JP2005116469A - 冷陰極電界電子放出素子の製造方法 - Google Patents

冷陰極電界電子放出素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラス基板を使用することを可能とし、しかも、高い電子放出効率を達成し得る電子放出部が得られる冷陰極電界電子放出素子の製造方法を提供する。
【解決手段】冷陰極電界電子放出素子の製造方法は、カソード電極11が表面に形成された支持体10を準備しておき、支持部材30に形成された触媒層32上にCVD法にて針状の電子放出部41を形成した後、マトリックス材料42によって電子放出部41を埋め込んで電子放出層43を得た後、支持部材30を除去し、次いで、カソード電極11の上に接着層44によって電子放出層43を接着し、その後、全面に絶縁層を形成し、絶縁層上にゲート電極を形成し、更に、ゲート電極及び絶縁層に開口部を形成して開口部の底部に電子放出層43を露出させる各工程を具備する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、冷陰極電界電子放出素子の製造方法に関する。
テレビジョン受像機や情報端末機器に用いられる表示装置の分野では、従来主流の陰極線管(CRT)から、薄型化、軽量化、大画面化、高精細化の要求に応え得る平面型(フラットパネル型)の表示装置への移行が検討されている。このような平面型の表示装置として、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンス表示装置(ELD)、プラズマ表示装置(PDP)、冷陰極電界電子放出表示装置(FED:フィールドエミッションディスプレイ)を例示することができる。このなかでも、液晶表示装置は情報端末機器用の表示装置として広く普及しているが、据置き型のテレビジョン受像機に適用するには、高輝度化や大型化に未だ課題を残している。これに対して、冷陰極電界電子放出表示装置は、熱的励起によらず、量子トンネル効果に基づき固体から真空中に電子を放出することが可能な冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と呼ぶ場合がある)を利用しており、高輝度及び低消費電力の点から注目を集めている。
電界放出素子における電子放出部の形成方法として、カーボン薄膜やカーボン・ナノチューブ等を化学的気相成長法(CVD法)に基づきカソード電極の上に成長させる方法が種々提案されている(例えば、文献−1として、W. I. Milne, et al., "39.1 : Electron Emission from Self-Aligned Carbon Nanotube Field Emission Microcathodes", SID 02 DIGEST, pp1120-1123 参照)。
また、カーボン・ナノチューブを分散させたスラリー(分散組成物)を用いて、スクリーン印刷法にてカソード電極上にカーボン・ナノチューブから成る電子放出部を形成する方法が、例えば、文献−2として、W. B. Choi, et al., "L2.1 : Late-News Paper : A 4.5-in. Fully Sealed Carbon Nanotube-Based Field-Emission Flat-Panel Display", SID '99 DIGEST, pp1134−1137、及び、文献−3として、H. C. Cheng, et al, "22.3 : A Reflective-Type Carbon Nanotube Field Emission Display", SID '00 DIGEST, pp329-331 から公知である。
また、例えば、特開2002−324480には、支持体上に形成されたカソード電極と、支持体及びカソード電極上に形成された絶縁層と、絶縁層上に形成されたゲート電極と、ゲート電極及び絶縁層に設けられた開口部と、開口部の底部に設けられた炭素系薄膜から成る電子放出部とから構成された、所謂3電極構造を有する電界放出素子が開示されている。
特開2002−324480 W. I. Milne, el al., "39.1 : Electron Emission from Self-Aligned Carbon Nanotube Field Emission Microcathodes", SID 02 DIGEST, pp1120-1123 W. B. Choi, et al., "L2.1 : Late-News Paper : A 4.5-in. Fully Sealed Carbon Nanotube-Based Field-Emission Flat-Panel Display", SID '99 DIGEST, pp1134−1137 H. C. Cheng, et al, "22.3 : A Reflective-Type Carbon Nanotube Field Emission Display", SID '00 DIGEST, pp329-331 "Properties of filtered-ion-beam-deposited diamondlike carbon as a function of ion energy", P. J. Fallon, et al., Phys. Rev. B 48 (1993), pp 4777-4782 "Generation and deposition of fullerene- and nanotube-rich carbon thin films", M. Chhowalla, et al., Phil. Mag. Letts, 75 (1997), pp 329-335 長岡技術科学大学広報VOS、July 1999 No.97)、[平成15年6月18日検索]インターネット<http://www.nagaokaut.ac.jp/j/siryou/vos97/study.html> M.Hirakawa,et al., IDW 00 Digest(2000)1027 ULVAC TECHNICAL JOURNAL No.57 (2002)26
ところで、文献−1に開示された技術にあっては、カーボン・ナノチューブを形成するための温度が600゜C以上であり、冷陰極電界電子放出表示装置の構成部材としてガラス基板を使用することは極めて困難である。
カーボン・ナノチューブから構成された電子放出部の電子放出効率を高くするためには、カーボン・ナノチューブの端部がアノード電極の方向を向くようにカーボン・ナノチューブをカソード電極上に配置することが望ましい。然るに、文献−2や文献−3に開示された技術にあっては、スクリーン印刷法に基づく方法であるが故に、カーボン・ナノチューブの端部がアノード電極の方向を向くようにカーボン・ナノチューブをカソード電極上に配置することは極めて困難である。また、数十μm以下の微細パターンを有するカソード電極上にスクリーン印刷法にて電子放出部を形成することは困難である。
特開2002−324480に開示された技術においては、従来の技術よりも比較的低温にて炭素系薄膜を形成することができる。しかしながら、カソード電極の表面に対して出来るだけ垂直に配置されるようにカーボン・ナノチューブから成る電子放出部をCVD法にて形成しようとした場合、電子放出部を形成するための温度が600゜C以上になってしまう場合があり、このような場合、冷陰極電界電子放出表示装置の構成部材としてガラス基板を使用することが極めて困難となる。
従って、本発明の目的は、冷陰極電界電子放出表示装置の構成部材としてガラス基板を使用することを可能とし、しかも、高い電子放出効率を達成し得る電子放出部が得られる冷陰極電界電子放出素子の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法(以下、本発明の第1の態様に係る製造方法と呼ぶ場合がある)は、
第1の方向に延びるカソード電極が表面に形成された支持体を準備しておき、
(A)触媒層が形成された支持部材の該触媒層上に化学的気相成長法(CVD法)にて針状の電子放出部を形成した後、マトリックス材料によって電子放出部を埋め込み、以て、電子放出部がマトリックス材料によって埋め込まれた電子放出層を得る工程と、
(B)支持部材を除去した後、前記支持体上に形成されたカソード電極の上に、接着層によって電子放出層を接着する工程と、
(C)電子放出層及び支持体上に絶縁層を形成する工程と、
(D)絶縁層上に、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極を形成する工程と、
(E)ゲート電極の射影像とカソード電極の射影像とが重複する領域におけるゲート電極の部分及び絶縁層の部分に開口部を形成して開口部の底部に電子放出層を露出させ、更に、開口部の底部に露出した電子放出層の部分のマトリックス材料の少なくとも一部分を除去し、少なくとも針状の電子放出部の一部分を露出させる工程、
を具備することを特徴とする。
本発明の第1の態様に係る製造方法において、前記工程(A)では電子放出部がマトリックス材料によって埋め込まれた状態となるが、この状態は、電子放出層が完全にマトリックス材料によって埋め込まれ、電子放出層の表面がマトリックス材料によって覆われた状態を指す。前記工程(B)における支持部材の除去に際しては、触媒層を残した状態としてもよいし、触媒層を除去した状態としてもよい。そして、前記工程(B)においてカソード電極の上に接着層によって電子放出層を接着するが、触媒層を残した状態とする場合、実際には、カソード電極の上に触媒層を介して電子放出層が接着され、触媒層を除去した状態とする場合、触媒層が除去された電子放出層の面がカソード電極の上に接着される。前記工程(E)において開口部の底部に露出した電子放出層の部分のマトリックス材料の少なくとも一部分を除去するが、この部分のマトリックス材料の一部のみ(即ち、電子放出層の表面からカソード電極の方に向かって或る厚さまで)を除去してもよいし、この部分のマトリックス材料の全部を除去してもよい。前者の場合、開口部の底部に露出した電子放出層の部分における針状の電子放出部の一部分が露出させられ、針状の電子放出部の他の部分はマトリックス材料によって埋め込まれた状態となる。後者の場合、開口部の底部に露出した電子放出層の部分における針状の電子放出部の全部が露出させられた状態となる。更には、前者の場合、電子放出部の一部分(例えば先端部)の突出量は、限定するものではないが、例えば、電子放出部の直径の1.5倍以上であることが望ましい。マトリックス材料、触媒層、支持部材の除去方法は、マトリックス材料、触媒層、支持部材を構成する材料に依存するので、これらの材料に対する最適な方法を採用すればよい。
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法(以下、本発明の第2の態様に係る製造方法と呼ぶ場合がある)は、
第1の方向に延びるカソード電極が表面に形成された支持体を準備しておき、
(A)触媒層が形成された支持部材の該触媒層上に化学的気相成長法(CVD法)にて針状の電子放出部を形成した後、マトリックス材料によって少なくとも電子放出部の隙間の一部分を埋め、以て、少なくとも電子放出部の隙間の一部分がマトリックス材料によって埋め込まれた電子放出層を得る工程と、
(B)前記支持体上に形成されたカソード電極の上に、接着層によって電子放出層を接着した後、支持部材及び触媒層を除去する工程と、
(C)電子放出層及び支持体上に絶縁層を形成する工程と、
(D)絶縁層上に、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極を形成する工程と、
(E)ゲート電極の射影像とカソード電極の射影像とが重複する領域におけるゲート電極の部分及び絶縁層の部分に開口部を形成して開口部の底部に電子放出層を露出させ、更に、開口部の底部に露出した電子放出層の部分のマトリックス材料の少なくとも一部分を除去し、少なくとも針状の電子放出部の一部分を露出させる工程、
を具備することを特徴とする。
上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法は、触媒層を除去するタイミングが本発明の第2の態様に係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法と相違している。即ち、本発明の第3の態様に係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法(以下、本発明の第3の態様に係る製造方法と呼ぶ場合がある)は、
第1の方向に延びるカソード電極が表面に形成された支持体を準備しておき、
(A)触媒層が形成された支持部材の該触媒層上に化学的気相成長法(CVD法)にて針状の電子放出部を形成した後、マトリックス材料によって少なくとも電子放出部の隙間の一部分を埋め、以て、少なくとも電子放出部の隙間の一部分がマトリックス材料によって埋め込まれた電子放出層を得る工程と、
(B)前記支持体上に形成されたカソード電極の上に、接着層によって電子放出層を接着した後、支持部材を除去する工程と、
(C)触媒層及び支持体上に絶縁層を形成する工程と、
(D)絶縁層上に、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極を形成する工程と、
(E)ゲート電極の射影像とカソード電極の射影像とが重複する領域におけるゲート電極の部分及び絶縁層の部分に開口部を形成して開口部の底部に触媒層を露出させ、更に、開口部の底部に露出した触媒層の部分及びその下の電子放出層の部分のマトリックス材料の少なくとも一部分を除去し、少なくとも針状の電子放出部の一部分を露出させる工程、
を具備することを特徴とする。
本発明の第2の態様あるいは第3の態様に係る製造方法において、前記工程(A)では少なくとも電子放出部の隙間の一部分がマトリックス材料によって埋め込まれた状態となるが、この状態は、電子放出部の支持部材側の部分(電子放出部の下方の部分)がマトリックス材料によって埋め込まれ、且つ、支持部材とは反対側の電子放出部の部分がマトリックス材料によって埋め込まれていない状態を指し、あるいは又、導電性を有するマトリックス材料を用いる場合においては、電子放出層が完全にマトリックス材料によって埋め込まれ、電子放出層の表面がマトリックス材料によって覆われた状態を指す。前記工程(B)においてカソード電極の上に接着層によって電子放出層を接着するが、支持部材とは反対側の電子放出層の面(場合によっては、その上の導電性を有するマトリックス材料)がカソード電極の上に接着される。前記工程(B)において、カソード電極の上に接着層によって電子放出層を接着するが、接着層を、電子放出層上に形成してもよいし、カソード電極上に形成してもよい。前記工程(E)において開口部の底部に露出した電子放出層の部分のマトリックス材料の少なくとも一部分を除去するが、この部分のマトリックス材料の一部のみ(即ち、電子放出層の表面からカソード電極の方に向かって或る厚さまで)を除去してもよいし、この部分のマトリックス材料の全部を除去してもよい。前者の場合、開口部の底部に露出した電子放出層の部分における針状の電子放出部の一部分が露出させられ、針状の電子放出部の他の部分はマトリックス材料によって埋め込まれた状態となる。後者の場合、開口部の底部に露出した電子放出層の部分における針状の電子放出部の全部が露出させられた状態となる。更には、前者の場合、電子放出部の一部分(例えば先端部)の突出量は、限定するものではないが、例えば、電子放出部の直径の1.5倍以上であることが望ましい。マトリックス材料、触媒層、支持部材の除去方法は、マトリックス材料、触媒層、支持部材を構成する材料に依存するので、これらの材料に対する最適な方法を採用すればよい。
上記の目的を達成するための本発明の第4の態様に係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法(以下、本発明の第4の態様に係る製造方法と呼ぶ場合がある)は、
第1の方向に延びるカソード電極、該カソード電極を覆う絶縁層、及び、該絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極を備え、ゲート電極の射影像とカソード電極の射影像とが重複する領域におけるゲート電極の部分及び絶縁層の部分に開口部が形成され、開口部の底部に露出したカソード電極の部分に接着層が形成された支持体を準備しておき、
