JP2005119966A - 光感受性機能及び制がん効果を有する高精度・高感度制がん剤、がん細胞の検出方法 - Google Patents

光感受性機能及び制がん効果を有する高精度・高感度制がん剤、がん細胞の検出方法 Download PDF

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正彰 岩田
Tatsuo Wada
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Abstract

【課題】がん細胞の高感度検出、高精度治療に係わる機能集積型医薬・生化学試薬を提供すること。
【解決手段】 下記一般式Iまたは一般式IIIで表される化合物及びその医薬上許容される塩。
Figure 2005119966

式(I)中、R2は、エチル基又は下記一般式(II)で表される基であり、R4は、エチル基又は下記一般式(II)で表される基であり、R1 及びR3の少なくとも一方は光感受性基である。
Figure 2005119966

Figure 2005119966

式(III)中、R8は、水素原子、エチル基、アルデヒド基、シクロプロピルメチル基、若しくは下記一般式(IV)であり、R11 は、水素原子、エチル基、アルデヒド基、シクロプロピルメチル基、若しくは下記一般式(IV)であり、R7、R9、及びR10の少なくとも1つは光感受性基である。
Figure 2005119966

光感受性基を有するポリアミン化合物を用いるがん組織及び/又はがん細胞の検出方法、光感受性基を有するポリアミン化合物を投与し、患部に光を照射するがんの治療方法、これらの方法に用いる光感受性基を有するポリアミン化合物。
【選択図】なし

Description

本発明は、光感受性機能及び制がん効果を有する化合物、この化合物を用いた制がん剤及びがん細胞の検出方法に関する。
1.「アポトーシス(細胞の自然死)誘導作用を持つ鎖状ポリアミン」に関する従来の研究
鎖状あるいは環状で、1級または2級アミノ基を複数個含む飽和あるいは不飽和炭化水素を、天然に存在するポリアミンである、プトレッシン、スペルミジン、スペルミン、にちなんで、一般にポリアミン(類)と称している。これまでの研究から、天然ポリアミン類が、低分子量物質でありながら、あらゆる生物種の細胞内に存在し、DNA, RNA, タンパク質等の高分子量の生体物質類と相互作用しながら、細胞機能と深く係わっていることが明らかになっている。正常細胞でのポリアミン濃度は一定値である(ホメオスタシス性がある)が、例えばがん細胞では、急激なポリアミン濃度の増大が観察される。つまり、個々の天然ポリアミンの細胞内相対濃度が、正常細胞か異常細胞かの細胞情報を反映するマーカー役を果たしているとして注目されてきた。しかし、これらの天然ポリアミン類にはクロモホア(発色基)がないために、直接測定による分光学的な濃度決定が不可能である。そのため、排泄物中、特に尿中のポリアミン代謝産物に発色基を導入して検出するという分析法で、間接的にポリアミン・ホメオスタシスに関する細胞情報を得て来た。今日ではがん罹患に起因するポリアミン・ホメオスタシス異常応答性の高い代謝産物が発見・同定され、これをマーカーとした間接法によるがん発症の早期診断・術後経過観察技術が実現しようとしている。
一方では、がん細胞のポリアミン要求性の高さに着目した天然ポリアミン類似物質による抗がん剤の開発研究が、1980年代後半から始っている。これまでの開発研究の戦略は次の2種類に大別できる。一つは、天然ポリアミンの代謝経路の詳細が解明された事を受けて、基質類似物質で生合成経路を撹乱させ、がん細胞をポリアミン欠乏に陥らせ、増殖させないようにしようとの考え方である(代謝酵素不活化法)。当初は、特異的阻害剤の発見が相次ぎ、この戦略が成功するかに見えたが、新たな課題が浮上して来た。それは、阻害剤の作用が一時的にしか効果を持たないという問題であった。その原因を追求したところ、がん細胞が代謝経路からのポリアミン供給を阻害剤によって絶たれると、細胞膜を通しての、摂食を通じて取り込まれた血中ポリアミンから補給される、取り込み機構の存在が明らかになった。実際に、大腸菌においては、細胞膜に、細胞内・外のポリアミン濃度バランスを監視する運搬タンパク質が存在する事が明らかにされた。このため、がん細胞においても同様の働きをするポリアミン運搬酵素の存在が確実視されている。つまり、代謝酵素不活化法においては、ポリアミン運搬体の機能も同時に遮断しないと、効果的な増殖阻害が期待できない事になる。
第二の戦略の特色は、ポリアミンが細胞周期の個々の局面で細胞機能に関係している事実に着目したものである。つまり、個々の局面でポリアミンが標的としている生体分子(分子標的)が存在する筈であり、ある手段でその標的分子を特異的に機能不全に陥らせる事ができるなら、細胞周期が停止し、がん細胞が増殖できなくなり死滅する、という考え方(細胞周期遮断法、アポトーシス(細胞の自然死)誘導法)である。この考え方は、ポリアミン系抗がん剤開発研究において現在主流となっている戦略である。
この戦略にもとづく初めての研究報告は、R. J. Bergeronら(J. Med. Chem. 31, 1183-1190 (1988)、非特許文献1)によりなされた。彼らが分子設計した、BE333 (N,N'-bis-ethylnorspermine) のすぐれたアポトーシス作用が、下記に示す合成ポリアミン系抗がん剤の開発研究の突破口となった。
Figure 2005119966
この化合物はその後臨床試験段階へと歩みを続けており、初めてのポリアミン系抗がん剤の誕生も間近い。この研究に刺激され、多くの合成ポリアミンのアポトーシス作用が検定され報告されるようになった。なかでも顕著な作用を示すものとして、BE373 (N. J. Prakash et al., USA patent No. 5109024 (1992)、特許文献1; T. L. Bowlin and N. J. Prakash USA patent No. 5719193 (1998)、特許文献2), BE3333 (K. Igarashi et al., Cancer Research, 55, 2615 (1995)、非特許文献2), BE4444 (P. M. Harari, et al., International J. Rad. Oncol. Biol. Phys., 32, 687 (1995)、非特許文献3, BE4334 (五十嵐ら「薬学研究の進歩」(薬学研究奨励財団)第14巻、pp 1 (1997)、非特許文献4)、等の、特定の培養がん細胞に対する強いアポトーシス効果が注目されている。これら合成ポリアミンの構造的特徴は、鎖状構造の両末端にエチル基が挿入され、全ての窒素原子が2級アミノ基として存在している事を指摘できる(化1に示す合成ポリアミン系抗がん剤参照)。
本発明者らは、先に、BCPM464, BCPM474, BCPM3333, BCPM4334などの合成ポリアミン(特開2000-186065号公報、特許文献3)の、ヒト培養がん細胞パネルスクリーニング検定における、強い制がん効果を確認している(「癌と化学療法」(癌と化学療法社: Cancer and Chemotherapy Publishers)第27巻, suppel. I, pp 97 (2000)、非特許文献5)、第29巻, suppel. II, pp 349 (2002) 、非特許文献6)。これらの合成ポリアミンは、鎖状構造の両末端にシクロプロピルメチル (CPM)基が挿入され、かつ全ての窒素原子が2級アミノ基として存在していて、上記のものとの比較では、両末端の構造が全く異なっている特色を持っている。(化1に示す合成ポリアミン系抗がん剤参照)
以上をまとめると、「アポトーシス誘導作用を持つ鎖状ポリアミン」に関する従来の研究から、構造と生理活性に明確な相関関係があるという事実が明らかになり、有力なポリアミン系抗がん剤が間もなく実用化されようとしている。その一方で、皮肉にもアポトーシス誘導作用の発揮に不可欠な部位が限定されていて、構造修飾による生理活性度の改善余地がほとんど残されていないことを示す事にもなってしまっている。これは極めて深刻な問題で、例えば、将来ポリアミン系抗がん剤に対する薬剤耐性問題が発生した場合には対処に困難をきたすであろうことは確実で、代替物の探索が不可避な状況になっている。
2.「光感受性機能部」に関する従来の研究
紫外光、可視光、あるいは赤外光を吸収し得て、かつこれらの領域で発光し得る、芳香族炭化水素、複素芳香族炭化水素、あるいはこれらの金属錯体は、ナノモル程度の低濃度でも検出可能である特徴があり、この特性に着目した高感度超微量分析技術が開発されている。また、高速演算素子の開発によって電子計算技術は超高速を達成している。さらに、レーザーを光源とする各種時間分解解析装置はますます精度を上げていて、光技術時代にむけて高精度測定機器の進歩は著しい。さらに光応答性物質である芳香族炭化水素、複素芳香族炭化水素、あるいはこれらの金属錯体を利用した特異な機能を発揮する有機材料(ソフトマテリアル)を基幹物質とするソフトマテリアル時代が到来するであろうことが確実視されている。近年は、このような将来を見据えたソフトマテリアルに関する基礎研究が活発に展開されている。しかし医薬品や医療技術には、光技術時代を見越した取り組みがほとんど見られない。
