネートが使用される。ところが、ポリカーボネートは他のバインダ樹脂、たとえばポリスチレンなどに比べて有機溶媒に対する溶解性が低く、その溶液は粘度が高いので、特許文献1に記述される1μmというような目の細かいフィルタでろ過するには、非常に長い時間を要する。ろ過時間の短縮のためには、加圧下にろ過を行うことが考えられるけれども、その場合には、ポリカーボネート溶液をフィルタに供給する送液用ポンプを耐圧性の特殊な構造のものに変更することが必要になり、製造コストの上昇を招くとともに、高圧力を用いるので作業の危険性が増大する。このため、特許文献1では、感光層用のバインダ樹脂として、ポリスチレン、ポリビニルブチラール、分子量が小さく粘度の低いポリカーボネート(重量平均分子量5000)などの溶液粘度が比較的低い樹脂を使用している。
さらに、感光層の耐刷性を向上させるためには、分子量の大きいバインダ樹脂を用いたり、感光層中のバインダ樹脂の含有比率を高めたり、感光層の膜厚を大きくすることなどが考えられるけれども、いずれの場合にも塗液の粘度が高くなる。このような塗液を、特許文献1のようにフィルタでろ過するのは、工業的規模では非常に困難である。
特許第2614282号公報
本発明の目的は、粘度上昇を引起すバインダ樹脂を含んでいる場合でも、放電絶縁破壊の原因になる粒状物をろ過により除去した電荷輸送層用塗液、該電荷輸送層用塗液を用いて形成された電子写真感光体、およびに該電子写真感光体を含む接触帯電式画像形成装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、感光層形成用塗液の中でも、特に電荷輸送層用塗液を調製するにあたり、電荷輸送材料およびその他の粒状成分ならびにバインダ樹脂を有機溶媒に溶解した後にろ過するのではなく、電荷輸送材料およびその他の粒状成分のみを有機溶媒に溶解してろ過を行い、その後にバインダ樹脂を添加することによって、バインダ樹脂が溶液粘度を上昇させるような分子量の大きいものであっても、またバインダ樹脂の電荷輸送層中での含有比率を高めても、放電絶縁破壊の原因になる粗大な粒状物を含まない電荷輸送層用塗液を調製することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
なお、本発明の優れた効果は、前述の塗液調製技術を電荷輸送層用塗液の調製に適用した場合にはじめて得られるものであり、感光層中の電荷輸送層以外の、電荷発生層、下引き層などを形成するための塗液の調製に適用しても、得られるものではない。
本発明は、電子写真感光体の電荷輸送層を形成するための塗液であって、
バインダ樹脂以外の電荷輸送層用成分を有機溶媒に溶解してろ過し、得られる濾液にバインダ樹脂を混合して調製されることを特徴とする電荷輸送層用塗液である。
さらに本発明の電荷輸送層用塗液は、前述のバインダ樹脂がポリカーボネートであることを特徴とする。
さらに本発明の電荷輸送層用塗液は、前述のバインダ樹脂の粘度平均分子量が40000よりも大きいことを特徴とする。
また本発明は、導電性支持体と、導電性支持体の表面に形成された電荷発生層および電荷輸送層とを含む電子写真感光体において、
電荷輸送層が、前述のうちのいずれかの電荷輸送層用塗液を用いて形成されることを特徴とする電子写真感光体である。
さらに本発明の電子写真感光体は、前述の電荷輸送層が、マグネットフィルタでろ過された前述のうちのいずれかの電荷輸送層用塗液を用いて形成されることを特徴とする。
また本発明は、前述の電子写真感光体と、
前述の電子写真感光体に接触するように配置される接触帯電手段とを含むことを特徴とする接触帯電式画像形成装置である。
本発明によれば、バインダ樹脂以外の電荷輸送層用成分を有機溶媒に溶解し、この溶液をろ過し、溶液中から感光層の放電絶縁破壊の原因になる粗大な粒状物、不溶物、不純物などを除去した後、これにバインダ樹脂を添加混合することによって、バインダ樹脂が溶液粘度を上昇させるものであっても、短時間で、高圧を要することなく、工業的に有利に、電荷輸送層用塗液を調製することができる。バインダ樹脂以外の電荷輸送層用成分の有機溶媒溶液は粘度が非常に低いので、1μm前後の非常に目の細かいフィルタでも、高圧などを負荷することなく、短時間で容易にろ過することができる。
この電荷輸送層用塗液により形成される電子写真感光体は、単に放電絶縁破壊ひいては画像欠陥を起こし難いだけでなく、感光層膜の膜削れ、感光層膜の特性変化などを起こすこともなく、耐刷性が著しく向上したものである。したがって、該電子写真感光体を用いれば、非常に長期にわたって、鮮明でかつ黒筋状または白筋状の画像欠陥のない画像を形成することができる。
このような効果が得られる理由は充分明らかではないけれども、粗大な粒状物を除去した後にバインダ樹脂を混合することによって、電荷輸送層用成分とバインダ樹脂との濡れ性が飛躍的に向上するためであると推測される。電荷輸送層用成分とバインダ樹脂との濡れ性の向上は、電荷輸送層用成分のバインダ樹脂中での分散均一性の向上、さらには形成される電荷輸送層用膜の膜強度の向上をもたらす。
本発明によれば、前述の電荷輸送層用塗液の中でも、バインダ樹脂としてポリカーボネートを用いたものが好ましい。このような電荷輸送層用塗液を用いれば、放電絶縁破壊が防止されるだけでなく、耐刷性がさらに向上した電子写真感光体を得ることができる。
