JP2005116936A - 環状希土類ボンド磁石の製造方法、及びモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】メルトスパンリボンを粉砕したNd2Fe14B系希土類磁石粉末を樹脂で固定した磁気的に等方性の希土類ボンド磁石の高(BH)max化。
【解決手段】磁気的に異方性または等方性の希土類磁石粉末と延伸可能な成分を含む結合剤とのコンパウンドを圧縮してグリーンコンパクトとする工程A、グリーンコンパクトを熱硬化して希土類磁石ボンド磁石前駆体とする工程B、前駆体の結合剤成分を延伸した可撓性を有する希土類ボンド磁石とする工程C、可撓性希土類ボンド磁石の結合剤成分の延伸可能な温度領域で所定寸法に整形した可撓性希土類ボンド磁石とする工程D、整形した可撓性希土類ボンド磁石を所定の環状形状とする工程E、環状磁石を磁化する工程F、とから成る製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は希土類磁石粉末、熱硬化性樹脂組成物からなる結合剤、粉末成形と圧延または/およびスタンピングにより可撓性を制御したシートから厚さ200μm以下のフィルムに至る希土類ボンド磁石、並びにそれらを利用した効率的な永久磁石型モータの製造方法に関する。
例えば、1992年から2000年までの小型モータ生産台数の概算は24億から47億を既に超えた。なかでも直流モータ、ブラシレスモータ、ステッピングモータ、および無鉄心モータの生産台数増加が顕著で1992年から2000年まで約26億台も増加した。その上、将来も年率平均で9%の成長を見積もることができる。しかしながら、小型誘導モータと小型同期モータの生産数は徐々に減少傾向にある。この傾向は、小型モータ産業における高性能磁石による効率的な小型モータの開発と、電気電子機器分野における高性能小型モータの需要が高度であることを示唆する。これら小型モータの生産台数のおよそ70%は直流モータであるが、一般小型直流モータではフェライトゴム磁石、高性能小型直流モータではメルトスピニングによって準備されたNd2Fe14B系フレーク状希土類磁石粉末をエポキシ樹脂のような堅い熱硬化性樹脂で圧縮成形した環状磁石が現在、主として利用されている。
一方、経済産業省・資源エネルギー庁の統計では日本における電力総消費は2000年で、およそ9500億kWhであった。その資料から推計すると、モータによる消費電力は総内需の50%を超えると推定される。モータの電力消費は大容量の動力用モータとは限らない。例えば、2.5インチのHDDスピンドルモータの消費電力はアイドルの状態におけるPCの消費電力の50%を超える。(非特許文献1:J.G.W.West,Power Engineering J.,April 77,1994)。すなわち、小型モータに関しては、それ自体の電力消費は高々数10W以下が多数である。けれども、電気電子機器など先端デバイス分野における高性能小型モータ需要が高度であることを勘案すれば、効率的な小型モータの提供とその普及が環境保全や省資源の見地からも必要である。本発明は、上記、効率的な小型モータを主体とした各種先端デバイス機器に利用される効率的な小型モータと、それに適する環状希土類ボンド磁石の製造方法に関する。
各種先端デバイスに利用される小型モータは、当該機器の小型軽量化に伴う更なるモータ体格の減少とともに小型、高出力、或いは高効率化が求められている。1960年代から永久磁石型モータが普及したのも、磁石の応用がモータの損失削減につながり、ひいては効率的な小型モータの作製に効果的であったからである。このような小型モータの発展は磁石粉末を結合剤で固めたボンド磁石の場合には磁石粉末、結合剤システム、成形加工方法が3大要素技術として、それぞれ等しく重要である。
上記、小型モータに広く使われているボンド磁石に関して、非特許文献2:広沢、富澤らの“Recent Progress in Researchand Development Related to Bonded Rare−Erath Permanent Magnets"日本応用磁気学会誌,Vol.21,No.4−1,pp.161〜167(1997)が端的に解説している。したがって、引用文献に基づく図1を用いてボンド磁石作製における3大要素技術、すなわち磁石粉末、結合剤、成形加工法の連携を説明する。
先ず、磁石粉末『1』としてはフェライト系『1』−a、アルニコ系『1』−b、希土類系『1』−c、結合剤『2』としてはフレキシブル系(ゴム、熱可塑性エラストマー)『2』−a、堅い熱可塑性樹脂『2』−b、堅い熱硬化性樹脂『2』−c、加工方法『3』としてはカレンダーリング/押出成形『3』−a、射出成形『3』−b、圧縮成形『3』−cがある。そして、それらの連携は図中の実線で示すように整理される。例えば、希土類磁石粉末『1』−cは結合剤『2』としてフレキシブル系(ゴム、熱可塑性エラストマー)『2』−a、堅い熱可塑性樹脂『2』−b、堅い熱硬化性樹脂『2』−c、また、成形加工法『3』としてカレンダーリング/押出成形『3』−a、射出成形『3』−b、圧縮成形『3』−cというように『2』と『3』の全ての要素と連携している。しかし、圧縮成形『3』−cと希土類磁石粉末『1』−cとの連携では、結合剤『2』の要素が、例えばエポキシ樹脂のような堅い熱硬化性樹脂『2』−cとの関係に限られているのが現状である。
