JP2003249166A - 電子放出体の製造方法、冷陰極電界電子放出素子の製造方法、並びに、冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法 - Google Patents

電子放出体の製造方法、冷陰極電界電子放出素子の製造方法、並びに、冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法

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JP2003249166A
JP2003249166A JP2002045746A JP2002045746A JP2003249166A JP 2003249166 A JP2003249166 A JP 2003249166A JP 2002045746 A JP2002045746 A JP 2002045746A JP 2002045746 A JP2002045746 A JP 2002045746A JP 2003249166 A JP2003249166 A JP 2003249166A
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electron emitting
electron
field emission
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Takao Yagi
貴郎 八木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】容易な方法で電子放出部構成材料を配向させる
ことができ、しかも、高い電子放出効率を達成し得る冷
陰極電界電子放出素子の製造方法を提供する。 【解決手段】支持体10上に形成されたカソード電極1
1、及び、カソード電極11上に形成された電子放出部
15から成る冷陰極電界電子放出素子の製造方法は、
(a)カソード電極11上に、電子放出部構成材料の先
端部が突出した状態で電子放出部構成材料がマトリック
ス21中に埋め込まれた電子放出部15を形成する工程
と、支持体10を電場中に置くことにより、電子放出部
構成材料の先端部を配向させる工程を具備することを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出体及びそ
の製造方法、冷陰極電界電子放出素子及びその製造方
法、並びに、冷陰極電界電子放出表示装置及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、カーボン・ナノチューブと呼ばれ
る、カーボングラファイトシートが巻かれたチューブ構
造を有するカーボン結晶体や、カーボン・ナノファイバ
ーが発見された。カーボン・ナノチューブの直径は1n
m〜200nm程度であり、1層のカーボングラファイ
トシートが巻かれた構造を有する単層カーボン・ナノチ
ューブと、2層以上のカーボングラファイトシートが巻
かれた構造を有する多層カーボン・ナノチューブが知ら
れている。このようなナノサイズでチューブ構造を有す
る結晶体は、他に類を見ず、特異な物質として位置付け
られている。更に、カーボン・ナノチューブは、カーボ
ングラファイトシートの巻かれ方に依存して、半導体に
も導体にもなり得る性質を持ち、これらの特異な性質か
ら電子・電気デバイスへの応用が期待されている。
【0003】真空中に置かれた金属や半導体等に或る閾
値以上の強さの電界を与えると、金属や半導体の表面近
傍のエネルギー障壁を電子が量子トンネル効果によって
通過し、常温でも真空中に電子が放出されるようにな
る。かかる原理に基づく電子放出は、冷陰極電界電子放
出、あるいは単に電界放出(フィールド・エミッショ
ン)と呼ばれる。近年、この電界放出の原理を適用した
冷陰極電界電子放出素子を画像表示に応用した平面型の
冷陰極電界電子放出表示装置、所謂フィールド・エミッ
ション・ディスプレイ(FED)が提案されており、高
輝度、低消費電力等の長所を有することから、従来の陰
極線管(CRT)に代わる画像表示装置として期待され
ている。
【0004】このような冷陰極電界電子放出素子(以
下、電界放出素子と略称する場合がある)を冷陰極電界
電子放出表示装置(以下、単に、表示装置と呼ぶ場合が
ある)に適用する場合、放出電流値として1〜10mA
/cm2が要求され、マイクロ波増幅器に適用する場
合、放出電流値として100mA/cm2以上が要求さ
れる。また、長時間(例えば10万時間以上)に亙って
安定して電子を放出し得ることが要求される一方、短時
間(ミリ秒程度)における電子放出の安定性(即ち、ノ
イズが少ないこと)も要求される。これらの要求を満足
するためには、電界放出素子の電子放出部を構成する材
料が化学的に安定であること、低い電圧での電子放出が
可能なこと(即ち、閾値電圧が低いこと)、温度に対す
る電子放出特性の変動が少ないこと等が要求されるほ
か、電子放出部近傍を高真空に保持すること、電子放出
部近傍にガスを放出する物質が存在しないことも要求さ
れる。
【0005】このような電界放出素子あるいは表示装置
は、カーボン・ナノチューブやカーボン・ナノファイバ
ー(以下、これらを総称して、カーボン・ナノチューブ
構造体と呼ぶ)の応用が最も期待される分野の1つであ
る。即ち、カーボン・ナノチューブ構造体は、結晶性が
非常に高いが故に、化学的、物理的、熱的に安定した材
料である。そして、電子放出部構成材料としてのカーボ
ン・ナノチューブ構造体は、非常に高いアスペクト比を
有し、先端部に電界集中させ易く、高融点金属に比べて
閾値電界が低く、しかも、電子放出効率が高く、表示装
置に備えられた電界放出素子の電子放出部を構成する要
素として優れた材料である。また、トランジスタのアク
ティブマトリックスもカーボン・ナノチューブ構造体の
応用が期待される分野の1つである。即ち、カーボン・
ナノチューブ構造体を、トランジスタにおける電子の通
り道であるアクティブマトリックスに応用することで、
より小型で低消費電力のトランジスタが得られるとされ
ている。
【0006】現在、カーボン・ナノチューブ構造体は、
化学的気相成長法(CVD法)により製造され、あるい
は又、アーク放電法やレーザアブレーション法等の物理
的気相成長法(PVD法)により製造されている。
【0007】カーボン・ナノチューブ構造体から構成さ
れた電界放出素子は、従来、(1)支持体上にカソード
電極を形成する工程、(2)全面に絶縁層を形成する工
程、(3)絶縁層上にゲート電極を形成する工程、
(4)少なくとも絶縁層に開口部を形成し、この開口部
の底部にカソード電極を露出させる工程、(5)この露
出したカソード電極上に、カーボン・ナノチューブ構造
体から成る電子放出部を形成する工程、を経て製造され
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】カーボン・ナノチュー
ブ構造体は、非常に高いアスペクト比を有し、先端部に
電界集中させ易いが、この先端部がアノード電極の方に
向いていることが、即ち、カーボン・ナノチューブ構造
体を配向させることが、高い電子放出効率を達成する上
で極めて重要である。ところで、現状では、カーボン・
ナノチューブ構造体を配向させる方法として、カーボン
・ナノチューブ構造体に磁性材料を内包させ、あるいは
又、カーボン・ナノチューブ構造体表面に磁性材料層を
形成し、カソード電極上にカーボン・ナノチューブ構造
体から成る電子放出部を形成した後、磁界中に支持体を
置き、カーボン・ナノチューブ構造体を配向させる方法
が知られている。
【0009】このような方法によってカーボン・ナノチ
ューブ構造体を配向させることは可能であるが、均一な
磁界を永久磁石や電磁石で形成することには困難を伴
う。
【0010】従って、本発明の目的は、容易な方法で電
子放出部構成材料を配向させることができ、しかも、高
い電子放出効率を達成し得る電子放出体の製造方法、冷
陰極電界電子放出素子の製造方法、並びに、冷陰極電界
電子放出表示装置の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の第1の態様に係る電子放出体の製造方法
は、(a)基体上に、電子放出部構成材料の先端部が突
出した状態で電子放出部構成材料がマトリックス中に埋
め込まれた電子放出部を形成する工程と、(b)基体を
電場中に置くことにより、電子放出部構成材料の先端部
を配向させる工程、を具備することを特徴とする。
【0012】上記の目的を達成するための本発明の第1
の態様に係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法は、
(A)支持体上に形成されたカソード電極、及び、
(B)カソード電極上に形成された電子放出部、から成
る冷陰極電界電子放出素子の製造方法であって、(a)
カソード電極上に、電子放出部構成材料の先端部が突出
した状態で電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め
込まれた電子放出部を形成する工程と、(b)支持体を
電場中に置くことにより、電子放出部構成材料の先端部
を配向させる工程、を具備することを特徴とする。
【0013】上記の目的を達成するための本発明の第1
の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法
は、冷陰極電界電子放出素子が複数設けられたカソード
パネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを備えたアノ
ードパネルが、それらの周縁部で接合されて成る、所謂
2電極型の冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法であ
って、冷陰極電界電子放出素子は、(A)支持体上に形
成されたカソード電極、及び、(B)カソード電極上に
形成された電子放出部、から成り、冷陰極電界電子放出
素子を、(a)カソード電極上に、電子放出部構成材料
の先端部が突出した状態で電子放出部構成材料がマトリ
ックス中に埋め込まれた電子放出部を形成する工程と、
(b)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
成材料の先端部を配向させる工程、によって形成するこ
とを特徴とする。
【0014】本発明の第1の態様に係る電子放出体、冷
陰極電界電子放出素子あるいは冷陰極電界電子放出表示
装置の製造方法(以下、これらを総称して、単に、本発
明の第1の態様に係る製造方法と呼ぶ)において、前記
工程(a)を、電子放出部構成材料を有機溶媒中に分散
させたものを基体若しくはカソード電極に塗布し、有機
溶媒を除去した後、電子放出部構成材料をマトリックス
で被覆する工程から構成することができ、あるいは又、
前記工程(a)を、電子放出部構成材料をCVD法にて
基体若しくはカソード電極上に形成した後、電子放出部
構成材料をマトリックスで被覆する工程から構成するこ
とができる。そして、これらの場合、マトリックスはダ
イヤモンド状アモルファスカーボンから成ることが好ま
しいが、これに限定するものではない。
【0015】あるいは又、本発明の第1の態様に係る製
造方法において、前記工程(a)を、バインダ材料に電
子放出部構成材料を分散させたものを基体若しくはカソ
ード電極に塗布した後、バインダ材料の焼成あるいは硬
化を行う工程から構成することができる。
【0016】あるいは又、本発明の第1の態様に係る製
造方法において、前記工程(a)を、電子放出部構成材
料が分散された金属化合物溶液を基体若しくはカソード
電極に塗布した後、金属化合物を焼成する工程から構成
することができる。そして、この場合、金属化合物は、
有機金属化合物から成り、あるいは又、有機酸金属化合
物から成り、あるいは又、金属塩(例えば、塩化物、硝
酸塩、酢酸塩)から成ることが好ましい。また、マトリ
ックスは導電性を有する金属酸化物から成ることが望ま
しく、より具体的には、マトリックスは、酸化錫、酸化
インジウム、酸化インジウム−錫、酸化亜鉛、酸化アン
チモン、又は、酸化アンチモン−錫から成ることが好ま
しい。
【0017】上記の各種の構成を含む本発明の第1の態
様に係る製造方法にあっては、前記工程(a)におい
て、マトリックスの一部を除去し、先端部が突出した状
態で電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込まれ
た電子放出部を形成することが好ましいが、電子放出部
の形成条件によっては、先端部が突出した状態で電子放
出部構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出
部を、直接、形成することが可能である。また、電子放
出部構成材料をカーボン・ナノチューブ構造体から構成
することが望ましいが、これに限定するものではない。
【0018】上記の目的を達成するための本発明の第2
の態様に係る電子放出体の製造方法は、(a)電子放出
部構成材料を有機溶媒中に分散させたものを基体に塗布
し、有機溶媒を除去する工程と、(b)基体を電場中に
置くことにより、電子放出部構成材料の先端部を配向さ
せる工程と、(c)電子放出部構成材料をマトリックス
で被覆し、以て、電子放出部構成材料の先端部が突出し
た状態で電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込
まれた電子放出部を形成する工程、から成ることを特徴
とする。
【0019】上記の目的を達成するための本発明の第2
の態様に係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法は、
(A)支持体上に形成されたカソード電極、及び、
(B)カソード電極上に形成された電子放出部、から成
る冷陰極電界電子放出素子の製造方法であって、(a)
電子放出部構成材料を有機溶媒中に分散させたものをカ
ソード電極に塗布し、有機溶媒を除去する工程と、
(b)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
成材料の先端部を配向させる工程と、(c)電子放出部
構成材料をマトリックスで被覆し、以て、電子放出部構
成材料の先端部が突出した状態で電子放出部構成材料が
マトリックス中に埋め込まれた電子放出部を形成する工
程、から成ることを特徴とする。
【0020】上記の目的を達成するための本発明の第2
の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法
は、冷陰極電界電子放出素子が複数設けられたカソード
パネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを備えたアノ
ードパネルが、それらの周縁部で接合されて成る、所謂
2電極型の冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法であ
って、冷陰極電界電子放出素子は、(A)支持体上に形
成されたカソード電極、及び、(B)カソード電極上に
形成された電子放出部、から成り、冷陰極電界電子放出
素子を、(a)電子放出部構成材料を有機溶媒中に分散
させたものをカソード電極上に塗布し、有機溶媒を除去
する工程と、(b)支持体を電場中に置くことにより、
電子放出部構成材料の先端部を配向させる工程と、
(c)電子放出部構成材料をマトリックスで被覆し、以
て、電子放出部構成材料の先端部が突出した状態で電子
放出部構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放
出部を形成する工程、によって形成することを特徴とす
る。
【0021】上記の目的を達成するための本発明の第3
の態様に係る電子放出体の製造方法は、(a)電子放出
部構成材料をCVD法にて基体上に形成する工程と、
(b)基体を電場中に置くことにより、電子放出部構成
材料の先端部を配向させる工程と、(c)電子放出部構
成材料をマトリックスで被覆し、以て、電子放出部構成
材料の先端部が突出した状態で電子放出部構成材料がマ
トリックス中に埋め込まれた電子放出部を形成する工
程、から成ることを特徴とする。
【0022】上記の目的を達成するための本発明の第3
の態様に係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法は、
(A)支持体上に形成されたカソード電極、及び、
(B)カソード電極上に形成された電子放出部、から成
る冷陰極電界電子放出素子の製造方法であって、(a)
電子放出部構成材料をCVD法にてカソード電極上に形
成する工程と、(b)支持体を電場中に置くことによ
り、電子放出部構成材料の先端部を配向させる工程と、
(c)電子放出部構成材料をマトリックスで被覆し、以
て、電子放出部構成材料の先端部が突出した状態で電子
放出部構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放
出部を形成する工程、から成ることを特徴とする。
【0023】上記の目的を達成するための本発明の第3
の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法
は、冷陰極電界電子放出素子が複数設けられたカソード
パネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを備えたアノ
ードパネルが、それらの周縁部で接合されて成る、所謂
2電極型の冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法であ
って、冷陰極電界電子放出素子は、(A)支持体上に形
成されたカソード電極、及び、(B)カソード電極上に
形成された電子放出部、から成り、冷陰極電界電子放出
素子を、(a)電子放出部構成材料をCVD法にてカソ
ード電極上に形成する工程と、(b)支持体を電場中に
置くことにより、電子放出部構成材料の先端部を配向さ
せる工程と、(c)電子放出部構成材料をマトリックス
で被覆し、以て、電子放出部構成材料の先端部が突出し
た状態で電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込
まれた電子放出部を形成する工程、によって形成するこ
とを特徴とする。
【0024】上記の目的を達成するための本発明の第4
の態様に係る電子放出体の製造方法は、(a)バインダ
材料に電子放出部構成材料を分散させたものを基体に塗
布する工程と、(b)基体を電場中に置くことにより、
電子放出部構成材料の先端部を配向させる工程と、
(c)バインダ材料の焼成あるいは硬化を行い、以て、
電子放出部構成材料の先端部が突出した状態で電子放出
部構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部
を形成する工程、から成ることを特徴とする。
【0025】上記の目的を達成するための本発明の第4
の態様に係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法は、
(A)支持体上に形成されたカソード電極、及び、
(B)カソード電極上に形成された電子放出部、から成
る冷陰極電界電子放出素子の製造方法であって、(a)
バインダ材料に電子放出部構成材料を分散させたものを
カソード電極に塗布する工程と、(b)支持体を電場中
に置くことにより、電子放出部構成材料の先端部を配向
させる工程と、(c)バインダ材料の焼成あるいは硬化
を行い、以て、電子放出部構成材料の先端部が突出した
状態で電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込ま
れた電子放出部を形成する工程、から成ることを特徴と
する。
【0026】上記の目的を達成するための本発明の第4
の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法
は、冷陰極電界電子放出素子が複数設けられたカソード
パネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを備えたアノ
ードパネルが、それらの周縁部で接合されて成る、所謂
2電極型の冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法であ
って、冷陰極電界電子放出素子は、(A)支持体上に形
成されたカソード電極、及び、(B)カソード電極上に
形成された電子放出部、から成り、冷陰極電界電子放出
素子を、(a)バインダ材料に電子放出部構成材料を分
散させたものをカソード電極に塗布する工程と、(b)
支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構成材料
の先端部を配向させる工程と、(c)バインダ材料の焼
成あるいは硬化を行い、以て、電子放出部構成材料の先
端部が突出した状態で電子放出部構成材料がマトリック
ス中に埋め込まれた電子放出部を形成する工程、によっ
て形成することを特徴とする。
【0027】上記の目的を達成するための本発明の第5
の態様に係る電子放出体の製造方法は、(a)電子放出
部構成材料が分散された金属化合物溶液を基体に塗布す
る工程と、(b)基体を電場中に置くことにより、電子
放出部構成材料の先端部を配向させる工程と、(c)金
属化合物を焼成し、以て、電子放出部構成材料の先端部
が突出した状態で電子放出部構成材料がマトリックス中
に埋め込まれた電子放出部を形成する工程、から成るこ
とを特徴とする。
【0028】上記の目的を達成するための本発明の第5
の態様に係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法は、
(A)支持体上に形成されたカソード電極、及び、
(B)カソード電極上に形成された電子放出部、から成
る冷陰極電界電子放出素子の製造方法であって、(a)
電子放出部構成材料が分散された金属化合物溶液をカソ
ード電極に塗布する工程と、(b)支持体を電場中に置
くことにより、電子放出部構成材料の先端部を配向させ
る工程と、(c)金属化合物を焼成し、以て、電子放出
部構成材料の先端部が突出した状態で電子放出部構成材
料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部を形成す
る工程、から成ることを特徴とする。
【0029】上記の目的を達成するための本発明の第5
の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法
は、冷陰極電界電子放出素子が複数設けられたカソード
パネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを備えたアノ
ードパネルが、それらの周縁部で接合されて成る、所謂
2電極型の冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法であ
って、冷陰極電界電子放出素子は、(A)支持体上に形
成されたカソード電極、及び、(B)カソード電極上に
形成された電子放出部、から成り、冷陰極電界電子放出
素子を、(a)電子放出部構成材料が分散された金属化
合物溶液をカソード電極に塗布する工程と、(b)支持
体を電場中に置くことにより、電子放出部構成材料の先
端部を配向させる工程と、(c)金属化合物を焼成し、
以て、電子放出部構成材料の先端部が突出した状態で電
子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子
放出部を形成する工程、によって形成することを特徴と
する。
【0030】本発明の第2の態様〜第5の態様に係る電
子放出体、冷陰極電界電子放出素子あるいは冷陰極電界
電子放出表示装置の製造方法にあっては、前記工程
(c)において、マトリックスの一部を除去し、先端部
が突出した状態で電子放出部構成材料がマトリックス中
に埋め込まれた電子放出部を形成することが好ましい
が、電子放出部の形成条件によっては、先端部が突出し
た状態で電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込
まれた電子放出部を、直接、形成することが可能であ
る。本発明の第2の態様若しくは第3の態様に係る電子
放出体、冷陰極電界電子放出素子あるいは冷陰極電界電
子放出表示装置の製造方法にあっては、マトリックスは
ダイヤモンド状アモルファスカーボンから成ることが望
ましいが、これに限定するものではない。本発明の第5
の態様に係る電子放出体、冷陰極電界電子放出素子ある
いは冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法にあって
は、金属化合物は、有機金属化合物から成り、あるいは
又、有機酸金属化合物から成り、あるいは又、金属塩
(例えば、塩化物、硝酸塩、酢酸塩)から成ることが好
ましく、マトリックスは導電性を有する金属酸化物から
成ることが望ましく、より具体的には、マトリックス
は、酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウム−錫、酸
化亜鉛、酸化アンチモン、又は、酸化アンチモン−錫か
ら成ることが好ましい。
【0031】各種の構成を含む本発明の第2の態様〜第
5の態様に係る電子放出体、冷陰極電界電子放出素子あ
るいは冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法にあって
は、電子放出部構成材料をカーボン・ナノチューブ構造
体から構成することが望ましいが、これに限定するもの
ではない。
【0032】上記の目的を達成するための本発明の第6
の態様に係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法は、
(A)支持体上に設けられたカソード電極、(B)支持
体及びカソード電極の上に形成された絶縁層、(C)絶
縁層上に形成されたゲート電極、(D)ゲート電極及び
絶縁層に形成された開口部、及び、(E)開口部の底部
に露出した電子放出部、から成る冷陰極電界電子放出素
子の製造方法であって、(a)支持体上にカソード電極
を形成する工程と、(b)カソード電極上に、先端部が
突出した状態で電子放出部構成材料がマトリックス中に
埋め込まれた電子放出部を形成する工程と、(c)全面
に絶縁層を形成する工程と、(d)絶縁層上にゲート電
極を形成する工程と、(e)少なくとも絶縁層に開口部
を形成し、開口部の底部に、先端部が突出した状態で電
子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子
放出部を露出させる工程と、(f)支持体を電場中に置
くことにより、電子放出部構成材料の先端部を配向させ
る工程、を具備することを特徴とする。
【0033】上記の目的を達成するための本発明の第6
の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法
は、冷陰極電界電子放出素子が複数設けられたカソード
パネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを備えたアノ
ードパネルが、それらの周縁部で接合されて成る、所謂
3電極型の冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法であ
って、冷陰極電界電子放出素子は、(A)支持体上に設
けられたカソード電極、(B)支持体及びカソード電極
の上に形成された絶縁層、(C)絶縁層上に形成された
ゲート電極、(D)ゲート電極及び絶縁層に形成された
開口部、及び、(E)開口部の底部に露出した電子放出
部、から成り、冷陰極電界電子放出素子を、(a)支持
体上にカソード電極を形成する工程と、(b)カソード
電極上に、先端部が突出した状態で電子放出部構成材料
がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部を形成する
工程と、(c)全面に絶縁層を形成する工程と、(d)
絶縁層上にゲート電極を形成する工程と、(e)少なく
とも絶縁層に開口部を形成し、開口部の底部に、先端部
が突出した状態で電子放出部構成材料がマトリックス中
に埋め込まれた電子放出部を露出させる工程と、(f)
支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構成材料
の先端部を配向させる工程、によって形成することを特
徴とする。
【0034】上記の目的を達成するための本発明の第7
の態様に係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法は、
(A)支持体上に設けられたカソード電極、(B)支持
体及びカソード電極の上に形成された絶縁層、(C)絶
縁層上に形成されたゲート電極、(D)ゲート電極及び
絶縁層に形成された開口部、及び、(E)開口部の底部
に露出した電子放出部、から成る冷陰極電界電子放出素
子の製造方法であって、(a)支持体上にカソード電極
を形成する工程と、(b)カソード電極上に、電子放出
