JP2003086085A - 冷陰極電界電子放出素子の製造方法、及び、冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法 - Google Patents

冷陰極電界電子放出素子の製造方法、及び、冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法

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JP2003086085A
JP2003086085A JP2001277505A JP2001277505A JP2003086085A JP 2003086085 A JP2003086085 A JP 2003086085A JP 2001277505 A JP2001277505 A JP 2001277505A JP 2001277505 A JP2001277505 A JP 2001277505A JP 2003086085 A JP2003086085 A JP 2003086085A
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Masakazu Muroyama
雅和 室山
Takao Yagi
貴郎 八木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】所望のカソード電極の部分の上に簡便な方法で
炭素薄膜選択成長領域を確実に形成し得る方法を含む冷
陰極電界電子放出素子の製造方法を提供する。 【解決手段】冷陰極電界電子放出素子の製造方法は、カ
ソード電極11、絶縁層12,第1の開口部14Aを有
するゲート電極13を形成した後、第2の開口部14B
を絶縁層12に形成し、第2の開口部14Bの底部に位
置するカソード電極11の表面に、金属から成る炭素薄
膜選択成長領域20を電気メッキにて形成し、その後、
その上にCVD法にて炭素薄膜を形成する工程から成
り、電気メッキにおける陽極の電位をVA、ゲート電極
の電位をVG、カソード電極の電位をV Cとしたとき、V
A≧VG>VCを満足する条件で電気メッキを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷陰極電界電子放
出素子の製造方法、及び、冷陰極電界電子放出表示装置
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】テレビジョン受像機や情報端末機器に用
いられる表示装置の分野では、従来主流の陰極線管(C
RT)から、薄型化、軽量化、大画面化、高精細化の要
求に応え得る平面型(フラットパネル型)の表示装置へ
の移行が検討されている。このような平面型の表示装置
として、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッ
センス表示装置(ELD)、プラズマ表示装置(PD
P)、冷陰極電界電子放出表示装置(FED:フィール
ドエミッションディスプレイ)を例示することができ
る。このなかでも、液晶表示装置は情報端末機器用の表
示装置として広く普及しているが、据置き型のテレビジ
ョン受像機に適用するには、高輝度化や大型化に未だ課
題を残している。これに対して、冷陰極電界電子放出表
示装置は、熱的励起によらず、量子トンネル効果に基づ
き固体から真空中に電子を放出することが可能な冷陰極
電界電子放出素子(以下、電界放出素子と呼ぶ場合があ
る)を利用しており、高輝度及び低消費電力の点から注
目を集めている。
【0003】図7に、電界放出素子を利用した冷陰極電
界電子放出表示装置(以下、表示装置と呼ぶ場合があ
る)の構成例を示す。図示した電界放出素子は、円錐形
の電子放出部を有する、所謂スピント(Spindt)
型電界放出素子と呼ばれるタイプの電界放出素子であ
る。この電界放出素子は、支持体110上に形成された
カソード電極111と、支持体110及びカソード電極
111上に形成された絶縁層112と、絶縁層112上
に形成されたゲート電極113と、ゲート電極113及
び絶縁層112に設けられた開口部114と、開口部1
14の底部に位置するカソード電極111上に形成され
た円錐形の電子放出部115から構成されている。一般
に、カソード電極111とゲート電極113とは、これ
らの両電極の射影像が互いに直交する方向に各々ストラ
イプ状に形成されており、これらの両電極の射影像が重
複する領域(1画素分の領域に相当する。この領域を、
以下、重複領域と呼ぶ)に、通常、複数の電界放出素子
が配列されている。更に、かかる重複領域が、カソード
パネルCPの有効領域(実際の表示部分として機能する
領域)内に、通常、2次元マトリクス状に配列されてい
る。
【0004】一方、アノードパネルAPは、基板30
と、基板30上に形成され、所定のパターンを有する蛍
光体層31と、その上に形成されたアノード電極33か
ら構成されている。1画素は、カソードパネル側のカソ
ード電極111とゲート電極113との重複領域に配列
された電界放出素子の一群と、これらの電界放出素子の
一群に対面したアノードパネル側の蛍光体層31とによ
って構成されている。有効領域には、かかる画素が、例
えば数十万〜数百万個ものオーダーにて配列されてい
る。尚、蛍光体層31と蛍光体層31との間の基板30
上にはブラックマトリックス32が形成されている。
【0005】アノードパネルAPとカソードパネルCP
とを、電界放出素子と蛍光体層31とが対向するように
配置し、周縁部において枠体34を介して接合すること
によって、表示装置を作製することができる。有効領域
を包囲し、画素を選択するための周辺回路が形成された
無効領域(図示した例では、カソードパネルCPの無効
領域)には、真空排気用の貫通孔(図示せず)が設けら
れており、この貫通孔には真空排気後に封じ切られたチ
ップ管(図示せず)が接続されている。即ち、アノード
パネルAPとカソードパネルCPと枠体34とによって
囲まれた空間は真空となっている。
【0006】カソード電極111には相対的な負電圧が
カソード電極制御回路40から印加され、ゲート電極1
13には相対的な正電圧がゲート電極制御回路41から
印加され、アノード電極33にはゲート電極113より
も更に高い正電圧がアノード電極制御回路42から印加
される。かかる表示装置において表示を行う場合、例え
ば、カソード電極111にカソード電極制御回路40か
ら走査信号を入力し、ゲート電極113にゲート電極制
御回路41からビデオ信号を入力する。カソード電極1
11とゲート電極113との間に電圧を印加した際に生
ずる電界により、量子トンネル効果に基づき電子放出部
115から電子が放出され、この電子がアノード電極3
3に引き付けられ、蛍光体層31に衝突する。その結
果、蛍光体層31が励起されて発光し、所望の画像を得
ることができる。つまり、この表示装置の動作は、基本
的に、ゲート電極113に印加される電圧、及びカソー
ド電極111を通じて電子放出部115に印加される電
圧によって制御される。
【0007】かかる表示装置の構成において、低い駆動
電圧で大きな放出電子電流を得るためには、電子放出部
の先端部を鋭く尖らせることが有効であり、この観点か
ら、上述のスピント型電界放出素子の電子放出部115
は優れた性能を有していると云える。しかしながら、円
錐形の電子放出部115の形成には高度な加工技術を要
し、場合によっては数千万個以上にも及ぶ電子放出部1
15を有効領域の全域に亙って均一に形成することは、
有効領域の面積が増大するにつれて困難となりつつあ
る。
【0008】そこで、円錐形の電子放出部を使用せず、
開口部の底面に露出した平面状の電子放出部を使用す
る、所謂平面型電界放出素子が提案されている。平面型
電界放出素子における電子放出部は、カソード電極上に
設けられており、平面状であっても高い放出電子電流を
達成し得るように、カソード電極の構成材料よりも仕事
関数が低い材料から構成されている。かかる材料とし
て、近年、炭素系材料を使用することが提案されてい
る。
【0009】例えば、第59回応用物理学会学術講演会
講演予稿集p.480,演題番号15p−P−13(1