上記、ボンド磁石作製における3大要素技術、すなわち希土類磁石粉末『1』−c、結合剤『2』、成形加工法『3』との連携とモータの高性能化の関係としては、例えば非特許文献3;F.Yamashita,Y.Sasaki,H.Fukunaga,“Isotropic Nd−Fe−B Thin Arc−shaped Bonded Magnets for Small DC Motors Prepared by Powder Compacting Press with Metal Ion−implanted Punches“, 日本応用磁気学会誌,Vol.25,No.4−2,pp683〜686(2001)の記載のように、最大厚さ0.9mmの薄肉円弧状磁石の作製において、希土類磁石粉末『1』−c/堅い熱可塑性樹脂『2』−b/押出成形『3』−aとの連携から、希土類磁石粉末『1』−c/堅い熱硬化性樹脂『2』−c/圧縮成形『3』−cへの連携に変更することで、出力200mW級の永久磁石界磁型小型直流モータの最大効率を8%改善している。このことは、希土類磁石粉末が全く同じであっても、連携要素の組換えにより効率的な小型モータが提供できることを示唆している。
ところで、本発明が対象とする主に機械出力数10W以下の小型モータの磁石として、従来検討されてきたシート磁石を図1のボンド磁石製造における3大要素技術の連携の観点から整理すると、フェライト系磁石粉末『1』−aまたは希土類系磁石粉末『1』−c/フレキシブル系(ゴム、熱可塑性エラストマー)『2』−a/カレンダーリング/押出成形『3』−aの連携で表すことができる。この連携のもとで従来多くの工夫が行われている。
例えば、希土類磁石粉末『1』−cと柔軟なゴム、熱可塑性エラストマー『2』−aとで構成したシート磁石を帯状に切断し、環状にカ−リングして枠の周壁内面に固着し、電機子鉄心の突極面と対向させた構成の永久磁石型モータが知られている。この磁石およびモータの先行技術として、特許文献1:特許第2766746号公報では、(1)Nd−Fe−B系、(Ce,La)−Fe−B系希土類磁石粉末、(2)天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレン酢ビゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、(3)クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩化ポリエチレンの各(1)〜(3)の群の1種または2種以を選択し、(1)が92〜96wt.%、密度4.9〜5.8Mg/m3としたシート磁石。また、特許文献2:特許第2528574号公報には、(a)R−Fe−B(RはNd/Pr)系希土類磁石粉末とゴム、熱可塑性エラストマーなどの樹脂を混練する工程、(b)前記混練物を粉砕した後、シートにカレンダーリングする工程、(c)前記シート磁石を125〜180℃で60〜180mun熱処理する工程、とからなるシート磁石の製造方法が開示されている。
しかし、〔1〕シート磁石の密度が4.9〜5.8Mg/m3であることからの磁気性能の向上が望まれていた。〔2〕柔軟な熱可塑性エラストマーやゴムと希土類磁石粉末とは接着力に乏しく、この改善が望まれていた。〔3〕ゴムの加硫と切断面の再加熱など工程が瀕雑で、加硫による残存硫黄ガスによるブラシ−整流子など電気摺動接点の腐食や磨耗促進など信頼性の向上も望まれていた。
なお、特許文献3:特開平5−299221号公報に、Sm2Fe173系の希土類磁石粉末と酸変性したスチレン系エラストマーをカレンダーリング(混練/圧延)し、更に切断した短冊をカ−リングすることにより小型モータに使用するような密度5.6Mg/m3、最大エネルギ−積(BH)max35kJ/m3の環状磁石が開示されている。しかし、磁気的に等方性のR−Fe−B(RはNd/Pr)希土類系磁石粉末と堅いエポキシ樹脂とを圧縮成形した(BH)max〜80kJ/m3の磁石に比べると磁気性能では及ばず、電機子鉄心との空隙部分の静磁界値をより大きくすることが要望されていた。また、Sm2Fe173系磁石粉末は数μmのSm2Fe173磁石相単相から成る微粉体のため一般には化学的に活性で、切断面で希土類−鉄−窒素磁石粉末が大気中に暴露され、酸化腐食による永久減磁に基づく不可逆磁束損失や熱可塑性エラストマーと希土類磁石粉末との密着力低下による磁石の部分崩壊、ひいては希土類磁石粉末が脱落飛散することも懸念され、信頼性向上の取り組みも望まれていた。
特許第2766746号公報 特許第2528574号公報 特開平5−299221号公報 J.G.W.West,Power Engineering J.,April 77,1994 "Recent Progress in Researchand Development Related to Bonded Rare−Erath Permanent Magnets"日本応用磁気学会誌,Vol.21,No.4−1,pp.161〜167(1997) F.Yamashita,Y.Sasaki,H.Fukunaga,"Isotropic Nd−Fe−B Thin Arc−shaped Bonded Magnets for Small DC Motors Prepared by Powder Compacting Press with Metal Ion−implanted Punches", 日本応用磁気学会誌,Vol.25,No.4−2,pp683〜686(2001) M.Doser,V.Panchanathan,"Pulverizing anisotropic rapidly solidified Nd−Fe−B materials for bonded magnet";J.Appl.Phys.70(10),15,1993) T.Takeshita and R.Nakayama:Proc of the 10th R Magnets and Their Applications,Kyoto,Vol.1,551 1989) K.Machida,K.Noguchi,M.Nushimura,Y.Hamaguchi,G.Adachi,Proc.9th Int Wrkshop on Rare−Earth Magnets and Ttheir Applications,Sendai,Japan,II,845 2000 K.Machida,Y.Hamaguchi,K.Noguchi,G.Adachi,Digests of the 25th Annual conference on Magnetcs in Japan,28aC−6 2001)
