JP2005119897A - 立方晶酸化ランタンとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐吸湿性および耐炭酸ガス反応性を改善し、取扱い容易な、酸化ランタンおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】ヨウ化ランタンを空気中で加熱する、または、従来の六方晶酸化ランタン(加熱により六方晶酸化ランタンとなるランタン化合物でも良い)にヨウ化アンモニウムを添加混合して加熱する製造法により、結晶格子内にヨウ素が固溶した立方晶の酸化ランタンとする。
【効果】 本発明によれば、耐吸湿性および耐炭酸ガス反応性が改善され、取扱いが極めて容易であり、また長期保存にも適した立方晶の酸化ランタンが提供される。さらに、製造された立方晶の酸化ランタンを800℃以上の高温で加熱することにより、通常の六方晶酸化ランタンに戻すことが可能である。
【選択図】 図1
【解決手段】ヨウ化ランタンを空気中で加熱する、または、従来の六方晶酸化ランタン(加熱により六方晶酸化ランタンとなるランタン化合物でも良い)にヨウ化アンモニウムを添加混合して加熱する製造法により、結晶格子内にヨウ素が固溶した立方晶の酸化ランタンとする。
【効果】 本発明によれば、耐吸湿性および耐炭酸ガス反応性が改善され、取扱いが極めて容易であり、また長期保存にも適した立方晶の酸化ランタンが提供される。さらに、製造された立方晶の酸化ランタンを800℃以上の高温で加熱することにより、通常の六方晶酸化ランタンに戻すことが可能である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光学ガラス、セラミックス、触媒、電子材料、蛍光体材料等として用いられる酸化ランタンの製造方法に関するものである。
酸化ランタンは、光学ガラス、セラミックス、触媒、電子材料、蛍光体等の材料として知られている。通常、これら材料の原料としては、市販されている六方晶の酸化ランタンが用いられるが、一般に六方晶酸化ランタンは吸湿性が大きく、また空気中の炭酸ガスと反応して炭酸塩に変化しやすいため、その取扱いや保存が難しく、製造前や製造途中に、空気中の水分や炭酸ガスを吸収して水酸化物や炭酸塩に変化してしまう問題や、あるいは、プレス体や焼結体にしたときに割れ等の欠陥を生じ易いという問題があった。
酸化ランタンの耐吸湿性を改善する技術の公知例としては、酸化ランタンをタングステンとランタンの複合酸化物として添加混合する技術(特許文献1)や、酸化ランタンに酸化イットリウムを固溶させる技術(非特許文献1)が提案されている。しかしながら、これらの技術では、酸化ランタンの耐吸湿性は確かに改善されるものの、第2成分として含まれるタングステンやイットリウムを取り除くことは容易でないため、特定の材料に用途が限定されてしまう。また、炭酸ガスとの反応性を抑制する技術の公知例は見あたらない。
特開平11−61290
J. Mater. Sci., 24 (1989) 1757-1766
本発明は、酸化ランタンの吸湿性や炭酸ガスとの反応性を抑制し、取扱いが容易で長期保存にも適した酸化ランタン、およびその製造方法を提供しようとするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するため種々検討の結果、ヨウ化ランタンを空気中で加熱する製造法により、結晶格子内にヨウ素が固溶した立方晶の酸化ランタンとすることにより、吸湿性や炭酸ガスとの反応性が抑制され、取扱いが極めて容易であり、また長期保存にも適した立方晶の酸化ランタンが得られることを見出した。また従来の六方晶酸化ランタン(加熱により六方晶酸化ランタンとなるランタン化合物でも良い)にヨウ化アンモニウムを添加混合して加熱しても同様の効果が得られることを見出し、本発明を完成するにいたった。
本発明の方法によれば、酸化ランタンの耐吸湿性、耐水性、および耐炭酸ガス反応性が大幅に改善され、特別の取扱いを必要とせず、容易に酸化ランタンを利用した材料を製造することが出来る。
本発明の特徴は、少なくとも酸化ランタンの製造方法において、ヨウ化ランタンを空気中において酸化ランタンの生成温度以上で焼成することにある。また本発明の特徴は、吸湿性を有し、また炭酸塩になりやすい六方晶の酸化ランタンをヨウ化アンモニウムと混合したのち、該混合物を酸化ランタンの生成温度以上に加熱することにある。さらに本発明の特徴は、上記のいずれの方法によって製造された酸化ランタンも、通常の六方晶ではなく、立方晶の結晶構造をとることにある。加えて本発明の特徴は、上記いずれの方法によって製造された立方晶の酸化ランタンを高温で加熱することにより、通常の六方晶酸化ランタンに戻すことが可能であることにある。