998年)には、DLC(ダイヤモンドライクカーボ
ン)薄膜が提案されている。また、炭素系材料を薄膜状
に形成した場合、この薄膜の加工(パターニング)方法
が必要となる。かかるパターニング方法として、例えば
同講演予稿集p.489,演題番号16p−N−11
(1998年)には、酸素ガスをエッチングガスとして
用いたダイヤモンド薄膜のECRプラズマ加工が提案さ
れている。ダイヤモンド薄膜のプラズマ加工におけるエ
ッチング用マスクとしては、一般にSiO2系材料が用
いられている。
【0010】更には、第60回応用物理学会学術講演会
講演予稿集p.631,演題番号2p−H−6(199
9年)[文献−1と呼ぶ]には、石英基板上に電子ビー
ム蒸着法によって形成したチタン薄膜表面をダイヤモン
ドパウダーによりスクラッチ加工を施した後、チタン薄
膜をパターニングして中央部に数μmのギャップを設
け、次いで、ノンドープダイヤモンド薄膜をチタン薄膜
上に成膜する平面構造型電子エミッターが開示されてい
る。あるいは又、第60回応用物理学会学術講演会講演
予稿集p.632,演題番号2p−H−11(1999
年)[文献−2と呼ぶ]には、金属クロスラインを付け
た石英ガラス上にカーボンナノチューブを形成する技術
が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】レジスト層をエッチン
グ用マスクとして使用し、酸素ガスを用いてDLCのよ
うな炭素薄膜のプラズマエッチングを行った場合、エッ
チング反応系における反応副生成物として(CHx)系
あるいは(CFx)系等の炭素系ポリマーが堆積性物質
として生成する。一般に、プラズマエッチングにおいて
堆積性物質がエッチング反応系に生成した場合、この堆
積性物質はイオン入射確率の低いレジスト層の側壁面、
あるいは被エッチング物の加工端面に堆積して所謂側壁
保護膜を形成し、被エッチング物の異方性加工によって
得られる形状の達成に寄与する。しかしながら、酸素ガ
スをエッチング用ガスとして使用した場合には、炭素系
ポリマーから成る側壁保護膜は、生成しても、直ちに酸
素ガスによって除去されてしまう。また、酸素ガスをエ
ッチング用ガスとして使用した場合には、レジスト層の
消耗も激しい。これらの理由により、従来のダイヤモン
ド薄膜の酸素プラズマ加工においては、ダイヤモンド薄
膜のマスクの寸法に対する寸法変換差が大きく、異方性
加工も困難である。
【0012】また、文献−1や文献−2に開示された技
術においては、金属薄膜上に炭素薄膜を形成するが、金
属薄膜のどの部位にも炭素薄膜が形成されてしまい、こ
れらの技術を例えば冷陰極電界電子放出素子の製造に適
用することは実用的であるとは云い難い。また、炭素薄
膜を所望の形状にするための炭素薄膜のパターニング
は、上述のとおり困難である。
【0013】炭素薄膜から構成された電子放出部を有す
る電界放出素子を製造する場合、現実的には、支持体上
に形成されたカソード電極上に炭素薄膜を成膜した後、
全面に絶縁層を形成し、絶縁層上にゲート電極を形成
し、ゲート電極及び絶縁層に開口部を形成して、開口部
の底部に炭素薄膜を露出する工程を経て、電界放出素子
を製造する方法が考えられる。しかしながら、このよう
な方法では、絶縁層に開口部を形成する過程において、
炭素薄膜に損傷が発生する虞がある。
【0014】また、支持体上に形成されたカソード電極
上に一種の触媒として機能する炭素薄膜選択成長領域を
形成した後、全面に絶縁層を形成し、絶縁層上にゲート
電極を形成し、ゲート電極及び絶縁層に開口部を形成し
て、開口部の底部に炭素薄膜選択成長領域を露出し、次
いで、炭素薄膜選択成長領域上に炭素薄膜を形成する工
程を経て、電界放出素子を製造する方法も考えられる。
しかしながら、このような方法では、絶縁層に開口部を
形成する過程において、炭素薄膜選択成長領域に損傷が
発生し、あるいは又、炭素薄膜選択成長領域の表面に酸
化物層やフッ化物層が形成され、炭素薄膜選択成長領域
も表面が汚染される虞がある。
【0015】更には、支持体上にカソード電極を形成し
た後、全面に絶縁層を形成し、絶縁層上にゲート電極を
形成し、ゲート電極及び絶縁層に開口部を形成して、開
口部の底部にカソード電極を露出し、次いで、露出した
カソード電極の部分に炭素薄膜選択成長領域を形成し、
その後、炭素薄膜選択成長領域上に炭素薄膜を形成する
工程を経て、電界放出素子を製造する方法も考えられ
る。しかしながら、このような方法では、露出したカソ
ード電極の部分に炭素薄膜選択成長領域を形成する工程
において、ゲート電極とカソード電極との間が炭素薄膜
選択成長領域によって短絡しないように、例えばリフト
オフ法にて炭素薄膜選択成長領域を形成しなければなら
ず、工程が複雑化するといった問題がある。
【0016】従って、本発明の目的は、所望のカソード
電極の部分の上に簡便な方法で炭素薄膜選択成長領域を
確実に形成し得る方法を含む冷陰極電界電子放出素子の
製造方法、及び、かかる冷陰極電界電子放出素子の製造
方法を含む冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法を提
供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の冷陰極電界電子放出素子の製造方法は、
(A)支持体上にカソード電極を形成する工程と、
(B)支持体及びカソード電極上に絶縁層を形成する工
程と、(C)絶縁層上に第1の開口部を有するゲート電
極を形成する工程と、(D)ゲート電極に形成された第
1の開口部に連通する第2の開口部を絶縁層に形成する
工程と、(E)第2の開口部の底部に位置するカソード
電極の表面に、金属から成る炭素薄膜選択成長領域を形
成する工程と、(F)炭素薄膜選択成長領域上に化学的
気相成長法にて炭素薄膜を形成する工程、から成り、前
記炭素薄膜選択成長領域を形成する工程は電気メッキに
基づき、電気メッキにおける陽極の電位をVA、ゲート
電極の電位をVG、カソード電極の電位をVCとしたと
き、VA≧VG>VCを満足する条件で電気メッキを行う
ことを特徴とする。
【0018】上記の目的を達成するための本発明の冷陰
極電界電子放出表示装置の製造方法は、アノード電極及
び蛍光体層が形成された基板と、冷陰極電界電子放出素
子が形成された支持体とを、蛍光体層と冷陰極電界電子
放出素子とが対向するように配置し、基板と支持体とを
周縁部において接合する冷陰極電界電子放出表示装置の
製造方法であって、冷陰極電界電子放出素子を、(A)
支持体上にカソード電極を形成する工程と、(B)支持
体及びカソード電極上に絶縁層を形成する工程と、
(C)絶縁層上に第1の開口部を有するゲート電極を形
成する工程と、(D)ゲート電極に形成された第1の開
口部に連通する第2の開口部を絶縁層に形成する工程
と、(E)第2の開口部の底部に位置するカソード電極
の表面に、金属から成る炭素薄膜選択成長領域を形成す
る工程と、(F)炭素薄膜選択成長領域上に化学的気相
成長法にて炭素薄膜を形成する工程、に基づき形成し、
前記炭素薄膜選択成長領域を形成する工程は電気メッキ
に基づき、電気メッキにおける陽極の電位をVA、ゲー
ト電極の電位をVG、カソード電極の電位をVCとしたと
き、VA≧VG>VCを満足する条件で電気メッキを行う
ことを特徴とする。
【0019】本発明の冷陰極電界電子放出素子の製造方
法若しくは冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法(以
下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合があ
る)にあっては、第2の開口部の底部に位置するカソー
ド電極の表面に、VA≧VG>V Cを満足する条件での電
気メッキに基づき、金属から成る炭素薄膜選択成長領域
を形成するので、ゲート電極上に炭素薄膜選択成長領域
が形成されること無く、選択的に、第2の開口部の底部
に位置するカソード電極の表面に炭素薄膜選択成長領域
を形成することができる。また、電気メッキそれ自体、
基本的に簡便な方法である。
【0020】VAとVGとの関係は、VA≧VG、好ましく
は、1ボルト≦VA−VG≦20ボルトを満足することが