以上のように、図1のボンド磁石製造における3大要素技術の連携の観点から整理すると、希土類磁石粉末『1』−c/フレキシブル系(ゴム、熱可塑性エラストマー)『2』−a/カレンダーリングまたは押出成形『3』−aの連携のもとで、従来多くの工夫が行われてきた。しかしながら、この連携のもとで作製された磁石には課題が多く、永久磁石型モータには殆ど利用されなかった。そして、この連携のもとでは、フェライト系磁石粉末『1』−a/フレキシブル系(ゴム、熱可塑性エラストマー)『2』−a/カレンダーリングまたは押出成形『3』−aという連携で製造されたフェライト磁石粉末を使用したシート磁石が小型モータに適用されている。しかし、この磁石は(BH)maxが高々〜12kJ/m3と低く、電機子鉄心と界磁との空隙に強力な静磁界を得ることはできない。したがって、近年の電気電子機器にとっては、効率的でない小型モータといっても過言ではない。
しからば、機械出力数10W以下における効率的な小型モータにはどのような連携で作製した磁石が主流となっているのか、以下に説明する。
希土類ボンド磁石による効率的な小型モータへの代表的な提案の一つとして、本発明者らによる特公平6−87634号公報を引用できる。すなわち、電機子鉄心と対向した空隙に強力な静磁界をつくるため磁気的に等方性のR−Fe−B(RはNd/Pr)希土類磁石粉末『1』−cと堅いエポキシ樹脂『2』−cとを圧縮成形『3』−cした外径25mm以下、密度5Mg/m3以上の環状希土類ボンド磁石を多極着磁した構成の永久磁石型モータである。磁気的に異方性の希土類磁石粉末『1』−cは結合剤として堅い熱可塑性樹脂(『2』−b)で射出成形(『3』−b)したり、堅い熱硬化性樹脂(『2』−c)で圧縮成形(『3』−c)する連携に拘らず、ラジアル異方性磁石は小径化に伴って配向度が低下するため半径方向の磁気特性が低下する。
したがって、ラジアル異方性磁石を使ったモータは環状磁石の小径化に伴って半径方向の磁気特性低下に連動してモータの機械出力低下が避けられなかった。すなわち、ラジアル異方性磁石では小型化に伴って次第に効率的でないモータとなってしまう欠点があった。
しかしながら、磁気的に等方性の希土類磁石粉末であれば環状磁石の径に依存することなく、例えば磁気的に等方性のNd2Fe14B系希土類磁石粉末を圧縮成形することで(BH)max80kJ/m3に達する。この値は、フェライト系シート磁石の(BH)max12kJ/m3のおよそ6.7倍である。その結果、この種の磁石は小型モータの高出力化、低消費電流化に効果を奏し、電気電子機器分野を主体に、所謂効率的な小型モータとしての認知を獲得した。
例えば、フェライト系磁石粉末(『1』−a)/フレキシブル系(ゴム、熱可塑性エラストマー)(『2』−a)/カレンダーリングまたは押出(『3』−a)という連携で製造された厚さ1.55mm、幅7.2mmのシート磁石を帯状に切断し、カ−リングして内径22.5mmの回転子枠の周壁内面に固着した小型モータの起動トルク1.5mN−mに対し、磁気的に等方性の希土類磁石粉末(『1』−c)と堅いエポキシ樹脂(『2』−c)とを圧縮成形(『3』−c)した外径22.5mm、厚さ1.10mm、高さ9.4mm、密度5.8 Mg/m3の磁石を使った永久磁石型モータの起動トルクは13倍の20mN−mに達する。
以上、本発明で比較対象とする代表的な磁石はフェライト系磁石粉末(『1』−a)/フレキシブル系(ゴム、熱可塑性エラストマー)(『2』−a)/カレンダーリングまたは押出(『3』−b)の連携で製造された磁石、および磁気的に等方性の希土類磁石粉末(『1』−c)と堅いエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂(『2』−c)とともに圧縮成形(『3』−c)した磁石の2つを挙げることができる。本発明の目的は、より効率的な小型モータのために行なわれた環状希土類ボンド磁石の製造方法の提供である。
上記課題を解決するための第1の発明は、磁気的に異方性または等方性の希土類磁石粉末と延伸可能な成分を含む結合剤とのコンパウンドを圧縮してグリーンコンパクトとする工程Aと、前記グリーンコンパクトを熱硬化して希土類磁石ホンド磁石前駆体とする工程Bと、前駆体の結合剤成分を延伸した可撓性希土類ボンド磁石とする工程Cと、前記可撓性希土類ボンド磁石の結合剤成分の延伸可能な温度領域で所定寸法に整形した可撓性希土類ボンド磁石とする工程Dと、前記整形した可撓性希土類ボンド磁石を所定の環状形状とする工程Eと、前記環状形状の可撓性希土類ボンド磁石を磁化する工程Fとから成る環状希土類ボンド磁石の製造方法である。
また、第1の発明は、上記第1の発明において、磁石全表面が整形型による整形面で構成される環状希土類ボンド磁石の製造方法である。
また、第3の発明は、上記第1の発明又は第2の発明において、延伸した可撓性希土類ボンド磁石の延伸方向の長さをLa、環状磁石の周方向に相当する整形型の長さをLoとしたとき、工程DがLa>Loで行なわれる環状希土類ボンド磁石の製造方法である。
また、第4の発明は、工程Eが、整形済みの可撓性希土類ボンド磁石を周回方向に複数個連ねて所定の環状形状とする環状希土類ボンド磁石の製造方法である。