本発明の立方晶酸化ランタンは、ヨウ化ランタンあるいは六方晶酸化ランタンとヨウ化アンモニウムの混合物を、空気中で加熱することにより容易に製造することができる。
六方晶酸化ランタンとヨウ化アンモニウムの混合物を空気中で加熱する場合、六方晶酸化ランタンの代わりに、加熱により六方晶酸化ランタンとなるランタン化合物を用いても良い。一例としては、水酸化ランタン、炭酸ランタン、硝酸ランタン、シュウ酸ランタン、酢酸ランタン等があるが、本発明の実施は上記化合物に限定されるものではなく、加熱により酸化物となる化合物であればいかなる化合物でも差しつかえない。
また、六方晶酸化ランタン(あるいは加熱により六方晶酸化ランタンとなるランタン化合物)とヨウ化アンモニウムを混合する製造方法において、混合方法は特に限定されない。乳鉢による混合の他に、擂塊機あるいは回転または振動式のミルなど通常の混合機を用いることができる。
ヨウ化ランタン、あるいは六方晶酸化ランタンとヨウ化アンモニウムの混合物の加熱は、立方晶酸化ランタンの生成温度以上で行なわれるが、一般には600℃〜800℃とするのが望ましい。600℃より低い温度では立方晶酸化ランタンの生成に長時間を要し、また800℃を超える温度では立方晶酸化ランタンが分解してしまい、格子内に固溶したヨウ素が揮発して、通常の六方晶酸化ランタンとなる。
得られた立方晶酸化ランタンの粉末は、後記実施例に詳述するように、大気中に放置しても吸湿性や炭酸ガスとの反応性を殆ど示さないだけでなく、水中や炭酸水中に分散させても変化しない。
本発明の実施に際し、加熱温度を制御することで、ランタンとヨウ素の比を制御することができる。この際のランタンとヨウ素の比は、オキシヨウ化ランタン(LaOI)よりもヨウ素の割合が小さければ(33原子%以下)自由に選択できるが、通常、酸化ランタン中のヨウ素含有量は1〜10原子%である。ヨウ素含有量が1原子%よりも小さいか、あるいは10原子%よりも大きいと立方晶酸化ランタンが単相で生成しない。
生成した立方晶酸化ランタン粉末は、セラミックスや触媒、蛍光体等の通常の原料とすることができる。また、吸湿性や炭酸ガスとの反応性を示さないので原料として取扱いが容易であるだけでなく、長期保存も可能である。格子内のヨウ素原子は800℃以上の加熱により揮発させることができるので、ヨウ素が問題となる場合は用途に応じて前処理を行えばよい。
以下、実施例により本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ヨウ化ランタン20gをるつぼに入れ、空気雰囲気下、電気炉中で700℃にて12時間焼成した。粉末X線回折装置で分析した結果、図1に示すように、生成物は立方晶酸化ランタンの回折パターンを示した。さらに800℃で12時間焼成すると、図2に示すように六方晶の酸化ランタンに変化した。700℃で焼成した試料と、800℃で焼成した試料の蛍光X線分析結果を表1に示す。立方晶酸化ランタン中にはヨウ素が含まれているが、800℃で焼成して六方晶に戻すとヨウ素が揮発して無くなっているのが分かる。このことから、ヨウ素が固溶することにより酸化ランタンは立方晶構造をとることが可能となり、高温で加熱することにより、従来の六方晶酸化ランタンにすることができる。
ヨウ化ランタン20gをるつぼに入れ、空気雰囲気下、電気炉中で700℃にて12時間焼成した。粉末X線回折装置で分析した結果、図1に示すように、生成物は立方晶酸化ランタンの回折パターンを示した。さらに800℃で12時間焼成すると、図2に示すように六方晶の酸化ランタンに変化した。700℃で焼成した試料と、800℃で焼成した試料の蛍光X線分析結果を表1に示す。立方晶酸化ランタン中にはヨウ素が含まれているが、800℃で焼成して六方晶に戻すとヨウ素が揮発して無くなっているのが分かる。このことから、ヨウ素が固溶することにより酸化ランタンは立方晶構造をとることが可能となり、高温で加熱することにより、従来の六方晶酸化ランタンにすることができる。
(実施例2)
