JP2005119026A - 抗菌、防汚基体およびその製造方法 - Google Patents

抗菌、防汚基体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基板表面に抗菌性と防汚性を同時に付与する。
【解決手段】少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、それが島状に露出している表面水酸基を有する膜の全表面上に少なくともシロキサン結合を有する膜が形成された構成とした。これによって、抗菌能を有する粒子が、シロキサン結合を有する膜を通して溶出することで、基板表面に抗菌性と防汚性を同時に付与することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面に抗菌性だけでなく、その性能を維持しつつ防汚性を有する抗菌、防汚基体およびその製造方法に関する。
従来、基体たとえば、ステンレスの表面に抗菌性を持たせるのに、ステンレスの酸化皮膜に抗菌性の粒子を含有させ、それを表面に露出させる方法があった(例えば、特許文献1参照)。一方、ステンレスの表面に防汚性を持たせるのに、一般にシリコーン系やフッ素系のコーティングが用いられる。
特許第3398591号公報
そこで、この両方を持たせるために、例えば抗菌性の粒子を含有させ、それを表面に露出させたステンレス表面に、シリコーン系やフッ素系のコーティングをした場合は、このコーティングが抗菌性の粒子を被覆するため、防汚性が付与されるものの、抗菌性が付与されないという課題があった。
本発明者は、これらの課題に対して鋭意研究を行い、少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、それが島状に露出している膜の全表面上に少なくともシロキサン結合を含む膜が形成された基体の構成とした。これによって、抗菌能を有する粒子が、シロキサン結合を有する膜を通して溶出することで、基体表面に抗菌性と防汚性を同時に付与することができることを見出した。
本発明によって、基体表面に抗菌性と防汚性を同時に付与することができる。ここでいう基体とは、たとえば、アルミ、鉄、ステンレスなどの金属や、ガラス、セラミック、陶器などの酸化物、樹脂など汎用性が広く、したがって本発明の効果は非常に大きい。
第1の発明は、少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、それが島状に露出している膜の全表面上に少なくともシロキサン結合を有する膜が形成された抗菌、防汚基体である。この構成により、抗菌能を有する粒子が、シロキサン結合を有する膜を通して溶出することで、基体表面に抗菌性と防汚性を同時に付与することができる。
第2の発明は、抗菌能を有する粒子が、Zn、Cu、Agの酸化物およびそれらの複合酸化物である。この構成により、抗菌能を有する粒子上の安定なシロキサン結合を有する膜を形成でき、しかも、シロキサン結合を有する膜を通して溶出することができる。
第3の発明は、少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、それが島状に露出している膜のその粒子が露出していない表面上にシロキサンを有する膜が形成された抗菌、防汚基体である。この構成により、抗菌能を有する粒子が、シロキサン結合を有する膜には被覆されないので、容易に溶出でき、ステンレス表面に抗菌性と防汚性を同時に付与することができる。
第4の発明は、抗菌能を有する粒子が、Zn、Cu、Agおよびそれらの合金である。この構成により、抗菌能を有する粒子上にはシロキサン結合を有する膜が形成されないので、容易に溶出することができる。
第5の発明は、シロキサン結合を有する膜がフルオロアルキル基を有することを特徴とする。この構成により、ステンレス表面の表面エネルギーが小さくなり、撥水、撥油表面になるため防汚性が向上する。
第6の発明は、シロキサン結合を有する膜が単分子膜であることを特徴とする。この構成により、膜厚が分子レベルの超薄膜でかつ均一になるので、抗菌能を有する粒子がシロキサン結合を有する膜を通して安定かつばらつきなく溶出することができる。
第7の発明は、表面水酸基を有する膜に対して、Zn、Cu、Agの合計の含有率が0.0001〜1wt%であることを特徴とする。この構成により、表面水酸基を有する膜やその上のシロキサン結合の耐久性を維持しつつ、抗菌能を発揮することができる。