また、第5の発明は、上記第1の発明又は第4の発明において、工程Eが、予め磁化した整形済みの可撓性希土類ボンド磁石を磁性体ヨークの表面に磁気吸引させながら周回方向に複数個連ねて所定の環状形状とする環状希土類ボンド磁石の製造方法である。
また、第6の発明は、上記第1の発明において、
結合剤の延伸可能な成分がホモポリアミドとしてラクタム或はアミノカルボン酸より合成されるものや、ジアミンとジカルボン酸、或はそのエステルやハロゲン化物から合成されるポリアミドの1種または2種以上である環状希土類ボンド磁石の製造方法である。
また、第7の発明は、上記第1の発明又は第6の発明において、結合剤の延伸可能な成分が2.5wt%以上とする環状希土類ボンド磁石の製造方法である。
また、第8の発明は、上記第1の発明、第6の発明、又は第7の発明において、結合剤の延伸可能な成分が化学的に連続相を形成するためのケミカルコンタクトを必須成分とする環状希土類ボンド磁石の製造方法である。
また、第9の発明は、上記第1の発明において、希土類磁石粉末にHDDR処理(水素分解/再結合)によって準備された磁気的に異方性のNd2Fe14B系粉末を用いる環状希土類ボンド磁石の製造方法である。
また、第10の発明は、上記第1の発明において、希土類磁石粉末がRD(酸化還元)処理によって準備された磁気的に異方性のRD−Sm2Fe173系微粉末の表面を予め不活性化処理したものを用いる環状希土類ボンド磁石の製造方法である。
また、第11の発明は、上記第1の発明において、最大エネルギー積(BH)maxが150kJ/m3以上である磁気的に異方性の環状希土類ボンド磁石の製造方法である。
また、第12の発明は、上記第1の発明の環状希土類ボンド磁石の製造方法により製造される環状希土類ボンド磁石を搭載したブラシレスモータである。
また、第13の発明は、上記第1の発明の環状希土類ボンド磁石の製造方法により製造される環状希土類ボンド磁石を搭載した直流モータである。
また、第14の発明は、上記第1の発明の環状希土類ボンド磁石の製造方法により製造される環状希土類ボンド磁石を搭載したステッピングモータである。
また、第15の発明は、上記第11の発明の環状希土類ボンド磁石の製造方法により製造される磁気的に異方性の環状希土類ボンド磁石を搭載したブラシレスモータである。
また、第16の発明は、上記第11の発明の環状希土類ボンド磁石の製造方法により製造される磁気的に異方性の環状希土類ボンド磁石を搭載した直流モータである。
また、第16の発明は、上記第11の発明の環状希土類ボンド磁石の製造方法により製造される磁気的に異方性の環状希土類ボンド磁石を搭載したステッピングモータである。
以上のように、本発明が対象とするコンピュータ周辺機、プリンタなど電気電子機器の制御用、駆動用として幅広く使用され、所謂永久磁石回転子型、或は永久磁石界磁型のブラシレスモータや直流モータに関して、電気・電子機器の高性能化のもと、当該小型磁石モータの更なる小型軽量化、高出力化に対する要求に応えるため、本発明は磁気的に異方性または等方性の希土類磁石粉末と延伸可能な成分を含む結合剤とのコンパウンドを圧縮してグリーンコンパクトとする工程Aと、前記グリーンコンパクトを熱硬化して希土類磁石ホンド磁石前駆体とする工程Bと、前駆体の結合剤成分を延伸した可撓性希土類ボンド磁石とする工程Cと、前記可撓性希土類ボンド磁石の結合剤成分の延伸可能な温度領域で所定寸法に整形した可撓性希土類ボンド磁石とする工程Dと、前記整形した可撓性希土類ボンド磁石を所定の環状形状とする工程Eと、前記環状形状の可撓性希土類ボンド磁石を磁化する工程Fとから成る環状希土類ボンド磁石の製造方法を骨子とする。
したがって、(BH)max〜80kJ/m3で代表される磁気的に等方性のNd2Fe14B系圧縮成形希土類ボンド磁石を搭載した従来の小型モータに対し、(BH)max150kJ/m3で代表される本発明にかかる環状希土類ボンド磁石を搭載した小型モータに代替すると、当該磁石と鉄心との空隙磁束密度は略(BH)maxの比の平方根となるから、1.37〜1.50倍と改善され、高出力化が可能となる。特に、環状磁石の真円度の改善は空隙磁束密度の均質化を促し、振動や騒音の低減への効果も期待される。
(実施の形態)
本発明は、図1のようにボンド磁石製造における3大要素技術のひとつである結合剤『2』において、機械的な延伸が可能な構成成分を含む熱硬化性樹脂組成物(『2』−d)を登場させることにより、希土類磁石粉末(『1』−c)と圧縮成形と機械的延伸(『3』−d)を連携させ、シートからフィルムに至る新形態の希土類ボンド磁石、並びにそれを利用した新規な高性能で小型永久磁石型モータ『4』の提供を目的とする。とくに、本発明は本発明者らが先願した出願番号:特願2002−123964の公開公報(参考文献1)および出願番号:特願2002−205409の公開公報(参考文献2)において環状に賦形するまえに整形工程を加えることにより、耐蝕性や寸法精度など環状希土類ボンド磁石や当該小型モータの実用上の性能および信頼性の改良、改善に関する。
例えば、小型モータに適用し得る耐久性を兼備えた150kJ/m3以上の高(BH)max 環状希土類ボンド磁石が作製できれば、近年の電気電子機器の高性能化、省電力化を促す新規な小型モータを提供することができる。何故ならば、従来のメルトスパンリボンを粉砕したNd2Fe14B系希土類磁石粉末を樹脂で固定した等方性希土類ボンド磁石の(BH)maxは前述のように80kJ/m3である。これに対し、任意の環状、或いは円弧状で耐久性を兼備えた150kJ/m3以上の高(BH)max希土類ボンド磁石が作製できれば、モータ磁石と鉄心との空隙磁束密度は略(BH)maxの比の平方根となるから、当該小型モータの設計思想によるが、約1.4倍の高出力化、30%の小型化が見込まれるのである。