望ましい。陽極の電位VAは正であることが要求され
る。一方、ゲート電極の電位VGは、電気メッキによっ
て形成される前記炭素薄膜選択成長領域を構成する金属
に依存して、正であっても、0ボルトであっても、負で
あってもよいが、ゲート電極上に金属が析出することを
確実に防止するために、正であることが好ましく、負の
場合も0ボルトに近い値とすることが好ましい。更に
は、カソード電極の電位VCも、電気メッキによって形
成される前記炭素薄膜選択成長領域を構成する金属に依
存して、正であっても、0ボルトであっても、負であっ
てもよいが、カソード電極上に金属を確実に析出させる
ために、負であることが好ましい。即ち、陽極の電位V
A、ゲート電極の電位VG、カソード電極の電位VCの関
係は、VA>VG>0>VCを満足することが最も好まし
く、あるいは又、VA>0≧VG>VCを満足することが
好ましい。尚、陽極とゲート電極との間に、例えば可変
抵抗器を挿入することで、電位VA,VGの制御を容易に
行うことができる。
【0021】また、本発明においては、第2の開口部の
底部に位置し、一種の触媒としての機能を有する材料か
ら構成された炭素薄膜選択成長領域上に炭素薄膜から成
る電子放出部を形成するので、炭素薄膜選択成長領域の
表面での一種の触媒反応が期待でき、炭素薄膜の初期成
長段階における核生成が円滑に進行し、この核生成が以
降の炭素薄膜の成長を促進し、電子放出部を形成するこ
とができる。しかも、炭素薄膜を所望の形状にするため
の炭素薄膜のパターニングを行う必要が無い。更には、
電子放出部が炭素薄膜から構成されているので、高い電
子放出効率を有する冷陰極電界電子放出素子を得ること
ができる結果、低消費電力、高画質の冷陰極電界電子放
出表示装置を得ることができる。
【0022】尚、本発明によって得られた冷陰極電界電
子放出素子においては、カソード電極及びゲート電極に
電圧を印加することによって形成された電界(例えば、
10 6ボルト/cm程度の強度を有する電界)に基づ
き、炭素薄膜から成る電子放出部から電子が放出され
る。また、本発明によって得られた冷陰極電界電子放出
表示装置においては、カソード電極及びゲート電極に電
圧を印加することによって形成された電界(例えば、1
6ボルト/cm程度の強度を有する電界)に基づき炭
素薄膜から成る電子放出部から電子を放出させ、これら
の電子を蛍光体層に衝突させることによって画像を得る
ことができる。
【0023】本発明にあっては、炭素薄膜選択成長領域
を構成する金属は、クロム(Cr)、マンガン(M
n)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(N
i)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(M
o)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、白金
(Pt)、チタン(Ti)、錫(Sn)、銀(Ag)、
及び、金(Au)から成る群から選択された少なくとも
1種類の金属から成ることが好ましい。
【0024】本発明においては、電気メッキにおいて、
一定値の直流電流を流してもよいし、矩形波の電流を流
してもよい。
【0025】本発明においては、炭素薄膜選択成長領域
を形成した後、炭素薄膜選択成長領域の表面の金属酸化
物(所謂、自然酸化膜)を除去することが、炭素薄膜の
確実な形成といった観点から好ましい。金属酸化物の除
去を、例えば、水素ガス雰囲気におけるマイクロ波プラ
ズマ法、トランス結合型プラズマ法、誘導結合型プラズ
マ法、電子サイクロトロン共鳴プラズマ法、RFプラズ
マ法等に基づくプラズマ還元処理、アルゴンガス雰囲気
におけるスパッタ処理、若しくは、例えばフッ酸等の酸
や塩基を用いた洗浄処理によって行うことが望ましい。
【0026】本発明において、炭素薄膜として、グラフ
ァイト薄膜、アモルファスカーボン薄膜、ダイヤモンド
ライクカーボン薄膜、あるいはフラーレン薄膜を挙げる
ことができる。炭素薄膜の形成方法として、マイクロ波
プラズマ法、トランス結合型プラズマ法、誘導結合型プ
ラズマ法、電子サイクロトロン共鳴プラズマ法、RFプ
ラズマ法、ヘリコン波プラズマCVD法、容量結合型プ
ラズマCVD法等に基づくCVD法、平行平板型CVD
装置を用いたCVD法を例示することができる。炭素薄
膜の形態には、薄膜状はもとより、炭素のウィスカー、
炭素のナノチューブ(中空及び中実を含む)が包含され
る。炭素薄膜を形成するための原料ガスとして、メタン
(CH4)、エタン(C26)、プロパン(C38)、
ブタン(C410)、エチレン(C24)、アセチレン
(C22)等の炭素系ガスやこれらの混合ガス、炭素系
ガスと水素ガスとの混合ガスを挙げることができる。更
には、メタノール、 エタノール、アセトン、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等を気化したガス、またはこれ
らガスと水素の混合ガスを用いることもできる。また、
放電を安定にさせるため及びプラズマ解離を促進するた
めに、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等の希ガス
を導入してもよい。
【0027】本発明における冷陰極電界電子放出素子に
あっては、通常、カソード電極の外形形状をストライプ
状とし、ゲート電極の外形形状もストライプ状とする。
ストライプ状のカソード電極とストライプ状のゲート電
極の延びる方向は異なっている。ストライプ状のカソー
ド電極の射影像とストライプ状のゲート電極の射影像
は、互いに直交することが好ましい。尚、これらの両電
極の射影像が重複する領域(1画素分の領域に相当し、
カソード電極とゲート電極との重複領域である)に、1
又は複数の炭素薄膜選択成長領域が位置する。更に、か
かる重複領域が、カソードパネルの有効領域(実際の表
示部分として機能する領域)内に、通常、2次元マトリ
クス状に配列されている。
【0028】本発明における冷陰極電界電子放出素子に
あっては、ゲート電極及び絶縁層上には更に第2の絶縁
層が設けられ、第2の絶縁層上に収束電極が設けられて
いる構成とすることもできる。あるいは又、ゲート電極
の上方に収束電極を設けてもよい。ここで、収束電極と
は、第1の開口部から放出されアノード電極へ向かう放
出電子の軌道を収束させ、以て、輝度の向上や隣接画素
間の光学的クロストークの防止を可能とするための電極
である。アノード電極とカソード電極との間の電位差が
数キロボルトのオーダーであって、アノード電極とカソ
ード電極との間の距離が比較的長い、所謂高電圧タイプ
の表示装置において、収束電極は特に有効である。収束
電極には、収束電源から相対的な負電圧が印加される。
収束電極は、必ずしも冷陰極電界電子放出素子毎に設け
られている必要はなく、例えば、冷陰極電界電子放出素
子の所定の配列方向に沿って延在させることにより、複
数の冷陰極電界電子放出素子に共通の収束効果を及ぼす
こともできる。尚、収束電極を設ける場合、電気メッキ
における収束電極の電位をVFとしたとき、VA≧V F
G>0>VCを満足する条件で電気メッキを行う必要が
ある。
【0029】カソード電極、ゲート電極若しくは収束電
極を構成する材料としては、タングステン(W)、ニオ
ブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、
クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、
ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ジル
コニウム(Zr)等の金属、これらの金属元素を含む合
金あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi
2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイ
ド)、あるいはシリコン(Si)等の半導体、ITO
(インジウム錫酸化物)を例示することができる。尚、
これらの電極を構成する材料を、互いに同種材料として