出発物質に市販の六方晶酸化ランタン13.9gとヨウ化アンモニウム6.1gの混合物を用いた以外は、すべて実施例1と全く同様に行った。その結果、実施例1と全く同様に、700℃で焼成すると立方晶酸化ランタンが得られ、800℃で焼成すると六方晶酸化ランタンが得られた。
出発物質に市販の六方晶酸化ランタン13.9gとヨウ化アンモニウム6.1gの混合物を用いた以外は、すべて実施例1と全く同様に行った。その結果、実施例1と全く同様に、700℃で焼成すると立方晶酸化ランタンが得られ、800℃で焼成すると六方晶酸化ランタンが得られた。
実施例1において、700℃で焼成して得られた立方晶酸化ランタンと、比較例として、市販の六方晶酸化ランタンを温度20℃・湿度60%における密閉容器内に放置して、その吸湿性を8時間後の質量変化により評価した。試料はいずれも測定前に気中500℃で加熱して脱湿を行った。実施例1で得られた立方晶酸化ランタンの吸湿量が1%未満であったのに対し、市販の六方晶酸化ランタンの吸湿量は約9%であり、本発明の立方晶酸化ランタンにおいて、耐吸湿性が大幅に改善されることが明らかとなった。
また、同じ実施例1で得られた立方晶酸化ランタンを100mLの脱イオン水中に分散させ、撹拌洗浄後、吸引濾過にて回収した粉末を室内に放置して乾燥した。その後、粉末X線回折を測定したところ、図3aに見られるように立方晶酸化ランタンからの変化は認められず、また表2に見られるように組成は誤差範囲内で一致した。比較例として、市販の六方晶酸化ランタンを100mLの脱イオン水中に分散し、撹拌洗浄後、回収した粉末を室内に放置して乾燥し、粉末X線回折を測定したところ、図3bに見られるように水酸化ランタンが生成した。このことからも、本発明により酸化ランタンの耐吸湿性が極めて著しく改善されることが分かる。
実施例1において、700℃で焼成して得られた立方晶酸化ランタンと、比較例として、市販の六方晶酸化ランタンを温度20℃で大気下に3ヶ月間放置して、炭酸ガスとのその反応性を評価した。実施例1で得られた立方晶酸化ランタンには全く変化が見られなかったが、比較例として用いた市販の六方晶酸化ランタンには炭酸ランタンの生成が認められた。すなわち、本発明の立方晶酸化ランタンにおいて、炭酸ガスに対する反応性が抑制されることが明らかとなった。
また、同じ実施例1で得られた立方晶酸化ランタンを100mLの炭酸水中に分散させ、撹拌後、吸引濾過にて回収した粉末を室内に放置して乾燥した。その後、粉末X線回折を測定したところ、立方晶酸化ランタンからの変化は認められなかった。比較例として、市販の六方晶酸化ランタンを100mLの炭酸水中に分散し、撹拌後、回収した粉末を室内に放置して乾燥し、粉末X線回折を測定したところ、炭酸ランタンが生成した。このことからも、本発明により酸化ランタンの炭酸ガスに対する反応性が著しく抑制され、安定性が改善されることが分かる。
Claims (4)
- 格子内にヨウ素を含有することを特徴とし、立方晶構造を有する酸化ランタン
- 耐吸湿性、耐水性、および耐炭酸ガス反応性を有することを特徴とする、請求項1に記載の酸化ランタン
- ヨウ化ランタンを空気中で加熱することを特徴とする、請求項1ないし2に記載の酸化ランタンの製造方法
- 六方晶酸化ランタンとヨウ化アンモニウムの混合物を空気中で加熱することを特徴とする、請求項1ないし2に記載の酸化ランタンの製造方法
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003354638A JP2005119897A (ja) | 2003-10-15 | 2003-10-15 | 立方晶酸化ランタンとその製造方法 |
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Publications (1)
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JP2003354638A Pending JP2005119897A (ja) | 2003-10-15 | 2003-10-15 | 立方晶酸化ランタンとその製造方法 |
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2003
- 2003-10-15 JP JP2003354638A patent/JP2005119897A/ja active Pending
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