近年、光感受性薬剤を使用した腫瘍の医療技術として、光線力学療法(フォトダイナミック・セラピー、PDT)が登場し、期待を集めている。光感受性薬剤上で生成する一重項励起酸素の殺傷力で腫瘍組織を破壊しようとの狙いである。しかし、この光感受性薬剤の腫瘍細胞選択性は、正常細胞の10倍程にしかすぎない。この事が原因となって、治療を受ける患者は、光感受性薬剤を注入された後長期に亘って露光を制限されることを余儀なくされ、生活の質が著しく低下する問題が指摘されている。そこで、格段に高い腫瘍細胞選択性をもった光感受性薬剤が待望されている。
N. J. Prakash et al., USA patent No. 5109024 (1992) T. L. Bowlin and N. J. Prakash USA patent No. 5719193 (1998) 特開2000-186065号公報 R. J. Bergeronら、J. Med. Chem. 31, 1183-1190 (1988) K. Igarashi et al., Cancer Research, 55, 2615 (1995) P. M. Harari, et al., International J. Rad. Oncol. Biol. Phys., 32, 687 (1995) 五十嵐ら「薬学研究の進歩」(薬学研究奨励財団)第14巻、pp 1 (1997) 「癌と化学療法」(癌と化学療法社: Cancer and Chemotherapy Publishers)第27巻, suppel. I, pp 97 (2000) 「癌と化学療法」(癌と化学療法社: Cancer and Chemotherapy Publishers)第29巻, suppel. II, pp 349 (2002)
本発明の目的は、がん細胞の高感度検出、高精度治療に係わる機能集積型医薬・生化学試薬を提供することに有る。
本発明者らは、細胞内に発光体や色素と結合した抗がん剤を効率良く導入することにより、生命科学や生命工学の広範な分野で、in vitroおよびin vivoでの、がん化機構や細胞機能の研究精度の向上に資し、また分子医療(異常細胞のみを分子レベルで早期に検知・治療する医療法)時代の治療薬、診断薬となり、かつ近い将来に到来する「photodynamic therapy(光技術を駆使した病気の早期診断・早期治療を主体とする高感度高精度医療技術)」時代において、病巣の分子レベルでの早期発見・ピンポイント治療に不可欠なセンシング機能も兼ね備えた高機能バイオプローブとして活用できる、制がん作用と光応答機能とを集積した機能集積型医薬・生化学試薬を開発したいと考えた。
このような複合機能性分子を設計・創製し、その複合機能の作動を検証したところ、高効率で選択的に細胞内に吸収され、集積した「分子標的に制がん作用を示す機能部」の性能を維持したまま、「発光体」が機能する事を確認し、ここに機能集積型医薬・生化学試薬を完成するに至った。
[請求項1] 下記一般式Iで表される化合物及びその医薬上許容される塩。
Figure 2005119966
式(I)中、nは、1から8の整数であり、R1は、水素原子、p-トルエンスルホニル基または光感受性基であり、R2は、エチル基又は下記一般式(II)で表される基であり、R3は、水素原子、p-トルエンスルホニル基または光感受性基であり、R4は、エチル基又は下記一般式(II)で表される基であり、R1 及びR3の少なくとも一方は光感受性基である。
Figure 2005119966
式(II)中、mは、1又は2であり、R5は、水素原子、若しくはp-トルエンスルホニル基であり、R6は、水素原子、エチル基、アルデヒド基、若しくはシクロプロピルメチル基であるか、又はR5及びR6は、フタロイル基を形成する。
[請求項2] 上記一般式(I)中、R1及びR3の一方は光感受性基であり、他方は水素原子であるか、またはR1及びR3はいずれも光感受性基であり、R2及びR4は上記一般式(II)であり、一般式(II)のR5は水素原子、R6はエチル基又はシクロプロピル基である請求項1に記載の化合物及びその医薬上許容される塩。
[請求項3]nは、1から6の整数である請求項1または2に記載の化合物及びその医薬上許容される塩。
[請求項4] 下記一般式IIIで表される化合物及びその医薬上許容される塩。
Figure 2005119966
式(III)中、pは1又は2であり、qは、1又は2であり、R7は、水素原子、p-トルエンスルホニル基、若しくは光感受性基であり、R8は、水素原子、エチル基、アルデヒド基、シクロプロピルメチル基、若しくは下記一般式(IV)であるか、又はR7及びR8は、フタロイル基を形成し、R9は、水素原子、p-トルエンスルホニル基、ベンジル基又は光感受性基であり、R10は、水素原子、p-トルエンスルホニル基、若しくは光感受性基であり、R11 は、水素原子、エチル基、アルデヒド基、シクロプロピルメチル基、若しくは下記一般式(IV)であるか、又はR10及びR11は、フタロイル基を形成し、R7、R9、及びR10の少なくとも1つは光感受性基である。
Figure 2005119966
式中、uは、1又は2であり、R12は、水素原子又はp-トルエンスルホニル基であり、R13は、水素原子、エチル基、又はシクロプロピルメチル基である。
[請求項5] 上記一般式(III)中、R7、R9、及びR10は、少なくとも1つが光感受性基であり、残りが水素原子であり、 R8及びR11はエチル基、シクロプロピルメチル基又は上記一般式(IV)であり、一般式(IV)中、R12は水素原子であり、R13はエチル基又はシクロプロピルメチル基である請求項4に記載の化合物及びその医薬上許容される塩。
[請求項6] 上記一般式(III)中、R9は、光感受性基であり、R7、及びR10は、水素原子である請求項4または5に記載の化合物及びその医薬上許容される塩。
[請求項7]光感受性基が芳香環、複素環及びこれらの縮合環を含む発色団、並びにそれらの金属錯体から成る群から選ばれる請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物及びその医薬上許容される塩。
[請求項8]光感受性基が、直接または飽和若しくは不飽和の炭素鎖またはヘテロ原子を含む炭素鎖を介して窒素原子に結合している請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物及びその医薬上許容される塩。
[請求項9]請求項1〜8に記載の化合物及び/又はその医薬上許容される塩の少なくとも1種を有効成分として含む制がん剤。
[請求項10]光感受性基を有するポリアミン化合物を用いるがん組織及び/又はがん細胞の検出方法。
[請求項11]光感受性基を有するポリアミン化合物を投与し、患部に光を照射するがんの治療方法。
[請求項12]照射する光が紫外光、可視光、及び/又は赤外光である請求項11に記載の方法。
[請求項13]ポリアミン化合物が鎖状ポリアミン化合物である請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
[請求項14]光感受性基が芳香環、複素環及びこれらの縮合環を含む発色団、並びにそれらの金属錯体から成る群から選ばれる請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
[請求項15]がん組織及び/又はがん細胞の検出に用いられる光感受性基を有するポリアミン化合物。
[請求項16] がんの治療に用いられる光感受性基を有するポリアミン化合物。
[請求項17]細胞および細胞質機能の研究に用いられる光感受性基を有するポリアミン化合物。
[請求項18]ポリアミン化合物が鎖状ポリアミン化合物である請求項15〜17のいずれか1項に記載のポリアミン化合物。
[請求項19]ポリアミン化合物が、アミノ基を2〜5個有する請求項15〜18のいずれか1項に記載のポリアミン化合物。
[請求項20]少なくとも1つの光感受性基が少なくとも1つのアミノ基にリンカーを介して結合している請求項15〜19のいずれか1項に記載のポリアミン化合物。
[請求項21]リンカーが飽和若しくは不飽和の炭素鎖またはヘテロ原子を含む炭素鎖である請求項15〜20のいずれか1項に記載のポリアミン化合物。
[請求項22]光感受性基が芳香環、複素環及びこれらの縮合環を含む発色団、並びにそれらの金属錯体から成る群から選ばれる請求項15〜21のいずれか1項に記載のポリアミン化合物。
このような構成からなる「機能集積型」複合機能性分子は、次に列挙する様な、従来のポリアミン系抗がん剤や個々の「光感受性物質」自身には無い独特の新しい特徴をもった分子である。
1.制癌活性を保有するのみならず光感受性部位として発色基を内在しているので、ピンポイントでがん細胞の分子標的に作用し、かつ作用している部位を報知できるバイオプローブ機能が備わっている。つまり病巣を高感度に検出できるので、細胞のがん化機構の解明研究に資する試薬としてのみならず、がん病巣の早期発見・早期治療薬となる。