(A)触媒層が形成された支持部材の該触媒層上に化学的気相成長法(CVD法)にて針状の電子放出部を形成する工程と、
(B)所望の部分における電子放出部を残し、その他の部分における電子放出部を除去し、更に、該その他の部分における触媒層を除去し、更に、該その他の部分における支持部材をその厚さ方向に一部分エッチングする工程と、
(C)所望の部分に残された電子放出部を、前記開口部の底部に露出したカソード電極の部分に形成された接着層によって、開口部の底部に露出したカソード電極の部分に接着させた後、支持部材及び触媒層を除去する工程、
を具備することを特徴とする。
本発明の第4の態様に係る製造方法において、前記工程(B)は、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき実行することができる。尚、電子放出部を所望の部分に残すが、この所望の領域は、ゲート電極の射影像とカソード電極の射影像とが重複する領域におけるゲート電極の部分及び絶縁層の部分に形成された開口部の位置と対応する。電子放出部や触媒層の除去方法、支持部材のエッチング方法は、電子放出部、触媒層、支持部材を構成する材料に依存するので、これらの材料に対する最適な方法を採用すればよい。また、開口部の底部に露出したカソード電極の部分における接着層(未乾燥あるいは未硬化の接着層)の形成方法として、例えば、各種の塗布法に基づき開口部内を含むゲート電極及び絶縁層上に未乾燥あるいは未硬化の接着層を形成した後、ゲート電極及び絶縁層上の未乾燥あるいは未硬化の接着層を払拭、除去する方法を例示することができる。
上記の目的を達成するための本発明の第5の態様に係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法(以下、本発明の第5の態様に係る製造方法と呼ぶ場合がある)は、
第1の方向に延びるカソード電極が表面に形成された支持体を準備しておき、
(A)表面に凹部が形成された支持部材の該表面に針状の電子放出材料を含む電子放出層を形成する工程と、
(B)前記支持体上に形成されたカソード電極の上に、接着層によって電子放出層を接着した後、支持部材を除去する工程と、
(C)電子放出層及び支持体上に絶縁層を形成する工程と、
(D)絶縁層上に、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極を形成する工程と、
(E)ゲート電極の射影像とカソード電極の射影像とが重複する領域におけるゲート電極の部分及び絶縁層の部分に開口部を形成して開口部の底部に電子放出層を露出させる工程、
を具備することを特徴とする。
本発明の第5の態様に係る製造方法において、前記工程(B)における支持部材の除去方法は、支持部材を構成する材料に依存するので、この材料に対する最適な方法を採用すればよい。前記工程(E)において、開口部の底部に電子放出層を露出させたとき、少なくとも針状の電子放出材料の一部分を、場合によっては電子放出材料全体を、露出させることが望ましい。後述するように、電子放出層は、針状の電子放出材料を含むだけでなく、バインダーを含む形態とすることが好ましく、この場合、開口部の底部に電子放出層を露出させたとき、開口部の底部に位置する電子放出層の部分におけるバインダーの一部を除去してもよい。開口部の底部に露出した電子放出層の部分における針状の電子放出材料の一部分が露出させられ、針状の電子放出部の他の部分はバインダーによって埋め込まれた状態となる。電子放出材料の一部分(例えば先端部)の突出量は、限定するものではないが、例えば、電子放出材料の直径の1.5倍以上であることが望ましい。バインダーの除去方法は、バインダーを構成する材料に依存するので、この材料に対する最適な方法を採用すればよい。
支持部材の表面に凹部が形成されているが、この凹部は、カソード電極と平行に延びる溝状の凹部とすることもできるし、点状に配置された凹部とすることもできる。カソード電極と平行に延びる溝状の凹部とする場合、カソード電極の幅に対応する支持部材の領域のそれぞれにのみ複数の凹部を形成してもよいし、支持部材の表面全面に凹部を形成してもよい。一方、点状に配置された凹部とする場合、カソード電極の幅に対応する支持部材の領域のそれぞれにのみ複数の凹部を形成してもよいし、ゲート電極の射影像とカソード電極の射影像とが重複する領域と対応する支持部材の部分の表面に複数の凹部を形成してもよいし、ゲート電極の射影像とカソード電極の射影像とが重複する領域におけるゲート電極の部分及び絶縁層の部分に形成された開口部の位置と対応する支持部材の部分の表面に複数の凹部を形成してもよいし、支持部材の表面全面に凹部を形成してもよい。
溝状の凹部の断面形状として、三角形;正方形、長方形、台形を含む任意の四角形;任意の多角形;円形、楕円形、放物線、双曲線、カテナリー等を含む任意の滑らかな曲線を例示することができる。一方、点状に配置された凹部の形状として、角錐;円錐;円柱;三角柱や四角柱を含む多角柱;球の一部、回転楕円体の一部、回転放物線体の一部、回転双曲線体の一部といった各種の滑らかな曲面を例示することができる。
凹部の形成方法は、支持部材を構成する材料、支持部材の製造方法に依存して、最適な方法を採用すればよい。
本発明の第1の態様〜第4の態様に係る製造方法において、針状の電子放出部には、チューブから成る電子放出部、ファイバーから成る電子放出部、ウイスカーから成る電子放出部が含まれる。また、本発明の第5の態様に係る製造方法において、針状の電子放出材料には、チューブから成る電子放出材料、ファイバーから成る電子放出材料、ウイスカーから成る電子放出材料が含まれる。尚、本発明の第1の態様〜第5の態様に係る製造方法を総称して、単に、本発明の製造方法と呼ぶ場合がある。
本発明の製造方法にあっては、電子放出部を構成する材料あるいは電子放出材料を、カーボン・ナノチューブ構造体(中空及び中実を含む)とすることができる。更には、本発明の製造方法にあっては、電子放出部を構成する材料あるいは電子放出材料を、ZnOウイスカー、MgOウイスカー、SnO2ウイスカー、MnOウイスカー、Y23ウイスカー、NiOウイスカー、ITOウイスカー、In23ウイスカー及びAl23ウイスカーから成る群から選択された少なくとも1種類のウイスカーとすることができる。尚、カーボン・ナノチューブ構造体、ZnOウイスカー、MgOウイスカー、SnO2ウイスカー、MnOウイスカー、Y23ウイスカー、NiOウイスカー、ITOウイスカー、In23ウイスカー及びAl23ウイスカーを総称して、カーボン・ナノチューブ構造体等と呼ぶ場合がある。
ここで、本明細書においては、カーボン・ナノチューブ構造体という用語を、カーボン・ナノチューブ及びグラファイト・ナノファイバーを包含する用語として用いる。即ち、カーボン・ナノチューブ構造体は、カーボン・ナノチューブから成り、あるいは又、グラファイト・ナノファイバーから成る。カーボン・ナノチューブとグラファイト・ナノファイバーとの相違は、これらの結晶性にある。sp2結合を有する炭素原子は、通常、6個の炭素原子から六員環を構成し、これらの六員環の集まりがカーボングラファイトシートを構成する。このカーボングラファイトシートが巻かれたチューブ構造を有するものがカーボン・ナノチューブである。尚、1層のカーボングラファイトシートが巻かれた構造を有する単層カーボン・ナノチューブであってもよいし、2層以上のカーボングラファイトシートが巻かれた構造を有する多層カーボン・ナノチューブであってもよい。一方、カーボングラファイトシートが巻かれておらず、カーボングラファイトのフラグメントが重なってファイバー状になったものが、グラファイト・ナノファイバーである。カーボン・ナノチューブあるいはグラファイト・ナノファイバーとカーボン・ウイスカーとの違いは明確ではないが、一般に、カーボン・ナノチューブあるいはグラファイト・ナノファイバーの直径は1μm以下、例えば、1nm〜300nm程度である。
本発明の第1の態様〜第4の態様に係る製造方法において、カーボン・ナノチューブを(広くはグラファイト・ナノファイバーを除くカーボン・ナノチューブ構造体等を)CVD法にて形成する場合、係るCVD法として、マイクロ波プラズマ法、トランス結合型プラズマ法、誘導結合型プラズマ法、電子サイクロトロン共鳴プラズマ法、RFプラズマ法、ヘリコン波プラズマCVD法、容量結合型プラズマCVD法等に基づくCVD法、平行平板型CVD装置を用いたCVD法、熱CVD法を例示することができる。尚、カーボン・ナノチューブ(広くはグラファイト・ナノファイバーを除くカーボン・ナノチューブ構造体等)が、触媒層の表面に対して出来るだけ垂直に形成されるようなCVD条件とすることが重要である。尚、CVD法にて形成されたカーボン・ナノチューブ構造体等の表面を、MoやNiといった金属や、合金、あるいは、カーボン等で被覆してもよい。一方、グラファイト・ナノファイバーの場合においては、ファイバー自体が種々に屈曲して成長しており、ファイバーの側部からの電子放出も容易と考えられているため、触媒層の表面に対して垂直に形成する必要は特にないが、本発明の第1の態様〜第4の態様に係る製造方法は有効にして好適な物質である。
本発明の第5の態様に係る製造方法にあっては、電子放出材料をカーボン・ナノチューブとする場合、カーボン・ナノチューブの製造方法として、上述したCVD法だけでなく、周知のアーク放電法やレーザアブレーション法といったPVD法を挙げることができる。
カーボン・ナノチューブ構造体をCVD法にて形成する場合、CVD法における原料ガスとして、炭化水素系ガス、あるいは、炭化水素系ガスと水素ガスの組合せを用いることが好ましい。ここで、炭化水素系ガスとして、メタン(CH4)、エタン(C26)、プロパン(C38)、ブタン(C410)、エチレン(C24)、アセチレン(C22)等の炭化水素系ガスやこれらの混合ガス、メタノール、エタノール、アセトン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン等を気化したガスを挙げることができる。また、放電を安定にさせるため及びプラズマCVD法におけるプラズマ解離を促進するために、ヘリウム(He)やアルゴン(Ar)等の希釈用ガスを混合してもよいし、窒素、アンモニア等のドーピングガスを混合してもよい。
本発明の第1の態様に係る製造方法におけるマトリックス材料による電子放出部の埋め込み、あるいは、本発明の第2の態様若しくは第3の態様に係る製造方法におけるマトリックス材料による少なくとも電子放出部の隙間の一部分の埋め込みは、酸化珪素粒子を含有するスラリーの塗布(例えば、ロールコーティング法やスプレーコーティング法、スピンコーティング法に基づく塗布)、乾燥に基づくことが好ましい。
あるいは又、本発明の第1の態様に係る製造方法におけるマトリックス材料による電子放出部の埋め込み、あるいは、本発明の第2の態様若しくは第3の態様に係る製造方法におけるマトリックス材料による少なくとも電子放出部の隙間の一部分の埋め込みにおいては、金属化合物溶液を用いることもできる。即ち、電子放出部上に金属化合物溶液を塗布し、乾燥させて金属化合物を得た後、金属化合物の焼成によって金属酸化物(より好ましくは導電性を有する金属酸化物)から成るマトリックス材料を得ることで、マトリックス材料による電子放出部の埋め込み、あるいは、マトリックス材料による少なくとも電子放出部の一部分の隙間の埋め込みを達成することもできる。このようなマトリックス材料である、金属化合物の焼成によって得られた金属酸化物として、酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウム−錫、酸化亜鉛、酸化インジウム−亜鉛、酸化アンチモン、又は、酸化アンチモン−錫を挙げることができる。ここで、金属化合物は、有機金属化合物から成り、あるいは又、有機酸金属化合物から成り、あるいは又、金属塩(例えば、塩化物、硝酸塩、酢酸塩)から成ることが好ましい。そして、この場合、マトリックス材料の体積抵抗率は、1×10-9Ω・m乃至5×108Ω・m、好ましくは、1×10-8Ω・m乃至5×102Ω・m、一層好ましくは1×10-9Ω・m乃至5×10-6Ω・mであることが望ましい。焼成後、電子放出部の一部分がマトリックス材料に埋め込まれている状態を得ることもできるし(本発明の第2の態様あるいは第3の態様に係る製造方法)、各電子放出部の全体がマトリックス材料に埋め込まれている状態を得ることもできる(本発明の第1の態様〜第3の態様に係る製造方法)。後の工程においてマトリックス材料の一部を除去する必要がある場合があるが、除去方法はマトリックス材料を構成する材料に依存する。電子放出部上への金属化合物溶液の塗布方法として、スプレー法、スピンコーティング法、ロールコーティング法、ディッピング法、ダイクォーター法、スクリーン印刷法を例示することができるが、中でもスプレー法を採用することが塗布の容易性といった観点から好ましい。
金属化合物溶液は、例えば、有機金属化合物溶液や有機酸金属化合物溶液の形態とすることが好ましい。ここで、有機金属化合物溶液として、有機錫化合物(例えばテトラブトキシスズ)、有機インジウム化合物(例えばトリブトキシインジウム)、有機亜鉛化合物、有機アンチモン化合物を有機溶媒(例えば、トルエン、酢酸ブチル、イソプロピルアルコール、エチルアルコール)に溶解したものを例示することができる。また、有機酸金属化合物溶液として、有機錫化合物、有機インジウム化合物、有機亜鉛化合物、有機アンチモン化合物を酸(例えば、塩酸、硝酸、あるいは硫酸)に溶解し、これを有機溶媒(例えば、トルエン、酢酸ブチル、イソプロピルアルコール)で希釈したものを挙げることができる。溶液には、分散剤や界面活性剤が含まれていてもよい。また、場合によっては、有機溶媒の代わりに水を溶媒として用いることもできる。金属化合物の焼成温度は、例えば、金属塩が酸化されて金属酸化物となるような温度、あるいは又、有機金属化合物や有機酸金属化合物が分解して、有機金属化合物や有機酸金属化合物を構成する金属原子を含むマトリックス材料(例えば、金属酸化物)が形成できる温度であればよい。即ち、金属化合物の焼成温度の下限値は、例えば、金属塩が酸化されて金属酸化物となるような温度の下限値、あるいは又、有機金属化合物や有機酸金属化合物が分解して、有機金属化合物や有機酸金属化合物を構成する金属原子を含むマトリックス材料(例えば、金属酸化物)が形成できる温度の下限値である。具体的な焼成温度として、100゜C〜550゜Cを挙げることができるが、支持部材を除去する前の段階での半硬化処理では、支持部材と電子放出層との間の熱膨張係数の差に由来する歪の発生を避けるために、100゜C〜250゜Cとするが好ましく、支持体と電子放出層の接着における焼成段階では、250゜C〜550゜Cとするが好ましい。焼成段階での一層好ましい焼成温度として、300゜C〜500゜Cを挙げることができる。
あるいは又、ダイヤモンド状アモルファスカーボン(DLC)を含有する金属化合物溶液を焼成することで、マトリックス材料を得ることもできる。ダイヤモンド状アモルファスカーボンの形成方法として、CVD法だけでなく、カソディアックカーボン法(例えば、文献 "Properties of filtered-ion-beam-deposited diamondlike carbon as a function of ion energy", P. J. Fallon, et al., Phys. Rev. B 48 (1993), pp 4777-4782 参照)、レーザアブレーション法、スパッタリング法といった各種のPVD法を挙げることができる。ダイヤモンド状アモルファスカーボンには、水素が含有されていてもよいし、窒素やボロン、リン等がドーピングされていてもよい。ここで、ダイヤモンド状アモルファスカーボンは、波長514.5nmのレーザ光を用いたラマン・スペクトルにおいて、波数1400乃至1630cm-1の範囲で半値幅50cm-1以上のピークを有することが好ましい。尚、ピークが1480cm-1より高波数側に存在する場合、波数1330乃至1400cm-1にもう1つピークが存在する場合もある。ダイヤモンド状アモルファスカーボンには、一般のダイヤモンドと同じ結合であるsp3を多く有する(具体的には、例えば20〜90%有する)非晶質炭素だけでなく、クラスターカーボンも包含される。尚、クラスターカーボンに関しては、例えば、"Generation and deposition of fullerene- and nanotube-rich carbon thin films", M. Chhowalla, et al., Phil. Mag. Letts, 75 (1997), pp 329-335 を参照されたい。