もよいし、異種の材料としてもよい。これらの電極の形
成方法として、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、
イオンプレーティング法、スクリーン印刷法、メッキ法
等、通常の薄膜作製プロセスを利用できる。
【0030】本発明におけるカソード電極の構造として
は、導電材料層の1層構成とすることもできるし、下層
導電材料層、下層導電材料層上に形成された抵抗体層の
2層構成とすることもできるし、下層導電材料層、下層
導電材料層上に形成された抵抗体層、抵抗体層上に形成
された上層導電材料層の3層構成とすることもできる。
このように、抵抗体層を設けることによって、電子放出
部の電子放出特性の均一化を図ることができる。抵抗体
層として、1MΩ・cm以上の抵抗率を有する材料から
成る層を挙げることができ、具体的には、抵抗体層を構
成する材料として、SiCN、SiC、Si、高抵抗p
型Si、高抵抗n型Si、SiN、あるいは又、酸化ル
テニウム(RuO2)、酸化タンタル、窒化タンタル等
の高融点金属酸化物といった材料を例示することができ
る。
【0031】本発明において、絶縁層上に第1の開口部
を有するゲート電極を形成する方法として、絶縁層上に
ゲート電極を構成するための導電材料層を形成した後、
導電材料層上にパターニングされた第1のマスク材料層
を形成し、かかる第1のマスク材料層をエッチング用マ
スクとして用いて導電材料層をエッチングすることによ
って導電材料層をパターニングした後、第1のマスク材
料層を除去し、次いで、導電材料層及び絶縁層上にパタ
ーニングされた第2のマスク材料層を形成し、かかる第
2のマスク材料層をエッチング用マスクとして用いて導
電材料層をエッチングして第1の開口部を形成する方
法、あるいは又、例えば、スクリーン印刷法によって第
1の開口部を有するゲート電極を直接形成する方法を例
示することができる。これらの場合、ゲート電極に形成
された第1の開口部に連通する第2の開口部を絶縁層に
形成する方法は、かかる第2のマスク材料層をエッチン
グ用マスクとして用いて絶縁層をエッチングする方法と
してもよいし、ゲート電極に形成された第1の開口部を
エッチング用マスクとして用いて絶縁層をエッチングす
る方法としてもよい。
【0032】本発明における冷陰極電界電子放出表示装
置にあっては、第1の開口部と第2の開口部とは、一対
一の対応関係にあってもよいし、多対一の対応関係にあ
ってもよい。即ち、1つの第1の開口部に対応して1つ
の第2の開口部が設けられていてもよいし、多数の第1
の開口部に対応して1つの第2の開口部が設けられてい
てもよい。
【0033】本発明における冷陰極電界電子放出素子等
にあっては、第1の開口部や第2の開口部の平面形状
(カソード電極と平行な仮想平面でこれらの開口部を切
断したときの形状)は、円形、楕円形、矩形、多角形、
丸みを帯びた矩形、丸みを帯びた多角形等、任意の形状
とすることができる。
【0034】本発明において、支持体は、少なくとも表
面が絶縁性部材より構成されていればよく、ガラス基
板、表面に絶縁膜が形成されたガラス基板、石英基板、
表面に絶縁膜が形成された石英基板、表面に絶縁膜が形
成された半導体基板を挙げることができるが、中でも、
コスト低減といった観点からは、ガラス基板、表面に絶
縁膜が形成されたガラス基板を用いることが好ましい。
基板も、支持体と同様に構成することができる。
【0035】絶縁層や第2の絶縁層の構成材料として
は、SiO2、SiN、SiON、ガラスペースト硬化
物を単独あるいは適宜組み合わせて使用することができ
る。絶縁層や第2の絶縁層の形成には、CVD法、塗布
法、スパッタリング法、スクリーン印刷法等の公知のプ
ロセスが利用できる。
【0036】アノード電極と蛍光体層の構成例として、
(1)基板上に、アノード電極を形成し、アノード電極
の上に蛍光体層を形成する構成、(2)基板上に、蛍光
体層を形成し、蛍光体層上にアノード電極を形成する構
成、を挙げることができる。尚、(1)の構成におい
て、蛍光体層の上に、所謂メタルバック膜を形成しても
よい。また、(2)の構成において、アノード電極の上
にメタルバック膜を形成してもよい。
【0037】アノード電極の構成材料は、冷陰極電界電
子放出表示装置の構成によって選択すればよい。即ち、
冷陰極電界電子放出表示装置が透過型(基板が表示部分
に相当する)であって、且つ、基板上にアノード電極と
蛍光体層がこの順に積層されている場合には、アノード
電極が形成される基板は元より、アノード電極自身も透
明である必要があり、ITO(インジウム錫酸化物)等
の透明導電材料を用いる。一方、冷陰極電界電子放出表
示装置が反射型(支持体が表示部分に相当する)である
場合、及び、透過型であっても基板上に蛍光体層とアノ
ード電極とがこの順に積層されている(アノード電極は
メタルバック膜を兼ねている)場合には、ITOの他、
カソード電極やゲート電極や収束電極に関連して上述し
た材料を適宜選択して用いることができる。
【0038】蛍光体層を構成する蛍光体として、高速電
子励起用蛍光体や低速電子励起用蛍光体を用いることが
できる。冷陰極電界電子放出表示装置が単色表示装置で
ある場合、蛍光体層は特にパターニングされていなくと
もよい。また、冷陰極電界電子放出表示装置がカラー表
示装置である場合、ストライプ状又はドット状にパター
ニングされた赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色に
対応する蛍光体層を交互に配置することが好ましい。
尚、パターニングされた蛍光体層間の隙間は、表示画面
のコントラスト向上を目的としたブラックマトリックス
で埋め込まれていてもよい。
【0039】本発明の冷陰極電界電子放出表示装置の製
造方法において、基板と支持体とを周縁部において接合
する場合、接合は接着層を用いて行ってもよいし、ある
いはガラスやセラミック等の絶縁性剛性材料から成る枠
体と接着層とを併用して行ってもよい。枠体と接着層と
を併用する場合には、枠体の高さを適宜選択することに
より、接着層のみを使用する場合に比べ、基板と支持体
との間の対向距離をより長く設定することが可能であ
る。尚、接着層の構成材料としては、フリットガラスが
一般的であるが、融点が120〜400゜C程度の所謂
低融点金属材料を用いてもよい。かかる低融点金属材料
としては、In(インジウム:融点157゜C);イン
ジウム−金系の低融点合金;Sn80Ag20(融点220
〜370゜C)、Sn95Cu5(融点227〜370゜
C)等の錫(Sn)系高温はんだ;Pb97.5Ag
2.5(融点304゜C)、Pb94.5Ag5.5(融点304
〜365゜C)、Pb97.5Ag1.5Sn1.0(融点309
゜C)等の鉛(Pb)系高温はんだ;Zn95Al5(融
点380゜C)等の亜鉛(Zn)系高温はんだ;Sn5
Pb95(融点300〜314゜C)、Sn2Pb98(融
点316〜322゜C)等の錫−鉛系標準はんだ;Au
88Ga12(融点381゜C)等のろう材(以上の添字は
全て原子%を表す)を例示することができる。
【0040】基板と支持体と枠体の三者を接合する場
合、三者同時接合を行ってもよいし、あるいは、第1段
階で基板又は支持体のいずれか一方と枠体とを先に接合
し、第2段階で基板又は支持体の他方と枠体とを接合し
てもよい。三者同時接合や第2段階における接合を高真
空雰囲気中で行えば、基板と支持体と枠体と接着層とに
より囲まれた空間は、接合と同時に真空となる。あるい
は、三者の接合終了後、基板と支持体と枠体と接着層と
によって囲まれた空間を排気し、真空とすることもでき
る。接合後に排気を行う場合、接合時の雰囲気の圧力は
常圧/減圧のいずれであってもよく、また、雰囲気を構
成する気体は、大気であっても、あるいは窒素ガスや周
期律表0族に属するガス(例えばArガス)を含む不活
性ガスであってもよい。
【0041】接合後に排気を行う場合、排気は、基板及
び/又は支持体に予め接続されたチップ管を通じて行う
ことができる。チップ管は、典型的にはガラス管を用い
て構成され、基板及び/又は支持体の無効領域(即ち、
表示部分として機能する有効領域以外の領域)に設けら