2.使用できる光が紫外光、可視光、あるいは赤外光と幅広いので、現状においても「光感受性機能部」である蛍光体や蛍光マーカーの選択幅が無尽蔵であり、さらに光技術の発展によって選択幅が拡大する余地がある。細胞機能の分子レベルでの解明に不可欠な機能部位の選択に制限が無くなる。
3.in vitroまたはin vivoにおいて細胞内に任意の蛍光体や蛍光マーカーを効率良く運搬挿入できる。このような発色体の細胞内への効率的運搬体は従来存在せず、「機能集積型」複合機能性分子により初めて実現できる。
4.従来のポリアミン系抗がん剤には、アポトーシス誘導作用の発揮に不可欠な部位が限定されていて、構造修飾による生理活性度の改善余地がほとんど残されていないために薬剤耐性問題が発生した場合に対処できないが、「アポトーシス誘導作用を持つ鎖状ポリアミン」の「両末端アミノ基を除くアミノ基」に、ひとつ以上の「光感受性機能部」を導入するので、格段に構造修飾の多様性が拡大する。このことによる代替物の探索の自由度が増大する。
本発明の化合物
本発明の化合物は、下記一般式Iで表される化合物及びその医薬上許容される塩である。
Figure 2005119966
式(I)中、nは、1から8の整数であり、好ましくは1から6の整数であり、より好ましくは1から5の整数である。
R1は、水素原子、p-トルエンスルホニル基または光感受性基であり、R2は、エチル基又は下記一般式(II)で表される基であり、好ましくはR1は、水素原子または光感受性基であり、R2は、下記一般式(II)で表される基である。R3は、水素原子、p-トルエンスルホニル基または光感受性基であり、好ましくは水素原子または光感受性基である。R4は、エチル基又は下記一般式(II)で表される基であり、好ましくは下記一般式(II)で表される基である。
R1 及びR3の少なくとも一方は光感受性基である。光感受性基は、芳香環、複素環及びこれらの縮合環を含む発色団、並びにそれらの金属錯体から成る群から選ばれるものであることができ、例えば、カルバゾール基、インドール基、アクリジン基、フルオレッセン基、ポルフィリン基、及びピレン基等を挙げることができる。光感受性基は、好ましくはカルバゾール基、インドール基、ポルフィリン基、又はピレン基である。
さらに、光感受性基は、直接または飽和若しくは不飽和の炭素鎖またはヘテロ原子を含む炭素鎖を介して窒素原子に結合していることができる。飽和若しくは不飽和の炭素鎖またはヘテロ原子を含む炭素鎖としては、例えば、メチレン、ジメチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン等の飽和炭素鎖、あるいはこれらと炭素数が同じでありながら二重結合や三重結合を含む不飽和型炭素鎖、またはキシレン誘導体のような芳香環あるいは複素芳香環を中間に含む炭素鎖、またこれらの炭素鎖の一つまたは複数個の炭素原子を酸素、窒素、イオウ、リン原子で置換した、エーテル型、アミン型、チオエーテル型、スルホキシド型、スルホン型あるいは(リン酸)エステル型の官能基群を含む炭素鎖等を挙げることができる。光感受性基を窒素原子に結合させる、飽和若しくは不飽和の炭素鎖またはヘテロ原子を含む炭素鎖としては、好ましくは飽和炭素鎖であるトリメチレン、テトラメチレンあるいは他端にアミノ基を持つアミノトリメチレン、アミノテトラメチレンである。
Figure 2005119966
式(II)中、mは、1又は2であり、R5は、水素原子、若しくはp-トルエンスルホニル基であり、好ましくは水素原子である。R6は、水素原子、エチル基、アルデヒド基、若しくはシクロプロピルメチル基であるか、又はR5及びR6は、フタロイル基を形成し、好ましくはエチル基若しくはシクロプロピルメチル基である。
上記一般式(I)中、好ましくは、R1及びR3の一方は光感受性基であり、他方は水素原子であるか、またはR1及びR3はいずれも光感受性基であり、R2及びR4は上記一般式(II)であり、一般式(II)のR5は水素原子、R6はエチル基又はシクロプロピル基である。
本発明の化合物のもう一つの態様は、下記一般式IIIで表される化合物及びその医薬上許容される塩である。
Figure 2005119966
式(III)中、pは1又は2であり、qは、1又は2である。R7は、水素原子、p-トルエンスルホニル基、若しくは光感受性基であり、好ましくはpは1であり、qは1であり、R7は、水素原子若しくは光感受性基である。R8は、水素原子、エチル基、アルデヒド基、シクロプロピルメチル基、若しくは下記一般式(IV)であるか、又はR7及びR8は、フタロイル基を形成し、好ましくはR8は、水素原子若しくは下記一般式(IV)である。R9は、水素原子、p-トルエンスルホニル基、ベンジル基又は光感受性基であり、好ましくは水素原子又は光感受性基である。R10は、水素原子、p-トルエンスルホニル基、若しくは光感受性基であり、好ましくは水素原子又は光感受性基である。R11 は、水素原子、エチル基、アルデヒド基、シクロプロピルメチル基、若しくは下記一般式(IV)であるか、又はR10及びR11は、フタロイル基を形成し、好ましくはR11 は、水素原子若しくは下記一般式(IV)である。
上記R7、R9、及びR10の少なくとも1つは光感受性基である。光感受性基は、芳香環、複素環及びそれらの縮合環を含む発色団並びにそれらの金属錯体から成る群から選ばれるものであることができ、例えば、カルバゾール基、インドール基、アクリジン基、フルオレッセン基、ポルフィリン基、及びピレン基等を挙げることができる。光感受性基は、好ましくはカルバゾール基、インドール基、ポルフィリン基、又はピレン基である。
さらに、光感受性基は、直接または飽和若しくは不飽和の炭素鎖またはヘテロ原子を含む炭素鎖を介して窒素原子に結合していることができる。飽和若しくは不飽和の炭素鎖またはヘテロ原子を含む炭素鎖としては、例えば、メチレン、ジメチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン等の飽和炭素鎖、あるいはこれらと炭素数が同じでありながら二重結合や三重結合を含む不飽和型炭素鎖、またはキシレン誘導体のような芳香環あるいは複素芳香環を中間に含む炭素鎖、またこれらの炭素鎖の一つまたは複数個の炭素原子を酸素、窒素、イオウ、リン原子で置換した、エーテル型、アミン型、チオエーテル型、スルホキシド型、スルホン型あるいは(リン酸)エステル型の官能基群を含む炭素鎖を挙げることができる。光感受性基を窒素原子に結合させる、飽和若しくは不飽和の炭素鎖またはヘテロ原子を含む炭素鎖としては、好ましくは飽和炭素鎖であるトリメチレン、テトラメチレンあるいは他端にアミノ基を持つアミノトリメチレン、アミノテトラメチレンである。
Figure 2005119966
式中、uは、1又は2であり、R12は、水素原子又はp-トルエンスルホニル基であり、好ましくは、uは、1又は2であり、R12は、水素原子である。R13は、水素原子、エチル基、又はシクロプロピルメチル基であり、好ましくはエチル基、又はシクロプロピルメチル基である。
上記一般式(III)中、好ましくは、R7、R9、及びR10は、少なくとも1つが光感受性基であり、残りが水素原子であり、 R8及びR11はエチル基、シクロプロピルメチル基又は上記一般式(IV)であり、一般式(IV)中、R12は水素原子であり、R13はエチル基又はシクロプロピルメチル基である。より好ましくは、R9は、光感受性基であり、R7、及びR10は、水素原子である。
後述の例で説明する化合物1a〜d及び5a〜dは、一般式(III)で示される化合物である。各化合物と一般式(III)との関係を、以下の表に示す。尚、表中、Etはエチル基を示し、Tsはp-トルエンスルホニル基を示し、CPMはシクロプロピルメチル基を示し、Czはカルバゾリル基を示しCz-Pr-はカルバゾリルプロピル基を示す。
Figure 2005119966
本発明において、医薬上許容される塩とは、無機酸塩及び有機酸塩のいずれでもよい。無機酸塩としては、塩酸塩、臭素酸塩等を挙げることができる。有機酸塩としては、酢酸塩、クエン酸塩等を挙げることができる。好ましくは、臭素酸塩を用いることができる。但し、これらに限定されるものではない。
本発明の一般式(I)及び(III)で示される化合物は、文献 (M. Iwata, Bull. Chem. Soc. Jpn., 73, 693 (2000)、及び特開平2000-186065号公報) 記載の方法にしたがって、簡単な鎖状ポリアミンを出発原料として、その両末端を対称的に、また非対称的に系統的に伸張したのち、鎖状ポリアミン類の両末端一級アミノ基にエチル置換基またはシクロプロピルメチル置換基を導入した水溶性鎖状ポリアミン誘導体を系統的に合成することができる鎖状ポリアミン化合物に光感受性基を導入し、さらに必要により保護基を脱離させることにより調製することができる。
本発明は、上記本発明の化合物及び/又はその医薬上許容される塩の少なくとも1種を有効成分として含む制がん剤に関する。
本発明の制ガン剤は、前記有効成分として前記化合物及び/又はその医薬上許容される塩を、例えば、0.1μg〜1000mg含む。これを、例えば、1日1〜3回に分けて投与することができる。本発明の制ガン剤の投与方法としては、経口、静脈内、筋肉内、皮下、及び腹腔内等を挙げることができ、それぞれ適した形態の本制ガン剤を使用する。投与量は、種、体重、年齢、個々の体調、及び投与形態等を考慮し、適宜決定することができる。