第8の発明は、表面水酸基を有する膜が、Si、Al、Ti、Zrの酸化物、窒化物、あるいはそれらの複合酸化物、複合窒化物であることを特徴とする。この構成により、それ自身耐久性に優れた表面水酸基を有する膜であるので、シロキサン結合を有する膜と抗菌能を有する粒子の耐久性を維持できる。
第9の発明は、表面水酸基を有する膜が、樹脂であることを特徴とする。この構成により基体自身が樹脂であっても抗菌性と防汚性を付与することができる。
第10の発明は、表面水酸機を有する膜の膜厚が、抗菌能を有する粒子の粒径より小さいことを特徴とする。この構成にすると抗菌能を有する粒子が、必ず表面水酸機を有する膜の表面に露出し、しかも防汚性を有する。
第11の発明は、表面水酸機を有する膜の膜厚が、抗菌能を有する粒子の粒径よりの半分より大きいことを特徴とする。この構成にすると抗菌能を有する粒子が、表面水酸機を有する膜に固着され、脱落しにくくなり、しかも防汚性を有する。
第12の発明は、表面水酸機を有する膜が透明であることを特徴とする。この構成にするとシロキサン結合を有する膜も透明なので、基材の色感を生かした、抗菌、防汚性の基体となる。
第13の発明は、自身が透明であることを特徴とする。この構成によると基体自身も透明なので、透視できる抗菌、防汚性の基体となる。
第14の発明は、基板上に少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、それが島状に露出する膜を形成する工程と、少なくともシラン化合物を含む溶液に浸漬する工程を含む抗菌、防汚基体の製造方法である。この方法によると、容易に抗菌能を有する粒子が、シロキサン結合を有する膜を通して、あるいは直接溶出することで、表面に抗菌性と防汚性を同時に付与することができる基体を提供することができる。
第15の発明は、基板上に少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、それが島状に露出する膜を形成する工程と、膜に表面水酸基を形成する工程と、少なくともシラン化合物を含む溶液に浸漬する工程を含む抗菌、防汚基体の製造方法である。この方法によると、膜に形成された表面水酸基とシロキサン結合を有する膜が化学結合によって固定化されるので、シロキサン結合を有する膜の耐久性が大幅に向上する。
第16の発明は、表面水酸基を形成する工程がプラズマ処理、コロナ処理、オゾン処理のいずれかであることを特徴とする。この方法によると表面水酸基を有しない基体でも簡単に表面水酸基を形成できる。
第17の発明は、シラン化合物がクロロシランであることを特徴とする。クロロシランを使うことにより、シラン化合物がステンレス表面上の表面水酸基と反応し、シラン化合物が強固に化学吸着し固定されるので、形成されるシロキサン結合を有する膜の耐久性を大幅に向上できる。
第18の発明は、シラン化合物を含む溶液の溶媒が非水溶媒であることを特徴とする。非水溶媒を使用することにより、クロロシラン等のシラン化合物が水により加水分解することがないので、ステンレス表面上にシラン化合物が強固に化学吸着し固定されるので、形成されるシロキサン結合を有する膜の耐久性を大幅に向上できる。
第19の発明は、シラン化合物を含む溶液を浸漬する工程が湿度35%以下の無水雰囲気下であることを特徴とする。湿度を35%以下にすることにより、クロロシラン等のシラン化合物の溶液が吸湿により加水分解することがないので、ステンレス表面上にシラン化合物が強固に化学吸着し固定されるので、形成されるシロキサン結合を有する膜の耐久性を大幅に向上できる。
第20の発明は、シラン化合物を含む溶液を浸漬する工程の後に過剰な未反応のシラン化合物を洗浄する工程を含むことを特徴とする。未反応のシラン化合物を洗浄するにより、シロキサン結合を有する膜の膜厚が分子レベルの超薄膜でかつ均一になるので、抗菌能を有する粒子がシロキサン結合を有する膜を通して安定、かつ、ばらつきなく溶出することができる。