れた貫通孔の周囲に、フリットガラス又は上述の低融点
金属材料を用いて接合され、空間が所定の真空度に達し
た後、熱融着によって封じ切られる。尚、封じ切りを行
う前に、表示装置全体を一旦加熱してから降温させる
と、空間に残留ガスを放出させることができ、この残留
ガスを排気により空間外へ除去することができるので好
適である。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、発明の実
施の形態(以下、実施の形態と略称する)に基づき本発
明を説明する。
【0043】(実施の形態1)実施の形態1は、本発明
の冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略称
する)の製造方法、及び、冷陰極電界電子放出表示装置
(以下、表示装置と略称する)の製造方法に関する。
【0044】実施の形態1の表示装置の製造方法にて得
られた表示装置の模式的な一部端面図を図3に示し、カ
ソードパネルCPとアノードパネルAPを分解したとき
の模式的な部分的斜視図を図4に示し、電界放出素子の
基本的な構成を図2に示す。実施の形態1における電界
放出素子は、支持体10上に形成されたカソード電極1
1、支持体10及びカソード電極11上に形成された絶
縁層12、絶縁層12上に形成され、第1の開口部14
Aを有するゲート電極13、ゲート電極に形成された第
1の開口部14Aに連通し、絶縁層12に形成された第
2の開口部14B、第2の開口部14Bの底部に位置す
るカソード電極11の表面に形成された炭素薄膜選択成
長領域20、及び、炭素薄膜選択成長領域20上に炭素
薄膜21から構成されている。
【0045】アノードパネルAPは、基板30と、基板
30上に形成され、所定のパターンに従って形成された
蛍光体層31と、全面を覆う例えばアルミニウム薄膜か
ら成るアノード電極33から構成されている。蛍光体層
31と蛍光体層31との間の基板30上には、ブラック
マトリックス32が形成されている。尚、ブラックマト
リックス32を省略することもできる。また、単色表示
装置を想定した場合、蛍光体層31は必ずしも所定のパ
ターンに従って設けられる必要はない。更には、ITO
等の透明導電膜から成るアノード電極を基板30と蛍光
体層31との間に設けてもよく、あるいは、基板30上
に設けられた透明導電膜から成るアノード電極33と、
アノード電極33上に形成された蛍光体層31及びブラ
ックマトリックス32と、蛍光体層31及びブラックマ
トリックス32の上に形成されたアルミニウムから成
り、アノード電極33と電気的に接続された光反射導電
膜から構成することもできる。
【0046】実施の形態1における表示装置は、上述の
ような電界放出素子の複数から成る電子放出領域が有効
領域に2次元マトリックス状に多数形成されたカソード
パネルCPと、アノードパネルAPから構成されてお
り、複数の画素を有する。カソードパネルCPとアノー
ドパネルAPとは、それらの周縁部において、枠体34
を介して接合されている。更には、カソードパネルCP
の無効領域には、真空排気用の貫通孔35が設けられて
おり、この貫通孔35には、真空排気後に封じ切られる
チップ管36が接続されている。枠体34は、セラミッ
クス又はガラスから成り、高さは、例えば1.0mmで
ある。場合によっては、枠体34の代わりに接着層のみ
を用いることもできる。
【0047】また、カソードパネルCPとアノードパネ
ルAPとの間には、両パネル間の距離を一定に維持する
ための補助的手段として、有効領域内に等間隔にスペー
サ(図示せず)が配置されている。
【0048】1画素は、カソードパネル側においてスト
ライプ状のカソード電極11、その上方に形成された電
子放出部15、及びストライプ状のゲート電極13から
成る電界放出素子と、電界放出素子に対面するようにア
ノードパネルAPの有効領域に配列された蛍光体層31
とによって構成されている。有効領域には、かかる画素
が、例えば数十万〜数百万個ものオーダーにて配列され
ている。
【0049】カソード電極11には相対的な負電圧がカ
ソード電極制御回路40から印加され、ゲート電極13
には相対的な正電圧がゲート電極制御回路41から印加
され、アノード電極33にはゲート電極13よりも更に
高い正電圧がアノード電極制御回路42から印加され
る。かかる表示装置において表示を行う場合、例えば、
カソード電極11にカソード電極制御回路40から走査
信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路4
1からビデオ信号を入力する。あるいは又、カソード電
極11にカソード電極制御回路40からビデオ信号を入
力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路41から走
査信号を入力する。カソード電極11とゲート電極13
との間に電圧を印加した際に生ずる電界により、量子ト
ンネル効果に基づき電子放出部15から電子が放出さ
れ、この電子がアノード電極33に引き付けられ、蛍光
体層31に衝突する。その結果、蛍光体層31が励起さ
れて発光し、所望の画像を得ることができる。
【0050】以下、実施の形態1における電界放出素子
及び表示装置の製造方法を、支持体等の模式的な一部端
面図である図1及び図2を参照して説明する。実施の形
態1においては、ニッケル(Ni)から成る炭素薄膜選
択成長領域を電気メッキに基づき形成する。
【0051】[工程−100]先ず、例えばガラス基板
から成る支持体10上にカソード電極形成用の導電材料
層を形成し、次いで、周知のリソグラフィ技術及び反応
性イオンエッチング法(RIE法)に基づき導電材料層
をパターニングすることによって、ストライプ状のカソ
ード電極11を支持体10上に形成する。ストライプ状
のカソード電極11は、図面の紙面左右方向に延びてい
る。導電材料層は、例えばスパッタリング法により形成
された厚さ約0.2μmのクロム(Cr)層から成る。
【0052】[工程−110]次に、支持体10及びカ
ソード電極11上に絶縁層12を形成する。具体的に
は、例えばTEOS(テトラエトキシシラン)を原料ガ
スとして使用するCVD法により、全面に、厚さ約1μ
mの絶縁層12を形成する。
【0053】[工程−120]その後、絶縁層12上に
第1の開口部14Aを有するゲート電極13を形成す
る。具体的には、絶縁層12上にゲート電極を構成する
ためのクロム(Cr)から成る導電材料層をスパッタリ
ング法にて形成した後、導電材料層上にパターニングさ
れた第1のマスク材料層(図示せず)を形成し、かかる
第1のマスク材料層をエッチング用マスクとして用いて
導電材料層をエッチングして、導電材料層をストライプ
状にパターニングした後、第1のマスク材料層を除去す
る。次いで、導電材料層及び絶縁層12上にパターニン
グされた第2のマスク材料層(図示せず)を形成し、か
かる第2のマスク材料層をエッチング用マスクとして用
いて導電材料層をエッチングする。これによって、絶縁
層12上に第1の開口部14Aを有するゲート電極13
を得ることができる。ストライプ状のゲート電極13
は、カソード電極11と異なる方向(例えば、図面の紙
面垂直方向)に延びている。引き続き、ゲート電極13
に形成された第1の開口部14Aに連通する第2の開口
部14Bを絶縁層12に形成する。具体的には、第2の
マスク材料層をエッチング用マスクとして用いて絶縁層
12をRIE法にてエッチングした後、第2のマスク材
料層を除去する。こうして、図1の(A)に示す構造を
得ることができる。実施の形態1においては、第1の開
口部14Aと第2の開口部14Bとは、一対一の対応関
係にある。即ち、1つの第1の開口部14Aに対応し
て、1つの第2の開口部14Bが形成される。尚、第1
及び第2の開口部14A,14Bの平面形状は、例えば
直径1μm〜30μmの円形である。これらの開口部1
4A,14Bを、例えば、1画素に1個〜3000個程
度形成すればよい。
【0054】[工程−130]その後、カソード電極1
1の端部の全てを短絡させ、更には、ゲート電極13の
端部の全てを短絡させ、第2の開口部14Bの底部に位
置するカソード電極11の表面に、金属(具体的には、