本発明の制ガン剤は、例えば、錠剤、被膜錠剤、カプセル、粉末、顆粒、等張液等の水溶液、水溶性若しくは油性懸濁液、シロップ、煎じ薬、又はドロップのような一般的な生薬調剤等の形態とすることができる。本発明の制ガン剤は、一般的な補形薬、賦形剤、及び添加物を添加することもできる。
がん組織及び/又はがん細胞の検出方法
本発明は、光感受性基を有するポリアミン化合物を用いるがん組織及び/又はがん細胞の検出方法、並びにがん組織及び/又はがん細胞の検出に用いられる光感受性基を有するポリアミン化合物に関する。
光感受性基を有するポリアミン化合物としては、例えば、光感受性基を有する鎖状ポリアミン化合物であることができ、アミノ基を3〜5個有するものであることができる。ここで、光感受性基は、芳香環、複素環及びこれらの縮合環を含む発色団並びにそれらの金属錯体から成る群から選ばれるものであることができ、例えば、カルバゾール基、インドール基、アクリジン基、フルオレッセン基、ポルフィリン基、及びピレン基等を挙げることができる。少なくとも1つの光感受性基は、少なくとも1つのアミノ基にリンカーを介して結合していることができ、リンカーは、飽和若しくは不飽和の炭素鎖またはヘテロ原子を含む炭素鎖であることができる。飽和若しくは不飽和の炭素鎖またはヘテロ原子を含む炭素鎖としては、例えば、メチレン、ジメチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン等の飽和炭素鎖、あるいはこれらと炭素数が同じでありながら二重結合や三重結合を含む不飽和型炭素鎖、またはキシレン誘導体のような芳香環あるいは複素芳香環を中間に含む炭素鎖、またこれらの炭素鎖の一つまたは複数個の炭素原子を酸素、窒素、イオウ、リン原子で置換した、エーテル型、アミン型、チオエーテル型、スルホキシド型、スルホン型あるいは(リン酸)エステル型の官能基群を含む炭素鎖を挙げることができる。
光感受性基を有するポリアミン化合物としては、より具体的には、請前記一般式(I)または(III)で表される化合物を挙げることができる。但し、光感受性基を有するポリアミン化合物は、前記一般式(I)または(III)で表される化合物に限られず、環状化した単環式ポリアミンや、単環式ポリアミンをメチレン鎖列で連結したビス単環式環状ポリアミン、トリス単環式環状ポリアミン等の積層ポリアミン等に、リンカーを介して光感受性基を結合した化合物等も含まれる。
光感受性基を有するポリアミン化合物を用いるがん組織及び/又はがん細胞の検出は、以下のように行うことができる。
光感受性基を有するポリアミン化合物の際立った特性は、従来全く無かったがん組織・細胞の高感度・高精度検出ができる点にある。その理由は、光感受性基の発色、吸収、蛍光などに基づく従来の分光学的検出法に加え、非線形光学応答を示す光感受性基を用いると、励起光の光電場の2次以上に比例した分極に基づくに2光子蛍光や光第2高調波発生、和周波発生などの非線形光学分光法による検出が可能となるからである。特に、生体組織に透過性の高い近赤外光を励起光として用いることにより高感度・高精度な検出ができる。方法について以下に例を示す。
1)非切削バイオプシーができる:光感受性基を有するポリアミン化合物は、ガンの組織に選択的に吸収されるので、この性質を利用した非切削バイオプシーができる。すなわち、光感受性基を有するポリアミン化合物を投与し、一定時間後に、人体を透過し得る近赤外光等の光線を照射すると、がん化した組織が発光し、あるいは、2光子蛍光や光第2高調波発生や和周波発生するので、この発生量を高感度に計測することにより、がん化している組織を特定でき、また発生量からがんの進行度を判定することができる。また、3次元的な発生量計測により深度や体積が判明し、高精度のがんの外科療法に資する情報を集めることができる。
2)これまでのバイオプシーを超微量で短時間に行なえるようになる:身体の組織から摘出した被検組織細胞をバイオプシーする行程の初期段階において、光感受性基を有するポリアミン化合物を一定濃度含む水溶液と組織細胞とを一定時間接触させ、接触溶液を洗浄除去後、被検組織細胞に光感受性基が応答し得る波長の光を照射する行程を入れることによって、がんの有無あるいはがんの進行度合いを迅速に判定できる。すなわち、細胞内に光感受性基を有するポリアミン化合物が吸収されていれば細胞内発光が観測される。光感受性基を有するポリアミン化合物は、ガンの組織に選択的に吸収されるので、内部発光の観測によって被検組織細胞がガン化していることを判定できる。また発光量はがん化の度合いに比例するので、がんの進行度合を判定できる。この方法は、これまでのバイオプシーの際に必要であった被検組織細胞の量の、おおよそ100〜1000分の一程度で充分高精度の判定ができるので、被験者のバイオプシーに伴う身体的負担が大幅に軽減される。
3)がん細胞の微量検出法:光感受性基を有するポリアミン化合物は、ガン細胞に選択的に吸収されるので、この性質を利用したがん細胞の超微量検出ができる。すなわち、光感受性基を有するポリアミン化合物を一定濃度含む水溶液と被検細胞とを一定時間接触させ、接触溶液を洗浄除去後、被検細胞に光感受性基が応答し得る波長の光を照射すると、細胞内発光の有無が観測される。これによってがん化の有無あるいはがんの進行度合いが発光量から迅速に判定診断できる。
このように、組織レベル・細胞レベルでのがんの高感度・高精度検出ができるので、がんの早期発見・早期治療に資し、がんの浸潤・転移前の処置も可能となり、治癒率の大幅な向上がもたらされる。
がんの治療方法
本発明は、光感受性基を有するポリアミン化合物を投与し、患部に光を照射するがんの治療方法、並びにがん治療に用いられる光感受性基を有するポリアミン化合物に関する。
光感受性基を有するポリアミン化合物としては、例えば、光感受性基を有する鎖状ポリアミン化合物であることができ、アミノ基を3〜5個有するものであることができる。ここで、光感受性基は、芳香環、複素環及びこれらの縮合環を含む発色団並びにそれらの金属錯体から成る群から選ばれるものであることができ、例えば、カルバゾール基、インドール基、アクリジン基、フルオレッセン基、ポルフィリン基、及びピレン基等を挙げることができる。少なくとも1つの光感受性基は、少なくとも1つのアミノ基にリンカーを介して結合していることができ、リンカーは、飽和若しくは不飽和の炭素鎖またはヘテロ原子を含む炭素鎖であることができる。飽和若しくは不飽和の炭素鎖またはヘテロ原子を含む炭素鎖としては、例えば、メチレン、ジメチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン等の飽和炭素鎖、あるいはこれらと炭素数が同じでありながら二重結合や三重結合を含む不飽和型炭素鎖、またはキシレン誘導体のような芳香環あるいは複素芳香環を中間に含む炭素鎖、またこれらの炭素鎖の一つまたは複数個の炭素原子を酸素、窒素、イオウ、リン原子で置換した、エーテル型、アミン型、チオエーテル型、スルホキシド型、スルホン型あるいは(リン酸)エステル型の官能基群を含む炭素鎖等を挙げることができる。
光感受性基を有するポリアミン化合物としては、より具体的には、請前記一般式(I)または(III)で表される化合物を挙げることができる。但し、光感受性基を有するポリアミン化合物は、前記一般式(I)または(III)で表される化合物に限られず、環状化した単環式ポリアミンや、単環式ポリアミンをメチレン鎖列で連結したビス単環式環状ポリアミン、トリス単環式環状ポリアミン等の積層ポリアミン等に、リンカーを介して光感受性基を結合した化合物等も含まれる。
光感受性基を有するポリアミン化合物を投与し、患部に光を照射するがんの治療方法は、以下のように行うことができる。
光感受性基を有するポリアミン化合物を経口的あるいは注入的に投与し、所定の時間後、人体を透過し得る光線を照射すると、光線を照射された部位のがん細胞が増殖を停止しがんが治癒する。この方法の仕組みは、ガンの組織に選択的に吸収された光感受性基が、光を吸収し、そのエネルギーを細胞内の、酸素、炭酸ガス、窒素酸化物、(リン酸)基等の分子、イオン、官能基に伝搬することで、これらを活性化し励起する。励起されたこれらの分子、イオン、官能基が、増殖周期に入っている細胞機構の一部を損傷させ機能不全に陥らせることによって、増殖停止が引き起こされ、がんが治癒するものである。早期がんの治療に特に威力を発揮するので、先のがんの早期検出法と組み合わせて施療することにより、がんの浸潤・転移前の処置も可能となり、治癒率の大幅な向上がもたらされる。
照射する光は、例えば、紫外光、可視光、及び/又は赤外光であることができる。
細胞および細胞質機能の研究に用いられるポリアミン化合物
本発明は、細胞および細胞質機能の研究に用いられる光感受性基を有するポリアミン化合物に関する。