本発明によれば、前述の電荷輸送層用塗液の中でも、粘度平均分子量が40000よりも大きいバインダ樹脂を用いたものが好ましく、粘度平均分子量が40000よりも大きいポリカーボネートをバインダ樹脂として用いたものが特に好ましい。このような電荷輸送層用塗液を用いれば、放電絶縁破壊が防止されるだけでなく、耐刷性が一層向上した電子写真感光体を得ることができる。
本発明のように、バインダ樹脂以外の電荷輸送層用成分を有機溶媒に溶解し、得られる溶液をろ過した後に、バインダ樹脂を加えて調製される電荷輸送層用塗液においては、粘度平均分子量が40000を超えるようなバインダ樹脂を用いるのが有利である。粘度平均分子量が40000を超える樹脂を含む溶液は高粘度になり、1μm程度の目の細かいフィルタでろ過するのが困難になるので、特に本発明の電荷輸送層用塗液において好適に用いることができ、その使用によって耐刷性が一層向上した電子写真感光体を得ることができる。
なお、粘度平均分子量が40000以下のバインダ樹脂の溶液は比較的容易にろ過できるけれども、電荷輸送層用成分とバインダ樹脂との分散均一性を考慮すると、このような粘度平均分子量のバインダ樹脂を用いる場合でも、やはり本発明の電荷輸送層用塗液の調製方法を適用するのが好ましい。
本発明によれば、前述の電荷輸送層用塗液を用いることによって、放電絶縁破壊による画像欠陥を発生させることがなく、しかも耐刷性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
本発明によれば、前述の電荷輸送層用塗液をさらにマグネットフィルタでろ過した後、電荷輸送層を形成することによって、放電絶縁破壊の発生が一層防止され、しかも耐刷性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
本発明によれば、前述の電子写真感光体と、該電子写真感光体に接触するように配置される接触帯電手段とを含み、非常に長期にわたって、鮮明でかつ黒筋状または白筋状の画像欠陥、濃度ムラ、カブリ、反転現像における地汚れなどのない高画質品位の画像を形成することができる接触帯電式画像形成装置が提供される。
図1は、本発明の電荷輸送層用塗液の調製方法を説明するフローチャートである。
ステップa0では、本発明の電荷輸送層用塗液を調製するための電荷輸送層用成分が準備される。電荷輸送層用成分としては、電荷輸送材料、バインダ樹脂、有機溶媒などが使用され、さらに必要に応じて、酸化防止剤、可塑剤、増感剤、潤滑剤などの添加剤が使用されてもよい。本発明の電荷輸送層用塗液は、電荷輸送材料およびバインダ樹脂ならびに必要に応じて他の添加剤を含有し、残部が有機溶媒である組成物である。
電荷輸送材料としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、電子供与性物質は、ポリ−N−ビニルカルバゾールとその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートとその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物とその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物などの電子供与性物質、フルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、ブロマニル、クロラニル、ベンゾキノンなどの電子受容性物質などが挙げられる。電荷輸送材料は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷輸送材料の電荷輸送層用塗液における含有量は特に制限されないけれども、通常は該塗液全量の
3〜15重量%、好ましくは4〜10重量%である。
バインダ樹脂としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリケトン、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリスルホンなどの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。バインダ樹脂は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
このようなバインダ樹脂の中でも、得られる塗液の成膜性、該塗液によって形成される電荷輸送層膜の耐摩耗性、電気特性などを考慮すると、ポリカーボネートが好ましく、一般式(I)
Figure 2005121830
〔式中、R〜Rは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。zはzが結合する炭素原子と共に置換もしくは無置換の炭素環または置換もしくは無置換の複素環を形成するのに必要な原子群を示す。〕
で表わされるビスフェノールZ型ポリカーボネート、該ビスフェノールZ型ポリカーボネートとそれ以外のポリカーボネートとの混合物などが特に好ましい。
また、前記のようなバインダ樹脂の中でも、得られる塗液を用いて形成される電子写真感光体の耐刷性の向上などを考慮すると、粘度平均分子量が40000よりも大きいものが、特に好ましい。
また、前記のようなバインダ樹脂の中でも、得られる塗液を用いて形成される電子写真感光体の耐刷性の向上などを考慮すると、粘度平均分子量が40000よりも大きいものが、特に好ましい。