上記目的を実現するため、本発明は磁気的に異方性または等方性の希土類磁石粉末と延伸可能な成分を含む結合剤とのコンパウンドを圧縮してグリーンコンパクトとする工程Aと、前記グリーンコンパクトを熱硬化して希土類磁石ホンド磁石前駆体とする工程Bと、前駆体の結合剤成分を延伸した可撓性希土類ボンド磁石とする工程Cと、前記可撓性希土類ボンド磁石の結合剤成分の延伸可能な温度領域で所定寸法に整形した可撓性希土類ボンド磁石とする工程Dと、前記整形した可撓性希土類ボンド磁石を所定の環状形状とする工程Eと、前記環状形状の可撓性希土類ボンド磁石を磁化する工程Fとから成る環状希土類ボンド磁石の製造方法を骨子とする。なお、磁石全表面が整形型による整形面で構成すると本発明にかかる環状希土類ボンド磁石の耐蝕性改善に効果がある。また、延伸した可撓性希土類ボンド磁石の延伸方向の長さをLa、環状磁石の周方向に相当する整形型の長さをLoとしたとき、工程Dにかかる整形をLa>Loの条件で行なうと、当該希土類ボンド磁石を環状とする際の真円度等の寸法精度改善に効果がある。更に、工程Eにかかる整形済みの可撓性希土類ボンド磁石を周回方向に複数個連ねて所定の環状形状とすることが可能で、更には、予め磁化した整形済みの可撓性希土類ボンド磁石を用いると磁性体ヨークの表面に磁気吸引させながら周回方向に複数個連ねて所定の環状形状とすることもできる。
上記、本発明にかかる環状希土類ボンド磁石の結合剤の延伸可能な成分としてはホモポリアミドとしてラクタム或はアミノカルボン酸より合成されるものや、ジアミンとジカルボン酸、或はそのエステルやハロゲン化物から合成されるポリアミドの1種または2種以上とし、前記成分を2.5wt.%以上としたうえで、前記成分の連続相形成のためのケミカルコンタクトを必須成分とすることが好ましい。
上記、本発明にかかる環状希土類ボンド磁石に用いる異方性の希土類磁石粉末としてはHDDR処理(水素分解/再結合)によって準備された磁気的に異方性のNd2Fe14B系粉末や、RD(酸化還元)処理によって準備された磁気的に異方性のRD−Sm2Fe173系微粉末の表面を予め不活性化処理したものが好ましい。このような磁気的に異方性の希土類磁石粉末を直交磁界の下で配向させたとき、当該環状希土類ボンド磁石の最大エネルギ−積(BH)maxは半径方向に150kJ/m3以上のものも準備することができ、これらを含めた環状希土類ボンド磁石を搭載したブラシレスモータ、直流モータ、ステッピングモータなどは、高出力化による省電力化、小型化による省資源化が可能となる。
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明は磁気的に異方性または等方性の希土類磁石粉末と延伸可能な成分を含む結合剤とのコンパウンドを圧縮してグリーンコンパクトとする工程Aと、前記グリーンコンパクトを熱硬化して希土類磁石ホンド磁石前駆体とする工程Bと、前駆体の結合剤成分を延伸した可撓性希土類ボンド磁石とする工程Cと、前記可撓性希土類ボンド磁石の結合剤成分の延伸可能な温度領域で所定寸法に整形した可撓性希土類ボンド磁石とする工程Dと、前記整形した可撓性希土類ボンド磁石を所定の環状形状とする工程Eと、前記環状形状の可撓性希土類ボンド磁石を磁化する工程Fとから成る環状希土類ボンド磁石の製造方法を骨子とする。なお、磁石全表面が整形型による整形面で構成すると本発明にかかる環状希土類ボンド磁石の耐蝕性改善に効果がある。また、延伸した可撓性希土類ボンド磁石の延伸方向の長さをLa、環状磁石の周方向に相当する整形型の長さをLoとしたとき、工程D にかかる整形をLa≧Loの条件で行なうと、当該希土類ボンド磁石を環状とする際の真円度等の寸法精度改善に効果がある。更に、工程Eにかかる整形済みの可撓性希土類ボンド磁石を周回方向に複数個連ねて所定の環状形状とすることが可能で、更には、予め磁化した整形済みの可撓性希土類ボンド磁石を用いると磁性体ヨークの表面に磁気吸引させながら周回方向に複数個連ねて所定の環状形状とすることもできる。
上記、本発明にかかる環状希土類ボンド磁石の結合剤の延伸可能な成分としてはホモポリアミドとしてラクタム或はアミノカルボン酸より合成されるものや、ジアミンとジカルボン酸、或はそのエステルやハロゲン化物から合成されるポリアミドの1種または2種以上とし、前記成分を2.5wt.%以上としたうえで、前記成分の連続相形成のためのケミカルコンタクトを必須成分とすることが好ましい。かかるホモポリアミドとして、ラクタム、或いはアミノカルボン酸より合成されるものと、ジアミンとジカルボン酸、或はそのエステルやハロゲン化物から合成されるものがあり、(化1)で示される。
(化1)において、一般にR1,R2,R3はポリメチレン基であり、R1が−(CH2m−であるものはナイロン(m+1)であり、R2が−(CH2p−、R3が−(CH2q-2あるものはナイロン−p・qである。尚、更に第3の単量体を加えた共重合体であっても差し支えない。
上記、延伸可能な成分を化学的に結合せしめるケミカルコンタクトとしては、例えばジシアンジアミドおよびその誘導体、カルボン酸ジヒドラジド、ジアミノマレオニトリルおよびその誘導体のヒドラジドの群より選ばれた1種または2種以上などを挙げることができる。これ等は一般に有機溶媒に難溶の高融点化合物であるが、粒子径を数ないし数十μmに調整したものが好ましい。なお、ジシアンジアミド誘導体としては、例えばo−トリルビグアニド、α−2・5−ジメチルビクアニド、α−ω−ジフェニルビグアニド,5−ヒドロキシブチル−1−ビグアニド、フェニルビグアニド、α−ω−ジメチルビクアニドなどがある。更に、カルボン酸ジヒドラジドとしてはコハク酸ヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジド、p−アキシ安息香酸ヒドラジドなどがある。