光感受性基を有するポリアミン化合物としては、例えば、光感受性基を有する鎖状ポリアミン化合物であることができ、アミノ基を3〜5個有するものであることができる。ここで、光感受性基は、芳香環、複素環及びこれらの縮合環を含む発色団並びにそれらの金属錯体から成る群から選ばれるものであることができ、例えば、カルバゾール基、インドール基、アクリジン基、フルオレッセン基、ポルフィリン基、及びピレン基等を挙げることができる。少なくとも1つの光感受性基は、少なくとも1つのアミノ基にリンカーを介して結合していることができ、リンカーは、飽和若しくは不飽和の炭素鎖またはヘテロ原子を含む炭素鎖であることができる。飽和若しくは不飽和の炭素鎖またはヘテロ原子を含む炭素鎖としては、例えば、メチレン、ジメチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン等の飽和炭素鎖、あるいはこれらと炭素数が同じでありながら二重結合や三重結合を含む不飽和型炭素鎖、またはキシレン誘導体のような芳香環あるいは複素芳香環を中間に含む炭素鎖、またこれらの炭素鎖の一つまたは複数個の炭素原子を酸素、窒素、イオウ、リン原子で置換した、エーテル型、アミン型、チオエーテル型、スルホキシド型、スルホン型あるいは(リン酸)エステル型の官能基群を含む炭素鎖等を挙げることができる。
光感受性基を有するポリアミン化合物としては、より具体的には、請前記一般式(I)または(III)で表される化合物を挙げることができる。但し、光感受性基を有するポリアミン化合物は、前記一般式(I)または(III)で表される化合物に限られず、環状化した単環式ポリアミンや、単環式ポリアミンをメチレン鎖列で連結したビス単環式環状ポリアミン、トリス単環式環状ポリアミン等の積層ポリアミン等に、リンカーを介して光感受性基を結合した化合物等も含まれる。
細胞および細胞質機能の研究とは、例えば、以下の通りである。
従来の細胞染色剤は細胞膜を染色するのみで、細胞質を着色させることはできなかった。光感受性基を有するポリアミン化合物は、従来の機能に加えて、細胞に選択的に吸収されるので、この特性を利用した細胞及び細胞質機能の研究に関して、これまで不可能であった次のような細胞膜や細胞質に関する研究が、これらの可視化によって分子レベルで行なえるようになる、新しい生化学試薬である。
(1)膜輸送タンパク質機能の動的解析:
(2)転写因子の制御機構:
(3)がん化の制御機構:
(4)細胞増殖・分化の制御機構:
(5)一塩基多型の発生・制御機構:
(6)細胞内情報伝達の制御機構:
(7)プロテオーム解析
その背景としては、光感受性基を有するポリアミン化合物が、細胞質である核やミトコンドリア中のDNAやRNA、またタンパク質などを標的として、細胞膜透過を果たし、攻撃することが明らかであるからである。一時的な増殖機構の中断だけでは増殖機構は停止するものではない。増殖機構の中枢部を攻撃できて初めて増殖が停止する。そこで基本的には、増殖が停止した時点で、あるいは一定時間光感受性基を有するポリアミン化合物と接触させてから、細胞質を先ず分画し、これに光線を当てつつ発光する可視化された細胞質部分のみをさらに分画する操作を確実に行う技術の確立が重要である。この技術が確立した時点において、これらの研究課題が確実に解明される。また、現在の分画技術においても、光感受性基を有するポリアミン化合物を生化学試薬として使うことによってこれらの課題の多くに関して、これまでは得るのが不可能であった分子レベルでの情報を得ることができる。
以下、本発明の化合物の調製について以下のスキームに 1を参照しながらさらに説明する。
Figure 2005119966
例1
N11-ベンジル-N3,N7,N15,N19-テトラトシル-3,7,11,15,19-ペンタアザヘンイコサン(3a)の合成
先ず、文献 (M. Iwata, Bull. Chem. Soc. Jpn., 73, 693 (2000)) 記載の方法にしたがって、ベンジルアミンとN-トシル-3-ブロモプロピルアミンとを出発原料とする4行程の合成反応によりN8-ベンジル-N1,N4,N12,N15-テトラトシル-4,8,12-トリアザ-1,15-ペンタデカンジアミン (2a)を調製した。
次いで、DMF(50 ml)中、(2a) (0.974 g)、無水炭酸カリウム(1.414 g)、ブロモエタン(168 μl)混合物を室温にて3日間撹拌反応させ、ろ過後、ろ液を濃縮し、クロロホルムーアセトン(290 : 10 v/v)を展開溶媒とするシリカゲル(Merck社、Art. 7734, 70-230 mesh)カラムクロマトグラフィ法により、TLC (Merck社、Art. 5715)においてRf=0.6 (クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v))の成分を集めると、(3a)(0.897 g, 87% yield)が無色粘性液体として得られる;元素分析計算値 for C51H69N5S4O8: C, 60.75; H, 6.90; N, 6.95%. 実測値: C, 60.63; H, 7.10; N, 6.67%。 IRスペクトル(KRS) 1337, 1156 cm-1SO2)。
1H- および13C-NMRのスペクトル (CDCl3)解析結果は表2にまとめた。
例2
N12-ベンジル-N3,N8,N16,N21-テトラトシル-3,8,12,16,21-ペンタアザトリコサン(3b)の合成
先ず、文献 (M. Iwata, Bull. Chem. Soc. Jpn., 73, 693 (2000)) 記載の方法にしたがって、ベンジルアミンとN-トシル-3-ブロモプロピルアミンとを出発原料とする4行程の合成反応によりN9-ベンジル-N1,N5,N13,N17-テトラトシル-5,9,13-トリアザ-1,17-ヘプタデカンジアミン (2b)を調製した。
次いで、DMF(60 ml)中、(2b) (1.825 g)、無水炭酸カリウム(2.573 g)、ブロモエタン(306 μl)混合物を室温にて3日間撹拌反応させ、ろ過後、ろ液を濃縮し、クロロホルムーアセトン(290 : 10 v/v)を展開溶媒とするシリカゲル(Merck社、Art. 7734, 70-230 mesh)カラムクロマトグラフィ法により、TLC (Merck社、Art. 5715)においてRf=0.6 (クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v))の成分を集めると、(3b)(1.45 g, 75% yield)が無色粘性液体として得られる。
元素分析計算値 for C53H73N5S4O8: C, 61.42; H, 7.10; N, 6.76%
実測値: C, 61.52; H, 7.08; N, 6.69%
IRスペクトル(KRS) 1337, 1156 cm-1SO2)
1H- および13C-NMRのスペクトル (CDCl3)解析結果は表3にまとめた。
例3
N1,N15-ビス(シクロプロピルメチル)-N8-ベンジル-N1,N4,N12,N15-テトラトシル-4,8,12-トリアザ-1,15-ペンタデカンジアミン(3c)の合成
DMF(50 ml)中、(2a) (0.974 g)、無水炭酸カリウム(1.414 g)、ブロモメチルシクロプロパン(168μl)混合物を室温にて3日間撹拌反応させ、ろ過後、ろ液を濃縮し、クロロホルムーアセトン(290 : 10 v/v)を展開溶媒とするシリカゲル(Merck社、Art. 7734, 70-230 mesh)カラムクロマトグラフィ法により、TLC (Merck社、Art. 5715)においてRf=0.6 (クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v))の成分を集めると、(3c)(0.897 g, 87% yield)が無色粘性液体として得られる。
元素分析計算値 for C51H69N5S4O8: C, 60.75; H, 6.90; N, 6.95%
実測値: C, 60.63; H, 7.10; N, 6.67%
IRスペクトル(KRS) 1337, 1156 cm-1SO2)
1H- および13C-NMRのスペクトル (CDCl3)解析結果は表4にまとめた。
例4
N1,N17-ビス(シクロプロピルメチル)-N9-ベンジル-N1,N5,N13,N17-テトラトシル-5,9,13-トリアザ-1,17-ヘプタデカンジアミン(3d)の合成
DMF(60 ml)中、(2b) (1.364 g)、無水炭酸カリウム(1.923 g)、ブロモメチルシクロプロパン(297 μl)混合物を室温にて3日間撹拌反応させ、ろ過後、ろ液を濃縮し、クロロホルムーアセトン(290 : 10 v/v)を展開溶媒とするシリカゲル(Merck社、Art. 7734, 70-230 mesh)カラムクロマトグラフィ法により、TLC (Merck社、Art. 5715)においてRf=0.7 (クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v))の成分を集めると、(3d)(0.935 g, 62% yield)が無色粘性液体として得られる。
元素分析計算値 for C57H77N5S4O8: C, 62.90; H, 7.13; N, 6.43%
実測値: C, 62.83; H, 7.08; N, 6.39%
IRスペクトル(KRS) 1337, 1156 cm-1SO2)