バインダ樹脂の電荷輸送層用塗液における含有量は特に制限されないけれども、通常は固形分量で該塗液全量の6〜23重量%、好ましくは9〜18重量%である。
有機溶媒としては、電荷輸送材料およびバインダ樹脂を溶解または分散できるものを使用でき、たとえば、メタノール、エタノールなどの低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエンなどのハロゲンで置換されても良い芳香族炭化水素類などが挙げられる。有機溶媒は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
他の添加剤である酸化防止剤としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ビタミンE、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール、p−フェニレンジアミン、アリールアルカン、それらの誘導体、有機硫黄化合物、有機リン化合物などが挙げられる。酸化防止剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。可塑剤、増感剤および潤滑剤についても公知のものを使用でき、その中でも、シリコーンオイルなどの潤滑剤は好ましい添加剤である。
前述の電荷輸送層用成分のうち、バインダ樹脂以外の成分が、次のステップa1において用いられる。
ステップa1では、バインダ樹脂以外の電荷輸送層用成分、具体的には、電荷輸送材料、その他の添加剤などを有機溶媒に溶解し、溶液を調製する。このとき、電荷輸送層用成分の有機溶媒に対する溶解性などに応じて、加熱下に溶解を行うこともできる。
ステップa2では、ステップa1で調製された溶液をフィルタによって濾過し、濾液を得る。ステップa1で調製される溶液はバインダ樹脂を含まないので粘度が低い。したがって、本工程では、目の細かいフィルタを使用でき、たとえば、粒径1.0〜3.0μmの粒子を除去することができるフィルタが使用される。
ステップa3では、ステップa2で得られた濾液に、バインダ樹脂が添加され、溶解される。次いで、ステップa4のエンドに進み、本発明の電荷輸送層用塗液を得ることができる。このようにして得られる本発明の電荷輸送層用塗液には、放電絶縁破壊の原因になる粒径1μm程度の粗大な粒状物は含まれず、各成分が極めて均一に溶解または分散している。
図2は、本発明の実施の第1形態である電子写真感光体1の構造を概略的に示す要部断面図である。
電子写真感光体1は、導電性支持体2と、導電性支持体2上に形成された下引き層3と、下引き層3上に電荷発生層4と電荷輸送層5とをこの順で積層してなる感光層6とを含んで構成される、機能分離型の電子写真感光体である。
導電性支持体2は導電性材料を含んで構成される。導電性材料としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金、これらの合金材料などの導電性金属材料、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化錫、金、酸化インジウムなどを含む導電性層を形成した樹脂フィルム(好ましくはポリエステルフィルム)、紙および金属シート、導電性粒子を含有するプラスチックおよび紙、導電性ポリマー、導電性ポリマーと他の樹脂とのアロイなどが挙げられる。これらの導電性材料は、円筒状、円柱状、薄膜シート状などに加工して用いられる。特に本実施の形態で用いられる導電性支持体2は、円筒状であることが好ましい。
下引き層3は、導電性支持体2上に感光層6を形成するにあたり、導電性支持体1の傷および凹凸の被覆、繰返し使用時の帯電性の劣化防止、低温および低湿環境下での帯電性の改善などの理由から、導電性支持体2と感光層6との間に適宜設けられる。
下引き層3は、バインダ樹脂を溶媒に溶解して調製される下引き層用塗液を、導電性支持体2の表面に塗布し、乾燥させることにより形成される。
バインダ樹脂としては、従来から下引き層の形成用に用いられるものを使用でき、たとえば、ポリアミド、共重合ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、カゼイン、セルロース、ゼラチンなどが挙げられる。これらの中でも、アルコール可溶性の共重合ナイロンが好ましい。バインダ樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
バインダ樹脂を溶解させる溶媒としては、たとえば、水、メタノール、エタノール、ブタノールなどの低級アルコール類、ジクロロエタン、クロロホルム、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレンなどの塩素化炭化水素類などが挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。これらの中でも、低級アルコール類、2種以上の低級アルコール類の混合溶媒、水と低級アルコール類との混合溶媒、低級アルコール類と塩素化炭化水素類との混合溶媒などが好ましい。