本発明の第5の態様に係る製造方法において、電子放出層を形成する方法として、針状の電子放出材料をバインダー材料に分散させたものを支持部材の所望の領域に例えば塗布した後、バインダー材料の焼成あるいは硬化を行う方法を挙げることができる。塗布方法として、スクリーン印刷法やスプレーコーティング法を例示することができる。
この場合、具体的な電子放出層を形成する方法として、針状の電子放出材料が分散された金属化合物溶液を支持部材の所望の領域上に塗布した後、金属化合物を焼成する方法を挙げることができる。このような方法によって、金属化合物を構成する金属原子を含むバインダーにて針状の電子放出材料が支持部材の表面に固定される。バインダーは、導電性を有する金属酸化物から成ることが好ましく、より具体的には、酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウム−錫、酸化亜鉛、酸化インジウム−亜鉛、酸化アンチモン、又は、酸化アンチモン−錫から構成することが好ましい。焼成後、各針状の電子放出材料の一部分がバインダーに埋め込まれている状態を得ることもできるし、各針状の電子放出材料の全体がバインダーに埋め込まれている状態を得ることもできる。バインダーの体積抵抗率は、1×10-9Ω・m乃至5×108Ω・m、好ましくは、1×10-8Ω・m乃至5×102Ω・m、一層好ましくは1×10-9Ω・m乃至5×10-6Ω・mであることが望ましい。尚、金属化合物溶液、あるいは又、金属化合物溶液を構成する金属化合物は、マトリックス材料において説明した金属化合物溶液や導電性を有する金属化合物と同様とすることができる。
溶液を100重量部としたとき、針状の電子放出材料が0.001〜20重量部、金属化合物が0.1〜10重量部、含まれた組成とすることが好ましい。溶液には、分散剤や界面活性剤が含まれていてもよい。また、バインダーの厚さを増加させるといった観点から、金属化合物溶液に、例えばカーボンブラック等の添加物を添加してもよい。また、場合によっては、有機溶媒の代わりに水を溶媒として用いることもできる。針状の電子放出材料が分散された金属化合物溶液を支持部材上に塗布する方法として、スプレー法、スピンコーティング法、ロールコーティング法、ディッピング法、ダイクォーター法、スクリーン印刷法を例示することができるが、中でもスプレー法を採用することが塗布の容易性といった観点から好ましい。
針状の電子放出材料が分散された金属化合物溶液を支持部材上に塗布した後、金属化合物溶液を乾燥させて金属化合物層を形成し、次いで、支持部材上の金属化合物層の不要部分を除去した後、金属化合物を焼成してもよいし、金属化合物を焼成した後、支持部材上の不要部分を除去してもよいし、支持部材の所望の領域上にのみ針状の電子放出材料が分散された金属化合物溶液を塗布してもよい。針状の電子放出材料が分散された金属化合物の焼成温度は、例えば、金属塩が酸化されて導電性を有する金属酸化物となるような温度、あるいは又、有機金属化合物や有機酸金属化合物が分解して、有機金属化合物や有機酸金属化合物を構成する金属原子を含むバインダー(例えば、導電性を有する金属酸化物)が形成できる温度であればよく、具体的な焼成温度として、100゜C〜550゜Cを挙げることができるが、支持部材を除去する前の段階での半硬化処理では、支持部材と電子放出層との間の熱膨張係数の差に由来する歪の発生を避けるために、100゜C〜250゜Cとすることが好ましく、支持体と電子放出層の接着における焼成段階では、250゜C〜550゜Cとすることが好ましい。焼成段階での一層好ましい焼成温度として、300゜C〜500゜Cを挙げることができる。
本発明の製造方法にあっては、接着層は、導電性を有する金属酸化物から成ることが好ましい。接着層を構成する材料は、より具体的には、例えば、上述したマトリックス材料やバインダーを構成する材料とすることができる。接着層の形成方法や、接着層による接着の方法は、使用する接着層を構成する材料に適した方法とすればよい。
本発明の製造方法にあっては、支持部材は、金属薄板(金属箔や金属シート)又は合金薄板(合金箔や合金シート)から成ることが好ましい。ここで、金属として、銅(Cu)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ニッケル(NI)、アルミニウム(Al)を例示することができ、また、合金として、これらの金属の少なくとも1種を主成分とする合金(例えば黄銅やFe−Ni合金)を挙げることができる。また、本発明の第5の態様に係る製造方法にあっては、支持部材を、樹脂(プラスチックス)、より具体的には、例えば、ノルボルネン系樹脂(例えば、JSR株式会社製の商品名アートン)、シクロオレフィンポリマー(例えば、日本ゼオン株式会社製の商品名ゼオノア)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)及びポリカーボネートから成る群から選択された材料から構成することもできる。支持部材の除去方法あるいはエッチング方法は、支持部材を構成する材料に適した方法とすればよい。尚、樹脂から成り、表面に凹部を有する支持部材は、成形によって得ることができるし、あるいは又、樹脂フィルムの製造時にその表面に凹部を形成することで得ることができる。樹脂から成る支持部材の除去の際に電子放出材料に損傷が発生しないように、凹部を有する支持部材の表面に、例えば、SiO2層を形成しておいてもよい。
本発明の第1の態様〜第4の態様に係る製造方法において、触媒層は、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、イットリウム(Y)及びランタン(La)から成る群から選択された少なくとも1種類の元素を含むことが、即ち、これらの純金属から成る層、あるいは、Fe−NiやFe−Coといった合金から成る層から構成されていることが、望ましい。更には、Ta−Ni、Cr−Ni、Mo−Ni、Ti−Ni、Zr−Ni等の触媒作用が認められないか、認められても極めて少ない合金や金属中に触媒作用を有する上記の金属を合金化させた合金を用いることもできる。また、触媒層として、SiO2とNiのターゲットを用いて、あるいは又、SiO中にNiを分散させたターゲットを用いて形成された、Ni稀薄濃度を有するNi分散SiO2層を用いることも可能である。尚、Ni分散SiO2層の成膜時、酸素ガスを添加すること無く、アルゴンガス等のガスの単独雰囲気中で成膜を行えばよい。
触媒層の形成方法として、PVD法や、メッキ法(電気メッキ法及び無電解メッキ法を含む)、CVD法、イオン注入法を挙げることができる。PVD法として、(1)電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着等の各種真空蒸着法、(2)プラズマ蒸着法、(3)2極スパッタリング法、直流スパッタリング法、直流マグネトロンスパッタリング法、高周波スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、バイアススパッタリング法等の各種スパッタリング法、(4)DC(direct current)法、RF法、多陰極法、活性化反応法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレーティング法、を挙げることができる。
あるいは又、触媒層を形成する方法として、例えば、触媒層を形成すべき支持部材の領域以外の領域を適切な材料(例えば、マスク層)で被覆した状態で、溶媒と金属粒子から成る層を触媒層を形成すべき支持部材の部分の表面に形成した後、溶媒を除去し、金属粒子を残す方法を挙げることができる。あるいは又、触媒層を形成する方法として、例えば、触媒層を形成すべき支持部材の領域以外の領域を適切な材料(例えば、マスク層)で被覆した状態で、金属粒子を構成する金属原子を含む金属化合物粒子を支持部材の表面に付着させた後、金属化合物粒子を加熱することによって分解し、以て、触媒層(一種の金属粒子の集まりである)を支持部材の表面上に形成する方法を挙げることができる。この場合、具体的には、溶媒と金属化合物粒子から成る層を触媒層を形成すべき支持部材の部分の表面に形成した後、溶媒を除去し、金属化合物粒子を残す方法を例示することができる。金属化合物粒子は、触媒層を構成する金属のハロゲン化物(例えば、ヨウ化物、塩化物、臭化物等)、酸化物、水酸化物及び有機金属から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成ることが好ましい。
あるいは又、触媒層を有機金属化合物薄膜から構成することもできる。この場合、有機金属化合物薄膜は、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、ニッケル(Ni)及びコバルト(Co)から成る群から選択された少なくとも1種の元素を含有して成る有機金属化合物から構成されている形態とすることができ、更には、錯化合物から構成されていることが好ましい。ここで、錯化合物を構成する配位子として、アセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、ジピバロイルメタネート、シクロペンタジエニルを例示することができる。尚、形成された有機金属化合物薄膜には、有機金属化合物の分解物が一部含まれていてもよい。有機金属化合物薄膜から成る触媒層を形成する工程は、有機金属化合物溶液から成る層を触媒層を形成すべき支持部材の部分の上に成膜する工程から構成することができ、あるいは又、有機金属化合物を昇華させた後、かかる有機金属化合物を触媒層を形成すべき支持部材の部分の上に堆積させる工程から構成することができる。
触媒層は、カソード電極の幅に対応する支持部材の領域に形成してもよいし、ゲート電極の射影像とカソード電極の射影像とが重複する領域と対応する支持部材の部分の表面に形成してもよいし、ゲート電極の射影像とカソード電極の射影像とが重複する領域におけるゲート電極の部分及び絶縁層の部分に形成された開口部の位置と対応する支持部材の部分の表面に形成してもよい。
触媒層の除去方法は、触媒層を構成する材料に適した方法とすればよい。
触媒層の大きさや形状、触媒層の単位面積当たりにおける活性点(カーボン・ナノチューブ構造体等が生成し始める触媒層における部位)の数を制御することで、カソード電極の単位面積当たりの電子放出部の数を制御することが可能である。
触媒層が形成された支持部材を例えばフッ酸等の酸や塩基に浸漬することで触媒層の表面から自然酸化膜を除去すれば、安定して電子放出部を形成することができる。自然酸化膜の除去は、その他、例えば、水素ガス雰囲気におけるマイクロ波プラズマ法、トランス結合型プラズマ法、誘導結合型プラズマ法、電子サイクロトロン共鳴プラズマ法、RFプラズマ法等に基づくプラズマ還元処理、アルゴンガス雰囲気におけるスパッタリング処理に基づき行うこともできる。
尚、支持部材の表面に、直接、触媒層を形成した場合、触媒層を構成する金属原子が支持部材中に拡散する場合がある。このような現象が発生すると、触媒の濃度が変化してしまい、安定した電子放出部の形成が困難になる場合がある。このような場合には、支持部材の表面と触媒層との間に拡散防止層を形成しておくことが好ましい。拡散防止層として、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜を例示することができる。
本発明の製造方法にあっては、電子放出部あるいは電子放出層の形成後、電子放出部あるいは電子放出層の表面の一種の活性化処理(洗浄処理)を行うことが、電子放出部からの電子の放出効率の一層の向上といった観点から好ましい。このような処理として、水素ガス、アンモニアガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、ネオンガス、メタンガス、エチレンガス、アセチレンガス、窒素ガス等のガス雰囲気中でのプラズマ処理を挙げることができる。
本発明の製造方法にあっては、電子放出部あるいは電子放出層の形成後、電子放出部の表面あるいは電子放出部が形成されなかった支持部材の部分に薄いアモルファス状の炭素薄膜が堆積している場合がある。特に、電子放出部の表面にアモルファス状の炭素薄膜が堆積すると、電子放出部からの電子の放出が阻害される虞がある。このような場合には、電子放出部あるいは電子放出層の形成後、水素ガス雰囲気中でのプラズマ処理を行うことによって、アモルファス状の炭素薄膜を除去することが望ましい。
本発明の製造方法にあっては、電子放出層は、開口部の底部に位置するカソード電極の部分の表面に形成されていればよく、開口部の底部に位置するカソード電極の部分から開口部の底部以外のカソード電極の部分の表面に延在するように形成されていてもよい。
本発明の製造方法において、第1の方向と第2の方向は直交していることが(即ち、カソード電極の射影像とゲート電極の射影像とは直交していることが)、係る冷陰極電界電子放出素子を組み込んだ冷陰極電界電子放出表示装置の構造の簡素化といった観点から好ましい。
ゲート電極や絶縁層に設けられた開口部の平面形状(支持体表面と平行な仮想平面で開口部を切断したときの形状)は、円形、楕円形、矩形、多角形、丸みを帯びた矩形、丸みを帯びた多角形等、任意の形状とすることができる。開口部の形成は、例えば、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができ、あるいは又、ゲート電極の形成方法に依っては、ゲート電極に開口部を直接形成することもできる。絶縁層や層間絶縁層(後述する)における開口部の形成も、例えば、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができる。
本発明の製造方法によって得られた冷陰極電界電子放出素子に基づき、冷陰極電界電子放出表示装置を得ることができる。ここで、冷陰極電界電子放出表示装置は、カソードパネルとアノードパネルとがそれらの周縁部で接合されて成る。
カソードパネルは、具体的には、
(a)支持体、
(b)支持体上に形成され、第1の方向に延びる複数のストライプ状のカソード電極、
(c)支持体及びカソード電極上に形成された絶縁層、
(d)絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に延びる複数のストライプ状のゲート電極、
(e)カソード電極とゲート電極との重複領域(電子放出領域)におけるゲート電極の部分及び絶縁層の部分に設けられた、1又は複数の開口部、並びに、
(f)開口部の底部に位置するカソード電極の部分に形成された電子放出層、
を備えている。
一方、アノードパネルは、基板、並びに、該基板上に形成された、各電子放出領域に対応して設けられた蛍光体領域及びアノード電極から構成されている。
冷陰極電界電子放出表示装置にあっては、カソード電極及びゲート電極に印加された電圧によって生じた強電界が電子放出部あるいは電子放出材料に加わる結果、量子トンネル効果により電子放出層を構成する電子放出部あるいは電子放出材料から電子が放出される。そして、この電子は、アノードパネルに設けられたアノード電極に引き付けられ、蛍光体領域に衝突する。そして、蛍光体領域への電子の衝突の結果、蛍光体領域が発光し、画像として認識することができる。カソード電極の射影像とゲート電極の射影像とが重複する領域(重複領域)に設けられ、あるいは、位置する1又は複数の電子放出層によって、電子放出領域が構成される。
本発明の製造方法における支持体、より具体的には、本発明の製造方法によって得られた冷陰極電界電子放出素子を備えた冷陰極電界電子放出表示装置におけるカソードパネルを構成する支持体、及び、アノードパネルを構成する基板は、少なくとも表面が絶縁性部材から構成されていればよく、無アルカリガラス基板、低アルカリガラス基板、石英ガラス基板といった各種のガラス基板、表面に絶縁膜が形成された各種のガラス基板、石英基板、表面に絶縁膜が形成された石英基板、表面に絶縁膜が形成された半導体基板を挙げることができるが、製造コスト低減の観点からは、ガラス基板、あるいは、表面に絶縁膜が形成されたガラス基板を用いることが特に好ましい。ガラス基板を構成するガラスとして、より具体的には、高歪点ガラス、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)、硼珪酸ガラス(Na2O・B23・SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)を例示することができる。