ニッケル)から成る炭素薄膜選択成長領域20を電気メ
ッキに基づき形成する(図1の(B)参照)。電気メッ
キの条件を以下の表1に例示する。尚、陽極としてニッ
ケル板を用いる。
【0055】 [表1] メッキ浴組成:塩化アンモニウム 1重量% ホウ酸 2重量% 硫酸ニッケル 4重量% ドデシル硫酸ナトリウム 0.1重量% メッキ浴温度:50゜C 印加電流 :陽極/ゲート電極間 25mA/dm2 :ゲート電極/カソード電極間 0.5mA/dm2 電位 :陽極の電位VA :10ボルト ゲート電極電位VG : 2ボルト カソード電極電位VC:−5ボルト メッキ時間 :10分
【0056】これによって、厚さ約0.1μmのニッケ
ルから成る炭素薄膜選択成長領域20を、第2の開口部
14Bの底部に位置するカソード電極11の表面にのみ
形成することができた。また、ゲート電極13上でのニ
ッケルの析出は全く認められなかった。従って、ゲート
電極13とカソード電極11とがニッケル薄膜によって
短絡するといった現象の発生は全く認められなかった。
【0057】[工程−140]その後、炭素薄膜選択成
長領域20上に、厚さ約0.2μmの炭素薄膜21を形
成し、電子放出部15を得る。この状態を図2に示す。
マイクロ波プラズマCVD法に基づく炭素薄膜21の成
膜条件を、以下の表2に例示する。従来の炭素薄膜の成
膜条件においては、900゜C程度の成膜温度が必要と
されたが、実施の形態1においては、成膜温度400゜
Cで安定した成膜を達成することができた。尚、ゲート
電極13がクロム(Cr)から構成されているが、表2
に示す成膜温度では、ゲート電極13上に炭素薄膜が形
成されることはない。また、形成された炭素薄膜の形態
は、巨視的には薄膜状であり、炭素のナノチューブであ
る。
【0058】[表2] [炭素薄膜の成膜条件] 使用ガス :CH4/H2=50/50SCCM 圧力 :1.3×103Pa マイクロ波パワー:500W(13.56MHz) 成膜温度 :400゜C
【0059】次いで、絶縁層12に設けられた第2の開
口部14Bの側壁面を等方的なエッチングによって後退
させてもよい。これによって、ゲート電極13の開口端
部を露出させることができる。尚、等方的なエッチング
は、ケミカルドライエッチングのようにラジカルを主エ
ッチング種として利用するドライエッチング、或いはエ
ッチング液を利用するウェットエッチングにより行うこ
とができる。エッチング液としては、例えば49%フッ
酸水溶液と純水の1:100(容積比)混合液を用いる
ことができる。
【0060】[工程−150]その後、表示装置の組み
立てを行う。具体的には、蛍光体層31と電界放出素子
とが対向するようにアノードパネルAPとカソードパネ
ルCPとを配置し、アノードパネルAPとカソードパネ
ルCP(より具体的には、基板30と支持体10)と
を、枠体34を介して、周縁部において接合する。接合
に際しては、枠体34とアノードパネルAPとの接合部
位、及び枠体34とカソードパネルCPとの接合部位に
フリットガラスを塗布し、アノードパネルAPとカソー
ドパネルCPと枠体34とを貼り合わせ、予備焼成にて
フリットガラスを乾燥した後、約450゜Cで10〜3
0分の本焼成を行う。その後、アノードパネルAPとカ
ソードパネルCPと枠体34とフリットガラスとによっ
て囲まれた空間を、貫通孔35及びチップ管36を通じ
て排気し、空間の圧力が10-4Pa程度に達した時点で
チップ管36を加熱溶融により封じ切る。このようにし
て、アノードパネルAPとカソードパネルCPと枠体3
4とに囲まれた空間を真空にすることができる。その
後、必要な外部回路との配線を行い、表示装置を完成さ
せる。
【0061】実施の形態1においては、第2の開口部1
4Bの底部に位置し、一種の触媒としての機能を有する
材料から構成された炭素薄膜選択成長領域20上に炭素
薄膜21から成る電子放出部15を形成するので、炭素
薄膜21を所望の形状にするための炭素薄膜のパターニ
ングを行う必要が無い。また、電界放出素子の電子放出
部は仕事関数の低い平面状の炭素薄膜21から成り、そ
の加工には、従来のスピント型電界放出素子に関して必
要とされた複雑、且つ、高度な加工技術を何ら要しな
い。従って、表示装置の有効領域の面積が増大し、これ
に伴って電子放出部の形成数が著しく増大した場合に
も、有効領域の全域に亙って各電子放出部の電子放出効
率を均一化し、輝度ムラが極めて少ない高画質の表示装
置を実現することができる。
【0062】尚、図3及び図4に示した表示装置におけ
るアノードパネルAPの製造方法の一例を、以下、図5
を参照して説明する。先ず、発光性結晶粒子組成物を調
製する。そのために、例えば、純水に分散剤を分散さ
せ、ホモミキサーを用いて3000rpmにて1分間、
撹拌を行う。次に、発光性結晶粒子を分散剤が分散した
純水中に投入し、ホモミキサーを用いて5000rpm
にて5分間、撹拌を行う。その後、例えば、ポリビニル
アルコール及び重クロム酸アンモニウムを添加して、十
分に撹拌し、濾過する。
【0063】アノードパネルAPの製造においては、例
えばガラスから成る基板30上の全面に感光性被膜50
を形成(塗布)する。そして、露光光源(図示せず)か
ら射出され、マスク53に設けられた孔部54を通過し
た紫外線によって、基板30上に形成された感光性被膜
50を露光して感光領域51を形成する(図5の(A)
参照)。その後、感光性被膜50を現像して選択的に除
去し、感光性被膜の残部(露光、現像後の感光性被膜)
52を基板30上に残す(図5の(B)参照)。次に、
全面にカーボン剤(カーボンスラリー)を塗布し、乾
燥、焼成した後、リフトオフ法にて感光性被膜の残部5
2及びその上のカーボン剤を除去することによって、露
出した基板30上にカーボン剤から成るブラックマトリ
ックス32を形成し、併せて、感光性被膜の残部52を
除去する(図5の(C)参照)。その後、露出した基板
30上に、赤、緑、青の各蛍光体層31を形成する(図
5の(D)参照)。具体的には、各発光性結晶粒子(蛍
光体粒子)から調製された発光性結晶粒子組成物を使用
し、例えば、赤色の感光性の発光性結晶粒子組成物(蛍
光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像し、次い
で、緑色の感光性の発光性結晶粒子組成物(蛍光体スラ
リー)を全面に塗布し、露光、現像し、更に、青色の感
光性の発光性結晶粒子組成物(蛍光体スラリー)を全面
に塗布し、露光、現像すればよい。その後、蛍光体層3
1及びブラックマトリックス32上にスパッタリング法
にて厚さ約0.07μmのアルミニウム薄膜から成るア
ノード電極33を形成する。尚、スクリーン印刷法等に
より各蛍光体層31を形成することもできる。
【0064】(実施の形態2)実施の形態2は、実施の
形態1の変形である。実施の形態1にて説明した製造方
法にあっては、炭素薄膜選択成長領域20の表面が自然
酸化され、炭素薄膜21の形成が困難となる場合があ
る。実施の形態2においては、炭素薄膜選択成長領域2
0の表面の金属酸化物(所謂、自然酸化膜)を除去す
る。尚、炭素薄膜選択成長領域20の表面の金属酸化物
を、プラズマ還元処理若しくは洗浄処理によって除去す
る。
【0065】実施の形態2により製造される電界放出素
子及び表示装置の構造は、実施の形態1にて説明した電
界放出素子及び表示装置の構造と同じであるので、詳細
な説明は省略する。以下、実施の形態2の電界放出素子
の製造方法及び表示装置の製造方法を説明する。
【0066】[工程−200]先ず、実施の形態1の
[工程−100]〜[工程−130]と同様にして、例
えばガラス基板から成る支持体10上にカソード電極1
1を形成し、次いで、支持体10及びカソード電極11
上に絶縁層12を形成し、その後、絶縁層12上に第1
の開口部14Aを有するゲート電極13を形成し、更
に、ゲート電極13に形成された第1の開口部14Aに
連通する第2の開口部14Bを絶縁層12に形成した
後、炭素薄膜選択成長領域20を形成する。
【0067】[工程−210]次に、第2の開口部14
Bの底部に露出した炭素薄膜選択成長領域20の表面の
金属酸化物(自然酸化膜)を、以下の表3に例示するプ