部構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部
を形成する工程と、(c)全面に絶縁層を形成する工程
と、(d)絶縁層上にゲート電極を形成する工程と、
(e)少なくとも絶縁層に開口部を形成し、開口部の底
部に、電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込ま
れた電子放出部を露出させる工程と、(f)マトリック
スの一部を除去し、先端部が突出した状態で電子放出部
構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部を
形成する工程と、(g)支持体を電場中に置くことによ
り、電子放出部構成材料の先端部を配向させる工程、を
具備することを特徴とする。
【0035】上記の目的を達成するための本発明の第7
の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法
は、冷陰極電界電子放出素子が複数設けられたカソード
パネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを備えたアノ
ードパネルが、それらの周縁部で接合されて成る、所謂
3電極型の冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法であ
って、冷陰極電界電子放出素子は、(A)支持体上に設
けられたカソード電極、(B)支持体及びカソード電極
の上に形成された絶縁層、(C)絶縁層上に形成された
ゲート電極、(D)ゲート電極及び絶縁層に形成された
開口部、及び、(E)開口部の底部に露出した電子放出
部、から成り、冷陰極電界電子放出素子を、(a)支持
体上にカソード電極を形成する工程と、(b)カソード
電極上に、電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め
込まれた電子放出部を形成する工程と、(c)全面に絶
縁層を形成する工程と、(d)絶縁層上にゲート電極を
形成する工程と、(e)少なくとも絶縁層に開口部を形
成し、開口部の底部に、電子放出部構成材料がマトリッ
クス中に埋め込まれた電子放出部を露出させる工程と、
(f)マトリックスの一部を除去し、先端部が突出した
状態で電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込ま
れた電子放出部を形成する工程と、(g)支持体を電場
中に置くことにより、電子放出部構成材料の先端部を配
向させる工程、によって形成することを特徴とする。
【0036】本発明の第6の態様に係る冷陰極電界電子
放出素子の製造方法あるいは冷陰極電界電子放出表示装
置の製造方法と、本発明の第7の態様に係る冷陰極電界
電子放出素子の製造方法あるいは冷陰極電界電子放出表
示装置の製造方法との相違点は、マトリックスの一部を
除去する工程の有無にある。上記の工程(b)における
電子放出部の形成条件に依存して、先端部が突出した状
態で電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込まれ
た電子放出部が形成され、あるいは又、電子放出部構成
材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部が形成
される。
【0037】本発明の第6の態様若しくは第7の態様に
係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法あるいは冷陰極
電界電子放出表示装置の製造方法(以下、これらを総称
して、単に、本発明の第6の態様若しくは第7の態様に
係る製造方法と呼ぶ)において、前記工程(b)を、電
子放出部構成材料を有機溶媒中に分散させたものをカソ
ード電極に塗布し、有機溶媒を除去した後、電子放出部
構成材料をマトリックスで被覆する工程から構成するこ
とができる。あるいは又、前記工程(b)を、電子放出
部構成材料をCVD法にてカソード電極上に形成した
後、電子放出部構成材料をマトリックスで被覆する工程
から構成することができる。そして、これらの場合、マ
トリックスはダイヤモンド状アモルファスカーボンから
成ることが好ましいが、これに限定するものではない。
【0038】あるいは又、本発明の第6の態様若しくは
第7の態様に係る製造方法において、前記工程(b)
を、バインダ材料に電子放出部構成材料を分散させたも
のをカソード電極に塗布した後、バインダ材料の焼成あ
るいは硬化を行う工程から構成することができる。
【0039】あるいは又、本発明の第6の態様若しくは
第7の態様に係る製造方法において、前記工程(b)
を、電子放出部構成材料が分散された金属化合物溶液を
カソード電極に塗布した後、金属化合物を焼成する工程
から構成することができる。そして、この場合、金属化
合物は、有機金属化合物から成り、あるいは又、有機酸
金属化合物から成り、あるいは又、金属塩(例えば、塩
化物、硝酸塩、酢酸塩)から成ることが好ましい。ま
た、マトリックスは導電性を有する金属酸化物から成る
ことが望ましく、より具体的には、マトリックスは、酸
化錫、酸化インジウム、酸化インジウム−錫、酸化亜
鉛、酸化アンチモン、又は、酸化アンチモン−錫から成
ることが好ましい。
【0040】上記の目的を達成するための本発明の第8
の態様に係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法は、
(A)支持体上に設けられたカソード電極、(B)支持
体及びカソード電極の上に形成された絶縁層、(C)絶
縁層上に形成されたゲート電極、(D)ゲート電極及び
絶縁層に形成された開口部、及び、(E)開口部の底部
に露出した電子放出部、から成る冷陰極電界電子放出素
子の製造方法であって、(a)支持体上にカソード電極
を形成する工程と、(b)全面に絶縁層を形成する工程
と、(c)絶縁層上にゲート電極を形成する工程と、
(d)少なくとも絶縁層に開口部を形成し、開口部の底
部にカソード電極を露出させる工程と、(e)開口部の
底部に露出したカソード電極の部分の上に、先端部が突
出した状態で電子放出部構成材料がマトリックス中に埋
め込まれた電子放出部を形成する工程と、(f)支持体
を電場中に置くことにより、電子放出部構成材料の先端
部を配向させる工程、を具備することを特徴とする。
【0041】上記の目的を達成するための本発明の第8
の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法
は、冷陰極電界電子放出素子が複数設けられたカソード
パネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを備えたアノ
ードパネルが、それらの周縁部で接合されて成る、所謂
3電極型の冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法であ
って、冷陰極電界電子放出素子は、(A)支持体上に設
けられたカソード電極、(B)支持体及びカソード電極
の上に形成された絶縁層、(C)絶縁層上に形成された
ゲート電極、(D)ゲート電極及び絶縁層に形成された
開口部、及び、(E)開口部の底部に露出した電子放出
部、から成り、冷陰極電界電子放出素子を、(a)支持
体上にカソード電極を形成する工程と、(b)全面に絶
縁層を形成する工程と、(c)絶縁層上にゲート電極を
形成する工程と、(d)少なくとも絶縁層に開口部を形
成し、開口部の底部にカソード電極を露出させる工程
と、(e)開口部の底部に露出したカソード電極の部分
の上に、先端部が突出した状態で電子放出部構成材料が
マトリックス中に埋め込まれた電子放出部を形成する工
程と、(f)支持体を電場中に置くことにより、電子放
出部構成材料の先端部を配向させる工程、によって形成
することを特徴とする。
【0042】上記の目的を達成するための本発明の第9
の態様に係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法は、
(A)支持体上に設けられたカソード電極、(B)支持
体及びカソード電極の上に形成された絶縁層、(C)絶
縁層上に形成されたゲート電極、(D)ゲート電極及び
絶縁層に形成された開口部、及び、(E)開口部の底部
に露出した電子放出部、から成る冷陰極電界電子放出素
子の製造方法であって、(a)支持体上にカソード電極
を形成する工程と、(b)全面に絶縁層を形成する工程
と、(c)絶縁層上にゲート電極を形成する工程と、
(d)少なくとも絶縁層に開口部を形成し、開口部の底
部にカソード電極を露出させる工程と、(e)開口部の
底部に露出したカソード電極の部分の上に、電子放出部
構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部を
形成する工程と、(f)マトリックスの一部を除去し、
先端部が突出した状態で電子放出部構成材料がマトリッ
クス中に埋め込まれた電子放出部を形成する工程と、
(g)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
成材料の先端部を配向させる工程、を具備することを特
徴とする。
【0043】上記の目的を達成するための本発明の第9
の態様に係る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法
は、冷陰極電界電子放出素子が複数設けられたカソード
パネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを備えたアノ
ードパネルが、それらの周縁部で接合されて成る、所謂
3電極型の冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法であ
って、冷陰極電界電子放出素子は、(A)支持体上に設
けられたカソード電極、(B)支持体及びカソード電極
の上に形成された絶縁層、(C)絶縁層上に形成された
ゲート電極、(D)ゲート電極及び絶縁層に形成された
開口部、及び、(E)開口部の底部に露出した電子放出
部、から成り、冷陰極電界電子放出素子を、(a)支持
体上にカソード電極を形成する工程と、(b)全面に絶
縁層を形成する工程と、(c)絶縁層上にゲート電極を
形成する工程と、(d)少なくとも絶縁層に開口部を形
成し、開口部の底部にカソード電極を露出させる工程
と、(e)開口部の底部に露出したカソード電極の部分
の上に、電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込
まれた電子放出部を形成する工程と、(f)マトリック
スの一部を除去し、先端部が突出した状態で電子放出部
構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部を
形成する工程と、(g)支持体を電場中に置くことによ
り、電子放出部構成材料の先端部を配向させる工程、に
よって形成することを特徴とする。
【0044】本発明の第8の態様に係る冷陰極電界電子
放出素子の製造方法あるいは冷陰極電界電子放出表示装
置の製造方法と、本発明の第9の態様に係る冷陰極電界
電子放出素子の製造方法あるいは冷陰極電界電子放出表
示装置の製造方法との相違点は、マトリックスの一部を
除去する工程の有無にある。上記の工程(e)における
電子放出部の形成条件に依存して、先端部が突出した状
態で電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込まれ
た電子放出部が形成され、あるいは又、電子放出部構成
材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部が形成
される。
【0045】本発明の第8の態様若しくは第9の態様に
係る冷陰極電界電子放出素子の製造方法あるいは冷陰極
電界電子放出表示装置の製造方法(以下、これらを総称
して、単に、本発明の第8の態様若しくは第9の態様に
係る製造方法と呼ぶ)において、前記工程(e)を、電
子放出部構成材料を有機溶媒中に分散させたものをカソ
ード電極に塗布し、有機溶媒を除去した後、電子放出部
構成材料をマトリックスで被覆する工程から構成するこ
とができる。あるいは又、前記工程(e)を、電子放出
部構成材料をCVD法にてカソード電極上に形成した
後、電子放出部構成材料をマトリックスで被覆する工程
から構成することができる。そして、これらの場合、マ
トリックスはダイヤモンド状アモルファスカーボンから
成ることが好ましいが、これに限定するものではない。
【0046】あるいは又、本発明の第8の態様若しくは
第9の態様に係る製造方法において、前記工程(e)
を、バインダ材料に電子放出部構成材料を分散させたも
のをカソード電極に塗布した後、バインダ材料の焼成あ
るいは硬化を行う工程から構成することができる。
【0047】あるいは又、本発明の第8の態様若しくは
第9の態様に係る製造方法において、前記工程(e)
を、電子放出部構成材料が分散された金属化合物溶液を
カソード電極に塗布した後、金属化合物を焼成する工程
から構成することができる。そして、この場合、金属化
合物は、有機金属化合物から成り、あるいは又、有機酸
金属化合物から成り、あるいは又、金属塩(例えば、塩
化物、硝酸塩、酢酸塩)から成ることが好ましい。ま
た、マトリックスは導電性を有する金属酸化物から成る
ことが望ましく、より具体的には、マトリックスは、酸
化錫、酸化インジウム、酸化インジウム−錫、酸化亜
鉛、酸化アンチモン、又は、酸化アンチモン−錫から成
ることが好ましい。
【0048】各種の構成を含む本発明の第6の態様〜第
9の態様に係る冷陰極電界電子放出素子あるいは冷陰極
電界電子放出表示装置の製造方法にあっては、電子放出
部構成材料をカーボン・ナノチューブ構造体から構成す
ることが望ましいが、これに限定するものではない。
【0049】各種の構成を含む各種の態様に係る本発明
の電子放出体の製造方法、冷陰極電界電子放出素子の製
造方法あるいは冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法
(以下、これらを総称して、単に、本発明の製造方法と
呼ぶ場合がある)において、電場の強度は、103ボル
ト/m乃至2×108ボルト/m、好ましくは1×10 5
ボルト/m乃至5×107ボルト/mであることが望ま
しい。
【0050】本発明の第1の態様〜第5の態様に係る電
子放出体の製造方法によって、冷陰極電界電子放出素子
の電子放出部や、陰極線管に組み込まれる電子銃におけ
る電子線源に例示される各種電子線源、蛍光表示管を得
ることができる。
【0051】[第1の方法]本発明の製造方法におい
て、電子放出部構成材料を有機溶媒中に分散させたもの
を基体若しくはカソード電極に塗布し、有機溶媒を除去
した後、電子放出部構成材料をマトリックスで被覆する
方法を、以下、便宜上、第1の方法と呼ぶ。この第1の
方法の具体例として、電子放出部構成材料をトルエンや
アルコール等の有機溶媒中に分散させておき、かかる有
機溶媒を基体若しくはカソード電極上にスピンコーティ
ング法によって、あるいは又、ナノスプレー法やアトミ
ックスプレー法等の各種スプレー法によって塗布し、有
機溶媒を除去した後、電子放出部構成材料をダイヤモン
ド状アモルファスカーボンで被覆する方法を挙げること
ができる。尚、電子放出部を形成すべき部分以外の基体
若しくはカソード電極の部分を被覆した状態で電子放出
部構成材料を有機溶媒中に分散させたものを塗布すれ
ば、不要な部分に電子放出部が形成されることを防止で
きる。あるいは又、電子放出部構成材料を有機溶媒中に
分散させたものを基体若しくはカソード電極に塗布し、
有機溶媒を除去した後、不要な部分を除去してもよい
し、電子放出部を形成した後、電子放出部の不要な部分
を除去してもよい。
【0052】[第2の方法]また、本発明の製造方法に
おいて、電子放出部構成材料をCVD法にて基体若しく
はカソード電極上に形成した後、電子放出部構成材料を
マトリックスで被覆する方法を、以下、便宜上、第2の
方法と呼ぶ。この第2の方法の具体例として、電子放出
部構成材料(より具体的には、好ましくはカーボン・ナ
ノチューブ構造体)をプラズマCVD法やレーザCVD
法、熱CVD法、気相合成法、気相成長法といった各種
のCVD法にてカソード電極あるいは基体上に形成した
後、電子放出部構成材料をダイヤモンド状アモルファス
カーボンで被覆する方法を挙げることができる。尚、電
子放出部を形成すべき部分以外の基体若しくはカソード
電極の部分を被覆した状態で電子放出部構成材料を形成
すれば、不要な部分に電子放出部が形成されることを防
止できる。あるいは又、後述する選択成長領域を形成す
れば、不要な部分に電子放出部が形成されることを防止
できる。また、電子放出部構成材料をCVD法にて基体
若しくはカソード電極上に形成した後、不要部分を除去
してもよいし、あるいは又、電子放出部を形成した後、
電子放出部の不要な部分を除去してもよい。
【0053】[第3の方法]更には、本発明の製造方法
において、バインダ材料に電子放出部構成材料を分散さ
せたもの(以下、導電性組成物と呼ぶ場合がある)を基
体若しくはカソード電極に塗布した後、バインダ材料の
焼成あるいは硬化を行う方法を、以下、便宜上、第3の
方法と呼ぶ。この第3の方法の具体例として、有機系バ
インダ材料や無機系バインダ材料に電子放出部構成材料
を分散したもの(導電性組成物)を、基体若しくはカソ
ード電極に例えば塗布した後、溶媒の除去、バインダ材
料の焼成・硬化を行う方法を挙げることができる。尚、
塗布方法として、スクリーン印刷法を例示することがで
きる。あるいは又、リフトオフ法と組み合わせた塗布
法、カーボン粒子を用いた(具体的には、カーボン粒子
を分散させたアンモニア溶液を電解液として用いた)電
気泳動法に基づき、電子放出部を形成することもできる
し、感光性ペースト法にて電子放出部を形成することも
できる。尚、電子放出部を形成すべき部分以外の基体若
しくはカソード電極の部分を被覆した状態で導電性組成
物を塗布すれば、不要な部分に電子放出部が形成される
ことを防止できる。あるいは又、導電性組成物を基体若
しくはカソード電極に塗布した後、不要な部分を除去し
てもよいし、電子放出部を形成した後、電子放出部の不
要な部分を除去してもよい。導電性組成物の塗布後、導
電性組成物を乾燥し、あるいは又、仮焼成することが望
ましい。
【0054】ここで、バインダ材料として、例えば水ガ
ラスといった無機系バインダや汎用樹脂から成る有機系
バインダを使用することができる。汎用樹脂として、塩
化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系
樹脂、セルロースエステル系樹脂、フッ素系樹脂等の熱
可塑性樹脂や、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ
エステル系樹脂等の熱硬化性樹脂を例示することができ
る。バインダ材料を硬化させるための熱処理の温度は、
バインダ材料の種類に応じて、適宜、決定すればよい。
例えば、バインダ材料が水ガラスのような無機材料であ
る場合には、無機材料を焼成し得る温度で熱処理を行え
ばよい。バインダ材料が熱硬化性樹脂である場合には、
熱硬化性樹脂を硬化し得る温度で熱処理を行えばよい。
但し、電子放出部構成材料同士の密着性を保つために、
熱硬化性樹脂が過度に分解したり炭化する虞のない温度
で熱処理を行うことが好適である。いずれのバインダ材
料を用いるにしても、熱処理温度は、基体やゲート電
極、カソード電極、絶縁層に損傷や欠陥が生じない温度
とする必要がある。熱処理雰囲気は、基体やゲート電
極、カソード電極の電気抵抗率が酸化によって上昇した
り、あるいは、基体やゲート電極、カソード電極に欠陥
や損傷が生ずることのないように、不活性ガス雰囲気と
することが好ましい。バインダ材料として熱可塑性樹脂
を使用した場合には、熱処理を必要としない場合があ
る。
【0055】バインダ材料に電子放出部構成材料を分散
させたもの(導電性組成物)における分散媒は、水ガラ
スのように分散媒を兼ね得るバインダ材料であってもよ
いし、水であってもよいし、あるいは、アルコール系、
エーテル系、ケトン系、エステル系、炭化水素系等の有
機溶媒であってもよい。即ち、バインダ材料は、(1)
それ自身が電子放出部構成材料の分散媒であってもよい
し、(2)電子放出部構成材料を被覆していてもよい
し、(3)適当な溶媒に分散あるいは溶解させることに
よって、電子放出部構成材料の分散媒を構成してもよ
い。(3)のケースの典型例は水ガラスであり、日本工
業規格(JIS)K1408に規定される1号乃至4
号、又はこれらの同等品を使用することができる。1号
乃至4号は、水ガラスの構成成分である酸化ナトリウム
(Na2O)1モルに対する酸化珪素(SiO2)のモル
数(約2〜4モル)の違いに基づく4段階の等級であ
り、それぞれ粘度が大きく異なる。従って、リフトオフ
・プロセスで水ガラスを使用する際には、水ガラスに分
散させる電子放出部構成材料の種類や含有量、剥離層と
の親和性、開口部のアスペクト比等の諸条件を考慮し
て、最適な等級の水ガラスを選択するか、又は、これら
の等級と同等の水ガラスを調製して使用することが好ま
しい。あるいは又、K2Oを主成分とする水ガラスを用
いることもできる。
【0056】バインダ材料は一般に導電性に劣るので、
電子放出部構成材料の含有量に対してバインダ材料の含
有量が多過ぎると、形成される電子放出部の電気抵抗値
が上昇し、電子放出が円滑に行われなくなる虞がある。
従って、例えば水ガラス中に電子放出部構成材料として
炭素系材料粒子を分散させて成る導電性組成物を例にと
ると、導電性組成物の全重量に占める炭素系材料粒子の
割合は、電子放出部の電気抵抗値、導電性組成物の粘
度、炭素系材料粒子同士の接着性等の特性を考慮し、概
ね30〜95重量%の範囲に選択することが好ましい。
炭素系材料粒子の割合をかかる範囲内に選択することに
より、形成される電子放出部の電気抵抗値を十分に下げ
ると共に、炭素系材料粒子同士の接着性を良好に保つこ
とが可能となる。但し、電子放出部構成材料として炭素
系材料粒子にアルミナ粒子を混合して用いた場合には、
炭素系材料粒子同士の接着性が低下する傾向があるの
で、アルミナ粒子の含有量に応じて炭素系材料粒子の割
合を高めることが好ましく、60重量%以上とすること
が特に好ましい。尚、導電性組成物には、電子放出部構
成材料の分散状態を安定化させるための分散剤や、pH
調整剤、乾燥剤、硬化剤、防腐剤等の添加剤が含まれて
いてもよい。尚、電子放出部構成材料を結合剤(バイン
ダ)の被膜で覆った粉体を、適当な分散媒中に分散させ
て成る導電性組成物を用いてもよい。
【0057】[第4の方法]また、本発明の製造方法に
おいて、電子放出部構成材料が分散された金属化合物溶
液を基体若しくはカソード電極に塗布した後、金属化合
物を焼成する方法を、以下、便宜上、第4の方法と呼
ぶ。この第4の方法において、電子放出部構成材料が分
散された金属化合物溶液を基体あるいはカソード電極に
塗布する方法として、スプレー法、スピンコーティング
法、ディッピング法、ダイクォーター法、スクリーン印
刷法を例示することができるが、中でもスプレー法を採
用することが塗布の容易性といった観点から好ましい。
金属化合物溶液を塗布後、乾燥させることが望ましい
が、場合によっては、基体若しくは支持体を十分加熱す
ることによって、塗布後、あるいは、塗布と同時に焼成
を行うことも可能である。
【0058】本発明の第6の態様若しくは第7の態様に
係る冷陰極電界電子放出素子あるいは冷陰極電界電子放
出表示装置の製造方法にあっては、支持体上に設けられ
たカソード電極上に電子放出部を形成するが、この場
合、開口部の底部に相当するカソード電極の部分に電子
放出部を形成してもよいし、ストライプ状のカソード電
極の射影像とストライプ状のゲート電極の射影像が重複
する領域(電子放出領域と呼ぶ)を占めるカソード電極
の部分に電子放出部を形成してもよいし、あるいは又、
ストライプ状のカソード電極全体に電子放出部を形成し
てもよい。更には、電子放出部が全体として電気的に絶
縁体である場合には、カソード電極及び支持体の上に電
子放出部を形成してもよい。尚、開口部の底部に位置す
るカソード電極の部分にのみ電子放出部を形成すれば、
電子放出部構成材料及びマトリックスが隣接する開口部
を跨って配置されることがなくなり、電流リークの発生
を確実に防止することができる。
【0059】本発明の第6の態様若しくは第7の態様に
係る冷陰極電界電子放出素子あるいは冷陰極電界電子放
出表示装置の製造方法においては、カソード電極上に電
子放出部を形成した後、電子放出部上にバッファ層を形
成してもよい。バッファ層を形成することによって、少
なくとも絶縁層に開口部を形成したとき、開口部の形成
完了を確実に検知することが可能となる。開口部の形成
後、バッファ層を除去する。尚、バッファ層を構成する
材料は、絶縁層を構成する材料に対してエッチング選択
比を有する材料から適宜選択すればよく、導電材料であ
っても絶縁材料であってもよい。
【0060】本発明の製造方法において、電子放出部構
成材料は、形状異方性を有していることが好ましい。即
ち、電子放出部構成材料の形状は、例えば、柱状、針
状、板状、ウィスカー状であることが望ましい。
【0061】電子放出部構成材料が柱状、針状である場
合、電子放出部構成材料の長手方向に沿った長さをL、
電子放出部構成材料の長手方向と直角の方向における断
面積をSとしたとき、L/[2(S/π)1/2]の値
(アスペクト比)は、1×10乃至1×105、好まし
くは1×102乃至1×104であることが望ましい。
【0062】また、電子放出部構成材料が板状粒子であ
る場合、平坦面の面積(S)の平方根[S1/2]を厚さ
(t)で除して求められる導電性粒子のアスペクト比
[S1/2/t]の平均値が5以上、より好ましくは10
以上であることが望ましい。更には、導電性粒子の平坦
面の外形形状は略円形であり、平坦面の面積(S)の平
方根(S1/2)の平均値(以下、面積の平方根と称す
る)が4.4μm以下であることが好ましい。面積の平
方根が4.4μm以下であることは、仮に全ての導電性
粒子の外形形状を円形と仮定すると、その平均直径が約
5μmであることに相当する。面積の平方根は、2.7
μm(平均直径約3μmに相当)以下であることがより
好ましい。更に、面積の平方根が0.09μm(平均直
径約0.1μmに相当)以下の電子放出部構成材料が電
子放出部構成材料の全体重量の40〜95%を占めてい
ることが好適であり、面積の平方根が0.04〜0.0
7μm(平均直径約0.05〜0.08μmに相当)で
あることが特に好ましい。尚、電子放出部構成材料の外
形形状が円形である場合の粒子径(ストークス径)及び
粒度分布は、遠心沈降光透過型粒度分布測定装置を用い
た測定から求めることができる。
【0063】本発明の製造方法において、電子放出部構
成材料としてカーボン・ナノチューブ構造体を用いる場
合、カーボン・ナノチューブ構造体を、カーボン・ナノ
チューブ及び/又はカーボン・ナノファイバーから構成
することが好ましい。カーボン・ナノチューブから電子
放出部を構成してもよいし、カーボン・ナノファイバー
から電子放出部を構成してもよいし、カーボン・ナノチ
ューブとカーボン・ナノファイバーの混合物から電子放
出部を構成してもよい。
【0064】場合によっては、カーボン・ナノチューブ
構造体を、磁性材料(例えば、鉄やコバルト、ニッケ
ル)を内包したカーボン・ナノチューブ及び/又はカー
ボン・ナノファイバーから構成することもできるし、あ
るいは又、表面に磁性材料層が形成されたカーボン・ナ
ノチューブ及び/又はカーボン・ナノファイバーから構
成することもできる。この場合、電場中に置くことによ
って電子放出部構成材料の先端部を配向させる前の適切
な段階において、基体若しくは支持体を磁界中に置くこ
とにより、カーボン・ナノチューブ構造体を配向させる
ことが好ましい。これによって、カーボン・ナノチュー
ブ構造体の先端部を、基体若しくは支持体の法線方向に
近づく方向に出来る限り配向させることができる。磁界
における最大磁束密度は、0.001テスラ〜100テ
スラ、好ましくは0.1テスラ〜5テスラであることが
望ましい。磁性材料(例えば、鉄やコバルト、ニッケル
等)を内包したカーボン・ナノチューブ及び/又はカー
ボン・ナノファイバーは、触媒として機能する磁性材料
が、カーボン・ナノチューブやカーボン・ナノファイバ
ーの製造時にカーボン・ナノチューブやカーボン・ナノ
ファイバーの内部に取り込まれることによって製造され
る。また、例えば、鉄やコバルト、ニッケル、亜鉛、マ
ンガン、バリウム、ストロンチウム、フェライト等から
成る磁性材料層が表面に形成されたカーボン・ナノチュ
ーブ及び/又はカーボン・ナノファイバーは、カーボン
・ナノチューブやカーボン・ナノファイバーの表面に、
無電解メッキ法、電気メッキ法、蒸着法やスパッタリン
グ法といった物理的気相成長法(PVD法)、化学的気
相成長法(CVD法)にて磁性材料層を形成することに
よって得ることができる。
【0065】電子放出部を占めるカーボン・ナノチュー
ブ構造体の重量割合は、カーボン・ナノチューブ構造体
とマトリックスとの合計重量を100としたとき、0.