冷陰極電界電子放出表示装置を構成するカソードパネルにおけるカソード電極やゲート電極、収束電極(後述する)を構成する材料として、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)及び亜鉛(Zn)から成る群から選択された少なくとも1種類の金属;これらの金属元素を含む合金あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンド等の炭素薄膜;ITO(酸化インジウム−錫)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。また、カソード電極やゲート電極、収束電極の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング法、CVD法やイオンプレーティング法とエッチング法との組合せ;スクリーン印刷法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル−ゲル法等を挙げることができる。スクリーン印刷法やメッキ法によれば、直接、例えばストライプ状のカソード電極やゲート電極、収束電極を形成することが可能である。
絶縁層や層間絶縁層(後述する)の構成材料として、SiO2、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SiN、SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガラス、ガラスペーストといったSiO2系材料、SiN系材料、を、単独あるいは適宜組み合わせて使用することができる。絶縁層や後述する層間絶縁層の形成には、塗布法、CVD法、スパッタリング法、スクリーン印刷法等の公知のプロセスが利用できる。
本発明の製造方法に基づき、ゲート電極及び絶縁層上には更に層間絶縁層が設けられ、層間絶縁層上に収束電極が設けられている冷陰極電界電子放出素子、あるいは又、ゲート電極の上方に収束電極が設けられている冷陰極電界電子放出素子を製造することもできる。ここで、収束電極とは、開口部から放出されアノード電極へ向かう放出電子の軌道を収束させ、以て、輝度の向上や隣接画素間の光学的クロストークの防止を可能とするための電極である。アノード電極とカソード電極との間の電位差が数キロボルトのオーダーであって、アノード電極とカソード電極との間の距離が比較的長い、所謂高電圧タイプの冷陰極電界電子放出表示装置において、収束電極は特に有効である。収束電極には、収束電極制御回路から相対的な負電圧が印加される。収束電極は、必ずしも各冷陰極電界電子放出素子毎に設けられている必要はなく、例えば、冷陰極電界電子放出素子の所定の配列方向に沿って延在させることにより、複数の冷陰極電界電子放出素子に共通の収束効果を及ぼすこともできる。
カソード電極と電子放出層との間に抵抗体層を設けてもよい。抵抗体層を設けることによって、冷陰極電界電子放出素子の動作安定化、電子放出特性の均一化を図ることができる。抵抗体層を構成する材料として、シリコンカーバイド(SiC)やSiCNといったカーボン系材料;SiN;アモルファスシリコン等の半導体材料;酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル、窒化タンタル等の高融点金属酸化物を例示することができる。抵抗体層の形成方法として、スパッタリング法や、CVD法やスクリーン印刷法を例示することができる。抵抗値は、概ね1×105〜1×107Ω、好ましくは数MΩとすればよい。
アノードパネルにおいて、電子放出部から放出された電子が先ず衝突する部位は、アノードパネルの構造に依るが、アノード電極であり、あるいは又、蛍光体領域である。蛍光体領域は、単色の蛍光体粒子から構成されていても、3原色の蛍光体粒子から構成されていてもよい。
蛍光体領域の平面形状(パターン)は、画素(発光領域)に対応して、ドット状であってもよいし、ストライプ状であってもよい。蛍光体領域が隔壁の間に形成されている場合、隔壁で取り囲まれたアノードパネルを構成する基板の部分の上に蛍光体領域が形成されている。
隔壁は、蛍光体領域から反跳した電子、あるいは、蛍光体領域から放出された二次電子が他の蛍光体領域に入射し、所謂光学的クロストーク(色濁り)が発生することを防止する機能を有する。あるいは又、蛍光体領域から反跳した電子、あるいは、蛍光体領域から放出された二次電子が隔壁を越えて他の蛍光体領域に向かって侵入したとき、これらの電子が他の蛍光体領域と衝突することを防止する機能を有する。隔壁の平面形状としては、格子形状(井桁形状)、即ち、1画素に相当する、例えば平面形状が略矩形(ドット状)の蛍光体領域の四方を取り囲む形状を挙げることができ、あるいは、略矩形あるいはストライプ状の蛍光体領域の対向する二辺と平行に延びる帯状形状あるいはストライプ形状を挙げることができる。隔壁を格子形状とする場合、1つの蛍光体領域の領域の四方を連続的に取り囲む形状としてもよいし、不連続に取り囲む形状としてもよい。隔壁を帯状形状あるいはストライプ形状とする場合、連続した形状としてもよいし、不連続な形状としてもよい。隔壁を形成した後、隔壁を研磨し、隔壁の頂面の平坦化を図ってもよい。
冷陰極電界電子放出表示装置にあっては、アノードパネルとカソードパネルとによって挟まれた空間が真空状態となっているが故に、アノードパネルとカソードパネルとの間にスペーサを配しておかないと、大気圧によって冷陰極電界電子放出表示装置が損傷を受けてしまう虞がある。係るスペーサは、例えばセラミックスから構成することができる。スペーサをセラミックスから構成する場合、セラミックスとして、ムライトやアルミナ、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ジルコニア、コーディオライト、硼珪酸塩バリウム、珪酸鉄、ガラスセラミックス材料、これらに、酸化チタンや酸化クロム、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化ニッケルを添加したもの等を例示することができる。この場合、所謂グリーンシートを成形して、グリーンシートを焼成し、かかるグリーンシート焼成品を切断することによってスペーサを製造することができる。また、スペーサの表面に、金属や合金から成る導電材料層を形成し、あるいは又、抵抗体層を形成し、あるいは又、二次電子放出係数の低い材料から成る薄層を形成してもよい。スペーサは、例えば、隔壁と隔壁との間に挟み込んで固定すればよく、あるいは又、例えば、アノードパネルにスペーサ保持部を形成し、スペーサ保持部とスペーサ保持部との間に挟み込んで固定すればよい。
蛍光体領域からの光を吸収する光吸収層が隔壁と基板との間に形成されていることが、表示画像のコントラスト向上といった観点から好ましい。ここで、光吸収層は、所謂ブラックマトリックスとして機能する。光吸収層を構成する材料として、蛍光体領域からの光を99%以上吸収する材料を選択することが好ましい。このような材料として、カーボン、金属薄膜(例えば、クロム、ニッケル、アルミニウム、モリブデン等、あるいは、これらの合金)、金属酸化物(例えば、酸化クロム)、金属窒化物(例えば、窒化クロム)、耐熱性有機樹脂、ガラスペースト、黒色顔料や銀等の導電性粒子を含有するガラスペースト等の材料を挙げることができ、具体的には、感光性ポリイミド樹脂、酸化クロムや、酸化クロム/クロム積層膜を例示することができる。尚、酸化クロム/クロム積層膜においては、クロム膜が基板と接する。光吸収層は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法とエッチング法との組合せ、真空蒸着法やスパッタリング法、スピンコーティング法とリフトオフ法との組合せに、スクリーン印刷法、リソグラフィ技術等、使用する材料に依存して適宜選択された方法にて形成することができる。尚、スペーサ保持部や隔壁をアノード電極上に形成する場合、光吸収層を、基板とアノード電極との間に形成してもよいし、アノード電極とスペーサ保持部との間に形成してもよい。
蛍光体領域は、発光性結晶粒子(例えば、粒径5〜10nm程度の蛍光体粒子)から調製された発光性結晶粒子組成物を使用し、例えば、赤色の感光性の発光性結晶粒子組成物(赤色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、赤色発光蛍光体領域を形成し、次いで、緑色の感光性の発光性結晶粒子組成物(緑色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、緑色発光蛍光体領域を形成し、更に、青色の感光性の発光性結晶粒子組成物(青色蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、青色発光蛍光体領域を形成する方法にて形成することができる。
発光性結晶粒子を構成する蛍光体材料としては、従来公知の蛍光体材料の中から適宜選択して用いることができる。カラー表示の場合、色純度がNTSCで規定される3原色に近く、3原色を混合した際の白バランスがとれ、残光時間が短く、3原色の残光時間がほぼ等しくなる蛍光体材料を組み合わせることが好ましい。赤色発光蛍光体領域を構成する蛍光体材料として、(Y23:Eu)、(Y22S:Eu)、(Y3Al512:Eu)、(YBO3:Eu)、(YVO4:Eu)、(Y2SiO5:Eu)、(Y0.960.600.404:Eu0.04)、[(Y,Gd)BO3:Eu]、(GdBO3:Eu)、(ScBO3:Eu)、(3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)、(Zn3(PO42:Mn)、(LuBO3:Eu)、(SnO2:Eu)を例示することができる。緑色発光蛍光体領域を構成する蛍光体材料として、(ZnSiO2:Mn)、(BaAl1219:Mn)、(BaMg2Al1627:Mn)、(MgGa24:Mn)、(YBO3:Tb)、(LuBO3:Tb)、(Sr4Si38Cl4:Eu)、(ZnS:Cu,Al)、(ZnS:Cu,Au,Al)、(ZnBaO4:Mn)、(GbBO3:Tb)、(Sr6SiO3Cl3:Eu)、(BaMgAl1423:Mn)、(ScBO3:Tb)、(Zn2SiO4:Mn)、(ZnO:Zn)、(Gd22S:Tb)、(ZnGa24:Mn)を例示することができる。青色発光蛍光体領域を構成する蛍光体材料として、(Y2SiO5:Ce)、(CaWO4:Pb)、CaWO4、YP0.850.154、(BaMgAl1423:Eu)、(Sr227:Eu)、(Sr227:Sn)、(ZnS:Ag,Al)、(ZnS:Ag)、ZnMgO、ZnGaO4を例示することができる。
アノード電極の構成材料は、冷陰極電界電子放出表示装置の構成によって適宜選択すればよい。即ち、冷陰極電界電子放出表示装置が透過型(アノードパネルが表示面に相当する)であって、且つ、アノードパネルを構成する基板上にアノード電極と蛍光体領域がこの順に積層されている場合には、基板は元より、アノード電極自身も透明である必要があり、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電材料を用いる。一方、冷陰極電界電子放出表示装置が反射型(カソードパネルが表示面に相当する)である場合、及び、透過型であっても基板上に蛍光体領域とアノード電極とがこの順に積層されている場合には、ITOの他、アルミニウム(Al)あるいはクロム(Cr)を用いることができる。アルミニウム(Al)あるいはクロム(Cr)からアノード電極を構成する場合、アノード電極の厚さとして、具体的には、3×10-8m(30nm)乃至1.5×10-7m(150nm)、好ましくは5×10-8m(50nm)乃至1×10-7m(100nm)を例示することができる。アノード電極は、蒸着法やスパッタリング法にて形成することができる。尚、後者の場合、アノード電極は、蛍光体領域からの発光を反射させる反射膜としての機能の他、蛍光体領域から反跳した電子、あるいは放出された二次電子を反射させる反射膜としての機能、蛍光体領域の帯電防止といった機能を有する。
冷陰極電界電子放出表示装置において、アノード電極は、有効領域を覆う1枚のシート状の形状を有する構成とすることもできるし、2以上の複数個のアノード電極ユニットの集合体から構成することもできる。各アノード電極ユニットの大きさは、アノード電極ユニットの位置に拘わらず同じとしてもよいし、アノード電極ユニットの位置に依存して異ならせてもよい。
アノード電極と蛍光体領域の構成例として、(1)基板上に、アノード電極を形成し、アノード電極の上に蛍光体領域を形成する構成、(2)基板上に、蛍光体領域を形成し、蛍光体領域上にアノード電極を形成する構成、を挙げることができる。尚、(1)の構成において、蛍光体領域の上に、アノード電極と導通した所謂メタルバック膜を形成してもよい。また、(2)の構成において、アノード電極の上にメタルバック膜を形成してもよい。
カソードパネルとアノードパネルとを周縁部において接合する場合、接合は接合層を用いて行ってもよいし、あるいは、ガラスやセラミックス等の絶縁剛性材料から成る枠体と接合層とを併用して行ってもよい。枠体と接合層とを併用する場合には、枠体の高さを適宜選択することにより、接合層のみを使用する場合に比べ、カソードパネルとアノードパネルとの間の対向距離をより長く設定することが可能である。尚、接合層の構成材料としては、フリットガラスが一般的であるが、融点が120〜400゜C程度の所謂低融点金属材料を用いてもよい。かかる低融点金属材料としては、In(インジウム:融点157゜C);インジウム−金系の低融点合金;Sn80Ag20(融点220〜370゜C)、Sn95Cu5(融点227〜370゜C)等の錫(Sn)系高温はんだ;Pb97.5Ag2.5(融点304゜C)、Pb94.5Ag5.5(融点304〜365゜C)、Pb97.5Ag1.5Sn1.0(融点309゜C)等の鉛(Pb)系高温はんだ;Zn95Al5(融点380゜C)等の亜鉛(Zn)系高温はんだ;Sn5Pb95(融点300〜314゜C)、Sn2Pb98(融点316〜322゜C)等の錫−鉛系標準はんだ;Au88Ga12(融点381゜C)等のろう材(以上の添字は全て原子%を表す)を例示することができる。
基板と支持体と枠体の三者を接合する場合、三者同時接合を行ってもよいし、あるいは、第1段階で基板又は支持体のいずれか一方と枠体とを先に接合し、第2段階で基板又は支持体の他方と枠体とを接合してもよい。三者同時接合や第2段階における接合を真空雰囲気中で行えば、基板と支持体と枠体と接合層とにより囲まれた空間は、接合と同時に真空となる。あるいは、三者の接合終了後、基板と支持体と枠体と接合層とによって囲まれた空間を排気し、真空とすることもできる。接合後に排気を行う場合、接合時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいずれであってもよく、また、雰囲気を構成する気体は、大気であっても、あるいは窒素ガスや周期律表0族に属するガス(例えばArガス)を含む不活性ガスであってもよい。
接合後に排気を行う場合、排気は、基板及び/又は支持体に予め接続されたチップ管を通じて行うことができる。チップ管は、典型的にはガラス管を用いて構成され、基板及び/又は支持体の無効領域(即ち、表示部分として機能する有効領域以外の領域)に設けられた貫通孔の周囲に、フリットガラス又は上述の低融点金属材料を用いて接合され、空間が所定の真空度に達した後、熱融着によって封じ切られる。尚、封じ切りを行う前に、冷陰極電界電子放出表示装置全体を一旦加熱してから降温させると、空間に残留ガスを放出させることができ、この残留ガスを排気により空間外へ除去することができるので好適である。