下引き層用塗液は、下引き層3の体積抵抗率の調整、低温および低湿環境下での繰返しエージング特性の向上などを目的として、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、シリカ、酸化アンチモンなどの無機顔料を含むことができる。無機顔料の下引き層用塗液における含有量は特に制限はないけれども、通常は30〜95重量%である。無機顔料を添加する場合は、ボールミル、ダイノーミル、超音波発振機などの分散機を用いて、無機顔料を下引き層用塗液中に分散させるのが好ましい。
下引き層用塗液の導電性支持体2への塗布は、たとえば、導電性支持体2を下引き層用塗液に浸漬することにより行われる。塗布量は特に制限されないけれども、乾燥後の下引き層3の膜厚が0.1〜5μm程度になるように塗布すればよい。塗布の後、乾燥をおこなうことにより、下引き層3が形成される。乾燥は、たとえば、熱風乾燥機、遠赤外線乾燥機などの一般的な乾燥機を用いて行われる。乾燥条件は特に制限されないけれども、たとえば、40〜130℃程度の温度下に行われ、10分〜2時間程度で終了する。
電荷発生層4は、光照射によって電荷を発生する電荷発生材料を主成分とし、必要に応じて公知の結合剤、可塑剤、増感剤などを含有する。
電荷発生材料としては、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、キナクリドン、アントラキノンなどの多環キノン系顔料、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクエアリウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、カルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格、ジスチリルカルバゾール骨格などの骨格を有するアゾ顔料、フローレン環およびフルオレノン環を含有するビスアゾ顔料、芳香族アミンを含有するビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料などが挙げられる。これらの中でも、光感度の高い電子写真感光体を得るためには、無金属フタロシアニン顔料、オキソチタニルフタロシアニン顔料などのフタロシアニン系顔料、フローレン環およびフルオレノン環を含有するビスアゾ顔料、芳香族アミンからなるビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料などを使用するのが好ましい。特に、電荷発生材料としてオキソチタニルフタロシアニンを含む電子写真用感光体は、反転現像方式のデジタルプロセスを備える画像形成装置において、汎用のレーザ光に対して大きな吸光特性を有して高感度であるので、光を有効利用でき、解像力を上げることができる。電荷発生材料は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
電荷発生層4は、たとえば、電荷発生材料および必要に応じて他の添加剤、ならびにバインダ樹脂を有機溶媒に溶解または分散して電荷発生層用塗液を調製し、この塗液を下引き層3の表面に塗布し、乾燥することによって形成することができる。
電荷発生層用塗液中の電荷発生材料の含有量は特に制限されないけれども、通常は該塗液全量の30〜90重量%である。
バインダ樹脂としては、たとえば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル一酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。バインダ樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。有機溶媒としては、たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。有機溶媒は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
電荷発生層用塗液の下引き層3上への塗布は、たとえば、下引き層3を形成した導電性支持体2を、該塗液に浸漬することによって行われる。浸漬後、導電性支持体2を取り出し、乾燥させることにより、下引き層3上に電荷発生層4が形成される。乾燥は、下引き層3の乾燥と同じ条件で実施することができる。
また電荷発生層4は、真空蒸着法によって形成することもできる。
電荷発生層4の膜厚は特に制限されないけれども、通常は0.05〜5μm、好ましくは0.1〜2.5μmである。
電荷輸送層5は、前述の本発明の電荷輸送層用塗液を用いて形成される。たとえば、その表面に下引き層3および電荷発生層4がこの順番で形成された導電性支持体2を、本発明の電荷輸送層用塗液中に浸漬し、電荷発生層4の表面に電荷輸送層用塗液を付着させた後、導電性支持体2を塗液中から取り出し、乾燥させることによって形成される。これにより、電子写真感光体1が得られる。乾燥は、下引き層2の乾燥と同じ条件で実施することができる。
電荷輸送層5の膜厚は特に制限されないけれども、通常は10〜50μm、好ましくは15〜40μmである。特に、後述する本発明の接触帯電式画像形成装置においては、30μm以下の電荷輸送層膜厚であれば、長期間高画質を維持することができる。
本発明の電子写真感光体1においては、導電性支持体2の表面に、下引き層3、電荷発生層4および電荷輸送層5を成形した後に乾燥を行ってもよく、または各層の形成毎に乾燥を行ってもよい。
図3は、本発明の電子写真感光体1を製造するために用いられる電子写真感光体製造装置10の構成を概略的に示す断面図である。