001乃至40であることが好ましい。
【0066】カーボン・ナノチューブとカーボン・ナノ
ファイバーとの相違は、これらの結晶性にある。sp2
結合を有する炭素原子は、通常、6個の炭素原子から六
員環を構成し、これらの六員環の集まりがカーボングラ
ファイトシートを構成する。このカーボングラファイト
シートが巻かれたチューブ構造を有するものがカーボン
・ナノチューブである。尚、1層のカーボングラファイ
トシートが巻かれた構造を有する単層カーボン・ナノチ
ューブであってもよいし、2層以上のカーボングラファ
イトシートが巻かれた構造を有する多層カーボン・ナノ
チューブであってもよい。一方、カーボングラファイト
シートが巻かれておらず、カーボングラファイトのフラ
グメントが重なってファイバー状になったものが、カー
ボン・ナノファイバーである。カーボン・ナノチューブ
あるいはカーボン・ナノファイバーとカーボン・ウィス
カーとの違いは明確ではないが、一般に、カーボン・ナ
ノチューブあるいはカーボン・ナノファイバーの直径は
1μm以下、例えば、1nm〜300nm程度である。
【0067】また、第1の方法、第3の方法、第4の方
法において、電子放出部構成材料としてカーボン・ナノ
チューブ構造体を用いる場合、カーボン・ナノチューブ
やカーボン・ナノファイバーは、巨視的には、粉末状で
あることが好ましい。カーボン・ナノチューブやカーボ
ン・ナノファイバーの製造方法として、周知のアーク放
電法やレーザアブレーション法といったPVD法、プラ
ズマCVD法やレーザCVD法、熱CVD法、気相合成
法、気相成長法といった各種のCVD法を挙げることが
できる。
【0068】また、第1の方法、第3の方法、第4の方
法において、電子放出部構成材料としてカーボン・ナノ
チューブ構造体を用いる場合、場合によっては、例えば
平均粒径10nm乃至1μmのシリカ、例えば平均粒径
5nm乃至3μmのニッケル、銀に例示される粉状物質
あるいは粒状物質を、カーボン・ナノチューブ構造体を
分散させた有機溶媒、バインダ材料にカーボン・ナノチ
ューブ構造体を分散させたもの、金属化合物溶液に添加
してもよく、これによって、カーボン・ナノチューブ構
造体が粉状物質あるいは粒状物質に寄りかかるようにし
て基体若しくはカソード電極に対して角度を持って基体
若しくはカソード電極上に配置される。尚、シリカと銀
といった異なる粉状物質あるいは粒状物質を混合して用
いてもよい。また、マトリックスの厚さを増加させると
いった観点から、カーボン・ナノチューブ構造体を分散
させた有機溶媒、バインダ材料にカーボン・ナノチュー
ブ構造体を分散させたもの、金属化合物溶液に、カーボ
ンブラック等の添加物を添加してもよい。
【0069】第2の方法において、電子放出部構成材料
としてカーボン・ナノチューブ構造体を用いる場合、C
VD法の条件や下地に依存するが、カーボン・ナノチュ
ーブやカーボン・ナノファイバーは、巨視的には、粉末
状であってもよいし、薄膜状であってもよい。
【0070】第2の方法において、カーボン・ナノチュ
ーブあるいはカーボン・ナノファイバーをプラズマCV
D法にて基体あるいはカソード電極上に形成する場合、
プラズマCVD法における原料ガスとして、炭化水素系
ガス、あるいは、炭化水素系ガスと水素ガスの組合せを
用いることが好ましい。ここで、炭化水素系ガスとし
て、メタン(CH4)、エタン(C26)、プロパン
(C38)、ブタン(C4 10)、エチレン(C
24)、アセチレン(C22)等の炭化水素系ガスやこ
れらの混合ガス、メタノール、エタノール、アセトン、
ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン等を気化し
たガスを挙げることができる。また、放電を安定にさせ
るため及びプラズマ解離を促進するために、ヘリウム
(He)やアルゴン(Ar)等の希釈用ガスを混合して
もよいし、窒素、アンモニア等のドーピングガスを混合
してもよい。
【0071】上記第2の方法において、プラズマCVD
法によるカーボン・ナノチューブの形成にあっては、基
体若しくは支持体にバイアス電圧を印加した状態で、プ
ラズマ密度を1×1012/cm3以上、好ましくは1×
1014/cm3以上の条件のプラズマCVD法にてカー
ボン・ナノチューブを形成することが好ましい。あるい
は又、基体若しくは支持体にバイアス電圧を印加した状
態で、電子温度を1eV乃至15eV、好ましくは5e
V乃至15eVとし、イオン電流密度を0.1mA/c
2乃至30mA/cm2、好ましくは5mA/cm2
至30mA/cm2の条件のプラズマCVD法にてカー
ボン・ナノチューブを形成することが好ましい。プラズ
マCVD法として、具体的には、ヘリコン波プラズマC
VD法、誘導結合型プラズマCVD法、電子サイクロト
ロン共鳴プラズマCVD法、容量結合型プラズマCVD
法、平行平板型CVD装置を用いたCVD法を例示する
ことができる。
【0072】第2の方法において、プラズマCVD法に
てカーボン・ナノチューブあるいはカーボン・ナノファ
イバーを形成する場合、基体、あるいは、冷陰極電界電
子放出素子におけるカソード電極の上に、ニッケル(N
i)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、クロム
(Cr)、コバルト(Co)、タングステン(W)、ジ
ルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、鉄(Fe)、
銅(Cu)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、カドミウム
(Cd)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)、鉛(P
b)、ビスマス(Bi)、銀(Ag)、金(Au)、イ
ンジウム(In)及びタリウム(Tl)から成る群から
選択された少なくとも1種類の金属、あるいは、これら
の元素を含む合金、有機金属から成る選択成長領域を形
成することが好ましい。更には、上記に挙げた金属以外
でも、電子放出部を形成(合成)するときの雰囲気中で
触媒作用を有する金属を用いることができる。場合によ
っては、これらの材料から適切な材料を選択し、基体、
あるいは、冷陰極電界電子放出素子におけるカソード電
極をかかる材料から構成することもできる。
【0073】選択成長領域を金属薄膜から構成すること
ができる。金属薄膜の形成方法として、物理的気相成長
法や、メッキ法(電気メッキ法及び無電解メッキ法を含
む)、化学的気相成長法を挙げることができる。物理的
気相成長法として、電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、
フラッシュ蒸着等の各種真空蒸着法、プラズマ蒸着
法、2極スパッタリング法、直流スパッタリング法、
直流マグネトロンスパッタリング法、高周波スパッタリ
ング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンビーム
スパッタリング法、バイアススパッタリング法等の各種
スパッタリング法、DC(direct current)法、RF
法、多陰極法、活性化反応法、電界蒸着法、高周波イオ
ンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法等
の各種イオンプレーティング法、を挙げることができ
る。
【0074】あるいは又、選択成長領域を形成する方法
として、例えば、選択成長領域を形成すべきカソード電
極あるいは基体の領域以外の領域を適切な材料(例え
ば、マスク層)で被覆した状態で、溶媒と金属粒子から
成る層を選択成長領域を形成すべきカソード電極あるい
は基体の部分の表面に形成した後、溶媒を除去し、金属
粒子を残す方法を挙げることができる。あるいは又、選
択成長領域を形成する方法として、例えば、選択成長領
域を形成すべきカソード電極あるいは基体の領域以外の
領域を適切な材料(例えば、マスク層)で被覆した状態
で、金属粒子を構成する金属原子を含む金属化合物粒子
をカソード電極あるいは基体の表面に付着させた後、金
属化合物粒子を加熱することによって分解し、以て、選
択成長領域(一種の金属粒子の集まりである)をカソー
ド電極あるいは基体に形成する方法を挙げることができ
る。この場合、具体的には、溶媒と金属化合物粒子から
成る層を選択成長領域を形成すべきカソード電極あるい
は基体の部分の表面に形成した後、溶媒を除去し、金属
化合物粒子を残す方法を例示することができる。金属化
合物粒子は、選択成長領域を構成する金属のハロゲン化
物(例えば、ヨウ化物、塩化物、臭化物等)、酸化物、
水酸化物及び有機金属から成る群から選択された少なく
とも1種類の材料から成ることが好ましい。尚、これら
の方法においては、適切な段階で、選択成長領域を形成
すべきカソード電極あるいは基体の領域以外の領域を被
覆した材料(例えば、マスク層)を除去する。
【0075】あるいは又、選択成長領域を有機金属化合
物薄膜から構成することもできる。この場合、有機金属
化合物薄膜は、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、アルミニウ
ム(Al)、鉛(Pb)、ニッケル(Ni)及びコバル
ト(Co)から成る群から選択された少なくとも1種の
元素を含有して成る有機金属化合物から構成されている
形態とすることができ、更には、錯化合物から構成され
ていることが好ましい。ここで、錯化合物を構成する配
位子として、アセチルアセトン、ヘキサフルオロアセチ
ルアセトン、ジピバロイルメタネート、シクロペンタジ
エニルを例示することができる。尚、形成された有機金
属化合物薄膜には、有機金属化合物の分解物が一部含ま
れていてもよい。有機金属化合物薄膜から成る選択成長
領域を形成する工程は、有機金属化合物溶液から成る層
を選択成長領域を形成すべきカソード電極あるいは基体
の部分の上に成膜する工程から構成することができ、あ
るいは又、有機金属化合物を昇華させた後、かかる有機
金属化合物を選択成長領域を形成すべきカソード電極あ
るいは基体の部分の上に堆積させる工程から構成するこ
とができる。
【0076】第1の方法あるいは第2の方法において、
マトリックス(母材あるいは地材とも呼ばれる)として
ダイヤモンド状アモルファスカーボン(DLC)を用い
る場合、ダイヤモンド状アモルファスカーボンの形成方
法として、CVD法だけでなく、カソディアックカーボ
ン法(例えば、文献 "Properties of filtered-ion-bea
m-deposited diamondlike carbon as a function of io
n energy", P. J. Fallon, et al., Phys. Rev. B 48
(1993), pp 4777-4782 参照)、レーザアブレーション
法、スパッタリング法といった各種のPVD法を挙げる
ことができる。ダイヤモンド状アモルファスカーボンに
は、水素が含有されていてもよいし、窒素やボロン、リ
ン等がドーピングされていてもよい。
【0077】ここで、ダイヤモンド状アモルファスカー
ボンは、波長514.5nmのレーザ光を用いたラマン
・スペクトルにおいて、波数1400乃至1630cm
-1の範囲で半値幅50cm-1以上のピークを有すること
が好ましい。尚、ピークが1480cm-1より高波数側
に存在する場合、波数1330乃至1400cm-1にも
う1つピークが存在する場合もある。ダイヤモンド状ア
モルファスカーボンには、一般のダイヤモンドと同じ結
合であるsp3を多く有する(具体的には、例えば20
〜90%有する)非晶質炭素だけでなく、クラスターカ
ーボンも包含される。尚、クラスターカーボンに関して
は、例えば、"Generation and deposition of fulleren
e- and nanotube-rich carbon thin films", M. Chhowa
lla, etal., Phil. Mag. Letts, 75 (1997), pp 329-33
5 を参照されたい。
【0078】第4の方法において、マトリックスは導電
性を有する金属酸化物から成ることが望ましいが、この
場合、マトリックスの体積抵抗率は、1×10-9Ω・m
乃至5×10-6Ω・mであることが好ましい。焼成後、
電子放出部構成材料の一部分がマトリックスに埋め込ま
れている状態を得ることもできるし、電子放出部構成材
料の全体がマトリックスに埋め込まれている状態を得る
こともできる。後者の場合、マトリックスの一部を除去
する必要がある。
【0079】第4の方法における金属化合物溶液を構成
する金属化合物として、例えば、有機金属化合物、有機
酸金属化合物、又は、金属塩(例えば、塩化物、硝酸
塩、酢酸塩)を挙げることができる。有機酸金属化合物
溶液として、有機錫化合物、有機インジウム化合物、有
機亜鉛化合物、有機アンチモン化合物を酸(例えば、塩
酸、硝酸、あるいは硫酸)に溶解し、これを有機溶媒
(例えば、トルエン、酢酸ブチル、イソプロピルアルコ
ール)で希釈したものを挙げることができる。また、有
機金属化合物溶液として、有機錫化合物、有機インジウ
ム化合物、有機亜鉛化合物、有機アンチモン化合物を有
機溶媒(例えば、トルエン、酢酸ブチル、イソプロピル
アルコール)に溶解したものを例示することができる。
溶液を100重量部としたとき、電子放出部構成材料が
0.001〜20重量部、金属化合物が0.1〜10重
量部、含まれた組成とすることが好ましい。溶液には、
分散剤や界面活性剤が含まれていてもよい。また、マト
リックスの厚さを増加させるといった観点から、金属化
合物溶液に、例えばカーボンブラック等の添加物を添加
してもよい。また、場合によっては、有機溶媒の代わり
に水を溶媒として用いることもできる。
【0080】第4の方法において、金属化合物溶液を塗
布する際、基体若しくは支持体を加熱することが好まし
い。このように、基体若しくは支持体を加熱しながら、
電子放出部構成材料が分散された金属化合物溶液をカソ
ード電極あるいは基体に塗布することによって、基体あ
るいはカソード電極の表面に対して電子放出部構成材料
が水平に近づく方向にセルフレベリングする前に塗布溶
液の乾燥が始まる結果、電子放出部構成材料が水平には
ならない状態で基体あるいはカソード電極の表面に電子
放出部構成材料を配置することができる。即ち、電子放
出部構成材料が、基体若しくは支持体の法線方向に近づ
く方向に配向する確率が高くなる。尚、基体若しくは支
持体の加熱温度は、40〜250゜Cとすることが望ま
しく、より具体的には、金属化合物溶液に含まれる溶媒
の沸点以上の温度とすることが望ましい。場合によって
は、基体若しくは支持体を一層高い温度に加熱すること
によって、塗布後、あるいは、塗布と同時に焼成を行う
ことも可能である。
【0081】第4の方法において、金属化合物の焼成温
度は、例えば、金属塩が酸化されて導電性を有する金属
酸化物となるような温度、あるいは又、有機金属化合物
や有機酸金属化合物が分解して、有機金属化合物や有機
酸金属化合物を構成する金属原子を含むマトリックス
(例えば、導電性を有する金属酸化物)が形成できる温
度であればよく、例えば、300゜C以上とすることが
好ましい。焼成温度の上限は、電子放出体や冷陰極電界
電子放出素子あるいはカソードパネルの構成要素に熱的
な損傷等が発生しない温度とすればよい。
【0082】第4の方法においては、金属化合物溶液を
乾燥させて金属化合物層を形成し、次いで、カソード電
極上の金属化合物層の不要部分を除去してもよいし、金
属化合物の焼成後、基体若しくはカソード電極上の電子
放出部の不要部分を除去してもよいし、基体若しくはカ
ソード電極の所望の領域にのみ金属化合物溶液を塗布し
てもよい。
【0083】本発明の製造方法において、電子放出部構
成材料として、カーボン・ナノチューブ構造体のほか、
各種の充填粒子を挙げることができる。具体的には、充
填粒子として、黒鉛やSiC等のカーボン系材料;炭素
やダイヤモンド等の無機単体;タングステン(W)、ニ
オブ(Nb)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モ
リブデン(Mo)、コバルト(Co)、クロム(Cr)
等の高融点金属やその合金、化合物;銀(Ag)、アル
ミニウム(Al)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル
(Ni)、白金(Pt)、ジルコニウム(Zr)、セシ
ウム(Cs)等の金属やその合金、化合物;シリコン
(Si)、ゲルマニウム(Ge)等の半導体;あるいは
ITO(インジウム・錫酸化物)等の透明導電材料とい
った、各種の導電性の高い材料を用いることができる。
あるいは又、酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(S
iN)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化バリウム
(BaO)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化カルシウ
ム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化錫
(SnO2)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化イ
ットリウム(Y23)、硫化バリウム(BaS)、La
6、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化カルシウム
(CaF2)等の化合物を挙げることができる。電子放
出効率の向上のためには、導電性粒子の粒径が電子放出
部の寸法に比べて十分に小さいことが好ましい。寸法や
形状、構成材料の異なる導電性粒子を混合して使用して
もよい。
【0084】本発明の製造方法において、マトリックス
を一部除去する場合、マトリックスの一部の除去は、マ
トリックスを構成する材料に依存して、ウェットエッチ
ング法あるいはドライエッチング法にて行えばよい。マ
トリックスをどの程度除去するかは、電子放出部からの
電子放出特性を評価して決定すればよい。
【0085】電子放出部全体の厚さは、電子放出部構成
材料の少なくとも一部分がマトリックスによって埋め込
まれるに充分な厚さであればよい。マトリックスの平均
厚さは、例えば5×10-8m〜1×10-4mであること
が望ましいが、このような値に限定するものではない。
また、電子放出部構成材料の先端部の突出量は、電子放
出部構成材料としてカーボン・ナノチューブ構造体を用
いる場合、例えば、カーボン・ナノチューブ構造体の直
径の1.5倍以上であることが望ましい。
【0086】本発明の製造方法にあっては、電子放出部
の形成後、電子放出部の表面の一種の活性化処理(洗浄
処理)を行うことが、電子放出部からの電子の放出効率
の一層の向上といった観点から好ましい。このような処
理として、水素ガス、アンモニアガス、ヘリウムガス、
アルゴンガス、ネオンガス、メタンガス、エチレンガ
ス、アセチレンガス、窒素ガス等のガス雰囲気中でのプ
ラズマ処理を挙げることができる。
【0087】基体、あるいは、冷陰極電界電子放出素子
におけるカソード電極を構成する材料として、タングス
テン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリ
ブデン(Mo)、クロム(Cr)、アルミニウム(A
l)、銅(Cu)等の金属;これらの金属元素を含む合
金あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi
2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイ
ド);シリコン(Si)等の半導体;あるいはITO
(インジウム錫酸化物)を例示することができる。カソ
ード電極の形成方法として、例えば電子ビーム蒸着法や
熱フィラメント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング
法、CVD法やイオンプレーティング法とエッチング法
との組合せ、スクリーン印刷法、メッキ法、リフトオフ
法等を挙げることができる。スクリーン印刷法やメッキ
法によれば、直接、ストライプ状のカソード電極を形成
することが可能である。
【0088】基体、あるいは、冷陰極電界電子放出素子
におけるカソード電極の表面に、凹凸部を形成してもよ
い。これによって、電子放出部構成材料のマトリックス
から突出した先端部が、例えば、アノード電極の方を向
く確率が高くなり、電子放出効率の一層の向上を図るこ
とができる。凹凸部は、基体あるいはカソード電極を、
例えばドライエッチングすることにより、あるいは又、
陽極酸化を行ったり、支持体上に球体を散布しておき、
球体の上にカソード電極を形成した後、例えば球体を燃
焼させることによって除去する方法にて形成することが
できる。
【0089】ゲート電極を構成する材料として、タング
ステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、チ
タン(Ti)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、
アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀
(Ag)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジル
コニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)及び亜鉛
(Zn)から成る群から選択された少なくとも1種類の
金属;これらの金属元素を含む合金あるいは化合物(例
えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiS
2、TaSi2等のシリサイド);あるいはシリコン
(Si)等の半導体;ITO(インジウム錫酸化物)、
酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示
することができる。ゲート電極を作製するには、CVD
法、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング
法、電気メッキ法、無電解メッキ法、スクリーン印刷
法、レーザアブレーション法、ゾル−ゲル法等の公知の
薄膜形成技術により、上述の構成材料から成る薄膜を絶
縁層上に形成する。尚、薄膜を絶縁層の全面に形成した
場合には、公知のパターニング技術を用いて薄膜をパタ
ーニングし、ストライプ状のゲート電極を形成する。ス
トライプ状のゲート電極の形成後、ゲート電極に開口部
を形成してもよいし、ストライプ状のゲート電極の形成
と同時に、ゲート電極に開口部を形成してもよい。ま
た、ゲート電極用導電材料層を形成する前の絶縁層上に
予めレジストパターンを形成しておけば、リフトオフ法
によるゲート電極の形成が可能である。更には、ゲート
電極の形状に応じた開口部を有するマスクを用いて蒸着
を行ったり、かかる開口部を有するスクリーンを用いて
スクリーン印刷を行えば、成膜後のパターニングは不要
である。本発明の製造方法において、「少なくとも絶縁
層に開口部を形成する」と表現したのは、このような形
態を含めるが故である。
【0090】本発明における冷陰極電界電子放出表示装
置にあっては、アノードパネルは、基板と蛍光体層とア
ノード電極とから成る。電子が照射される面は、アノー
ドパネルの構造に依るが、蛍光体層から構成され、ある
いは又、アノード電極から構成される。
【0091】アノード電極の構成材料は、冷陰極電界電
子放出表示装置の構成によって適宜選択すればよい。即
ち、冷陰極電界電子放出表示装置が透過型(アノードパ
ネルが表示面に相当する)であって、且つ、基板上にア
ノード電極と蛍光体層がこの順に積層されている場合に
は、基板は元より、アノード電極自身も透明である必要
があり、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電材
料を用いる。一方、冷陰極電界電子放出表示装置が反射
型(カソードパネルが表示面に相当する)である場合、
及び、透過型であっても基板上に蛍光体層とアノード電
極とがこの順に積層されている場合には、ITOの他、
カソード電極やゲート電極に関連して上述した材料を適
宜選択して用いることができる。
【0092】蛍光体層を構成する蛍光体として、高速電
子励起用蛍光体や低速電子励起用蛍光体を用いることが
できる。冷陰極電界電子放出表示装置が単色表示装置で
ある場合、蛍光体層は特にパターニングされていなくと
もよい。また、冷陰極電界電子放出表示装置がカラー表
示装置である場合、ストライプ状又はドット状にパター
ニングされた赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色に
対応する蛍光体層を交互に配置することが好ましい。
尚、パターニングされた蛍光体層間の隙間は、表示画面
のコントラスト向上を目的としたブラックマトリックス
で埋め込まれていてもよい。
【0093】アノード電極と蛍光体層の構成例として、
(1)基板上に、アノード電極を形成し、アノード電極
の上に蛍光体層を形成する構成、(2)基板上に、蛍光
体層を形成し、蛍光体層上にアノード電極を形成する構
成、を挙げることができる。尚、(1)の構成におい
て、蛍光体層の上に、アノード電極と導通した所謂メタ
ルバック膜を形成してもよい。また、(2)の構成にお
いて、アノード電極の上にメタルバック膜を形成しても
よい。
【0094】絶縁層及びゲート電極に開口部を設ける場
合、ゲート電極に設けられた開口部の平面形状(支持体
表面と平行な仮想平面で開口部を切断したときの形状)
は、円形、楕円形、矩形、多角形、丸みを帯びた矩形、
丸みを帯びた多角形等、任意の形状とすることができ
る。ゲート電極における開口部の形成は、例えば、異方
性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの
組合せによって行うことができ、あるいは又、ゲート電
極の形成方法に依っては、開口部を直接形成することも
できる。尚、ゲート電極に形成された開口部を第1の開
口部と呼び、絶縁層に形成された開口部を第2の開口部
と呼ぶ場合がある。ゲート電極に1つの第1の開口部を
設け、かかる1つの第1の開口部と連通する1つの第2
の開口部を絶縁層に設け、かかる絶縁層に設けられた第
2の開口部内に1つの電子放出部を設けてもよいし、ゲ
ート電極に複数の第1の開口部を設け、かかる複数の第
1の開口部と連通する1つの第2の開口部を絶縁層に設
け、かかる絶縁層に設けられた1つの第2の開口部内に
1又は複数の電子放出部を設けてもよい。
【0095】絶縁層の構成材料として、SiO2、Si
N、SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガ
ラス、ガラスペーストを、単独あるいは適宜組み合わせ
て使用することができる。絶縁層の形成には、CVD
法、塗布法、スパッタリング法、スクリーン印刷法等の
公知のプロセスが利用できる。第2の開口部の形成は、
例えば、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性
エッチングの組合せによって行うことができる。
【0096】カソード電極と電子放出部との間に抵抗体
層を設けてもよい。抵抗体層を設けることによって、冷
陰極電界電子放出素子の動作安定化、電子放出特性の均
一化を図ることができる。抵抗体層を構成する材料とし
て、シリコンカーバイド(SiC)やSiCNといった
カーボン系材料、SiN、アモルファスシリコン等の半
導体材料、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタ
ル、窒化タンタル等の高融点金属酸化物を例示すること
ができる。抵抗体層の形成方法として、スパッタリング
法や、CVD法やスクリーン印刷法を例示することがで
きる。抵抗値は、概ね1×105〜1×107Ω、好まし
くは数MΩとすればよい。
【0097】カソードパネルを構成する支持体あるいは
アノードパネルを構成する基板は、少なくとも表面が絶
縁性部材より構成されていればよく、ガラス基板、表面
に絶縁膜が形成されたガラス基板、石英基板、表面に絶
縁膜が形成された石英基板、表面に絶縁膜が形成された
半導体基板を挙げることができるが、製造コスト低減の
観点からは、ガラス基板、あるいは、表面に絶縁膜が形
成されたガラス基板を用いることが好ましい。基体を下
地材料上に形成する必要があるが、下地材料としては、
これらの材料の他、金属、セラミックスを挙げることが
できる。
【0098】カソードパネルとアノードパネルとを周縁
部において接合する場合、接合は接着層を用いて行って
もよいし、あるいはガラスやセラミックス等の絶縁剛性
材料から成る枠体と接着層とを併用して行ってもよい。
枠体と接着層とを併用する場合には、枠体の高さを適宜
選択することにより、接着層のみを使用する場合に比
べ、カソードパネルとアノードパネルとの間の対向距離
をより長く設定することが可能である。尚、接着層の構
成材料としては、フリットガラスが一般的であるが、融
点が120〜400゜C程度の所謂低融点金属材料を用
いてもよい。かかる低融点金属材料としては、In(イ
ンジウム:融点157゜C);インジウム−金系の低融
点合金;Sn80Ag20(融点220〜370゜C)、S
95Cu5(融点227〜370゜C)等の錫(Sn)
系高温はんだ;Pb97.5Ag2.5(融点304゜C)、
Pb94.5Ag5.5(融点304〜365゜C)、Pb