なお、上記ケミカルコンタクトと反応し得るエポキシ基を分子鎖中に2個以上有する所謂エポキシオリゴマーを結合剤構成成分として使用することは本発明の環状希土類ボンド磁石の機械的性質を高めるために有効である。例えば、本発明にかかる希土類磁石粉末の結合剤との結合力を強固にするため、予め室温で固体のエポキシオリゴマーで表面被覆する。ここで、希土類磁石粉末へのエポキシオリゴマーの被覆方法としては、先ず、当該エポキシオリゴマ‐を有機溶媒に溶解し、その後、希土類磁石粉末と湿式混合し、溶媒を除去した当該塊状混合物を解砕する。用いるエポキシオリゴマーとしては当該オリゴマーとケミカルコンタクトとの架橋密度を高めるためには分子鎖内にもエポキシ基を有するノボラック型エポキシが望ましい。また、グリーンコンパクトを成形する際の成形性を改善するために通常使用される高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属石鹸類から選ばれる1種または2種以上を0.2〜0.4wt.%程度、コンパウンドに乾式混合することが望ましい。
一方、本発明にかかる環状希土類ボンド磁石に用いる磁気的に異方性の希土類磁石粉末としては熱間据込加工によって準備されたNd2Fe14B系希土類磁石粉末(例えば、非特許文献4;M.Doser,V.Panchanathan,“Pulverizing anisotropic rapidly solidified Nd−Fe−B materials for bonded magnet”;J.Appl.Phys.70(10),15,1993)。HDDR処理(水素分解/再結合)によって準備された異方性Nd2Fe14B系希土類磁石粉末、すなわち、Nd−Fe(Co)−B系合金のNd2(Fe,Co)14B相の水素化(ydrogenation,Nd2[Fe,Co]14BHx)、650〜1000℃での相分解(ecomposition,NdH2+Fe+Fe2B)、脱水素(esorpsion)、再結合(ecombination)するHDDR処理(非特許文献5;T.Takeshita and R.Nakayama:Proc of the 10th R Magnets and Their Applications,Kyoto,Vol.1,551 1989)で作製した磁石粉末である。なお、前記磁石粉末の表面を予め光分解したZnなど不活性化処理した粉末など(例えば、非特許文献6;K.Machida,K.Noguchi,M.Nushimura,Y.Hamaguchi,G.Adachi,Proc.9th Int Wrkshop on Rare−Earth Magnets and Ttheir Applications,Sendai,Japan,II,845 2000、或いは非特許文献7;K.Machida,Y.Hamaguchi,K.Noguchi,G.Adachi,Digests of the 25th Annual conference on Magnetcs in Japan,28aC−6 2001)を挙げることもできる。
また、それらの多結晶集合型異方性希土類磁石粉末の4MA/mパルス着磁後の20℃における保磁力は1MA/m以上のものが望ましい。さらに、異方性希土類磁石粉末としてはRD(酸化還元)処理によって準備された磁気的に異方性のSm2Fe173系希土類磁石粉末、或いは前記粉末の表面を予め不活性化処理した粉末を挙げることもできる。
なお、上記本発明にかかる環状希土類ボンド磁石の最大エネルギー積(BH)maxは半径方向に150kJ/m3以上のものも準備することができ、これらを含めた環状希土類ボンド磁石を搭載したブラシレスモータ、直流モータ、ステッピングモータなどは、高出力化による省電力化、小型化による省資源化が可能となる。
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明する。ただし、本発明は実施例によって限定されるものではない。
1.原料に関してその実施例を説明する。
本実施例では、希土類磁石粉末としてHDDR処理(水素分解/再結合)によって準備された粒子径32〜250μmのNd2Fe14B系希土類磁石粉末(Nd12.3Dy0.3Fe64.7Co12.36.0Ga0.6Zr0.1)、残留磁化Jr=1.34T、保磁力HcJ=0.97MA/m、(BH)max=292kJ/m3を、延伸可能な結合剤成分としてはポリアミド12、ケミカルコンタクトとしては平均粒子径6μmの酸ジヒドラジド、エポキシオリゴマーとしては室温で液体のジグリシジルエーテルビスフェノールA型を用いた。
2.環状希土類ボンド磁石の製造に関してその実施例を説明する。
本発明は、磁気的に異方性または等方性の希土類磁石粉末と延伸可能な成分を含む結合剤とのコンパウンドを圧縮してグリーンコンパクトとする工程Aと、前記グリーンコンパクトを熱硬化して希土類磁石ボンド磁石前駆体とする工程Bと、磁石前駆体の結合剤成分を延伸した可撓性希土類ボンド磁石とする工程Cと、前記可撓性希土類ボンド磁石の結合剤成分の延伸可能な温度領域で所定寸法に整形した可撓性希土類ボンド磁石とする工程Dと、前記整形した可撓性希土類ボンド磁石を所定の環状形状とする工程Eと、前記環状形状の磁石を磁化する工程Fとから環状希土類ボンド磁石を製造するものである。かかる方法において、本発明は工程Dが骨子となる。
以下、上記工程毎に実施例を説明する。