電子写真感光体製造装置10は、下引き層用塗液、電荷発生層用塗液、電荷輸送層用塗液などの塗布液15を導電性支持体16の表面に塗布するための塗布手段11と、導電性支持体16を塗布手段11に供給するための導電性支持体昇降手段12と、導電性支持体16の浸漬により塗布槽11中からオーバーフローする塗布液15を回収するための塗布液回収手段13と、回収された塗布液15を再び塗布槽11に供給するための塗布液循環手段14とを含んで構成される。
塗布手段11は、塗布液15が充填されて、導電性支持体15を浸漬するための塗布槽17と、塗布槽17の上部に設けられて、導電性支持体15の塗布槽17への浸漬により塗布槽17から溢れ出す塗布液15を一時的に貯留するためのオーバーフロー槽18とを含んで構成される。導電性支持体15を塗布槽17に浸漬すると、塗布槽17中の塗布液15が導電性支持体16の表面に付着し、これを塗布槽17から取り出し、乾燥することにより、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層などが形成される。
導電性支持体昇降手段12は、昇降ネジ19と、昇降ネジ19に螺合しかつ導電性支持体16が着脱自在に装着支持される支持体20と、昇降ネジ19を回転させるためのモータ21と、モータ21の回転駆動力を昇降ネジ19へ伝える歯車列22とを含んで構成される。モータ21の回転によって昇降ネジ19を回転させると、昇降ネジ19に螺合した支持体20が上下に移動し、これとともに支持体20に支持された導電性支持体16が矢符22の方向に移動する。導電性支持体16を塗布槽17に浸漬させる場合には、支持体20が下降するようにモータ21を回転させ、浸漬による塗布が終了した場合には、支持体20が上昇するようにモータ21を回転させる。
塗布液回収手段13は、一端がオーバーフロー槽18に接続されかつ他端が撹拌槽24に接続されて、オーバーフロー槽18に貯留された塗布液15を回収するための連通管25と、連通管25によって回収される塗布液15を貯留するための撹拌槽24と、撹拌槽24の内部に設けられてモータ26により回転する撹拌ファン27と、撹拌槽24に取り付けられて撹拌槽24に貯留される塗布液15の粘度を調整するための粘度調整装置28とを含んで構成される。粘度調整装置28は、撹拌槽24中に貯留される塗布液15の粘度を測定し、測定値が一定になるまで成分調整を行う装置である。オーバーフロー槽18から、連通管25を矢符29の方向に流過して撹拌槽24に供給される塗布液15は、撹拌槽24中に貯留され、撹拌ファン27による撹拌を受けながら、粘度調整装置28によって、導電性支持体16に塗布するのに最適な粘度になるように成分調整される。
塗布液循環手段14は、塗布槽17および撹拌槽24を連通し、塗布液15を撹拌槽24から塗布槽17に再供給するための循環管30を含んで構成され、循環管30は、循環ポンプ31と、循環ポンプ31の下流側に設けられるフィルタ装置32とを備える。
図4は、フィルタ装置32の構成を概略的に示す上面図である。フィルタ装置32は、循環管30内を流過する塗布液15から粒径2μm以上の比較的大きな粒状物100を除去するための濾過フィルタ33と、濾過フィルタ33の下流側に設けられて塗布液15から粒径2μm以下の金属微粉などの比較的小さな金属を含む異物101を除去するためのマグネットフィルタ34とを含んで構成される。濾過フィルタ33は、前述のように比較的大きな粒状物100の除去を目的として設置されているので、塗布液15が粘度を上昇させるバインダ樹脂を含んでいても容易に濾過することができる。濾過フィルタ33には、一般的な円板状のスクリーンフィルタ、円筒状のディプスフィルタなどを使用でき、その素材としては、ステンレスメッシュ、焼結ステンレスメッシュ、石英ガラスウール、アスベスト、硝酸セルロース、酢酸セルロース、綿、羊毛、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンなどの公知のフィルタ材料を用いることができる。濾過フィルタ33の濾材面積、濾過孔径および材質は、塗布液15に使用される有機溶媒、塗布液15の処理量、塗布液15から除去すべき異物の大きさなどに応じて選択される。
図5は、マグネットフィルタ34の構成を概略的に示す断面図である。マグネットフィルタ34は、循環管30に接続されたケーシング38と、ケーシング38の内部に配置されて、金属を含む異物101を付着させて除去するための1または2以上のマグネット棒35とを含んで構成される。マグネットフィルタ34は、複数のマグネット棒35を塗布液15の流過方向に直交する方向に数mm程度のピッチで平行に並べたものを一組とし、これを塗布液15の流過方向に1または2組以上並べて構成することができる。この場合、マグネットフィルタ34の濾過孔径は、隣接するマグネット棒35の間隙であり、塗布液15の流量の低下を防止するために、濾過フィルタ33の濾過孔径よりも大きくすることができる。
図6は、マグネット棒35の構成を示す断面図である。マグネット棒35は、円筒状カバー41と、円筒状カバー41の内部に配置される複数の磁石42とを含んで構成される。複数の磁石42は、互いに同極が対向するように配置され、多極体を構成する。円筒状カバー41は、たとえば、フェライト系、マルテンサイト系ステンレスなどの高透磁性材料によって形成される。磁石42には、たとえば、フェライト磁石、希土類磁石などの永久磁石、電磁石などが使用される。