第21の発明は、自身がステンレスであることを特徴とするものであり、ステンテスの表面に抗菌性と防汚性を同時に付与することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における抗菌、防汚基体とその製造プロセスを示す。窒素雰囲気(無水)下で抗菌能を有する酸化銀粒子を含むテトラエトキシシランを含む水溶液をガラス基板1に膜厚が抗菌能を有する酸化銀粒子2の半径以上直径以下となるように塗布し、焼成することにより、抗菌能を有する酸化銀粒子が島状に露出している膜3を有する基板となり、これをヘプタデカフルオトデシルトリクロロシラン4を含む溶液5に浸漬し、浸漬後過剰なヘプタデカフルオトデシルトリクロロシラン4を溶媒6で洗浄し、通常雰囲気で乾燥することで、本発明のガラス基体7が作製される。そしてこのガラス基体は抗菌能を有する酸化銀粒子がヘプタデカフルオトデシル基を有しシロキサン結合を有する膜を通して溶出することで、基体表面に酸化銀による抗菌性とヘプタデカフルオトデシル基による防汚性を同時に付与することができる。
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における抗菌、防汚基体とその製造プロセスを示す。窒素雰囲気(無水)下で抗菌能を有する銀粒子を含むテトラエトキシシランを含む水溶液をガラス基板11に膜厚が抗菌能を有する酸化銀粒子12の半径以上直径以下となるように塗布し、焼成することにより、抗菌能を有する銀粒子が島状に露出している膜13を有する基板となり、これをヘプタデカフルオトデシルトリクロロシラン14を含む溶液15に浸漬し、浸漬後過剰なヘプタデカフルオトデシルトリクロロシラン13を溶媒16で洗浄し、通常雰囲気で乾燥することで、本発明のガラス基体17が作製される。そしてこのガラス基体は抗菌能を有する銀粒子がヘプタデカフルオトデシル基を有しシロキサン結合を有する膜を通して溶出することで、基体表面に銀による抗菌性とヘプタデカフルオトデシル基による防汚性を同時に付与することができる。
なお、本発明のシラン化合物としては、次のものが有効である。
(1)SiX4 (n=0に相当)
(2)SiX3−O−SiX3 (n=1に相当)
さらに具体的な化合物としては
(3)Si(OC254
(4)Si(OCH33−O−Si(OCH33
(5)Si(OC253−O−Si(OCH33
(6)Si(OC253−O−Si(OC253
(7)Si(NCO)4
(8)Si(NCO)3−O−Si(NCO)3
(9)SiCl4
(10)SiCl3−O−SiCl3
が挙げられる。
また、本発明で用いることができるシラン化合物としては、下記のものを例示することができる。
(11)SiYCl4−p
(12)CH3(CH2O(CH2SiYCl3−q
(13)CH3(CH2−Si(CH32(CH2−SiYCl3−q
(14)CF3COO(CH2SiYCl3−q
但し、pは1〜3の整数、qは0〜2の整数、rは1〜25の整数、sは0〜12の整数、tは1〜20の整数、uは0〜12の整数、vは1〜20の整数、wは1〜25の整数を示す。また、Yは、水素、アルキル基、アルコキシル基、含フッ素アルキル基または含フッ素アルコキシ基である。
さらに、具体的なシラン系化合物として下記に示す(15)−(21)が挙げられる。
(15)CH3CH2O(CH215SiCl3
(16)CH3(CH22Si(CH32(CH215SiCl3
(17)CH3(CH26Si(CH32(CH29SiCl3
(18)CH3COO(CH215SiCl3
(19)CF3(CF27−(CH22−SiCl3
(20)CF3(CF25−(CH22−SiCl3
(21)CF3(CF27−C64−SiCl3
また、上記クロロシラン系化合物の代わりに、全てのクロロシリル基をイソシアネート基に置き扱えたイソシアネート系化合物、例えば下記に示す(22)−(26)を用いてもよい。
(22)SiY(NCO)4−p
(23)CH3−(CH2SiY(NCO)3−p
(24)CH3(CH2O(CH2SiY(NCO)q−p
(25)CH3(CH2−Si(CH32(CH2−SiY(NCO)3−q
(26)CF3COO(CH2SiY(NCO)3−q
但し、p、q、r、s、t、u、v、wおよびXは、前記と同様である。
前記のシラン系化合物に変えて、下記(27)−(33)に具体的に例示するシラン系化合物を用いてもよい。
(27)CH3CH2O(CH215Si(NCO)3
(28)CH3(CH22Si(CH32(CH215Si(NCO)3
(29)CH3(CH26Si(CH32(CH29Si(NCO)3