工程AではNd2Fe14B系異方性希土類磁石粉末表面を0.5wt.%の液状エポキシオリゴマ−で被覆した。次いで、2.5wt.%を基準としたポリアミド12、0.02wt.%のケミカルコンタクトを混合したコンパウンドを80℃、2MA/mの直交磁界の下、0.6GPaまたは1.1GPaで板状の側面(板の長手方向側面)を圧縮して厚さ約1.025mm、幅約4.99mm、長さ約70mmのグリーンコンパクトとした。
工程Bでは、グリーンコンパクトを熱硬化(140℃、15min)して希土類磁石ボンド磁石前駆体とした。なお、図2(a)(b)は結合剤添加量に対する本磁石前駆体の密度、及び4MA/mパルス磁化後のVSM(試料振動型磁力計)で求めた20℃における(BH)max値を示す特性図である。ただし、図中破線(墨付き丸印)は1.1GPaで圧縮したグリーンコンパクトを熱硬化した磁石前駆体、実線(墨付き四角印)は0.6GPaで圧縮した場合を示している。
図2(a)から明らかなように、磁石前駆体の密度は結合剤添加量に依存するものの、結合剤添加量約2.5wt.%以上ではグリーンコンパクト作製時の圧縮圧力の密度依存性が少なくなっている。換言すれば、希土類ボンド磁石として結合剤添加量2.5wt.%以上であれば0.6GPa以上の圧縮圧力でほぼ一定の密度を有する磁石前駆体を得ることができる。また、図2(b)から、結合剤添加量2.5wt.%であれば磁石前駆体の(BH)maxは150kJ/m3の水準を確保することができる。
工程Cでは上記磁石前駆体の結合剤成分を延伸した可撓性希土類ボンド磁石とした。なお、本発明にかかる環状希土類ボンド磁石を作製するための結合剤成分の機械的延伸は環状の周方向に一軸延伸する。図3(a)(b)はケミカルコンタクトを介した結合剤成分の延伸による分子鎖配向を表す概念図である。図(a)(b)において、Aはエポキシオリゴマーの硬化層で被覆された希土類磁石粉末、Bは延伸可能な結合剤成分、Cはケミカルコンタクトを示している。図3(a)(b)のような機械的な一軸延伸延伸は通常、等速ロールミルなどの圧延によって行なうことができる。
工程Dでは、可撓性希土類ボンド磁石の結合剤成分の延伸可能な温度領域で所定寸法に整形した可撓性希土類ボンド磁石とする。
図4は工程D、すなわち延伸方向の長さLの整形による寸法変化を示す特性図である。図においてX軸は延伸した可撓性希土類ボンド磁石の延伸方向の長さLa、Y軸は整形した可撓性希土類ボンド磁石の延伸方向の長さをLbである。なお、環状磁石の周方向に相当する整形型の長さLoは69.83mm、本磁石の長さLaは68.25〜72.8mm、厚さは1.025mm、磁石の幅は4.99mmである。また、図中の対角線(破線)は整形によってLaとLbが変化のないことを表す。
図から明らかなように、整形型の長さLo(ここでは、69.83mm)と同水準のLa磁石ではLa≒Lbとなり、整形による延伸方向の長さLに変化はない(図4中、比較例1)。また、Lo>Laの場合ではLa<Lbとなるものの、その増加率はほぼ一定でLa≒Lbとなるため、結合剤成分の延伸による延伸方向Lの変動を抑制することはできない(図4中、比較例2)。一方、本発明例、すなわちLo<Laの条件では図4に示した比較例1,2のようにLa≒Lbとはならず、Laが変動してもLbは一定範囲に収束する。
したがって、本発明例のように、工程Dでの整形をLa>Loの条件で行なうとLb、すなわち、整形した可撓性希土類ボンド磁石の延伸方向の長さLbを一定の範囲に収めることができる。このことは、環状磁石を作製する上で当該磁石の延伸方向の寸法精度を確保できることを意味している。機械的延伸のための圧延では通常2本の等速圧延ロール間距離を一定として、圧延率(圧下率)を制御することから、延伸方向の寸法変化は圧延方向に対する幅、厚さに比して大きくなりやすく、環状とする際には延伸方向の寸法を一定範囲とするために切断せざるを得なかった。切断面で大気に暴露される希土類磁石粉末は、 酸化による永久減磁や磁石粉末の部分崩壊、ひいては脱落飛散するという課題も解決できる。
工程Eでは、上記整形した可撓性希土類ボンド磁石を所定の環状形状とする。なお、図5のように整形済みの可撓性希土類ボンド磁石を周回方向に複数個連ねて所定の環状形状とすることが可能で、更には、予め磁化した整形済みの可撓性希土類ボンド磁石を用いると磁性体ヨークの表面に磁気吸引させながら周回方向に複数個連ねて所定の環状形状とすることもできる。
工程Fでは、環状希土類ボンド磁石を磁化する。なお、磁化の強さや極数に関しては対象となる小型ブラシレスモータ、直流モータ、ステッピングモータなどのモータ設計思想に委ねるところである。
工程Dの効果について特に説明する。
表1は工程B、すなわちグリーンコンパクトを熱硬化(140℃、15min)した希土類磁石ボンド磁石前駆体、工程C、すなわち前記磁石前駆体の結合剤成分を延伸(6%)した可撓性希土類ボンド磁石、並びに、工程D、すなわち可撓性希土類ボンド磁石の結合剤成分の延伸可能な温度領域で所定寸法に整形した可撓性希土類ボンド磁石の密度、引張強度、伸びの関係を示す。表1から明らかなように、工程BとCとで、機械的延伸による引張強度と伸びの顕著な変化があるが、工程Dを経ることにより、高い密度と伸びが安定して得られるようになる。
本発明にかかる工程D、すなわち、可撓性希土類ボンド磁石の結合剤成分の延伸可能な温度領域で所定寸法に整形した可撓性希土類ボンド磁石とする条件を最適化する。すると延伸方向の寸法Lbの精度が改善されることは既に説明したとおりである。本発明にかかる希土類ボンド磁石は延伸方向に可撓性が発現するので図4に示すように、フレーム2に巻付けて環状希土類ボンド磁石1とすることができる。更に、電機子3を組立ることで本発明にかかる直流モータとなる。