97.5Ag1.5Sn1.0(融点309゜C)等の鉛(Pb)
系高温はんだ;Zn95Al5(融点380゜C)等の亜
鉛(Zn)系高温はんだ;Sn5Pb95(融点300〜
314゜C)、Sn2Pb98(融点316〜322゜
C)等の錫−鉛系標準はんだ;Au88Ga12(融点38
1゜C)等のろう材(以上の添字は全て原子%を表す)
を例示することができる。
【0099】カソードパネルとアノードパネルと枠体の
三者を接合する場合、三者を同時に接合してもよいし、
あるいは、第1段階でカソードパネル又はアノードパネ
ルのいずれか一方と枠体とを接合し、第2段階でカソー
ドパネル又はアノードパネルの他方と枠体とを接合して
もよい。三者同時接合や第2段階における接合を高真空
雰囲気中で行えば、カソードパネルとアノードパネルと
枠体と接着層とにより囲まれた空間は、接合と同時に真
空となる。あるいは、三者の接合終了後、カソードパネ
ルとアノードパネルと枠体と接着層とによって囲まれた
空間を排気し、真空とすることもできる。接合後に排気
を行う場合、接合時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいず
れであってもよく、また、雰囲気を構成する気体は、大
気であっても、あるいは窒素ガスや周期律表0族に属す
るガス(例えばArガス)を含む不活性ガスであっても
よい。
【0100】接合後に排気を行う場合、排気は、カソー
ドパネル及び/又はアノードパネルに予め接続されたチ
ップ管を通じて行うことができる。チップ管は、典型的
にはガラス管を用いて構成され、カソードパネル及び/
又はアノードパネルの無効領域(実際の表示部分として
は機能しない領域)に設けられた貫通部の周囲に、フリ
ットガラス又は上述の低融点金属材料を用いて接合さ
れ、空間が所定の真空度に達した後、熱融着によって封
じ切られる。尚、封じ切りを行う前に、冷陰極電界電子
放出表示装置全体を一旦加熱してから降温させると、空
間に残留ガスを放出させることができ、この残留ガスを
排気により空間外へ除去することができるので好適であ
る。
【0101】冷陰極電界電子放出表示装置にあっては、
ゲート電極の上方に収束電極を形成する構造とすること
もできる。ここで収束電極とは、開口部から放出されア
ノード電極へ向かう放出電子の軌道を収束させ、以て、
輝度の向上や隣接画素間の色濁りの防止を可能とするた
めの電極であり、アノード電極とカソード電極との間の
電位差が数キロボルトのオーダーであって、カソードパ
ネルとアノードパネルとの間の距離が比較的長い、所謂
高電圧タイプの冷陰極電界電子放出表示装置を想定した
場合に、特に有効な部材である。収束電極には、収束電
源から相対的な負電圧が印加される。収束電極は、必ず
しも冷陰極電界電子放出素子ごとに設けられている必要
はなく、例えば、冷陰極電界電子放出素子の所定の配列
方向に沿って延在させることにより、複数の冷陰極電界
電子放出素子に共通の収束効果を及ぼすこともできる。
【0102】所謂2電極型の冷陰極電界電子放出表示装
置にあっては、アノード電極によって形成された電界に
基づき、量子トンネル効果に基づき電子放出部から電子
が放出され、この電子がアノード電極に引き付けられ、
蛍光体層に衝突する。アノード電極は、1枚の導電材料
シートが有効領域(実際の表示部分として機能する領
域)を覆う構造を有していてもよいし、ストライプ形状
を有していてもよい。前者の場合、1画素を構成する電
子放出部毎に、電子放出部の動作を制御する。そのため
には、例えば、1画素を構成する電子放出部とカソード
電極制御回路との間にスイッチング素子を設ければよ
い。後者の場合、カソード電極をストライプ状とし、ア
ノード電極の射影像とカソード電極の射影像とが直交す
るように、カソード電極及びアノード電極を配置する。
アノード電極の射影像とカソード電極の射影像とが重複
する領域(以下、アノード電極/カソード電極重複領域
と呼ぶ)に位置する電子放出部から電子が放出される。
尚、1アノード電極/カソード電極重複領域における冷
陰極電界電子放出素子の配列は、規則的であってもラン
ダムであってもよい。このような構成の冷陰極電界電子
放出表示装置の駆動は、所謂単純マトリクス方式により
行われる。即ち、カソード電極に相対的に負の電圧を印
加し、アノード電極に相対的に正の電圧を印加する。そ
の結果、列選択されたカソード電極と行選択されたアノ
ード電極(あるいは、行選択されたカソード電極と列選
択されたアノード電極)とのアノード電極/カソード電
極重複領域に位置する電子放出部から選択的に真空空間
中へ電子が放出され、この電子がアノード電極に引き付
けられてアノードパネルを構成する蛍光体層に衝突し、
蛍光体層を励起、発光させる。
【0103】また、所謂3電極型の冷陰極電界電子放出
表示装置にあっては、ストライプ状のゲート電極の射影
像とストライプ状のカソード電極の射影像とが直交する
方向に延びていることが、冷陰極電界電子放出表示装置
の構造の簡素化の観点から好ましい。尚、ストライプ状
のカソード電極とストライプ状のゲート電極の射影像が
重複する重複領域(電子放出領域であり、1画素分の領
域あるいは1サブピクセル分の領域に相当する)に1又
は複数の冷陰極電界電子放出素子が設けられており、か
かる重複領域が、カソードパネルの有効領域内に、通
常、2次元マトリクス状に配列されている。尚、1重複
領域における冷陰極電界電子放出素子の配列は、規則的
であってもランダムであってもよい。カソード電極に相
対的に負の電圧を印加し、ゲート電極に相対的に正の電
圧を印加し、アノード電極にゲート電極より更に高い正
の電圧を印加する。電子は、列選択されたカソード電極
と行選択されたゲート電極(あるいは、行選択されたカ
ソード電極と列選択されたゲート電極)とのゲート電極
/カソード電極重複領域に位置する電子放出部から選択
的に真空空間中へ電子が放出され、この電子がアノード
電極に引き付けられてアノードパネルを構成する蛍光体
層に衝突し、蛍光体層を励起、発光させる。
【0104】本発明においては、電子放出体あるいは電
子放出部が、先端部が突出した状態でカーボン・ナノチ
ューブ構造体がマトリックス中に埋め込まれている構造
を有しているので、高い電子放出効率を達成することが
できる。しかも、本発明の製造方法においては、電場を
用いるので、簡素な方法にて電子放出部構成材料の先端
部を確実に配向させることができる。ここで、「電子放
出部構成材料の先端部を確実に配向させる」とは、基体
若しくはカソード電極の表面に対して電子放出部構成材
料の先端部が立っている状態を意味し、あるいは又、電
子放出部構成材料の先端部がアノード電極の方向を向い
ている状態を意味する。尚、配向している電子放出部構
成材料は、全体の電子放出部構成材料の一部であっても
よい。
【0105】また、本発明の製造方法において、電子放
出部を形成する工程において、電子放出部構成材料がマ
トリックスによって埋め込まれた状態とすれば、それ以
降の工程において、電子放出部構成材料が損傷を受け難
いし、例えば、開口部の大きさや絶縁層の厚さに制限を
受けることもない。また、本発明の製造方法において
は、マトリックスを金属酸化物から構成すれば、バイン
ダ材料としてのマトリックスからガスが放出されること
がないし、それ以降の工程において、電子放出部構成材
料が損傷を受け難いし、例えば、開口部の大きさや絶縁
層の厚さに制限を受けることもない。
【0106】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、発明の実
施の形態(以下、実施の形態と略称する)に基づき本発
明を説明する。
【0107】(実施の形態1)実施の形態1は、本発明
の第1の態様に係る電子放出体の製造方法、第1の態様
に係る冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と
略称する)の製造方法、並びに、第1の態様に係る所謂
2電極型の冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装
置と略称する)の製造方法に関し、更には、第1の方法
に関する。
【0108】実施の形態1の表示装置の模式的な一部断
面図を図1に示し、1つの電子放出部の模式的な斜視図
を図2に示し、1つの電子放出部の模式的な一部端面図
を図4の(B)に示す。
【0109】実施の形態1における電子放出体は、マト
リックス21、及び、先端部が突出した状態でマトリッ
クス21中に埋め込まれた電子放出部構成材料から成る
電子放出部15から構成されている。電子放出部構成材
料は、カーボン・ナノチューブ構造体、より具体的に
は、カーボン・ナノチューブ20から構成されている。
また、マトリックス21は、ダイヤモンド状アモルファ
スカーボンから成る。
【0110】また、実施の形態1における電界放出素子
は、支持体10上に設けられたカソード電極11と、カ
ソード電極11上に設けられた電子放出部15から成
る。そして、電子放出部15は、マトリックス21、及
び、先端部が突出した状態でマトリックス21中に埋め
込まれたカーボン・ナノチューブ構造体から成る。更に
は、実施の形態1における表示装置は、電界放出素子が
複数設けられたカソードパネルCP、及び、蛍光体層3
1(赤色発光蛍光体層31R、緑色発光蛍光体層31
G、青色発光蛍光体層31B)とアノード電極33とを
備えたアノードパネルAPが、それらの周縁部で接合さ
れて成り、複数の画素を有する。実施の形態1の表示装
置におけるカソードパネルCPにおいては、上述のよう
な電界放出素子の複数から構成された電子放出領域が有
効領域に2次元マトリックス状に多数形成されている。
【0111】尚、図においては、カーボン・ナノチュー
ブ20が、規則的に、且つ、カソード電極11に対して
垂直方向に配置されているように示しているが、実際に
は、位置的にランダムに、そして、先端部がアノード電
極に向かって或る程度配向された状態で、配置されてい
る。その他の図面においても同様である。また、カーボ
ン・ナノチューブ20は、カソード電極11(基体に相
当する)に必ずしも接していなくともよい。
【0112】カソードパネルCPの無効領域には、真空
排気用の貫通孔(図示せず)が設けられており、この貫
通孔には、真空排気後に封じ切られるチップ管(図示せ
ず)が接続されている。枠体34は、セラミックス又は
ガラスから成り、高さは、例えば1.0mmである。場
合によっては、枠体34の代わりに接着層のみを用いる
こともできる。
【0113】アノードパネルAPは、具体的には、基板
30と、基板30上に形成され、所定のパターン(例え
ば、ストライプ状やドット状)に従って形成された蛍光
体層31と、有効領域の全面を覆う例えばアルミニウム
薄膜から成るアノード電極33から構成されている。蛍
光体層31と蛍光体層31との間の基板30上には、ブ
ラックマトリックス32が形成されている。尚、ブラッ
クマトリックス32を省略することもできる。また、単
色表示装置を想定した場合、蛍光体層31は必ずしも所
定のパターンに従って設けられる必要はない。更には、
ITO等の透明導電膜から成るアノード電極を基板30
と蛍光体層31との間に設けてもよく、あるいは、基板
30上に設けられた透明導電膜から成るアノード電極3
3と、アノード電極33上に形成された蛍光体層31及
びブラックマトリックス32と、蛍光体層31及びブラ
ックマトリックス32の上に形成されたアルミニウム
(Al)から成り、アノード電極33と電気的に接続さ
れた光反射導電膜から構成することもできる。
【0114】1画素は、カソードパネル側において矩形
形状のカソード電極11と、その上に形成された電子放
出部15と、電子放出部15に対面するようにアノード
パネルAPの有効領域に配列された蛍光体層31とによ
って構成されている。有効領域には、かかる画素が、例
えば数十万〜数百万個ものオーダーにて配列されてい
る。
【0115】また、カソードパネルCPとアノードパネ
ルAPとの間には、両パネル間の距離を一定に維持する
ための補助的手段として、有効領域内に等間隔にスペー
サ35が配置されている。尚、スペーサ35の形状は、
円柱形に限らず、例えば球状でもよいし、ストライプ状
の隔壁(リブ)であってもよい。また、スペーサ35
は、必ずしも全てのカソード電極の重複領域の四隅に配
置されている必要はなく、より疎に配置されていてもよ
いし、配置が不規則であってもよい。
【0116】この表示装置においては、1画素単位で、
カソード電極11に印加する電圧の制御を行う。カソー
ド電極11の平面形状は、図2に模式的に示すように、
略矩形であり、各カソード電極11は、配線11A、及
び、例えばトランジスタから成るスイッチング素子(図
示せず)を介してカソード電極制御回路40Aに接続さ
れている。また、アノード電極33はアノード電極制御
回路42に接続されている。各カソード電極11に閾値
電圧以上の電圧が印加されると、アノード電極33によ
って形成される電界に基づき、量子トンネル効果に基づ
き電子放出部15から電子が放出され、この電子がアノ
ード電極33に引き付けられ、蛍光体層31に衝突す
る。輝度は、カソード電極11に印加される電圧によっ
て制御される。
【0117】以下、実施の形態1における電子放出体、
電界放出素子及び表示装置の製造方法を、図3の(A)
〜(C)、図4の(A)、(B)及び図5の(A)〜
(D)を参照して説明する。
【0118】[工程−100]先ず、例えばガラス基板
から成る支持体10上にカソード電極形成用の導電材料
層を形成し、次いで、周知のリソグラフィ技術及び反応
性イオンエッチング法(RIE法)に基づき導電材料層
をパターニングすることによって、矩形形状のカソード
電極11を支持体10上に形成する(図3の(A)参
照)。同時に、カソード電極11に接続された配線11
A(図2参照)を支持体10上に形成する。導電材料層
は、例えばスパッタリング法により形成された厚さ約
0.2μmのクロム(Cr)層から成る。
【0119】[工程−110]次に、カソード電極11
(基体に相当する)の所望の領域(電子放出部を形成す
べき領域)の表面にカーボン・ナノチューブ20を配置
する。具体的には、先ず、レジスト材料層をスピンコー
ト法にて全面に成膜した後、リソグラフィ技術に基づ
き、電子放出部を形成すべきカソード電極11の領域の
表面が露出したマスク層16を形成する(図3の(B)
参照)。次に、露出したカソード電極11の表面を含む
マスク層16上に、例えば、アセトンといった有機溶媒
にカーボン・ナノチューブを分散させた溶液をスピンコ
ーティング法にて塗布した後、有機溶媒を除去する(図
3の(C)参照)。カーボン・ナノチューブ20は、例
えば、平均直径1nm、平均長さ1μmのチューブ構造
を有し、アーク放電法にて作製されている。
【0120】[工程−120]その後、露出したカソー
ド電極11の領域及びカーボン・ナノチューブ20上
に、マトリックス21としてダイヤモンド状アモルファ
スカーボンを堆積させる。これによって、カソード電極
11の所望の領域(電子放出部を形成すべき領域)上
に、カーボン・ナノチューブ20がマトリックス21に
よって埋め込まれた複合体層22を形成することができ
る。プラズマCVD法に基づくダイヤモンド状アモルフ
ァスカーボンから成るマトリックス21(平均膜厚:
0.3μm)の形成条件を以下の表1に例示する。その
後、マスク層16を除去する。こうして、図4の(A)
に示す構造を得ることができる。尚、波長514.5n
mのレーザ光を用いたラマン・スペクトルにおいて、ダ
イヤモンド状アモルファスカーボンから成るマトリック
ス21は、波数1400乃至1630cm-1の範囲で半
値幅50cm-1以上のピークを有していた。得られたラ
マン・スペクトル図を図6に示す。
【0121】[表1] 使用装置 :平行平板RF−CVD装置 使用ガス :CH4=50sccm 圧力 :0.1Pa 形成温度 :室温 形成時間 :10分 プラズマ励起パワー:500W
【0122】尚、これらの[工程−110]〜[工程−
120]において、レジスト材料層を用いた所謂リフト
オフ法の代わりに、リソグラフィ技術及びエッチング技
術を用いてもよい。即ち、カソード電極11(基体に相
当する)上にカーボン・ナノチューブ20を配置し、カ
ーボン・ナノチューブ20上にマトリックス21として
ダイヤモンド状アモルファスカーボンを堆積させて複合
体層を形成した後、複合体層の不要部分をリソグラフィ
技術及びエッチング技術によって除去してもよい。
【0123】[工程−130]次に、複合体層22の表
面のマトリックス21をエッチング法にて除去し、先端
部が突出した状態でカーボン・ナノチューブ20がマト
リックス21中に埋め込まれた電子放出部15を形成す
る。こうして、図4の(B)に示す構造を有する電界放
出素子を得ることができる。マトリックス21のウェッ
トエッチング条件を以下の表2に、ドライエッチング条
件を表3に例示する。尚、[工程−120]において、
先端部が突出した状態でカーボン・ナノチューブ20が
マトリックス21中に埋め込まれた電子放出部15を形
成したならば、この工程は省略することができる。マト
リックス21のエッチングによって一部あるいは全ての
カーボン・ナノチューブ20の表面状態が変化し(例え
ば、その表面に酸素原子や酸素分子、フッ素原子が吸着
し)、電界放出に関して不活性となっている場合があ
る。それ故、その後、電子放出部に対して水素ガス雰囲
気中でのプラズマ処理を行うことが好ましく、これによ
って、電子放出部が活性化し、電子放出部からの電子の
放出効率の一層の向上させることができる。プラズマ処
理の条件を、以下の表4に例示する。
【0124】[表2] [ウェットエッチング条件] 使用エッチング液:KMnO4 エッチング温度 :80゜C エッチング時間 :1〜10分
【0125】 [表3] [ドライエッチング条件] エッチング装置 :ICP−エッチング装置 使用ガス :O2(CF4等を含んでいてもよい) エッチング温度 :室温〜80゜C プラズマ励起パワー:1500W RFバイアス :20〜100W エッチング時間 :1〜10分
【0126】[表4] 使用ガス :H2=100sccm 電源パワー :1000W 支持体印加電力:50V 反応圧力 :0.1Pa 支持体温度 :300゜C
【0127】[工程−140]次に、基体あるいは支持
体10を電場中に置くことにより、電子放出部構成材料
であるカーボン・ナノチューブ20の先端部を配向させ
る。即ち、カーボン・ナノチューブ20の先端部が、支
持体10の法線方向に出来るだけ沿うように、基体ある
いは支持体10を電場中に置く。具体的には、平行平板
の2つの電極間に支持体10を2つの電極と平行に置
き、電極間に電圧を加える。2つの電極の間隔を0.5
mm、一方の電極を接地状態とし、他方の電極に1kV
の電圧を印加する。即ち、電場の強度を2×106ボル
ト/mとする。これによって、基体若しくはカソード電
極11の表面に対して電子放出部構成材料の先端部が立
っている状態となり、あるいは又、表示装置に組み込ま
れたとき、電子放出部構成材料の先端部がアノード電極
33の方向を向いている状態となる。
【0128】[工程−150]その後、カーボン・ナノ
チューブ20からガスを放出させるために、加熱処理や
各種のプラズマ処理を施してもよいし、カーボン・ナノ
チューブ20の表面に意図的に吸着物を吸着させるため
に吸着させたい物質を含むガスにカーボン・ナノチュー
ブ20を晒してもよい。また、カーボン・ナノチューブ
20を精製するために、酸素プラズマ処理やフッ素プラ
ズマ処理を行ってもよい。以下の実施の形態においても
同様である。
【0129】[工程−160]その後、表示装置の組み
立てを行う。具体的には、蛍光体層31と電界放出素子
とが対向するようにアノードパネルAPとカソードパネ
ルCPとを配置し、アノードパネルAPとカソードパネ
ルCP(より具体的には、基板30と支持体10)と
を、枠体34を介して、周縁部において接合する。接合
に際しては、枠体34とアノードパネルAPとの接合部
位、及び枠体34とカソードパネルCPとの接合部位に
フリットガラスを塗布し、アノードパネルAPとカソー
ドパネルCPと枠体34とを貼り合わせ、予備焼成にて
フリットガラスを乾燥した後、約450゜Cで10〜3
0分の本焼成を行う。その後、アノードパネルAPとカ
ソードパネルCPと枠体34とフリットガラスとによっ
て囲まれた空間を、貫通孔(図示せず)及びチップ管
(図示せず)を通じて排気し、空間の圧力が10-4Pa
程度に達した時点でチップ管を加熱溶融により封じ切
る。このようにして、アノードパネルAPとカソードパ
ネルCPと枠体34とに囲まれた空間を真空にすること
ができる。その後、必要な外部回路との配線を行い、表
示装置を完成させる。
【0130】尚、図1に示した表示装置におけるアノー
ドパネルAPの製造方法の一例を、以下、図5の(A)
〜(D)を参照して説明する。
【0131】先ず、発光性結晶粒子組成物を調製する。
そのために、例えば、純水に分散剤を分散させ、ホモミ
キサーを用いて3000rpmにて1分間、撹拌を行
う。次に、発光性結晶粒子を分散剤が分散した純水中に
投入し、ホモミキサーを用いて5000rpmにて5分
間、撹拌を行う。その後、例えば、ポリビニルアルコー
ル及び重クロム酸アンモニウムを添加して、十分に撹拌
し、濾過する。
【0132】アノードパネルAPの製造においては、例
えばガラスから成る基板30上の全面に感光性被膜50
を形成(塗布)する。そして、露光光源(図示せず)か
ら射出され、マスク53に設けられた孔部54を通過し
た紫外線によって、基板30上に形成された感光性被膜
50を露光して感光領域51を形成する(図5の(A)
参照)。その後、感光性被膜50を現像して選択的に除
去し、感光性被膜の残部(露光、現像後の感光性被膜)
52を基板30上に残す(図5の(B)参照)。次に、
全面にカーボン剤(カーボンスラリー)を塗布し、乾
燥、焼成した後、リフトオフ法にて感光性被膜の残部5
2及びその上のカーボン剤を除去することによって、露
出した基板30上にカーボン剤から成るブラックマトリ
ックス32を形成し、併せて、感光性被膜の残部52を
除去する(図5の(C)参照)。その後、露出した基板
30上に、赤、緑、青の各蛍光体層31を形成する(図
5の(D)参照)。具体的には、各発光性結晶粒子(蛍
光体粒子)から調製された発光性結晶粒子組成物を使用
し、例えば、赤色の感光性の発光性結晶粒子組成物(蛍
光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像し、次い
で、緑色の感光性の発光性結晶粒子組成物(蛍光体スラ
リー)を全面に塗布し、露光、現像し、更に、青色の感
光性の発光性結晶粒子組成物(蛍光体スラリー)を全面
に塗布し、露光、現像すればよい。その後、蛍光体層3
1及びブラックマトリックス32上にスパッタリング法
にて厚さ約0.07μmのアルミニウム薄膜から成るア
ノード電極33を形成する。尚、スクリーン印刷法等に
より各蛍光体層31を形成することもできる。
【0133】尚、アノード電極は、有効領域を1枚のシ
ート状の導電材料で被覆した形式のアノード電極として
もよいし、1又は複数の電子放出部、あるいは、1又は
複数の画素に対応するアノード電極ユニットが集合した
形式のアノード電極としてもよい。尚、このようなアノ
ード電極の構造は、後述する実施の形態2〜実施の形態
8にも適用することができる。
【0134】1画素を、ストライプ状のカソード電極
と、その上に形成された電子放出部と、電子放出部に対
面するようにアノードパネルの有効領域に配列された蛍
光体層とによって構成してもよい。この場合、アノード
電極もストライプ形状を有する。ストライプ状のカソー
ド電極の射影像と、ストライプ状のアノード電極の射影
像は直交している。アノード電極の射影像とカソード電
極の射影像とが重複する領域に位置する電子放出部から
電子が放出される。このような構成の表示装置の駆動
は、所謂単純マトリクス方式により行われる。即ち、カ
ソード電極に相対的に負の電圧を、アノード電極に相対
的に正の電圧を印加する。その結果、列選択されたカソ
ード電極と行選択されたアノード電極(あるいは、行選
択されたカソード電極と列選択されたアノード電極)と
のアノード電極/カソード電極重複領域に位置する電子
放出部から選択的に真空空間中へ電子が放出され、この
電子がアノード電極に引きつけられてアノードパネルを
構成する蛍光体層に衝突し、蛍光体層を励起・発光させ
る。
【0135】このような構造の電界放出素子の製造にあ
たっては、[工程−100]において、例えばガラス基
板から成る支持体10上に、例えばスパッタリング法に
より形成されたクロム(Cr)層から成るカソード電極
形成用の導電材料層を形成した後、周知のリソグラフィ
技術及びRIE法に基づき、導電材料層をパターニング
することによって、矩形形状のカソード電極の代わりに
ストライプ状のカソード電極11を支持体10上に形成
すればよい。このような構造は、後述する実施の形態2
〜実施の形態8にも適用することができる。
【0136】また、プラズマ処理([工程−130]参
照)、電場による配向処理([工程−140]参照)、
及び、加熱処理や各種のプラズマ処理等([工程−15
0]における各種の処理を参照)の順序は、本質的に任
意とすることができる。以下の実施の形態においても同
様である。
【0137】(実施の形態2)実施の形態2は実施の形
態1の変形である。実施の形態2が実施の形態1と異な
る点は、カーボン・ナノチューブを基体若しくはカソー
ド電極11上にプラズマCVD法にて形成する点にあ
る。即ち、実施の形態2は、第2の方法に関する。以
下、実施の形態2の電子放出体の製造方法、電界放出素
子の製造方法及び表示装置の製造方法を、図7の
(A)、(B)を参照して説明する。
【0138】[工程−200]先ず、電子放出部を形成
すべき表面領域に選択成長領域23が形成されたカソー
ド電極11を形成する。具体的には、例えばガラス基板
から成る支持体10上に、先ず、スパッタリング法及び
エッチング法に基づき、アルミニウム(Al)から成る
ストライプ状のカソード電極11及び配線11Aを形成
する。その後、レジスト材料から成るマスク層を形成す
る。マスク層を、電子放出部を形成すべきカソード電極
の部分以外の部分を被覆するように形成する。次いで、
スパッタリング法にてニッケル(Ni)を全面に成膜す
る。その後、マスク層並びにその上のニッケル層を除去
することによって、電子放出部を形成すべき表面領域に
ニッケルから成る選択成長領域23が形成されたカソー
ド電極11を形成することができる(図7の(A)参
照)。カソード電極11は図面の紙面左右方向に延びて
いる。カソード電極11及び選択成長領域23はストラ
イプ状である。尚、このようなリフトオフ法に代えて、
選択成長領域を構成する層の成膜、リソグラフィ技術と
ドライエッチング技術に基づくこの層のパターニングに
よって、ストライプ状の選択成長領域23及びカソード
電極11を形成してもよい。
【0139】[工程−210]次に、ヘリコン波プラズ
マCVD装置を用いて、以下の表5に示すヘリコン波プ
ラズマCVD条件にて、電子放出部構成材料に相当する
カーボン・ナノチューブ20を形成する(図7の(B)
参照)。尚、カーボン・ナノチューブ20の結晶性を変
化させるために、CVD条件を随時変化させてもよい。
また、放電を安定にさせるため及びプラズマ解離を促進
するために、ヘリウム(He)やアルゴン(Ar)等の
希釈用ガスを混合してもよいし、窒素、アンモニア等の
ドーピングガスを混合してもよい。
【0140】[表5] 使用ガス :CH4/H2=50/50sccm 電源パワー :3000W 支持体印加電力 :300V 反応圧力 :0.1Pa 支持体温度 :300゜C プラズマ密度 :1×1013/cm3 電子温度 :5eV イオン電流密度 :5mA/cm2
【0141】カーボン・ナノチューブ20の表面あるい
はカーボン・ナノチューブが形成されなかった選択成長
領域23の部分に薄いアモルファス状の炭素薄膜が堆積
している場合がある。このような場合には、カーボン・
ナノチューブ20の形成後、水素ガス雰囲気中でのプラ
ズマ処理を行うことによって、アモルファス状の炭素薄
膜を除去することが望ましい。プラズマ処理の条件は、
表4に例示したと同様とすればよい。
【0142】[工程−220]その後、実施の形態1の
[工程−120]〜[工程−150]と同様の工程を実
行することによって電子放出体あるいは電界放出素子を
完成させ、更に、実施の形態1の[工程−160]と同
様の工程を実行することによって表示装置を完成させ
る。[工程−120]の条件によっては、[工程−13
0]を省略することができる。
【0143】(実施の形態3)実施の形態3も実施の形
態1の変形である。実施の形態3が実施の形態1と異な
る点は、バインダ材料に電子放出部構成材料を分散させ
たもの(導電性組成物)を基体若しくはカソード電極の
所望の領域に塗布した後、バインダ材料の焼成あるいは
硬化を行う点にある。即ち、実施の形態3は、第3の方
法に関する。以下、実施の形態3の電子放出体の製造方
法、電界放出素子の製造方法及び表示装置の製造方法を
説明する。
【0144】[工程−300]先ず、実施の形態1の
[工程−100]と同様にして、支持体10上にカソー
ド電極11を形成する。同時に、カソード電極11に接
続された配線11A(図2参照)を支持体10上に形成
する。その後、マスク層を、電子放出部を形成すべき部
分以外のカソード電極11及び支持体10を被覆するよ
うに形成する。
【0145】[工程−310]次に、全面に組成物原料
から成る導電性組成物層を形成する。ここで使用する組
成物原料は、例えば、導電性粒子として平均粒径約0.