ラズマ還元処理(マイクロ波プラズマ処理)に基づき除
去する。あるいは又、例えば50%フッ酸水溶液と純水
の1:49(容積比)混合液を用いて、露出した炭素薄
膜選択成長領域20の表面の金属酸化物(自然酸化膜)
を除去することもできる。
【0068】[表3] 使用ガス :H2=100SCCM 圧力 :1.3×103Pa マイクロ波パワー:600W(13.56MHz) 処理温度 :400゜C
【0069】[工程−220]その後、第2の開口部1
4Bの底部に露出した炭素薄膜選択成長領域20の表面
に、厚さ約0.2μmの炭素薄膜21を形成し、電子放
出部15を得る。マイクロ波プラズマCVD法に基づく
炭素薄膜21の成膜条件を、以下の表4に例示する。実
施の形態2においては、成膜温度350゜Cで安定した
成膜を達成することができた。また、形成された炭素薄
膜の形態は、巨視的には薄膜状であり、炭素のナノチュ
ーブである。
【0070】[表4] [炭素薄膜の成膜条件] 使用ガス :CH4/H2=50/50SCCM 圧力 :1.3×103Pa マイクロ波パワー :500W(13.56MHz) 成膜温度 :350゜C
【0071】[工程−230]その後、実施の形態1の
[工程−150]と同様にして、表示装置の組み立てを
行う。
【0072】実施の形態2においては、第2の開口部1
4Bの底部に露出した炭素薄膜選択成長領域20の表面
の金属酸化物(自然酸化膜)を除去した後、かかる炭素
薄膜選択成長領域20の表面に炭素薄膜を形成するの
で、より一層低い温度での炭素薄膜の形成が可能とな
る。
【0073】(実施の形態3)実施の形態3も、実施の
形態1の変形である。実施の形態3においては、第2の
開口部14Bの底部に露出した炭素薄膜選択成長領域2
0の表面に凹凸を形成する。これによって、その上に形
成される炭素薄膜には突起部が形成される結果、高い電
子放出効率を有する冷陰極電界電子放出素子を得ること
ができる。以下、実施の形態3における電界放出素子及
び表示装置の製造方法を説明する。
【0074】[工程−300]先ず、実施の形態1の
[工程−100]〜[工程−130]と同様にして、例
えばガラス基板から成る支持体10上にカソード電極1
1を形成し、次いで、支持体10及びカソード電極11
上に絶縁層12を形成し、その後、絶縁層12上に第1
の開口部14Aを有するゲート電極13を形成し、更
に、ゲート電極13に形成された第1の開口部14Aに
連通する第2の開口部14Bを絶縁層12に形成し、第
2の開口部14Bの底部の中央部にカソード電極11の
表面に電気メッキにて炭素薄膜選択成長領域20を形成
する。
【0075】[工程−310]次に、支持体10を燐酸
水溶液に浸漬し、ニッケル(Ni)から構成された炭素
薄膜選択成長領域20の表面をエッチングし、炭素薄膜
選択成長領域20の表面に凹凸を形成する。
【0076】[工程−320]その後、平行平板型CV
D装置を使用して、以下の表5に例示するマイクロ波プ
ラズマCVD法に基づき、炭素薄膜選択成長領域20上
に、厚さ約0.2μmの炭素薄膜21を形成し、電子放
出部を得る。また、形成された炭素薄膜の形態は、巨視
的には薄膜状であり、炭素のナノチューブである。
【0077】[表5] [炭素薄膜の成膜条件] 使用ガス :C24/H2=50/50SCCM 圧力 :7×102Pa マイクロ波パワー:700W(13.56MHz) 成膜温度 :400゜C
【0078】[工程−330]次いで、実施の形態1の
[工程−150]と同様にして、表示装置の組み立てを
行う。
【0079】尚、実施の形態3においても、炭素薄膜選
択成長領域20を形成した後、実施の形態2の[工程−
220]と同様にして、炭素薄膜選択成長領域20の表
面の金属酸化物(自然酸化膜)を除去してもよい。尚、
炭素薄膜選択成長領域20の表面における凹凸の形成
(エッチング)には、炭素薄膜選択成長領域20を構成
する金属に依存して、希塩酸、希硫酸、希硝酸、水酸化
ナトリウム水溶液等を用いることができる。
【0080】(実施の形態4)実施の形態4も、実施の
形態1の変形である。実施の形態4においては、炭素薄
膜選択成長領域20を鉄(Fe)あるいはコバルト(C
o)から構成する。即ち、実施の形態1の[工程−10
0]〜[工程−120]を実行した後、以下に説明する
電気メッキ工程を実行し、更に、実施の形態1の[工程
−140]を実行することによって、電界放出素子を得
ることができる。その後、実施の形態1の[工程−15
0]と同様にして、表示装置の組み立てを行う。尚、実
施の形態4に対しても、実施の形態2あるいは実施の形
態3にて説明した方法を適用することができる。
【0081】鉄(Fe)から成る炭素薄膜選択成長領域
20を形成するためには、以下の表6に例示する条件の
電気メッキを行えばよい。尚、陽極として鉄板を用い
る。また、コバルト(Co)から成る炭素薄膜選択成長
領域20を形成するためには、以下の表7に例示する条
件の電気メッキを行えばよい。尚、陽極としてコバルト
板を用いる。ここで、表7に例示した条件においては、
電気メッキにおいて、矩形波の電流を流した。このと
き、総時間に対する電流を流す時間のデューティ比を2
0%とした。
【0082】 [表6] メッキ浴組成:塩化アンモニウム 1重量% ホウ酸 2重量% 硫酸鉄 4重量% ドデシル硫酸ナトリウム 0.1重量% メッキ浴温度:50゜C 印加電流 :陽極/ゲート電極間 25mA/dm2 :ゲート電極/カソード電極間 0.5mA/dm2 電位 :陽極の電位VA :10ボルト ゲート電極電位VG : 2ボルト カソード電極電位VC:−5ボルト メッキ時間 :10分
【0083】 [表7] メッキ浴組成:塩化アンモニウム 1重量% ホウ酸 2重量% 硫酸コバルト 4重量% ドデシル硫酸ナトリウム 0.1重量% メッキ浴温度:50゜C 印加電流 :陽極/ゲート電極間 25mA/dm2 :ゲート電極/カソード電極間 0.5mA/dm2 電位 :陽極の電位VA :10ボルト ゲート電極電位VG : 2ボルト カソード電極電位VC:−5ボルト メッキ時間 :10分
【0084】これによって、厚さ約50nmの炭素薄膜
選択成長領域20を、第2の開口部14Bの底部に位置
するカソード電極11の表面に形成することができた。
また、ゲート電極13上での鉄あるいはコバルトの析出
は全く認められなかった。従って、ゲート電極13とカ
ソード電極11とが鉄薄膜やコバルト薄膜によって短絡
するといった現象の発生は全く認められなかった。
【0085】(実施の形態5)実施の形態5も実施の形
態1の変形である。実施の形態5において、電界放出素
子は収束電極を備えている。即ち、ゲート電極13及び
絶縁層12には更に第2の絶縁層61が設けられ、第2
の絶縁層61上に収束電極62が設けられている。この
ような構造を有する電界放出素子の模式的な一部端面図
を図6に示す。第2の絶縁層61には第1の開口部14
Aに連通した第3の開口部63が設けられている。以
下、実施の形態5の電界放出素子及び表示装置の製造方
法を説明する。
【0086】[工程−500]先ず、実施の形態1の
[工程−100]〜[工程−110]を実行した後、
[工程−120]と同様にして、絶縁層12上にストラ
イプ状のゲート電極13を形成する。
【0087】[工程−510]その後、全面に第2の絶
縁層61を形成し、更に、第2の絶縁層61上にパター
ニングされた収束電極62を形成した後、収束電極6
2、第2の絶縁層61に第3の開口部63を設け、更
に、ゲート電極13に第1の開口部14Aを設け、更
に、絶縁層12に第2の開口部14Bを設ける。
【0088】[工程−520]次いで、実施の形態1の
[工程−130]及び[工程−140]を実行すること
で、収束電極62を備えた電界放出素子を得ることがで
きる。その後、実施の形態1の[工程−150]と同様
にして、表示装置の組み立てを行う。尚、実施の形態5
に対しても、実施の形態2〜実施の形態4にて説明した
方法を適用することができる。尚、[工程−130]と
同様の電気メッキ工程においては、収束電極の電位をV
Fとしたとき、VA≧VF≒VG>VCを満足する条件で電
気メッキを行う。