(30)CH3COO(CH215Si(NCO)3
(31)CF3(CF27−(CH22−Si(NCO)3
(32)CF3(CF25−(CH22−Si(NCO)3
(33)CF3(CF27−C64−Si(NCO)3
また、シラン系化合物として、一般に、SiY(OA)4−k(Yは、前記と同様、Aはアルキル基、kは0、1、2または3)で表される物質を用いることが可能である。中でも、CF3−(CF2−(R)l−SiY(OA)3−q(nは1以上の整数、好ましくは1〜22の整数、Rはアルキル基、ビニル基、エチニル基、アリール基、シリコンもしくは酸素原子を含む置換基、lは0または1、Y、Aおよびqは前記と同様)で表される物質を用いると、よりすぐれた防汚性の被膜を形成できるが、これに限定されるものではなく、これ以外にも、CH3−(CH2−SiY(OA)3−qおよびCH3−(CH2−0−(CH2−SiY(OA)3−q、CH3−(CH2−Si(CH32−(CH2−SiY(OA)3−q、CF3COO−(CH2−SiY(OA)3−q(但し、q、r、s、t、u、v、w、YおよびAは、前記と同様)などが使用可能である。
さらに、より具体的なシラン系化合物としては、下記に示す(34)−(57)を挙げることができる。
(34)CH3CH2O(CH215Si(OCH33
(35)CF3CH2O(CH215Si(OCH33
(36)CH3(CH22Si(CH32(CH215Si(OCH33
(37)CH3(CH26Si(CH32(CH29Si(OCH33
(38)CH3COO(CH215Si(OCH33
(39)CF3(CF25(CH22Si(OCH33
(40)CF3(CF27−C64−Si(OCH33
(41)CH3CH2O(CH215Si(OC253
(42)CH3(CH22Si(CH32(CH215Si(OC253
(43)CH3(CH26Si(CH32(CH29Si(OC253
(44)CF3(CH26Si(CH32(CH29Si(OC253
(45)CH3COO(CH215Si(OC253
(46)CF3COO(CH215Si(OC253
(47)CF3COO(CH215Si(OCH33
(48)CF3(CF29(CH22Si(OC253
(49)CF3(CF27(CH22Si(OC253
(50)CF3(CF25(CH22Si(OC253
(5l)CF3(CF2764Si(OC253
(52)CF3(CF29(CH22Si(OCH33
(53)CF3(CF25(CH22Si(OCH33
(54)CF3(CF27(CH22SiCH3(OC252
(55)CF3(CF27(CH22SiCH3(OCH32
(56)CF3(CF27(CH22Si(CH32OC25
(57)CF3(CF27(CH22Si(CH32OCH3
(22)−(57)の化合物を用いた場合には、塩酸が発生しないため、装置保全および作業上のメリットもある。
また抗菌能を有する粒子の溶出のため、これらのうちアルキル鎖が1〜20までのものが望ましい。
なお、図1のシラン化合物を浸漬する工程に示す最初の反応ステップ(脱塩化水素反応)は、一般に化学吸着反応と呼ばれている。
次に、溶媒としては、活性水素を含まない非水系溶媒を用いるのが好ましく、水を含まない炭化水素系溶媒、フッ化炭素系溶媒、シリコーン系溶媒などを用いることが可能である。なお、石油系の溶剤の他に具体的に使用可能なものは、石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、灯油、リグロイン、ジメチルミリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエステルシリコーンなどを挙げることができる。また、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭ガラス社製品)などがある。なお、これらは1種単独で用いてもよいし、よく混合するものなら2種以上を組み合わせてもよい。
また、抗菌能を有する粒子として、本発明のAg、Cu、Znおよびその酸化物以外に、Co、Mo、Vおよびその酸化物が有効である。またそれらの含有率は防汚性重視の場合は0.0001〜0.5wt%未満、抗菌性重視の場合は0.5〜1wt%が望ましい。