1μmの黒鉛粒子(電子放出部構成材料に相当する)を
60重量%、バインダ材料として4号の水ガラスを40
重量%含む。この組成物原料を、例えば1400rp
m、10秒間の条件で全面にスピンコートする。その
後、導電性組成物層に含まれる水分を除去するための仮
焼成を、例えば大気中、400゜Cで30分間行う。次
に、マスク層を除去する。剥離は、2重量%の水酸化ナ
トリウム水溶液中に、30秒間浸漬することにより行
う。このとき、超音波振動を加えながら剥離を行っても
よい。これにより、マスク層と共にマスク層上の導電性
組成物層の部分が除去され、電子放出部を形成すべきカ
ソード電極11(基体)上に導電性組成物層が残され
る。
【0146】[工程−320]その後、バインダ材料の
一部を除去し、電子放出部構成材料である黒鉛粒子を部
分的に露出させることが好ましいが、[工程−310]
において、先端部が突出した状態で黒鉛粒子がバインダ
材料中に埋め込まれた状態を得られる場合には、この工
程は省略することができる。バインダ材料の除去にあっ
ては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を
用いて水ガラスのウェットエッチングを行う。水酸化ナ
トリウム(NaOH)水溶液の濃度、温度、エッチング
時間は、各種の試験を行い、最適条件を見い出せばよ
い。
【0147】[工程−330]次に、バインダ材料の焼
成を行い、マトリックスとする。焼成は、乾燥大気中、
400゜C、30分間の条件で行う。尚、焼成温度は、
組成物原料に含まれるバインダ材料の種類に応じて選択
すればよい。例えば、バインダ材料が水ガラスのような
無機材料である場合には、無機材料を焼成し得る温度で
熱処理を行えばよい。バインダ材料が熱硬化性樹脂であ
る場合には、熱硬化性樹脂を硬化し得る温度で熱処理を
行えばよい。但し、導電性粒子同士の密着性を保つため
に、熱硬化性樹脂が過度に分解したり炭化する虞のない
温度で熱処理を行うことが好適である。いずれのバイン
ダ材料を用いるにしても、熱処理温度は、カソード電極
(基体)に損傷や欠陥が生じない温度とする必要があ
る。熱処理雰囲気は、カソード電極(基体)の電気抵抗
率が酸化によって上昇したり、あるいはカソード電極
(基体)に欠陥や損傷が生ずることがないように、不活
性ガス雰囲気とすることが好ましい。尚、バインダ材料
として熱可塑性樹脂を使用した場合には、熱処理を必要
としない場合がある。
【0148】[工程−340]その後、実施の形態1の
[工程−140]と同様の工程を実行することによって
電子放出体あるいは電界放出素子を完成させ、更に、実
施の形態1の[工程−160]と同様の工程を実行する
ことによって表示装置を完成させる。
【0149】(実施の形態4)実施の形態4も実施の形
態1の変形である。実施の形態4が実施の形態1と異な
る点は、電子放出部構成材料が分散された金属化合物溶
液を基体若しくはカソード電極に塗布した後、金属化合
物を焼成する点にある。即ち、実施の形態4は、第4の
方法に関する。以下、実施の形態4の電子放出体の製造
方法、電界放出素子の製造方法及び表示装置の製造方法
を、図8の(A)〜(C)を参照して説明する。
【0150】[工程−400]先ず、実施の形態1の
[工程−100]と同様にして、例えばガラス基板から
成る支持体10上に矩形形状のカソード電極11を形成
する。同時に、カソード電極11に接続された配線11
A(図2参照)を支持体10上に形成する。導電材料層
は、例えばスパッタリング法により形成された厚さ約
0.2μmのクロム(Cr)層から成る。
【0151】[工程−410]次に、電子放出部構成材
料に相当するカーボン・ナノチューブ構造体が分散され
た有機酸金属化合物から成る金属化合物溶液をカソード
電極11(基体に相当する)上に、例えばスプレー法に
て塗布する。具体的には、以下の表6に例示する金属化
合物溶液を用いる。尚、金属化合物溶液中にあっては、
有機錫化合物及び有機インジウム化合物は酸(例えば、
塩酸、硝酸、あるいは硫酸)に溶解された状態にある。
カーボン・ナノチューブはアーク放電法にて製造され、
平均直径30nm、平均長さ1μmである。塗布に際し
ては、支持体(基体)を70〜150゜Cに加熱してお
く。塗布雰囲気を大気雰囲気とする。塗布後、5〜30
分間、支持体(基体)を加熱し、酢酸ブチルを十分に蒸
発させる。このように、塗布時、支持体(基体)を加熱
することによって、基体あるいはカソード電極の表面に
対してカーボン・ナノチューブが水平に近づく方向にセ
ルフレベリングする前に塗布溶液の乾燥が始まる結果、
カーボン・ナノチューブが水平にはならない状態で基体
あるいはカソード電極の表面にカーボン・ナノチューブ
を配置することができる。即ち、カーボン・ナノチュー
ブの先端部がアノード電極の方向を向くような状態、言
い換えれば、カーボン・ナノチューブ構造体を、基体若
しくは支持体の法線方向に近づく方向に配向させること
ができる。尚、予め、表6に示す組成の金属化合物溶液
を調製しておいてもよいし、カーボン・ナノチューブを
添加していない金属化合物溶液を調製しておき、塗布前
に、カーボン・ナノチューブと金属化合物溶液とを混合
してもよい。また、カーボン・ナノチューブの分散性向
上のため、金属化合物溶液の調製時、超音波を照射して
もよい。
【0152】 [表6] 有機錫化合物及び有機インジウム化合物:0.1〜10重量部 分散剤(ドデシル硫酸ナトリウム) :0.1〜5 重量部 カーボン・ナノチューブ :0.1〜20重量部 酢酸ブチル :残余
【0153】尚、有機酸金属化合物溶液として、有機錫
化合物を酸に溶解したものを用いれば、マトリックスと
して酸化錫が得られ、有機インジウム化合物を酸に溶解
したものを用いれば、マトリックスとして酸化インジウ
ムが得られ、有機亜鉛化合物を酸に溶解したものを用い
れば、マトリックスとして酸化亜鉛が得られ、有機アン
チモン化合物を酸に溶解したものを用いれば、マトリッ
クスとして酸化アンチモンが得られ、有機アンチモン化
合物及び有機錫化合物を酸に溶解したもの用いれば、マ
トリックスとして酸化アンチモン−錫が得られる。ま
た、有機金属化合物溶液として、有機錫化合物を用いれ
ば、マトリックスとして酸化錫が得られ、有機インジウ
ム化合物を用いれば、マトリックスとして酸化インジウ
ムが得られ、有機亜鉛化合物を用いれば、マトリックス
として酸化亜鉛が得られ、有機アンチモン化合物を用い
れば、マトリックスとして酸化アンチモンが得られ、有
機アンチモン化合物及び有機錫化合物を用いれば、マト
リックスとして酸化アンチモン−錫が得られる。あるい
は又、金属の塩化物の溶液(例えば、塩化錫、塩化イン
ジウム)を用いてもよい。
【0154】場合によっては、金属化合物溶液を乾燥し
た後の金属化合物層の表面に著しい凹凸が形成されてい
る場合がある。このような場合には、金属化合物層の上
に、支持体を加熱することなく、再び、金属化合物溶液
を塗布することが望ましい。
【0155】また、リフトオフ法を用いて、カーボン・
ナノチューブ構造体が分散された金属化合物溶液をカソ
ード電極11(基体に相当する)の所望の領域上に、例
えばスプレー法にて塗布してもよい。
【0156】[工程−420]その後、有機酸金属化合
物から成る金属化合物を焼成することによって、有機酸
金属化合物を構成する金属原子(具体的には、In及び
Sn)を含むマトリックス(具体的には、金属酸化物で
あり、より一層具体的にはITO)21にてカーボン・
ナノチューブ20カソード電極(基体)11の表面に固
定された電子放出部15を得る。焼成を、大気雰囲気中
で、350゜C、20分の条件にて行う。こうして、図
8の(A)に示す構造を得ることができる。得られたマ
トリックス21の体積抵抗率は、5×10-7Ω・mであ
った。有機酸金属化合物を出発物質として用いることに
より、焼成温度350゜Cといった低温においても、I
TOから成るマトリックス21を形成することができ
る。尚、有機酸金属化合物溶液の代わりに、有機金属化
合物溶液を用いてもよいし、金属の塩化物の溶液(例え
ば、塩化錫、塩化インジウム)を用いた場合、焼成によ
って塩化錫、塩化インジウムが酸化されつつ、ITOか
ら成るマトリックス21が形成される。
【0157】[工程−430]次いで、全面にレジスト
層を形成し、カソード電極11の所望の領域の上方に、
例えば直径10μmの円形のレジスト層を残す。そし
て、10〜60゜Cの塩酸を用いて、1〜30分間、マ
トリックス21をエッチングして、電子放出部の不要部
分を除去する。更に、所望の領域以外にカーボン・ナノ
チューブが未だ存在する場合には、以下の表7に例示す
る条件の酸素プラズマエッチング処理によってカーボン
・ナノチューブをエッチングする。尚、バイアスパワー
は0ワットでもよいが、即ち、直流としてもよいが、バ
イアスパワーを加えることが望ましい。また、支持体
を、例えば80゜C程度に加熱してもよい。
【0158】[表7] 使用装置 :RIE装置 導入ガス :酸素を含むガス プラズマ励起パワー:500W バイアスパワー :0〜150W 処理時間 :10秒以上
【0159】あるいは又、表8に例示する条件のウェッ
トエッチング処理によってカーボン・ナノチューブをエ
ッチングしてもよい。
【0160】[表8] 使用溶液:KMnO4 温度 :20〜120゜C 処理時間:10秒〜20分
【0161】その後、レジスト層を除去することによっ
て、図8の(B)に示す構造を得ることができる。尚、
直径10μmの円形の電子放出部を残すことに限定され
ない。例えば、電子放出部をカソード電極11上に残し
てもよい。
【0162】[工程−440]次いで、以下の表9に例
示する条件にて、マトリックス21の一部を除去し、マ
トリックス21から先端部が突出した状態のカーボン・
ナノチューブ20を得ることが好ましい。こうして、図
8の(C)に示す構造の電子放出部15を得ることがで
きる。尚、[工程−420]において、先端部が突出し
た状態でカーボン・ナノチューブ20がマトリックス2
1中に埋め込まれた電子放出部15を形成したならば、
この工程は省略することができる。
【0163】[表9] エッチング溶液:塩酸 エッチング時間:10秒〜30秒 エッチング温度:10〜60゜C
【0164】マトリックス21のエッチングによって一
部あるいは全てのカーボン・ナノチューブ20の表面状
態が変化し(例えば、その表面に酸素原子や酸素分子、
フッ素原子が吸着し)、電界放出に関して不活性となっ
ている場合がある。それ故、その後、電子放出部15に
対して水素ガス雰囲気中でのプラズマ処理を行うことが
好ましく、これによって、電子放出部15が活性化し、
電子放出部15からの電子の放出効率の一層の向上させ
ることができる。プラズマ処理は、例えば、表4に例示
した条件と同様の条件にて行えばよい。
【0165】[工程−450]次に、実施の形態1の
[工程−140]と同様にして、基体あるいは支持体1
0を電場中に置くことにより、電子放出部構成材料であ
るカーボン・ナノチューブ20の先端部を配向させる。
【0166】その後、カーボン・ナノチューブ20から
ガスを放出させるために、加熱処理や各種のプラズマ処
理を施してもよいし、カーボン・ナノチューブ20の表
面に意図的に吸着物を吸着させるために吸着させたい物
質を含むガスにカーボン・ナノチューブ20を晒しても
よい。また、カーボン・ナノチューブ20を精製するた
めに、酸素プラズマ処理やフッ素プラズマ処理を行って
もよい。
【0167】[工程−460]その後、実施の形態1の
[工程−160]と同様にして、表示装置の組み立てを
行う。
【0168】(実施の形態5)実施の形態5は、本発明
の第2の態様に係る電子放出体の製造方法、第2の態様
に係る電界放出素子の製造方法、並びに、第2の態様に
係る所謂2電極型の表示装置の製造方法に関し、更に
は、第1の方法に関する。
【0169】実施の形態5、あるいは、後述する実施の
形態6〜実施の形態8における電界放出素子、カソード
パネル、アノードパネル、表示装置の構造、表示装置の
駆動方法は、実施の形態1あるいはその変形例にて説明
したと同様とすることができるので、詳細な説明は省略
する。
【0170】実施の形態5にあっては、実施の形態1の
[工程−100]、[工程−110]、[工程−14
0]、[工程−120]、[工程−130]、[工程−
150]と同様の工程を順次、実行することによって電
子放出体あるいは電界放出素子を完成させ、更に、実施
の形態1の[工程−160]と同様の工程を実行するこ
とによって表示装置を完成させればよいので、詳細な説
明は省略する。[工程−120]の条件によっては、
[工程−130]を省略することができる。
【0171】(実施の形態6)実施の形態6は、本発明
の第3の態様に係る電子放出体の製造方法、第3の態様
に係る電界放出素子の製造方法、並びに、第3の態様に
係る所謂2電極型の表示装置の製造方法に関し、更に
は、第2の方法に関する。
【0172】実施の形態6にあっては、実施の形態2の
[工程−200]、[工程−210]、実施の形態1の
[工程−140]、[工程−120]、[工程−13
0]、[工程−150]と同様の工程を順次、実行する
ことによって電子放出体あるいは電界放出素子を完成さ
せ、更に、実施の形態1の[工程−160]と同様の工
程を実行することによって表示装置を完成させればよい
ので、詳細な説明は省略する。[工程−120]の条件
によっては、[工程−130]を省略することができ
る。
【0173】(実施の形態7)実施の形態7は、本発明
の第4の態様に係る電子放出体の製造方法、第4の態様
に係る電界放出素子の製造方法、並びに、第4の態様に
係る所謂2電極型の表示装置の製造方法に関し、更に
は、第3の方法に関する。
【0174】実施の形態7にあっては、実施の形態3の
[工程−300]、[工程−310]、実施の形態1の
[工程−140]、実施の形態3の[工程−320]、
[工程−330]と同様の工程を順次、実行することに
よって電子放出体あるいは電界放出素子を完成させ、更
に、実施の形態1の[工程−160]と同様の工程を実
行することによって表示装置を完成させればよいので、
詳細な説明は省略する。[工程−310]の条件によっ
ては、[工程−320]を省略することができる。
【0175】(実施の形態8)実施の形態8は、本発明
の第5の態様に係る電子放出体の製造方法、第5の態様
に係る電界放出素子の製造方法、並びに、第5の態様に
係る所謂2電極型の表示装置の製造方法に関し、更に
は、第4の方法に関する。
【0176】実施の形態8にあっては、実施の形態4の
[工程−400]、[工程−410]、実施の形態1の
[工程−140]、実施の形態4の[工程−420]、
[工程−430]、[工程−440]と同様の工程を順
次、実行することによって電子放出体あるいは電界放出
素子を完成させ、更に、実施の形態1の[工程−16
0]と同様の工程を実行することによって表示装置を完
成させればよいので、詳細な説明は省略する。[工程−
410]の条件によっては、[工程−440]を省略す
ることができる。
【0177】(実施の形態9)実施の形態9は、本発明
の第6の態様若しくは第7の態様に係る電界放出素子の
製造方法、並びに、第6の態様若しくは第7の態様に係
る所謂3電極型の表示装置及びその製造方法に関し、更
には、第1の方法に関する。
【0178】実施の形態9の電界放出素子の模式的な一
部端面図を図12の(B)に示し、表示装置の模式的な
一部端面図を図9に示し、カソードパネルCPとアノー
ドパネルAPを分解したときの模式的な部分的斜視図を
図10に示す。この電界放出素子は、支持体10上に形
成されたカソード電極11、支持体10及びカソード電
極11上に形成された絶縁層12、絶縁層12上に形成
されたゲート電極13、ゲート電極13及び絶縁層12
に形成された開口部(ゲート電極13に形成された第1
の開口部14A、及び、絶縁層12に形成された第2の
開口部14B)、並びに、第2の開口部14Bの底部に
露出した電子放出部15から成る。電子放出部15は、
マトリックス21、及び、先端部が突出した状態でマト
リックス21中に埋め込まれた電子放出部構成材料(具
体的には、カーボン・ナノチューブ構造体であり、より
具体的には、カーボン・ナノチューブ20である)から
成る。また、マトリックス21は、ダイヤモンド状アモ
ルファスカーボンから成る。
【0179】表示装置は、上述のような電界放出素子が
有効領域に多数形成されたカソードパネルCPと、アノ
ードパネルAPから構成されており、複数の画素から構
成され、各画素は、複数の電界放出素子と、電界放出素
子に対向して基板30上に設けられたアノード電極33
及び蛍光体層31から構成されている。アノード電極3
3は有効領域を覆うシート状である。カソードパネルC
PとアノードパネルAPとは、それらの周縁部におい
て、枠体34を介して接合されている。図9に示す一部
端面図には、カソードパネルCPにおいて、1本のカソ
ード電極11につき開口部14A,14B及び電子放出
部15を、図面の簡素化のために2つずつ示している
が、これに限定するものではなく、また、電界放出素子
の基本的な構成は図12の(B)に示したとおりであ
る。更には、カソードパネルCPの無効領域には、真空
排気用の貫通孔36が設けられており、この貫通孔36
には、真空排気後に封じ切られるチップ管37が接続さ
れている。但し、図9は表示装置の完成状態を示してお
り、図示したチップ管37は既に封じ切られている。ま
た、スペーサの図示は省略した。
【0180】アノードパネルAPの構造は、実施の形態
1にて説明したアノードパネルAPと同様の構造とする
ことができるので、詳細な説明は省略する。
【0181】この表示装置において表示を行う場合に
は、カソード電極11には相対的な負電圧がカソード電
極制御回路40から印加され、ゲート電極13には相対
的な正電圧がゲート電極制御回路41から印加され、ア
ノード電極33にはゲート電極13よりも更に高い正電
圧がアノード電極制御回路42から印加される。かかる
表示装置において表示を行う場合、例えば、カソード電
極11にカソード電極制御回路40から走査信号を入力
し、ゲート電極13にゲート電極制御回路41からビデ
オ信号を入力する。あるいは又、カソード電極11にカ
ソード電極制御回路40からビデオ信号を入力し、ゲー
ト電極13にゲート電極制御回路41から走査信号を入
力してもよい。カソード電極11とゲート電極13との
間に電圧を印加した際に生ずる電界により、量子トンネ
ル効果に基づき電子放出部15から電子が放出され、こ
の電子がアノード電極33に引き付けられ、蛍光体層3
1に衝突する。その結果、蛍光体層31が励起されて発
光し、所望の画像を得ることができる。
【0182】以下、実施の形態9の電界放出素子の製造
方法及び表示装置の製造方法を、図11の(A)、
(B)及び図12の(A)、(B)を参照して説明す
る。
【0183】[工程−900]先ず、例えばガラス基板
から成る支持体10上にカソード電極形成用の導電材料
層を形成し、次いで、周知のリソグラフィ技術及びRI
E法に基づき導電材料層をパターニングすることによっ
て、ストライプ状のカソード電極11を支持体10上に
形成する。ストライプ状のカソード電極11は、図面の
紙面左右方向に延びている。導電材料層は、例えばスパ
ッタリング法により形成された厚さ約0.2μmのクロ
ム(Cr)層から成る。
【0184】[工程−910]その後、実施の形態1の
[工程−110]及び[工程−120]と同様にして、
カソード電極11の表面に複合体層22を形成する(図
11の(A)参照)。尚、その後、複合体層22上に、
例えば、ITOから成るバッファ層を形成してもよい。
【0185】[工程−920]次に、複合体層22、支
持体10及びカソード電極11上に絶縁層12を形成す
る。具体的には、例えばTEOS(テトラエトキシシラ
ン)を原料ガスとして使用するCVD法により、全面
に、厚さ約1μmの絶縁層12を形成する。
【0186】[工程−930]その後、絶縁層12上に
第1の開口部14Aを有するゲート電極13を形成す
る。具体的には、絶縁層12上にゲート電極を構成する
ためのクロム(Cr)から成る導電材料層をスパッタリ
ング法にて形成した後、導電材料層上にパターニングさ
れた第1のマスク材料層(図示せず)を形成し、かかる
第1のマスク材料層をエッチング用マスクとして用いて
導電材料層をエッチングして、導電材料層をストライプ
状にパターニングした後、第1のマスク材料層を除去す
る。次いで、導電材料層及び絶縁層12上にパターニン
グされた第2のマスク材料層116を形成し、かかる第
2のマスク材料層116をエッチング用マスクとして用
いて導電材料層をエッチングする。これによって、絶縁
層12上に第1の開口部14Aを有するゲート電極13
を得ることができる。ストライプ状のゲート電極13
は、カソード電極11と異なる方向(例えば、図面の紙
面垂直方向)に延びている。
【0187】[工程−940]次いで、ゲート電極13
に形成された第1の開口部14Aに連通する第2の開口
部14Bを絶縁層12に形成する。具体的には、第2の
マスク材料層116をエッチング用マスクとして用いて
絶縁層12をRIE法にてエッチングする。こうして、
図11の(B)に示す構造を得ることができる。実施の
形態9においては、第1の開口部14Aと第2の開口部
14Bとは、一対一の対応関係にある。即ち、1つの第
1の開口部14Aに対応して、1つの第2の開口部14
Bが形成される。尚、第1及び第2の開口部14A,1
4Bの平面形状は、例えば直径3μmの円形である。こ
れらの開口部14A,14Bを、例えば、1画素に数百
個程度形成すればよい。尚、複合体層22上に、例えば
バッファ層を形成した場合、その後、バッファ層のエッ
チングを行う。
【0188】[工程−950]その後、第2の開口部1
4Bの底部に露出した複合体層22の表面のマトリック
ス21を除去し、先端部が突出した状態でカーボン・ナ
ノチューブ20がマトリックス21中に埋め込まれた電
子放出部15を形成する(図12の(A)参照)。具体
的には、実施の形態1の[工程−130]と同様の工程
を実行すればよい。尚、[工程−910]において、先
端部が突出した状態でカーボン・ナノチューブ20がマ
トリックス21中に埋め込まれた電子放出部15を形成
したならば、この工程は省略することができる。
【0189】[工程−960]その後、絶縁層12に設
けられた第2の開口部14Bの側壁面を等方的なエッチ
ングによって後退させることが、ゲート電極13の開口
端部を露出させるといった観点から、好ましい(図12
の(B)参照)。尚、等方的なエッチングは、ケミカル
ドライエッチングのようにラジカルを主エッチング種と
して利用するドライエッチング、あるいはエッチング液
を利用するウェットエッチングにより行うことができ
る。エッチング液としては、例えば49%フッ酸水溶液
と純水の1:100(容積比)混合液を用いることがで
きる。次いで、第2のマスク材料層116を除去する。
【0190】[工程−970]次いで、実施の形態1の
[工程−140]と同様の工程を実行することによって
電界放出素子を完成させる。
【0191】[工程−980]更に、実施の形態1の
[工程−160]と同様の工程を実行することによって
表示装置を完成させる。
【0192】尚、[工程−940]の後、[工程−96
0]における第2の開口部14Bの側壁面の等方的なエ
ッチングを行い、次いで、[工程−950]を実行した
後、第2のマスク材料層116を除去してもよい。更に
は、[工程−940]の後、[工程−970]、[工程
−950]を実行してもよい。
【0193】あるいは又、[工程−900]、実施の形
態1の[工程−110]、[工程−140]、[工程−
120]、[工程−920]〜[工程−960]と同様
の工程を順次、実行することによって、場合によって
は、更に[工程−970]と同様の工程を実行すること
によって、電界放出素子を完成させ、更に、実施の形態
1の[工程−160]と同様の工程を実行することによ
って表示装置を完成させてもよい。
【0194】(実施の形態10)実施の形態10は実施
の形態9の変形である。実施の形態10が実施の形態9
と異なる点は、カーボン・ナノチューブをカソード電極
11上にプラズマCVD法にて形成する点にある。即
ち、実施の形態10は、第2の方法に関する。以下、実
施の形態10電界放出素子の製造方法及び表示装置の製
造方法を説明する。
【0195】[工程−1000]先ず、実施の形態9の
[工程−900]と同様にして、アルミニウム(Al)
から成るストライプ状のカソード電極11を支持体10
上に形成する。その後、実施の形態2の[工程−20
0]と同様にして、電子放出部を形成すべきカソード電
極11の部分に選択成長領域23を形成する。
【0196】[工程−1010]次に、実施の形態2の
[工程−210]と同様にして、カーボン・ナノチュー
ブ20を形成する。
【0197】[工程−1020]その後、実施の形態1
の[工程−120]、実施の形態9の[工程−920]
〜[工程−970]と同様の工程を実行することによっ
て電子放出部を完成させ、更に、実施の形態1の[工程
−160]と同様の工程を実行することによって表示装
置を完成させる。
【0198】尚、[工程−1000]、[工程−101
0]、実施の形態1の[工程−140]、[工程−12
0]、実施の形態9の[工程−920]〜[工程−96
0]と同様の工程を順次、実行することによって、場合
によっては、更に[工程−970]と同様の工程を実行
することによって、電界放出素子を完成させ、更に、実
施の形態1の[工程−160]と同様の工程を実行する
ことによって表示装置を完成させてもよい。
【0199】(実施の形態11)実施の形態11も実施
の形態9の変形である。実施の形態11が実施の形態9
と異なる点は、バインダ材料に電子放出部構成材料を分
散させたものをカソード電極の所望の領域に塗布した
後、バインダ材料の焼成あるいは硬化を行う点にある。
即ち、実施の形態11は、第3の方法に関する。以下、
実施の形態11の電界放出素子の製造方法及び表示装置
の製造方法を説明する。
【0200】[工程−1100]先ず、実施の形態9の
[工程−900]と同様にして、クロム(Cr)から成
るストライプ状のカソード電極11を支持体10上に形
成する。
【0201】[工程−1110]次に、実施の形態3の
[工程−310]〜[工程−330]と同様の工程を実
行する。尚、[工程−320]を省略することもでき
る。
【0202】[工程−1120]その後、実施の形態9
の[工程−920]〜[工程−970]と同様の工程を
実行することによって電子放出部を完成させ、更に、実
施の形態1の[工程−160]と同様の工程を実行する
ことによって表示装置を完成させる。
【0203】尚、[工程−1100]、実施の形態3の
[工程−310]、実施の形態1の[工程−140]、
実施の形態3の[工程−320]、[工程−330]、
実施の形態9の[工程−920]〜[工程−960]と
同様の工程を順次、実行することによって、場合によっ
ては、更に[工程−970]と同様の工程を実行するこ
とによって、電界放出素子を完成させ、更に、実施の形
態1の[工程−160]と同様の工程を実行することに
よって表示装置を完成させてもよい。
【0204】(実施の形態12)実施の形態12も実施
の形態9の変形である。実施の形態12が実施の形態9
と異なる点は、電子放出部構成材料が分散された金属化
合物溶液をカソード電極に塗布した後、金属化合物を焼
成する点にある。即ち、実施の形態12は、第4の方法
に関する。以下、実施の形態12の電界放出素子の製造
方法及び表示装置の製造方法を説明する。
【0205】[工程−1200]先ず、実施の形態9の
[工程−900]と同様にして、クロム(Cr)から成
るストライプ状のカソード電極11を支持体10上に形
成する。
【0206】[工程−1210]次に、実施の形態4の
[工程−410]〜[工程−440]と同様の工程を実
行する。
【0207】[工程−1220]その後、実施の形態9
の[工程−920]〜[工程−970]と同様の工程を
実行することによって電子放出部を完成させ、更に、実
施の形態1の[工程−160]と同様の工程を実行する
ことによって表示装置を完成させる。尚、マトリックス
21を金属酸化物、例えばITOから構成する場合、絶