なお、マグネット棒35を、ケーシング38を設けることなく、濾過フィルタ33よりも下流側の循環管30内に直接配置することもできる。
フィルタ装置32では、攪拌槽23において粘度調整および攪拌を受け、循環管30内を矢符43の方向に流過してきた塗布液15が濾過フィルタ33を通過し、その際に比較的大きな異物100が濾過フィルタ33によって捕獲され、塗布液15から除去され、次いでマグネットフィルタ34を通過し、その際に比較的小さな金属微粉101がマグネット棒35の表面に磁気吸着され、塗布液15から除去される。このため、フィルタ装置32を通過し、矢符37の方向に流過して塗布槽17内に戻る塗布液15には、ダスト、金属粉などの異物が存在せず、導電性支持体16の表面にこれらの異物が付着することがない。
図3に示す電子写真感光体製造装置10によれば、塗布槽17には塗布液15が充填され、モータ21の回転により導電性支持体16が支持体20とともに下降して塗布槽17内に浸漬されると、塗布槽17に充填された塗布液15の一部が塗布槽17から溢れ出す。この塗布液15は、一旦オーバーフロー槽18に貯留された後、連通管25を経由して攪拌槽24に導かれ、攪拌下に粘度調整される。粘度調整された塗布液15は、循環ポンプ31により循環管30内を矢符43の方向に流過して塗布槽17内に戻される。この循環管30内において塗布液15はフィルタ装置32により異物の除去を受ける。
本発明では、図2に示す電子写真感光体1を製造するにあたり、電荷輸送層5を図3に示す電子写真感光体製造装置10によって形成することが好ましい。すなわち、電荷輸送層用塗液を、濾過フィルタ33と濾過フィルタ33の下流側に配置されたマグネットフィルタ34とを備えた濾過装置32によって濾過して用いるのが好ましい。これによって、放電絶縁破壊が一層起こり難い電子写真感光体1を得ることができる。
本発明の接触帯電式画像形成装置は、感光体表面を接触帯電させる方式の画像形成装置において、感光体として本発明の電子写真感光体を用いる以外は、従来と同様の構成を採ることができる。
図7は、本発明の他の実施形態である接触帯電式画像形成装置の画像形成部50の構成を模式的に示す断面図である。
画像形成部50は、感光体51と、感光体51に接触するように配置されて感光体51の表面を帯電させるための接触帯電手段52と、露光により感光体51の表面に静電潜像を書き込むための露光手段53と、静電潜像をトナー像として現像するための現像手段54と、感光体51の表面に形成されたトナー像を転写用紙に転写するための転写手段55と、感光体51の表面から転写後の残留トナーを除去するクリーニング手段56と、転写されたトナー像を転写用紙に定着させるための定着手段57とを含んで構成される。このような構成を有する画像形成部50は、たとえば、レーザプリンタなどに好適に利用できる。
感光体51は、図示しない駆動手段によって図中の矢符58の方向に回転可能なように、画像形成装置本体に搭載される。感光体51には、本発明の電子写真感光体が使用される。
接触帯電手段52は、露光手段53から照射される光の感光体51表面での結像点よりも、感光体52の回転方向上流側に設けられ、感光体52の表面を均一に帯電させる。接触帯電手段52には正または負の直流電圧が印加される。接触帯電手段52に印可される直流電圧は−2000〜+2000Vが好ましい。接触帯電手段52には前記直流電圧に加え、さらに交流電圧を重畳して脈流電圧を印可してもよい。直流電圧に重畳する交流電圧はピーク間電圧4000V以下のものが好ましい。接触帯電手段52には瞬時に所望の電圧を印加してもよいけれども、感光体51を保護するために、徐々に印加電圧を上げるようにしてもよい。
接触帯電手段52は、感光体51と同方向または逆方向に回転するように設けてもよく、または、回転させずに感光体51の外周面を摺動するよう設けてもよい。さらに接触帯電手段52に感光体51上の残留トナーをクリーニングする機能を持たせてもよい。この場合クリーニング手段56を設けてもよくまたは設けなくてもよい。
接触帯電手段52には、たとえば、帯電ブラシが用いられる。より具体的には、金属基材のベースにエポキシ樹脂など熱硬化性樹脂を介してタングステン、カーボンなどの導電性材料、樹脂などを含む導電部材からなる素線を埋め込み、線先を適当な形状と長さにカットしたものなどが用いられる。また、金属部材の芯にカーボン分散のウレタンゴムなどの材料を被覆したものからなるローラ状のものを用いてもよい。
露光手段53には、たとえば、半導体レーザが用いられる。半導体レーザのレーザビームは、感光体51の表面に対してその長手方向である主走査方向に繰返し走査される。感光体51を矢符58の方向に回転させ、レーザビームを前述のように走査して結像させることによって、感光体51の表面に静電潜像が形成される。
現像手段54は、露光手段53から照射される光の感光体51表面での結像点よりも、感光体51の回転方向下流に設けられ、感光体51の表面にトナーを供給し、静電潜像をトナー像として現像する。現像手段54には、接触式および非接触式の両方を用いることができる。