冷陰極電界電子放出表示装置において、カソード電極はカソード電極制御回路に接続され、ゲート電極はゲート電極制御回路に接続され、アノード電極はアノード電極制御回路に接続されている。尚、これらの制御回路は周知の回路から構成することができる。アノード電極制御回路の出力電圧VAは、通常、一定であり、例えば、5キロボルト〜10キロボルトとすることができる。一方、カソード電極に印加する電圧VC及びゲート電極に印加する電圧VGに関しては、階調制御方式として電圧変調方式を採用した場合、
(1)カソード電極に印加する電圧VCを一定とし、ゲート電極に印加する電圧VGを変化させる方式
(2)カソード電極に印加する電圧VCを変化させ、ゲート電極に印加する電圧VGを一定とする方式
(3)カソード電極に印加する電圧VCを変化させ、且つ、ゲート電極に印加する電圧VGも変化させる方式がある。
本発明の第1の態様〜第4の態様に係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法にあっては、支持部材の表面に形成された触媒層上に化学的気相成長法(CVD法)にて針状の電子放出部を形成する。ところで、支持部材と支持体とは、別の部材である。従って、冷陰極電界電子放出表示装置の構成部材である支持体としてたとえガラス基板を使用するとしても、針状の電子放出部を形成すべき下地に相当する支持部材として、ガラス基板以外の例えば600゜C以上の温度に耐え得る部材を使用することが可能となる。即ち、電子放出部形成のための最適条件から逸脱した条件で電子放出部を形成する必要が無くなる。しかも、触媒層上にCVD法にて針状の電子放出部を形成するので、触媒層の表面上に出来るだけ垂直に配置されるように針状の電子放出部を形成することが可能となる。更には、電子放出部それ自体の構造的欠陥の減少を図ることができる。その結果、高い電子放出効率を達成し得る電子放出層を得ることができる。
また、本発明の第1の態様〜第3の態様に係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法にあっては、電子放出部がマトリックス材料によって埋め込まれた状態、あるいは、少なくとも電子放出部の隙間の一部分がマトリックス材料によって埋め込まれた状態を得ることができるので、即ち、マトリックス材料によって電子放出部が保護された状態を得ることができるので、電子放出層上に絶縁層を形成したり、絶縁層に開口部を形成するときに、電子放出部に損傷が発生し難い。
本発明の第5の態様に係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法にあっては、凹部が形成された支持部材の表面に針状の電子放出材料を含む電子放出層を形成する。その結果、多くの針状の電子放出材料が、その軸線がアノード電極に向かう状態に配置された電子放出層を得ることが可能となるが故に、高い電子放出効率を達成し得る電子放出層を得ることができる。また、冷陰極電界電子放出表示装置の構成部材である支持体として例えばガラス基板を使用することができる。
従って、本発明の製造方法により、冷陰極電界電子放出表示装置の輝度の向上を図ることができるし、大面積で、しかも均一な輝度の冷陰極電界電子放出表示装置を安価に製造することが可能となる。また、冷陰極電界電子放出表示装置を構成するカソードパネルをガラス基板から作製することが可能となるし、安価に提供されるカーボン・ナノチューブ構造体等を使用して冷陰極電界電子放出表示装置を製造することができる。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明の第1の態様に係る冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略称する)の製造方法に関する。
以下、先ず、冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と略称する場合がある)の概要を説明する。実施例1の表示装置の模式的な一部端面図を図4に示し、カソードパネルCPとアノードパネルAPを分解したときの模式的な部分的斜視図を図5に示す。更には、蛍光体領域等の配列を、模式的な部分的平面図として、図14〜図17に例示する。尚、アノードパネルAPの模式的な一部端面図における蛍光体領域等の配列を、図16あるいは図17に示す構成としている。
実施例1における表示装置は、カソードパネルCPとアノードパネルAPとがそれらの周縁部で接合されて成り、カソードパネルCPとアノードパネルAPとによって挟まれた空間は真空状態とされている。
そして、カソードパネルCPに設けられた電界放出素子は、
(a)支持体10上に形成され、第1の方向(図4の紙面と平行な方向であり、矢印A−Aで示す)に延びるストライプ状のカソード電極11、
(b)支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12、
(c)絶縁層12上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向(図4の紙面に対して垂直な方向)に延びるストライプ状のゲート電極13、
(d)ゲート電極13とカソード電極11とが重複する領域におけるゲート電極13及び絶縁層12に設けられた開口部14、並びに、
(e)開口部14の底部に位置するカソード電極11上に形成された電子放出層43、
から構成されている。
ここで、カソード電極11とゲート電極13とは、これらの両電極の射影像が互いに直交する方向に各々ストライプ状に形成されており、これらの両電極の射影像が重複する領域(1画素分の領域に相当する。この領域を、以下、重複領域あるいは電子放出領域EAと呼ぶ)に、通常、複数の電界放出素子が配列されている。更に、かかる重複領域が、カソードパネルCPの有効領域(実際の表示部分として機能する領域)内に、通常、2次元マトリックス状に配列されている。
一方、アノードパネルAPは、基板20、並びに、この基板20上に形成された、各電子放出領域EAに対応して設けられた蛍光体領域22(カラー表示の場合、赤色発光蛍光体領域22R、緑色発光蛍光体領域22G、青色発光蛍光体領域22B)、及び、蛍光体領域22を覆うアノード電極24から構成されている。
より具体的には、アノードパネルAPは、基板20、基板20上に形成された隔壁21と隔壁21との間の基板20上に形成され、多数の蛍光体粒子から成る蛍光体領域22(赤色発光蛍光体領域22R、緑色発光蛍光体領域22G、青色発光蛍光体領域22B)、及び、蛍光体領域22上に形成されたアノード電極24を備えている。アノード電極24は、有効領域を覆う薄い1枚のシート状である。アノード電極24は、厚さ約70nmのアルミニウムから成り、隔壁21を覆う状態で設けられている。蛍光体領域22と蛍光体領域22との間であって、隔壁21と基板20との間には、光吸収層(ブラックマトリックス)23が形成されている。隔壁21とスペーサ25と蛍光体領域22の配置状態の一例を模式的に図14〜図17に示す。図14及び図15に示す例においては、格子形状(井桁形状)の隔壁21が形成されており、蛍光体領域22(赤色発光蛍光体領域22R、緑色発光蛍光体領域22G、青色発光蛍光体領域22B)の形状はドット状である。一方、図16及び図17に示す例においては、隔壁21の平面形状は、略矩形の蛍光体領域22の対向する二辺と平行に延びる帯状形状(ストライプ形状)を有する。尚、蛍光体領域22を、図14あるいは図16の上下方向に延びるストライプ状とすることもできる。
カソード電極11の射影像とゲート電極13の射影像とが重複する領域(重複領域)に位置する電子放出層43によって、電子放出領域EAが構成されている。そして、図5にカソードパネルCP及びアノードパネルAPの模式的な部分的斜視図を示すように、1画素分の領域に相当する電子放出領域EAが、カソードパネルCPの有効領域内に、2次元マトリクス状に配列されている。発光領域(1画素あるいは1サブピクセル)は、カソードパネル側の電子放出領域EAと、この電子放出領域EAに対面したアノードパネル側の蛍光体領域22とによって構成されている。有効領域には、かかる発光領域(画素あるいはサブピクセル)が、例えば数十万〜数百万個ものオーダーにて配列されている。そして、カソード電極11とゲート電極13とに印加された電圧によって生じた強電界が電子放出層43に加わる結果、量子トンネル効果により電子放出層43を構成する電子放出部41から電子が放出され、アノード電極24と衝突する。尚、図5においては、隔壁21やスペーサ25の図示を省略している。また、図4においては、後述する接着層や触媒層の図示を省略している。
実施例1の表示装置においては、図4に示すように、カソード電極11はカソード電極制御回路50に接続され、ゲート電極13はゲート電極制御回路51に接続され、アノード電極24はアノード電極制御回路52に接続されている。そして、カソード電極11には相対的な負電圧がカソード電極制御回路50から印加され、ゲート電極13には相対的な正電圧がゲート電極制御回路51から印加され、アノード電極24にはゲート電極13よりも更に高い正電圧がアノード電極制御回路52から印加される。かかる表示装置において表示を行う場合、例えば、カソード電極11にカソード電極制御回路50から走査信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路51からビデオ信号を入力する。あるいは又、カソード電極11にカソード電極制御回路50からビデオ信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路51から走査信号を入力する。カソード電極11とゲート電極13との間に電圧を印加した際に生ずる電界により、量子トンネル効果に基づき電子放出層43から電子が放出され、この電子がアノード電極24に引き付けられ、蛍光体領域22に衝突する。その結果、蛍光体領域22が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。つまり、この表示装置の動作は、基本的に、ゲート電極13に印加される電圧、及びカソード電極11を通じて電子放出層43に印加される電圧によって制御される。
以下、支持部材や支持体等の模式的な一部断面図である図1の(A)〜(C)、図2の(A)、(B)、並びに、図3の(A)〜(C)を参照して、実施例1の電界放出素子の製造方法を説明する。
[工程−100]
予め、第1の方向(図2の(B)の矢印A−Aの方向)に延びるカソード電極11が表面に形成された支持体10を準備しておく。具体的には、例えばガラス基板から成る支持体10上にアルミニウム層とTi層の積層構造から成る導電材料層を形成し、次いで、周知のリソグラフィ技術及び反応性イオンエッチング法(RIE法)に基づき導電材料層をパターニングすることによって、第1の方向に延びるストライプ形状のカソード電極11を得ることができる。その後、カソード電極11とカソード電極11との間に露出した支持体10を覆うマスクを用いて、ストライプ形状のカソード電極11の表面にITO含有導電性スラリーをスプレー塗布することで、カソード電極11上に金属酸化物である酸化インジウム−錫(ITO)から成る接着層44を形成する。尚、この状態においては、接着層44は一種の湿潤状態(未乾燥状態)にある。こうして、図2の(B)の下側に示す構成を得ることができる。ITO含有導電性スラリーとして、例えば株式会社高純度化学研究所製のITO−05Sを用いることができる。
[工程−110]
一方、例えば厚さ0.1mmの電解銅箔から成る銅薄板から構成された支持部材30に対して700゜Cにてアニール処理を施して歪取りを行い、鏡面状の表面を有する支持部材30を得る。そして、この支持部材30の表面に、酸化シリコン(SiOxであり、xの値は1〜1.8程度が望ましい)から成る厚さ約1.5μmの拡散防止層31を反応性スパッタリング法にて形成する。次いで、拡散防止層31上に、カーボン・ナノチューブ40をプラズマCVD法にて形成するときの触媒層32として機能する厚さ0.1μmのニッケル(Ni)層をスパッタリング法にて形成する。その後、触媒層32をカソード電極11の幅及びピッチ(それぞれ、約100μm乃至約300μm)に対応して、ストライプ状にパターニングする。こうして、図1の(A)に示す構成を得ることができる。尚、ストライプ状の触媒層32は、図1の(A)の矢印A−Aの方向に延びている。ストライプ状の触媒層32を、所謂リフトオフ法にて形成することもできる。
ここで、拡散防止層31は、触媒層32を構成するニッケル原子が、銅薄板から成る支持部材30中に拡散することを防止するために形成する。拡散防止層31を、その他、Ar−N2混合ガスやAr−N2−O2混合ガスを用いた反応性スパッタリング法により成膜したSi34等の窒化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜(SiON膜)から構成することもできる。
[工程−120]
次に、触媒層32が形成された支持部材30のこの触媒層32上に、CVD法にて針状の(より具体的には、カーボン・ナノチューブ40から成る)電子放出部41を形成する(図1の(B)参照)。CVD条件を以下の表1に例示する。高さ(長さ)5μmのカーボン・ナノチューブ40を成長させたが、カーボン・ナノチューブ40の長さは成膜時間で制御が可能である。因みに、以下の表1の条件では5μmの長さのカーボン・ナノチューブ40を形成するのに15分間を要した。また、表1に例示する条件においては、カーボン・ナノチューブ40は、触媒層32の表面に対して概ね垂直に配置されるように形成され、相当数のカーボン・ナノチューブ40は、先端部が上方を向くように形成される。尚、支持部材30を、例えば、銅製の剛体基板の上に載置することによって、700゜Cの高温においてカーボン・ナノチューブ40を触媒層32上に形成したときでも、支持部材30にカール等が発生することを抑制することができる。
[表1]
使用ガス :メタン/水素=100/100sccm
マイクロ波パワー:1kW(2.45GHz)
基板RFバイアス:200W(13.56MHz)
圧力 :2Pa
形成温度 :700゜C
カーボン・ナノチューブ40の形成前に、触媒層32の表面を還元する目的で、水素やアンモニアに代表される還元性ガスを用いてプラズマ処理を行ってもよい。また、触媒層32が形成された支持部材30をHF系溶液に浸漬することで自然酸化膜を除去すれば、カーボン・ナノチューブ40の安定した形成を実現することができる。表2にプラズマ処理の条件を例示する。
[表2]
使用ガス :アンモニア=100sccm
マイクロ波パワー:1kW(2.45GHz)
圧力 :2Pa
更には、カーボン・ナノチューブ40の形成後、アモルファス状の炭素薄膜の除去を目的として、表3に例示する水素ガス雰囲気中でのプラズマ処理を行うことが望ましい。
[表3]
使用ガス :水素=100sccm
マイクロ波パワー:1kW(2.45GHz)
圧力 :2Pa
[工程−130]
その後、マトリックス材料42によって電子放出部41を埋め込むことで、電子放出部41がマトリックス材料42によって埋め込まれた電子放出層43を得ることができる(図1の(C)参照)。具体的には、酸化珪素粒子を含有するスラリー(例えば株式会社高純度化学研究所製の商品名Si−05S)を、スピンコーティング法やスプレーコーティング法、ロールコーティング法等の塗布方法に基づき、カーボン・ナノチューブ40の高さより僅かに厚くなるように塗布した後、100゜C、5時間の乾燥を行い、マトリックス材料42を半硬化させる。電子放出部41がマトリックス材料42によって埋め込まれた電子放出層43を形成することで、即ち、マトリックス材料(SiO2半硬化層)42によってカーボン・ナノチューブ40の層を覆うことで、次の工程で支持部材を湿式エッチング法にて除去するとき、マトリックス材料42は、カーボン・ナノチューブ40に対する化学的保護層兼支持材としての機能を果たすし、後の工程で、電子放出層43の上に絶縁層12を形成したり、絶縁層12に開口部14を形成するときのカーボン・ナノチューブ40に対する化学的保護層としての機能を果たす。
[工程−140]
次いで、支持部材30を除去する。具体的には、図2の(A)に模式的に示すように、多数の小さな真空吸着口が設けられたステンレス製の真空吸着式保持板50を用いて、支持部材30を電子放出層43の側から真空吸着する。尚、吸着スペーサーとしてメンブレインフィルター等の微細口が形成されたシートを介在させてもよい。そして、塩化第2銅水溶液から成るエッチング浴に支持部材30を浸漬することで支持部材30をエッチングして除去し、更に、拡散防止層31をフッ化アンモニウム水溶液を用いてエッチングして除去する(図2の(B)の上側参照)。場合によっては、更に、触媒層32を除去してもよい。