縁層12をエッチングするとき、マトリックス21がエ
ッチングされることはない。即ち、絶縁層12とマトリ
ックス21とのエッチング選択比はほぼ無限大である。
従って、絶縁層12のエッチングによってカーボン・ナ
ノチューブ20に損傷が発生することはない。
【0208】尚、[工程−1200]、実施の形態4の
[工程−410]、実施の形態1の[工程−140]、
実施の形態4の[工程−420]、[工程−430]、
[工程−440]、実施の形態9の[工程−920]〜
[工程−960]と同様の工程を順次、実行することに
よって、場合によっては、更に[工程−970]と同様
の工程を実行することによって、電界放出素子を完成さ
せ、更に、実施の形態1の[工程−160]と同様の工
程を実行することによって表示装置を完成させてもよ
い。
【0209】(実施の形態13)実施の形態13は、本
発明の第8の態様若しくは第9の態様に係る電界放出素
子の製造方法、並びに、第8の態様若しくは第9の態様
に係る所謂3電極型の表示装置及びその製造方法に関
し、更には、第1の方法に関する。
【0210】実施の形態13の電界放出素子の模式的な
一部端面図は図12の(B)に示したと同様であり、表
示装置の模式的な一部端面図、カソードパネルCPとア
ノードパネルAPを分解したときの模式的な部分的斜視
図は、図9、図10に示したと同様である。また、電界
放出素子、表示装置、カソードパネル、アノードパネル
は、実施の形態9と同様の構造を有するので、詳細な説
明は省略する。
【0211】以下、実施の形態13の電界放出素子の製
造方法及び表示装置の製造方法を、図13の(A)〜
(C)を参照して説明する。
【0212】[工程−1300]先ず、実施の形態9の
[工程−900]と同様にして、例えばガラス基板から
成る支持体10上にストライプ状のカソード電極11を
支持体10上に形成する。
【0213】[工程−1310]次に、実施の形態9の
[工程−920]と同様にして、支持体10及びカソー
ド電極11上に絶縁層12を形成する。具体的には、例
えばTEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガスとし
て使用するCVD法により、全面に、厚さ約1μmの絶
縁層12を形成する。
【0214】[工程−1320]その後、実施の形態9
の[工程−930]、[工程−940]と同様にして、
絶縁層12上に第1の開口部14Aを有するゲート電極
13を形成し、更には、絶縁層12に第2の開口部14
Bを形成する(図13の(A)参照)。
【0215】[工程−1330]次いで、最上層(絶縁
層12及びゲート電極13)及び開口部14A,14B
の側壁面、並びに、第2の開口部14Bの底部の電子放
出部を形成しないカソード電極11の部分を剥離層24
で被覆する(図13の(B)参照)。
【0216】[工程−1340]その後、実施の形態1
の[工程−110]及び[工程−120]と同様にし
て、カソード電極11の表面に電子放出部15を形成す
る。次に、剥離層24を剥離することによって、絶縁層
12及びゲート電極13の上方の複合体層を除去する。
こうして、図13の(C)に示す構造を得ることができ
る。
【0217】[工程−1350]その後、実施の形態9
の[工程−950]と同様にして、第2の開口部14B
の底部に露出した複合体層22の表面のマトリックス2
1を除去し、先端部が突出した状態でカーボン・ナノチ
ューブ20がマトリックス21中に埋め込まれた電子放
出部15を形成する。こうして、図12の(A)に示し
たと同様の構造を得ることができる。具体的には、実施
の形態1の[工程−130]と同様の工程を実行すれば
よい。尚、[工程−1340]において、先端部が突出
した状態でカーボン・ナノチューブ20がマトリックス
21中に埋め込まれた電子放出部15を形成したなら
ば、この工程は省略することができる。
【0218】[工程−1360]その後、実施の形態9
の[工程−960]と同様にして、絶縁層12に設けら
れた第2の開口部14Bの側壁面を等方的なエッチング
によって後退させることが、ゲート電極13の開口端部
を露出させるといった観点から、好ましい。
【0219】[工程−1370]次いで、実施の形態1
の[工程−140]と同様の工程を実行することによっ
て電界放出素子を完成させる。
【0220】[工程−1380]更に、実施の形態1の
[工程−160]と同様の工程を実行することによって
表示装置を完成させる。
【0221】尚、[工程−1350]の後、[工程−1
370]を実行し、次いで、[工程−1360]を実行
してもよい。
【0222】あるいは又、[工程−1300]〜[工程
−1330]、実施の形態1の[工程−110]、[工
程−140]、[工程−120]、剥離層24の除去、
[工程−1350]〜[工程−1360]と同様の工程
を順次、実行することによって、場合によっては、更に
[工程−1370]と同様の工程を実行することによっ
て、電界放出素子を完成させ、更に、実施の形態1の
[工程−160]と同様の工程を実行することによって
表示装置を完成させてもよい。
【0223】(実施の形態14)実施の形態14は実施
の形態13の変形である。実施の形態14が実施の形態
13と異なる点は、カーボン・ナノチューブをカソード
電極11上にプラズマCVD法にて形成する点にある。
即ち、実施の形態14は、第2の方法に関する。以下、
実施の形態14電界放出素子の製造方法及び表示装置の
製造方法を説明する。
【0224】[工程−1400]先ず、実施の形態13
の[工程−1300]と同様にして、アルミニウム(A
l)から成るストライプ状のカソード電極11を支持体
10上に形成する。
【0225】[工程−1410]次に、実施の形態9の
[工程−920]と同様にして、支持体10及びカソー
ド電極11上に絶縁層12を形成する。具体的には、例
えばTEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガスとし
て使用するCVD法により、全面に、厚さ約1μmの絶
縁層12を形成する。その後、実施の形態9の[工程−
930]、[工程−940]と同様にして、絶縁層12
上に第1の開口部14Aを有するゲート電極13を形成
し、更には、絶縁層12に第2の開口部14Bを形成す
る。次いで、最上層(絶縁層12及びゲート電極13)
及び開口部14A,14Bの側壁面、並びに、第2の開
口部14Bの底部の電子放出部を形成しないカソード電
極11の部分を剥離層24で被覆する。
【0226】[工程−1420]その後、実施の形態2
の[工程−200]と同様にして、電子放出部を形成す
べきカソード電極11の部分に選択成長領域23を形成
する。具体的には、全面に、例えばニッケル(Ni)層
をスパッタリング法にて形成した後、剥離層24を除去
することによって、第2の開口部14Bの底部に選択成
長領域23を形成することができる。
【0227】[工程−1430]次に、実施の形態2の
[工程−210]と同様にして、カーボン・ナノチュー
ブ20を形成した後、実施の形態1の[工程−120]
を実行する。
【0228】[工程−1440]その後、実施の形態9
の[工程−950]と同様にして、第2の開口部14B
の底部に露出した複合体層22の表面のマトリックス2
1を除去し、先端部が突出した状態でカーボン・ナノチ
ューブ20がマトリックス21中に埋め込まれた電子放
出部15を形成する。尚、[工程−1430]におい
て、先端部が突出した状態でカーボン・ナノチューブ2
0がマトリックス21中に埋め込まれた電子放出部15
を形成したならば、この工程は省略することができる。
【0229】[工程−1450]その後、実施の形態9
の[工程−960]と同様にして、絶縁層12に設けら
れた第2の開口部14Bの側壁面を等方的なエッチング
によって後退させることが、ゲート電極13の開口端部
を露出させるといった観点から、好ましい。
【0230】[工程−1460]次いで、実施の形態1
の[工程−140]と同様の工程を実行することによっ
て電界放出素子を完成させる。
【0231】[工程−1470]更に、実施の形態1の
[工程−160]と同様の工程を実行することによって
表示装置を完成させる。
【0232】尚、[工程−1440]の後、[工程−1
460]を実行し、次いで、[工程−1450]を実行
してもよい。あるいは又、[工程−1400]を実行し
た後、[工程−1420]を実行して選択成長領域をカ
ソード電極11上に形成し、次いで、[工程−141
0]、[工程−1430]〜[工程−1470]を実行
してもよい。
【0233】あるいは又、[工程−1400]〜[工程
−1430]、実施の形態2の[工程−210]、実施
の形態1の[工程−140]、[工程−120]、[工
程−1440]、[工程−1450]と同様の工程を順
次、実行することによって、場合によっては、更に[工
程−1460]と同様の工程を実行することによって、
電界放出素子を完成させ、更に、実施の形態1の[工程
−160]と同様の工程を実行することによって表示装
置を完成させてもよい。あるいは又、[工程−140
0]、[工程−1420]、[工程−1410][工程
−1430]、実施の形態2の[工程−210]、実施
の形態1の[工程−140]、[工程−120]、[工
程−1440]、[工程−1450]と同様の工程を順
次、実行することによって、場合によっては、更に[工
程−1460]と同様の工程を実行することによって、
電界放出素子を完成させ、更に、実施の形態1の[工程
−160]と同様の工程を実行することによって表示装
置を完成させてもよい。
【0234】(実施の形態15)実施の形態15も実施
の形態13の変形である。実施の形態15が実施の形態
13と異なる点は、バインダ材料に電子放出部構成材料
を分散させたものをカソード電極の所望の領域に塗布し
た後、バインダ材料の焼成あるいは硬化を行う点にあ
る。即ち、実施の形態15は、第3の方法に関する。以
下、実施の形態15の電界放出素子の製造方法及び表示
装置の製造方法を説明する。
【0235】[工程−1500]先ず、実施の形態13
の[工程−900]と同様にして、クロム(Cr)から
成るストライプ状のカソード電極11を支持体10上に
形成する。
【0236】[工程−1510]次に、実施の形態9の
[工程−920]と同様にして、支持体10及びカソー
ド電極11上に絶縁層12を形成する。具体的には、例
えばTEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガスとし
て使用するCVD法により、全面に、厚さ約1μmの絶
縁層12を形成する。その後、実施の形態9の[工程−
930]、[工程−940]と同様にして、絶縁層12
上に第1の開口部14Aを有するゲート電極13を形成
し、更には、絶縁層12に第2の開口部14Bを形成す
る。次いで、最上層(絶縁層12及びゲート電極13)
及び開口部14A,14Bの側壁面、並びに、第2の開
口部14Bの底部の電子放出部を形成しないカソード電
極11の部分を剥離層24で被覆する。
【0237】[工程−1520]次に、実施の形態3の
[工程−310]〜[工程−330]と同様の工程を実
行する。尚、[工程−320]を省略することもでき
る。
【0238】[工程−1530]その後、実施の形態9
の[工程−960]と同様にして、絶縁層12に設けら
れた第2の開口部14Bの側壁面を等方的なエッチング
によって後退させることが、ゲート電極13の開口端部
を露出させるといった観点から、好ましい。
【0239】[工程−1540]次いで、実施の形態1
の[工程−140]と同様の工程を実行することによっ
て電界放出素子を完成させる。
【0240】[工程−1550]更に、実施の形態1の
[工程−160]と同様の工程を実行することによって
表示装置を完成させる。
【0241】尚、[工程−1520]の後、[工程−1
540]を実行し、次いで、[工程−1530]を実行
してもよい。
【0242】また、[工程−1500]、[工程−15
10]、実施の形態3の[工程−310]、実施の形態
1の[工程−140]、実施の形態3の[工程−32
0]、[工程−330]、[工程−1530]と同様の
工程を順次、実行することによって、場合によっては、
更に[工程−1540]と同様の工程を実行することに
よって、電界放出素子を完成させ、更に、実施の形態1
の[工程−160]と同様の工程を実行することによっ
て表示装置を完成させてもよい。
【0243】(実施の形態16)実施の形態16も実施
の形態13の変形である。実施の形態16が実施の形態
13と異なる点は、電子放出部構成材料が分散された金
属化合物溶液をカソード電極に塗布した後、金属化合物
を焼成する点にある。即ち、実施の形態16は、第4の
方法に関する。以下、実施の形態16の電界放出素子の
製造方法及び表示装置の製造方法を説明する。
【0244】[工程−1600]先ず、実施の形態13
の[工程−900]と同様にして、クロム(Cr)から
成るストライプ状のカソード電極11を支持体10上に
形成する。
【0245】[工程−1610]次に、実施の形態9の
[工程−920]と同様にして、支持体10及びカソー
ド電極11上に絶縁層12を形成する。具体的には、例
えばTEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガスとし
て使用するCVD法により、全面に、厚さ約1μmの絶
縁層12を形成する。その後、実施の形態9の[工程−
930]、[工程−940]と同様にして、絶縁層12
上に第1の開口部14Aを有するゲート電極13を形成
し、更には、絶縁層12に第2の開口部14Bを形成す
る。次いで、最上層(絶縁層12及びゲート電極13)
及び開口部14A,14Bの側壁面、並びに、第2の開
口部14Bの底部の電子放出部を形成しないカソード電
極11の部分を剥離層24で被覆する。
【0246】[工程−1620]次に、実施の形態4の
[工程−410]、[工程−420]、[工程−44
0]と同様の工程を実行する。尚、[工程−440]を
省略することもできる。
【0247】[工程−1630]その後、実施の形態9
の[工程−960]と同様にして、絶縁層12に設けら
れた第2の開口部14Bの側壁面を等方的なエッチング
によって後退させることが、ゲート電極13の開口端部
を露出させるといった観点から、好ましい。
【0248】[工程−1640]次いで、実施の形態1
の[工程−140]と同様の工程を実行することによっ
て電界放出素子を完成させる。
【0249】[工程−1650]更に、実施の形態1の
[工程−160]と同様の工程を実行することによって
表示装置を完成させる。
【0250】尚、[工程−1620]の後、[工程−1
640]を実行し、次いで、[工程−1630]を実行
してもよい。
【0251】また、[工程−1600]、[工程−16
10]、実施の形態4の[工程−410]、実施の形態
1の[工程−140]、実施の形態4の[工程−42
0]、[工程−440]、[工程−1630]と同様の
工程を順次、実行することによって、場合によっては、
更に[工程−1640]と同様の工程を実行することに
よって、電界放出素子を完成させ、更に、実施の形態1
の[工程−160]と同様の工程を実行することによっ
て表示装置を完成させてもよい。
【0252】(実施の形態17)実施の形態17におけ
る電界放出素子は、実施の形態1にて説明した電界放出
素子とゲート電極との組合せに関し、実施の形態9にて
説明した3電極型の電界放出素子とは、若干、構造の異
なる3電極型の電界放出素子である。実施の形態17の
電界放出素子の模式的な一部断面図を図14の(A)に
示し、カソード電極、帯状材料及びゲート電極、並び
に、ゲート電極支持部の模式的な配置図を図14の
(B)に示す。
【0253】この電界放出素子にあっては、絶縁材料か
ら成る帯状あるいは井桁状のゲート電極支持部が支持体
上に形成され、複数の開口部が形成された帯状材料から
成るゲート電極が、ゲート電極支持部の頂面に接するよ
うに、且つ、電子放出部の上方に開口部が位置するよう
に張架された構造を有する。
【0254】そして、このような構造の電界放出素子
は、(イ)絶縁材料から成る帯状あるいは井桁状のゲー
ト電極支持部を支持体上に形成し、且つ、支持体上にカ
ソード電極及び電子放出部を形成する工程と、(ロ)複
数の開口部が形成された帯状材料から成るゲート電極が
ゲート電極支持部の頂面に接するように、且つ、電子放
出部の上方に開口部が位置するように、帯状材料を張架
する工程、から成る方法によって作製することができ
る。
【0255】ここで、ゲート電極支持部を、隣り合うス
トライプ状のカソード電極の間の領域、あるいは、複数
のカソード電極を一群のカソード電極群としたとき、隣
り合うカソード電極群の間の領域に形成すればよい。ゲ
ート電極支持部を構成する材料として、従来公知の絶縁
材料を使用することができ、例えば、広く用いられてい
る低融点ガラスにアルミナ等の金属酸化物を混合した材
料や、SiO2等の絶縁材料を用いることができる。ゲ
ート電極支持部の形成方法として、CVD法とエッチン
グ法の組合せ、スクリーン印刷法、サンドブラスト形成
法、ドライフィルム法、感光法を例示することができ
る。ドライフィルム法とは、支持体上に感光性フィルム
をラミネートし、露光及び現像によってゲート電極支持
部を形成すべき部位の感光性フィルムを除去し、除去に
よって生じた開口部にゲート電極支持部形成用の絶縁材
料を埋め込み、焼成する方法である。感光性フィルムは
焼成によって燃焼、除去され、開口部に埋め込まれたゲ
ート電極支持部形成用の絶縁材料が残り、ゲート電極支
持部となる。感光法とは、支持体上に感光性を有するゲ
ート電極支持部形成用の絶縁材料を形成し、露光及び現
像によってこの絶縁材料をパターニングした後、焼成を
行う方法である。サンドブラスト形成法とは、例えば、
スクリーン印刷やロールコーター、ドクターブレード、
ノズル吐出式コーター等を用いてゲート電極支持部形成
用材料層を基板上に形成し、乾燥させた後、ゲート電極
支持部を形成すべきゲート電極支持部形成用材料層の部
分をマスク層で被覆し、次いで、露出したゲート電極支
持部形成用材料層の部分をサンドブラスト法によって除
去する方法である。
【0256】実施の形態17の電界放出素子は、より具
体的には、支持体10上に配設された絶縁材料から成る
帯状のゲート電極支持部112、支持体10上に形成さ
れたカソード電極11、複数の開口部114が形成され
た帯状材料113Aから成るゲート電極113、並び
に、カソード電極11上に形成された電子放出部15か
ら成り、ゲート電極支持部112の頂面に接するよう
に、且つ、電子放出部15の上方に開口部114が位置
するように帯状材料113Aが張架されている。電子放
出部15は、開口部114の底部に位置するカソード電
極11の部分の表面に形成された電子放出体から成る。
帯状材料113Aは、ゲート電極支持部112の頂面
に、熱硬化性接着剤(例えばエポキシ系接着剤)にて固
定されている。開口部を有する帯状材料は、先に説明し
たゲート電極を構成する材料から適宜選択して予め作製
すればよい。
【0257】以下、実施の形態17の電界放出素子の製
造方法の一例を説明する。
【0258】[工程−1700]先ず、支持体10上に
ゲート電極支持部112を、例えば、サンドブラスト形
成法に基づき形成する。
【0259】[工程−1710]その後、支持体10上
に電子放出部15を形成する。具体的には、実施の形態
1の[工程−100]〜[工程−140]と同様にし
て、カソード電極11上に、先端部が突出した状態でカ
ーボン・ナノチューブ20がマトリックス21中に埋め
込まれた電子放出体から構成された電子放出部を得るこ
とができる。尚、実施の形態2〜実施の形態8にて説明
した方法に基づき、電子放出部を形成してもよい。
【0260】[工程−1720]その後、複数の開口部
114が形成されたストライプ状の帯状材料113A
を、複数の開口部114が電子放出部15の上方に位置
するように、ゲート電極支持部112によって支持され
た状態に配設し、以て、ストライプ状の帯状材料113
Aから構成され、複数の開口部114を有するゲート電
極113を電子放出部15の上方に位置させる。ストラ
イプ状の帯状材料113Aを、ゲート電極支持部112
の頂面に、熱硬化性接着剤(例えばエポキシ系接着剤)
にて固定することができる。尚、ストライプ状のカソー
ド電極11の射影像と、ストライプ状の帯状材料113
Aの射影像は、直交する。
【0261】尚、実施の形態17においては、支持体1
0上にカソード電極11を形成した後に、支持体10上
にゲート電極支持部112を、例えば、サンドブラスト
形成法に基づき形成してもよい。また、ゲート電極支持
部112を、例えば、CVD法とエッチング法の組合せ
に基づき形成してもよい。
【0262】また、図15に、支持体10の端部近傍の
模式的な一部断面図を示すように、ストライプ状の帯状
材料113Aの両端部が、支持体10の周辺部に固定さ
れている構造とすることもできる。より具体的には、例
えば、支持体10の周辺部に突起部117を予め形成し
ておき、この突起部117の頂面に帯状材料113Aを
構成する材料と同じ材料の薄膜118を形成しておく。
そして、ストライプ状の帯状材料113Aを張架した状
態で、かかる薄膜118に、例えばレーザを用いて溶接
する。尚、突起部117は、例えば、ゲート電極支持部
の形成と同時に形成することができる。
【0263】また、実施の形態17の電界放出素子にお
ける開口部114の平面形状は円形に限定されない。帯
状材料113Aに設けられた開口部114の形状の変形
例を図16の(A)、(B)、(C)及び(D)に例示
する。実施の形態17における電界放出素子を、実施の
形態2〜実施の形態8にて説明した電界放出素子の製造
方法によって得られた電子放出部とゲート電極との組合
せとすることもできる。
【0264】以上、本発明を、実施の形態に基づき説明
したが、本発明はこれらに限定されるものではない。実
施の形態において説明した各種の条件、使用材料、電界
放出素子や表示装置の構成や構造、製造方法は例示であ
り、適宜変更することができるし、カーボン・ナノチュ
ーブやダイヤモンド状アモルファスカーボンの作製、形
成方法や堆積条件も例示であり、適宜変更することがで
きる。
【0265】発明の実施の形態においては、カーボン・
ナノチューブを使用したが、その代わりに、例えば、平
均直径30nm、平均長さ1μmのファイバー構造を有
し、CVD法(気相合成法)にて作製されたカーボン・
ナノファイバーを用いることもできる。また、ポリグラ
ファイトを使用することもできる。
【0266】基体、あるいは、電界放出素子におけるカ
ソード電極の表面に凹凸部を形成してもよい。凹凸部
は、例えば、基体あるいはカソード電極をタングステン
から構成し、エッチングガスとしてSF6を用い、カソ
ード電極を構成するタングステン結晶粒のエッチング速
度よりも粒界のエッチング速度の方が早くなるような条
件を設定してRIE法に基づくドライエッチングを行う
ことによって形成することができる。あるいは又、凹凸
部を、支持体上に球体60を散布しておき(図17の
(A)及び(B)参照)、球体60の上にカソード電極
111を形成した後(図18の(A)及び(B)参
照)、例えば球体60を燃焼させることによって除去す
る(図19の(A)及び(B)参照)方法にて形成する
ことができる。
【0267】カーボン・ナノチューブ構造体を、磁性材
料を内包したカーボン・ナノチューブ及び/又はカーボ
ン・ナノファイバーから構成し、あるいは又、表面に磁
性材料層が形成されたカーボン・ナノチューブ及び/又
はカーボン・ナノファイバーから構成してもよい。そし
て、この場合、例えば、実施の形態12の[工程−12
10]における[工程−410]と同様の工程に引き続
き、即ち、金属化合物溶液を基体あるいはカソード電極
上に塗布し、乾燥させた後、基体若しくは支持体を磁界
中に置くことにより、カーボン・ナノチューブ構造体
を、基体若しくは支持体の法線方向に近づく方向に配向
させることができる。即ち、カーボン・ナノチューブ構
造体の先端部をアノード電極の方向に向かう状態とする
ことができる。具体的には、例えば図20に示すよう
に、金属化合物溶液を乾燥させた段階のカソードパネル
を、コイル101が巻回された磁極片(ポールピース)
100の空洞中(外部磁界の強さH0)に通過させる。
この通過は、図示しない搬送手段を用いて、紙面に垂直
な方向に行われる。磁極片100の磁極間における最大
磁束密度は、0.001テスラ〜100テスラ、好まし
くは0.1テスラ〜5テスラであることが望ましく、例
えば0.6テスラ(6kガウス)である。図20では、
図中下から上へ向かう磁束線を図示しているが、磁束線
の方向は逆であってもよい。搬送方向に沿った磁極片1
00の後段には、図示しない乾燥手段として例えば赤外
線ヒータが配設されており、カーボン・ナノチューブ構
造体(具体的には、カーボン・ナノチューブ20)が配
向された状態で金属化合物溶液を直ちに乾燥させる。代
替的に、例えば、支持体をホットプレートで加熱しなが
ら磁界中に置くことによって、カーボン・ナノチューブ
構造体を配向させながら金属化合物溶液を乾燥させても
よい。尚、例えばNd−Fe−B系の永久磁石を用いる
こともできる。
【0268】電界放出素子においては、専ら1つの開口
部に1つの電子放出部が対応する形態を説明したが、電
界放出素子の構造に依っては、1つの開口部に複数の電
子放出部が対応した形態、あるいは、複数の開口部に1
つの電子放出部が対応する形態とすることもできる。あ
るいは又、ゲート電極に複数の第1の開口部を設け、絶
縁層にかかる複数の第1の開口部に連通した1つの第2
の開口部を設け、1又は複数の電子放出部を設ける形態
とすることもできる。
【0269】本発明の電界放出素子において、ゲート電
極13及び絶縁層12の上に更に第2の絶縁層72を設
け、第2の絶縁層72上に収束電極73を設けてもよ
い。このような構造を有する電界放出素子の模式的な一
部端面図を図21に示す。第2の絶縁層72には、第1
の開口部14Aに連通した第3の開口部74が設けられ
ている。収束電極73の形成は、例えば、実施の形態9
にあっては、[工程−930]において、絶縁層12上
にストライプ状のゲート電極13を形成した後、第2の
絶縁層72を形成し、次いで、第2の絶縁層72上にパ
ターニングされた収束電極73を形成した後、収束電極
73、第2の絶縁層72に第3の開口部74を設け、更
に、ゲート電極13に第1の開口部14Aを設ければよ
い。尚、収束電極のパターニングに依存して、1又は複
数の電子放出部、あるいは、1又は複数の画素に対応す
る収束電極ユニットが集合した形式の収束電極とするこ
ともでき、あるいは又、有効領域を1枚のシート状の導
電材料で被覆した形式の収束電極とすることもできる。
【0270】尚、収束電極は、このような方法にて形成
するだけでなく、例えば、厚さ数十μmの42%Ni−
Feアロイから成る金属板の両面に、例えばSiO2
ら成る絶縁膜を形成した後、各画素に対応した領域にパ
ンチングやエッチングすることによって開口部を形成す
ることで収束電極を作製することもできる。そして、カ
ソードパネル、金属板、アノードパネルを積み重ね、両
パネルの外周部に枠体を配置し、加熱処理を施すことに
よって、金属板の一方の面に形成された絶縁膜と絶縁層
12とを接着させ、金属板の他方の面に形成された絶縁
膜とアノードパネルとを接着し、これらの部材を一体化
させ、その後、真空封入することで、表示装置を完成さ
せることもできる。
【0271】ゲート電極を、有効領域を1枚のシート状
の導電材料(開口部を有する)で被覆した形式のゲート
電極とすることもできる。この場合には、カソード電極
を実施の形態1にて説明したと同様の構造としておく。
そして、ゲート電極に正の電圧(例えば160ボルト)
を印加する。更には、各画素を構成するカソード電極と
カソード電極制御回路との間に、例えば、TFTから成
るスイッチング素子を設け、かかるスイッチング素子の
作動によって、各画素を構成するカソード電極への印加
状態を制御し、画素の発光状態を制御する。
【0272】あるいは又、カソード電極を、有効領域を
1枚のシート状の導電材料で被覆した形式のカソード電