転写手段55は、現像手段54よりも感光体51の回転方向下流に設けられ、現像手段54によって感光体51の表面に形成されるトナー像を、帯電により転写用紙59に転写する。転写用紙59は、感光体51への露光手段54による露光と同期して、転写手段55に供給される。トナー像が転写された転写用紙59は、図示しない搬送ベルトによって定着手段57に搬送され、トナー像が定着される。このようにして画像が形成された転写用紙59は、画像形成装置の外部へ排紙される。
クリーニング手段56は、転写手段55よりもさらに感光体51の回転方向下流側であって、接触帯電手段52よりも感光体51の回転方向上流側に、図示しない除電ランプとともに設けられて、感光体51の表面に残留するトナーを清掃除去する。クリーニング手段56には、ブレードクリーナ、ブラシクリーナなどを用いることができる。クリーニング手段56は省略することもできるけれども、本発明の電子写真感光体51がゴムブレードなどによるクリーニングに対して高い耐久性を有するので、省略しない方が好ましい。クリーニング手段56とクリーニング効果を有する接触帯電によって、常にきれいな画像を形成することができる。
感光体51を矢符58の方向に回転させることによって、帯電、露光、現像、転写、定着およびクリーニングといった各工程が繰返し実施され、画像形成が繰返される。
本実施の形態では、用いられる感光体51が光メモリを発生しにくいので、光除電プロセスを省くことができる。
本実施の形態では、感光体51を、接触帯電手段52、現像手段54およびクリーニング手段56から選ばれる1または2以上と一体的に構成し、プロセスカートリッジとして形成してもよい。たとえば、感光体51、接触帯電手段52、現像手段54およびクリーニング手段57をすべて組込んだプロセスカートリッジ、感光体51、帯電手段52および現像手段54を組込んだプロセスカートリッジ、感光体51とクリーニング手段56とを組込んだプロセスカートリッジ、感光体51と現像手段54とを組込んだプロセスカートリッジなどが構成可能である。プロセスカートリッジを用いると、プリンタなどにおける交換が容易となる。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。以下において、「部」は「重量部」を意味する。
(実施例1)
酸化チタン7部および共重合ナイロン13部を、メチルアルコール159部と1,3-ジオキソラン106部との混合溶媒に加え、ペイントシェーカーにて8時間分散処理し、下引き層用塗液を調製した。この塗液を塗布槽に満たし、導電性支持体として直径30mm、全長245mmのアルミニウム製のドラム状支持体を浸漬して引き上げ、自然乾燥し、膜厚1μmの下引き層を形成した。
次いで、チタニルフタロシアニン1部およびブチラール樹脂1部をメチルエチルケトン98部に加え、ペイントシェーカーにて分散処理し、電荷発生層用塗液を調製した。この塗液を、上記と同様にして下引き層上に塗布し、自然乾燥し、膜厚0.4μmの電荷発生層を形成した。
さらに、式(II)
Figure 2005121830
で表わされるブタジエン化合物100部およびシリコーン系レベリング剤(商品名:KF−96、信越化学工業(株)製)0.03部をテトラヒドロフランに溶解し、この溶液を0.5μmのフィルタで濾過した。得られた濾液に、一般式(I)のポリカーボネート(商品名:パンライトTS−2050、帝人化成(株)製)」(粘度平均分子量50000)180部を加え、固形分含量20重量%の電荷輸送層用塗液を調製した。
この塗液を2μmのフィルタで濾過し、図3に示す電子写真感光体製造装置と同型の装置の塗布槽に充填し、電荷発生層上に浸漬塗布した。ただし、この装置は、フィルタ装置が2μmの濾過フィルタのみからなり、マグネットフィルタは付与されていない以外は、図3に示す装置と同一の構成を有する。塗布後、120℃で1時間乾燥し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、本発明の電子写真感光体を製造した。
(実施例2)
電荷輸送層用のバインダ樹脂として、一般式(I)のポリカーボネート樹脂(商品名:パンライトTS−2030、帝人化成(株)製)(粘度平均分子量30000)を用い、かつ電荷輸送層用塗液の固形分含量を22重量%とする以外は、実施例1と同様にして、本発明の電子写真感光体を製造した。
(実施例3)
電子写真感光体製造装置として、図3に示す装置(濾過フィルタの目は2μm。マグネットフィルタ有り)を使用する以外は、実施例1と同様にして、本発明の電子写真感光体を製造した。
(実施例4)
電荷輸送材料として、式(III)
Figure 2005121830
で表わされるスチリル系化合物を用いる以外は、実施例1と同様にして、本発明の電子写真感光体を製造した。
(比較例1)
下引き層および電荷発生層は実施例1と同様に作製した。
次いで、式(II)のブタジエン化合物100部、一般式(I)のポリカーボネート(パンライトTS−2050、粘度平均分子量50000)180部およびシリコーン系レベリング剤(KF−96)0.03部をテトラヒドロフランに溶解し、固形分含量20重量%の電荷輸送層用塗液を調製した。この塗液を、実施例1と同様にして、電荷発生層上に塗布および乾燥し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、比較例の電子写真感光体を製造した。
(比較例2)
下引き層、および電荷発生層は実施例1と同様に作製した。