また、基板としては、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属、ガラス、セラミック、陶器等の酸化物、また、製膜の溶媒等、焼成等に耐えられるのであれば、樹脂などが適用できる。
(実施例1)
抗菌能を有する酸化銀粒子/テトラエトキシシラン/硝酸の重量比が1/2000/2000の液をガラス基板に膜厚が抗菌能を有する酸化銀粒子の半径以上直径以下となるように塗布し、焼成することにより、抗菌能を有する酸化銀粒子が島状に露出している表面を有する基板を作成する。これを窒素雰囲気(無水)下で、ヘプタデカフルオトデシルトリクロロシランと溶媒ヘキサメチルシロキサンを含む溶液に浸漬することで、本発明のガラス基体Aを作製した。
(実施例2)
抗菌能を有する酸化銀粒子/テトラエトキシシラン/硝酸の重量比が1/2000/2000の液をガラス基板に膜厚が抗菌能を有する酸化銀粒子の半径以上直径以下となるように塗布し、焼成することにより、抗菌能を有する酸化銀粒子が島状に露出している表面を有する基板を作成する。これを窒素雰囲気(無水)下で、ヘプタデカフルオトデシルトリクロロシランと溶媒ヘキサメチルシロキサンを含む溶液に浸漬し、浸漬後過剰なヘプタデカフルオトデシルトリクロロシランを溶媒で洗浄し、通常雰囲気で乾燥することで、本発明のガラス基体Bを作製した。
(実施例3)
抗菌能を有する銀粒子/テトラエトキシシラン/硝酸の重量比が1/2000/2000の液をガラス基板に膜厚が抗菌能を有する銀粒子の半径以上直径以下となるように塗布し、焼成することにより、抗菌能を有する銀粒子が島状に露出している表面を有する基板を作成する。これを窒素雰囲気(無水)下で、ヘプタデカフルオトデシルトリクロロシランと溶媒ヘキサメチルシロキサンを含む溶液に浸漬し、浸漬後過剰なヘプタデカフルオトデシルトリクロロシランを溶媒で洗浄し、通常雰囲気で乾燥することで、本発明のガラス基体Cを作製した。
(実施例4)
抗菌能を有する酸化銀粒子/テトラエトキシシラン/硝酸の重量比が1/100/100の液をガラス基板に膜厚が抗菌能を有する酸化銀粒子の半径以上直径以下となるように塗布し、焼成することにより、抗菌能を有する酸化銀粒子が島状に露出している表面を有する基板を作成する。これを窒素雰囲気(無水)下で、ヘプタデカフルオトデシルトリクロロシランと溶媒ヘキサメチルシロキサンを含む溶液に浸漬し、浸漬後過剰なヘプタデカフルオトデシルトリクロロシランを溶媒で洗浄し、通常雰囲気で乾燥することで、本発明のガラス基体Dを作製した。
(実施例5)
抗菌能を有する酸化銀粒子/アルミニウムエチラート/硝酸の重量比が1/2000/2000の液をガラス基板に膜厚が抗菌能を有する酸化銀粒子の半径以上直径以下となるように塗布し、焼成することにより、抗菌能を有する酸化銀粒子が島状に露出している表面を有する基板を作成する。これを窒素雰囲気(無水)下で、ヘプタデカフルオトデシルトリクロロシランと溶媒ヘキサメチルシロキサンを含む溶液に浸漬し、浸漬後過剰なヘプタデカフルオトデシルトリクロロシランを溶媒で洗浄し、通常雰囲気で乾燥することで、本発明のガラス基体Eを作製した。
(実施例6)
抗菌能を有する酸化銀粒子/テトラエトキシシラン/硝酸の重量比が1/2000/2000の液をアクリル基板に膜厚が抗菌能を有する酸化銀粒子の半径以上直径以下となるように塗布し、焼成することにより、抗菌能を有する酸化銀粒子が島状に露出している表面を有する基板を作成する。これを窒素雰囲気(無水)下で、ヘプタデカフルオトデシルトリクロロシランと溶媒ヘキサメチルシロキサンを含む溶液に浸漬し、浸漬後過剰なヘプタデカフルオトデシルトリクロロシランを溶媒で洗浄し、通常雰囲気で乾燥することで、本発明の樹脂基体Fが作製した。
(実施例7)
抗菌能を有する酸化銀粒子/テトラエトキシシラン/硝酸の重量比が1/2000/2000の液をプラズマ処理したポリプロピレン基板に膜厚が抗菌能を有する酸化銀粒子の半径以上直径以下となるように塗布し、焼成することにより、抗菌能を有する酸化銀粒子が島状に露出している表面を有する基板を作成する。これを窒素雰囲気(無水)下で、ヘプタデカフルオトデシルトリクロロシランと溶媒ヘキサメチルシロキサンを含む溶液に浸漬し、浸漬後過剰なヘプタデカフルオトデシルトリクロロシランを溶媒で洗浄し、通常雰囲気で乾燥することで、本発明の樹脂基体Gが作製した。なお、プラズマ処理したポリプロピレン基板には、抗菌能を有する酸化銀粒子/テトラエトキシシラン/硝酸の重量比が1/2000/2000の液がはじくため塗布できなかった。