極とすることもできる。この場合には、1枚のシート状
の導電材料の所定の部分に、電界放出素子を備え、各画
素を構成する電子放出領域を形成しておく。そして、か
かるカソード電極に電圧(例えば0ボルト)を印加す
る。更には、各画素を構成する矩形形状のゲート電極と
ゲート電極制御回路との間に、例えば、TFTから成る
スイッチング素子を設け、かかるスイッチング素子の作
動によって、各画素を構成する電子放出部への電界の加
わる状態を制御し、画素の発光状態を制御する。
【0273】
【発明の効果】本発明においては、電子放出体あるいは
電子放出部が、先端部が突出した状態で電子放出部構成
材料がマトリックス中に埋め込まれている構造を有して
いるので、高い電子放出効率を達成することができる。
しかも、電場を用いるので、簡素な方法にて電子放出部
構成材料の先端部を確実に配向させることができる。即
ち、電子放出部構成材料の先端部を、基体若しくは支持
体の法線方向に近づく方向に出来る限り配向させること
ができる結果、電子放出体あるいは電子放出部の電子放
出特性の向上、電子放出特性の均一化を図ることができ
る。
【0274】また、本発明の製造方法において、電子放
出部を形成する工程において、電子放出部構成材料がマ
トリックスによって埋め込まれた状態とすれば、それ以
降の工程において、電子放出部構成材料が損傷を受け難
いし、例えば、開口部の大きさや絶縁層の厚さに制限を
受けることもない。また、本発明の製造方法において
は、マトリックスを金属酸化物から構成すれば、バイン
ダ材料としてのマトリックスからガスが放出されること
がないし、それ以降の工程において、電子放出部構成材
料が損傷を受け難いし、例えば、開口部の大きさや絶縁
層の厚さに制限を受けることもない。従って、設計自由
度が高く、しかも高い信頼性を有する冷陰極電界電子放
出素子あるいは冷陰極電界電子放出表示装置を得ること
ができる。
【0275】また、電子放出体あるいは電子放出部を形
成した状態で、例えば開口部の形成を行えば、電子放出
部構成材料によってカソード電極とゲート電極とが短絡
することがなく、開口部の大きさや絶縁層の厚さに制限
を受けることもない。
【0276】本発明において、ダイヤモンド状アモルフ
ァスカーボンをマトリックスとして使用すれば、このダ
イヤモンド状アモルファスカーボンは極めて優れた固定
力(付着力)を有しており、電子放出部構成材料を確実
に基体やカソード電極に固定することができるし、その
後の熱処理等によってマトリックスが熱分解して固定力
が低下したり、ガス放出することがなく、電子放出部構
成材料の特性劣化を招くことがない。また、電子放出部
構成材料をカーボン・ナノチューブ構造体から構成すれ
ば、カーボン・ナノチューブ構造体とダイヤモンド状ア
モルファスカーボンは本質的に同質の物質から構成され
ているが故に、電子の通り道であるカーボン・ナノチュ
ーブ構造体の部分の結晶性が変化したり、あるいは又、
かかる部分における原子の結合状態に変化が生じたりす
ることもなく、カーボン・ナノチューブ構造体の電気的
特性に変化が生じることがない。加えて、カーボン・ナ
ノチューブ構造体は非常に優れた結晶体であるのに対し
て、ダイヤモンド状アモルファスカーボンは非晶質であ
るが故に、エッチングレートの違いから、ダイヤモンド
状アモルファスカーボンの方が早くエッチングされる。
従って、マトリックスとしてのダイヤモンド状アモルフ
ァスカーボンからカーボン・ナノチューブ構造体の先端
部を確実に突出させることができる。更には、ダイヤモ
ンド状アモルファスカーボンは化学的に安定な物質であ
り、優れた機械的性質を有しているので、電子放出部構
成材料が物理的ダメージを受けることを防止し得るし、
マトリックスとしてダイヤモンド状アモルファスカーボ
ンを形成した後のプロセスにおける広いプロセス・ウイ
ンドを確保することが可能となる。また、熱伝導率が高
いので、抵抗熱等によって電子放出部構成材料の温度が
上昇した場合でも放熱効果に優れており、電子放出部構
成材料の熱的破壊を防止することができ、表示装置の信
頼性を高めることができる。更には、ダイヤモンド状ア
モルファスカーボンは非常に小さな電子親和力を有する
ので、仕事関数を下げる効果を有し、電界放出のための
閾値電界の低減が可能となり、電界放出への応用に極め
て有利である。しかも、ダイヤモンド状アモルファスカ
ーボンは比較的広いバンドギャップを有しているので、
電子は優先的に電子放出部構成材料を伝わり、電気的リ
ークが発生する虞がない。
【0277】また、マトリックスを金属酸化物から構成
すれば、金属酸化物によって電子放出部構成材料を確実
に基体やカソード電極に固定することができるし、その
後の熱処理等によってマトリックスが熱分解して固定力
が低下したり、ガス放出することがなく、電子放出部構
成材料の特性劣化を招くことがない。また、金属酸化物
は物理的、化学的、熱的に安定しているので、電子の通
り道である電子放出部構成材料の部分の結晶性が変化し
たり、あるいは又、かかる部分における原子の結合状態
に変化が生じたりすることもなく、電子放出部構成材料
の電気的特性に変化が生じることがないし、基体やカソ
ード電極と電子放出部構成材料との間の電気導電性を確
実に確保することができる。加えて、エッチングレート
の違いから、マトリックスの方を早くエッチングするこ
とができるが故に、マトリックスとしての金属酸化物か
ら電子放出部構成材料の先端部を確実に突出させること
ができる。更には、金属酸化物は化学的に安定な物質で
あり、優れた機械的性質を有しているので、電子放出部
構成材料が物理的ダメージを受けることを防止し得る
し、マトリックスとして金属酸化物を形成した後のプロ
セスにおける広いプロセス・ウインドを確保することが
可能となる。また、熱伝導率が高いので、抵抗熱等によ
って電子放出部構成材料の温度が上昇した場合でも放熱
効果に優れており、電子放出部構成材料の熱的破壊を防
止することができ、表示装置の信頼性を高めることがで
きる。また、金属酸化物を、比較的低温の金属化合物の
焼成によって形成することができるし、金属化合物溶液
を用いるが故に、電子放出部構成材料を基体やカソード
電極上に均一に配置することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、発明の実施の形態1の冷陰極電界電子
放出表示装置の模式的な一部断面図である。
【図2】図2は、発明の実施の形態1の冷陰極電界電子
放出表示装置における1つの電子放出部の模式的な斜視
図である。
【図3】図3の(A)、(B)及び(C)は、発明の実
施の形態1における冷陰極電界電子放出素子の製造方法
を説明するための支持体等の模式的な一部端面図であ
る。
【図4】図4の(A)及び(B)は、図3の(C)引き
続き、発明の実施の形態1における冷陰極電界電子放出
素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一
部端面図である。
【図5】図5の(A)、(B)、(C)及び(D)は、
発明の実施の形態1の冷陰極電界電子放出表示装置にお
けるアノードパネルの製造方法を説明するための基板等
の模式的な一部端面図である。
【図6】図6は、ダイヤモンド状アモルファスカーボン
のラマン・スペクトル図である。
【図7】図7の(A)及び(B)は、発明の実施の形態
2における冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明す
るための支持体等の模式的な一部断面図である。
【図8】図8の(A)、(B)及び(C)は、発明の実
施の形態4における冷陰極電界電子放出素子の製造方法
を説明するための支持体等の模式的な一部断面図であ
る。
【図9】図9は、発明の実施の形態9の冷陰極電界電子
放出表示装置の模式的な一部端面図である。
【図10】図10は、発明の実施の形態9の冷陰極電界
電子放出表示装置におけるカソードパネルとアノードパ
ネルを分解したときの模式的な部分的斜視図である。
【図11】図11の(A)及び(B)は、発明の実施の
形態9における冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説
明するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図12】図12の(A)及び(B)は、図11の
(B)に引き続き、発明の実施の形態9における冷陰極
電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持体等
の模式的な一部端面図である。
【図13】図13の(A)、(B)及び(C)は、発明
の実施の形態13における冷陰極電界電子放出素子の製
造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端面図
である。
【図14】図14の(A)及び(B)は、発明の実施の
形態17における冷陰極電界電子放出素子の模式的な一
部断面図、及び、ゲート電極等の模式的な配置図であ
る。
【図15】図15は、発明の実施の形態17の変形例に
おける冷陰極電界電子放出素子の模式的な一部断面図で
ある。
【図16】図16の(A)、(B)、(C)及び(D)
は、発明の実施の形態17におけるゲート電極の有する
複数の開口部を示す模式的な平面図である。
【図17】図17の(A)及び(B)は、基体、あるい
は、冷陰極電界電子放出素子におけるカソード電極の表
面に凹凸部を形成する方法の一例を説明するための支持
体等の模式的な断面図、及び、斜視図である。
【図18】図18の(A)及び(B)は、図17の
(A)及び(B)に引き続き、基体、あるいは、冷陰極
電界電子放出素子におけるカソード電極の表面に凹凸部
を形成する方法の一例を説明するための支持体等の模式
的な断面図、及び、斜視図である。
【図19】図19の(A)及び(B)は、図18の
(A)及び(B)に引き続き、基体、あるいは、冷陰極
電界電子放出素子におけるカソード電極の表面に凹凸部
を形成する方法の一例を説明するための支持体等の模式
的な断面図、及び、斜視図である。
【図20】図20は、基体若しくは支持体を磁界中に置
くことにより、カーボン・ナノチューブ構造体を配向さ
せる状態を模式的に示す図である。
【図21】図21は、発明の実施の形態9の冷陰極電界
電子放出素子の変形であって、収束電極を備えた冷陰極
電界電子放出素子の模式的な一部端面図である。
【符号の説明】
CP・・・カソードパネル、AP・・・アノードパネ
ル、10・・・支持体、11A・・・配線、11,11
1・・・カソード電極、12・・・絶縁層、112・・
・ゲート電極支持部、13,113・・・ゲート電極、
113A・・・帯状材料、14,14A,14B,11
4・・・開口部、15・・・電子放出部、16,116
・・・マスク層、117・・・突起部、118・・・薄
膜、20・・・カーボン・ナノチューブ、21・・・マ
トリックス、22・・・複合体層、23・・・選択成長
領域、24・・・剥離層、30・・・基板、31,31
R,31G,31B・・・蛍光体層、32・・・ブラッ
クマトリックス、33・・・アノード電極、34・・・
枠体、35・・・スペーサ、36・・・貫通孔、37・
・・チップ管、40,40A・・・カソード電極制御回
路、41・・・ゲート電極制御回路、42・・・アノー
ド電極制御回路、60・・・球体、72・・・第2の絶
縁層、73・・・収束電極、74・・・第3の開口部、
100・・・磁極片(ポールピース)、101・・・コ
イル

Claims (96)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)基体上に、電子放出部構成材料の先
    端部が突出した状態で電子放出部構成材料がマトリック
    ス中に埋め込まれた電子放出部を形成する工程と、 (b)基体を電場中に置くことにより、電子放出部構成
    材料の先端部を配向させる工程、を具備することを特徴
    とする電子放出体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記工程(a)は、電子放出部構成材料を
    有機溶媒中に分散させたものを基体に塗布し、有機溶媒
    を除去した後、電子放出部構成材料をマトリックスで被
    覆する工程から成ることを特徴とする請求項1に記載の
    電子放出体の製造方法。
  3. 【請求項3】マトリックスは、ダイヤモンド状アモルフ
    ァスカーボンから成ることを特徴とする請求項2に記載
    の電子放出体の製造方法。
  4. 【請求項4】前記工程(a)は、電子放出部構成材料を
    CVD法にて基体上に形成した後、電子放出部構成材料
    をマトリックスで被覆する工程から成ることを特徴とす
    る請求項1に記載の電子放出体の製造方法。
  5. 【請求項5】マトリックスは、ダイヤモンド状アモルフ
    ァスカーボンから成ることを特徴とする請求項4に記載
    の電子放出体の製造方法。
  6. 【請求項6】前記工程(a)は、バインダ材料に電子放
    出部構成材料を分散させたものを基体に塗布した後、バ
    インダ材料の焼成あるいは硬化を行う工程から成ること
    を特徴とする請求項1に記載の電子放出体の製造方法。
  7. 【請求項7】前記工程(a)は、電子放出部構成材料が
    分散された金属化合物溶液を基体に塗布した後、金属化
    合物を焼成する工程から成ることを特徴とする請求項1
    に記載の電子放出体の製造方法。
  8. 【請求項8】金属化合物は、有機金属化合物から成るこ
    とを特徴とする請求項7に記載の電子放出体の製造方
    法。
  9. 【請求項9】金属化合物は、有機酸金属化合物から成る
    ことを特徴とする請求項7に記載の電子放出体の製造方
    法。
  10. 【請求項10】金属化合物は、金属塩から成ることを特
    徴とする請求項7に記載の電子放出体の製造方法。
  11. 【請求項11】マトリックスは、導電性を有する金属酸
    化物から成ることを特徴とする請求項7に記載の電子放
    出体の製造方法。
  12. 【請求項12】マトリックスは、酸化錫、酸化インジウ
    ム、酸化インジウム−錫、酸化亜鉛、酸化アンチモン、
    又は、酸化アンチモン−錫から成ることを特徴とする請
    求項11に記載の電子放出体の製造方法。
  13. 【請求項13】前記工程(a)において、マトリックス
    の一部を除去し、先端部が突出した状態で電子放出部構
    成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部を形
    成することを特徴とする請求項2乃至請求項12のいず
    れか1項に記載の電子放出体の製造方法。
  14. 【請求項14】電子放出部構成材料はカーボン・ナノチ
    ューブ構造体から成ることを特徴とする請求項1乃至請
    求項13のいずれか1項に記載の電子放出体の製造方
    法。
  15. 【請求項15】(a)電子放出部構成材料を有機溶媒中
    に分散させたものを基体に塗布し、有機溶媒を除去する
    工程と、 (b)基体を電場中に置くことにより、電子放出部構成
    材料の先端部を配向させる工程と、 (c)電子放出部構成材料をマトリックスで被覆し、以
    て、電子放出部構成材料の先端部が突出した状態で電子
    放出部構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放
    出部を形成する工程、から成ることを特徴とする電子放
    出体の製造方法。
  16. 【請求項16】前記工程(c)において、マトリックス
    の一部を除去し、先端部が突出した状態で電子放出部構
    成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部を形
    成することを特徴とする請求項15に記載の電子放出体
    の製造方法。
  17. 【請求項17】マトリックスは、ダイヤモンド状アモル
    ファスカーボンから成ることを特徴とする請求項15に
    記載の電子放出体の製造方法。
  18. 【請求項18】(a)電子放出部構成材料をCVD法に
    て基体上に形成する工程と、 (b)基体を電場中に置くことにより、電子放出部構成
    材料の先端部を配向させる工程と、 (c)電子放出部構成材料をマトリックスで被覆し、以
    て、電子放出部構成材料の先端部が突出した状態で電子
    放出部構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放
    出部を形成する工程、から成ることを特徴とする電子放
    出体の製造方法。
  19. 【請求項19】前記工程(c)において、マトリックス
    の一部を除去し、先端部が突出した状態で電子放出部構
    成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部を形
    成することを特徴とする請求項18に記載の電子放出体
    の製造方法。
  20. 【請求項20】マトリックスは、ダイヤモンド状アモル
    ファスカーボンから成ることを特徴とする請求項18に
    記載の電子放出体の製造方法。
  21. 【請求項21】(a)バインダ材料に電子放出部構成材
    料を分散させたものを基体に塗布する工程と、 (b)基体を電場中に置くことにより、電子放出部構成
    材料の先端部を配向させる工程と、 (c)バインダ材料の焼成あるいは硬化を行い、以て、
    電子放出部構成材料の先端部が突出した状態で電子放出
    部構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部
    を形成する工程、から成ることを特徴とする電子放出体
    の製造方法。
  22. 【請求項22】前記工程(c)において、マトリックス
    の一部を除去し、先端部が突出した状態で電子放出部構
    成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部を形
    成することを特徴とする請求項21に記載の電子放出体
    の製造方法。
  23. 【請求項23】(a)電子放出部構成材料が分散された
    金属化合物溶液を基体に塗布する工程と、 (b)基体を電場中に置くことにより、電子放出部構成
    材料の先端部を配向させる工程と、 (c)金属化合物を焼成し、以て、電子放出部構成材料
    の先端部が突出した状態で電子放出部構成材料がマトリ
    ックス中に埋め込まれた電子放出部を形成する工程、か
    ら成ることを特徴とする電子放出体の製造方法。
  24. 【請求項24】前記工程(c)において、マトリックス
    の一部を除去し、先端部が突出した状態で電子放出部構
    成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部を形
    成することを特徴とする請求項23に記載の電子放出体
    の製造方法。
  25. 【請求項25】金属化合物は、有機金属化合物から成る
    ことを特徴とする請求項23に記載の電子放出体の製造
    方法。
  26. 【請求項26】金属化合物は、有機酸金属化合物から成
    ることを特徴とする請求項23に記載の電子放出体の製
    造方法。
  27. 【請求項27】金属化合物は、金属塩から成ることを特
    徴とする請求項23に記載の電子放出体の製造方法。
  28. 【請求項28】マトリックスは、導電性を有する金属酸
    化物から成ることを特徴とする請求項23に記載の電子
    放出体の製造方法。
  29. 【請求項29】マトリックスは、酸化錫、酸化インジウ
    ム、酸化インジウム−錫、酸化亜鉛、酸化アンチモン、
    又は、酸化アンチモン−錫から成ることを特徴とする請
    求項28に記載の電子放出体の製造方法。
  30. 【請求項30】電子放出部構成材料はカーボン・ナノチ
    ューブ構造体から成ることを特徴とする請求項15乃至
    請求項29のいずれか1項に記載の電子放出体の製造方
    法。
  31. 【請求項31】(A)支持体上に形成されたカソード電
    極、及び、 (B)カソード電極上に形成された電子放出部、から成
    る冷陰極電界電子放出素子の製造方法であって、 (a)カソード電極上に、電子放出部構成材料の先端部
    が突出した状態で電子放出部構成材料がマトリックス中
    に埋め込まれた電子放出部を形成する工程と、 (b)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
    成材料の先端部を配向させる工程、を具備することを特
    徴とする冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  32. 【請求項32】前記工程(a)は、電子放出部構成材料
    を有機溶媒中に分散させたものをカソード電極に塗布
    し、有機溶媒を除去した後、電子放出部構成材料をマト
    リックスで被覆する工程から成ることを特徴とする請求
    項31に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  33. 【請求項33】マトリックスは、ダイヤモンド状アモル
    ファスカーボンから成ることを特徴とする請求項32に
    記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  34. 【請求項34】前記工程(a)は、電子放出部構成材料
    をCVD法にてカソード電極上に形成した後、電子放出
    部構成材料をマトリックスで被覆する工程から成ること
    を特徴とする請求項31に記載の冷陰極電界電子放出素
    子の製造方法。
  35. 【請求項35】マトリックスは、ダイヤモンド状アモル
    ファスカーボンから成ることを特徴とする請求項34に
    記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  36. 【請求項36】前記工程(a)は、バインダ材料に電子
    放出部構成材料を分散させたものをカソード電極に塗布
    した後、バインダ材料の焼成あるいは硬化を行う工程か
    ら成ることを特徴とする請求項31に記載の冷陰極電界
    電子放出素子の製造方法。
  37. 【請求項37】前記工程(a)は、電子放出部構成材料
    が分散された金属化合物溶液をカソード電極に塗布した
    後、金属化合物を焼成する工程から成ることを特徴とす
    る請求項31に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方
    法。
  38. 【請求項38】金属化合物は、有機金属化合物から成る
    ことを特徴とする請求項37に記載の冷陰極電界電子放
    出素子の製造方法。
  39. 【請求項39】金属化合物は、有機酸金属化合物から成
    ることを特徴とする請求項37に記載の冷陰極電界電子
    放出素子の製造方法。
  40. 【請求項40】金属化合物は、金属塩から成ることを特
    徴とする請求項37に記載の冷陰極電界電子放出素子の
    製造方法。
  41. 【請求項41】マトリックスは、導電性を有する金属酸
    化物から成ることを特徴とする請求項37に記載の冷陰
    極電界電子放出素子の製造方法。
  42. 【請求項42】マトリックスは、酸化錫、酸化インジウ
    ム、酸化インジウム−錫、酸化亜鉛、酸化アンチモン、
    又は、酸化アンチモン−錫から成ることを特徴とする請
    求項41に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  43. 【請求項43】前記工程(a)において、マトリックス
    の一部を除去し、先端部が突出した状態で電子放出部構
    成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部を形
    成することを特徴とする請求項32乃至請求項42のい
    ずれか1項に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方
    法。
  44. 【請求項44】電子放出部構成材料はカーボン・ナノチ
    ューブ構造体から成ることを特徴とする請求項31乃至
    請求項43のいずれか1項に記載の冷陰極電界電子放出
    素子の製造方法。
  45. 【請求項45】(A)支持体上に形成されたカソード電
    極、及び、 (B)カソード電極上に形成された電子放出部、から成
    る冷陰極電界電子放出素子の製造方法であって、 (a)電子放出部構成材料を有機溶媒中に分散させたも
    のをカソード電極に塗布し、有機溶媒を除去する工程
    と、 (b)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
    成材料の先端部を配向させる工程と、 (c)電子放出部構成材料をマトリックスで被覆し、以
    て、電子放出部構成材料の先端部が突出した状態で電子
    放出部構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放
    出部を形成する工程、から成ることを特徴とする冷陰極
    電界電子放出素子の製造方法。
  46. 【請求項46】前記工程(c)において、マトリックス
    の一部を除去し、先端部が突出した状態で電子放出部構
    成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部を形
    成することを特徴とする請求項45に記載の冷陰極電界
    電子放出素子の製造方法。
  47. 【請求項47】マトリックスは、ダイヤモンド状アモル
    ファスカーボンから成ることを特徴とする請求項45に
    記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  48. 【請求項48】(A)支持体上に形成されたカソード電
    極、及び、 (B)カソード電極上に形成された電子放出部、から成
    る冷陰極電界電子放出素子の製造方法であって、 (a)電子放出部構成材料をCVD法にてカソード電極
    上に形成する工程と、 (b)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
    成材料の先端部を配向させる工程と、 (c)電子放出部構成材料をマトリックスで被覆し、以
    て、電子放出部構成材料の先端部が突出した状態で電子
    放出部構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放
    出部を形成する工程、から成ることを特徴とする冷陰極
    電界電子放出素子の製造方法。
  49. 【請求項49】前記工程(c)において、マトリックス
    の一部を除去し、先端部が突出した状態で電子放出部構
    成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部を形
    成することを特徴とする請求項48に記載の冷陰極電界
    電子放出素子の製造方法。
  50. 【請求項50】マトリックスは、ダイヤモンド状アモル
    ファスカーボンから成ることを特徴とする請求項48に
    記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  51. 【請求項51】(A)支持体上に形成されたカソード電
    極、及び、 (B)カソード電極上に形成された電子放出部、から成
    る冷陰極電界電子放出素子の製造方法であって、 (a)バインダ材料に電子放出部構成材料を分散させた
    ものをカソード電極に塗布する工程と、 (b)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