【0089】以上、本発明を、実施の形態に基づき説明
したが、本発明はこれらに限定されるものではない。実
施の形態において説明した各種の条件、使用材料、電界
放出素子や表示装置の構造は例示であり、適宜変更する
ことができる。
【0090】
【発明の効果】本発明においては、絶縁層に設けられた
第2の開口部の底部に位置するカソード電極の上に電気
メッキにて炭素薄膜選択成長領域を設け、その上にCV
D法にて炭素薄膜から成る電子放出部を設けることがで
きるので、従来の製造方法と比較して、極めて容易な方
法で冷陰極電界電子放出素子を製造することが可能とな
り、冷陰極電界電子放出表示装置の製造コストの低減を
図ることができる。しかも、炭素薄膜を所望の形状にす
るための炭素薄膜のパターニングを行う必要が無い。ま
た、電子放出部が炭素薄膜から構成されているので、低
閾値電圧を有し、高い電子放出効率を有する冷陰極電界
電子放出素子を得ることができ、更には、低消費電力、
高画質の冷陰極電界電子放出表示装置を得ることができ
る。また、有効領域の面積が増大し、これに伴って冷陰
極電界電子放出素子の形成数が著しく増大した場合に
も、各冷陰極電界電子放出素子の電子放出部を精度良く
形成することができるため、有効領域の全域に亙って各
電子放出部の電子放出効率が均一化され、輝度ムラが極
めて少ない高画質の冷陰極電界電子放出表示装置を製造
することができる。しかも、炭素薄膜の成膜を比較的低
温で行うことができるが故に、支持体としてガラス板を
用いることができ、製造コストの低減を図ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態1の冷陰極電界電子放出素子
の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端
面図である。
【図2】図1に引き続き、発明の実施の形態1の冷陰極
電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持体等
の模式的な一部端面図である。
【図3】発明の実施の形態1の冷陰極電界電子放出表示
装置の模式的な一部端面図である。
【図4】発明の実施の形態1の冷陰極電界電子放出表示
装置におけるカソードパネルとアノードパネルを分解し
たときの模式的な部分的斜視図である。
【図5】発明の実施の形態1の冷陰極電界電子放出表示
装置におけるアノードパネルの製造方法を説明するため
の基板等の模式的な一部断面図である。
【図6】収束電極を有する冷陰極電界電子放出素子の模
式的な一部端面図である。
【図7】従来のスピント型冷陰極電界電子放出素子を備
えた従来の冷陰極電界電子放出表示装置の構成例を示す
模式図である。
【符号の説明】
10・・・支持体、11・・・カソード電極、12・・
・絶縁層、13・・・ゲート電極、14A・・・第1の
開口部、14B・・・第2の開口部、20・・・炭素薄
膜選択成長領域、21・・・炭素薄膜、30・・・基
板、31・・・蛍光体層、32・・・ブラックマトリッ
クス、33・・・アノード電極、34・・・枠体、35
・・・貫通孔、36・・・チップ管、40・・・カソー
ド電極制御回路、41・・・ゲート電極制御回路、42
・・・アノード電極制御回路、61・・・第2の絶縁
層、62・・・収束電極、63・・・第3の開口部、C
P・・・カソードパネル、AP・・・アノードパネル

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)支持体上にカソード電極を形成する
    工程と、 (B)支持体及びカソード電極上に絶縁層を形成する工
    程と、 (C)絶縁層上に第1の開口部を有するゲート電極を形
    成する工程と、 (D)ゲート電極に形成された第1の開口部に連通する
    第2の開口部を絶縁層に形成する工程と、 (E)第2の開口部の底部に位置するカソード電極の表
    面に、金属から成る炭素薄膜選択成長領域を形成する工
    程と、 (F)炭素薄膜選択成長領域上に化学的気相成長法にて
    炭素薄膜を形成する工程、から成り、 前記炭素薄膜選択成長領域を形成する工程は電気メッキ
    に基づき、 電気メッキにおける陽極の電位をVA、ゲート電極の電
    位をVG、カソード電極の電位をVCとしたとき、VA
    G>VCを満足する条件で電気メッキを行うことを特徴
    とする冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  2. 【請求項2】前記金属は、クロム、マンガン、鉄、コバ
    ルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、パラジウム、
    タンタル、白金、及び、金から成る群から選択された少
    なくとも1種類の金属から成ることを特徴とする請求項
    1に記載の冷陰極電界電子放出素子の製造方法。
  3. 【請求項3】電気メッキにおいて矩形波の電流を流すこ
    とを特徴とする請求項1に記載の冷陰極電界電子放出素
    子の製造方法。
  4. 【請求項4】炭素薄膜選択成長領域を形成した後、炭素
    薄膜選択成長領域の表面の金属酸化物を除去することを
    特徴とする請求項1に記載の冷陰極電界電子放出素子の
    製造方法。
  5. 【請求項5】炭素薄膜選択成長領域の表面の金属酸化物
    を、プラズマ還元処理若しくは洗浄処理によって除去す
    ることを特徴とする請求項4に記載の冷陰極電界電子放
    出素子の製造方法。
  6. 【請求項6】アノード電極及び蛍光体層が形成された基
    板と、冷陰極電界電子放出素子が形成された支持体と
    を、蛍光体層と冷陰極電界電子放出素子とが対向するよ
    うに配置し、基板と支持体とを周縁部において接合する
    冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法であって、 冷陰極電界電子放出素子を、 (A)支持体上にカソード電極を形成する工程と、 (B)支持体及びカソード電極上に絶縁層を形成する工
    程と、 (C)絶縁層上に第1の開口部を有するゲート電極を形
    成する工程と、 (D)ゲート電極に形成された第1の開口部に連通する
    第2の開口部を絶縁層に形成する工程と、 (E)第2の開口部の底部に位置するカソード電極の表
    面に、金属から成る炭素薄膜選択成長領域を形成する工
    程と、 (F)炭素薄膜選択成長領域上に化学的気相成長法にて
    炭素薄膜を形成する工程、に基づき形成し、 前記炭素薄膜選択成長領域を形成する工程は電気メッキ
    に基づき、 電気メッキにおける陽極の電位をVA、ゲート電極の電
    位をVG、カソード電極の電位をVCとしたとき、VA
    G>VCを満足する条件で電気メッキを行うことを特徴
    とする冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法。
  7. 【請求項7】前記金属は、クロム、マンガン、鉄、コバ
    ルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、パラジウム、
    タンタル、白金、及び、金から成る群から選択された少
    なくとも1種類の金属から成ることを特徴とする請求項
    6に記載の冷陰極電界電子放出表示装置の製造方法。
  8. 【請求項8】電気メッキにおいて矩形波の電流を流すこ
    とを特徴とする請求項6に記載の冷陰極電界電子放出表
    示装置の製造方法。
  9. 【請求項9】炭素薄膜選択成長領域を形成した後、炭素
    薄膜選択成長領域の表面の金属酸化物を除去することを
    特徴とする請求項6に記載の冷陰極電界電子放出表示装
    置の製造方法。
  10. 【請求項10】炭素薄膜選択成長領域の表面の金属酸化
    物を、プラズマ還元処理若しくは洗浄処理によって除去
    することを特徴とする請求項9に記載の冷陰極電界電子
    放出表示装置の製造方法。
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