[工程−150]
その後、支持体10上に形成されたカソード電極11の上に、接着層44によって電子放出層43を接着する。具体的には、図2の(B)の上側に示すように、真空吸着式保持板50によって電子放出層43が真空吸着された状態を保持する。そして、カソード電極11の幅及びピッチに対応してストライプ状にパターニングされた電子放出層43(より具体的には触媒層32)と、カソード電極11の表面に形成された接着層44とを接触させ、100゜C、5時間の加熱を行い、接着層44を半硬化させる。その後、真空吸着式保持板50を外し、高温(400゜C〜500゜C)の加熱処理を行うことによって、マトリックス材料42及び接着層44の硬化、並びに、有機物成分の気化(焼成)、除去を行う。こうして、図3の(A)に示す構成を得ることができる。
[工程−160]
次に、電子放出層43及び支持体10上に絶縁層12を形成する。具体的には、例えばTEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガスとして使用するCVD法により全面に絶縁層12を形成する。あるいは又、酸化珪素粒子を含有するスラリーの塗布、乾燥、硬化によって絶縁層12を形成してもよい。その後、絶縁層12上に、第1の方向とは異なる第2の方向(図3の紙面に対して垂直な方向)に延びるゲート電極13を形成する。具体的には、絶縁層12上にゲート電極を構成するためのアルミニウム層とTi層の積層構造から成る導電材料層をスパッタリング法にて形成した後、導電材料層上にパターニングされた第1のマスク材料層(図示せず)を形成し、かかる第1のマスク材料層をエッチング用マスクとして用いて導電材料層をエッチングして、導電材料層をストライプ状にパターニングした後、第1のマスク材料層を除去する。こうして、図3の(B)に示す構成を得ることができる。
[工程−170]
次いで、ゲート電極13の射影像とカソード電極11の射影像とが重複する領域(以下、重複領域と呼ぶ場合がある)におけるゲート電極13の部分及び絶縁層12の部分に開口部14を形成して開口部14の底部に電子放出層43を露出させ、次いで、開口部14の底部に露出した電子放出層43の部分のマトリックス材料42の少なくとも一部分を除去し、少なくとも針状の電子放出部41(より具体的には、カーボン・ナノチューブ40)の一部分(具体的には先端部)を露出させる。
具体的には、ストライプ状のゲート電極13及び絶縁層12上にパターニングされた第2のマスク材料層(図示せず)を形成し、かかる第2のマスク材料層をエッチング用マスクとして用いてゲート電極13をエッチングし、更に、絶縁層12をエッチングし、更に、開口部14の底部に露出した電子放出層43の部分のマトリックス材料42の一部分をエッチングした後、第2のマスク材料層を除去する。こうして、図3の(C)に示す構成を有する電界放出素子、更には、表示装置を構成するカソードパネルCPを得ることができる。尚、図3の(C)に示した例においては、開口部14の底部に露出した電子放出層43の部分のマトリックス材料42を厚さ方向に一部分、除去している。即ち、開口部14の底部に露出した電子放出層43の部分における針状の電子放出部41の先端部が露出させられ、針状の電子放出部41の他の部分はマトリックス材料42によって埋め込まれた状態である。また、ゲート電極13に形成された開口部(第1の開口部と呼ぶ場合がある)と絶縁層12に形成された開口部(第2の開口部と呼ぶ場合がある)とは、一対一の対応関係にある。即ち、1つの第1の開口部に対応して、1つの第2の開口部が形成される。尚、第1及び第2の開口部の平面形状は、例えば直径1μm〜30μmの円形である。これらの開口部を、例えば、1重複領域(1画素)に1個〜3000個程度形成すればよい。以下に説明する実施例2〜実施例5においても同様とすることができる。
尚、場合によっては、絶縁層12をエッチングして、開口部14の底部に電子放出層43を露出させた後、第2のマスク材料層を除去し、開口部14の中央部の上方の部分に対応する部分に開口が設けられた第3のマスク材料層を、リソグラフィ技術に基づき開口部14内を含む全面に形成し、第3のマスク材料層の開口の底部に露出した電子放出層43の部分のマトリックス材料42をエッチングした後、第3のマスク材料層を除去してもよい。このような方法を採用することで、開口部14の中央部にのみ電子放出部41の少なくとも一部分を露出させることが可能となる。後述する実施例2、実施例3においても同様とすることができる。
[工程−180]
次いで、表示装置の組み立てを行う。具体的には、アノード電極や蛍光体領域等が形成されたアノードパネルAPを準備する。そして、例えば、アノードパネルAPの有効領域に設けられたスペーサ保持部(図示せず)にスペーサ25を取り付け、蛍光体領域22と重複領域である電子放出領域EAとが対向するようにアノードパネルAPとカソードパネルCPとを配置し、アノードパネルAPとカソードパネルCP(より具体的には、基板20と支持体10)とを、セラミックスやガラスから作製された高さ約2mmの枠体26を介して、周縁部において接合する。接合に際しては、枠体26とアノードパネルAPとの接合部位、及び、枠体26とカソードパネルCPとの接合部位に接合層であるフリットガラスを塗布し、アノードパネルAPとカソードパネルCPと枠体26とを貼り合わせ、予備焼成にてフリットガラスを乾燥した後、約450゜Cで10〜30分の本焼成を行う。その後、アノードパネルAPとカソードパネルCPと枠体26とフリットガラス(図示せず)とによって囲まれた空間を、貫通孔(図示せず)及びチップ管(図示せず)を通じて排気し、空間の圧力が10-4Pa程度に達した時点でチップ管を加熱溶融により封じ切る。このようにして、アノードパネルAPとカソードパネルCPと枠体26とに囲まれた空間を真空にすることができる。あるいは又、例えば、枠体26とアノードパネルAPとカソードパネルCPとの貼り合わせを真空雰囲気中で行ってもよい。あるいは又、表示装置の構造に依っては、枠体無しで、接合層のみによってアノードパネルAPとカソードパネルCPとを貼り合わせてもよい。その後、必要な外部回路との配線接続を行い、表示装置を完成させる。
このように、実施例1の電界放出素子の製造方法においては、表示装置の構成部材としてガラス基板を使用することを可能としている。しかも、カーボン・ナノチューブ40をカソード電極11の上に概ね直立した状態で配置すると共に、ゲート電極13及び絶縁層12に設けられた開口部14の底部に精度良くカーボン・ナノチューブ40の先端部をマトリックス材料42から露出させることができるので、高い電子放出効率を達成し得る電子放出部の配置状態を得ることができる。尚、触媒層32の厚さや、プラズマCVD法によるカーボン・ナノチューブ40の形成条件を適宜変えることにより、場合によっては、触媒層32の大きさや触媒層32の単位面積当たりにおける活性点の数を制御することで、カーボン・ナノチューブ40の形成密度を変えることができる。開口部14の底部に存在するカーボン・ナノチューブ40は最低1本である。
実施例2は、本発明の第2の態様に係る電界放出素子の製造方法に関する。
実施例1の電界放出素子の製造方法においては、電子放出部41(カーボン・ナノチューブ40)の成長方向がカソード電極11の表面から離れる方向となるような状態にて(即ち、電子放出部41の下端部側がカソード電極11の表面を向くような状態にて)、電子放出層43をカソード電極11上に接着した。一方、実施例2の電界放出素子の製造方法においては、電子放出部141(カーボン・ナノチューブ140)の成長方向がカソード電極11の表面に向かう方向となるような状態にて(即ち、電子放出部141の上端部側がカソード電極11の表面を向くような状態にて)、電子放出層143をカソード電極11上に接着する。
以下、実施例2の電界放出素子の製造方法を、支持部材や支持体等の模式的な一部断面図である図6の(A)、(B)及び(C)、並びに、図7の(A)及び(B)を参照して説明するが、実施例2において得られる電界放出素子の構造、表示装置の構造は、実質的に実施例1において説明した電界放出素子の構造、表示装置の構造と同じであるが故に、これらの詳細な説明は省略する。
[工程−200]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様にして、予め、第1の方向に延びるカソード電極11が表面に形成された支持体10を準備しておく。尚、実施例1と異なり、カソード電極11の上には接着層は形成されていない。一方、実施例1の[工程−110]及び[工程−120]と同様にして、触媒層32が形成された支持部材30の触媒層32上にCVD法にて針状の電子放出部141(より具体的には、カーボン・ナノチューブ140)を形成する。
[工程−210]
その後、マトリックス材料142によって少なくとも電子放出部141の隙間の一部分を埋め、以て、少なくとも電子放出部141の隙間の一部分がマトリックス材料142によって埋め込まれた電子放出層143を得る(図6の(A)参照)。具体的には、実施例1の[工程−130]と同様にして、酸化珪素粒子を含有するスラリー(例えば株式会社高純度化学研究所製の商品名Si−05S)を、スピンコーティング法やスプレーコーティング法、ロールコーティング法等の塗布方法に基づき、カーボン・ナノチューブ140の高さより僅かに厚くなるように塗布した後、100゜C、5時間の乾燥を行い、マトリックス材料142を半硬化させることで、SiO2スラリー層を得る。その後、カーボン・ナノチューブ140の高さの約半分になるまで、SiO2スラリー層の溶解、除去を行うことで、カーボン・ナノチューブ140の高さの約半分の部分における電子放出部141の隙間がマトリックス材料142によって埋め込まれた電子放出層143を得ることができる。尚、この電子放出層143は、カソード電極11の幅及びピッチに対応したストライプ状の形状を有する。
次に、露出している電子放出部141(カーボン・ナノチューブ140)の上半分の部分を覆い尽くすように、ITO含有導電性スラリーをスプレー塗布することで、電子放出層143上に金属酸化物である酸化インジウム−錫(ITO)から成る接着層144を形成することができる。こうして、図2の(B)の上側に示す構成を得ることができる。ITO含有導電性スラリーとして、例えば株式会社高純度化学研究所製のITO−05Sを用いることができる。尚、この状態においては、接着層144は一種の湿潤状態(未乾燥状態)にある。
[工程−220]
その後、支持体10上に形成されたカソード電極11の上に、接着層144によって電子放出層143を接着した後、支持部材30及び触媒層32を除去する。具体的には、実施例1の[工程−140]と同様にして、多数の小さな真空吸着口が設けられたステンレス製の真空吸着式保持板50(図6の(B)には図示せず)を用いて支持部材30を電子放出層143が形成されていない面30Aの側から真空吸着する。そして、カソード電極11の幅及びピッチに対応してストライプ状にパターニングされた電子放出層143の表面に形成された接着層144と、カソード電極11の表面とを接触させ(接触直前の状態を図6の(B)に示す)、100゜C、5時間の加熱を行い、接着層144を半硬化させる。
その後、真空吸着式保持板50を外し、塩化第2銅水溶液から成るエッチング浴に支持部材30を浸漬することで支持部材30をエッチングして除去する。次いで、高温(400゜C〜500゜C)の加熱処理を行うことによって、マトリックス材料142及び接着層144の硬化、並びに、有機物成分の気化(焼成)、除去を行う。その後、拡散防止層31をフッ化アンモニウム水溶液を用いてエッチングして除去し、更に、ニッケルから成る触媒層32を硝酸水溶液を用いてエッチングして除去する。こうして、図6の(C)に示す構成を得ることができる。場合によっては、カーボン・ナノチューブ140の下部のカーボンアモルファス成長層をエッチング法にて除去し、カーボン・ナノチューブ140が個々のカーボン・ナノチューブに分離した状態としてもよい。
[工程−230]
次に、実施例1の[工程−160]〜[工程−170]と同様にして、電子放出層143及び支持体10上に絶縁層12を形成した後、絶縁層12上に、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極13を形成し(図7の(A)参照)、ゲート電極13の射影像とカソード電極11の射影像とが重複する領域におけるゲート電極13の部分及び絶縁層12の部分に開口部14を形成して開口部14の底部に電子放出層143を露出させ、更に、開口部14の底部に露出した電子放出層143の部分のマトリックス材料142の少なくとも一部分を除去し、少なくとも針状の電子放出部141の一部分(具体的には先端部)を露出させる。こうして、図7の(B)に示す構成を有する電界放出素子、更には、表示装置を構成するカソードパネルCPを得ることができる。尚、図7の(B)に示した例においては、開口部14の底部に露出した電子放出層143の部分のマトリックス材料142の厚さ方向の一部分を除去している。即ち、開口部14の底部に露出した電子放出層143の部分における針状の電子放出部141の先端部が露出させられ、針状の電子放出部141の他の部分はマトリックス材料142によって埋め込まれた状態である。
[工程−240]
その後、実施例1の[工程−180]と同様にして、表示装置を組み立てる。
実施例3は、本発明の第3の態様に係る電界放出素子の製造方法に関する。
実施例3が実施例2と相違する点は、触媒層32を除去するタイミングにある。以下、実施例3の電界放出素子の製造方法を、支持部材や支持体等の模式的な一部断面図である図6の(A)、(B)、並びに、図8の(A)、(B)及び(C)を参照して説明するが、実施例3において得られる電界放出素子の構造、表示装置の構造は、実質的に実施例1において説明した電界放出素子の構造、表示装置の構造と同じであるが故に、これらの詳細な説明は省略する。
[工程−300]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様にして、予め、第1の方向に延びるカソード電極11が表面に形成された支持体10を準備しておく。尚、実施例1と異なり、カソード電極11の上には接着層は形成されていない。一方、実施例1の[工程−110]及び[工程−120]と同様にして、触媒層32が形成された支持部材30の触媒層32上にCVD法にて針状の電子放出部141(より具体的には、カーボン・ナノチューブ140)を形成する(図6の(A)参照)。
[工程−310]
その後、実施例2の[工程−210]と同様にして、マトリックス材料142によって少なくとも電子放出部141の隙間の一部分を埋め、以て、少なくとも電子放出部141の隙間の一部分がマトリックス材料142によって埋め込まれた電子放出層143を得る(図6の(B)参照)。
[工程−320]
その後、支持体10上に形成されたカソード電極11の上に、接着層144によって電子放出層143を接着した後、支持部材30を除去する。この工程においては、実施例2と異なり、触媒層32は除去しない。具体的には、実施例1の[工程−140]と同様にして、多数の小さな真空吸着口が設けられたステンレス製の真空吸着式保持板50を用いて支持部材30を電子放出層143が形成されていない面30Aの側から真空吸着する。そして、カソード電極11の幅及びピッチに対応してストライプ状にパターニングされた電子放出層143の表面に形成された接着層144と、カソード電極11の表面とを接触させ、100゜C、5時間の加熱を行い、接着層144を半硬化させる。その後、真空吸着式保持板50を外し、塩化第2銅水溶液あるいは塩酸―塩化第2鉄水溶液から成るエッチング浴に支持部材30を浸漬することで支持部材30をエッチングして除去する。次いで、高温(400゜C〜500゜C)の加熱処理を行うことによって、マトリックス材料142及び接着層144の硬化、並びに、有機物成分の気化(焼成)、除去を行う。その後、拡散防止層31をフッ化アンモニウム水溶液を用いてエッチングして除去する。こうして、図8の(A)に示す構成を得ることができる。
[工程−330]