    成材料の先端部を配向させる工程と、 (c)バインダ材料の焼成あるいは硬化を行い、以て、
    電子放出部構成材料の先端部が突出した状態で電子放出
    部構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部
    を形成する工程、から成ることを特徴とする冷陰極電界
    電子放出素子の製造方法。
  52. 【請求項52】前記工程(c)において、マトリックス
    の一部を除去し、先端部が突出した状態で電子放出部構
    成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部を形
    成することを特徴とする請求項51に記載の冷陰極電界
    電子放出素子の製造方法。
  53. 【請求項53】(A)支持体上に形成されたカソード電
    極、及び、 (B)カソード電極上に形成された電子放出部、から成
    る冷陰極電界電子放出素子の製造方法であって、 (a)電子放出部構成材料が分散された金属化合物溶液
    をカソード電極に塗布する工程と、 (b)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
    成材料の先端部を配向させる工程と、 (c)金属化合物を焼成し、以て、電子放出部構成材料
    の先端部が突出した状態で電子放出部構成材料がマトリ
    ックス中に埋め込まれた電子放出部を形成する工程、か
    ら成ることを特徴とする冷陰極電界電子放出素子の製造
    方法。
  54. 【請求項54】前記工程(c)において、マトリックス
    の一部を除去し、先端部が突出した状態で電子放出部構
    成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部を形
    成することを特徴とする請求項53に記載の冷陰極電界
    電子放出素子の製造方法。
  55. 【請求項55】金属化合物は、有機金属化合物から成る
    ことを特徴とする請求項53に記載の冷陰極電界電子放
    出素子の製造方法。
  56. 【請求項56】金属化合物は、有機酸金属化合物から成
    ることを特徴とする請求項53に記載の冷陰極電界電子
    放出素子の製造方法。
  57. 【請求項57】金属化合物は、金属塩から成ることを特
    徴とする請求項53に記載の冷陰極電界電子放出素子の
    製造方法。
  58. 【請求項58】マトリックスは、導電性を有する金属酸
    化物から成ることを特徴とする請求項53に記載の冷陰
    極電界電子放出素子の製造方法。
  59. 【請求項59】マトリックスは、酸化錫、酸化インジウ
    ム、酸化インジウム−錫、酸化亜鉛、酸化アンチモン、
    又は、酸化アンチモン−錫から成ることを特徴とする請
    求項58に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  60. 【請求項60】電子放出部構成材料はカーボン・ナノチ
    ューブ構造体から成ることを特徴とする請求項45乃至
    請求項59のいずれか1項に記載の冷陰極電界電子放出
    素子の製造方法。
  61. 【請求項61】(A)支持体上に設けられたカソード電
    極、 (B)支持体及びカソード電極の上に形成された絶縁
    層、 (C)絶縁層上に形成されたゲート電極、 (D)ゲート電極及び絶縁層に形成された開口部、及
    び、 (E)開口部の底部に露出した電子放出部、 から成る冷陰極電界電子放出素子の製造方法であって、 (a)支持体上にカソード電極を形成する工程と、 (b)カソード電極上に、先端部が突出した状態で電子
    放出部構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放
    出部を形成する工程と、 (c)全面に絶縁層を形成する工程と、 (d)絶縁層上にゲート電極を形成する工程と、 (e)少なくとも絶縁層に開口部を形成し、開口部の底
    部に、先端部が突出した状態で電子放出部構成材料がマ
    トリックス中に埋め込まれた電子放出部を露出させる工
    程と、 (f)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
    成材料の先端部を配向させる工程、を具備することを特
    徴とする冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  62. 【請求項62】(A)支持体上に設けられたカソード電
    極、 (B)支持体及びカソード電極の上に形成された絶縁
    層、 (C)絶縁層上に形成されたゲート電極、 (D)ゲート電極及び絶縁層に形成された開口部、及
    び、 (E)開口部の底部に露出した電子放出部、から成る冷
    陰極電界電子放出素子の製造方法であって、 (a)支持体上にカソード電極を形成する工程と、 (b)カソード電極上に、電子放出部構成材料がマトリ
    ックス中に埋め込まれた電子放出部を形成する工程と、 (c)全面に絶縁層を形成する工程と、 (d)絶縁層上にゲート電極を形成する工程と、 (e)少なくとも絶縁層に開口部を形成し、開口部の底
    部に、電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込ま
    れた電子放出部を露出させる工程と、 (f)マトリックスの一部を除去し、先端部が突出した
    状態で電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込ま
    れた電子放出部を形成する工程と、 (g)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
    成材料の先端部を配向させる工程、を具備することを特
    徴とする冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  63. 【請求項63】前記工程(b)は、電子放出部構成材料
    を有機溶媒中に分散させたものをカソード電極に塗布
    し、有機溶媒を除去した後、電子放出部構成材料をマト
    リックスで被覆する工程から成ることを特徴とする請求
    項61又は請求項62に記載の冷陰極電界電子放出素子
    の製造方法。
  64. 【請求項64】マトリックスは、ダイヤモンド状アモル
    ファスカーボンから成ることを特徴とする請求項63に
    記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  65. 【請求項65】前記工程(b)は、電子放出部構成材料
    をCVD法にてカソード電極上に形成した後、電子放出
    部構成材料をマトリックスで被覆する工程から成ること
    を特徴とする請求項61又は請求項62に記載の冷陰極
    電界電子放出素子の製造方法。
  66. 【請求項66】マトリックスは、ダイヤモンド状アモル
    ファスカーボンから成ることを特徴とする請求項65に
    記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  67. 【請求項67】前記工程(b)は、バインダ材料に電子
    放出部構成材料を分散させたものをカソード電極に塗布
    した後、バインダ材料の焼成あるいは硬化を行う工程か
    ら成ることを特徴とする請求項61又は請求項62に記
    載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  68. 【請求項68】前記工程(b)は、電子放出部構成材料
    が分散された金属化合物溶液をカソード電極に塗布した
    後、金属化合物を焼成する工程から成ることを特徴とす
    る請求項61又は請求項62に記載の冷陰極電界電子放
    出素子の製造方法。
  69. 【請求項69】金属化合物は、有機金属化合物から成る
    ことを特徴とする請求項68に記載の冷陰極電界電子放
    出素子の製造方法。
  70. 【請求項70】金属化合物は、有機酸金属化合物から成
    ることを特徴とする請求項68に記載の冷陰極電界電子
    放出素子の製造方法。
  71. 【請求項71】金属化合物は、金属塩から成ることを特
    徴とする請求項68に記載の冷陰極電界電子放出素子の
    製造方法。
  72. 【請求項72】マトリックスは、導電性を有する金属酸
    化物から成ることを特徴とする請求項68に記載の冷陰
    極電界電子放出素子の製造方法。
  73. 【請求項73】マトリックスは、酸化錫、酸化インジウ
    ム、酸化インジウム−錫、酸化亜鉛、酸化アンチモン、
    又は、酸化アンチモン−錫から成ることを特徴とする請
    求項72に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  74. 【請求項74】(A)支持体上に設けられたカソード電
    極、 (B)支持体及びカソード電極の上に形成された絶縁
    層、 (C)絶縁層上に形成されたゲート電極、 (D)ゲート電極及び絶縁層に形成された開口部、及
    び、 (E)開口部の底部に露出した電子放出部、から成る冷
    陰極電界電子放出素子の製造方法であって、 (a)支持体上にカソード電極を形成する工程と、 (b)全面に絶縁層を形成する工程と、 (c)絶縁層上にゲート電極を形成する工程と、 (d)少なくとも絶縁層に開口部を形成し、開口部の底
    部にカソード電極を露出させる工程と、 (e)開口部の底部に露出したカソード電極の部分の上
    に、先端部が突出した状態で電子放出部構成材料がマト
    リックス中に埋め込まれた電子放出部を形成する工程
    と、 (f)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
    成材料の先端部を配向させる工程、を具備することを特
    徴とする冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  75. 【請求項75】(A)支持体上に設けられたカソード電
    極、 (B)支持体及びカソード電極の上に形成された絶縁
    層、 (C)絶縁層上に形成されたゲート電極、 (D)ゲート電極及び絶縁層に形成された開口部、及
    び、 (E)開口部の底部に露出した電子放出部、から成る冷
    陰極電界電子放出素子の製造方法であって、 (a)支持体上にカソード電極を形成する工程と、 (b)全面に絶縁層を形成する工程と、 (c)絶縁層上にゲート電極を形成する工程と、 (d)少なくとも絶縁層に開口部を形成し、開口部の底
    部にカソード電極を露出させる工程と、 (e)開口部の底部に露出したカソード電極の部分の上
    に、電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込まれ
    た電子放出部を形成する工程と、 (f)マトリックスの一部を除去し、先端部が突出した
    状態で電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込ま
    れた電子放出部を形成する工程と、 (g)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
    成材料の先端部を配向させる工程、を具備することを特
    徴とする冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  76. 【請求項76】前記工程(e)は、電子放出部構成材料
    を有機溶媒中に分散させたものをカソード電極に塗布
    し、有機溶媒を除去した後、電子放出部構成材料をマト
    リックスで被覆する工程から成ることを特徴とする請求
    項74又は請求項75に記載の冷陰極電界電子放出素子
    の製造方法。
  77. 【請求項77】マトリックスは、ダイヤモンド状アモル
    ファスカーボンから成ることを特徴とする請求項76に
    記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  78. 【請求項78】前記工程(e)は、電子放出部構成材料
    をCVD法にてカソード電極上に形成した後、電子放出
    部構成材料をマトリックスで被覆する工程から成ること
    を特徴とする請求項74又は請求項75に記載の冷陰極
    電界電子放出素子の製造方法。
  79. 【請求項79】マトリックスは、ダイヤモンド状アモル
    ファスカーボンから成ることを特徴とする請求項78に
    記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  80. 【請求項80】前記工程(e)は、バインダ材料に電子
    放出部構成材料を分散させたものをカソード電極に塗布
    した後、バインダ材料の焼成あるいは硬化を行う工程か
    ら成ることを特徴とする請求項74又は請求項75に記
    載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  81. 【請求項81】前記工程(e)は、電子放出部構成材料
    が分散された金属化合物溶液をカソード電極に塗布した
    後、金属化合物を焼成する工程から成ることを特徴とす
    る請求項74又は請求項75に記載の冷陰極電界電子放
    出素子の製造方法。
  82. 【請求項82】金属化合物は、有機金属化合物から成る
    ことを特徴とする請求項81に記載の冷陰極電界電子放
    出素子の製造方法。
  83. 【請求項83】金属化合物は、有機酸金属化合物から成
    ることを特徴とする請求項81に記載の冷陰極電界電子
    放出素子の製造方法。
  84. 【請求項84】金属化合物は、金属塩から成ることを特
    徴とする請求項81に記載の冷陰極電界電子放出素子の
    製造方法。
  85. 【請求項85】マトリックスは、導電性を有する金属酸
    化物から成ることを特徴とする請求項81に記載の冷陰
    極電界電子放出素子の製造方法。
  86. 【請求項86】マトリックスは、酸化錫、酸化インジウ
    ム、酸化インジウム−錫、酸化亜鉛、酸化アンチモン、
    又は、酸化アンチモン−錫から成ることを特徴とする請
    求項85に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  87. 【請求項87】電子放出部構成材料はカーボン・ナノチ
    ューブ構造体から成ることを特徴とする請求項61乃至
    請求項86のいずれか1項に記載の冷陰極電界電子放出
    素子の製造方法。
  88. 【請求項88】冷陰極電界電子放出素子が複数設けられ
    たカソードパネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを
    備えたアノードパネルが、それらの周縁部で接合されて
    成る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法であって、 冷陰極電界電子放出素子は、 (A)支持体上に形成されたカソード電極、及び、 (B)カソード電極上に形成された電子放出部、から成
    り、 冷陰極電界電子放出素子を、 (a)カソード電極上に、電子放出部構成材料の先端部
    が突出した状態で電子放出部構成材料がマトリックス中
    に埋め込まれた電子放出部を形成する工程と、 (b)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
    成材料の先端部を配向させる工程、によって形成するこ
    とを特徴とする冷陰極電界電子放出表示装置の製造方
    法。
  89. 【請求項89】冷陰極電界電子放出素子が複数設けられ
    たカソードパネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを
    備えたアノードパネルが、それらの周縁部で接合されて
    成る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法であって、
    冷陰極電界電子放出素子は、 (A)支持体上に形成されたカソード電極、及び、 (B)カソード電極上に形成された電子放出部、から成
    り、 冷陰極電界電子放出素子を、 (a)電子放出部構成材料を有機溶媒中に分散させたも
    のをカソード電極に塗布し、有機溶媒を除去する工程
    と、 (b)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
    成材料の先端部を配向させる工程と、 (c)電子放出部構成材料をマトリックスで被覆し、以
    て、電子放出部構成材料の先端部が突出した状態で電子
    放出部構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放
    出部を形成する工程、によって形成することを特徴とす
    る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法。から成るこ
    とを特徴とする冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  90. 【請求項90】冷陰極電界電子放出素子が複数設けられ
    たカソードパネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを
    備えたアノードパネルが、それらの周縁部で接合されて
    成る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法であって、
    冷陰極電界電子放出素子は、 (A)支持体上に形成されたカソード電極、及び、 (B)カソード電極上に形成された電子放出部、から成
    り、 冷陰極電界電子放出素子を、 (a)電子放出部構成材料をCVD法にてカソード電極
    上に形成する工程と、 (b)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
    成材料の先端部を配向させる工程と、 (c)電子放出部構成材料をマトリックスで被覆し、以
    て、電子放出部構成材料の先端部が突出した状態で電子
    放出部構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放
    出部を形成する工程、によって形成することを特徴とす
    る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法。
  91. 【請求項91】冷陰極電界電子放出素子が複数設けられ
    たカソードパネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを
    備えたアノードパネルが、それらの周縁部で接合されて
    成る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法であって、 冷陰極電界電子放出素子は、 (A)支持体上に形成されたカソード電極、及び、 (B)カソード電極上に形成された電子放出部、 から成り、 冷陰極電界電子放出素子を、 (a)バインダ材料に電子放出部構成材料を分散させた
    ものをカソード電極に塗布する工程と、 (b)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
    成材料の先端部を配向させる工程と、 (c)バインダ材料の焼成あるいは硬化を行い、以て、
    電子放出部構成材料の先端部が突出した状態で電子放出
    部構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放出部
    を形成する工程、によって形成することを特徴とする冷
    陰極電界電子放出表示装置の製造方法。
  92. 【請求項92】冷陰極電界電子放出素子が複数設けられ
    たカソードパネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを
    備えたアノードパネルが、それらの周縁部で接合されて
    成る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法であって、 冷陰極電界電子放出素子は、 (A)支持体上に形成されたカソード電極、及び、 (B)カソード電極上に形成された電子放出部、から成
    り、 冷陰極電界電子放出素子を、 (a)電子放出部構成材料が分散された金属化合物溶液
    をカソード電極に塗布する工程と、 (b)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
    成材料の先端部を配向させる工程と、 (c)金属化合物を焼成し、以て、電子放出部構成材料
    の先端部が突出した状態で電子放出部構成材料がマトリ
    ックス中に埋め込まれた電子放出部を形成する工程、に
    よって形成することを特徴とする冷陰極電界電子放出表
    示装置の製造方法。
  93. 【請求項93】冷陰極電界電子放出素子が複数設けられ
    たカソードパネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを
    備えたアノードパネルが、それらの周縁部で接合されて
    成る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法であって、 冷陰極電界電子放出素子は、 (A)支持体上に設けられたカソード電極、 (B)支持体及びカソード電極の上に形成された絶縁
    層、 (C)絶縁層上に形成されたゲート電極、 (D)ゲート電極及び絶縁層に形成された開口部、及
    び、 (E)開口部の底部に露出した電子放出部、から成り、 冷陰極電界電子放出素子を、 (a)支持体上にカソード電極を形成する工程と、 (b)カソード電極上に、先端部が突出した状態で電子
    放出部構成材料がマトリックス中に埋め込まれた電子放
    出部を形成する工程と、 (c)全面に絶縁層を形成する工程と、 (d)絶縁層上にゲート電極を形成する工程と、 (e)少なくとも絶縁層に開口部を形成し、開口部の底
    部に、先端部が突出した状態で電子放出部構成材料がマ
    トリックス中に埋め込まれた電子放出部を露出させる工
    程と、 (f)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
    成材料の先端部を配向させる工程、によって形成するこ
    とを特徴とする冷陰極電界電子放出表示装置の製造方
    法。
  94. 【請求項94】冷陰極電界電子放出素子が複数設けられ
    たカソードパネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを
    備えたアノードパネルが、それらの周縁部で接合されて
    成る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法であって、 冷陰極電界電子放出素子は、 (A)支持体上に設けられたカソード電極、 (B)支持体及びカソード電極の上に形成された絶縁
    層、 (C)絶縁層上に形成されたゲート電極、 (D)ゲート電極及び絶縁層に形成された開口部、及
    び、 (E)開口部の底部に露出した電子放出部、から成り、 冷陰極電界電子放出素子を、 (a)支持体上にカソード電極を形成する工程と、 (b)カソード電極上に、電子放出部構成材料がマトリ
    ックス中に埋め込まれた電子放出部を形成する工程と、 (c)全面に絶縁層を形成する工程と、 (d)絶縁層上にゲート電極を形成する工程と、 (e)少なくとも絶縁層に開口部を形成し、開口部の底
    部に、電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込ま
    れた電子放出部を露出させる工程と、 (f)マトリックスの一部を除去し、先端部が突出した
    状態で電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込ま
    れた電子放出部を形成する工程と、 (g)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
    成材料の先端部を配向させる工程、によって形成するこ
    とを特徴とする冷陰極電界電子放出表示装置の製造方
    法。
  95. 【請求項95】冷陰極電界電子放出素子が複数設けられ
    たカソードパネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを
    備えたアノードパネルが、それらの周縁部で接合されて
    成る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法であって、 冷陰極電界電子放出素子は、 (A)支持体上に設けられたカソード電極、 (B)支持体及びカソード電極の上に形成された絶縁
    層、 (C)絶縁層上に形成されたゲート電極、 (D)ゲート電極及び絶縁層に形成された開口部、及
    び、 (E)開口部の底部に露出した電子放出部、から成り、 冷陰極電界電子放出素子を、 (a)支持体上にカソード電極を形成する工程と、 (b)全面に絶縁層を形成する工程と、 (c)絶縁層上にゲート電極を形成する工程と、 (d)少なくとも絶縁層に開口部を形成し、開口部の底
    部にカソード電極を露出させる工程と、 (e)開口部の底部に露出したカソード電極の部分の上
    に、先端部が突出した状態で電子放出部構成材料がマト
    リックス中に埋め込まれた電子放出部を形成する工程
    と、 (f)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
    成材料の先端部を配向させる工程、によって形成するこ
    とを特徴とする冷陰極電界電子放出表示装置の製造方
    法。
  96. 【請求項96】冷陰極電界電子放出素子が複数設けられ
    たカソードパネル、及び、蛍光体層とアノード電極とを
    備えたアノードパネルが、それらの周縁部で接合されて
    成る冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法であって、 冷陰極電界電子放出素子は、 (A)支持体上に設けられたカソード電極、 (B)支持体及びカソード電極の上に形成された絶縁
    層、 (C)絶縁層上に形成されたゲート電極、 (D)ゲート電極及び絶縁層に形成された開口部、及
    び、 (E)開口部の底部に露出した電子放出部、から成り、 冷陰極電界電子放出素子を、 (a)支持体上にカソード電極を形成する工程と、 (b)全面に絶縁層を形成する工程と、 (c)絶縁層上にゲート電極を形成する工程と、 (d)少なくとも絶縁層に開口部を形成し、開口部の底
    部にカソード電極を露出させる工程と、 (e)開口部の底部に露出したカソード電極の部分の上
    に、電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込まれ
    た電子放出部を形成する工程と、 (f)マトリックスの一部を除去し、先端部が突出した
    状態で電子放出部構成材料がマトリックス中に埋め込ま
    れた電子放出部を形成する工程と、 (g)支持体を電場中に置くことにより、電子放出部構
    成材料の先端部を配向させる工程、によって形成するこ
    とを特徴とする冷陰極電界電子放出表示装置の製造方
    法。
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