(比較例1)
抗菌能を有する酸化銀粒子/テトラエトキシシラン/硝酸の重量比が1/2000/2000の液をガラス基板に膜厚が抗菌能を有する酸化銀粒子の半径以上直径以下となるように塗布し、焼成することにより、抗菌能を有する酸化銀粒子が島状に露出している表面を有するガラス基体R1を作製した。
(比較例2)
窒素雰囲気(無水)下でガラス基板をヘプタデカフルオトデシルトリクロロシランと溶媒ヘキサメチルシロキサン溶媒を含む溶液に浸漬し、浸漬後過剰なヘプタデカフルオトデシルトリクロロシランを溶媒で洗浄し、通常雰囲気で乾燥することで、ガラス基体R2を作製した。
(比較例3)
抗菌能を有する酸化銀粒子/テトラエトキシシラン/硝酸の重量比が1/2000/2000の液をガラス基板に膜厚が抗菌能を有する酸化銀粒子の直径以上となるように塗布し、焼成することにより、抗菌能を有する酸化銀粒子が島状に露出している表面を有する基板を作成する。これを窒素雰囲気(無水)下で、ヘプタデカフルオトデシルトリクロロシランと溶媒ヘキサメチルシロキサンを含む溶液に浸漬し、浸漬後過剰なヘプタデカフルオトデシルトリクロロシランを溶媒で洗浄し、通常雰囲気で乾燥することで、本発明のガラス基体R3が作製した。
(本発明と比較例の抗菌性評価と、撥水性の耐久性評価)
本発明と比較例のステンレスを以下に示すJISに準拠したフィルム評価法で抗菌性評価を行った。
(1)25cm3のステンレスを99.5%以上含有のエタノールを染みこませた脱脂綿で洗浄・脱脂する。
(2)大腸菌を1/500普通ブイオン溶液に分散する(菌の個数は2.0×105〜1.0×106cfu/mlに調整した。1/500普通ブイオン溶液とは普通ブイオン培地を滅菌精製水で500倍に希釈したものである。普通ブイオン培地とは、肉エキス5.0g、塩化ナトリウム5.0g、ペプトン10.0g、精製水1000mL、pH:7.0±0.2のものをいう)。
(3)菌液を0.5mL/25cm3の割合でステンレス上(各水準3個)に塗布する。
(4)ステンレス表面に被覆フィルムを被せる。
(5)試験体の温度を35±1.0℃、湿度を90%RHの条件下で24時間保存する。
(6)寒天培養法(35±1.0℃ 40〜48時間)により生菌数を測定する。
(7)滅菌率を算出する。滅菌率=(リファレンスの菌数−試験後の菌数)/(リファレンスの菌数)×100
なお、リファレンスの菌数とは、滅菌シャーレ上にて上記試験を行ったものの生菌数であり、9.30×107であった。
また、防汚性の評価は水の接触角で行った。
これらの耐久性を評価するのに、基体を120℃で100時間放置し、そのときの抗菌性および接触角の評価を行った。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2005119026
以上の結果から、比較例と比較して、本発明の抗菌・防汚基体は高い抗菌性し、また優れた防汚性能を有することがわかった。特に、基体Cは銀粒子上に単分子膜がないので銀粒子が流出しやすいこと、また基体Dが酸化銀の含有が高いことで、より高い抗菌性を示す。また、Eはシロキサン結合を有する膜がアルミニウムエチラートから形成される膜と強固に密着するので極めて高い耐久性をもつ。また、耐熱性は劣るが、基体E、Fのように樹脂にも可能である。
本発明にかかる抗菌、防汚基体およびその製造方法は、金属、ガラス、セラミック、樹脂表面に抗菌性と防汚性を同時に付与することが可能になるので、キッチンの流しや浴槽、トイレ、洗濯機、食器洗い機、調理器等の衛生、防汚回りの商品に適用できる。
本発明の実施の形態1の抗菌、防汚基体の製造方法の行程図 本発明の実施の形態2の抗菌、防汚基体の製造方法の行程図
符号の説明
1 ガラス基板
2 酸化銀粒子
3 酸化銀粒子を有する膜
4 ヘプタデカフルオトデシルトリクロロシラン
5 ヘプタデカフルオトデシルトリクロロシラン溶液
6 溶媒
7 ガラス基体
11 ガラス基板
12 銀粒子
13 銀粒子を有する膜
14 ヘプタデカフルオトデシルトリクロロシラン
15 ヘプタデカフルオトデシルトリクロロシラン溶液
16 溶媒
17 ガラス基体

Claims (21)