1H- および13C-NMRのスペクトル (CDCl3)解析結果は表5にまとめた。
例5
N3,N7,N15,N19-テトラトシル-3,7,11,15,19-ペンタアザヘンイコサン(4a)の合成
耐圧反応管を使用して、(3a) (1.665 g) を酢酸(40 ml)中、10%-Pd-C (0.464 g)を触媒として、初圧5.0 kg/cm2の水素で、75 ℃の油浴中2日間接触還元した。触媒をろ去し、ろ液を減圧濃縮した後、クロロホルムーメタノール(290 : 10 v/v (300 ml))ついで同(9 : 1 v/v (250 ml))を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーを行い、TLCにおいて、Rf = 0.5 (クロロホルムーメタノール(9 : 1 v/v))の成分を集めると、(4a)(1.345 g, 89% yield)が無色粘性液体として得られる。
元素分析計算値for C55H63N5S4O8: C, 57.55; H, 6.92; N, 7.63%
実測値: C, 57.33; H, 6.80; N, 7.45%
IRスペクトル(KRS) 3560 (νNH);1339, 1154 cm-1SO2)
1H- および13C-NMRのスペクトル (CDCl3)解析結果は表2にまとめた。
例6
N3,N8,N16,N21-テトラトシル-3,8,12,16,21-ペンタアザトリコサン(4b)の合成
耐圧反応管を使用して、(3b) (1.450 g) を酢酸(40 ml)中、10%-Pd-C (0.347 g)を触媒として、初圧5.0 kg/cm2の水素で、75℃の油浴中2日間接触還元した。触媒をろ去し、ろ液を減圧濃縮した後、クロロホルムーアセトン(9 : 1 v/v (300 ml))ついでクロロホルムーメタノール(95 : 5 v/v (500 ml))を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーを行い、TLCにおいて、Rf = 0.5 (クロロホルムーメタノール(95 : 5 v/v))の成分を集めると、(4b)(1.277 g, 97% yield)が無色粘性液体として得られる。
元素分析計算値for C46H67N5S4O8: C, 58.38; H, 7.14; N, 7.40%
実測値: C, 58.33; H, 6.81; N, 7.25%
IRスペクトル(KRS) 3560 (νNH);1335, 1156 cm-1SO2)
1H- および13C-NMRのスペクトル (CDCl3)解析結果は表3にまとめた。
例7
N1,N15-ビス(シクロプロピルメチル)-N1,N4,N12,N15-テトラトシル-4,8,12-トリアザ-1,15-ペンタデカンジアミン(4c)の合成
耐圧反応管を使用して、(3c) (1.815 g) を酢酸(40 ml)中、10%-Pd-C (0.127 g)を触媒として、初圧5.0 kg/cm2の水素で、75℃の油浴中2日間接触還元した。触媒をろ去し、ろ液を減圧濃縮した後、クロロホルムーメタノール(290 : 10 v/v (300 ml))ついで同(9 : 1 v/v (200 ml))を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーを行い、TLCにおいて、Rf = 0.4 (クロロホルムーメタノール(95 : 5 v/v))の成分を集めると、(4c)(1.581 g, 96% yield)が無色粘性液体として得られる。
元素分析計算値for C48H67N5S4O8: C, 59.41; H, 6.96; N, 7.22%
実測値: C, 59.27; H, 6.72; N, 7.15%
IRスペクトル(KRS) 3560 (νNH);1339, 1156 cm-1SO2)
1H- および13C-NMRのスペクトル (CDCl3)解析結果は表4にまとめた。
例8
N1,N17-ビス(シクロプロピルメチル)-N1,N5,N13,N17-テトラトシル-5,9,13-トリアザ-1,17-ヘプタデカンジアミン(4d)の合成
耐圧反応管を使用して、(3d) (0.935 g) を酢酸(40 ml)中、10%-Pd-C (0.286 g)を触媒として、初圧5.0 kg/cm2の水素で、75℃の油浴中2日間接触還元した。触媒をろ去し、ろ液を減圧濃縮した後、クロロホルムーアセトン(9 : 1 v/v (300 ml))ついでクロロホルムーメタノール(95 : 5 v/v (300 ml))を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーを行い、TLCにおいて、Rf = 0.7 (クロロホルムーメタノール(95 : 5 v/v))の成分を集めると、(4d)(0.844 g, 98% yield)が無色粘性液体として得られる。
例9
N11-(3-(カルバゾール-9-イル)プロピル)-N3,N7,N15,N19-テトラトシル-3,7,11,15,19-ペンタアザヘンイコサン(5a)の合成
アセトニトリル (30 ml)中、(4a) (0.209 g), NaHCO3 (0.115 g)および、カルバゾールと1,3-ジブロモプロパンから調製した9-(3-ブロモプロピル)カルバゾール (72 mg)混合物を75℃で7日間撹拌反応させた後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した後、クロロホルムーアセトン(280 : 20 v/v (300 ml))ついで同(9 : 1 v/v (200 ml))を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーを行い、TLCにおいて、Rf = 0.3 (クロロホルムーアセトン(9 : 1 v/v))の成分を集めると、(5a)(0.153 g, 60% yield)が無色粘性液体として得られる。
元素分析計算値for C59H76N6S4O8: C, 62.96; H, 6.81; N, 7.47%
実測値: C, 62,71; H, 6.86; N, 7.37%
IRスペクトル(KRS) 1337, 1156 cm-1SO2)
1H- および13C-NMRのスペクトル (CDCl3)解析結果は表2にまとめた。
例10
N12-(3-(カルバゾール-9-イル)プロピル)- N3,N8,N16,N21-テトラトシル-3,8,12,16,21-ペンタアザトリコサン(5b)の合成
アセトニトリル (30 ml)中、(4b) (0.218 g), NaHCO3 (0.116 g)および、カルバゾールと1,3-ジブロモプロパンから調製した9-(3-ブロモプロピル)カルバゾール (80 mg)混合物を75℃で7日間撹拌反応させた後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した後、クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v (300 ml))ついで同(9 : 1 v/v (200 ml))を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーを行い、TLCにおいて、Rf = 0.3 (クロロホルムーアセトン(9 : 1 v/v))の成分を集めると、(5b)(0.207 g, 78% yield)が無色粘性液体として得られる。
元素分析計算値for C61H80N6S4O8: C, 63.51; H, 6.99; N, 7.29%
実測値: C, 63.36; H, 6.86; N, 7.02%
IRスペクトル(KRS) 1337, 1156 cm-1SO2)
1H- および13C-NMRのスペクトル (CDCl3)解析結果は表3にまとめた。
例11
N8-(3-(カルバゾール-9-イル)プロピル)-N1,N15-ビス(シクロプロピルメチル)-N1,N4,N12,N15-テトラトシル-4,8,12-トリアザ-1,15-ペンタデカンジアミン(5c)の合成
アセトニトリル (30 ml)中、(4c) (0.169 g), NaHCO3 (0.88 g)および、カルバゾールと1,3-ジブロモプロパンから調製した9-(3-ブロモプロピル)カルバゾール (60 mg)混合物を75℃で7日間撹拌反応させた後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した後、クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v (300 ml))ついで同(9 : 1 v/v (200 ml))を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーを行い、TLCにおいて、Rf = 0.4 (クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v))の成分を集めると、(5c)(0.168 g, 82% yield)が無色粘性液体として得られる。
元素分析計算値for C63H80N6S4O8: C, 64.26; H, 6.85; N, 7.14%