図5は図4に示した本発明にかかる環状希土類ボンド磁石の内径と真円度の高温暴露における変化を示す特性図である。ただし、図5の本発明例と比較例は図3に示す本発明例と比較例1に対応している。図から明らかなように、本発明例と比較例1とを比較すると内径は殆ど同じであるが、真円度に着目すると本発明例の方が優れている。
ところで、(BH)max〜80kJ/m3で代表される磁気的に等方性のNd2Fe14B系圧縮成形希土類ボンド磁石を搭載した従来の小型モータに対し、(BH)max 150kJ/m3で代表される本発明にかかる環状希土類ボンド磁石を搭載した小型モータに代替すると、当該磁石と鉄心との空隙磁束密度は略(BH)maxの比の平方根となるから、1.37〜1.50倍と改善され、高出力化が可能となる。ここで、モータの効率ηは機械出力P、損失をWとすると下記(式1)で示され、本発明にかかるモータはブラシレスモータや直流モータに拘らず、機械出力Pの改善が可能である。よって、モータの高出力化によるモータの高効率化が実現できると結論づけることができる。
η=[P/(P+W)]・・・(式1)
本発明にかかる環状希土類ボンド磁石の製造方法、及びモータは、高出力化によるモータの高効率化の効果を有し、所謂永久磁石回転子型、或は永久磁石界磁型のブラシレスモータや直流モータ等として有用である。
ボンド磁石作製における3大要素技術の関係を示す概念図 結合剤添加量に対する本磁石前駆体の密度及び4MA/mパルス磁化後のVSM(試料振動型磁力計)で求めた20℃における(BH)max値を示す特性図、(a)は結合剤添加量に対する本磁石前駆体の密度を示す特性図、(b)は結合剤添加量に対する(BH)max値を示す特性図 ケミカルコンタクトCによる自己組織化と分子鎖の配向を表す概念図、(a)は自己組織化による概念図、(b)は機械的な延伸などの手段によってポリマーの分子鎖の概念図 延伸方向の長さLの整形による寸法変化を示す特性図 環状希土類ボンド磁石と直流モータの斜視外観図 磁石内径と真円度の高温暴露における変化を示す特性図
符号の説明
A クラスター相
B 連続相
C ケミカルコンタクト
1 環状希土類ボンド磁石
2 フレーム
3 電機子

Claims (17)

  1. 磁気的に異方性または等方性の希土類磁石粉末と延伸可能な成分を含む結合剤とのコンパウンドを圧縮してグリーンコンパクトとする工程Aと、前記グリーンコンパクトを熱硬化して希土類磁石ホンド磁石前駆体とする工程Bと、前駆体の結合剤成分を延伸した可撓性希土類ボンド磁石とする工程Cと、前記可撓性希土類ボンド磁石の結合剤成分の延伸可能な温度領域で所定寸法に整形した可撓性希土類ボンド磁石とする工程Dと、前記整形した可撓性希土類ボンド磁石を所定の環状形状とする工程Eと、前記環状形状の可撓性希土類ボンド磁石を磁化する工程Fとから成る環状希土類ボンド磁石の製造方法。
  2. 磁石全表面が整形型による整形面で構成された請求項1記載の環状希土類ボンド磁石の製造方法。
  3. 延伸した可撓性希土類ボンド磁石の延伸方向の長さをLa、環状磁石の周方向に相当する整形型の長さをLoとしたとき、工程DがLa>Loで行なわれる請求項1又は請求項2のいずれかに記載の環状希土類ボンド磁石の製造方法。
  4. 工程Eが、整形済みの可撓性希土類ボンド磁石を周回方向に複数個連ねて所定の環状形状とする請求項1記載の環状希土類ボンド磁石の製造方法。
  5. 工程Eが、予め磁化した整形済みの可撓性希土類ボンド磁石を磁性体ヨークの表面に磁気吸引させながら周回方向に複数個連ねて所定の環状形状とする請求項1又は請求項4のいずれかに記載の環状希土類ボンド磁石の製造方法。
  6. 結合剤の延伸可能な成分がホモポリアミドとしてラクタム或はアミノカルボン酸より合成されるものや、ジアミンとジカルボン酸、或はそのエステルやハロゲン化物から合成されるポリアミドの1種または2種以上である請求項1記載の環状希土類ボンド磁石の製造方法。
  7. 結合剤の延伸可能な成分が2.5wt%以上とした請求項1又は請求項6のいずれかに記載の環状希土類ボンド磁石の製造方法。
  8. 結合剤の延伸可能な成分が化学的に連続相を形成するためのケミカルコンタクトを必須成分とする請求項1、請求項6、又は請求項7のいずれかに記載の環状希土類ボンド磁石の製造方法。
  9. 希土類磁石粉末がHDDR処理(水素分解/再結合)によって準備された磁気的に異方性のNd2Fe14B系粉末である請求項1記載の環状希土類ボンド磁石の製造方法。
  10. 希土類磁石粉末がRD(酸化還元)処理によって準備された磁気的に異方性のRD−Sm2Fe173系微粉末の表面を予め不活性化処理したものである請求項1記載の環状希土類ボンド磁石の製造方法。
  11. 最大エネルギー積(BH)maxが150kJ/m3以上である請求項1記載の磁気的に異方性の環状希土類ボンド磁石の製造方法。
  12. 請求項1記載の環状希土類ボンド磁石の製造方法により製造される環状希土類ボンド磁石を搭載したブラシレスモータ。
  13. 請求項1記載の環状希土類ボンド磁石の製造方法により製造される環状希土類ボンド磁石を搭載した直流モータ。
  14. 請求項1記載の環状希土類ボンド磁石の製造方法により製造される環状希土類ボンド磁石を搭載したステッピングモータ。
  15. 請求項11記載の異方性の環状希土類ボンド磁石の製造方法により製造される異方性の環状希土類ボンド磁石を搭載したブラシレスモータ。
  16. 請求項11記載の異方性の環状希土類ボンド磁石の製造方法により製造される異方性の環状希土類ボンド磁石を搭載した直流モータ。
  17. 請求項11記載の異方性の環状希土類ボンド磁石の製造方法により製造される異方性の環状希土類ボンド磁石を搭載したステッピングモータ。

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