  1. 少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、それが島状に露出している表面水酸基を有する膜の全表面上に少なくともシロキサン結合を有する膜が形成された抗菌、防汚基体。
  2. 抗菌能を有する粒子が、Zn、Cu、Agの酸化物およびそれらの複合酸化物であることを特徴とする請求項1記載の抗菌、防汚基体。
  3. 少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、それが島状に露出している表面水酸基を有する膜のその粒子が露出していない表面上にシロキサンを有する膜が形成された抗菌、防汚基体。
  4. 抗菌能を有する粒子が、Zn、Cu、Agおよびそれらの合金であることを特徴とする請求項3記載の抗菌、防汚基体。
  5. シロキサン結合を有する膜がフルオロアルキル基を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗菌、防汚基体。
  6. シロキサン結合を有する膜が単分子膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗菌、防汚基体。
  7. 表面水酸基を有する膜に対してZn、Cu、Agの合計の含有率が0.0001〜1wt%であることを特徴とする請求項2または4記載の抗菌、防汚基体。
  8. 表面水酸基を有する膜が、Si、Al、Ti、Zrの酸化物、窒化物、あるいはそれらの複合酸化物、複合窒化物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗菌、防汚基体。
  9. 表面水酸基を有する膜が、樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗菌、防汚基体。
  10. 表面水酸機を有する膜の膜厚が、抗菌能を有する粒子の粒径より小さいことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗菌、防汚基体。
  11. 表面水酸機を有する膜の膜厚が、抗菌能を有する粒子の粒径よりの半分より大きいことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の抗菌、防汚基体。
  12. 表面水酸機を有する膜が透明であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の抗菌、防汚基体。
  13. 自身が透明であることを特徴とする請求項10記載の抗菌、防汚基体。
  14. 基板上に少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、それが島状に露出する膜を形成する工程と、少なくともシラン化合物を含む溶液に浸漬する工程を含む抗菌、防汚基体の製造方法。
  15. 基板上に少なくとも抗菌能を有する粒子を含み、それが島状に露出する膜を形成する工程と、膜に表面水酸基を形成する工程と、少なくともシラン化合物を含む溶液に浸漬する工程を含む抗菌、防汚基体の製造方法。
  16. 表面水酸基を形成する工程がプラズマ処理、コロナ処理、オゾン処理のいずれかであることを特徴とする請求項15記載の抗菌、防汚基体の製造方法。
  17. シラン化合物がクロロシランであることを特徴とする請求項14〜16のいずれか1項に記載の抗菌、防汚基体の製造方法。
  18. シラン化合物を含む溶液の溶媒が非水溶媒であることを特徴とする請求項14〜17のいずれか1項に記載の抗菌、防汚基体の製造方法。
  19. シラン化合物を含む溶液を浸漬する工程が湿度35%以下の無水雰囲気下であることを特徴とする請求項14〜18のいずれか1項に記載の抗菌、防汚基体の製造方法。
  20. シラン化合物を含む溶液を浸漬する工程の後に過剰な未反応のシラン化合物を洗浄する工程を含むことを特徴とする請求項14〜19のいずれか1項に記載の抗菌、防汚基体の製造方法。
  21. 自身がステンレスであることを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載の抗菌、防汚基体。
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