実測値: C, 64.17; H, 6.86; N, 7.05%
IRスペクトル(KRS) 1337, 1156 cm-1SO2)
1H- および13C-NMRのスペクトル (CDCl3)解析結果は表4にまとめた。
例12
N9-(3-(カルバゾール-9-イル)プロピル)-N1,N17-ビス(シクロプロピルメチル)-N1,N5,N13,N17-テトラトシル-5,9,13-トリアザ-1,17-ヘプタデカンジアミン(5d)の合成
アセトニトリル (30 ml)中、(4d) (0.150 g), NaHCO3 (0.76 g)および、カルバゾールと1,3-ジブロモプロパンから調製した9-(3-ブロモプロピル)カルバゾール (52 mg)混合物を75℃で7日間撹拌反応させた後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮した後、クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v (300 ml))ついで同(9 : 1 v/v (200 ml))を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーを行い、TLCにおいて、Rf = 0.4 (クロロホルムーアセトン(95 : 5 v/v))の成分を集めると、(5d)(0.133 g, 73% yield)が無色粘性液体として得られる。
元素分析計算値for C65H84N6S4O8: C, 64.75; H, 7.02; N, 6.97%
実測値: C, 64.169; H, 6.92; N, 6.83%
IRスペクトル(KRS) 1337, 1156 cm-1SO2)
1H- および13C-NMRのスペクトル (CDCl3)解析結果は表5にまとめた。
例13
N11-(3-(カルバゾール-9-イル)プロピル)-3,7,11,15,19-ペンタアザヘンイコサン(1a)の合成
5a (0.153 g) を酢酸(2 ml)に溶解し、これに33%-HBr-酢酸(5 ml)とフェノール(0.262 g)を添加し、75℃の油浴中で20時間加熱撹拌し、反応混合物を減圧濃縮する。残さにジエチルエーテルを添加して撹拌し、2000rpmの遠心器で数分間遠心分離し、上澄みを捨て、ついで最少量のメタノールで固体を溶解した後、ジエチルエーテルを添加し再沈澱化させ、同様にして遠心分離する。この操作を上澄み液が無色になるまで繰り返す。残留する固体を乾固した後、最少量の水に溶解し、活性炭を加え脱色したのち、フィルター(4μsize)を通し、ろ過すると、淡褐色透明液を得る。これを減圧濃縮すると、(1a)が93%の収率で淡褐色粉末として得られる。IRスペクトル(KBr)にはνSO2の特性吸収帯が消失していて(1a)の生成が確認された。
例14
N12-(3-(カルバゾール-9-イル)プロピル)- 3,8,12,16,21-ペンタアザトリコサン(1b)の合成
5b (0.200 g) を酢酸(2 ml)に溶解し、これに33%-HBr-酢酸(5 ml)とフェノール(0.250 g)を添加し、75℃の油浴中で20時間加熱撹拌し、反応混合物を減圧濃縮する。残さにジエチルエーテルを添加して撹拌し、2000rpmの遠心器で数分間遠心分離し、上澄みを捨て、ついで最少量のメタノールで固体を溶解した後、ジエチルエーテルを添加し再沈澱化させ、同様にして遠心分離する。この操作を上澄み液が無色になるまで繰り返す。残留する固体を乾固した後、最少量の水に溶解し、活性炭を加え脱色したのち、フィルター(4μsize)を通し、ろ過すると、淡褐色透明液を得る。これを減圧濃縮すると、(1b)が93%の収率で淡褐色粉末として得られる。IRスペクトル(KBr)にはνSO2の特性吸収帯が消失していて(1b)の生成が確認された。
例15
N8-(3-(カルバゾール-9-イル)プロピル)-N1,N15-ビス(シクロプロピルメチル)-4,8,12-トリアザ-1,15-ペンタデカンジアミン(1c)の合成
5c(0.150 g) を酢酸(2 ml)に溶解し、これに33%-HBr-酢酸(5 ml)とフェノール(0.220 g)を添加し、75℃の油浴中で20時間加熱撹拌し、反応混合物を減圧濃縮する。残さにジエチルエーテルを添加して撹拌し、2000rpmの遠心器で数分間遠心分離し、上澄みを捨て、ついで最少量のメタノールで固体を溶解した後、ジエチルエーテルを添加し再沈澱化させ、同様にして遠心分離する。この操作を上澄み液が無色になるまで繰り返す。残留する固体を乾固した後、最少量の水に溶解し、活性炭を加え脱色したのち、フィルター(4μsize)を通し、ろ過すると、淡褐色透明液を得る。これを減圧濃縮すると、(1c)が95%の収率で淡褐色粉末として得られる。IRスペクトル(KBr)にはνSO2の特性吸収帯が消失していて(1c)の生成が確認された。
例16
N9-(3-(カルバゾール-9-イル)プロピル)-N1,N17-ビス(シクロプロピルメチル)-5,9,13-トリアザ-1,17-ヘプタデカンジアミン(1d)の合成
5d(0.115 g) を酢酸(2 ml)に溶解し、これに33%-HBr-酢酸(5 ml)とフェノール(0.200 g)を添加し、75℃の油浴中で20時間加熱撹拌し、反応混合物を減圧濃縮する。残さにジエチルエーテルを添加して撹拌し、2000rpmの遠心器で数分間遠心分離し、上澄みを捨て、ついで最少量のメタノールで固体を溶解した後、ジエチルエーテルを添加し再沈澱化させ、同様にして遠心分離する。この操作を上澄み液が無色になるまで繰り返す。残留する固体を乾固した後、最少量の水に溶解し、活性炭を加え脱色したのち、フィルター(4μsize)を通し、ろ過すると、淡褐色透明液を得る。これを減圧濃縮すると、(1d)が98%の収率で淡褐色粉末として得られる。IRスペクトル(KBr)にはνSO2の特性吸収帯が消失していて(1d)の生成が確認された。
Figure 2005119966
Figure 2005119966
Figure 2005119966
Figure 2005119966
Figure 2005119966
制がん活性のin vitro検定法
信頼できるスクリーニング検定結果を得るため、(財)癌研究会癌化学療法センター(CCC)が文部科学省の支援により実施しているヒト培養がん細胞(HCC)パネルスクリーニング検定法での制がん効果の一次検定を依頼した。なお、in vitro検定方法と評価法については、癌と化学療法社: Cancer and Chemotherapy Publishers)第27巻, suppel. I, pp 159 (2000))、第29巻, suppel. II, pp 389 (2002)を参照の事。一次検定結果の信頼性については、特開2000−186065号公報において考察を加えてあるので参照の事。
検定結果と機能の評価
Cz3(33Et)2(1a, JCI-ID No. 12195)), Cz3(34Et)2 (1b, JCI-ID No. 12274), Cz3(33CPM)2 (1c, JCI-ID No. 12275), Cz3(34CPM)2 (1d, JCI-ID No. 12276)の制がん効果のHCCパネル検定結果の素データを、がん組織毎の平均50%-成長阻害濃度(GI50)値に置き換えて示したのが表6である(表中の数値は、実測のlog GI50 (モル濃度)値を、より一般的な表現で、倍数を表し易いマイクロモル濃度(μM)単位に変換したものである。また表中の空欄はその薬に制がん効果が無い事を示す)。また、これまでに我々が発見してきた鎖状ポリアミン誘導体のHCCパネルスクリーニングの結果を同じ平均濃度値で表現したのが表7である。表6、7を見比べる事により機能集積型制がん剤に次の様な際立った特色がある事を指摘する事ができる。
Figure 2005119966
Figure 2005119966
(1)表6から、制がん効果(がん細胞毒性濃度)の中間値の比較から、1c, 1a, 1d, 1bの順に濃度数値が増大していて、この順に細胞毒性が低下する事が分かる。「臨床医薬として開発展望を持てる細胞毒性濃度は中間値で10μM以下である」とする規準を満たすものは、1aと1cであり、これら2つは臨床レベルでの優れた制がん効果がある。
(2)カルバゾール基の導入による、制がん作用への影響は、表6、7における制がん効果の中間値を比較する事によって、極めて明瞭に示される。ポリアミン鎖が、(33CPM)2系の場合、カルバゾール基を導入する事によって、9-10倍の効力増大が見られ、また(34CPM)2系の場合にも、約3倍程度の効力増大がもたらされている。
(3)また、表6、7における制がん効果の中間値を比較する事によって、ポリアミン鎖の両末端置換基の種類の影響が明確に示されている。すなわち、両末端置換基が、CPM(シクロプロピルメチル)基であるものは、Et(エチル)基であるものよりおおよそ2倍程度効力が高い。
(4)官能基別の薬理効果を割り振るアイソスター学説において、アミノ基とメチレン基は等価であるとされる。表6、7における制がん効果の中間値を比較すると、ポリアミン鎖の両末端アミノ基間の距離が制がん効果の大きさに影響している事が示されている。すなわち、両末端アミノ基間の距離として、メチレン基換算で、15-17個の範囲のポリアミン類が、効力発揮の最適鎖長である事が示されている。