次に、実施例1の[工程−160]〜[工程−170]と同様にして、触媒層32及び支持体10上に絶縁層12を形成した後、絶縁層12上に、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極13を形成し(図8の(B)参照)、ゲート電極13の射影像とカソード電極11の射影像とが重複する領域におけるゲート電極13の部分及び絶縁層12の部分に開口部14を形成して開口部14の底部に電子放出層143を露出させ、更に、開口部14の底部に露出した触媒層32の部分及びその下の電子放出層143の部分のマトリックス材料142の少なくとも一部分を除去し、少なくとも針状の電子放出部141の一部分(具体的には先端部)を露出させる。こうして、図8の(C)に示す構成を有する電界放出素子、更には、表示装置を構成するカソードパネルCPを得ることができる。尚、図8の(C)に示した例においては、開口部14の底部に露出した電子放出層143の部分のマトリックス材料142の厚さ方向の一部分を除去している。即ち、開口部14の底部に露出した電子放出層143の部分における針状の電子放出部141の先端部が露出させられ、針状の電子放出部141の他の部分はマトリックス材料142によって埋め込まれた状態である。
[工程−340]
その後、実施例1の[工程−180]と同様にして、表示装置を組み立てる。
実施例4は、本発明の第4の態様に係る電界放出素子の製造方法に関する。
以下、実施例4の電界放出素子の製造方法を、支持部材や支持体等の模式的な一部断面図である図9の(A)、(B)及び(C)、並びに、図10を参照して説明するが、実施例4において得られる電界放出素子の構造、表示装置の構造は、絶縁層12とカソード電極11との間に電子放出部が存在していない点を除き、実質的に実施例1において説明した電界放出素子の構造、表示装置の構造と同じであるが故に、これらの詳細な説明は省略する。
[工程−400]
先ず、第1の方向に延びるカソード電極11、カソード電極11を覆う絶縁層12、及び、絶縁層12上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極13を備え、ゲート電極13の射影像とカソード電極11の射影像とが重複する領域におけるゲート電極13の部分及び絶縁層12の部分に開口部14が形成され、開口部14の底部に露出したカソード電極11の部分に接着層244が形成された支持体10を準備する。
具体的には、実施例1の[工程−100]と同様にして、例えばガラス基板から成る支持体10上に導電材料層を形成し、次いで、周知のリソグラフィ技術及び反応性イオンエッチング法(RIE法)に基づき導電材料層をパターニングすることによって、第1の方向(図9の(A)の矢印A−Aの方向)に延びるストライプ形状のカソード電極11を得ることができる。次に、実施例1の[工程−160]と同様にして、カソード電極11及び支持体10上に絶縁層12を形成する。具体的には、例えばTEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガスとして使用するCVD法により全面に絶縁層12を形成する。あるいは又、酸化珪素粒子を含有するスラリーの塗布、乾燥、硬化によって絶縁層12を形成してもよい。その後、絶縁層12上に、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極13を形成する。次いで、実施例1の[工程−170]と同様にして、ゲート電極13の射影像とカソード電極11の射影像とが重複する領域(重複領域)におけるゲート電極13の部分及び絶縁層12の部分に開口部14を形成して開口部14の底部にカソード電極11を露出させる。
次いで、ITO含有導電性スラリーを開口部14内を含む全面に向けて、面に対して垂直な指向性を確保しながらスプレー塗布し、絶縁層12及びゲート電極13と開口部内部側壁上部に付着しているITO含有導電性スラリーをエタノールを含浸させた不織布を押圧する方法にて繰り返し払拭、除去することで、開口部14の底部に露出したカソード電極11の部分に、一種の湿潤状態(未乾燥状態)にある接着層244を形成することができる。こうして、図9の(A)に示す構成を得ることができる。
[工程−410]
一方、実施例1の[工程−110]及び[工程−120]と同様にして、触媒層32が形成された支持部材30の触媒層32上にCVD法にて針状の電子放出部241(より具体的には、カーボン・ナノチューブ240)を形成する。この状態は、実質的に、図1の(B)に示したと同様である。
[工程−420]
次に、所望の部分における電子放出部を残し、その他の部分における電子放出部を除去し、更に、該その他の部分における触媒層を除去し、更に、該その他の部分における支持部材をその厚さ方向に一部分エッチングする。尚、所望の領域は、ゲート電極13の射影像とカソード電極11の射影像とが重複する領域におけるゲート電極13の部分及び絶縁層12の部分に形成された開口部14の位置と対応する。具体的には、リソグラフィ技術に基づき、所望の領域を覆うエッチング用マスクを形成した後、エッチング用マスクによって覆われていない電子放出部241(カーボン・ナノチューブ240)をKMnO4及び塩酸を繰り返しを用いてエッチングして除去し、更に、ニッケルから成る触媒層32を硝酸水溶液を用いてエッチングして除去し、SiOxから成る拡散防止層31をフッ化アンモニウム水溶液を用いてエッチングして除去し、銅薄板から成る支持部材30を塩化第2銅水溶液あるいは塩酸―塩化第2鉄水溶液を用いてその厚さ方向に一部分エッチングする。こうして、図9の(B)に示す構成を得ることができる。
[工程−430]
その後、支持部材30と支持体10との位置合わせを行い、所望の部分に残された電子放出部241(具体的には、開口部14に対応した位置に残された電子放出部241)を、開口部14の底部に露出したカソード電極11の部分に形成された接着層244によって、開口部14の底部に露出したカソード電極11の部分に接着させた後、100゜C、5時間の加熱処理を行うことによって接着層244を硬化させる。この状態を、模式的に図9の(C)に示す。
[工程−440]
次いで、支持部材30、拡散防止層31及び触媒層32を、それぞれ、塩化第2銅水溶液フッ化アンモニウム水溶液、硝酸水溶液を用いて除去する。その後、500゜C、1時間の加熱処理を行うことにより接着層244の本硬化を行い、図10に示す構成を得ることができる。
[工程−450]
その後、実施例1の[工程−180]と同様にして、表示装置を組み立てる。
実施例5は、本発明の第5の態様に係る電界放出素子の製造方法に関する。
以下、実施例5の電界放出素子の製造方法を、支持部材や支持体等の模式的な一部断面図である図11の(A)、(B)及び(C)、並びに、図12の(A)、(B)及び(C)を参照して説明するが、実施例5において得られる電界放出素子の構造、表示装置の構造は、実質的に実施例1において説明した電界放出素子の構造、表示装置の構造と同じであるが故に、これらの詳細な説明は省略する。
[工程−500]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様にして、第1の方向に延びるカソード電極11が表面に形成された支持体10を準備する。尚、カソード電極11の表面には、接着層344を形成しておく。
更には、表面に凹部331が形成された支持部材330を準備する(図11の(A)参照)。具体的には、ダイヤモンドバイトを用いた切削加工により電着Ni層に断面形状が三角形の凸部が形成された金型を用いて、例えばノルボルネン系樹脂(例えば、JSR株式会社製の商品名アートン)から成る熱可塑性樹脂を射出成形することによって表面に凹部が形成された成形品を成形する。断面形状の三角形の底辺を5μm、高さを4μmとした。
[工程−510]
そして、例えば、テトラブトキシスズ:トリブトキシインジウムの混合比が5:95のエタノール溶液であって、しかも、焼成後のITO(バインダーに相当する)が溶液の約10重量%となるように調整され、0.3μmから10μm程度の長さの針状粉末のカーボン・ナノチューブ340が1重量部となるように分散させた溶液を準備する。そして、マスクを用いて、カソード電極11に対応する支持部材330の部分にこの溶液をスプレーコーティング法やロールコーティング法等の塗布方法に基づき塗布した後、100゜C、5時間の乾燥を行うことで、半硬化させる。こうして、図11の(B)に示すように、支持部材330表面(凹部331を含む)に針状の電子放出材料341(カーボン・ナノチューブ340)を含む電子放出層343を形成することができる。
[工程−520]
その後、支持体10上に形成されたカソード電極11の上に、接着層344によって電子放出層343を接着した後、支持部材330を除去する。具体的には、実施例1の[工程−140]と同様にして、多数の小さな真空吸着口が設けられたステンレス製の真空吸着式保持板50(図11の(C)には図示せず)を用いて支持部材330の面330Aを真空吸着する。そして、カソード電極11の幅及びピッチに対応してストライプ状にパターニングされた電子放出層343と、カソード電極11の表面に形成された接着層344とを接触させ(接触直前の状態を図11の(C)に示す)、100゜C、5時間の加熱を行い、接着層344を半硬化させる。その後、真空吸着式保持板50を外し、トルエンを用いて支持部材330を除去する。次いで、高温(400゜C〜500゜C)の加熱処理を行うことによって、バインダーであるITOの形成及び接着層344の硬化、並びに、有機物成分の気化(焼成)、除去を行う。こうして、図12の(A)に示す構成を得ることができる。
[工程−530]
次に、実施例1の[工程−160]〜[工程−170]と同様にして、電子放出層143及び支持体10上に絶縁層12を形成した後、絶縁層12上に、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極13を形成し(図12の(B)参照)、ゲート電極13の射影像とカソード電極11の射影像とが重複する領域におけるゲート電極13の部分及び絶縁層12の部分に開口部14を形成して開口部14の底部に電子放出層343を露出させる(図12の(C)参照)。尚、開口部14の底部に電子放出層343を露出させたとき、少なくとも針状の電子放出材料341の先端部を(場合によっては電子放出材料341の全体を)露出させることが望ましい。即ち、開口部14の底部に位置する電子放出層343の部分におけるバインダーの一部を除去してもよいし、全部を除去してもよい。ITOから成るバインダーの除去は、有機物成分が気化した後であり、塩化第2鉄水溶液を用いて行うことができる。
[工程−540]
その後、実施例1の[工程−180]と同様にして、表示装置を組み立てる。
実施例5にあっては、電子放出層343を形成するとき、実施例1〜実施例4と異なり、支持部材を600゜C以上の高温に加熱する必要がない。従って、支持部材として樹脂(プラスチックス)を使用することもできる。より具体的には、例えば、支持部材330としてノルボルネン系樹脂(例えば、JSR株式会社製の商品名アートン)を用いることができ、この場合にはトルエンを用いることで支持部材330を除去することができるし、支持部材330としてシクロオレフィンポリマー(例えば、日本ゼオン株式会社製の商品名ゼオノア)を用いることができ、この場合にはシクロヘキサンを用いることで支持部材330を除去することができるし、支持部材330としてポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いることができ、この場合にはメチルエチルケトン(MEK)を用いることで支持部材330を除去することができるし、支持部材330としてポリカーボネートを用いることができ、この場合には塩化メチレンを用いることで支持部材330を除去することができる。
樹脂から成り、表面に凹部を有する支持部材は、圧縮成形法、トランスファ成形法、射出成形法、押出成形法、熱成形法、カレンダー加工等の各種成形法によって得ることができるし、あるいは又、樹脂フィルムの製造時にその表面に凹部を形成することで得ることができる。
樹脂から支持部材330を構成する場合には、凹部が設けられた表面に、例えば0.5μm程度の厚さのSiO2層をスパッタリング法により予め形成しておくことが望ましい。このSiO2層は、樹脂から成る支持部材330を除去する際の電子放出材料341の保護層として機能し、電子放出材料341が損傷することを確実に回避することができる。尚、このSiO2層は、[工程−530]において絶縁層12に開口部14を形成するとき、除去される。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例にて説明したアノードパネルやカソードパネル、表示装置や電界放出素子の構成、構造は例示であり、適宜変更することができるし、アノードパネルやカソードパネル、表示装置や電界放出素子の製造方法も例示であり、適宜変更することができる。更には、アノードパネルやカソードパネルの製造において使用した各種材料も例示であり、適宜変更することができる。表示装置においては、専らカラー表示を例にとり説明したが、単色表示とすることもできる。
電子放出部を構成する材料として、カーボン・ナノチューブ以外に、例えばZnOウイスカーを挙げることができる。比較的高速にてエピタキシャル成長させたZnOウイスカー表面からの電子放出特性は、ウイスカーではないZnO表面からの電子放出能に比較して2桁大きい能力を有しており(長岡技術科学大学広報VOS、July 1999 No.97 参照)、本発明における電子放出部を構成するナノチューブ状の材料として使用することができる。更には、ZnOウイスカー以外にも、MgOウイスカー、SnO2ウイスカー、MnOウイスカー、Y23ウイスカー、NiOウイスカー、ITOウイスカー、In23ウイスカー、Al23ウイスカー等を用いて電子放出部を構成することもできる。
また、電子放出部を構成する材料として、グラファイト・ナノファイバーを用いることもできる。グラファイト・ナノファイバー(M.Hirakawa,et al., IDW 00 Digest(2000)1027 や ULVAC TECHNICAL JOURNAL No.57 (2002)26 参照)は、支持部材から垂直に直立成長しておらず、屈曲したファイバー状に成長するが、カーボン・ナノチューブやZnOウイスカーの場合と同様に、所望の配置で電子放出層の形成を行うことができる。
電界放出素子においては、専ら1つの開口部の底部に1つの電子放出層が位置する形態を説明したが、電界放出素子の構造に依っては、1つの開口部の底部に複数の電子放出層が位置する形態、あるいは、複数の開口部の底部に1つの電子放出層が位置する形態とすることもできる。あるいは又、ゲート電極に複数の開口部を設け、絶縁層にかかる複数の開口部に連通した複数の開口部を設け、これらの複数の開口部に底部に1又は複数の電子放出層を位置させる形態とすることもできる。
ゲート電極を、有効領域を1枚のシート状の導電材料(開口部を有する)で被覆した形式のゲート電極とすることもできる。この場合には、かかるゲート電極に正の電圧を印加する。そして、各画素を構成するカソード電極とカソード電極制御回路との間に、例えば、TFTから成るスイッチング素子を設け、かかるスイッチング素子の作動によって、各画素を構成する電子放出部への印加状態を制御し、画素の発光状態を制御する。
あるいは又、カソード電極を、有効領域を1枚のシート状の導電材料で被覆した形式のカソード電極とすることもできる。この場合には、かかるカソード電極に電圧を印加する。そして、各画素を構成する電子放出部とゲート電極制御回路との間に、例えば、TFTから成るスイッチング素子を設け、かかるスイッチング素子の作動によって、各画素を構成するゲート電極への印加状態を制御し、画素の発光状態を制御する。
アノード電極は、実施例にて説明したように有効領域を1枚のシート状の導電材料で被覆した形式のアノード電極としてもよいし、1又は複数の電子放出部、あるいは、1又は複数の画素に対応するアノード電極ユニットが集合した形式のアノード電極としてもよい。アノード電極が前者の構成の場合、かかるアノード電極をアノード電極制御回路に接続すればよいし、アノード電極が後者の構成の場合、例えば、各アノード電極ユニットをアノード電極制御回路に接続すればよい。