次いで、式(II)のブタジエン化合物100部、一般式(I)のポリカーボネート(パンライトTS−2050、粘度平均分子量50000)180部およびシリコーン系レベリング剤(KF−96)0.03部をテトラヒドロフランに溶解し、固形分含量20重量%の電荷輸送層用塗液を調製した。この塗液を、図3に示す電子写真感光体製造装置と同型の装置(濾過フィルタの目は1μm。マグネットフィルタなし)の塗布槽に充填し、電荷発生層上に浸漬塗布しようとしたが、1μmの濾過フィルタによりポンプの圧力が高くなりすぎ感光体の作成を中止した。
実施例1〜4および比較例1で得られた電子写真用感光体を画像形成装置に搭載し、35℃、85%の環境下で印字テストを行い、絶縁破壊による画像欠陥の数を評価した。画像形成装置は反転現像方式を採用し、接触帯電方式の負帯電型である。帯電器はポリエチレンにカーボンを分散させた導電性素材の帯電ブラシを用い、印可する直流電圧を−1000Vとした。帯電ブラシには交流電圧を重畳し、交流電圧のピーク間電圧を1200Vとした。結果を表1に示す。
Figure 2005121830
本発明の電荷輸送層用バインダ樹脂を除く電荷輸送層用成分を有機溶媒に溶解し、得られる溶液をフィルタで濾過する工程を有する電荷輸送層用塗液を用いた実施例では、いずれも絶縁破壊による画像欠陥が少ないことがわかる。電荷輸送層用バインダ樹脂の分子量が実施例2よりも大きく、電荷輸送層用塗液の粘度が高い実施例1においても更に良好な結果となった。これは、バインダ樹脂の分子量が大きい塗液でも絶縁破壊を引き起こす粒子が除去され、更に分子量が大きいことで電荷輸送層の電気的なバリア性がアップしたと考察される。電荷輸送材料を替えた実施例4においても同じ効果が得られた。さらに、実施例3においては感光体塗布工程でマグネットフィルタを用いたので、塗液を循環しながら塗液の塗布を行う間に発生する微小金属粉が捕獲され、絶縁破壊による欠陥は全く無かった。一方、すべての電荷輸送層用成分(バインダ樹脂を含む)を一度に有機溶媒に溶解する比較例1では、絶縁破壊による画像欠陥が多くなった。これは電荷輸送材料の不溶解粒子が残存していたためと思われ、電荷輸送材料の不溶解粒子の濾過が重要である事がわかった。
本発明電荷輸送層用塗液の調製方法を説明するフローチャートである。 本発明の実施の第1形態である電子写真感光体の構造を概略的に示す要部断面図である。 本発明の電子写真感光体を製造するために用いられる電子写真感光体製造装置の構成を概略的に示す断面図である。 本発明で用いられる電子写真感光体製造装置におけるフィルタ装置の構成を概略的に示す上面図である。 フィルタ装置におけるマグネットフィルタの構成を概略的に示す断面図である。 マグネットフィルタにおけるマグネット棒の構成を概略的に示す断面図である 本発明の他の実施形態である接触帯電式画像形成装置における画像形成部の構成を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 導電性支持体
3 下引き層
4 電荷発生層
5 電荷輸送層
6 感光層
10 電子写真感光体製造装置
11 塗布手段
12 導電性支持体昇降手段
13 塗布液回収手段
14 塗布液循環手段
15 塗布液
16 導電性支持体
17 塗布槽
18 オーバーフロー槽
19 昇降ネジ
20 支持体
21,26 モータ
22 歯車列
23、29,36,37,39,40,43,58 矢符
24 撹拌槽
25 連通管
27 撹拌ファン
28 粘度調整装置
30 循環管
31 循環ポンプ
32 フィルタ装置
33 濾過フィルタ
34 マグネットフィルタ
35 マグネット棒
38 ケーシング
41 円筒状カバー
42 磁石
50 画像形成部
51 感光体
52 接触帯電手段
53 露光手段
54 現像手段
55 転写手段
56 クリーニング手段
57 定着手段
59 転写用紙
100 粒状物
101 異物

Claims (6)

  1. 電子写真感光体の電荷輸送層を形成するための塗液であって、
    バインダ樹脂以外の電荷輸送層用成分を有機溶媒に溶解してろ過し、得られる濾液にバインダ樹脂を混合して調製されることを特徴とする電荷輸送層用塗液。
  2. バインダ樹脂がポリカーボネートであることを特徴とする請求項1記載の電荷輸送層用塗液。
  3. バインダ樹脂の粘度平均分子量が40000よりも大きいことを特徴とする請求項1または2記載の電荷輸送層用塗液。
  4. 導電性支持体と、導電性支持体の表面に形成された電荷発生層および電荷輸送層とを含む電子写真感光体において、
    電荷輸送層が、請求項1〜3のうちのいずれかの電荷輸送層用塗液を用いて形成されることを特徴とする電子写真感光体。
  5. 電荷輸送層が、請求項1〜3のうちのいずれかの電荷輸送層用塗液をマグネットフィルタでろ過し、得られる濾液を用いて形成されることを特徴とする請求項4記載の電子写真感光体。
  6. 請求項5の電子写真感光体と、
    電子写真感光体に接触するように配置される接触帯電手段とを含むことを特徴とする接触帯電式画像形成装置。
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CN102269941A (zh) * 2010-06-04 2011-12-07 京瓷美达株式会社 电子照相感光体和图像形成装置

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