これらの検定結果の分析結果は、機能集積型制がん剤の細胞毒性効果が、両末端置換基の種類、両末端アミノ基間の距離、および両末端でないアミノ基に導入されたカルバゾール基の存在、という3要素に由来する事は明白である。
個々の培養がん細胞に対する濃度依存的効力の程度の違いはフィンガープリントにおいて明確に表現される。図1には、1aのフィンガープリントを示した。これはHCCパネルスクリーニング法による、化合物の検定結果のうち、細胞毒性の度合いの違いが、検定された全試料の50%-成長阻害濃度の対数(log GI50 (モル濃度))平均値を中心とする、左右に伸びる棒グラフの長さで表されたものである。右に長いもの程低濃度で効果があり、左に長いもの程より高濃度が必要である事を示す。
図1には、CCCの評価基準において有効と評価される低濃度範囲において、優れた制がん剤に必須の兆候である示差成長阻害効果(バラツキ)が明白に確認される。これは、この制がん作用が、増殖期に起動している細胞システムの分子標的に直接的に及んでいる事を強く示唆している。
つまり本来組織差によって増殖周期の長短にバラツキがあるので、分子標的となる作用部位に着目した場合その出現時期に差があるはずである。HCCパネルスクリーニング法による検定では、安定増殖にはいった時期を見計らって、パネル全体に薬剤を一斉に投与するので、この出現時期の差は作用濃度(log GI50 (モル濃度))の差に反映され、その薬剤が分子標的を持つ場合には、はっきりと示差成長阻害効果(バラツキ)としてあらわれる。したがってフィンガープリントにおいて示差成長阻害効果が明瞭な薬は、特定の分子標的をもつ制がん剤であるという事ができる。
以上の化合物が、どの組織のがんに、より細胞毒性が強いのかは、組織別の平均log GI50値(中間値)の大きさを見ると傾向を知る事ができる。1aの場合、メラノーマ、乳癌に、また1b, 1dでは、肺ガンや大腸がんに、一方1cは、乳癌、脳腫瘍、大腸がん、肺ガン、メラノーマ、卵巣がん、胃ガン、前立腺がんなど、腎臓がん以外の、広範囲のがん細胞に制がん効果を発揮している。臨床現場で、メラノーマや肺ガンに対する効果的な治療薬が無い現状を顧みると、本剤が新たな特定用途を持つ治療薬として有望であり、in vivo検定を経て、実用化されることの意義は大きい。
発光基となるカルバゾール基は、極大吸収をλmax (H2O, c = 5.0 x 10-6 mol/l)) 240 (O.D. = 0.611), 266 (0.383), 296 (0.285), 333 (0.070), 347.5 (0.080) nmに示し、310 nmの波長で励起した場合、λ350 nm及びλ370 nm附近に強い蛍光が観測された。これは、この機能集積型ポリアミン類が、紫外、可視、赤外の波長領域の光に対し、蛍光を発して応答し得る事を示す。
この集積分子において、ポリアミン鎖部分ががん細胞の細胞膜透過に必須であることは、カルバゾール等の炭化水素にそのような性質が無い事から明らかで、アポトーシス誘導作用を持つ鎖状ポリアミン類が、所定の部位に結合している発色原子団の細胞内への取り込みに好都合である事が示されている。
なお発色原子団の制がん効果への寄与の度合いについては、明らかでは無いが、in vitro実験で芳香族炭化水素のインターカレーション効果でアポトーシス誘導が起きる事も知られているので、その寄与については決して否定できない。
化合物1aのフィンガープリントを示す。

Claims (22)

  1. 下記一般式Iで表される化合物及びその医薬上許容される塩。
    Figure 2005119966
    式(I)中、nは、1から8の整数であり、R1は、水素原子、p-トルエンスルホニル基または光感受性基であり、R2は、エチル基又は下記一般式(II)で表される基であり、R3は、水素原子、p-トルエンスルホニル基または光感受性基であり、R4は、エチル基又は下記一般式(II)で表される基であり、R1 及びR3の少なくとも一方は光感受性基である。
    Figure 2005119966
    式(II)中、mは、1又は2であり、R5は、水素原子、若しくはp-トルエンスルホニル基であり、R6は、水素原子、エチル基、アルデヒド基、若しくはシクロプロピルメチル基であるか、又はR5及びR6は、フタロイル基を形成する。
  2. 上記一般式(I)中、R1及びR3の一方は光感受性基であり、他方は水素原子であるか、またはR1及びR3はいずれも光感受性基であり、R2及びR4は上記一般式(II)であり、一般式(II)のR5は水素原子、R6はエチル基又はシクロプロピル基である請求項1に記載の化合物及びその医薬上許容される塩。
  3. nは、1から6の整数である請求項1または2に記載の化合物及びその医薬上許容される塩。
  4. 下記一般式IIIで表される化合物及びその医薬上許容される塩。
    Figure 2005119966
    式(III)中、pは1又は2であり、qは、1又は2であり、R7は、水素原子、p-トルエンスルホニル基、若しくは光感受性基であり、R8は、水素原子、エチル基、アルデヒド基、シクロプロピルメチル基、若しくは下記一般式(IV)であるか、又はR7及びR8は、フタロイル基を形成し、R9は、水素原子、p-トルエンスルホニル基、ベンジル基又は光感受性基であり、R10は、水素原子、p-トルエンスルホニル基、若しくは光感受性基であり、R11 は、水素原子、エチル基、アルデヒド基、シクロプロピルメチル基、若しくは下記一般式(IV)であるか、又はR10及びR11は、フタロイル基を形成し、R7、R9、及びR10の少なくとも1つは光感受性基である。
    Figure 2005119966
    式中、uは、1又は2であり、R12は、水素原子又はp-トルエンスルホニル基であり、R13は、水素原子、エチル基、又はシクロプロピルメチル基である。
  5. 上記一般式(III)中、R7、R9、及びR10は、少なくとも1つが光感受性基であり、残りが水素原子であり、 R8及びR11はエチル基、シクロプロピルメチル基又は上記一般式(IV)であり、一般式(IV)中、R12は水素原子であり、R13はエチル基又はシクロプロピルメチル基である請求項4に記載の化合物及びその医薬上許容される塩。
  6. 上記一般式(III)中、R9は、光感受性基であり、R7、及びR10は、水素原子である請求項4または5に記載の化合物及びその医薬上許容される塩。
  7. 光感受性基が芳香環、複素環及びこれらの縮合環を含む発色団、並びにそれらの金属錯体から成る群から選ばれる請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物及びその医薬上許容される塩。
  8. 光感受性基が、直接または飽和若しくは不飽和の炭素鎖またはヘテロ原子を含む炭素鎖を介して窒素原子に結合している請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物及びその医薬上許容される塩。
  9. 請求項1〜8に記載の化合物及び/又はその医薬上許容される塩の少なくとも1種を有効成分として含む制がん剤。
  10. 光感受性基を有するポリアミン化合物を用いるがん組織及び/又はがん細胞の検出方法。
  11. 光感受性基を有するポリアミン化合物を投与し、患部に光を照射するがんの治療方法。
  12. 照射する光が紫外光、可視光、及び/又は赤外光である請求項11に記載の方法。
  13. ポリアミン化合物が鎖状ポリアミン化合物である請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 光感受性基が芳香環、複素環及びこれらの縮合環を含む発色団、並びにそれらの金属錯体から成る群から選ばれる請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. がん組織及び/又はがん細胞の検出に用いられる光感受性基を有するポリアミン化合物。
  16. がんの治療に用いられる光感受性基を有するポリアミン化合物。
  17. 細胞および細胞質機能の研究に用いられる光感受性基を有するポリアミン化合物。
  18. ポリアミン化合物が鎖状ポリアミン化合物である請求項15〜17のいずれか1項に記載のポリアミン化合物。
  19. ポリアミン化合物が、アミノ基を2〜5個有する請求項15〜18のいずれか1項に記載のポリアミン化合物。
  20. 少なくとも1つの光感受性基が少なくとも1つのアミノ基にリンカーを介して結合している請求項15〜19のいずれか1項に記載のポリアミン化合物。
  21. リンカーが飽和若しくは不飽和の炭素鎖またはヘテロ原子を含む炭素鎖である請求項15〜20のいずれか1項に記載のポリアミン化合物。
  22. 光感受性基が芳香環、複素環及びこれらの縮合環を含む発色団、並びにそれらの金属錯体から成る群から選ばれる請求項15〜21のいずれか1項に記載のポリアミン化合物。
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