電界放出素子において、ゲート電極13及び絶縁層12の上に更に層間絶縁層62を設け、層間絶縁層62上に収束電極63を設けてもよい。このような構造を有する電界放出素子の模式的な一部端面図を図13に示す。層間絶縁層62には、開口部14に連通した開口部64が設けられている。収束電極63の形成は、例えば、実施例1の[工程−160]において、絶縁層12上にストライプ状のゲート電極13を形成した後、層間絶縁層62を形成し、次いで、層間絶縁層62上にパターニングされた収束電極63を形成した後、収束電極63、層間絶縁層62に開口部64を設け、更に、ゲート電極13に開口部14を設ければよい。尚、収束電極のパターニングに依存して、1又は複数の電子放出領域、あるいは、1又は複数の画素に対応する収束電極ユニットが集合した形式の収束電極とすることもでき、あるいは又、有効領域を1枚のシート状の導電材料で被覆した形式の収束電極とすることもできる。尚、図13においては、実施例1にて説明した電界放出素子を図示したが、その他の電界放出素子とすることもできることは云うまでもない。
図1の(A)、(B)及び(C)は、実施例1の冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持部材あるいは支持体等の模式的な一部断面図である。 図2の(A)及び(B)は、図1の(C)に引き続き、実施例1の冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持部材あるいは支持体等の模式的な一部断面図である。 図3の(A)、(B)及び(C)は、図2の(B)に引き続き、実施例1の冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持部材あるいは支持体等の模式的な一部断面図である。 図4は、実施例1の冷陰極電界電子放出素子の製造方法に基づき製造された冷陰極電界電子放出素子を組み込んだ冷陰極電界電子放出表示装置の模式的な一部端面図である。 図5は、図4に示した冷陰極電界電子放出表示装置を構成するカソードパネル及びアノードパネルを分解した模式的な一部斜視図である。 図6の(A)、(B)及び(C)は、実施例2の冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持部材あるいは支持体等の模式的な一部断面図である。 図7の(A)及び(B)は、図6の(C)に引き続き、実施例2の冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持部材あるいは支持体等の模式的な一部断面図である。 図8の(A)、(B)及び(C)は、実施例3の冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部断面図である。 図9の(A)、(B)及び(C)は、実施例4の冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持部材あるいは支持体等の模式的な一部断面図である。 図10は、図9の(C)に引き続き、実施例4の冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持部材あるいは支持体等の模式的な一部断面図である。 図11の(A)、(B)及び(C)は、実施例5の冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持部材あるいは支持体等の模式的な一部断面図である。 図12の(A)、(B)及び(C)は、図11の(C)に引き続き、実施例5の冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持部材あるいは支持体等の模式的な一部断面図である。 収束電極が設けられた冷陰極電界電子放出素子の模式的な一部端面図である。 図14は、冷陰極電界電子放出表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。 図15は、冷陰極電界電子放出表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。 図16は、冷陰極電界電子放出表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。 図17は、冷陰極電界電子放出表示装置を構成するアノードパネルにおける隔壁、スペーサ及び蛍光体領域の配置を模式的に示す配置図である。
符号の説明
CP・・・カソードパネル、AP・・・アノードパネル、EA・・・電子放出領域、10・・・支持体、11・・・カソード電極、12・・・絶縁層、13・・・ゲート電極、14・・・開口部、20・・・基板、21・・・隔壁、22,22R,22G,22B・・・蛍光体領域、23・・・光吸収層(ブラックマトリックス)、24・・・アノード電極、25・・・スペーサ、26・・・枠体、30,300・・・支持部材、31・・・拡散防止層、331・・・凹部、32・・・触媒層、40,140,240,340・・・カーボン・ナノチューブ、41,141,241・・・電子放出部、341・・・電子放出材料、42,142,242・・・マトリックス材料、43,143,243,343・・・電子放出層、44,144,244,344・・・接着層、50・・・カソード電極制御回路、51・・・ゲート電極制御回路、52・・・アノード電極制御回路、62・・・層間絶縁層、63・・・収束電極

Claims (24)

  1. 第1の方向に延びるカソード電極が表面に形成された支持体を準備しておき、
    (A)触媒層が形成された支持部材の該触媒層上に化学的気相成長法にて針状の電子放出部を形成した後、マトリックス材料によって電子放出部を埋め込み、以て、電子放出部がマトリックス材料によって埋め込まれた電子放出層を得る工程と、
    (B)支持部材を除去した後、前記支持体上に形成されたカソード電極の上に、接着層によって電子放出層を接着する工程と、
    (C)電子放出層及び支持体上に絶縁層を形成する工程と、
    (D)絶縁層上に、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極を形成する工程と、
    (E)ゲート電極の射影像とカソード電極の射影像とが重複する領域におけるゲート電極の部分及び絶縁層の部分に開口部を形成して開口部の底部に電子放出層を露出させ、更に、開口部の底部に露出した電子放出層の部分のマトリックス材料の少なくとも一部分を除去し、少なくとも針状の電子放出部の一部分を露出させる工程、
    を具備することを特徴とする冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  2. 前記マトリックス材料による電子放出部の埋め込みは、酸化珪素粒子を含有するスラリーの塗布、乾燥に基づくことを特徴とする請求項1に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  3. 前記接着層は、導電性を有する金属酸化物から成ることを特徴とする請求項1に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  4. 電子放出部を構成する材料は、カーボン・ナノチューブ構造体であることを特徴とする請求項1に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  5. 支持部材は、金属薄板又は合金薄板から成ることを特徴とする請求項1に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  6. 触媒層は、ニッケル、鉄、コバルト、亜鉛、錫、アルミニウム、鉛、イットリウム及びランタンから成る群から選択された少なくとも1種類の元素を含むことを特徴とする請求項1に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  7. 第1の方向に延びるカソード電極が表面に形成された支持体を準備しておき、
    (A)触媒層が形成された支持部材の該触媒層上に化学的気相成長法にて針状の電子放出部を形成した後、マトリックス材料によって少なくとも電子放出部の隙間の一部分を埋め、以て、少なくとも電子放出部の隙間の一部分がマトリックス材料によって埋め込まれた電子放出層を得る工程と、
    (B)前記支持体上に形成されたカソード電極の上に、接着層によって電子放出層を接着した後、支持部材及び触媒層を除去する工程と、
    (C)電子放出層及び支持体上に絶縁層を形成する工程と、
    (D)絶縁層上に、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極を形成する工程と、
    (E)ゲート電極の射影像とカソード電極の射影像とが重複する領域におけるゲート電極の部分及び絶縁層の部分に開口部を形成して開口部の底部に電子放出層を露出させ、更に、開口部の底部に露出した電子放出層の部分のマトリックス材料の少なくとも一部分を除去し、少なくとも針状の電子放出部の一部分を露出させる工程、
    を具備することを特徴とする冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  8. 第1の方向に延びるカソード電極が表面に形成された支持体を準備しておき、
    (A)触媒層が形成された支持部材の該触媒層上に化学的気相成長法にて針状の電子放出部を形成した後、マトリックス材料によって少なくとも電子放出部の隙間の一部分を埋め、以て、少なくとも電子放出部の隙間の一部分がマトリックス材料によって埋め込まれた電子放出層を得る工程と、
    (B)前記支持体上に形成されたカソード電極の上に、接着層によって電子放出層を接着した後、支持部材を除去する工程と、
    (C)触媒層及び支持体上に絶縁層を形成する工程と、
    (D)絶縁層上に、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極を形成する工程と、
    (E)ゲート電極の射影像とカソード電極の射影像とが重複する領域におけるゲート電極の部分及び絶縁層の部分に開口部を形成して開口部の底部に触媒層を露出させ、更に、開口部の底部に露出した触媒層の部分及びその下の電子放出層の部分のマトリックス材料の少なくとも一部分を除去し、少なくとも針状の電子放出部の一部分を露出させる工程、
    を具備することを特徴とする冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  9. 前記マトリックス材料による少なくとも電子放出部の隙間の一部分の埋め込みは、酸化珪素粒子を含有するスラリーの塗布、乾燥に基づくことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  10. 前記接着層は、導電性を有する金属酸化物から成ることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  11. 電子放出部を構成する材料は、カーボン・ナノチューブ構造体であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  12. 支持部材は、金属薄板又は合金薄板から成ることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  13. 触媒層は、ニッケル、鉄、コバルト、亜鉛、錫、アルミニウム、鉛、イットリウム及びランタンから成る群から選択された少なくとも1種類の元素を含むことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  14. 第1の方向に延びるカソード電極、該カソード電極を覆う絶縁層、及び、該絶縁層上に形成され、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極を備え、ゲート電極の射影像とカソード電極の射影像とが重複する領域におけるゲート電極の部分及び絶縁層の部分に開口部が形成され、開口部の底部に露出したカソード電極の部分に接着層が形成された支持体を準備しておき、
    (A)触媒層が形成された支持部材の該触媒層上に化学的気相成長法にて針状の電子放出部を形成する工程と、
    (B)所望の部分における電子放出部を残し、その他の部分における電子放出部を除去し、更に、該その他の部分における触媒層を除去し、更に、該その他の部分における支持部材をその厚さ方向に一部分エッチングする工程と、
    (C)所望の部分に残された電子放出部を、前記開口部の底部に露出したカソード電極の部分に形成された接着層によって、開口部の底部に露出したカソード電極の部分に接着させた後、支持部材及び触媒層を除去する工程、
    を具備することを特徴とする冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  15. 前記接着層は、導電性を有する金属酸化物から成ることを特徴とする請求項14に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  16. 電子放出部を構成する材料は、カーボン・ナノチューブ構造体であることを特徴とする請求項14に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  17. 支持部材は、金属薄板又は合金薄板から成ることを特徴とする請求項14に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  18. 触媒層は、ニッケル、鉄、コバルト、亜鉛、錫、アルミニウム、鉛、イットリウム及びランタンから成る群から選択された少なくとも1種類の元素を含む層から構成されていることを特徴とする請求項14に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  19. 第1の方向に延びるカソード電極が表面に形成された支持体を準備しておき、
    (A)表面に凹部が形成された支持部材の該表面に針状の電子放出材料を含む電子放出層を形成する工程と、
    (B)前記支持体上に形成されたカソード電極の上に、接着層によって電子放出層を接着した後、支持部材を除去する工程と、
    (C)電子放出層及び支持体上に絶縁層を形成する工程と、
    (D)絶縁層上に、第1の方向とは異なる第2の方向に延びるゲート電極を形成する工程と、
    (E)ゲート電極の射影像とカソード電極の射影像とが重複する領域におけるゲート電極の部分及び絶縁層の部分に開口部を形成して開口部の底部に電子放出層を露出させる工程、
    を具備することを特徴とする冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  20. 前記接着層は、導電性を有する金属酸化物から成ることを特徴とする請求項19に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  21. 電子放出材料は、カーボン・ナノチューブ構造体であることを特徴とする請求項19に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  22. 電子放出材料は、ZnOウイスカー、MgOウイスカー、SnO2ウイスカー、MnOウイスカー、Y23ウイスカー、NiOウイスカー、ITOウイスカー、In23ウイスカー及びAl23ウイスカーから成る群から選択された少なくとも1種類のウイスカーであることを特徴とする請求項19に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  23. 支持部材は、金属薄板又は合金薄板から成ることを特徴とする請求項19に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  24. 支持部材は、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィンポリマー、ポリメチルメタクリレート及びポリカーボネートから成る群から選択された材料から成ることを特徴とする請求項19に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
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